JP4529617B2 - バルブ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機などに用いられるバルブ装置に関する。
従来、この種のバルブ装置は、磁気駆動装置を構成するソレノイド部と、該ソレノイド部の駆動に基づき油圧を制御する調圧部とを備えている。前記ソレノイド部には、電磁ソレノイドとプランジャが設けられており、該プランジャは、電磁ソレノイドに電流が印加された場合の電磁誘導作用に基づき軸方向へ移動するように構成されている。また、前記調圧部には、略円筒形状をなすバルブ本体と、該バルブ本体内を軸方向に摺動するスプールとが設けられており、該スプールは、その摺動方向における一端部がプランジャに当接し、プランジャの軸方向への移動に基づきバルブ本体内を摺動するようになっている。そして、前記バルブ本体の周壁には、当該バルブ本体内に外部から作動油(流体)を流入させるための入力ポートと、前記バルブ本体内から外部へ作動油を流出させるための出力ポートとが、バルブ本体の内外間に亘る作動油の流通を可能とする流通ポートとして形成されている。
ところで、バルブ本体内に流入する作動油中には、金属粉等の異物が混入している場合がある。そして、このような異物が作動油と共に入力ポート(又は出力ポート)を介してバルブ本体内に流入した場合には、バルブ本体内におけるスプールの摺動動作に支障をきたし、ときにはスプールが摺動不能となる(いわゆるバルブスティックが発生する)可能性があった。換言すると、走行中の変速時に振動(ショック)が大きくなる可能性があった。そこで、このような問題へ対処するものとして、例えば特許文献1に記載されるようなストレーナ(フィルタ装置)が提案されている。
この特許文献1に記載のストレーナは、半割可能な円環状をなす樹脂製の支持枠を備えており、該支持枠には濾過機能を有する網状のフィルタが巻装されている。そして、前記ストレーナは、バルブ本体の周壁における入力ポート(又は出力ポート)の形成部位である凹溝内に前記支持枠を嵌合させて組み付けられるようになっている。そのため、前記凹溝内に前記ストレーナを嵌合組み付けした場合には、前記入力ポート等を介して外部からバルブ本体内に流入する作動油中に異物が混入していたとしても、そのような異物はストレーナの濾過機能によりバルブボディ内への流入が抑制されるので、異物の流入に起因したスプールの摺動不良を良好に抑制できるようになる。
特開2001−41349号公報(請求項1、段落番号[0037]、図3)
ところで、前記ストレーナは、バルブ本体とは別体構成であるため、バルブ装置の製造時にはバルブ本体の周壁に形成された凹溝内に支持枠が嵌合組み付けされる。そして、その嵌合組み付けに際しては、バルブ本体における凹溝の内側面とストレーナにおける支持枠の端面との間に隙間ができないように精密に嵌合組み付けする必要がある。すなわち、その嵌合組み付け状態においてバルブ本体の軸方向で対面する前記凹溝の内側面と前記支持枠の端面との間から異物の混入した作動油が前記凹溝の内底面に開口形成された入力ポート(又は出力ポート)側へ回り込んでバルブ本体内に流入しないようにする必要がある。
そのため、前記ストレーナにおいては、その支持枠を加工形成する際に、特に軸方向寸法に対して非常に厳しい加工精度が要求されることになる。同様に、バルブ本体においても、その周壁に前記凹溝を加工形成する際に、該凹溝の軸方向寸法に対して非常に厳しい加工精度が要求されることになる。