JP5036975B2 - 窒素を含有する蛍光体およびその製造方法、並びに発光装置 - Google Patents

窒素を含有する蛍光体およびその製造方法、並びに発光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5036975B2
JP5036975B2 JP2005103429A JP2005103429A JP5036975B2 JP 5036975 B2 JP5036975 B2 JP 5036975B2 JP 2005103429 A JP2005103429 A JP 2005103429A JP 2005103429 A JP2005103429 A JP 2005103429A JP 5036975 B2 JP5036975 B2 JP 5036975B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphor
containing nitrogen
phosphor particles
sio
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005103429A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006282809A (ja
Inventor
堅之 坂根
昌大 後藤
修次 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dowa Holdings Co Ltd
Original Assignee
Dowa Holdings Co Ltd
Dowa Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dowa Holdings Co Ltd, Dowa Mining Co Ltd filed Critical Dowa Holdings Co Ltd
Priority to JP2005103429A priority Critical patent/JP5036975B2/ja
Publication of JP2006282809A publication Critical patent/JP2006282809A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5036975B2 publication Critical patent/JP5036975B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、ブラウン管(CRT)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイ(PDP)などのディスプレイ装置や、蛍光表示管、蛍光ランプなどの照明装置等に使用される、窒素を含有する蛍光体およびその製造方法並びに発光装置に関するものであり、特には、紫外・青色等の光により励起され発光する窒素を含有する蛍光体およびその製造方法、並びに当該蛍光体を用いたLED、照明装置、ディスプレイ用バックライト装置等の発光装置に関する。
現在、照明装置として用いられている放電式蛍光灯、白熱電球などは、水銀などの有害な物質が含まれている、寿命が短い、といった諸問題を抱えている。ところが近年になって近紫外・紫外 〜 青色に発光する高輝度LEDが次々と開発され、そのLEDから発生する近紫外・紫外 〜 青色の光と、その波長域に励起帯を持つ蛍光体から発生する光とを、光の補色、及び混色により白色に発光させ、その白色光を次世代の照明として利用できないかといった研究、開発が盛んに行われている。この白色LED照明が実用化されれば、電気エネルギーから光への変換効率が高く熱の発生が少ないこと、半導体素子と蛍光体とから構成されているため、従来の白熱電球のように切れることがなく長寿命であること、水銀などの有害な物質が不要であること、小型であるといった利点があり、理想的な照明装置である。
この高輝度LEDの発光部と、蛍光体とを組合わせて白色光を作り出すLED照明の方式は、ワンチップ型方式と呼ばれ、高輝度の赤色LED、緑色LED、青色LEDの3原色LEDを使用し白色を作り出すマルチチップ型方式に比べ、演色性に優れ、低コストで製造できるといった優位点より、次世代照明として注目されている。
更に、高輝度LEDと蛍光体とを組み合わせたワンチップ型方式による白色LED照明については、2つの方式が考えられている。一つの方式は、高輝度青色LEDと、当該LEDから発生する青色の光により励起されて黄色発光する蛍光体とを組み合わせたものであり、他の方式は、近紫外・紫外発光するLEDと、当該LEDから発生する近紫外・紫外の光により励起されて赤色(R)発光する蛍光体および緑色(G)発光する蛍光体および青色(B)発光する蛍光体とを組み合わせたものである。
