JP6169452B2 - 圧力流体制御装置 - Google Patents

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本発明は、スプール弁と電磁弁とが弁本体に設けられて構成される圧力流体制御装置に関する。
入力ポート、出力ポート及び解放ポートが形成されたスプール弁と、電磁弁とを同一のボディに取り付けた圧力流体制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、スプール弁の出力ポートが入力ポート又は解放ポートのいずれかに選択的に連通する。すなわち、出力ポートは、入力ポートに連通しているときには解放ポートとは非連通(連通遮断)状態となり、一方、解放ポートに連通しているときには入力ポートとは非連通状態となる。
上記の切り替えは、前記電磁弁の作用下に行われる。すなわち、スプール弁には、電磁弁の出口ポートに連通するパイロット室が形成されている。電磁弁が閉状態であるときには、入力ポートから入力された圧力流体が前記パイロット室に流通することがなく、出力ポートと解放ポートが連通状態となる。
これに対し、電磁弁が開くと、入力ポートから入力された圧力流体が電磁弁の出口ポートを経由して前記パイロット室に流通する。この圧力流体によって押圧されたスプールが変位することにより、解放ポートと出力ポートの連通が遮断されるとともに、入力ポートと出力ポートが連通する。
圧力流体制御装置は、以上のように動作することにより、圧力流体の圧力を制御する機能を営む。
特開2003−156173号公報
特許文献1の図1に示されるように、電磁弁は、スプール弁が設けられるボディとは別体のボディを有する。以下、説明の便宜のために前者を第1ボディ、後者を第2ボディと表記すると、電磁弁は、第1ボディに形成された収納孔に第2ボディが圧入されることで第1ボディに取り付けられている。
この場合、収納孔の内径を、第2ボディを圧入することが可能な大きさとする必要がある。そして、第1ボディは、内径が大きな収納孔を形成したことに伴って剛性が低下しないように厚肉とする必要がある。以上のような理由から、この種の圧力流体制御装置の小型軽量化を図ることは容易ではない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、電磁弁及びスプール弁を設けるボディ(弁本体)の肉厚を小さくし得、これにより小型軽量化を図り得る圧力流体制御装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、弾発部材によってパイロット室に指向して弾発付勢されたスプールを有するスプール弁と、前記スプール弁の入力ポートと前記パイロット室とを連通状態又は連通遮断状態に切り換える電磁弁と、前記スプール弁及び前記電磁弁が設けられた弁本体とを有する圧力流体制御装置において、
前記電磁弁は、弁体が着座する弁座がそれぞれ設けられた第1弁座部材及び第2弁座部材を有するとともに、前記第1弁座部材の圧入孔に対して前記第2弁座部材が圧入されることで構成される組立体と、
前記弁体に対して押圧力を付与する弁棒と、
ボビンに電磁コイルが巻回されてなるボビンコイルを含み、前記弁棒を変位させるためのソレノイド部と、
前記ボビンコイルを収容するハウジングと、
前記ハウジングが係止されるとともに、前記弁本体に装着されて位置決め固定される固定コア部材と、
を具備し、
前記弁本体には、前記弁棒が通る収納孔が形成され、
前記固定コア部材は、前記収納孔に圧入される円筒部と、該円筒部に比して大径であり且つ前記ハウジングが装着されるフランジ部とを有するとともに、前記弁棒が通される挿通孔が形成され、
前記収納孔には、内径が相違することで第1環状段部及び第2環状段部が形成され、
前記第1環状段部によって前記組立体が堰止されるとともに、前記第2環状段部によって前記固定コア部材の前記円筒部が堰止されることで、前記電磁弁が前記弁本体に対して装着されていることを特徴とする。
すなわち、本発明においては、スプール弁を設けた弁本体の収納孔に、電磁弁を構成する組立体と固定コア部材を圧入するとともに、該固定コア部材にハウジングを装着するようにしている。このような構成とすることにより、電磁弁に、前記弁本体とは別個の弁本体を設ける必要がなくなる。換言すれば、圧力流体制御装置の弁本体の収納孔に対し、電磁弁を構成する弁本体を挿入する必要がない。
この分だけ、圧力流体制御装置の弁本体に形成する収納孔の直径を小さくすることができる。また、収納孔の直径が小さくなるために弁本体の剛性が大きくなる。以上のような理由から、弁本体の肉厚を小さくし得、その結果として、圧力流体制御装置の小型軽量化を図ることができる。
加えて、本発明では、従来技術において設けられていた、電磁弁を構成するための弁本体が不要である。このため、コストの低廉化を図ることができる。
その上、この構成では、固定コア部材を収納孔に圧入することによって電磁弁を弁本体に装着することができる。換言すれば、従来技術のようにハウジングに溶接されたステーを用いることなく電磁弁を装着することが可能である。この結果、ハウジングへのステーの溶接工程が削減されるので、従来技術に比してコストの低廉化を図ることができる。さらに、ハウジングに溶接されたステー、すなわち、汎用性の低い専用部品を用いることがないので、電磁弁の装着に対する汎用性を向上することが可能となる。
また、この構成では、第1環状段部及び第2環状段部の位置を管理することにより、組立体と固定コア部材の収納孔への圧入深さが適切量となる。このことから、弁棒のストローク量が精度よく設定される。
圧力流体制御装置は、前記固定コア部材の前記円筒部に環状溝が形成されるとともに、該固定コア部材の前記挿通孔に圧入されて前記弁棒を支持する軸受をさらに備えるものであることが好ましい。この場合、前記軸受の前記挿通孔に対する嵌合箇所を、前記環状溝よりも前記フランジ部側に偏倚するとよい。