従って、上記のようなバルブ本体とは別体構成のストレーナを嵌合組み付けするバルブ装置では、濾過機能を担保するべく、ストレーナ(支持枠)及びバルブ本体(凹溝)の加工精度を厳密に追求して製造する必要があるため、バルブ装置の生産性が低下するという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、異物の流入に起因したスプールの摺動不良を良好に抑制できるバルブ装置を、生産性を低下させることなく、濾過機能を確保させて製造できることにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、磁気駆動装置を構成するソレノイド部と、該ソレノイド部の駆動に基づいて油圧を制御する調圧部とから構成され、自動変速機の油圧制御装置に取り付けられて使用されるリニアソレノイド型のバルブ装置において、前記調圧部は、筒状をなすバルブ本体と、該バルブ本体内に形成されたバルブ孔内を軸方向に摺動するスプールとを備え、前記バルブ本体の周壁には、該バルブ本体の内外間に亘る作動油流入を可能とする入力ポートと、該バルブ本体の内外間に亘る作動油の流出を可能とする出力ポートと、該出力ポートから前記バルブ本体外に流出した作動油の一部をフィードバック油室に流入させるフィードバック油路用溝が形成され、前記バルブ本体の周壁には、断面略扇形状をなすようにポート用溝が形成されると共に、前記ポート用溝の底壁部には複数の細孔が貫設され、前記入力ポート及び出力ポートは、それぞれ前記底壁部及び前記複数の細孔を含んで構成され、前記複数の細孔は、前記ポート用溝側と前記バルブ孔側とを連通していることを要旨としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ポート用溝の底壁部は、前記周壁における前記ポート用溝の非形成部位よりも壁厚が薄肉状となる薄肉部として形成されていることを要旨としている。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記入力ポート及び出力ポートは、前記ポート用溝と、該ポート用溝の底壁部である薄肉部と、前記底壁部に形成された前記複数の細孔とにより構成されると共に、前記バルブ本体の内外間に亘る作動油の流通を可能とすることを要旨としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の発明において、前記出力ポートを構成する薄肉部の周方向略中央部分には、厚肉部位が形成されていることを要旨としている。
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のバルブ装置において、前記各細孔は、レーザ加工により貫設されていることを要旨としている
本発明によれば、異物の流入に起因したスプールの摺動不良を良好に抑制できるバルブ装置を、生産性を低下させることなく、濾過機能を確保させて製造することができる。
以下、本発明を車両に搭載される自動変速機の調圧バルブ装置に具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。なお、以下の説明において「前後方向」をいう場合は、図1における「左右方向」をいうものとする。
図1に示すように、本実施形態のバルブ装置10は、リニアソレノイド型の調圧バルブ装置であり、磁気駆動装置を構成するソレノイド部11と、該ソレノイド部11の駆動に基づき油圧を制御する調圧部12とを備えている。なお、前記バルブ装置10は、図示しない自動変速機の油圧制御装置に取り付けられる場合に、該油圧制御装置内に設けられた図示しない管路と、後述する入力ポートIP、出力ポートOP及びドレーン用ポート33,34(共に図2参照)が連通するように取り付けられる。前記ソレノイド部11が上方であって、前記調圧部12が下方になる配置態様で取り付けられる。
前記ソレノイド部11は、ヨークとして機能する有底略円筒形状のソレノイドケース13を備えており、該ソレノイドケース13の外側にはターミナル14が配置されている。前記ソレノイドケース13内には、略円筒形状をなすコイルアッセンブリ15が設けられ、該コイルアッセンブリ15内の中心には軸方向(前後方向)に同一径をなす中空部15aが形成されている。そして、この中空部15a内に略円柱形状をなすプランジャ16が軸方向への摺動自在に嵌挿されている。なお、プランジャ16には、その軸方向に沿って複数(図1では2つ図示)の油路16aが貫通形成されている。
