JP4524469B2 - 蛍光体粒子およびその製造方法並びにプラズマディスプレイパネル、照明装置およびled - Google Patents

蛍光体粒子およびその製造方法並びにプラズマディスプレイパネル、照明装置およびled Download PDF

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本発明は、ブラウン管、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などのディスプレイや固体照明素子(LED)、固体照明器具、蛍光灯、蛍光表示管などの照明装置等に使用される蛍光体粒子およびその製造方法、並びに当該蛍光体粒子を用いたプラズマディスプレイパネル、照明装置およびLEDに関するものである。
従来、電子線励起下における蛍光膜の発光を利用した陰極線管ディスプレイ(CRT)は高輝度、高精細なディスプレイとして広く利用されている。しかし、ディスプレイのフラット化、薄型化という点では限界があり、近年においてはフラット化、薄型化が容易なプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記載する。)が新たなディスプレイとして注目され、盛んな研究開発が行われている。
PDPは、He-Xe、Ne-Xe、Ar等の希ガスが封入された放電セルを有し、当該放電セル内の電極に電圧を印加することで発生させた真空紫外線(VUV)により、光の3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光を示す各種蛍光体を励起発光させて、所定色の可視光を得るという構造を有している。ここで、使用されている赤色発光する蛍光体としては、(Y, Gd)BO3:Eu、またはY2O3:Euなどがあり、緑色発光する蛍光体としてはBaAl12O19:Mn、またはZn2SiO4:Mnなどがあり、青色発光する蛍光体としてはBaMgAl10O17:Eu、またはBaMgAl16O27:Euなどがある。
ところが、これらの蛍光体は、PDPパネル製造時の熱処理(通常は大気中における、400℃〜500℃×30min程度の加熱)により熱劣化を起こす。さらに、PDPパネル完成後の動作時には、励起光として使用される真空紫外線により真空紫外線劣化を起こす。特に青色発光する、BaMgAl10O17:Eu、またはBaMgAl16O27:Euなどのアルミン酸系蛍光体は、他の蛍光体に比べて劣化が大きく早急な改善が要請されている。また、上述したPDPパネルに関する問題と同様の問題が、青色〜紫外発光する発光部と蛍光体とを組み合わせた照明装置やLEDでも起きており、やはり早急な改善が要請されている。
当初、アルミン酸系青色蛍光体はBaMgAl14O23:Euが用いられていたが、当該要請を受けてBaMgAl10O17:Eu組成の蛍光体(特許文献1参照)が提案され、上述した熱劣化、真空紫外線劣化に伴う発光輝度の経時劣化、および発光色の経時変化を、ある程度抑制することができた。しかし、まだ他色の蛍光体に比べると熱劣化・真空紫外線劣化が激しく、現在においても組成そのものを最適化する試みが行われている。
他方、異なる方向の試みとして、蛍光体の表面へSiO2(シリカ)等の各種の物質を付着させて、当該蛍光体の表面を保護することで、蛍光体自体の発光特性を維持したまま熱劣化・真空紫外線劣化を抑制する方法が提案されている。例えば、特許文献2では、蛍光ランプに用いられるアルミン酸系青色蛍光体の粒子表面へ、散在的ではあるがSiO2粉末を付着させることにより、蛍光体の発光効率等が高められると記載されている。また、特許文献3では、ケイ素ポリマーを有機溶媒に溶かした溶液中にアルミン酸系青色蛍光体の粉末を浸漬し、乾燥後の蛍光体粉末を酸素存在下に1000℃以下で加熱することにより膜厚100nmのSiO2被覆膜を形成することができ、この結果、発光強度の経時変化が軽減し、蛍光体の長寿命化ができた旨が記載されている。この他にも、SiO2被覆膜を蛍光体に形成する製造方法として特許文献4〜7が提案されている。
特開平8-115673号公報 特開平10-204429号公報 特開2001-303037号公報 特開平8-92549号公報 特許2884702号公報 特許2514423号公報 特開2002-69442号公報
上述したように、蛍光体の熱劣化・真空紫外線劣化の抑制、蛍光体の長寿命化を目的として様々な提案がされてきたが、その結果は、未だ満足すべき水準に到達していない。さらに、蛍光体粉体の表面に各種の物質を付着させて当該表面を保護する試みにおいては、当該蛍光体粉体を構成する蛍光体粒子同士の凝集性が増加し、望まれない凝集が発生する等の新たな問題も見出された。本発明は、当該状況の下でなされたものであり、例えば、上述したPDPパネル製造時の熱処理水準の熱劣化条件、PDPの励起光として使用される真空紫外線(VUV)照射水準の真空紫外線劣化条件に対して十分な耐性を有し、且つ蛍光体粒子同士の凝集が抑制された蛍光体粒子およびその製造方法、並びに当該蛍光体粒子を用いたプラズマディスプレイパネル、照明装置およびLEDを提供することにある。
