JP4076689B2 - 圧電アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、圧電素子を用いた圧電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電素子を用いた代表的なアクチュエータとして超音波モータがある。
従来の超音波モータにおいては、圧電セラミクスからなる圧電素子と金属等の弾性体より振動子を構成し、この振動体の表面に移動体を加圧接触する構造が知られている。振動体としては、例えばリング型の金属体の一方の面に駆動用の圧電素子を接着して振動体を構成するリング型超音波モータ、あるいは例えばディスク型の金属体の一方の面に駆動用の圧電素子を接着して振動体を構成するディスク型超音波モータ等が知られており、従来の電磁モータに置き換わるアクチュエータデバイスとして多くの応用および実用化が行われている。
【0003】
これら従来の超音波モータは、従来の電磁モータと比較すると、1)低速高トルク、2)構造が簡単、3)保持トルクが大きい、4)非磁性材料で構成、5)応答性に優れる、等の特徴を持つ。
従来の超音波モータの動作原理は、金属振動体の一方の面に接着され、かつ駆動用に分極された圧電素子材料を振幅制御することにより振動体に振動が伝搬され、印可電界の位相差から移動体に進行波として伝わる。この進行波により移動体が摩擦駆動されて移動する。この進行波は、振動体の上下振動が厚みにより横方向の振動に変換され、振動体に楕円運動をつくることにより発生する。そして、移動体を振動体に加圧接触して設置することにより、摩擦力により振動体表面の横方向運動が移動体に伝わることになる。この上下振動の振幅値は数ミクロン程度の極めて小さな値であるために、振幅が最大になるような周波数で駆動することと、その状態で振動体と移動体を接触させて機械出力を取り出すことが、従来の超音波モータ等の圧電アクチュエータでは重要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の超音波モータ等の圧電アクチュエータにおいては、駆動端子からみたインピーダンスが容量性であり、かつ駆動周波数が特定の狭い範囲内に限定されると言う特徴を持つ圧電素子を用いているため、周囲の温度や移動体の運動状況によって微妙に変化する共振周波数に追尾するための自動周波数追尾回路等が必要であった。
【0005】
この自動周波数追尾回路は、負荷や温度などの影響をうけて変わる振動体の共振周波数と駆動周波数の関係を一定に保つように、共振周波数の変化に対して駆動周波数を変化させるための回路であるが、この機能を果たすためには、1)圧電素子に駆動電極とともに構成したセンサ電極の出力電圧値、2)駆動端子に流入する電流の大きさ、などを検出する必要がある。
【0006】
しかし、圧電素子に駆動電極とともにセンサ電極を構成する方法では、構成が複雑になり小型化に向かないという欠点があり、また駆動端子に流入する電流の大きさを検出する方法では、微妙な電流変化を効率良く検出するための高精度な回路が必要なばかりでなく、検出系が有するインピーダンスにより駆動特性を阻害してしまうといった欠点があった。
【0007】
また、共振周波数を追尾するためには、センサ電力の出力電圧値の極大値を追尾する必要があるが、駆動周波数が共振周波数から高周波側にずれても低周波側にずれても、センサ電力は同様に低下するため、周波数を高周波側に制御すべきか低周波側に制御すべきかは1回のセンシングでは判断できず、追尾のために時間がかかってしまうと言う欠点があった。
【0008】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであって、小型化に適し、また駆動特性を阻害することなく、共振周波数の変化に対して駆動周波数を変化させることが可能な圧電アクチュエータを提供することを目的とする。
また、さらに本発明は、共振周波数の変化に対して駆動周波数をさらに迅速に変化させることが可能な圧電アクチュエータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明においては、自由端部を有し一方の面に圧電素子が貼設され他方の面に移動体が接触することを特徴とした変位機構部、を複数備える圧電アクチュエータにおいて、前記複数の変位機構部に貼設された圧電素子に駆動回路とセンシング回路を選択的に接続するための複数の切替回路を有することを特徴としている。
【0010】