前記コイルアッセンブリ15は、環状をなすボビン17と、該ボビン17の後端側に一体組み付けされる環状の第1ボビンエンド18と、前記ボビン17の前端側に一体組み付けされる環状の第2ボビンエンド19とを備えており、前記ボビン17及び第1ボビンエンド18の外周面には巻線20が巻装されている。そして、前記ボビン17の内周面と両ボビンエンド18,19の各内周面により、前記プランジャ16を軸方向(前後方向)へ摺動案内する前記コイルアッセンブリ15の中空部15aが形成されている。
前記ボビン17は低透磁率材料(「非磁性体」ともいう)であるステンレススチール(SUS)にて形成されている。一方、前記第1ボビンエンド18、前記第2ボビンエンド19、前記ソレノイドケース13、及び前記プランジャ16は、高透磁率材料(鉄やニッケル等の磁性体)にて形成されている。なお、ソレノイドケース13の底部内面から前記プランジャ16の後端面に向けて突設された凸部13aには非磁性体層の表面処理が施されている。従って、前記ターミナル14を介してコイルアッセンブリ15(巻線20)に電流が供給された場合には、ボビン17を迂回して、ソレノイドケース13から第1ボビンエンド18、プランジャ16、及び第2ボビンエンド19を通ってソレノイドケース13へと戻るように磁束が流れることになる。そして、この磁束の流れに基づいて発生した前方側への吸引力により前記プランジャ16は前記調圧部12側に向けて摺動するようになっている。
一方、前記調圧部12は、略円筒形状をなすバルブ本体21と、このバルブ本体21内を軸方向(前後方向)に摺動するスプール22とを備えている。図2に示すように、前記バルブ本体21の前端面にはバネ収容孔23が軸方向へ形成され、該収容孔23には、バルブ本体21の周壁21Aに設けられたネジ溝(図示略)に螺合するネジ溝(図示略)を有する閉塞キャップ24がネジ止めされている。また、前記バルブ本体21内には、前記スプール22を軸方向(前後方向)へ摺動案内するバルブ孔21aが前記バネ収容孔23から軸方向後側へ貫通形成されている。一方、前記バルブ本体21の後端にはフランジ部25が形成されており、このフランジ部25に対して前記ソレノイドケース13の前端に形成されたかしめ部26がかしめられることによって、前記バルブ装置10は、ソレノイド部11と調圧部12とが一体的に組み付けられている。
前記スプール22の前端にはバネ座27が形成され、該バネ座27よりも軸方向後側には、前記バルブ孔21aに摺接する第1ランド28と第2ランド29及び第3ランド30が軸方向に離間形成されている。第1ランド28と第2ランド29の間、及び第2ランド29と第3ランド30の間は、それぞれ各ランド28〜30よりも小径のグルーブ31により連結されている。前記スプール22は前記バネ収容孔23内にバネ座27が臨むように配置され、該バネ座27と前記閉塞キャップ24の内面との間には圧縮コイルバネ32が介装されている。
従って、前記スプール22は、前記圧縮コイルバネ32の付勢力により軸方向後側へと付勢されることになり、該スプール22において後端となる前記第3ランド30の後端が常に前記プランジャ16の前端に当接した状態とされる。そして、その状態において、スプール22は、前記磁束の流れに基づき発生した前方側への吸引力によりプランジャ16が前方へ摺動した場合には、当該プランジャ16と共に前方へ移動(摺動)する一方、前記吸引力が消失した場合には、前記圧縮コイルバネ32からの後方側への付勢力を受けてプランジャ16と共に後方へ移動するようになっている。
図1〜図3に示すように、前記バルブ本体21の周壁21Aにおいて、軸方向の中途よりも前側の部分には、開口形状が周方向へ短い矩形状をなすドレーン用ポート33と、開口形状が周方向へ長い矩形状をなすドレーン用ポート34が軸方向(前後方向)に離間して形成されている。前記両ドレーン用ポート33,34のうち、軸方向前側のドレーン用ポート33は前記バネ収容孔23と対応する位置に形成され、軸方向後側のドレーン用ポート34は前記バネ収容孔23の軸方向位置よりも後方位置に形成されている。前記各ドレーン用ポート33,34は、自動変速機のシフトレンジ切り替え時等にバルブ本体21内から作動油(流体)を外部へドレーンさせるためのポートであり、図示しない管路を介して油回収タンク(図示略)に接続されている。