上述の課題を解決するため本発明者らは研究を重ねた結果、窒素を含み且つ所定以下の膜厚を有するSiO膜を用いて蛍光体表面をコーティングすることにより、上述した熱劣化条件・真空紫外線劣化条件に対して十分な耐性を有し、且つ蛍光体粒子同士の凝集が抑制された蛍光体粒子を得られることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第1の構成は、表面が窒素を含むSiO膜でコーティングされている蛍光体粒子の製造方法であって、
蛍光体粒子の表面をSiOゲルにてコーティングした後、窒素を含む雰囲気中で熱処理する工程において、
前記熱処理を800℃以上の熱処理温度でおこなうと伴に、当該熱処理前のSiOゲルコーティング膜の膜厚を25nm以下とすることを特徴とする蛍光体粒子の製造方法である。
第2の構成は、第1の構成に記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
前記蛍光体粒子の表面をSiOゲルにてコーティングする際、
水溶性の有機溶媒中で、蛍光体粒子と、オルガノシラン化合物と、水とを混合した後に、ゲル化剤を添加することを特徴とする蛍光体粒子の製造方法である。
第3の構成は、第1または第2の構成に記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
前記窒素を含む雰囲気として、フロー状態の窒化雰囲気を用いることを特徴とする蛍光体粒子の製造方法である。
第4の構成は、第1から第3の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
前記窒素を含む雰囲気としてアンモニアガスを用いることを特徴とする蛍光体粒子の製造方法である。
第5の構成は、第1から第4の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
前記窒素を含む雰囲気として、濃度99.9%以上のアンモニアガスを用いることを特徴とする蛍光体粒子の製造方法である。
第6の構成は、第1から第5の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
前記熱処理を、0.5hr〜48hrおこなうことを特徴とする蛍光体粒子の製造方法である。
第7の構成は、第1から第6の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
前記熱処理により、前記SiO膜でコーティングされた蛍光体粒子中の窒素濃度を0.1wt%以上増加させることを特徴とする蛍光体粒子の製造方法である。
第8の構成は、第1から第7の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする蛍光体粒子である。
第9の構成は、表面が、窒素を含むガラス化したSiO膜でコーティングされていることを特徴とする蛍光体粒子である。
第10の構成は、前記窒素を含むガラス化したSiO膜の膜厚が25nm以下であることを特徴とする第8または9の構成に記載の蛍光体粒子である。
第11の構成は、前記蛍光体粒子が、アルミニウムと酸素とを含む蛍光体粒子であることを特徴とする第8から第10の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子である。
第12の構成は、前記蛍光体粒子が、青色発光蛍光体であることを特徴とする第8から第11の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子である。
第13の構成は、前記蛍光体粒子の組成が、BaMgAl10O17:Euであることを特徴とする第8から第12の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子である。
第14の構成は、第8から第13の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子を用いたことを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
第15の構成は、第8から第13の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子を用いたことを特徴とする照明装置である。
第16の構成は、第8から第13の構成のいずれかに記載の蛍光体粒子を用いたことを特徴とするLEDである。
第1から第7の構成に係る蛍光体粒子の製造方法によれば、熱劣化条件・真空紫外線劣化条件に対して十分な耐性を有し、且つ蛍光体粒子同士の凝集が抑制された上、発光特性にも優れた蛍光体粒子を得ることが出来た。
また、第8から第13の構成に係る蛍光体粒子は蛍光体粒子同士の凝集が抑制され、熱や真空紫外光に対して耐性があり、熱や紫外線を受ける環境下で用いられても発光特性が劣化し難く、寿命が長い。
さらに、第14から第16の構成に係るプラズマディスプレイパネル、照明装置、LEDは、発光特性が劣化し難く、寿命が長い。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係る蛍光体粒子の組成は特に限定されるものではなく、本発明は、多様な蛍光体粒子に対して適用することができる。もっとも、本発明は、耐熱性・耐真空紫外性、等に問題を抱えている青色発光蛍光体粒子(例えば、BaMgAl10O17:Eu粒子)に対しては、特に有効なものである。そこで、以下の説明においては、青色発光蛍光体粒子(以下、「蛍光体」と略記する場合がある。)を例として説明する。ここで、蛍光体の粒子形状は球状であっても良いし、板状などであっても良く、特に限定されない。