例えば、軸受が挿通孔の内径の設計寸法よりも大きいときには、環状溝が形成された部位(シール部材装着部位)が他の部位に比して薄肉であるため、軸受が挿通孔に圧入されることに伴って固定コア部材の円筒部が挿通孔の内壁側から押圧され、その結果として、シール部材装着部位が拡径(変形)する懸念がある。しかしながら、上記の構成では、軸受が環状溝を越えて圧入されることがない。従って、シール部材装着部位が変形することが回避される。このため、弁本体と固定コア部材との間のシールが保たれる。
また、環状溝を越えて軸受を圧入する従来技術では、シール部材装着部位の変形を抑制するべく固定コア部材の円筒部の肉厚を大きくするようにしているが、上述した構成によればシール部材装着部位が変形する懸念を払拭し得るので、円筒部の肉厚を小さくすることができる。これにより固定コア部材、ひいては圧力流体制御装置の一層の小型軽量化を図ることができる。
そして、ハウジングを弁本体から抜け防止するためのステーが、ネジを介して前記弁本体に連結されていることが好ましい。これにより、電磁弁の抜け防止(フェイルセーフ機能)がなされる。ステーでスプール弁側を併せて覆うようにすれば、スプール弁の抜け防止(フェイルセーフ機能)ともなる。
ここで、電磁弁は、ソレノイド部が、前記弁体を前記弁座に対して着座又は離間させるために前記ハウジング内で変位する可動コア部材と、前記ハウジングの内部で位置決めされた第2の固定コア部材とをさらに有するものであり、且つ前記第2の固定コア部材が、前記ボビンの端面と、前記ハウジングの端面との間に介在する介在部と、前記介在部から突出して前記可動コア部材とともに前記ボビンの貫通孔に挿入されるコア部とを有するものであることが好ましい。
従来技術に係る電磁弁では、中実の固定コアがハウジングと一体的に形成されるが、上記の構成においては、第2の固定コア部材のコア部がハウジングの端面から離間するので、第2の固定コア部材のコア部とハウジングの端面との間に中空部が形成される。この分、従来技術に係る電磁弁に比して軽量化を図ることが可能となる。
しかも、ハウジングと一体的な固定コア部を設ける必要がないので、ハウジング及び第2の固定コア部材の各々の形状が簡素となる。従って、ハウジング及び第2の固定コア部材を、例えば、薄肉の素材からプレス加工によって個別に作製することができる。すなわち、鍛造加工装置に比して設備投資が低廉なプレス加工装置を選定することができる上、ハウジング及び第2の固定コア部材を薄肉のものとして得ることができる。以上のような理由から、コストの低廉化を図ることができるとともに、電磁弁の小型軽量化を図ることができる。勿論、これに伴って圧力流体制御装置の小型軽量化が図られる。
ここで、第2の固定コア部材の前記介在部は、前記ハウジングからボビンコイルを離脱したときに第2の固定コア部材がハウジングから取り外し自在となるように、ハウジングの端面に当接するのみであることが好ましい。換言すれば、第2の固定コア部材をハウジングに連結させたり、ハウジングに圧入したりする必要は特にない。この分、ソレノイドバルブの組立作業が簡便且つ容易となり、組立効率が向上する。
本発明によれば、スプール弁を設けた弁本体の収納孔に、電磁弁を構成する組立体と固定コア部材を圧入するとともに、該固定コア部材にハウジングを装着するようにしているので、電磁弁に、前記弁本体とは別個の弁本体を設ける必要がない。このため、前記弁本体に形成する収納孔の直径を小さくすることができる。これに伴って弁本体の剛性が大きくなるので、弁本体の肉厚を小さくすることが可能である。
以上のような理由から、弁本体の肉厚を小さくし得える。従って、圧力流体制御装置の小型軽量化を図ることができる。
また、上記構成では、固定コア部材を収納孔に圧入することによって電磁弁を弁本体に装着するようにしたので、ハウジングに溶接されたステー(従来技術)を用いる必要がない。この結果、コストの低廉化を図ることができるとともに、電磁弁の装着に対する汎用性を向上することが可能となる。
しかも、上記構成では、第1環状段部及び第2環状段部の位置を管理することにより、組立体と固定コア部材の収納孔への圧入深さを適切量に調整することができる。このことから、弁棒のストローク量を精度よく制御することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る圧力流体制御装置において、スプール弁及び電磁弁の双方が閉状態にあるときの概略全体縦断面図である。 前記電磁弁を構成する第1弁座部材、第2弁座部材及び弁体(ボール)等を拡大して示した要部拡大断面図である。 前記電磁弁を構成するハウジングと、該ハウジングの大径部を覆うためのステーの概略平面図である。 前記ハウジング及び前記ステーの概略斜視図である。 前記電磁弁を構成するハウジングと第2の固定コア部材の分解斜視図である。 前記スプール弁及び前記電磁弁の双方が開状態にあるときの概略全体縦断面図である。
以下、本発明に係る圧力流体制御装置につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下、図1を参照した説明における「下方」、「上方」は、図1における下方、上方を意味するものとする。図2及び図6においても同様である。
図1は、本実施の形態に係る圧力流体制御装置10の通電前(通電停止時)における概略全体縦断面図である。この圧力流体制御装置10は、自動車に搭載されるエンジンの動弁装置(いずれも図示せず)の作動特性を変更するためのものであり、スプール弁12と、電磁弁14と、これらスプール弁12及び電磁弁14を設けた弁本体16とを有する。
弁本体16には、摺動孔18及び収納孔20が形成され、開口上端がプラグ22で閉塞された摺動孔18にスプール弁12が設けられるとともに、収納孔20に電磁弁14が設けられる。
先ず、スプール弁12につき説明する。スプール弁12は、摺動孔18に連通する入力ポート24、第1出力ポート26、第2出力ポート28及び解放ポート30が弁本体16に形成されるとともに、スプール32が摺動孔18に摺動可能に収容されることで構成される。圧力流体が導入される入力ポート24には、フィルタ34が設置される。
スプール32は、下方側底面から軸線方向に沿って延在するとともに内室36が形成された長尺な中空体であり、内室36に連なる大径な下方中空部はスプリング室38となる。一方、摺動孔18の底部には、摺動孔18に比して小径な着座室40が陥没形成され、スプリング室38及び着座室40に第1リターンスプリング42(弾発部材)が収容される。