また、図1〜図3に示すように、前記バルブ本体21の周壁21Aにおいて、軸方向の中途よりも後側の部分には、複数(本実施形態では3つ)の油室用溝35,36,37と、複数(本実施形態では2つ)のポート用溝38,39、及び一つの油路用溝40が形成されている。前記各油室用溝35,36,37は、前記バルブ本体21の周壁21Aにおいて、前記各ドレーン用ポート33,34が形成された周面上位置と周方向において略同一となる周面上位置(図1では紙面手前側、図2では上方側、図3では上方側となる周面上位置)に形成されている。一方、前記各ポート用溝38,39は、前記バルブ本体21の周壁21Aにおいて、前記各ドレーン用ポート33,34が形成された周面上位置とは周方向において反対側となる周面上位置(図1では紙面奥側、図2では下方側、図3では下方側となる周面上位置)に形成されている。そして、前記油路用溝40は、前記バルブ本体21の周壁21Aにおいて、前記各油室用溝35,36,37の周面上位置と前記各ポート用溝38,39の周面上位置との周方向略中間となる周面上位置に形成されている。
また、図2に示すように、前記各油室用溝35,36,37と各ポート用溝38,39とは、前記バルブ本体21の周壁21Aにおいて、油室用溝35とポート用溝38とが軸方向で略同一位置となるように形成され、油室用溝36とポート用溝39とが軸方向で略同一位置となるように形成されている。具体的には、軸方向の前側から後側へ、油室用溝35とポート用溝38の組、油室用溝36とポート用溝39の組、油室用溝37だけとなる順で、前記各溝35〜39が軸方向(前後方向)に離間して形成されている。また、前記油路用溝40については、図1に示すように、前記バルブ本体21の周壁21Aにおいて、前記油室用溝35(及びポート用溝38)が形成された軸方向位置と前記油室用溝37が形成された軸方向位置との間に亘って軸方向に延びるように形成されている。
図4〜図6に示すように、各油室用溝35,36,37は断面略分銅形状をなすように形成され、各ポート用溝38,39は断面略扇形状をなすように形成されている。すなわち、前記各ポート用溝38,39のうちポート用溝38は周方向に略180度に亘る断面略扇形状をなしており、ポート用溝39は、前記ポート用溝38の周方向における略中心位置から略90度だけ周方向における一方側(図5では周方向における右方側)に亘る断面略扇形状をなしている。また、前記油路用溝40は、前記ポート用溝38の周方向における他方側端部(図4では周方向における左方側端部)と略同一の周方向位置に形成されている。なお、図4〜図6では、説明理解の便宜上、スプール22の図示を省略している。
また、バルブ本体21における軸方向の中途よりも後側の部分には、断面略C字状(図4〜図6に断面形状を図示)をなすカバー41が外嵌装着されている。そして、このカバー41が外嵌装着されることにより、前記バルブ本体21内には、バルブ孔21aに連通した複数(本実施形態では3つ)の油室35A,36A,37Aが形成される。すなわち、本実施形態では、前記油室用溝35が出力油室35Aを、前記油室用溝36が入力油室36Aを、そして前記油室用溝37がフィードバック油室37Aを、前記カバー41と共同してそれぞれ形成する。また、バルブ本体21には、油路用溝40とカバー41によって当該バルブ本体21の軸方向に延びるフィードバック油路40Aが形成される。
前記バルブ本体21の周壁21Aにおける各ポート用溝38,39の形成部位には、該周壁21Aにおける各ポート用溝38,39の非形成部位よりも、壁厚が薄肉状となる薄肉部42,43が各ポート用溝38,39の底壁部となるようにそれぞれ形成されている。すなわち、前記周壁21Aにおけるポート用溝38の形成部位には、周方向へ略180度に亘る範囲内において、その周方向略中央部に設けられた厚肉部位42aを挟んだ周方向両側に薄肉部42が形成されている。また、前記周壁21Aにおけるポート用溝39の形成部位には、周方向へ略90度に亘る範囲内に薄肉部43が形成されている。なお、本実施形態では、薄肉部42の壁厚寸法Lと薄肉部43の壁厚寸法Lは、略0.4mmにそれぞれ設定されている。
