JP4529237B2 - 振動アクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動アクチュエータに関する。より具体的には、本発明は、いわゆる自励振駆動により駆動される振動アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、振動アクチュエータは、2種の圧電素子に、互いの位相が約(π/2)異なるとともに所定の周波数を有する2相の駆動信号(交流電圧)をそれぞれ入力することによって、これらの圧電素子又は圧電素子が装着された弾性体に位相が異なる2つの定在波を励振する。そして、これらの定在波が合成されて弾性体の駆動力取出部に発生した楕円運動を利用して、この駆動力取出部に加圧接触する相対運動部材を摩擦駆動する。この種の振動アクチュエータとして、超音波の振動域を利用した超音波アクチュエータが知られているため、以降の説明ではこの超音波アクチュエータを例にとる。
【0003】
この超音波アクチュエータの一般的な駆動方法として、いわゆる他励振駆動が知られている。この他励振駆動は、超音波アクチュエータを駆動することができる駆動周波数を有する駆動信号を供給する電源(例えば外部発振器及び駆動増幅器)を用いて、振動子をその機械的な共振周波数の近傍の駆動周波数で強制振動をさせる駆動方法であり、各種の制御性に優れている。しかし、この他励振駆動を行うには駆動用の外部発振器及び駆動増幅器が必要になるとともに、超音波アクチュエータの駆動周波数は温度に対して敏感であるために適宜手段による駆動周波数の調整を行う必要がある。このため、他励振駆動では、駆動装置のコストが嵩む。
【0004】
このため、近年、例えば特許第2952815号等により提案されているように、超音波アクチュエータを、いわゆる自励振駆動により駆動することが検討されている。この自励振駆動は、駆動増幅器と超音波アクチュエータとの間に一巡の閉ループを形成し、駆動増幅器及び超音波アクチュエータの共振特性を利用して正帰還をかけて発振器として機能させることによって駆動動作させるものであり、例えば、振動子に振動検出用電極を設けてこの振動検出用電極により得られる信号を利用して正帰還ループを構成して動作させる振動帰還型、あるいはアクチュエータの共振特性をインダクティブ又はキャパシティブ素子として利用する例えばハートレイ型やコルピッツ型の発振器として正帰還をかける。この自励振駆動は、超音波アクチュエータの振動子自体を発振素子の一部として利用するため、温度追尾性が向上して超音波アクチュエータの個体差や環境温度の影響を受け難くなるとともに、駆動装置のコストを低減できる可能性が大きくなる等の特徴を有する。
【0005】
図13は、従来の振動帰還型発振回路を構成した自励振駆動回路1の構成例を示すブロック図である。同図において、符号2は、振動検出用電極2aと駆動用電極2bと接地用電極2cといずれも装着されたPZTなどの電歪素子2dを有する超音波アクチュエータ2を示し、符号3は位相補正回路を示し、符号4は高調波(スプリアス)抑制フィルタを示し、さらに符号5は駆動用増幅器を示している。
【0006】
超音波アクチュエータ2〜駆動用増幅器5の各素子の入出力間の電圧比(増幅率)をそれぞれG1、G2、G3、G4とするとともに、各素子の入出力間の位相差をそれぞれΘ1、Θ2、Θ3、Θ4とすると、この閉ループが発振するための条件は、周知のように、下記▲1▼式及び▲2▼式により規定される。
【0007】
G1・G2・G3・G4≧1 ・・・・・・・▲1▼
Θ1+Θ2+Θ3+Θ4=0° ・・・・・・・▲2▼
このため、位相補正回路3の入出力間の位相差Θ2を適宜調整してこの閉ループの位相差をゼロとすることにより、超音波アクチュエータ2の自励振駆動が行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようにして超音波アクチュエータを自励振駆動すると、以下に列記する課題(i)及び(ii)がある。
【0009】
(i)超音波アクチュエータ2が、例えば、中空円板形状を有するとともにA相の駆動信号、及びA相の駆動信号とは約(π/2)の位相差を有するB相の駆動信号を入力されることによって(R・1)振動及び((1・1))振動を励振する、いわゆる(R・1)((1・1))型超音波アクチュエータである場合、直線移動又は回転移動の方向を変更するためにA相の駆動信号及びB相の駆動信号による駆動力の役割分担を逆転させると、この逆転に伴って動作特性が変動し、方向変更により自励振動作特性も変動する。
【0010】
(ii)この(R・1)((1・1))型超音波アクチュエータには、(R・1)振動及び((1・1))振動以外に種々雑多な多種の他の振動が生じる。このため、これらの他の振動により超音波アクチュエータ2が発振振動してしまうことを防ぐために、位相補正回路3や高調波(スプリアス)抑制フィルタ4を設ける必要がある。このため、この一巡回路の周波数特性が所望の特性から、位相補正回路3や高調波抑制フィルタ4が有する周波数特性に依存度が増した特性に変動してしまう。すなわち、駆動装置全体が位相補正回路3や高調波抑制フィルタ4等が有する温度特性に影響されるようになり、自励振駆動の特徴である温度変化追尾性等が減殺され、その結果、各種の特性が低下する。
【0011】
このように、自励振駆動により超音波アクチュエータを駆動すれば、温度追尾性が向上して超音波アクチュエータの個体差や環境温度の影響を排除し、かつ駆動装置全体のコスト低減を期待できるにもかかわらず、超音波アクチュエータの基本的な制御の一つである、直線移動又は回転方向の変更、さらには移動時の速度制御を行うことが難しくなるという課題があった。
【0012】