まず、青色発光蛍光体粒子の製造方法の一例について、BaMgAl10O17:Euを例として説明する。
BaMgAl10O17:Euの製造方法としては、噴霧熱分解法、熱プラズマ法、ゾルゲル法、共沈法などがあるが、一般的には反応固体相間の接触面または接触点における原子の拡散を利用した固相反応により製造される。製造工程としては、原料粉体として、例えば、BaCO3、MgCO3、Al2O3およびEu2O3等を所定量秤量した後、ボールミルなどでよく混合し、これにフラックス(反応促進剤)を添加して1600℃×3hr程度焼成する。ここで、焼成雰囲気は還元雰囲気、例えばH2ガス、H2+N2混合ガス、N2ガスなどを用いる。これは、BaMgAl10O17:Eu蛍光体においてはEuをEu2+として発光させるため、原料中にてEu3+の形で存在するEuを、Eu2+に還元する必要があるためである。焼成完了後は、焼結した蛍光体粒子を解きほぐす解砕工程、前工程で混入した不純物を除去する洗浄工程、そして粒径の分別工程などを経て所定粒径を有する蛍光体粒子であるBaMgAl10O17:Euを得る。
次に、蛍光体粒子の表面をSiO2膜でコーティングする方法について説明する。
蛍光体粒子表面へ、SiO2膜をコーティングする方法としては、所謂ゾル・ゲル法が好ましい。
ゾル・ゲル法とは、まず蛍光体粒子表面に、コーティング物質の加水分解生成物を被着させた後、触媒などによって、当該加水分解生成物を縮合反応させる方法である。そこで本発明の場合、蛍光体へのSiO2膜のコーティングは、有機溶媒中で蛍光体粒子とオルガノシラン化合物と水とを混合し、ゾルの加水分解反応を行うことから始まる。
ここで、有機溶媒としては、加水分解反応を進行させるゾル媒体として機能させるために水溶性のものが好ましく、特にメチルアルコール、エチルアルコール、およびイソプロピルアルコールなどのアルコール類が好ましい。
オルガノシランとしては、一般式R14-aSi(OR2)aで表されるアルコキシシラン(但し、R1は1価の炭化水素基、R2は炭素数1から4の1価の炭化水素基、aは3から4の整数である。)が好ましく、中でも、テトラエトキシシラン(以下、TEOSと記載する。)、メチルトリメトキシシランが好ましい。
アルコキシシランの加水分解を蛍光体粒子表面にて行わせるために、当該有機溶媒中に、加水分解に供される純水と蛍光体粒子とを入れて攪拌し、蛍光体粒子を懸濁させておく。次に、当該懸濁溶液中へアルコキシシランを添加し攪拌する。その後、加水分解・縮合反応を促進させる触媒を添加し攪拌する。これによって、蛍光体粒子表面にSiO2ゲルを含む被膜が形成される。
加水分解・縮合反応を促進させる触媒としては、塩酸、硫酸または燐酸などの酸でも良いが、均一で緻密なコーティング膜を得る観点からは、アルカリの方が好ましく、またアルカリの中でも、金属分を有しないアンモニアが好ましい。加えて、アンモニアを用いることで、均一で緻密というな良好なSiO2膜が得られる上に、入手しやすく低コストで、揮発除去が容易で不純物の残留が無いなどの、多くのメリットがある。
ここで、加水分解反応に使用する反応槽としては、金属槽よりもセラミック反応槽やテフロンコートされた反応槽などを使用することが好ましい。これは、有機溶媒中で攪拌する際に、攪拌羽や反応槽壁が蛍光体粒子との衝突により削り取られ、発光強度を下げる不純物として蛍光体粉末に混入する可能性が考えられるからである。
加水分解反応およびこれに続く縮合反応は、アンモニア水を添加したあと、熟成させることによって進行させるのが望ましい。アンモニア水の添加速度は特に限定されないが、10min以上かけてゆっくり添加することが好ましい。アンモニア水をゆっくり添加することで、蛍光体懸濁液のpHが一気に上昇することを回避し、蛍光体粒子にコーティングされるSiO2膜の構造が粗になってしまうことを回避できる。
また、アンモニア水を添加する際は、連続的に添加することにより、コーティングされる蛍光体粒子同士の凝集を防止できる。これは、アンモニア水を連続的に添加し蛍光体懸濁液のpHを緩やかに上昇させることで、蛍光体粒子表面以外の懸濁液中でSiO2粒子が生成し、当該SiO2粒子が蛍光体粒子同士の凝集を誘発するバインダーとして働いてしまうという事態や、蛍光体粒子表面にSiO2が不均一に生成してしまうと表面が凸凹になり、当該蛍光体粒子同士が凝集しやすくなるといった事態を回避できるからである。また、アンモニア水添加完了後の、熟成時の液温は特に限定されないが、10℃〜70℃さらには40℃程度が好ましい。液温が10℃〜70℃さらには40℃程度であるとコーティング膜が粗になるのを回避することができる。熟成時間も特に限定されないが、0.5hr〜5hrが好ましい。
以上の操作により得られる蛍光体粒子上のSiO2コーティング膜の膜厚、膜密度は、一般に、添加当初のアルコキシシラン量、純水量、蛍光体懸濁液液温、熟成時間などに依存するため、これらを制御することによって、任意の膜厚、膜密度を有するSiO2ゲルのコーティング膜を蛍光体粒子表面に被着することができる。