勿論、該第1リターンスプリング42の下端は着座室40に着座し、上端はスプリング室38の内壁に当接している。このため、スプール32は、第1リターンスプリング42の作用下にプラグ22側に向かって弾発付勢されている。スプール32の大径下端部には、外壁からスプリング室38の内壁に至る第1横孔44が複数個(例えば、4個)、互いに略等間隔で離間するようにして貫通形成される。
なお、摺動孔18の底部は、後述するように、スプール32を堰止するストッパ部として機能する。
スプール32の側壁には、第1環状凹部46、第2環状凹部48が直径方向内方に向かうようにして陥没形成される。第1環状凹部46は入力ポート24に臨み、第2環状凹部48は解放ポート30に臨む。第2環状凹部48の底壁からは、内室36の内壁まで到達した第2横孔50が形成される。
スプール32の上端部は、下端部に比して小径で中実な円柱状突部をなす。摺動孔18は、この円柱状突部の周囲とプラグ22によって形成されるパイロット室52を含む。
上記したように、摺動孔18の開口上端は、圧入されたプラグ22によって閉塞される。プラグ22と摺動孔18の内壁との間は、第1Oリング54によってシールされる。
一方、電磁弁14は、収納孔20に収容された組立体60と、磁性体からなり収納孔20の開口近傍に装着された第1固定コア部材62(固定コア部材)とを有する。すなわち、収納孔20内には、下端側から上端側に内径が順次拡径されることで第1環状段部64、第2環状段部66が形成されており、前記組立体60が第1環状段部64に堰止されるとともに、第1固定コア部材62が第2環状段部66に堰止されている。第1固定コア部材62には、ソレノイド部68の大部分を収容したハウジング70が係止される。
組立体60につき説明すると、図2に拡大して示すように、該組立体60は、第1弁座部材72と第2弁座部材74からなる。具体的には、第1弁座部材72には、その長手方向に沿って、挿入口76、圧入孔78、弁孔80、絞り孔81及びドレン孔82が下端部側からこの順序で連なるようにして形成される。この中の圧入孔78には、略円筒体形状をなし、上端部に第1弁座84が設けられた第2弁座部材74が圧入される。
第2弁座部材74には、挿入口76に連通する入口ポート88が形成される。従って、入口ポート88には弁孔80が連なる。該弁孔80には、弁体としてのボール90が収容される。さらに、第2弁座部材74においては、弁孔80の内壁から外壁に至る横孔92が貫通形成され、該横孔92の外壁における開口が出口ポート94となる。すなわち、弁孔80は、出口ポート94に連通する。さらに、出口ポート94の上方には排出ポート95(図1参照)が形成される。
弁孔80からドレン孔82に至る途中の内壁は絞り孔81によって小径となるように絞られており、これにより、第1弁座部材72の上端部に第2弁座96が設けられている。後述するように、ボール90は、第1弁座84又は第2弁座96のいずれかに着座する。
ドレン孔82は、第2弁座96から上方に向かうにつれてテーパー状に拡開する。このドレン孔82により、弁孔80が収納孔20に連通する。
収納孔20には、弁棒98が挿入される(図1参照)。この弁棒98は、最も小径な当接部100、最も大径な長尺部102、該長尺部102に比して若干小径な係合部104からなる。
この中の当接部100は、その下端部がドレン孔82及び絞り孔81を通って弁孔80に進入し、先端面がボール90に当接する。後述するように、弁棒98がボール90に対して押圧力を付与することにより、該ボール90が第2弁座96から第1弁座84に向かって変位する。
弁棒98は、軸受106と、ソレノイド部68を構成する可動コア部材108とで保持(支持)されている。すなわち、先ず、軸受106は、小径且つ長尺な案内部110と、前記案内部110に比して大径な円盤形状部112とを有する。
円盤形状部112は、第1固定コア部材62の挿通孔113の内壁に形成された第3環状段部114によって堰止される。なお、第3環状段部114は、環状溝116よりも上方、すなわち、ソレノイド部68及びハウジング70側に近接する(偏倚する)位置に設けられている。
案内部110から円盤形状部112にかけては案内孔118が貫通形成され、弁棒98は、この案内孔118に摺動自在に通されている。また、円盤形状部112には、弁本体16の軸線方向に沿って延在する図示しない呼吸孔が形成される。この呼吸孔により、ボビン120の貫通孔122と収納孔20が連通する。
一方、可動コア部材108には保持孔124及びスプリング孔126が下方からこの順序で形成され、この中の保持孔124に、弁棒98の長尺部102の上端が圧入されている。この圧入に伴って弁棒98が可動コア部材108に保持され、従って、可動コア部材108の変位に追従して弁棒98が変位する。
スプリング孔126には第2リターンスプリング128が収容され、該第2リターンスプリング128の下端の内部には、弁棒98の係合部104が挿入される。この挿入により、第2リターンスプリング128の下端が係合部104、すなわち、弁棒98に係合される。
前記第2リターンスプリング128の上端は、ソレノイド部68を構成する第2固定コア部材130(第2の固定コア部材)に着座している。この点については、後述する。
ここで、ソレノイド部68につき説明する。ソレノイド部68は、前記第1固定コア部材62、前記可動コア部材108及び前記第2固定コア部材130の他、ボビン120に電磁コイル132が巻回されてなるボビンコイル134を有する。
この中の第1固定コア部材62は、収納孔20に圧入される円筒部136と、該円筒部136に比して大径なフランジ部138と、円筒部136の軸線方向に沿って突出した円環状突部140を下方からこの順序で有する。円筒部136における環状溝116よりも下方は、該環状溝116の上方に比して若干小径に設定された小径部位である。このように構成される第1固定コア部材62には、上記したように、前記軸受106を介して前記弁棒98を通すための挿通孔113が軸線方向に沿って貫通形成される。