本発明の目的は、このような従来の技術が有する課題に鑑み、自励振駆動によっても、基本的な制御の一つである、直線移動又は回転方向の変更、さらには移動時の速度制御を確実に行うことができる、例えば超音波アクチュエータ等の振動アクチュエータを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自励振駆動を行う際に、振動アクチュエータを構成する振動子に装着して用いる振動検出用電極の配置位置を最適化することにより、直線移動又は回転方向の変更、さらには移動時の速度制御を確実に行うことができ、これにより、温度追尾性を向上して超音波アクチュエータの個体差や環境温度の影響を排除し、かつ駆動装置全体のコスト低減を図ることができるという、新規かつ重要な知見に基づくものである。
【0014】
請求項1の発明では、対称伸び振動である第1の振動及び面内屈曲振動である第2の振動を少なくとも発生するとともに、第1の振動又は第2の振動の振幅が、第1の振動及び第2の振動以外の他の振動の振幅よりも大きい位置に形成された振動検出領域を有する振動子と、振動検出領域からの出力を入力部に帰還させることによって、第1の振動又は第2の振動の周波数と略同じ値の周波数を有する駆動信号を振動子へ入力する駆動装置と、第1の振動と第2の振動の合成振動が取り出される駆動力取出部とを備え、振動検出領域は、第2の振動の振幅が第1の振動の振幅より大きい位置であり、かつ、振動子の中心と振動検出領域の中心を結ぶ仮想直線が、振動子の中心と駆動力取出部とを結ぶ仮想直線と交差する位置に形成されていることを特徴とする振動アクチュエータを提供する。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載された振動アクチュエータにおいて、振動子が中空円板形状を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2に記載された振動アクチュエータにおいて、対称伸び振動が(R・1)振動であるとともに、面内屈曲振動が((1・1))振動であることを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された振動アクチュエータにおいて、振動検出領域が、振動子の中心及び駆動力取出部を結ぶ仮想直線と、振動子の中心及び振動検出領域の中心を結ぶ線とのなす角度が、略90度となる位置及び略−90度となる位置のうちの少なくと一方に設けられることを特徴とする。
【0020】
求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された振動アクチュエータにおいて、振動検出領域が、振動子の中心及び駆動力取出部を結ぶ仮想直線を軸に2つ対称的に配置されており、駆動装置が、振動子が発生する駆動力の方向に応じて、2つの振動検出領域のうちの少なくと一方の領域に設けられる振動検出領域からの入力信号を切り換えて用いることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された振動アクチュエータにおいて、振動検出領域が、振動子の外周側に設けられることを特徴とする
さらに、請求項7の発明は、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された振動アクチュエータにおいて、駆動力取出部が、振動子の一方の面に設けられた駆動信号を供給する2つの電極の境界の延長上に設けられたことを特徴とする
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる振動アクチュエータの実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以降の各実施形態の説明では、振動アクチュエータが超音波の振動域を利用した超音波アクチュエータである場合を例にとる。
【0022】
図1は、本実施形態の超音波アクチュエータの構成を示す説明図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は上面図である。
図1(a)及び図1(b)にそれぞれ示すように、本実施形態の超音波アクチュエータは、弾性体11、電気機械変換素子12、電極13及び駆動力取出部14を有する振動子15と、駆動装置16とを有する。以下、本実施形態の超音波アクチュエータのこれらの構成要素について順次説明する。
【0023】
弾性体11は、普通鋼、銅合金さらにはステンレス鋼等の共振先鋭度が大きな材料により中空円板状に形成される。弾性体11の二つの平面には、それぞれ、弾性体11と同様に中空円板状に形成された電気機械変換素子12a、12bが、例えば接着されて装着される。本実施形態では、電気機械変換素子12a、12bとしてPZT(チタンジルコン酸鉛)からなる電歪素子を用いた。
【0024】
電気機械変換素子12aの一方の表面には、例えば銀電極13が装着される。本実施形態では、銀電極13は、A相の駆動信号が入力される駆動用電極13aと、A相の駆動信号に比較して位相が略(π/2)遅れたB相の駆動信号が入力される駆動用電極13bと、振動検出用電極13p,13p’とを有する。
【0025】
一方、電気機械変換素子12bの平面には、図示されていない2枚の駆動用電極13c、13dが装着される。これら2枚の駆動用電極13c、13dは、いずれも半円環型の形状を有する。これら2枚の駆動用電極のうちの一方の駆動用電極13cは、弾性体11の厚さ方向に関して駆動用電極13a及び振動検出用電極13pが装着された位置と一致する位置に装着される。また、これら2枚の駆動用電極のうちの他方の駆動用電極13dは、弾性体11の厚さ方向に関して駆動用電極13b及び振動検出用電極13p’が装着された位置と一致する位置に装着される。