前記薄肉部42には、レーザ加工(例えばYAGレーザによる加工)により複数の細孔44が貫設されており、該各細孔44は、バルブ本体21の軸方向及び周方向に整列した状態で形成されている。同様に、前記薄肉部43にも、レーザ加工により複数の細孔45が貫設されており、該各細孔45は、バルブ本体21の軸方向及び周方向に整列した状態で形成されている。ちなみに、本実施形態の各細孔44,45は、その直径寸法dが略0.2mmとなるようにそれぞれ貫設されている。
前記薄肉部43が形成されたポート用溝39は、図示しない管路を介してモジュレータバルブ(図示略)に接続されており、当該モジュレータバルブから管路を介してポート用溝39内まで流動してきた作動油は、前記薄肉部43に形成された各細孔45を介してバルブ本体21(詳しくは入力油室36A)内に流入するようになっている。すなわち、本実施形態では、ポート用溝39と、該ポート用溝39の底壁部である薄肉部43と、該薄肉部43に形成された複数の細孔45とによりバルブ本体21の内外間に亘る作動油(流体)の流通を可能とする入力ポート(流通ポート)IPが構成されている。そして、入力油室36A内に流入した作動油は、バルブ孔21aとスプール22のグルーブ31との間の隙間を前方に流動して出力油室35A内に流入するようになっている。
ところで、作動油中には、金属粉等の異物が混入している場合がある。しかし、入力ポートIPを構成する各細孔45は、その直径寸法dが略0.2mmに形成されているため、作動油中に混入している異物のうちほとんどの異物は、当該各細孔45を通過できないようになっている。すなわち、本実施形態では、各細孔45により作動油中の異物を濾過するようになっており、前記薄肉部(入力ポートIPにおける各細孔45の形成部位)43が濾過機能を有するストレーナ部として機能するようになっている。
また、前記薄肉部42が形成されたポート用溝38は、図示しない管路を介してコントロールバルブ(図示略)に接続されており、バルブ本体21(出力油室35A)内の作動油は、前記薄肉部42に形成された各細孔44を介してバルブボディ21外に流出するようになっている。すなわち、本実施形態では、ポート用溝38と、該ポート用溝38の底壁部である薄肉部42と、該薄肉部42に形成された各細孔44とによりバルブ本体(バルブ本体)21の内外間に亘る作動油(流体)の流通を可能とする出力ポート(流通ポート)OPが構成されている。
前記出力ポートOPの各細孔44からは、前述したように、通常時(図示しない内燃機関の駆動時)において、バルブ本体21(出力油室35A)内から外部に作動油が流出するようになっている。ところが、前記内燃機関の停止直後などにおいては、前記各細孔44から流出した作動油が逆流して当該各細孔44を介してバルブ本体21内に再び流入する場合があり、当該逆流した作動油中には、異物(金属片等)が混入している場合がある。しかし、本実施形態の出力ポートOPを構成する各細孔44は、直径寸法dが略0.2mmに形成されているため、作動油中に混入している異物のうちほとんどの異物は、当該各細孔44を通過できない。すなわち、本実施形態では、各細孔44により作動油中の異物を濾過するようになっており、前記薄肉部(出力ポートOPにおける各細孔44の形成部位)42が濾過機能を有するストレーナ部として機能するようになっている。
また、前記バルブ本体21の周壁21Aには、フィードバック油室37Aとフィードバック油路40Aとを連通させるフィードバックポート46が形成されている。ちなみに、出力ポートOPを構成する各細孔44からバルブ本体21外に流出した作動油の大部分は前記コントロールバルブに向けて前記管路内を流動するが、一部の作動油は各細孔44からフィードバック油路40A及びフィードバックポート46を介してフィードバック油室37A内に流入するようになっている。そして、フィードバック油室37Aでは、当該油室37A内に流入した作動油の油圧が前記スプール22に対して前記圧縮コイルバネ32の付勢力に抗する方向(前方)へ働くフィードバック圧として作用するようになっている。そのため、精密な油圧制御を行うことができる。