また、本発明の圧電アクチュエータにおいては、駆動用回路から圧電素子に供給する交流電圧に、さらに低い周波数の交流電圧を重畳する重畳手段を含む駆動回路を有することを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明による圧電アクチュエータの実施の形態のひとつを示す概略図であり、図2は図1の変位機構部の動作を説明するための図、図3は図1および図2の変位機構部を変位させる圧電素子の振動を説明するための説明図、また図4は図1の圧電アクチュエータの駆動回路とセンシング回路を説明するための説明図である。
【0012】
図1において101は駆動ブロックであり、駆動ブロック101にはU字型の穴131と131によって自由端を有する変位機構部103と104が形成されている。変位機構部103および104には、それぞれ圧電素子105,106が貼設されており、圧電素子105,106の貼設面とは反対の面には電極107,108がそれぞれ設けられており、電線等を通してそれぞれ切替回路110,111に接続されている。駆動ブロック101の圧電素子105,106が貼設された面と反対の面には移動体102が設置され、駆動ブロック101と移動体102とは、移動体102の自重またはバネ力等により加圧接触されている。また、駆動ブロック101は接点121を通して接地されている。切替回路110,112には、それぞれ電極112,113,114および115,116,117を含み、これらの電極間の接続を切り替えることにより、圧電素子105,106に設けられたそれぞれの電極107,108と、駆動回路118またはセンシング回路119との接続を自由に選択することができる。センシング回路119は制御回路120と接続され、信号を入力できる。駆動回路118は制御回路120により制御されるように接続されている。制御回路120は接点122を通して接地されている。
【0013】
図1および図2において、駆動ブロック101の中で、変位機構部103はU字型の穴131によって自由端を持つように形成されている。本実施の形態では駆動ブロックにはステンレス鋼材を用いたが、他にベリリウム綱、リン青銅、黄銅、ジュラルミン、チタン、シリコン材等を用いても良い。変位機構部のひとつの面にはPZT(ジルコンチタン酸鉛)薄膜からなる圧電素子105が貼設されており、圧電素子105に交流電圧が印加されると圧電素子105は伸縮力を発生するが、貼設されている変位機構部103が自由端を有するため、この伸縮力は圧電素子105と変位機構部103とを含めた屈曲力となって表れる。この屈曲力による変位機構部103の変位は移動体102に作用する。尚、本実施の形態では圧電素子にPZTを用いたが、他にチタン酸バリウム、ニオブ酸リチウムやジルコンチタン酸鉛等を用いても良い。
【0014】
図3に交流電圧を印加したときの変位機構部103の駆動ブロック101に接続した側から自由端部への振動挙動を示す。横軸の左端から右端が変位機構部103の駆動ブロック101に接続した側から自由端部までの有効長となる。縦軸は変位機構部103の振動振幅を表す。縦軸で示した正負は入力する交流電圧と変位機構部の振動の位相を示し、自由端部の位相を正としたときに2π異なる位相を便宜上負として示している。また、振動振幅が0のときは、振動が励起されていないことを示す。 変位機構部103は、入力する交流電圧の印加条件によって微小な変位および力の混在する振動を発し、縦振動と楕円運動を励起する。変位機構部103の自由端では、振動振幅の絶対値が最大となるので、変位機構部103から移動体102に運動が伝わる。また移動体102の移動方向は、図3における楕円運動の横方向成分によって決まる。尚、図2および図3においては変位機構部103を例に説明したが、変位機構部104においても同様であることは言うまでもない。尚、本実施の形態では、変位機構部103と変位機構部104とは、同一形状、同一寸法にして形成されており、上記説明から明らかなように変位機構部103または104に貼設されている圧電素子105または106に、同一の交流電圧を印加した場合に移動体102の移動方向は反対方向となる。したがって、移動体102を図1における右方向、または左方向に移動させる場合、変位機構部103または104に貼設されている圧電素子105または106のいずれかに交流電圧を印加する必要があり、圧電素子105と106に同時に交流電圧を印加してしまうと、移動体102は所望の移動をしないことになる。尚、変位機構部103と104は、必ずしも同一形状、同一寸法である必要は無いことは言うまでも無い。
【0015】
図4は図1における駆動回路118、センシング回路119、制御回路120の構成をより詳しく示している。駆動回路118はVCO等の発信回路602の出力が増幅回路601により増幅され出力端子607から出力される。センシング回路119は入力端子608から入力された信号を増幅回路603で増幅され検出回路604に入力される。検出回路604の出力と発信回路602の制御電圧は制御回路120のI/O回路605に接続されており、CPU等の演算回路606により制御可能になっている。