【0026】
後述する駆動装置16から、弾性体11をグランド電位になるようにして、駆動用電極13a、13cにA相の駆動信号が入力されるとともに、駆動用電極13b、13dにA相信号に対し約90°の位相差を持つB相の駆動信号が入力される。すると、弾性体11には、第1の振動である対称伸び振動と、第2の振動である面内屈曲振動とが励振される。本実施形態では、対称伸び振動として(R・1)振動が発生し、面内屈曲振動として((1・1))振動が発生する。なお、このようにA相の駆動信号及びB相の駆動信号を入力すると、((1・1))振動及び(R・1)振動以外にも、種々雑多な多数の種類の他の振動が発生する。
【0027】
図2(a)〜図2(c)は、いずれも、本実施形態の振動子15を有する超音波アクチュエータの駆動原理を模式的に示す説明図である。
この振動子15は、円形の非軸対称振動((1・1))と、対称伸び振動(R・1)とを、ともに用いるタイプであり、図2(a)には非軸対称振動((1・1))による振動子15の変位パターンを示し、図2(b)には対称伸び振動(R・1)による振動子15の変位パターンを示す。さらに、図2(c)にはこれらの振動が合成されて発生した楕円運動を示す。
【0028】
すなわち、図2(a)に示すように、非軸対称振動((1・1))は、位置A、A’を中心とする面内屈曲振動である。図2(a)に示すように、円周上の位置A、A’では矢印方向への変位成分Uθを有するとともに、位置A、A’と直交する位置B、B’では各々伸びと収縮とが交互に発生する。
【0029】
一方、図2(b)に示すように、対称伸び振動(R・1)は、径方向への対称伸び振動であり、位置A、A’及び位置B、B’では、径方向の変位成分Urを有する。
【0030】
このため、振動子15の駆動用電極13a、13bに互いの位相差が約90°である2種の駆動信号をそれぞれ入力して、振動子15に非軸対称振動((1・1))及び対称伸び振動(R・1)励振させると、位置A、A’には図2(c)に例示するように変位する楕円運動がそれぞれ形成される。なお、位置A、A’は2枚の駆動用電極13a、13bの境界の延長上、または電極13c、13dの境界の延長上になる。
【0031】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、この位置Aに駆動力取出部14を突設して設けてあり、この駆動力取出部14により、励振した(R・1)振動及び((1・1))振動の合成振動が、楕円運動として取り出される。この駆動力取出部14を介して振動子15に図示しない相対運動部材を適当な加圧力で加圧接触させると、振動子15と相対運動部材との間には、変位成分Uθの長さに比例した速度で変位成分Urの長さに比例した力で変位成分Uθの方向に相対運動が発生する。
【0032】
このように、本実施形態の超音波アクチュエータでは、振動検出領域を構成する振動検出用電極13p,13p’は、振動子15の中心及び駆動力取出部14を結ぶ仮想直線と、振動子15の中心及び振動検出用電極13p,13p’の中心を結ぶ線とのなす角度が、略90度となる位置及び−90度となる位置のうちの一方に、設けられる。
【0033】
なお、本実施形態の超音波アクチュエータの振動検出用電極13p,13p’の配置位置以外の構成は、例えば特公平6−26994号公報等において既に開示されているため、これ以上の説明は省略する。
【0034】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、位置B、B’にそれぞれ振動検出用電極13p、13p’が装着される。この位置B、B’は、いずれも、第2の振動である非軸対称振動((1・1))の振幅が、(R・1)振動及び、種々雑多な他の振動それぞれの振動の振幅よりも大きい位置である。このため、振動検出用電極13p、13p’により、励振時の振動子15に発生する多種の振動のうちで、振動子15の駆動を支配する((1・1))振動の振幅が最も強い強度で検出される。
【0035】
図3は、本実施形態の超音波アクチュエータの駆動装置16の構成例を説明するブロック図である。また、図4は、図3の駆動装置16の一例を具体的に示した実施回路図である。
【0036】
図3及び図4にそれぞれ示すように、振動検出用電極13p、13p’により電気信号として検出された非軸対称振動((1・1))の振幅は、駆動方向変更用切替装置17に入力され、駆動方向変更用切替用スイッチ17aにより切り替えられる。なお、本例では駆動方向変更用切替スイッチ17aを機械的なスイッチにより構成したが、例えば半導体スイッチを用いてもよい。
【0037】
駆動方向変更用切替用スイッチ17aにより切り替えられた電気信号は、抵抗R1 、R2 、容量C3 及びオペアンプ18aを用いた検出用増幅器18に入力され、インピーダンス変換等を行われて所定値に増幅される。なお、容量C3 は若干の位相進み要素として用いられており、例えば電力増幅回路23A、23B等において生じる位相遅れ分を補償する。
【0038】
そして、抵抗R3 及びツェナーダイオードD1 及びD2 を用いた振幅抑制回路又はAGC(Automatic Gain Control)回路19に入力される。なお、負荷変動等による検出電圧の変動が小さい場合等には、この振幅抑制回路又はAGC回路19は不要である。
【0039】
振幅抑制回路又はAGC回路19により、負荷変動などによって生じる検出電圧の変動等を抑制された信号は、超音波アクチュエータの駆動動作をオン−オフするための制御スイッチ20を介して、抵抗R4 〜R6 、容量C1 及びオペアンプ21aを用いた移相回路21に入力される。すなわち、図3ではスイッチ20を閉じること、図4ではスイッチ20を開くことにより、移相回路21に振幅抑制回路又はAGC回路19からの信号が入力される。