前者の方式は、例えば、InGaN系材料を使った高輝度青色LEDと、ガーネット系黄色蛍光体 (Y, Gd)3(Al, Ga)5O12:Ce (YAG:Ce)、Tb3Al5O12:Ce、Ca3Sc2Si3O12:Ceとを組み合わせたものがある。この方式による白色LED照明は、使用しているガーネット系黄色蛍光体が、青色の波長 460 nm付近に励起ピークを持っているため、高輝度青色LEDにより高効率で発光させることができ、更に、当該黄色蛍光体の発光波長は、輝度(視感度)が最も高い560 nm付近にあるため、高輝度の白色LED照明を得ることが可能である。
しかし、高輝度青色LEDとガーネット系黄色蛍光体を組み合わせた白色LED照明は、可視光領域の長波長側の発光、つまり赤色成分の発光が不足してしまうため、青みを帯びた白色発光となってしまい、電球のようなやや赤みを帯びた白色発光を得ることができず、演色性が悪いといった問題がある。
後者の方式は、近紫外・紫外発光するLEDと、当該LEDから発生する近紫外・紫外の光により励起され赤色(R)発光する蛍光体、緑色(G)発光する蛍光体、青色(B)発光する蛍光体から得られる光の混色を利用したものであるので、R・G・Bの組み合わせや混合比などにより、白色光以外にも任意の発光色を得ることが可能であることや、ブロードな発光スペクトルを持つR・G・Bその他蛍光体を使用することにより、太陽光に近い発光スペクトルが得られるため、演色性に優れた白色LED照明を作製することができる。そして、当該用途に使用される蛍光体として、赤色蛍光体であれば、例えば、Y2O2S:Eu、La2O2S:Eu、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn、(La, Mn, Sm)2O2S・Ga2O3:Euなどがあり、緑色蛍光体であれば、例えば、ZnS:Cu,Al、CaGa2S4:Eu、SrGa2S4:Eu、BaGa2S4:Eu、SrAl2O4:Eu、BAM:Eu,Mn、Ba2SiO4:Eu、などがあり、青色蛍光体であれば、例えば、BAM:Eu、Sr5(PO4)3Cl:Eu、ZnS:Ag、(Sr, Ca, Ba, Mg)10(PO4)6Cl2:Euなどがある。
ところが、近紫外・紫外LEDとR・G・B等の蛍光体との組み合わせによる白色LED照明においては、当該3色の蛍光体のうち赤色蛍光体が、他色の蛍光体に比べて近紫外・紫外領域における励起光に対する発光効率が低い。このため、当該3色の蛍光体のうち、赤色蛍光体のみ混合割合を多くせざるを得ず、その結果、輝度を稼ぐことのできる緑色蛍光体の混合割合が不足してしまい、高輝度の白色光が得られない。更に、赤色蛍光体の発光スペクトルがシャープであるため、高演色性の白色LED照明が得られないといった問題がある。
これらの問題を解決するには、発光波長が黄色から赤色(580 nm 〜 680 nm)の範囲にあり、ブロードな発光スペクトルのピークを持つ蛍光体であって、更に、励起光である近紫外・紫外から青色光の範囲に良好な励起帯を持つ蛍光体が必要であり、これまでに多くの研究が行われてきた。窒素を含有した蛍光体についても、多くの研究が行われ、最近では、長波長側まで良好な励起帯を持ち、ブロードな発光ピークが得られるオキシ窒化物蛍光体(例えば、特許文献1参照)や、サイアロンを母体とする蛍光体(例えば、特許文献2、3参照)、シリコンナイトライド系蛍光体(例えば、特許文献4、5)が報告され、ワンチップ型白色LED照明で問題となっていた演色性、輝度は、改善されつつある。
特開2001−214162号公報 特開2003−336059号公報 特開2003−124527号公報 特表2003−515655号公報 特開2003−277746号公報
上述の窒素を含有した蛍光体の発明により、近紫外・紫外から青色に発光する発光素子と、当該発光素子から発生する近紫外・紫外から青色の波長域に対して良好な励起帯を持ち、半値幅の広いブロードな発光ピークが得られるR・G・B蛍光体との組み合わせにより白色光を発するLEDを始めとした発光装置の輝度、演色性は改善改善されつつある。しかし、当該発光装置を、長時間点灯させた後に一旦消灯し、再び点灯させると色味が変化したり、輝度が低下するという問題が発生した。これら、発光の色味の変化や輝度の低下は、いずれも当該発光装置を汎用的な用途に使用する上での障害となる。