【0016】
駆動回路118の交流電圧出力が切替回路110によって圧電素子105に接続されると、圧電素子105の伸縮によって変位機構部103に振動が発生する。この振動は移動体102や駆動ブロック101を伝わり、変位機構部104に振動を誘起する。変位機構部104には圧電素子106が貼設されており、誘起された変位機構部104の振動により圧電素子106には起電力が発生する。発生した起電力は切替回路111によってセンシング回路119に接続されることにより、制御回路120を通して発信回路602の制御電圧を制御するために利用することが可能となる。
【0017】
図3にて説明した変位機構部103の振動の振幅は、駆動回路118から入力される交流電圧の周波数と共振周波数との関係が一定になった時に最大になる。共振周波数は圧電素子105の特性によって決まるが、加えて変位機構部103との貼設状態、移動体102との接触状態、環境温度等によって微妙に変化する。共振周波数の変化により入力される交流電圧の周波数との関係が一定で無くなると変位機構部103の振動の振幅は小さくなる。したがって本実施の形態の回路構成によると、変位機構部103の振動の振幅により圧電素子106に誘起される起電力の最大値が変化するため、センシング回路119において圧電素子106に誘起された起電力の振幅を検出し、常に振幅がピークの値となるように制御回路120を通して駆動回路118が出力する交流電圧の周波数を変化させ、駆動する交流電圧の周波数と共振周波数との関係を一定に保つ事が可能となる。
【0018】
以上より明らかなように、変位機構部103の振動によって移動体102を移動させる時、移動のために用いない変位機構部104をセンシングのために用いているため、本発明においては、特別なセンサ電極等を設けなくても周波数の追尾が可能となり、構成を複雑にすることなく周波数の追尾が可能となる。またセンシング回路119に入力される電圧は圧電素子106に誘起された電圧であり、駆動回路系の電流を検出する方法とは異なって駆動電圧には全く影響を与えないため、駆動特性を阻害すること無く周波数の追尾が可能となる。
【0019】
ここまでは変位機構部103の振動によって移動体102を移動させる場合を説明したため、圧電素子105は切替回路110によって駆動回路118に接続し、変位機構部104に貼設された圧電素子106は切替回路111によってセンシング回路119に接続されていたが、移動体102を反対方向に移動させるために変位機構部104を振動させる場合は、圧電素子106を切替回路111によって駆動回路118に接続し、圧電素子105を切替回路110によってセンシング回路119に接続するたけで、上述の説明とまったく同様の効果があることは言うまでもない。
【0020】
本実施の形態においては、駆動ブロック101に変位機構部を2つのみ形成しているが、さらに多数の変位機構部を形成した場合においても同様の効果が得られる。また駆動回路118、センシング回路119には、双方とも増幅回路601および603を含む場合に関して説明したが、増幅回路は常に必要では無い。また本実施の形態においては、制御回路120はI/O回路605と演算回路606からなる例について説明しているが、この構成に限定されるものでは無い。
(実施の形態2)
図5は、本発明による圧電アクチュエータの実施の形態の他のひとつを示す概略図である。
【0021】
図5において201は駆動ブロックであり、駆動ブロック201にはU字型の穴281,282,283,284によって自由端を有する変位機構部251,252,253,254が形成されている。変位機構部251,252,253,254には、それぞれ圧電素子261,262,263,264が貼設されており、圧電素子261,262,263,264の貼設面とは反対の面には電極271,272,273,274がそれぞれ設けられており、電線等を通してそれぞれ切替回路301,302,303,304に接続されている。駆動ブロック201の圧電素子261,262,263,264が貼設された面と反対の面には移動体202が設置され、駆動ブロック201と移動体202とは、移動体202の自重またはバネ力等により加圧接触されている。また、駆動ブロック201は接点221を通して接地されている。切替回路301,302,303,304には、それぞれ電極311,321,331,341および312,322,332,342および313,323,333,343および314,324,334,344を含み、これらの電極間の接続を切り替えることにより、圧電素子261,262,263,264に設けられたそれぞれの電極311,321,331,341と、駆動回路218またはセンシング回路219との接続、またはいずれにも接続しない開放状態を自由に選択することができる。センシング回路219は制御回路220と接続され、信号を入力できる。駆動回路218は制御回路220により制御されるように接続されている。制御回路220は接点222を通して接地されている。