次に、本実施形態のバルブ装置10の作用について、特に入力ポートIPを構成する各細孔45及び出力ポートOPを構成する各細孔44を介して作動油がバルブ本体21の内外間に亘り流動する場合の作用を中心に以下説明する。
さて、作動油が前記モジュレータバルブから管路を流動して入力ポートIPを構成するポート用溝39内に流入すると、該作動油は、ポート用溝39の底壁部を構成する薄肉部43に形成された各細孔45を通過してバルブ本体21(入力油室36A)内に流入しようとする。ここで、もし仮に前記作動油中に異物が混入している場合、前記各細孔45が形成されたことによりストレーナ部として機能する薄肉部43は、当該作動油に混入している異物のうち、各細孔45を通過できない異物のバルブ本体21内への流入を阻止する。そのため、バルブ本体21内には、外部から異物がほとんど混入していない作動油が流入することになり、スプール22は、該作動油に混入した異物によるバルブ本体21内での摺動動作の阻害が抑制される。
一方、前記内燃機関の駆動停止に基づき自動変速機の駆動が停止した直後などの場合には、出力ポートOP(各細孔44)を介してバルブ本体21(出力油室35A)内から外部に流出した作動油(例えば異物の混入した作動油)が逆流して再びバルブ本体21内に流入しようとする。すると、前記各細孔44が形成されたことによりストレーナ部として機能する薄肉部42は、前記作動油に混入している異物のうち、各細孔44を通過できない異物のバルブ本体21内への流入を阻止する。そのため、たとえ作動油の逆流があったとしても、バルブ本体21内には、外部から異物がほとんど混入していない作動油が流入することになる。従って、再び内燃機関が駆動して自動変速機の駆動が再開された際に、スプール22は、該作動油に混入した異物によるバルブ本体21内での摺動動作の阻害が抑制される。
従って、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)バルブ本体21の周壁21Aにおいて、ポート用溝38の底壁部である薄肉部42には、出力ポート(流通ポート)OPを構成する複数の細孔44が作動油(流体)中に含まれる異物を濾過可能な直径寸法dで形成され、当該薄肉部42がストレーナ部として機能するようになっている。また、同じくバルブ本体21の周壁21Aにおいて、ポート用溝39の底壁部である薄肉部43にも、入力ポート(流通ポート)IPを構成する複数の細孔44が作動油(流体)中に含まれる異物を濾過可能な直径寸法dで形成され、当該薄肉部43がストレーナ部として機能するようになっている。すなわち、バルブ本体21の周壁21Aにおける細孔44,45の形成部位に濾過機能を有するストレーナ部(各薄肉部42,43)が一体形成されている。そのため、バルブ本体の凹溝内に別体構成のストレーナを嵌合組み付けした従来とは異なり、ストレーナの加工精度や該ストレーナを嵌合組み付けするバルブ本体の凹溝の加工精度を厳密に追求されることもなく、ストレーナ部(各薄肉部42,43)が一体形成されたバルブ装置10を製造できる。従って、異物の流入に起因したスプール22の摺動不良を良好に抑制できるバルブ装置10を、生産性を低下させることなく、濾過機能を確保させて製造できる。
(2)また、バルブ本体21の周壁21Aに対して濾過機能を有するストレーナ部を一体形成するに際しては、該周壁21Aに形成したポート用溝38,39の底壁部たる薄肉部42,43に複数の細孔44,45を貫設するだけでよい。従って、例えばバルブ本体21の周壁21Aに流通ポート(入力ポートIP等)となる開口を形成した上で、当該開口に網状フィルタ等をストレーナ部として溶接などにより一体形成する場合に比して、バルブ装置10の製造時における部品点数の増加を抑制できる。