ここで、SiO2ゲルのコーティング膜の膜厚は、25nm以下、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm未満である。これは、シリカ膜が、波長254nmの紫外線は透過させることができるものの、波長147nmの真空紫外線は吸収してしまうと考えられることによる。即ち、SiO2ゲルのコーティング膜の膜厚を25nm以下とすることで、製造される蛍光体粒子上のシリカ膜の膜厚を規制し、当該蛍光体粒子の励起光である真空紫外線が、当該シリカ膜に吸収され、蛍光体粒子まで到達する光量が減少してしまうため発光強度が低下するという影響を抑制することができる。特に、SiO2ゲルのコーティング膜の膜厚を10nm未満とすることで製造される蛍光体粒子上のシリカ膜による真空紫外線吸収の影響は、ほぼ無視できる水準となる。それどころか本発明者らは、当該膜厚を10nm未満に規制することで、コーティング膜無しの蛍光体粒子と同等以上の発光強度を得ることができることを見出した。この詳細な理由は不明だが、解砕時に生じた蛍光体粒子の表面欠陥がSiO2ゲルのコーティング膜により平滑化され、蛍光体粒子外へ効率よく光を放出できるためと考えられる。
さらに、SiO2ゲルのコーティング膜の膜厚を25nmm以下、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm未満とすることで、コーティングされた蛍光体粒子が互いに凝集するのを抑制できることも見出された。これは、蛍光体粒子表面のコーティング膜が薄くなることで、当該コーティング膜を介した蛍光体粒子同士の凝集を抑制できるためであると考えられる。
次に、添加するアルコキシシラン量の調整によるSiO2ゲルのコーティング膜の膜厚の制御について説明する。
まず、添加するアルコキシシラン量を(W1)、ねらいとするSiO2ゲルのコーティング膜の膜厚を(L)、BET法により求めた蛍光体粒子の比表面積(以下、比表面積BETと記載する。)を(S)、蛍光体粒子の仕込み量を(W3)とする。すると、添加された全蛍光体粒子の表面(S×W3)が膜厚(L)をもってSiO2ゲルコーティングされた場合、SiO2ゲルコーティングの体積を(V1)とすると、V1 = S × W3 × L…(式1)となる。
一方、SiO2ゲルコーティングの密度をρ(シリカゲル=2.0g/cm3の密度と同値)とし、全蛍光体粒子の表面に生成するSiO2の重量を(W2)とすると、W2 = V1×ρ…(式2)となる。
従って、SiO2の分子量を(Mw2)、SiO2のモル量を(M1)としたとき、全蛍光体粒子の表面に生成するSiO2のモル量は、M1 = W2/Mw2…(式3)となる。
ここでアルコキシシランが例えばTEOSの場合、Si(OC2H5)41.0mol中に、Siは1.0mol存在していることから、Si(OC2H5)4 1.0molから生成するSiO2も1.0molである。すなわち、SiO2をM1モル生成するためにはTEOSもM1モル必要となるので、TEOSの分子量を(Mw1)とするとアルコキシシラン量(W1)は、W1 = M1 × Mw1…(式4)となる。
そして、(式1〜4)より、W1 = S × W3 × L ×ρ× Mw1/Mw2…(式5)となり、ρ、Mw1、Mw2は定数、Sは測定値、W3は所定の設定値であることから、ねらいの膜厚値Lの値を式5に代入すれば、添加すべきアルコキシシラン量(W1)を求めることができる。
また、式5をLについて解くと、L=Mw2/(S×W3×ρ×Mw1)×W1…(式6)が得られ、添加したアルコキシシラン量(W1)よりSiO2ゲルのコーティング膜厚の値(L)を算定することができる。
さらに、SiO2ゲルのコーティング膜厚の値(L)を直接求める方法例として、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた高倍率観察結果から求めることができる。
得られたSiO2ゲルのコーティングされた蛍光体粒子は、固・液分離により蛍光体懸濁液から単離される。固・液分離の方法としては濾過が一般的である。乾燥方法は温風乾燥、真空乾燥、スプレードライヤーなど一般的な方法でよい。
こうして得られたSiO2ゲルのコーティングされた蛍光体粒子は、コーティング膜なしの蛍光体粒子に比べると、耐熱性、耐酸化性、耐紫外線劣化に優れたものである。しかし、当該蛍光体粒子へ、さらに後述する熱処理・窒化処理を行うことにより、SiO2ゲルのコーティング膜を緻密化、窒化し、当該緻密化し窒化されたSiO2膜でコーティングされた蛍光体粒子を得ることができる。このコーティング膜の緻密化、窒化処理を行うことにより、コーティング膜の機械的・化学的強化を図ることができることに加え、コーティング膜形成前に行われた解砕工程において、蛍光体粒子表面に生じた表面欠陥や歪を除去することができるので、蛍光体としての発光特性をさらに向上させることができる。
熱処理雰囲気としては窒素、アルゴン、アンモニアなどが考えられ、窒素処理雰囲気としては窒素、アンモニアなどが考えられる。熱処理と窒化処理は別々に行っても問題ないが、特にアンモニアを用いることで熱処理と窒化処理とが効率よく同時に行われ、SiO2ゲルのコーティング膜が機械的・化学的に強固な窒化ケイ素膜へと形成されるため好ましい。アンモニアガスを用いる場合、ガス濃度としては特に限定しないが、SiO2ゲルのコーティング膜を効率よく窒化するために、濃度99.9%以上であることがより好ましい。