また、窒素を含有する蛍光体、または窒素を含有する蛍光体を用いた発光装置等の製造工程に熱処理工程がある場合にも、製造された発光装置の色味が変化したり、輝度が低下するという問題が発生した。この場合も、発光の色味の変化や輝度の低下は、いずれも当該発光装置を汎用的な用途に使用する上での障害となる。
そこで、本発明は、長時間の点灯や製造工程の熱処理を受けても、輝度が低下したり、色味が変化することのない蛍光体の提供、及び、その製造方法、並びに当該蛍光体を用いた白色LED照明を始めとする発光装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明者らは、発光装置の長時間の点灯や、製造工程における熱処理工程により、製造された蛍光体や発光装置の輝度が低下し、色味が変化する原因を追求した。そして、当該点灯や熱処理の際の熱により、窒素を含む蛍光体の表面が変質してしまうこと、更には、窒素を含む蛍光体表面の欠陥および歪みにより、構造が容易に乱れてしまい、窒素を含む蛍光体の発光強度が低下し、他色蛍光体との発光強度のバランスが崩れることにより、輝度が低下し、色味が変化してしまうのではないかという劣化機構に想到した。
本発明は、以上の解明結果に基づくものである。即ち、上述の課題を解決する第1の構成は、
組成式MmAaBbOoNn:Zで表記され、
M元素はCa、Srから選択される1種類以上の元素であり、A元素はAlであり、B元素はSiであり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素はEuであり、m=1、a=1、b=1、o ≦ 1、n = 2/3m + a + 4/3b - 2/3oである蛍光体であって、
前記蛍光体の表面にSiO 膜をコートする工程と、前記蛍光体に1000℃以下200℃以上の温度で窒素を含む雰囲気ガス中で熱処理を施す工程と、が行われたことにより、当該蛍光体の表面にSiO2膜を有することを特徴とする窒素を含有する蛍光体である。
の構成は、
第1の構成に記載の窒素を含有する蛍光体であって、
前記SiO2膜の膜厚が0.5 nm以上、400 nm以下であることを特徴とする窒素を含有する蛍光体である。
の構成は、
第1の構成又は第2の構成のいずれかに記載の窒素を含有する蛍光体であって、
当該蛍光体へ、波長300nmから500nmの範囲にある所定の励起光を照射した際、25℃における発光スペクトル中の最大ピークの相対強度の値をBPとし、
当該蛍光体を、300℃の大気中に4時間置いた後、25℃にもどし、前記の励起光を照射した際の、発光スペクトル中の前記最大ピークの相対強度の値をAPとしたとき、
(BP - AP)/ BP ≦ 0.3であることを特徴とする窒素を含有する蛍光体である。
の構成は、
第1の構成から第3の構成のいずれかに記載の窒素を含有する蛍光体であって、前記蛍光体の粒子の平均粒径が、20μm以下、1.0μm以上であることを特徴とする窒素を含有する蛍光体である。
の構成は、
第1の構成から第4の構成のいずれか記載の窒素を含有する蛍光体であって、
前記蛍光体は粉末状であることを特徴とする窒素を含有する蛍光体である。
の構成は、
第1の構成から第5の構成のいずれかに記載の窒素を含有する蛍光体の製造方法であって、
前記蛍光体の原料を焼成して蛍光体粒子を得る工程と、
前記蛍光体粒子を、1000℃以下200℃以上の窒素を含む雰囲気ガス中で熱処理して被熱処理部を有する蛍光体粒子を得る工程と、
前記被熱処理部を有する蛍光体粒子を、解砕する工程と、
水溶性の有機溶媒中へ、前記解砕された被熱処理部を有する蛍光体粒子と、オルガノシラン化合物と、水と、を投入して混合した後に、ゲル化剤を投入して、被熱処理部を有し、且つ、表面にSiO2膜を有する、窒素を含有する蛍光体粒子を製造する工程と、を有すること特徴とする窒素を含有する蛍光体の製造方法である。

の構成は、
第1の構成から第5の構成のいずれかに記載の窒素を含有する蛍光体の製造方法であって、
前記蛍光体の原料を焼成して蛍光体粒子を得る工程と、
前記蛍光体粒子を、解砕する工程と、
水溶性の有機溶媒中へ、前記解砕された蛍光体粒子と、オルガノシラン化合物と、水と、を投入して混合した後に、ゲル化剤を投入して、表面にSiO2膜を有する蛍光体粒子を得る工程と、
前記表面にSiO2膜を有する蛍光体粒子を、1000℃以下200℃以上の窒素を含む雰囲気ガス中で熱処理して、被熱処理部を有し、且つ、表面にSiO2膜を有する、窒素を含有する蛍光体粒子を製造する工程と、を有すること特徴とする窒素を含有する蛍光体の製造方法である。
の構成は、
第1の構成から第5の構成のいずれかに記載の窒素を含有する蛍光体と、発光部と、を有することを特徴とする発光装置である。