(3)出力ポートOPを構成する各細孔44及び入力ポートIPを構成する各細孔45の形成部位となる各薄肉部42,43は、バルブ本体21の周壁21Aにおける他の周壁部位(すなわち、各細孔44,45の非形成部位)よりも、壁厚が薄肉状に形成されている。そのため、バルブ本体21の周壁21Aに対して各細孔44,45を容易に貫設することができる。
(4)流通ポート(出力ポートOP、入力ポートIP)を構成する各細孔44,45は、薄肉部42,43にレーザ加工を施すことによって貫設されている。そのため、ドリルやパンチなどによって細孔を加工形成する場合に比して、より細径の細孔44,45を容易に形成することができる。
また一般に、エッチング加工によって形成される細孔の直径寸法dは、該細孔の形成部位(各薄肉部42,43)の壁厚寸法Lと同程度以上の寸法になる。すなわち、直径寸法dが略0.2mmとなる細孔を形成する場合、前記各薄肉部42,43は、その壁厚寸法Lを略0.2mmにする必要がある。この場合、前記各薄肉部42,43は、衝撃などに対する強度が弱くなり、結果として、バルブ装置10が破損しやすくなる。しかし、レーザ加工を施す場合では、各薄肉部42,43には、その壁厚寸法Lが略0.4mmであっても、直径寸法dが略0.2mmとなる細孔44,45を形成することができる。すなわち、細孔44,45の直径寸法dの二倍程度まで薄肉部42,43の壁厚を厚くすることができる。従って、エッチング加工によって細孔を形成するバルブ装置の場合よりも、薄肉部42,43の壁厚を厚くできる分だけ、バルブ本体21全体の強度をより強くすることができる。
(5)出力ポートOPを構成する各細孔44が形成される薄肉部42の周方向における略中央部位には、厚肉部位42aが形成されている。そのため、バルブ本体21は、その周壁21Aに薄肉部42を形成したことによる対衝撃強度の低下を前記厚肉部位42aが補強部として機能することにより良好に抑制することができる。
なお、本実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・前記実施形態において、各細孔44,45は、作動油に混合されている異物の通過を抑制できるのであれば、その直径寸法dが任意の直径寸法(例えば、d=0.3mm)となるように貫設されてもよい。
・前記実施形態において、各細孔44,45は、図7に示すように、各薄肉部42,43に千鳥状をなすように貫設されてもよい。このように構成した場合、薄肉部42,43には、より多くの細孔44,45をそれぞれ形成できる。そのため、入力ポートIPを構成する各細孔45からは、効率良く作動油を外部からバルブ本体21(入力油室36A)内に流入させることができると共に、出力ポートOPを構成する各細孔44からは、効率良く作動油をバルブ本体21(出力油室35A)内から外部へ流出させることができる。また、薄肉部42,43には、各細孔44,45を不規則な配列状態でそれぞれ貫設してもよい。
・前記実施形態において、薄肉部42は、厚肉部位42aが補強部として形成されていない構成であってもよい。逆に、薄肉部43は、周方向の略中央部位に厚肉部位が補強部として形成された構成であってもよい。
・前記実施形態において、各薄肉部42,43は、直径寸法dが略0.2mmとなる細孔44,45を貫設できるのであれば、その壁厚寸法Lが任意の壁厚寸法(例えば、略0.3mm)となるようにそれぞれ形成されてもよい。
・前記実施形態において、各薄肉部42,43には、エキシマレーザや炭酸ガスレーザなどによるレーザ加工によって各細孔44,45をそれぞれに貫設してもよい。また、各薄肉部42,43には、レーザ加工ではなく、エッチング加工によって各細孔44,45を貫設してもよいし、ドリルやパンチなどにより貫設してもよい。
・前記実施形態において、各ドレーン用ポート33,34の形成部位にも底壁部が薄肉状となるポート用溝を形成し、それらのポート用溝の底壁部(すなわち、薄肉部)に複数の細孔を貫設してストレーナ部を一体形成するようにしてもよい。