【0022】
駆動ブロック201の材質は、本実施の形態においても実施の形態1と同様にステンレス鋼材を用いた。また、変位機構部のひとつの面にはPZT貼設されているのも実施の形態1と同様であり、圧電素子261に交流電圧が印加されると圧電素子261は伸縮力を発生するが、貼設されている変位機構部251が自由端を有するため、この伸縮力は圧電素子261と変位機構部251とを含めた屈曲力となって表れる。この屈曲力による変位機構部251の変位は移動体202に作用する。他の圧電素子262,263,264に交流電圧が印加された場合も、同様に変位機構部252,253,254に屈曲力が表れる。変位機構部251,252,253,254の振動挙動は実施の形態1にて説明した図3同様である。尚、本実施の形態では変位機構部251,252,253,254は略同一形状になっているが、必ずしも同一形状、同一寸法である必要は無いことは言うまでも無い。
【0023】
駆動回路218、センシング回路219、制御回路220の構成は、実施の形態1にて説明した図4の構成と同等である。駆動回路218の交流電圧出力が切替回路301によって圧電素子261に接続されると、圧電素子261の伸縮によって変位機構部251に振動が発生する。この振動は移動体202や駆動ブロック201を伝わり、他の変位機構部252,253,254に振動を誘起する。変位機構部252,253,254にはそれぞれ圧電素子262,263,264が貼設されており、誘起された変位機構部252,253,254の振動により各圧電素子262,263,264には起電力が発生する。発生した起電力は各切替回路302,303,304によっていずれかひとつ、または複数を合わせてセンシング回路219に接続されることにより、制御回路220を通して駆動回路218を制御するために利用することが可能となる。したがって本実施の形態の回路構成によると、変位機構部251の振動の振幅により他の変位機構部252,253,254に貼設された圧電素子261,262,263に誘起される起電力の最大値が変化するため、これらの起電力のうちのひとつ、または複数の振幅をセンシング回路219において検出し、常に振幅がピークの値となるように制御回路220を通して駆動回路218が出力する交流電圧の周波数を変化させ、駆動する交流電圧の周波数と共振周波数との関係を一定に保つ事が可能となる。
【0024】
以上より明らかなように、変位機構部251の振動によって移動体202を移動させる時、移動のために用いない他の変位機構部252,253,254のうちのひとつ、または複数をセンシングのために用いているため、本発明においては、特別なセンサ電極等を設けなくても周波数の追尾が可能となり、構成を複雑にすることなく周波数の追尾が可能となる。またセンシング回路219に入力される電圧は圧電素子261,262,263のうちのひとつ、または複数に誘起された電圧であり、駆動回路系の電流を検出する方法とは異なって駆動電圧には全く影響を与えないため、駆動特性を阻害すること無く周波数の追尾が可能となる。
【0025】
ここまでは変位機構部251の振動によって移動体202を移動させる場合を説明したが、他の変位機構部252,253,254のうちのひとつを用い、移動体202を他の方向に移動させる場合も、上述の説明とまったく同様の効果があることは言うまでもない。
本実施の形態においては、駆動ブロック201に変位機構部を各90度異なった方向に4つ形成しているが、本発明においては、この形態に限定されることは無い。
(実施の形態3)
図6は、本発明による回転型の圧電アクチュエータの実施の形態の他のひとつを示す概略図である。
【0026】
本実施の形態における回転型の圧電アクチュエータは、軸突起部551を有する回転移動体502と、軸突起部を通す穴552を有する振動体ブロック501と、振動体ブロック501を支持し、かつ軸突起部551を摺動回転可能なように支持する基盤シャーシ553から構成されている。
振動体ブロック501には自由端を有する変位機構部503と504が形成されている。変位機構部503および504には、それぞれ圧電素子505,506が貼設されており、圧電素子505,506の貼設面とは反対の面には電極507,508がそれぞれ設けられており、電線等を通してそれぞれ切替回路510,511に接続されている。回転移動体502は振動体ブロック501の圧電素子505,506が貼設された面とは反対の面に配置され、自重またはバネ力または磁力等によって変位機構部503,504と加圧接触されている。また、振動体ブロック501は接点521を通して接地されている。圧電素子505,506は切替回路510,511により駆動回路518またはセンシング回路519との接続をが選択できるようになっている。センシング回路519は制御回路520と接続され、信号を入力できる。駆動回路518は制御回路520により制御されるように接続されている。