の構成は、
前記発光部が発する光の波長が、300 nm 〜 500 nmであることを特徴とする第8の構成に記載の発光装置である。
10の構成は、
前記発光部としてLED(発光ダイオード)を用いることを特徴とする第8の構成又は第9の構成に記載の発光装置である。
第1から第7の構成のいずれかに記載された蛍光体は、蛍光体粒子が、被熱処理部を有しているため、蛍光体粒子の結晶構造の欠陥および歪みが除去されており、且つ、熱伝導率の低いSiO膜を有しているため、熱が蛍光体表面まで伝わり難く蛍光体表面の温度上昇による変質を回避でき、外部からの供給酸素を遮断することができるので、点灯や熱処理の際の熱により生ずる、輝度の低下、色味の変化が抑えられた蛍光体である。
第8または第9の構成に係る蛍光体粒子の製造方法によれば、被熱処理部を有し、且つ表面にSiO膜を有する蛍光体粒子を含む、窒素を含有する蛍光体を、容易に高い生産性をもって製造することができる。
第10から第12の構成のいずれかに記載された発光装置は、長寿命である上、長時間の使用においても人間の視覚において顕著な輝度の低下がない、または、顕著な光の色味の変化が感じられない、優れた発光装置である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明者らが解明した、発光装置の長時間の点灯や、製造工程における熱処理工程により、製造された蛍光体や発光装置の輝度が低下し色味が変化するという劣化原因である、窒素を含む蛍光体の劣化機構について説明する。
上述した発光装置が発光する際、当該発光装置中の発光素子に注入される電流により発光部が発熱し、この発熱により発光素子に塗布された蛍光体表面の温度も上昇していると考えられる(〜200℃程度)。一方、発光装置の製造工程において、蛍光体が熱処理を受ける場合も、蛍光体粒子表面の温度は同様に上昇していると考えられる。すると、室温(25℃)では比較的安定であった窒素を含む蛍光体粒子表面の温度が上昇し、酸素などと化学反応を起こし、発光に適していた蛍光体表面が変質してしまい、輝度の低下や、各蛍光体の発光強度のバランスが崩れることにより色味が変化するという劣化機構に想到したものである。
ここで、発光装置の製造工程における熱処理とは、蛍光体を発光素子等に付着させるために、当該蛍光体を有機材料である樹脂などの種々のバインダーと混合し、発光素子等に塗布した後、当該バインダーを飛ばすために熱処理を施すことをいい、熱処理条件としては約300℃、3時間保持程度のものである。従って、当該蛍光体に求められる耐熱劣化性能とは、室温(25℃)から300℃の大気中に4時間保持した後の発光強度の低下率で評価され、当該低下率の値が小さければ好ましい。
本発明者らは、第1に、発光装置の発光時における劣化機構の原因となる蛍光体表面の温度上昇を抑えるために、当該蛍光体表面に熱伝導率の低い酸化物の膜、中でもSiO2コート膜を設けることにより、蛍光体表面の温度上昇による変質を回避できること、更に、当該SiO2膜を設けることにより、蛍光体外部から内部への酸素供給を遮断できることに想到した。そして、この蛍光体表面の温度上昇の抑制、および、蛍光体内部への酸素供給を遮断することで、当該蛍光体を用いた発光装置の長時間点灯により生ずる、発光輝度の低下、及び色味の変化を改善できることに想到した。
第2に、発光装置の製造時におけるにおける劣化機構の原因となる蛍光体表面の結晶構造の欠陥や歪みを除去するために、蛍光体粒子製造時の本焼成の後、または、上述したSiO2膜を設けた後に、窒素もしくはアンモニアガス等の窒素を構成元素として含む雰囲気ガス中にて1000℃以下200℃以上の温度で熱処理を行い、当該蛍光体粒子に被熱処理部を設けることにより、蛍光体粒子表面の欠陥や歪みを除去することができ、当該蛍光体を用いた発光装置の長時間点灯により生ずる、発光輝度の低下、及び色味の変化を改善できることに想到した。
本発明が適用される蛍光体粒子の組成は、特に限定されるものではなく、多様な蛍光体粒子を含む蛍光体に対して適用することができる。もっとも、本発明は、長時間の点灯により、蛍光体表面の変質、輝度の低下、色味の変化、といった問題を抱えている窒素を含有する蛍光体粒子に対しては、特に有効なものである。ここで、蛍光体の粒子形状は球状であっても良いし、板状であっても良く、特に限定はされない。
本発明が、特に有効に適用される窒素を含有した蛍光体粒子例の組成式は、MmAaBbOoNn:Zで表記され、M元素はII価の価数をとる元素であり、A元素はIII価の価数をとる元素であり、B元素はIV価の価数をとる元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素は付活剤であり希土類元素、遷移金属元素から選択される元素である。