【0040】
移相回路21により、入力された電気信号の位相が90°程度ずらされ、方向変更切替装置22のスイッチ22a、22bに入力され、移送回路の入力信号がそのまま、電力増幅回路23A、23Bに入力される。
【0041】
なお、本例ではスイッチ22a、22bを機械的なスイッチにより構成したが、例えば半導体スイッチを用いてもよい。また、制御スイッチ20の位置は図3及び図4に例示する位置である必要ではなく、回路の開閉を行うことができる位置であるならば、どこでもよい。さらに、振動検出用電極13p、13p’を短絡して信号が出力されないように制御スイッチ20を構成してもよい。
【0042】
電力増幅回路23A、23Bは同じに構成されるため、以降の説明は電力増幅回路23Aを例にとって行う。電力増幅回路23Aは、抵抗R7 〜R9 、容量C2 、オペアンプ23b、NPNトランジスタ23c、23d及びPNPトランジスタ23e、23fを用いた増幅回路であり、スイッチ22a、22bを介して入力される信号を所定値に増幅してA相駆動用信号VA を生成し、駆動用電極13aへ入力する。一方、電力増幅回路23Bも同様にしてスイッチ22a、22bを介して入力される信号を所定値に増幅してB相駆動用信号VB を生成し、駆動用電極13bへ入力する。
【0043】
なお、図4に示すように、振動検出用電極13p、13p’と接地端子Gとの間には、抵抗R10、R11が接続されているが、これらの抵抗R10、R11はA相電源、B相電源それぞれにチャージされた電荷を放電するための抵抗である。
【0044】
この駆動装置16において、図3ではスイッチ20を閉じること、図4ではスイッチ20を開くことにより、回路は正帰還でループが閉じられる。
この際、本実施形態では、図1及び図2を参照しながら前述したように、振動検出用電極13p、13p’が位置B、B’にそれぞれ配置されている。このため、この駆動用電極13aにA相の駆動信号を入力するとともに、駆動用電極13bにB相の駆動信号を入力すると、図2(c)に示すように、位置A、A’では、図示するような変位の楕円運動が形成されるとともに、位置B、B’点では((1・1))振動による伸びと収縮変位、及び(R・1)振動による径方向の変位が同時に生じ、位置B、B’に設置された振動検出用電極13p、13p’には、((1・1))振動及び(R・1)振動等の信号が重畳されて検出される。
【0045】
ここで、図2(c)に示す変位の楕円運動が形成されて振動子15の位置A’が右回転する場合、すなわち駆動用電極13aに供給する電圧の位相を零とした場合に駆動用電極13bに供給する電圧の位相が90°程度遅れた位相を有する電圧である場合に、振動検出用電極13pから出力される信号は、((1・1))振動及び(R・1)振動の信号が重畳し信号レベルが低くなるのに対し、振動検出用電極13p’から出力される信号は、((1・1))振動の信号成分が多く含まれ、かつ信号レベルも高く、得られる位相はA相駆動信号にほぼ等しくなるため、振動検出用電極13p’の信号を帰還すると自励振動作を行う。
【0046】
逆に、図2(c)に示す変位とは逆の変位の楕円運動が形成されて振動子15の位置A’が左回転する場合、すなわち駆動用電極13aに供給する電圧の位相を零とした場合に駆動用電極13bに供給する電圧の位相が90°程度進んだ位相を有する電圧である場合に、振動検出用電極13pから出力される信号は、((1・1))の信号成分が多く含まれ、かつ信号レベルも高く、得られる位相はB相駆動信号にほぼ等しいのに対し、振動検出用電極13p’から出力される信号は、((1・1))振動及び(R・1)振動の信号が重畳し信号レベルが低くなるため、振動検出用電極13pの信号を帰還すると自励振動作を行う。
【0047】
このため、駆動装置16は、振動子15の位置A’を右回転させる場合には振動検出用電極13p’を用いて自励振駆動のループを閉じ、一方振動子15を左回転させる場合には振動検出用電極13pを用いてループを閉じて、帰還させることによって、((1・1))振動での発振を行うことができる。このようにして、振動子15は自励振駆動される。
【0048】
振動子15の回転方向に応じて、振動検出用電極13pと振動検出用電極13p’とを使い分けることにより、第2の振動である面内屈曲振動((1・1))振動の振幅を、励振時の振動子15に発生する多種の他の振動よりも強い強度レベルで検出でき、これにより、振動子15を((1・1))振動で発振させながら駆動することができる。このため、正帰還での動作が継続させることができ、振動子15と図示しない相対運動部材との間で相対運動を継続できる。
【0049】
このように、本実施形態の超音波アクチュエータによれば、直線移動又は回転移動の方向を変更するためにA相の駆動信号及びB相の駆動信号による駆動力の役割分担を逆転させても、動作特性が変化せず、方向変更にかかわらず自励振動作特性を一定に保つことができる。
【0050】
また、本実施形態の超音波アクチュエータによれば、位相補正回路や高調波抑制フィルタを用いる必要がなく、これらの回路が有する周波数特性に影響されない。このため、自励振駆動が本質的に有する温度追尾性をそのまま保持することができ、各種の特性が温度変化によらずに高く維持できる。
【0051】
したがって、本実施形態の超音波アクチュエータによれば、自励振駆動によって、超音波アクチュエータの個体差や環境温度の影響を排除し、かつ駆動装置全体のコスト低減を図りながら、超音波アクチュエータの基本的な制御の一つである、直線移動又は回転方向の変更を確実に行うことができる。
【0052】
なお、本実施形態では、駆動電圧を変化させることにより、移動時の速度制御も確実に行うことができる。