熱処理に使用する炉は特に限定しないが、排気が炉内に溜まらないことが好ましいので、ガスフローの状態で熱処理を行うことができる炉が好ましい。また、アンモニアは腐食性ガスであるため炉材質には注意する。
熱処理温度が800℃を超え、好ましくは900℃以上あればSiO2ゲルのコーティング膜の緻密化、つまりガラス化が十分に進み、また窒化反応も十分に進行するため、熱劣化や真空紫外線劣化に優れたコーティング膜を得ることができる。一方、熱処理温度が1000℃以下であれば、ナノオーダーレベルの膜厚を有するSiO2ゲルのコーティング膜の溶解による蛍光体粒子同士の凝集を回避することができる。
ここで、蛍光体粒子同士の凝集の回避についてさらに説明する。
蛍光体粒子同士の凝集は、当該熱処理工程および上述したSiO2ゲルのコーティング工程の両方において発生する可能性がある。そして、蛍光体粒子の解砕工程以降において粒子同士が凝集してしまうと、当該凝集は、当該蛍光体粒子が最終的に所定の製品内に設置される段階まで解かれることがない。この結果、例えば、ペーストとして塗布した際の充填密度が低下するため、蛍光体層としての発光が弱くなってしまうこととなる。
そこで、蛍光体粒子解砕工程後の表面処理工程において、粒子同士の凝集を回避することは重要である。よって、熱処理温度としては800℃を超え、好ましくは900℃以上で、1000℃以下であることが好ましい。加えて、当該温度範囲で熱処理を行うと、SiO2ゲルのコーティング膜の緻密化(ガラス化)、窒化だけでなく、蛍光体粒子解砕工程により蛍光体粒子に生じた表面欠陥や歪をも除去することもでき、発光強度の向上、機械的・化学的耐久性の向上の観点からも効果が大きい。熱処理時間は、0.5h以上であれば窒化反応が十分に進行し、コーティング膜の緻密化も十分に進むので好ましい。また48hr以上熱処理をおこなっても効果が飽和するので、熱処理時間は0.5h〜48hrおこなうことが好ましい。
さらに、当該熱処理後に得られるSiO2膜でコーティングされた蛍光体粒子の窒素濃度が、熱処理前に比べ0.10wt%以上増加することが好ましく、さらに好ましくは0.20wt%以上増加しているとよい。ここで窒素濃度とは、SiO2ゲルのコーティング膜付き蛍光体粒子重量の全てを100wt%としたとき、当該粒子中の窒素重量を意味している。即ち、SiO2ゲルを含むコーティング膜が、アンモニア雰囲気中で熱処理・窒化処理されることにより、緻密化(ガラス化)されると同時に、窒化(SiO2からSi3N4へ変化)され、機械的・化学的に強固な膜となるわけであるが、当該処理の進行のパラメーターである窒素濃度の増加が0.10wt%以上になると、当該コーティング膜の窒化形成が十分なものであり耐熱性、耐酸化性も満足できる水準となるからである。
さらに本発明者らは、当該熱処理後のSiO2膜でコーティングされた蛍光体粒子において、耐紫外〜真空紫外特性も向上することを見出した。この詳細な理由は不明であるが、蛍光体粒子自身の表面が緻密で化学的に安定なコーティング膜で覆われているため、紫外〜真空紫外の照射を受けても蛍光体自身の表面で化学変化が進行せず、劣化反応の進行が抑制されるためではないかと考えられる。
このようにして製造された本発明に係る蛍光体粒子が、例えばPDP用蛍光体として用いられた場合、パネル製造時の熱処理(通常:大気中で400℃〜500℃×30min)による熱劣化に耐久性を有すること、パネル完成後に励起光として使用される紫外線(UV)〜真空紫外線(VUV)による劣化に対しても十分な耐久性を有すること等の観点から、最適な材料であるといえる。同様に、今後、次世代照明として期待されている、真空紫外〜青色発光する発光部と蛍光体とを組み合わせた照明装置やLED用の蛍光体としても有効な材料である。
以下、参考例、実施例および比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
(参考例1)
参考例1は、蛍光体粒子としてBAMと通称される一般式BaMgAl10O17:Euで表記される蛍光体粒子を用いた例である。
原料として市販の3Nグレードの試薬を用い、BaCO30.90mol、Eu2O3 0.05mol、4MgCO3・Mg(OH)2・5H2O 0.20mol、γ-Al2O3 5.00mol、AlF3 0.09molを秤量した。秤量された各原料粉をボールミルにて乾式混合したあと、アルミナるつぼに充填し、窒素雰囲気中にて1600℃×3hの焼成および昇温・冷却時間を含めて8時間かけて焼成をおこなった。焼成後の試料を振動ボールミルにて解砕し、洗浄、乾燥工程を経て蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒子の中位径(D50)は4.00μm、比表面積BET(m2/g)は1.13 m2/gであった。
この蛍光体粒子を、イソプロピルアルコール 500gと純水 80.0gとの混合溶媒中に20g添加し、液温を40℃に維持して攪拌を続けながら、0.410gのテトラエトキシシラン(TEOS 95%)を添加した。TEOSの添加の後、チューブポンプを用いて、アンモニア水(21.5%)66.9gを45minに渡り連続添加し、さらに大気雰囲気中で攪拌を60min継続して熟成を行い懸濁液を得た。