・前記実施形態において、バルブ装置10は、2つのポート用溝38,39のうち何れか一方の底壁部たる薄肉部(例えば薄肉部42)のみに細孔(例えば細孔44)を貫設し、ストレーナ部を一つの流通ポート(この場合は出力ポートOP)の形成部位にのみ一体形成するようにした構成であってもよい。この場合、他方のポート用溝39は底壁部に細孔44よりも十分に太径の開口を貫設し、バルブ本体21とは別体で形成したストレーナを当該ポート用溝39に嵌合組み付けすることが望ましい。
・前記実施形態において、バルブ本体21とは予め別体構成とされた濾過機能を有するストレーナ(ストレーナ部)をバルブ装置10の製造時にバルブ本体21の周壁21Aに溶接することで一体形成してもよい。すなわち、バルブ本体21の周壁21Aにおける各ポート用溝38,39には、それら各底壁部にバルブ本体21の内外間に亘る作動油の流通を可能とする太径の開口を形成する。そして、流通ポートを構成する各ポート用溝38,39には、ストレーナをそれぞれ組み付けて、当該各ストレーナを周壁21A(各ポート用溝38,39の内側壁)に溶接する。このように構成することにより、バルブ本体21にストレーナ(ストレーナ部)を一体形成することも可能である。
本実施形態におけるバルブ装置の一部切欠概略断面図。 図1における2−2線矢視断面図。 図1における3−3線矢視図、及びその一部拡大図。 図1における4−4線矢視断面図、及びその一部拡大断面図。 図1における5−5線矢視断面図。 図1における6−6線矢視断面図。 別例の各薄肉部における各細孔の配置態様を示す平面図、及びその一部拡大図。
符号の説明
10…バルブ装置、21…バルブ本体、21A…周壁、22…スプール、38…ポート用溝(出力ポート、流通ポート)、39…ポート用溝(入力ポート、流通ポート)、42…薄肉部(ストレーナ部、出力ポート、流通ポート)、43…薄肉部(ストレーナ部、入力ポート、流通ポート)、44…細孔(出力ポート、流通ポート)、45…細孔(入力ポート、流通ポート)、IP…入力ポート(流通ポート)、L…薄肉部の壁厚寸法(薄肉部の壁厚)、OP…出力ポート(流通ポート)。

Claims (5)

  1. 磁気駆動装置を構成するソレノイド部と、該ソレノイド部の駆動に基づいて油圧を制御する調圧部とから構成され、自動変速機の油圧制御装置に取り付けられて使用されるリニアソレノイド型のバルブ装置において、
    前記調圧部は、筒状をなすバルブ本体と、該バルブ本体内に形成されたバルブ孔内を軸方向に摺動するスプールとを備え、
    前記バルブ本体の周壁には、該バルブ本体の内外間に亘る作動油流入を可能とする入力ポートと、該バルブ本体の内外間に亘る作動油の流出を可能とする出力ポートと、該出力ポートから前記バルブ本体外に流出した作動油の一部をフィードバック油室に流入させるフィードバック油路用溝が形成され、
    前記バルブ本体の周壁には、断面略扇形状をなすようにポート用溝が形成されると共に、前記ポート用溝の底壁部には複数の細孔が貫設され、
    前記入力ポート及び出力ポートは、それぞれ前記底壁部及び前記複数の細孔を含んで構成され、
    前記複数の細孔は、前記ポート用溝側と前記バルブ孔側とを連通していることを特徴とするバルブ装置。
  2. 前記ポート用溝の底壁部は、前記周壁における前記ポート用溝の非形成部位よりも壁厚が薄肉状となる薄肉部として形成されている請求項1に記載のバルブ装置。
  3. 前記入力ポート及び出力ポートは、前記ポート用溝と、該ポート用溝の底壁部である薄肉部と、前記底壁部に形成された前記複数の細孔とにより構成されると共に、前記バルブ本体の内外間に亘る作動油の流通を可能とする請求項2に記載のバルブ装置。
  4. 前記出力ポートを構成する薄肉部の周方向略中央部分には、厚肉部位が形成されている請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のバルブ装置。
  5. 前記各細孔は、レーザ加工により貫設されている請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のバルブ装置。
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