円筒部136の外壁には環状溝116が形成され、該環状溝116には環状シール部材142が装着される。これにより、弁本体16と第1固定コア部材62との間のシールがなされている。また、円筒部136の内壁には前記第3環状段部114が形成され、この第3環状段部114によって、軸受106が堰止されている。
前記フランジ部138は、環状シール部材142よりも上方、すなわち、ソレノイド部68及びハウジング70に近接する側に、直径方向外方に向かって環状に突出するように設けられる。前記円環状突部140は、フランジ部138の上端部から弁本体16の軸線方向に沿って突出する。
ボビン120は、カプラ部144とともに一体成形された樹脂製のコイルモールド体146が装着された状態で、第1固定コア部材62のフランジ部138の上方に配置される。フランジ部138とボビン120との間には、第2Oリング148が介在される。
第2Oリング148は、ボビン120から押圧されることで断面が略三角形状となるように圧潰される。圧潰によって形成された三角形の短辺に相当する2面の各々は、フランジ部138の上端面と、円環状突部140の側壁に臨む。一方、長辺(底辺)に相当する傾斜面は、ボビン120に臨む。
また、ボビン120の下端部には、上方に向かうに従って内壁がテーパー状に縮径するテーパー孔150が形成されている。すなわち、該テーパー孔150の内壁は傾斜面である。
テーパー孔150の内壁のテーパー角は、圧潰によって第2Oリング148に形成された傾斜面の傾斜角に対応する。すなわち、第2Oリング148には、ボビン120と弁本体16から押圧されることで、テーパー孔150の内壁に当接する傾斜面が形成される。第2Oリング148は、この当接によって弁本体16とボビンコイル134との間をシールしている。
また、ボビン120には、上記したようにその長手方向に沿って貫通孔122が形成され、該貫通孔122の軸線は、収納孔20の軸線と一致する。すなわち、該貫通孔122は収納孔20に連なる。
貫通孔122の下方には、可動コア部材108が挿入される。可動コア部材108の側壁と、貫通孔122の内壁との間には所定のクリアランス(遊び)が形成される。また、貫通孔122の上方には、前記第2固定コア部材130の一部が挿入される。
すなわち、第2固定コア部材130は、円環状の介在部152と、該介在部152から円筒形状に突出するようにして形成されたコア部154とを有する。この中の介在部152は、ボビン120の上端面とハウジング70の天井壁の内面(天井面)に挟持される。
その一方で、コア部154がボビン120の貫通孔122に挿入されている。このため、コア部154はハウジング70の天井面から離間しており、従って、コア部154とハウジング70の間は空間、換言すれば、中空部である。そして、第2リターンスプリング128の上端面は、コア部154の下端面に着座している。
第2固定コア部材130はハウジング70内に単に挿入されているのみであり、ハウジング70やボビン120に連結されていない。すなわち、第2固定コア部材130は非拘束の状態である。このため、例えば、ハウジング70から第1固定コア部材62を離脱させ、さらに、ハウジング70からボビンコイル134を取り出してハウジング70の開口を下方に向けると、重力の作用のみで第2固定コア部材130をハウジング70から容易に取り出すことができる。
ボビン120の上端面には環状の収容溝156が陥没形成され、該収容溝156には第3Oリング158が収容される。従って、第3Oリング158は、ボビン120とハウジング70との間に介在する。
ハウジング70の開口近傍の内壁には、該内壁の周回方向に沿って延在する環状凹部160が形成される。第1固定コア部材62のフランジ部138が環状凹部160に圧入されることにより、ハウジング70が第1固定コア部材62に係止(装着)される。
また、ハウジング70の開口近傍に形成された切欠162からは、コイルモールド体146のカプラ部144が突出する。該カプラ部144の内部には、導通体からなるターミナル164が設けられる。該ターミナル164には、図示しない電気供給源から電流が供給される。
以上の構成において、弁本体16には、スプール弁12から電磁弁14へ、又はその逆方向に圧力流体を流通させるための流通路が設けられる。具体的には、スプール弁12の入力ポート24と電磁弁14の入口ポート88を連通する入力連通路166、電磁弁14の出口ポート94とスプール弁12のパイロット室52とを連通する出力連通路168、電磁弁14の排出ポート95とスプール弁12の解放ポート30とを連通する解放連通路170である。
電磁弁14は、第1固定コア部材62を収納孔20に圧入することによって弁本体16に位置決め固定される。
図3及び図4に示すように、取付ステー172は、ハウジング70の環状凹部160の外壁に対応する大径部174を、該大径部174の半周を若干超える程度に覆うとともに、ネジ176を介して弁本体16に連結されている(図1参照)。勿論、弁本体16には、前記ネジ176を螺合するためのネジ穴178が形成されるとともに、取付ステー172には、前記ネジ176を通すための通し孔180が形成される。
なお、大径部174と、該大径部174を覆う取付ステー172との間には、若干の隙間が形成される(図1及び図6参照)。
取付ステー172は、例えば、プラグ22をも覆うようにして弁本体16に位置決め固定されている。なお、ハウジング70における切欠162が形成された側は、取付ステー172に覆われていない。
本実施の形態に係る圧力流体制御装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果について説明する。
従来技術に係る圧力流体制御装置においては、電磁弁を構成するハウジングとして、天井面に固定コアが一体的に連なったものを鍛造加工によって成形する必要がある。しかも、固定コアに対し、所定の突出長とするための切削加工や、リターンスプリングの一部を挿入するための収容穴を形成する穿孔加工を行う必要がある。すなわち、ハウジングを得るまでに多工程が必要であり、このためにコスト高であるとともに煩雑である。