得られた懸濁液から蛍光体粒子を濾過により分別したあと、当該蛍光体粒子を洗浄することなく、そのまま乾燥機に入れ乾燥させてSiO2ゲルのコーティングがされた蛍光体粒子を得た。当該蛍光体粒子の中位径(D50)は4.29μmであった。ここで、上述した膜厚算定方法により、添加したTEOS量から当該SiO2ゲルのコーティングされた蛍光体粒子のコーティング膜厚は2.6 nmであると算定された。さらに、当該コーティング実施前・後において、当該蛍光体粒子を波長147nmの真空紫外線で励起し、その発光強度の変化を測定したところ3%の低下であることが判明した。これらの結果を表1に示す。
(参考例2)
蛍光体粒子へコーティング膜を施す際のテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を、蛍光体粒子10gに対し1.68gとした以外は、参考例1と同様の処理をして、SiO2ゲルのコーティング膜が施された蛍光体粒子を得た。
当該蛍光体粒子のコーティング前の中位径(D50)は4.47μm、比表面積BET(m2/g)は0.80 m2/gであり、コーティング後の中位径(D50)は6.39μmであった。また添加したTEOS量より算定したコーティング膜厚は28.8 nmであった。また、蛍光体粒子表面を、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて、(×20万倍)の倍率で粒子表面を観察した写真データを図3に示す。図3より、蛍光体粒子表面を被覆する均一なSiO2ゲルコーティング膜を確認することができた。また、図3より求めたコーティング膜厚は約26 nmであり、TEOS量より算出したコーティング膜厚とほぼ同値であった。さらに、当該コーティング実施前・後において、当該蛍光体粒子を波長147nmの真空紫外線で励起し、その発光強度の変化を測定したところ24%の低下であることが判明した。これらの結果を表1に示す。
(参考例1,2に係る試料の特性比較)
表1より、参考例1,2に係る蛍光体粒子を比較した結果、次のことが判明した。
まず、コーティング膜を施す前後で参考例1の中位径の変化率が小さいのに対し、参考例2では大きく増加している。これは、参考例1においてはコーティング膜厚が2.6 nmでありコーティングされた蛍光体粒子が互いに凝集するのを抑制されているのに対し、参考例2ではコーティング膜厚が28.8 nmであるため、当該コーティング膜を介した蛍光体粒子同士の凝集が進行してしまうためであると考えられる。
次に、波長147nmの真空紫外線で蛍光体を発光させた際の発光強度の変化において、参考例1ではコーティング後は3%の低下に留まったのに対し、参考例2では24%の低下となった。これは、参考例1においてはコーティング膜の膜厚が10nm未満であるため、真空紫外線の吸収が抑えられ、殆どの真空紫外線がコーティング膜を透過することができたのに対し、参考例2ではコーティング膜の膜厚が28.8 nmあり、真空紫外線がコーティング膜に一部吸収されてしまうためであると考えられる。
一方、蛍光体粒子表面を被覆するSiO2ゲルコーティング膜の膜厚に関し、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた観察データから求めた膜厚と、TEOS量より算出した膜厚とは、ほぼ一致することも判明した。
(実施例1)
原料として市販の3Nグレードの試薬を用い、BaCO30.85mol、Eu2O3 0.075mol、4MgCO3・Mg(OH)2・5H2O 0.20mol、α-Al2O3 5.0mol、MgF2 0.06molを秤量した。秤量された各原料粉をボールミルにて乾式混合したあと、アルミナるつぼに充填し、窒素雰囲気中にて1100℃×1h、その後1600℃×3hの2段階焼成と昇降温時間を含めて9時間かけて焼成をおこなった。次いで、参考例1と同様に、解砕、篩い分け、洗浄、乾燥工程を経て蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒子の中位径(D50)は3.21μm、比表面積BET(m2/g)は1.34 m2/gであった。
この蛍光体粒子を、イソプロピルアルコール 500gと純水 80.0gとの混合溶媒中に20g添加し、液温を40℃に維持して攪拌を続けながら、0.420gのテトラエトキシシラン(TEOS 95%)を添加した。TEOSの添加の後、チューブポンプを用いて、アンモニア水(21.5%)66.9gを45minに渡り連続添加し、さらに大気雰囲気中で攪拌を60min継続して熟成を行い懸濁液を得た。
得られた懸濁液から蛍光体粒子を濾過により分別したあと、当該蛍光体粒子を洗浄することなく、そのまま乾燥機に入れ乾燥させてSiO2ゲルのコーティングがされた蛍光体粒子を得た。当該蛍光体粒子の中位径(D50)は3.23μmであった。添加したTEOS量よりコーティング膜厚は、2.2 nmと算定された。
得られたSiO2ゲルのコーティング膜付き蛍光体粒子は、SiO2ゲルのコーティング膜なしのものに比べると、耐酸化性、耐紫外線劣化に優れた蛍光体であるが、本実施例においては、当該SiO2ゲルのコーティング膜付き蛍光体粒子へ、さらに熱処理を行って実施例1に係る蛍光体粒子を得た。