【0027】
本実施の形態では振動体ブロック501には実施の形態1と同様にステンレス鋼材を用いた。また圧電素子505,506に関しても実施の形態1と同様にPZTを用いた。ただし他の材質を用いても同様の効果が得られることは言うまでもない。圧電素子505に交流電圧が印加されると圧電素子505は伸縮力を発生するが、貼設されている変位機構部503が自由端を有するため、この伸縮力は圧電素子505と変位機構部503とを含めた屈曲力となって表れる。この屈曲力による変位機構部503の変位は回転移動体502に作用する。圧電素子506に交流電圧が印加された場合も、同様に変位機構部504に屈曲力が表れる。変位機構部503,504の振動挙動は実施の形態1にて説明した図3同様である。変位機構部503と504は同一方向に配置されているが、これらの間を中心に回転移動体502が回転するため、変位機構部503に貼設された圧電素子505を駆動した場合と、変位機構部504に貼設された圧電素子506を駆動した場合とでは、回転移動体502の回転は反対方向になる。尚、本実施の形態では変位機構部503,504は略同一形状になっているが、必ずしも同一形状、同一寸法である必要は無いことは言うまでも無い。
【0028】
駆動回路518、センシング回路519、制御回路520の構成は、実施の形態1にて説明した図4の構成と同等である。駆動回路518の交流電圧出力が切替回路510によって圧電素子505に接続されると、圧電素子505の伸縮によって変位機構部503に振動が発生する。この振動は回転移動体502や振動体ブロック501を伝わり、他の変位機構部504に振動を誘起する。変位機構部504には圧電素子506が貼設されており、誘起された変位機構部504の振動により圧電素子506には起電力が発生する。発生した起電力は切替回路511によってセンシング回路519に接続されることにより、制御回路520を通して駆動回路518を制御するために利用することが可能となる。したがって本実施の形態の回路構成によると、変位機構部503の振動の振幅により他の変位機構部504に貼設された圧電素子506に誘起される起電力の最大値が変化するため、これらの起電力をセンシング回路519において検出し、常に振幅がピークの値となるように制御回路520を通して駆動回路518が出力する交流電圧の周波数を変化させ、駆動する交流電圧の周波数と共振周波数との関係を一定に保つ事が可能となる。以上より明らかなように、変位機構部503の振動によって回転移動体502を移動させる時、移動のために用いない他の変位機構部504をセンシングのために用いているため、本発明においては、特別なセンサ電極等を設けなくても周波数の追尾が可能となり、構成を複雑にすることなく周波数の追尾が可能となる。またセンシング回路519に入力される電圧は圧電素子506に誘起された電圧であり、駆動回路系の電流を検出する方法とは異なって駆動電圧には全く影響を与えないため、駆動特性を阻害すること無く周波数の追尾が可能となる。
【0029】
ここまでは変位機構部503の振動によって回転移動体502を移動させる場合を説明したが、他の変位機構部504を用い、回転移動体502を反対の方向に回転移動させる場合も、上述の説明とまったく同様の効果があることは言うまでもない。
本実施の形態においては、振動体ブロック501に変位機構部を2つ形成した場合について説明しているが、本発明においては、さらに複数の変位機構部を形成することも可能である。
(実施の形態4)
図7は、実施の形態1で説明した駆動回路118とセンシング回路119、および制御回路120の他の構成をより詳しく説明する構成図である。
【0030】
駆動回路118は駆動制御手段1605によりVCO等の交流発生手段1603と変調周波数発生手段1604が制御され、それぞれによって発生した信号は重畳手段1602によって重畳された信号となる。重畳された信号出力は増幅手段1601により増幅され出力端子1610から出力される。センシング回路119は入力端子1611から入力された信号を増幅手段1606で増幅され検出手段1607に入力される。検出手段1607の出力と駆動制御手段1605の制御信号は制御回路120のI/O手段1608に接続されており、CPU等の演算手段1609により制御可能になっている。
【0031】