一方、本実施の形態に係る圧力流体制御装置10を構成する電磁弁14では、ハウジング70と第2固定コア部材130が別個の部材であり、しかも、各々は簡素な形状である。従って、ハウジング70及び第2固定コア部材130をプレス加工(例えば、深絞りプレス加工)によって個別に得ることができる。すなわち、鍛造加工装置に比して設備投資が低廉なプレス加工装置を選定することができるので、コストの低廉化を図ることができる。
しかも、プレス加工によれば、比較的薄肉の素材から成形品を得ることが可能である。このため、ハウジング70及び第2固定コア部材130を薄肉のものとして得ることができるので、電磁弁14の小型軽量化を図ることができる。
加えて、コア部154に対して切削加工や穿孔加工を行う必要もない。このため、ハウジング70及び第2固定コア部材130を得るまでの工程数が低減する。このことによっても、コストが低廉化する。
以上のようにしてハウジング70及び第2固定コア部材130を得た後、ハウジング70内に第2固定コア部材130を挿入する。具体的には、図5に示すように、ハウジング70の天井壁を下方に向け、開口から第2固定コア部材130を進入させる。第2固定コア部材130の介在部152の外径はハウジング70の内径に略対応し、若干小さい程度である。このため、第2固定コア部材130は、ハウジング70の軸線方向に対して傾くことなく、ハウジング70の天井壁の内面に向かって容易に移動する。
介在部152が天井面に当接することに伴い、第2固定コア部材130がハウジング70の内部で位置決めされる。上記したように第2固定コア部材130の介在部152の外径がハウジング70の内径に略対応しているので、第2固定コア部材130がハウジング70内で移動する余地がないからである。
このように、本実施の形態では、ハウジング70に対して第2固定コア部材130を圧入することも、連結する(拘束状態とする)こともしていない。従って、組立作業が簡便となり、その分、作業時間が短縮される。結局、電磁弁14を効率よく組み立てることができる。
第2固定コア部材130がハウジング70に挿入されると、介在部152の上端面(図5における下方側の端面)のみがハウジング70の天井面に当接し、コア部154はハウジング70の天井面から離間する。従って、ハウジング70の天井面とコア部154に囲繞された中空部が形成される。このため、固定コアが一体的に設けられたハウジング70に比して重量が小さくなる。このことも、電磁弁14の軽量化に寄与する。
次に、ハウジング70内に、コイルモールド体146が装着されたボビンコイル134を挿入する。このとき、第2固定コア部材130のコア部154はボビン120の貫通孔122に進入する。この進入に伴い、ボビンコイル134がコア部154に案内される。すなわち、ボビンコイル134がハウジング70内で位置ズレを起こすことが回避され、所定の位置に円滑に到達する。この際、第3Oリング158が第2固定コア部材130の介在部152に当接する。
その一方で、可動コア部材108の保持孔124に対し、弁棒98を係合部104側から挿入する。弁棒98の長尺部102の直径が、保持孔124の内径よりも若干大であるので、長尺部102の保持孔124への挿入は圧入となる。
次に、可動コア部材108のスプリング孔126に第2リターンスプリング128を挿入し、その一端(図1における下端)の内部に、弁棒98の係合部104を挿入する。これにより第2リターンスプリング128が弁棒98に係止されるとともに、他端(図1における上端)がスプリング孔126から露呈する。
また、第1固定コア部材62の挿通孔113に軸受106を挿入する。軸受106の円盤形状部112の外径は、挿通孔113の、フランジ部138よりも下方に対応する箇所から第3環状段部114に至るまでの内径よりも若干大であり、このため、円盤形状部112の挿通孔113に対する挿入は圧入となる。軸受106の圧入は、円盤形状部112が第3環状段部114に堰止されることで終了する。
第3環状段部114は、環状溝116の上方、すなわち、ソレノイド部68及びハウジング70側に偏倚する位置に設けられている。このため、円盤形状部112の圧入箇所(嵌合箇所)も環状溝116の上方となる。換言すれば、環状溝116が形成された位置、すなわち、環状シール部材142の装着部まで円盤形状部112が圧入されることはない。
従って、例えば、円盤形状部112の外壁が挿通孔113の内径の設計寸法に比して大きい軸受106を挿通孔113に圧入するような場合であっても、環状溝116が形成された近傍が直径方向外方に向かって膨出することがない。このため、環状溝116が形成された近傍が膨出することを回避するべく、円筒部136の肉厚を大きくする必要もない。
以上のように、第1固定コア部材62における軸受106(円盤形状部112)の圧入箇所(嵌合箇所)を、前記環状溝116よりもソレノイド部68及びハウジング70側に偏倚する位置としたことにより、軸受106の挿通孔113への圧入に伴って第1固定コア部材62が変形することを回避することができる。このために第1固定コア部材62の肉厚を大きくする必要がないので、第1固定コア部材62を薄肉化し、これにより電磁弁14の小型軽量化を図ることが可能となる。
そして、環状溝116に環状シール部材142を装着するとともに、第2Oリング148をフランジ部138に着座し且つ円環状突部140に沿って周回するように装着する。本実施の形態では、弁本体16に装着するシール部材はこれらの2個で十分である。従って、装着作業が簡素であるとともに、シール部材に要するコストが低廉化する。
次に、弁棒98及び第2リターンスプリング128が組み付けられた可動コア部材108を、ボビン120の貫通孔122に挿入するとともに、弁棒98の長尺部102を、第1固定コア部材62の挿通孔113に圧入された軸受106の案内孔118に通す。
この際には、第1固定コア部材62のフランジ部138がハウジング70の環状凹部160に圧入される。この圧入に伴い、スプリング孔126から露呈した第2リターンスプリング128の他端が、第2固定コア部材130のコア部154の端面に着座する。