当該熱処理は、得られたSiO2ゲルコーティング膜付き蛍光体粒子をアルミナるつぼに入れ、それをガスフロー状態のアンモニア雰囲気中にて900℃×1h焼成しておこなった。尚、アンモニアガスとして99.9%UPのものを使用した。
(実施例2)
熱処理として、ガスフロー状態のアンモニア雰囲気中にて900℃×6h焼成をおこなった以外は実施例1と同様の処理をおこない、SiO2ゲルコーティング膜が高温窒化処理された実施例2に係る蛍光体粒子を得た。
尚、実施例1に係る蛍光体粒子に対し透過電子顕微鏡(TEM)を用いて、(×20万倍)の倍率により参考例2と同様に膜厚の測定をおこなった。その写真データを図4に示す。
図4より求めたSiO2ゲルコーティング膜厚は、1.5 nmであった。この値は、実施例1で説明した、添加したTEOS量より算定したコーティング膜厚2.2nmより減少しているが、当該膜厚の減少は、アンモニア雰囲気中での熱処理によるSiO2ゲルコーティング膜の緻密化(ガラス化)によるものであると考えられる。
(比較例1)
実施例1と同様に蛍光体粒子表面へSiO2ゲルコーティングを被着するが、その後の熱処理をしないで、比較例1に係る蛍光体粒子を得た。
(比較例2)
SiO2ゲルのコーティング膜付き蛍光体粒子への熱処理を、ガスフロー状態のアンモニア雰囲気中での700℃×1h熱処理とした以外は、実施例1と同様の処理をおこない、SiO2ゲルコーティング膜が窒化処理された比較例2に係る蛍光体粒子を得た。
(実施例1,2および比較例1,2に係る試料の特性比較)
実施例1,2および比較例1,2に係る蛍光体粒子に対し、(イ)試料に、劣化を促進させる条件の熱処理を加え、当該熱処理前後における試料の発光強度の変化を比較する熱劣化測定をおこない、その結果を表2、図1に示し、(ロ)試料の粒度分布測定おこない、その結果を表2に示し、(ハ)試料中に含まれる酸素量・窒素量(O/N)の分析おこない、その結果を表2に示し、(ニ)試料に、劣化を促進させる条件の真空紫外線照射を加え、当該照射時間毎における試料の発光強度の変化を比較する真空紫外線劣化測定をおこない、その結果を表2、図2に示した。尚、表2中には、参考としてSiO2ゲルコーティング膜付け前の蛍光体粒子のデータも記載した。
(イ)熱劣化測定
図1は、縦軸に、劣化を促進させる条件の熱処理前後における各試料の発光強度の相対強度を測定し、比較例2に係る熱処理前の試料が示した相対強度を1と規格化した値をとり、横軸に、熱処理温度をとり、実施例1のデータを実線、実施例2のデータを一点鎖線、比較例1のデータを二点鎖線、比較例2のデータを破線で記載したグラフである。表2、図1の結果から明らかなように、SiO2ゲルのコーティング膜付き蛍光体粒子へ、さらに熱処理をおこなった実施例1,2に係る試料においては、熱劣化処理後の発光強度の低下が軽微であったのに対し、比較例2および当該熱処理をおこなっていない比較例1に係る試料においては劣化がみられた。中でも、実施例2に係る試料は、熱劣化前後(500℃、700℃)での発光特性に変化が見られないという優れた耐熱性を示した。
実施例2に係る試料の耐熱性が優れている理由としては、熱処理をアンモニア中で行ったことによりSiO2ゲルコーティング膜が窒化され強固になったことと、900℃×6hの熱処理をおこなったことによると考えられる。すなわち、熱処理温度が900℃の場合は、SiO2ゲルコーティング膜の緻密化(ガラス化)がおこり、さらに熱処理時間が6hの場合は、当該緻密化が十分に進むためではないかと考えられる。これに対し、比較例1に係る試料の様に熱処理をおこなわない場合はSiO2ゲルコーティング膜の緻密化がおこらず、また比較例2に係る試料の様に熱処理温度が700℃×1hではSiO2ゲルコーティング膜の緻密化が不十分であるため、熱劣化が起こるものと考えられる。
尚、当該熱劣化測定は、次のようにしておこなった。
例えば500℃での熱劣化測定の場合、測定用の蛍光体粒子を約2.0g秤量し、アルミナるつぼに入れマッフル炉を用いて大気中で500℃×30min焼成を行い、熱劣化の試料を得た。
次に、分光光度計を用いて、熱劣化前後の試料における蛍光測定を行い、熱劣化に伴う発光強度の変化を測定する。ここで、蛍光測定に使用する励起波長は147nmの真空紫外線とする。
異なる温度での熱劣化測定の場合として、例えば700℃の場合は、焼成温度を500℃から700℃とする以外は全て同様なものとした。
(ロ)粒度分布測定
表2の結果より、熱処理温度の上昇、熱処理時間の延長に伴い粒度分布は、若干高い方向へシフトすることが判明した。しかし、併せて測定した10μmを超える粒径(PDP用蛍光体として好ましくない粒径)を示す凝集粒子は各試料とも見られず、何れの試料も粒度分布の観点からは問題ないことが判明した。
尚、蛍光体粒子試料の粒度分布測定は、ベックマン・コールター社製のレーザー散乱・回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。
(ハ)酸素量・窒素量(O/N)分析