図8は図1における駆動回路118の出力信号と、センシング回路119の検出波形を示している。図8(a)は、圧電素子を共振点付近で振動させるための交流電圧の周波数の変調を基準周波数に対する周波数の変化で示した図である。このように、交流発生手段1603で発生された共振点付近の周波数と、それより低い変調周波数発生手段1604によって発生された周波数の信号が重畳手段1602によって重畳された信号波形となっており、増幅手段1601で増幅された実際の駆動用電圧は図8(b)で示されるような波形となり、圧電素子に入力され振動がおこる。入力された波形1702によって圧電素子は変位機構部を振動させるが、入力された波形1702は共振周波数付近で低周波の変調をかけられているため、変位機構部の振動は共振点付近の周波数の時は大きくなり、周波数がはずれた時は振動は小さくなる。この振動の状態は他の圧電素子で検出でき、検出した振幅の例を図8(c)に示す。変位機構部が共振点付近で大きな振動をしているときは検出される振幅は1705のように大きくなるが、共振点をはずれたときは検出される振幅は小さくなる。これにより制御回路120はただちに共振点付近の周波数と、現在の駆動用周波数に対して高い周波数にずれているのか低い周波数にずれているのかを知ることができるため、常に共振点を追従することができる。また、より精度の高い検出をするために、図8(a)で示される周波数の変化を、次第に小さくしていくことも可能である。図8(c)では、圧電素子で発電された電圧の振幅を検出する例を示したが、図8(d)のように圧電素子で発電された交流電圧の位相が他の圧電素子に供給された交流電圧の位相に対してどの程度進むかを検出し、共振点を追従することも可能である。検出される交流電圧の位相は、共振点付近で急激に進み方向に変化するため、位相を検出することによって共振点のピークをよりはっきりと検出することができる。共振周波数は圧電素子特性によって決まるが、加えて変位機構部との貼設状態、移動体との接触状態、環境温度等によって微妙に変化する。しかし本実施の形態によれば、駆動中に適時圧電素子に入力する交流電圧に変調をかけることによって、センシング出力を検出できるため、常に振幅がピークの値となるように制御回路120を通して駆動回路118が出力する交流電圧の周波数を変化させ、駆動する交流電圧と共振周波数の関係を一定に保つ事が可能となる。さらに本発明によれば、現在の駆動用交流電圧の周波数と、実際の共振周波数とのずれの方向が同時に検出できるため、即座に共振周波数に追従することが可能となる。
【0032】
以上より明らかなように、圧電素子を共振点付近で振動させるための交流電圧に、重畳手段1602を用いて、それより低い周波数の信号を重畳することにより、現在の駆動用交流電圧の周波数と、実際の共振周波数とのずれの量と方向が同時にセンシング回路119に検出できるため、即座に共振周波数に追従することが可能となる。
【0033】
本実施の形態においては、駆動回路118、センシング回路119には、双方とも増幅手段1601および1606を含む場合に関して説明したが、増幅手段は常に必要では無く、また制御回路120はI/O手段1608と演算手段1609からなる例について説明しているが、この構成に限定されるものでは無い。
また、本実施の形態においては実施の形態1を例に、駆動回路118、センシング回路119、制御回路120を詳しく説明したが、実施の形態3における駆動回路518、センシング回路519,制御回路520に関し本実施の形態を適用しても、全く同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0034】
以上、各実施の形態において説明したように、本発明においては、変位機構部に貼設された圧電素子に駆動回路とセンシング回路を選択的に接続するための複数の切替回路を有することにより、簡易な構成のため小型化に適し、また駆動特性を阻害することなく、共振周波数の変化に対して駆動周波数を変化させることが可能となる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の圧電アクチュエータにおいては、自由端部を有し一方の面に圧電素子が貼設され他方の面に移動体が接触することを特徴とした変位機構部を複数備え、前記複数の変位機構部に貼設された圧電素子に駆動回路とセンシング回路を選択的に接続するための複数の切替回路を有することを特徴とするか、または自由端部が異なった方向に並べられた複数の変位機構部を備え、いずれかひとつの変位機構部に貼設された圧電素子に駆動回路が接続されたとき、他のいずれかひとつの圧電素子にはセンシング回路が接続されるような切替回路を有することを特徴とすることにより、特別な電極等を必要としない簡易な構成のため小型化に適し、また検出回路が駆動特性を阻害することなく、共振周波数の変化に対して駆動周波数を変化させることが可能な圧電アクチュエータを提供することが可能となる。