(第2実施形態)
次に、第2の実施の形態を説明する。なお、以降の各実施の形態の説明では、前述した第1実施形態と相違する部分を説明することとし、共通する部分については同一の図中符号を付すことにより、重複する説明を適宜省略する。
【0053】
図5は、本実施形態の駆動装置16−1の一例を具体的に示した別の実施回路図である。
本実施形態は、第1実施形態の駆動装置16を簡素化した駆動装置16−1を用いた例であり、第1実施形態の駆動装置16における検出用増幅器18及び振幅抑制回路又はAGC回路19を省略したものである。
【0054】
すなわち、振動検出用電極13p、13p’により検出された電気信号のレベルが自励振駆動に用いるのに十分なレベルである場合には検出用増幅器18を省略することができ、一方、負荷変動等による検出電圧の変動が小さい場合等には振幅抑制回路又はAGC回路19を省略することができる。
【0055】
これにより、駆動装置16−1を簡略化することができ、駆動装置16−1に要するコストをさらに低減することができる。
(第3実施形態)
図6は、本実施形態の振動子15−2の構成例を示す斜視図である。本実施形態では、弾性体11の両面に電気機械変換素子12a、12bを設けるのではなく、弾性体11の一方の面に電気機械変換素子12aを設け、その表面に電極13a、13b、13p、13p’を設けている。
【0056】
また、弾性体11は導電性を有する金属で出来ているので、これを電気機械変換素子12aのグランド電極としている。
本実施形態によれば、電気機械変換素子12の使用量が削減され、振動子15−2のコストが抑制される。
【0057】
さらに別の形態として、図示していないが、弾性体11を用いずに電気機械変換素子12aの表面及び裏面にそれぞれに電極13a、13b、13p、13p’、弾性体11を装着することにより、振動子を構成するようにしてもよい。
【0058】
(第4実施形態)
図7は、本実施形態の超音波アクチュエータの振動子15−3の構成を示す斜視図である。また、図8は、本実施形態の超音波アクチュエータの駆動装置16−3の構成例を説明するブロック図である。また、図9は、この駆動装置16−3の一例を具体的に示した実施回路図である。
【0059】
本実施形態は、第3実施形態のように振動検出用電極13p、13p’を2箇所装着するのではなく、配置位置を変更して1箇所としたものである。
本実施形態では、図7に示すように、位置Aと位置B’との間の略中央部の位置Cに、振動検出用電極13p’’が一カ所装着される。すなわち、本実施形態の超音波アクチュエータでは、振動検出用電極13p’’が振動子15−3の中心及び駆動力取出部14を結ぶ仮想直線と、振動子15−3の中心及び振動検出用電極13p’’の中心を結ぶ線とのなす角度が、略0度となる位置及び略180度となる位置のうちの一方に配置される。また、この振動検出用電極13p’’は、振動子15−3の中心及び駆動力取出部14を結ぶ仮想直線に対して対称的に形成されている。
【0060】
なお、本実施形態とは異なり、振動検出用電極13p’’を、振動子15−3の中心及び駆動力取出部14を結ぶ仮想直線と、振動子15−3の中心及び振動検出用電極13p’’の中心を結ぶ線とのなす角度が、略0度となる位置及び略180度となる位置の双方に配置してもよい。
【0061】
この振動検出用電極13p’’が設けられた位置Cは、第1の振動である対称伸び振動(R・1)の振幅、及び第2の振動である非軸対称振動((1・1))の振幅が、いずれも、種々雑多な他の振動それぞれの振動の振幅よりも大きい位置である。このため、振動検出用電極13p’’により、励振時の振動子15に発生する多種の振動のうちで、振動子15の移動速度を支配する((1・1))振動の振幅と、駆動力を支配する(R・1)振動の振幅とが、いずれも多く検出される。
【0062】
図8及び図9にそれぞれ示すように、振動検出用電極13p’’により電気信号として検出された対称伸び振動(R・1)及び非軸対称振動((1・1))それぞれの振幅は、抵抗R12とツェーナダイオードD3 、D4 とを有する振幅抑制回路又はAGC回路24に入力される。振幅抑制回路又はAGC回路24では、負荷変動などによって生じる検出電圧の変動等を抑制する。なお、負荷変動などによる検出電圧の変動が小さい場合には振幅抑制回路又はAGC回路24は設けなくてもよい。
【0063】
振幅抑制回路又はAGC回路24によって振幅を抑制された出力信号は、駆動動作をオンオフするための制御スイッチ25を経由して、移相回路26及び駆動方向変更用切替スイッチ27の一方の端子に接続される。
【0064】
すなわち、図8では制御スイッチ25を閉じること、図9では制御スイッチ25を開くことにより、移相回路26に振幅抑制回路又はAGC回路24からの信号が入力される。
【0065】
なお、本例では、制御スイッチ25及び駆動方向変更用切替スイッチ27はいずれも機械的なスイッチで示されているが、機械的スイッチに変えて半導体スイッチを用いてもよいことはいうまでもない。同図における駆動方向変更用切替スイッチ27は相対運動部材(負荷)101を右回転に駆動するように設定されている。
【0066】
移相回路26は、抵抗R13〜R15と、容量C4 と、オペアンプ26aとを有しており、移相回路26に送られた信号は、位相を90度進まされて駆動方向変更用切替スイッチ27に入力される。これにより、駆動方向変更用切替スイッチ27を経由した後に、各々位相が90°程度異なる2種の信号が生成される。これらの信号は、非反転の電力増幅回路28A、28Bにそれぞれ入力される。
【0067】