また、圧入に際し、ボビン120におけるテーパー孔150の内壁によって第2Oリング148が圧潰される。これに伴って第2Oリング148に形成される傾斜面に対してテーパー孔150の内壁が滑動することにより、第1固定コア部材62とボビンコイル134の芯出し(第1固定コア部材62に対するボビンコイル134のセンタリング)がなされる。すなわち、ボビン120の貫通孔122と、第1固定コア部材62の挿通孔113との位置合わせを容易に行うことができる。
環状凹部160へのフランジ部138の圧入が進行するに伴い、第3Oリング158も徐々に圧潰される。第2Oリング148及び第3Oリング158が弾性体(一般的にはゴム)であるため、第2Oリング148及び第3Oリング158には、元の形状に戻ろうとする弾性復元力、すなわち、弾発力が発現する。
第2Oリング148の弾発力は、ボビン120に付与される。従って、ボビン120はハウジング70の天井面側に押圧される。一方、第3Oリング158の弾発力は、第2固定コア部材130の介在部152に付与される。これにより第2固定コア部材130がハウジング70の天井面側に押圧され、結局、ボビン120の上端面とハウジング70の天井面との間に堅牢に保持される。
このように、第2固定コア部材130をハウジング70等に連結しない場合であっても、第2Oリング148と第3Oリング158の弾発力を付与することによって第2固定コア部材130を保持、換言すれば、ハウジング70内で位置決め固定することができる。
環状凹部160へのフランジ部138の圧入が終了することにより、第1固定コア部材62にハウジング70が装着されるとともに、電磁弁14の主要部であるアクチュエータ部が構成される。
その一方で、弁孔80にボール90が挿入された状態の第1弁座部材72の挿入口76に対し、第2弁座部材74を圧入する。これにより組立体60が構成される。
ここで、第1弁座84は、略円筒体形状をなす第2弁座部材74の上端部に予め設けられている。すなわち、この場合、第1弁座84を第2弁座部材74の内部に設ける必要はない。従って、第1弁座部材72の内部に加工具を挿入する必要はない。勿論、加工中に加工具が第1弁座部材72に干渉することもない。以上のような理由から、第2弁座部材74に対して第1弁座84を容易に形成することができる。
このようにして得られた組立体60を、弁本体16の収納孔20に圧入する。組立体60は、第1弁座部材72の下端面が第1環状段部64に突き当たることで堰止され、これにより位置決め固定される。
次に、上記のようにして得られたアクチュエータ部を弁本体16に組み付ける。すなわち、第1固定コア部材62の円筒部136を、弁本体16の収納孔20に挿入する。円筒部136において、環状溝116よりも上方の外径は、収納孔20の開口近傍(第2環状段部66よりも上方)の内径よりも若干大であるので、この挿入は圧入である。第1固定コア部材62は、円筒部136の前記小径部位の下端面が第2環状段部66に突き当たることで堰止されて位置決め固定される。
以上のようにして第1固定コア部材62が弁本体16に取り付けられることに伴い、電磁弁14が構成される。勿論、弁棒98の当接部100の下端部は、ドレン孔82及び絞り孔81を通って弁孔80に進入する。その後、ターミナル164が図示しない電源に対して電気的に接続される。
以上のように、本実施の形態によれば、収納孔20に対し、組立体60、及びアクチュエータ部(ボビンコイル134及び可動コア部材108を収容したハウジング70が取り付けられた第1固定コア部材62)を圧入することで、電磁弁14を構成することが可能である。すなわち、弁本体16が電磁弁14の弁本体となるので、弁本体16以外に電磁弁14の弁本体(従来技術)を別途設ける必要がない。
必然的に、収納孔20に電磁弁14の弁本体を圧入する必要もない。その分だけ、収納孔20の内径を小さくすることができる。このために弁本体16の剛性が大きくなるので、収納孔20を形成したことに伴って剛性が低下することを回避するべく弁本体16を厚肉とする必要もない。
以上のような理由から、弁本体16、ひいては圧力流体制御装置10の小型軽量化を図ることができる。しかも、電磁弁14の弁本体(従来技術)が不要であるので、コストの低廉化を図ることができる。
さらに、ハウジング70の大径部174を覆うようにして取付ステー172が被せられ、次に、通し孔180に通されたネジ176が弁本体16のネジ穴178に螺合される。取付ステー172は、必要に応じ、プラグ22をも覆う。
通常、取付ステーはハウジングに対して溶接されるが、本実施の形態では、上記の圧入によって電磁弁14を固定することができるため、取付ステー172をハウジング70に対して溶接する必要は特にない。このため、ハウジングに対して取付ステーが溶接された従来技術に比して、ハウジング70への取付ステー172の溶接工程を削減することができる。その分だけ、コストの低廉化を図ることが可能となる。
また、ハウジングに溶接された取付ステー、すなわち、汎用性の低い専門部品を用いることがないので、電磁弁14の弁本体16への装着に対する汎用性を向上することが可能となる。
なお、組立体60が予め圧入された収納孔20に、軸受106が予め圧入された第1固定コア部材62を圧入し、その後、軸受106の案内孔118に、可動コア部材108に組み付けられた弁棒98を通し、さらに、第1固定コア部材62のフランジ部138に、ボビンコイル134を収容したハウジング70を装着するようにしてもよい。
また、軸受106は、これとは逆に、収納孔20に第1固定コア部材62を圧入した後、挿通孔113に圧入するようにしてもよい。すなわち、挿通孔113への軸受106の圧入、収納孔20への第1固定コア部材62の圧入の順序は、順不同である。同様に、第1固定コア部材62への第2Oリング148の装着も、第1固定コア部材62を収納孔20に圧入した後に行うようにしてもよい。
この圧力流体制御装置10は、次のように動作する。
ボビンコイル134を構成する電磁コイル132に通電がなされておらず、パイロット室52に流体圧が加わらないとき、スプール32は、図1に示すように、第1リターンスプリング42の弾発付勢力によってプラグ22側に弾発付勢される。このとき、スプール32の円柱状突部の上端面がプラグ22に当接し、パイロット室52の容積は最小となる。