【0036】
また、この発明の圧電アクチュエータにおいては、圧電素子により発電された電圧の振幅、または位相をセンシングするセンシング回路を有することを特徴とすることにより、共振周波数の変化に対して駆動周波数を迅速に変化させることが可能な圧電アクチュエータを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による圧電アクチュエータの例を示す概略図である。
【図2】図1による変位機構部の動作を示す説明図である。
【図3】図1および図2による圧電素子の振動を示す説明図である。
【図4】図1による回路部の構成を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態2による圧電アクチュエータの例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施の形態3による圧電アクチュエータの例を示す概略図である。
【図7】図1による回路部の他の構成を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1における駆動信号およびセンシング信号の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
101 駆動ブロック
102 移動体
103,104 変位機構部
105,106 圧電素子
107,108 電極
110,111 切替回路
112,113,114,115,116,117 電極
118 駆動回路
119 センシング回路
120 制御回路
121,122 接点
131,132 穴
201 駆動ブロック
202 移動体
218 駆動回路
219 センシング回路
220 制御回路
221,222 接点
251,252,253,254 変位機構部
262,262,263,264 圧電素子
271,272,273,274 電極
281,282,283,284 穴
301,302,303,304 切替回路
501 振動体ブロック
502 回転移動体
503,504 変位機構部
505,506 圧電素子
507,508 電極
510,511 切替回路
518 駆動回路
519 センシング回路
520 制御回路
551 軸突起部
552 穴
553 基盤シャーシ
1601 増幅手段
1602 重畳手段
1603 交流発生手段
1604 変調周波数発生手段
1605 駆動制御手段
1606 増幅手段
1607 検出手段
1702 波形
1703 振幅
1704 位相の変化
Claims (6)
- 駆動ブロックと、
前記駆動ブロックに形成され、自由端を有する複数の変位機構部と、
前記複数の変位機構部それぞれの一方の面に1つずつ貼設された複数の圧電素子と、
前記駆動ブロックの前記複数の圧電素子が貼設された側とは反対側の面に接触する移動体と、
前記圧電素子に交流電圧を供給する駆動回路と、
前記圧電素子により発電された電圧を検出するセンシング回路と、
を備え、
前記圧電素子と前記駆動回路との間及び前記圧電素子と前記センシング回路との間に配置され、前記圧電素子に前記駆動回路と前記センシング回路とを選択的に接続する複数の切替回路を有することを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 前記複数の変位機構部は前記自由端の方向が異なり、
前記切替回路は、いずれかひとつの前記変位機構部に貼設された前記圧電素子に前記駆動回路が接続されたとき、他の前記変位機構部に貼設された前記圧電素子には前記センシング回路を接続することを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。 - 前記移動体が回転移動体であることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
- 前記センシング回路は、前記圧電素子により発電された電圧の振幅を検出するセンシング回路であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電アクチュエータ。
- 前記センシング回路は、前記圧電素子により発電された電圧の位相を検出するセンシング回路であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電アクチュエータ。
- 前記駆動回路は、前記圧電素子に供給する交流電圧に、さらに低い周波数の交流電圧を重畳する重畳手段を含む駆動回路であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電アクチュエータ。
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