電力増幅回路28A、28Bは同じに構成されるため、以降の説明は電力増幅回路28Aを例にとって行う。電力増幅回路28Aは、抵抗R16〜R19、容量C5 、オペアンプ28a、NPNトランジスタ28b及びPNPトランジスタ28cを用いた増幅回路であり、スイッチ27を介して入力される信号を所定値に増幅してA相駆動用信号VA を生成し、駆動用電極13aへ入力する。一方、電力増幅回路28Bも同様にしてスイッチ27を介して入力される信号を所定値に増幅してB相駆動用信号VB を生成し、駆動用電極13bへ入力する。
【0068】
なお、振動検出用電極13p’’は、(R・1)振動及び((1・1))振動の信号が強く検出できる位置に配置されているが、(R・1)振動及び((1・1))振動の周波数の高調波及び別の振動の周波数を含んでいるため、電力増幅回路28A、28Bの周波数特性が優れている場合、この不要な信号を低下させるために、図9中に破線で示す容量C6 を取り付けるのも効果的である。
【0069】
このように構成された図9に示された駆動装置16−3において制御スイッチ25がオフである場合、もしくは図8に示されたスイッチ25がオンである場合、回路は正帰還でループが閉じられ、((1・1))振動での発振が始まって振動子15−3が駆動される。振動子15−3が駆動されることによって振動検出用電極13p’’を励振駆動動作させ検出信号を得ることにより、正帰還での動作が継続し、駆動力取出部14に加圧接触する相対運動部材101との間で相対運動を継続して発生する。
【0070】
この超音波アクチュエータの動作原理は、図2を参照しながら説明した第1実施形態の超音波アクチュエータと同じであるため、動作原理についての説明は省略する。
【0071】
このため、本実施形態によれば、駆動用電極13a、13bに90°位相が異なる信号を供給すれば、前述した図2(c)に示すように、位置A、A’において、図示するように変位する楕円運動が形成される。したがって、位置Aを含む領域に形成された検出用電極13p’’では((1・1))振動による上下の変位と、(R・1)振動による径方向の変位とが同時に発生する。この際、発生する周波数は((1・1))振動に近い信号が得られる。
【0072】
図2(c)に示すように、位置A’に右回転の楕円運動を形成する場合、駆動用電極13bに供給する電圧VB の位相が零(基準)であるとすると、駆動用電極13aに90°程度進んだ位相の電圧VA を供給すればよい。この時の検出用電極13p’’から出力される電圧の位相は、駆動用電極13bに供給される電圧VB と同相になる。
【0073】
一方、図2(c)に示すように、位置A’に左回転の楕円運動を形成する場合、駆動用電極13aに供給される電圧VA の位相を零(基準)であるとすると、駆動用電極13bに90°程度進んだ位相の電圧VB を供給すればよい。この時の検出用電極13P’’から出力される電圧の位相は駆動用電圧13aに供給される電圧VA と同相になる。
【0074】
このように、この時の検出用電極13P’’から出力される電圧の位相は、駆動力に寄与している駆動用電極13a又は駆動用電極13b電極の極性と一致する。
【0075】
さらに、振動子15−3の回転方向に対する駆動用電極13a及び駆動用電極13bに流れ込む電流は、右回転時には駆動用電極13bが、左回転時は駆動用電極13aが他相よりも大きく流れて駆動力に大きく寄与する。
【0076】
これらの関係を表1にまとめて示す。
【0077】
【表1】
Figure 0004529237
この表から明らかなように左右回転時に合わせた帰還をかけるには、振動検出電極13P’’の出力電圧を、右回転時は駆動用電極13bに、左回転時は駆動用電極13aにそれぞれループを閉じるようにすれば、振動子15−3を((1・1))振動の共振周波数付近の周波数で発振することができる。
【0078】
このように、本実施形態によれば、検出用電極13P’’を一枚用いることにより、第1実施形態〜第3実施形態と略同様の動作を行うことができる。
(第5実施形態)
図10は、本実施形態の超音波アクチュエータの駆動装置16−4の構成例を示すブロック図である。
【0079】
本実施形態が第4実施形態と相違するのは、駆動方向変更用切替スイッチ27の設置位置である。なお、駆動方向変更用切替スイッチ27は右回転の位置に設定されている。
【0080】
この駆動装置16−4では、移相回路26と駆動回路28Aとの組合せには、次の2種類が得られる。
(1)移相回路26が90°進み回路であるときには駆動回路28Aは非反転増幅器であること。
【0081】
(2)移相回路26が90°遅れ回路であるときには駆動回路28Aは反転増幅器であること。
(第6実施形態)
図11は、本実施形態の振動子15−4を示す斜視図であり、第4実施形態及び第5実施形態の振動子15−3の変形例を示すものである。
【0082】
この振動子15−4では、中空円板状の弾性体11の両面に、中空円板状の電気機械変換素子12a、12bが装着される。
また、第1実施形態の振動子15と同様にして、電気機械変換素子12a、12bには駆動電極13a〜13dが装着される。すなわち、電気機械変換素子12aの平面には、駆動用電極13a、13bと振動検出用電極13P’’とが装着される。また、電気機械変換素子12bの平面には、中空半円形の駆動用電極13c、13dが装着される。弾性体11の厚さ方向について、駆動用電極13cは駆動用電極13a及び振動検出用電極13P’’の一部と一致する位置に装着され、また、駆動用電極13dは駆動用電極13b及び振動検出用電極13P’’の一部と一致する位置に装着される。
【0083】
この本実施形態の振動子15−4によれば、第4実施形態及び第5実施形態と同様の動作を行うことができる。
さらに別の形態として、図示していないが、弾性体11を用いずに電気機械変換素子12aの表面及び裏面にそれぞれに電極13a〜13dを装着することにより、振動子を構成をしてもよい。