そして、このときには、スプール32の第1環状凹部46が入力ポート24から第1出力ポート26にわたって延在する位置となる。すなわち、この際、入力ポート24と第1出力ポート26が、第1環状凹部46及び摺動孔18によって形成されるクリアランスを介して連通する。従って、入力ポート24から導入された圧力流体は、前記クリアランスを経由して第1出力ポート26から導出される。圧力流体は、上記したようにエンジンの動弁装置に供給される。
一方、入力ポート24と第2出力ポート28の間はスプール32の大径な下端部で閉塞される。このため、入力ポート24に導入された圧力流体が第2出力ポート28から導出されることはない。
また、第2環状凹部48は、解放ポート30に合致する位置となる。従って、排出ポート95と解放ポート30が解放連通路170及び第2環状凹部48を介して連通する。
電磁弁14では、第2リターンスプリング128が伸張して可動コア部材108及び弁棒98が下死点に位置するとともに、該弁棒98の当接部100の先端面によって押圧されたボール90が第1弁座84に着座する。すなわち、入口ポート88と出口ポート94の連通が遮断された非連通(連通遮断)状態であり、電磁弁14は閉状態である。
なお、この時点では、出口ポート94と収納孔20が、弁孔80、絞り孔81及びドレン孔82を介して連通している。ドレン孔82は、上記したように弁孔80から収納孔20に向かうに従ってテーパー状に拡径するテーパー孔であるので、軸線方向の長さが小さくなる。このため、出口ポート94と収納孔20が連通しているときには、圧力流体に対する抵抗が小さい。
この状態から前記電源を介してターミナル164に電流が供給されることにより、電磁コイル132に通電がなされる。これに伴って、第1固定コア部材62及び第2固定コア部材130の双方が磁化され、その結果、可動コア部材108を引き寄せる電磁力がソレノイド部68に発生する。この電磁力が第2リターンスプリング128の弾発付勢力を上回るため、可動コア部材108は、図6の上方、すなわち、第2固定コア部材130のコア部154側に向かって変位する。
これにより可動コア部材108が上死点に到達するとともに、第2リターンスプリング128が収縮する。この際、ボビン120の貫通孔122内の流体(大気及び作動油)が、軸受106に形成された呼吸孔を通過して収納孔20に導入され、さらに、排出ポート95から解放連通路170、第2環状凹部48、解放ポート30を経て弁本体16の外部に排出される。
弁棒98が可動コア部材108に保持されているため、可動コア部材108が上方に変位することに追従し、弁棒98が案内孔118に案内されながら上方に変位する。その結果、ボール90が弁棒98の押圧力から解放される。
入力ポート24と入口ポート88が入力連通路166を介して連通しているので、入力ポート24から導入された圧力流体は、入口ポート88に予め到達している。そして、上記したようにボール90に対する押圧力が消失しているため、ボール90が圧力流体から押圧されて第1弁座84から離間する。ボール90は、弁孔80内を上方に変位して第2弁座96に着座する。これにより弁孔80と収納孔20の連通が遮断されるとともに、入口ポート88と出口ポート94が弁孔80を介して連通する。すなわち、電磁弁14が開状態となる。
収納孔20を形成する際、第1環状段部64及び第2環状段部66の位置を管理することにより、収納孔20内において、組立体60及び第1固定コア部材62の圧入深さが適切量に調節される。すなわち、組立体60及び第1固定コア部材62が所定の堰止位置(圧入停止位置)に位置決め固定される。このため、閉状態から開状態となるとき、又は、開状態から閉状態となるときの弁棒98の変位量(ストローク量)を精度よく設定することができる。
電磁弁14が開状態となることに伴い、圧力流体が入口ポート88から導入されて弁孔80、出口ポート94を通過し、その後、出力連通路168を経由してスプール弁12のパイロット室52に到達する。従って、パイロット室52内で圧力流体の圧力が上昇し、スプール32がパイロット室52内の圧力流体によって押圧される。この押圧力が第1リターンスプリング42の弾発付勢力を上回ることにより、図6に示すように、スプール32が下方に向かって変位(下降)する。スプール32は、下端面が摺動孔18の底部(ストッパ部)に当接することで停止する。
これにより、第1環状凹部46と摺動孔18の内壁との間に、入力ポート24から第2出力ポート28に至るクリアランスが形成される。すなわち、入力ポート24と第2出力ポート28が前記クリアランスを介して連通する。従って、入力ポート24から導入された圧力流体は、一部が上記したように電磁弁14の入口ポート88に向かうとともに、残部が第2出力ポート28から弁本体16の外部に導出される。
その一方で、入力ポート24と第1出力ポート26の間はスプール32の大径な中腹部で閉塞される。このため、入力ポート24に導入された圧力流体が第1出力ポート26から導出されることはない。
以上のように、電磁コイル132に対して通電・通電停止を行うことにより、入力ポート24に連通する出力ポートを、第2出力ポート28又は第1出力ポート26のいずれか一方に設定することができる。
適切な量の圧力流体が流通した後、前記電源からターミナル164への電流供給が停止され、結局、電磁コイル132への通電が停止される。これに伴って、可動コア部材108を引き寄せていた前記電磁力が消失する。従って、第2リターンスプリング128が伸張して可動コア部材108を弾発付勢する。
このため、該可動コア部材108と弁棒98が下方に変位し、最終的に下死点に位置する。この際、収納孔20内の流体(大気及び作動油)が、呼吸孔を介してボビン120の貫通孔122内に導入される。
また、案内孔118に案内されながら下方に変位する弁棒98の当接部100の先端面によってボール90が押圧され、第2弁座96から離間して第1弁座84に着座する。その結果、図1に示す状態、すなわち、電磁弁14の入口ポート88と出口ポート94の連通が遮断された非連通状態に戻り、電磁弁14が閉状態となる。これにより、上記と同様に入力ポート24が第1出力ポート26に連通する。