表2の結果より、試料中に含まれる酸素量・窒素量(O/N)は、実施例1では0.62wt%、実施例2では0.67wt%であり、アンモニア雰囲気中での熱処理前に比較して0.10wt%以上増加していることが判明した。これに対し、比較例2の場合は0.38wt%であり0.09wt%の増加に留まった。これらの結果より、試料中へ十分な量の窒素を含有させるためには、700℃を超える温度で熱処理すればよいことが判明した。
尚、蛍光体粒子試料中に含まれる酸素量・窒素量(O/N)は、LECO社製の酸素・窒素同時分析装置(TC-436)を用いて測定した。
た。
(ニ)真空紫外線劣化測定
図2は、縦軸に、劣化を促進させる条件の真空紫外線照射時間毎における試料の発光強度の相対強度を測定し、比較例2に係る照射処理前の試料が示した相対強度を1と規格化した値をとり、横軸に、照射時間をとり、実施例2のデータを実線で、比較例2のデータを破線で記載したグラフである。表2、図2の結果から明らかなように、実施例2に係る試料では真空紫外線の照射時間に拘わらず発光強度の低下が見られず、真空紫外線劣化に対して優れた耐性を有していることが解る。これに対し、比較例2に係る試料では、真空紫外線の照射時間が60min、120minと長くなるにつれ、発光強度が徐々に低下することが判明した。
尚、当該真空紫外線劣化測定は、次のようにしておこなった。
蛍光体粒子試料を分光光度計用セルホルダーに充填し、その充填された蛍光体粒子へ波長147nmの真空紫外線を照射し、10min毎に、当該蛍光体粒子の発光強度を測定した。このとき、初めの発光強度をA、10min毎に測定された発光強度をB10、B20、…とし、B10/A、B20/A、…を発光強度維持率として求めた。ここで、図1には、照射120minまでのデータを記載し、表2にはその中から60minと120minとのデータを記載した。
試料の耐熱劣化特性を示すグラフである。 試料の耐真空紫外線特性を示すグラフである。 参考例2に係る試料の透過電子顕微鏡写真である。 実施例2に係る試料の透過電子顕微鏡写真である。

Claims (14)

  1. 表面が窒素を含むSiO膜でコーティングされているBaMgAl 10 17 :Euの組成を有する蛍光体粒子の製造方法であって、
    蛍光体粒子の表面をSiOゲルにてコーティングした後、窒素を含む雰囲気中で熱処理する工程において、
    前記熱処理を800℃以上の温度でおこなうと伴に、当該熱処理前のSiOゲルコーティング膜の膜厚を25nm以下とすることを特徴とする蛍光体粒子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
    前記蛍光体粒子の表面をSiOゲルにてコーティングする際、
    水溶性の有機溶媒中で、蛍光体粒子と、オルガノシラン化合物と、水とを混合した後に、ゲル化剤を添加することを特徴とする蛍光体粒子の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
    前記窒素を含む雰囲気として、フロー状態の窒素を含む雰囲気を用いることを特徴とする蛍光体粒子の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
    前記窒素を含む雰囲気としてアンモニア雰囲気を用いることを特徴とする蛍光体粒子の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
    前記窒素を含む雰囲気として、濃度99.9%以上のアンモニアガスを用いることを特徴とする蛍光体粒子の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
    前記熱処理を、0.5hr〜48hrおこなうことを特徴とする蛍光体粒子の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の蛍光体粒子の製造方法であって、
    前記熱処理により、前記SiO膜でコーティングされた蛍光体粒子中の窒素濃度を0
    .1wt%以上増加させることを特徴とする蛍光体粒子の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の蛍光体粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする蛍光体粒子。
  9. 表面が窒素を含むガラス化したSiO膜でコーティングされ、BaMgAl 10 17 :Euの組成を有することを特徴とする蛍光体粒子。
  10. 前記窒素を含むガラス化したSiO膜の膜厚が25nm以下であることを特徴とする請求項8または9に記載の蛍光体粒子。
  11. 前記蛍光体粒子が、青色発光蛍光体であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の蛍光体粒子。
  12. 請求項8から11のいずれかに記載の蛍光体粒子を用いたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  13. 請求項8から11のいずれかに記載の蛍光体粒子を用いたことを特徴とする照明装置。
  14. 請求項8から11のいずれかに記載の蛍光体粒子を用いたことを特徴とするLED。
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