【0084】
(第7実施形態)
図12は、前述した第1実施形態の超音波アクチュエータ〜第6実施形態の超音波アクチュエータのいずれかを用いた超音波モータ30の構成例を示す説明図であり、図12(a)は一面図、図12(b)は側面図である。なお、本実施形態では、第1実施形態の超音波アクチュエータを用いた。
【0085】
本実施形態の超音波モータ30は、振動子15を可動ブロック31に設けられた台座32の上に、支柱33により軸支されている。振動子15は支柱33に弾性率の低い接着剤によって固定される。
【0086】
振動子15を固定した可動ブッロク31は、ガイド34に図面中の左右方向に移動可能に設けられている。
振動子15を、図示されていない相対運動部材に加圧接触されるための圧縮バネ35と、振動子15の電極に交流電圧を印加させるためのコの字状の板バネ電極36a、36bが設けられている。なお、圧縮バネ35及び板バネ電極36a、36bは、ガイド34に固定された電極支持部材37に絶縁板38a、38bを介して固定される。また、圧縮バネ35は胴体の台座を介して電極支持部材37に固定される。
【0087】
振動子15の図面向かって右側に圧縮バネ35が設けられているが、この圧縮バネ35は、振動子15が紙面左方向に加圧力がかけられるように付勢されて振動子15と台座38cとの間に設けられている。この超音波モータ30では、相対運動部材が図面向かって左側に設けられるので、この圧縮バネ35により相対運動部材に対して振動子15が加圧接触できるようになっている。
【0088】
またこの超音波モータ30では、圧縮バネ35は、導電性を有する金属材料からなり、圧縮バネ35の一端は弾性体11に接触している。そして、圧縮バネ35の他端はGND電位になるように接地されている。
【0089】
この超音波モータ30では、板バネ電極36a、36bが設けられている。板バネ電極36aは、振動子15に設けられた電極13a及びその裏面にある電極13c接触するように配置されており、同様に板バネ電極36bも電極13b及びその裏面にある電極13dと接触されている。この板バネ電極36a及び36bは、それぞれ、駆動装置16に電気的に接続されている。したがって、駆動装置16から供給される交流電圧は、板バネ電極36a及び36bを介して電極13a、13bに印加される。
【0090】
板バネ電極36a及び36bはそれぞれ、コの字状を有する。そして、板バネ電極36aはコの字形状の二つの梁部分が振動子15の電極13a、13cに接触している。板バネ電極36bの梁部分も、同様に振動子15の電極13b、13dに接触している。板バネ電極36a、36bの振動子15の電極13a、13c、および13b、13dとの接触点の間隔は、振動子15の厚さよりも狭くなっており、その間に振動子15を挿入するような格好で、板バネ電極36a、36bは振動子15の電極13a〜13dが設けられた面を挟んで接触する。振動子15は電極が設けられた面と平行な方向で励振され、そして、板バネ電極36a、36bは振動子の励振方向と垂直な方向に加圧接触するため、振動子15の電極と板バネ電極36a、36bの接触が確実に行われる。
【0091】
なお、この板バネ電極36a、36bは振動子15の電極との接触を確実にするために、電極の先端部を2分割にした。したがって、振動子15に設けられた一つの電極に対して2箇所で接触することができるので、さらに振動子15の電極との接触が確実になる。
【0092】
また、絶縁板38a、38bには、それぞれ、当接部材39a、39bが固定される。当接部材39a、39bは、いずれも、導電性を有する弾性体(例えば銅合金)により構成されており、先端部はくの字型に屈曲して成形されている。そして、この当接部材39a、39bの先端部が、振動子15の振動検出用電極13p、13p’に、適当な加圧力でそれぞれ加圧接触する。これにより、振動検出用電極13p、13p’により電気信号として出力された((1・1))振動の振幅が検出される。このため、この検出信号を用いて自励振駆動のループが閉じて正帰還させることによって、((1・1))振動での発振を行うことができる。このようにして、振動子15が自励振駆動される。
【0093】
(変形形態)
各実施形態の説明では、振動アクチュエータが超音波アクチュエータである場合を例にとった。しかし、本発明はこの形態には限定されず、超音波以外の他の振動域を利用した振動アクチュエータについても同様に適用される。
【0094】
また、各実施形態の説明では、振動子が、中空円板形状を有し、第1の振動が対称伸び振動であるとともに第2の振動が面内屈曲振動である場合を例にとった。しかし、本発明はこの形態には限定されず、他の振動を組み合わせた振動子についても同様に適用される。
【0095】
また、各実施形態の説明では、振動子に設けられた駆動エネルギ入力領域及び振動検出領域が、(i)弾性体、2枚の電気機械変換素子及び電極の組合せ、(ii)弾性体、1枚の電気機械変換素子及び電極の組合せ、(iii)1枚の電気機械変換素子及び電極の組合せである場合を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0096】
また、各実施形態の説明では、対称伸び振動が(R・1)振動であるとともに、面内屈曲振動が((1・1))振動である場合を例にとった。しかし、本発明はこの形態には限定されない。
【0097】
また、第1実施形態〜第3実施形態の説明では、振動子の中心及び駆動力取出部を結ぶ仮想直線と、振動子の中心及び振動検出領域の中心を結ぶ線とのなす角度が、略90度となる位置及び略−90度となる位置のうちの少なくと一方に設けられる場合を例にとった。しかし、本発明はこの形態には限定されず、これらの位置以外の位置に振動検出領域が設けられる場合であっても同様に適用される。