この際、弁孔80と収納孔20が連通しているときの圧力流体に対する抵抗が小さいので、電磁弁14が開状態から閉状態となるまでの時間が短い。すなわち、ドレン孔82をテーパー孔としたことにより、開状態から閉状態とする応答速度が向上する。
以上のようにして圧力流体が制御されている間、取付ステー172によって電磁弁14及びプラグ22の抜け防止(フェイルセーフ機能)がなされる。すなわち、本実施の形態によれば、ネジ穴178に対してネジ176を螺合するという簡素な作業を行うことによって、スプール32が摺動孔18から露呈したり、第1固定コア部材62と収納孔20の内壁との間のシール性が低下したりすることを回避することができる。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、ハウジング70と別体の第2固定コア部材130を設ける必要は特になく、天井面から延在する固定コア部を一体的に有するハウジングを用いるようにしてもよい。
また、ハウジング70の大径部174と、該大径部174を覆う取付ステー172との間に隙間が形成されるようにしているが、隙間が形成されることなく互いが当接するようにして、取付ステー172によって大径部174を固定するようにしてもよい。この場合、取付ステー172は、抜け防止機能と固定機能の双方を兼ね備えることになる。
10…圧力流体制御装置 12…スプール弁
14…電磁弁 16…弁本体
18…摺動孔 20…収納孔
22…プラグ 24…入力ポート
26…第1出力ポート 28…第2出力ポート
30…解放ポート 32…スプール
42…第1リターンスプリング 46…第1環状凹部
48…第2環状凹部 52…パイロット室
60…組立体 62…第1固定コア部材
64…第1環状段部 66…第2環状段部
68…ソレノイド部 70…ハウジング
72…第1弁座部材 74…第2弁座部材
76…挿入口 78…圧入孔
80…弁孔 82…ドレン孔
84…第1弁座 88…入口ポート
90…ボール 92…横孔
94…出口ポート 95…排出ポート
96…第2弁座 98…弁棒
106…軸受 108…可動コア部材
110…案内部 112…円盤形状部
113…挿通孔 114…第3環状段部
116…環状溝 118…案内孔
120…ボビン 122…貫通孔
124…保持孔 126…スプリング孔
128…第2リターンスプリング 130…第2固定コア部材
132…電磁コイル 134…ボビンコイル
136…円筒部 138…フランジ部
140…円環状突部 142…環状シール部材
144…カプラ部 146…コイルモールド体
152…介在部 154…コア部
160…環状凹部 164…ターミナル
166…入力連通路 168…出力連通路
170…解放連通路 172…取付ステー
174…大径部 176…ネジ
178…ネジ穴 180…通し孔

Claims (5)

  1. 弾発部材によってパイロット室に指向して弾発付勢されたスプールを有するスプール弁と、前記スプール弁の入力ポートと前記パイロット室とを連通状態又は連通遮断状態に切り換える電磁弁と、前記スプール弁及び前記電磁弁が設けられた弁本体とを有する圧力流体制御装置において、
    前記電磁弁は、弁体が着座する弁座がそれぞれ設けられた第1弁座部材及び第2弁座部材を有するとともに、前記第1弁座部材の圧入孔に対して前記第2弁座部材が圧入されることで構成される組立体と、
    前記弁体に対して押圧力を付与する弁棒と、
    ボビンに電磁コイルが巻回されてなるボビンコイルを含み、前記弁棒を変位させるためのソレノイド部と、
    前記ボビンコイルを収容するハウジングと、
    前記ハウジングが係止されるとともに、前記弁本体に装着されて位置決め固定される固定コア部材と、
    を具備し、
    前記弁本体には、前記弁棒が通る収納孔が形成され、
    前記固定コア部材は、前記収納孔に圧入される円筒部と、該円筒部に比して大径であり且つ前記ハウジングが装着されるフランジ部とを有するとともに、前記弁棒が通される挿通孔が形成され、
    前記収納孔には、内径が相違することで第1環状段部及び第2環状段部が形成され、
    前記第1環状段部によって前記組立体が堰止されるとともに、前記第2環状段部によって前記固定コア部材の前記円筒部が堰止されることで、前記電磁弁が前記弁本体に対して装着されていることを特徴とする圧力流体制御装置。
  2. 請求項1記載の圧力流体制御装置において、前記固定コア部材の前記円筒部に環状溝が形成されるとともに、該固定コア部材の前記挿通孔に圧入されて前記弁棒を支持する軸受をさらに備え、
    前記軸受の前記挿通孔に対する嵌合箇所は、前記環状溝よりも前記フランジ部側に偏倚していることを特徴とする圧力流体制御装置。
  3. 請求項1又は2記載の圧力流体制御装置において、前記ハウジングを前記弁本体から抜け防止するためのステーが、ネジを介して前記弁本体に連結されていることを特徴とする圧力流体制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧力流体制御装置において、前記ソレノイド部は、前記弁体を前記弁座に対して着座又は離間させるために前記ハウジング内で変位する可動コア部材と、前記ハウジングの内部で位置決めされた第2の固定コア部材とをさらに有し、
    前記第2の固定コア部材は、前記ボビンの端面と、前記ハウジングの端面との間に介在する介在部と、前記介在部から突出して前記可動コア部材とともに前記ボビンの貫通孔に挿入されるコア部とを有し、
    前記第2の固定コア部材の前記コア部が、前記ハウジングの前記端面から離間することを特徴とする圧力流体制御装置。
  5. 請求項4記載の圧力流体制御装置において、前記第2の固定コア部材の前記介在部が前記ハウジングの前記端面に当接するのみであり、前記ハウジングから前記ボビンコイルを離脱したときに前記第2の固定コア部材が前記ハウジングから取り外し自在であることを特徴とする圧力流体制御装置。
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