【0098】
また、第4実施形態〜第6実施形態の説明では、振動検出領域が、振動子の中心及び前記駆動力取出部を結ぶ仮想直線と、振動子の中心及び振動検出領域の中心を結ぶ線とのなす角度が、略0度となる位置及び略180度となる位置のうちの少なくと一方に配置され、かつ仮想直線に対して対称的に形成されている場合を例にとった。しかし、本発明はこの形態には限定されず、これらの位置以外の位置に振動検出領域が設けられる場合であっても同様に適用される。
【0099】
さらに、各実施形態の説明では、オペアンプの後段にトランジスタを設けていわゆる電力アンプを構成したが、オペアンプからの電流容量が十分である場合には、後段に電力アンプを設けなくてもよい。
【0100】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、自励振駆動によっても、超音波アクチュエータの個体差や環境温度の影響を排除し、かつ駆動装置全体のコスト低減を図りながら、超音波アクチュエータの基本的な制御の一つである、直線移動又は回転方向の変更、さらには移動時の速度制御を確実に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の超音波アクチュエータの構成を示す説明図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は上面図である。
【図2】図2(a)〜図2(c)は、いずれも、第1実施形態の振動子を有する超音波アクチュエータの駆動原理を模式的に示す説明図である。
【図3】第1実施形態の超音波アクチュエータの駆動装置の構成例を説明するブロック図である。
【図4】図3の駆動装置の一例を具体的に示した実施回路図である。
【図5】第2実施形態の駆動装置の一例を具体的に示した別の実施回路図である。
【図6】第3実施形態の振動子の構成例を示す斜視図である。
【図7】第4実施形態の超音波アクチュエータの振動子の構成例を示す斜視図である。
【図8】第4実施形態の超音波アクチュエータの駆動装置の構成例を説明するブロック図である。
【図9】第4実施形態の駆動装置の一例を具体的に示した実施回路図である。
【図10】第5実施形態の超音波アクチュエータの駆動装置の構成例を示すブロック図である。
【図11】第6実施形態の振動子を示す斜視図である。
【図12】第1実施形態の超音波アクチュエータ〜第6実施形態の超音波アクチュエータのいずれかを用いた超音波モータの構成例を示す説明図であり、図12(a)は正面図、図12(b)は上面図である。
【図13】従来の振動帰還型発振回路を構成した自励振駆動回路の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
15 振動子
15b 振動検出領域
16 駆動装置

Claims (7)

  1. 対称伸び振動である第1の振動及び面内屈曲振動である第2の振動を少なくとも発生するとともに、前記第1の振動又は前記第2の振動の振幅が、前記第1の振動及び前記第2の振動以外の他の振動の振幅よりも大きい位置に形成された振動検出領域を有する振動子と、
    該振動検出領域からの出力を入力部に帰還させることによって、前記第1の振動又は前記第2の振動の周波数と略同じ値の周波数を有する駆動信号を前記振動子へ入力する駆動装置と
    前記第1の振動と前記第2の振動の合成振動が取り出される駆動力取出部とを備え
    前記振動検出領域は、前記第2の振動の振幅が前記第1の振動の振幅より大きい位置であり、かつ、前記振動子の中心と前記振動検出領域の中心を結ぶ仮想直線が、前記振動子の中心と前記駆動力取出部とを結ぶ仮想直線と交差する位置に形成されていること
    を特徴とする振動アクチュエータ。
  2. 前記振動子は中空円板形状を有すること
    を特徴とする請求項1に記載された振動アクチュエータ。
  3. 前記対称伸び振動は(R・1)振動であるとともに、前記面内屈曲振動は((1・1))振動であること
    を特徴とする請求項2に記載された振動アクチュエータ。
  4. 前記振動検出領域は、前記振動子の中心及び前記駆動力取出部を結ぶ仮想直線と、前記振動子の中心及び前記振動検出領域の中心を結ぶ線とのなす角度が、略90度となる位置及び略−90度となる位置のうちの少なくと一方に設けられること
    を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された振動アクチュエータ。
  5. 前記振動検出領域は、前記振動子の中心及び前記駆動力取出部を結ぶ仮想直線を軸に2つ対称的に配置されており、前記駆動装置は、前記振動子が発生する駆動力の方向に応じて、前記2つの振動検出領域のうちの少なくとも一方の領域に設けられる前記振動検出領域からの入力信号を切り換えて用いること
    を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された振動アクチュエータ。
  6. 前記振動検出領域は、前記振動子の外周側に設けられることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された振動アクチュエータ。
  7. 前記駆動力取出部は、前記振動子の一方の面に設けられた前記駆動信号を供給する2つの電極の境界の延長上に設けられたことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された振動アクチュエータ。
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