組成式中のm、a、b、o、nの関係としては、n > 0である窒素を含有する蛍光体であれば、本発明を好個に適用することができる。
例えば、m = c + p、a = 0、b = 3、o = c + q、n = 4 + rとしたとき、cが0 < c ≦ 6であり、pが-c/2 < p < c/2であり、qが-c/2 < q < 2cであり、rは-2 < r < 2を満たす蛍光体、当該蛍光体であって、さらにcが2 ≦ c ≦ 4である蛍光体がある。
また例えば、m = 1、a + b < 8、o ≦ 1、n = 2/3m + a + 4/3b - 2/3oを満たした蛍光体、当該蛍光体であって、さらに1.8 ≦ a/m ≦ 5.0、3.0 ≦ b/m ≦ 6.2である蛍光体、同じく当該蛍光体であって、さらにa=1、b=1である蛍光体がある。
これらの蛍光体は、近紫外・紫外から可視光(250 nm 〜 550 nm)の波長域の光に良好な励起帯を持ち、赤色(580 nm 〜 680 nm)の範囲にブロードなピークを持つ発光に優れた蛍光体である。これら窒素を含有した蛍光体粒子に、本発明に係る被熱処理部およびSiO2膜を設けると、熱劣化により輝度が低下したり、色味が変化することのない蛍光体粒子を得ることが可能となる。
ここで、上述の本発明に係る蛍光体粒子に含まれるM元素、A元素、B元素、およびZ元素についてさらに説明する。
前記M元素は、II価の価数をとる1種類以上の元素であるが、好ましくはMg、Ca、Sr、Ba、Znから選択される1種類以上の元素である。
前記A元素は、III価の価数をとる1種類以上の元素であるが、好ましくはAl、Gaから選択される1種類以上の元素である。
前記B元素は、IV価の価数をとる1種類以上の元素であるが、好ましくはSi、Geから選択される1種類以上の元素である。
前記Z元素は、付活剤として作用する希土類元素または遷移金属元素から選択される少なくとも1種類以上の元素であるが、好ましくはEu、Ce、Pr、Tb、Yb、Mnから選択される1種類以上の元素である。
これら、M元素、A元素、B元素、Z元素として挙げた好ましい元素については、これらの元素を選択することで、優れた特性の蛍光体が得られるだけでなく、原料の入手が容易で、環境負荷も小さいといった利点も有している。
更に、上述した一般式において、m = c + p、a = 0、b = 3、o = c + q、n = 4 + rとしたとき、cが0 < c ≦ 6であり、pが-c/2 < p < c/2であり、qが-c/2 < q < 2cであり、rは-2 < r < 2であり、M元素にSrを使用している蛍光体粒子は、優れた発光特性が得られるものの、熱に対しては非常に弱いという問題を抱えており、本発明の適用により得られる効果が大きい。これは、Srを構成元素として含んでいる蛍光体粒子は、Srが溶出してしまい易いことが知られているように、水分や熱などの外部要因により蛍光体表面が容易に変質してしまったり、結晶構造が崩れてしまうため発光特性が大きく悪化してしまう。しかし、本発明の適用により、変質を引き起こす上記外部要因をSiO2コート膜によって抑制可能となるため、当該変質を回避でき、更に、被熱処理部を有することで、蛍光体粒子表面の欠陥および歪みが除去されるため、外部熱による結晶構造の崩れを抑制することができ、輝度の低下、色味の変化を改善することができるためであると考えられる。
被熱処理部およびSiO2コートを設けるという構成の適用が非常に有効と考えられる上述の窒素を含有する蛍光体の例としては、Ca2Si5N8:Eu、Sr2Si5N8:Eu、Ba2Si5N8:Eu、 (Sr,Ca)2Si5N8:Eu、2.75SrO・Si3N4:Eu、CaSi2O2N2:Eu、SrSi2O2N2:Eu、BaSi2O2N2:Eu、(Ca,Sr)Si2O2N2:Eu、(Ca,Ba)Si2O2N2:Eu、(Sr,Ba)Si2O2N2:Eu、CaAlSiN3:Eu、CaAl2Si10N16:Eu、Ca1.5Al3Si9N16:Eu、Ca2Al4Si8N16:Eu などや、これらの蛍光体の付活剤をEuから、Ce、Pr、Tb、Yb、Mnなど、他の希土類元素や遷移金属元素に代替したものなどである。
尚、本発明に係る蛍光体において、Z元素の添加量は、対応するM元素1モルに対して0.0001モル以上、0.5モル以下の範囲にあることが好ましい。Z元素の添加量が当該範囲にあると、過剰な付活剤に起因する濃度消光や過少なことに起因する発光寄与原子の過少による発光効率の低下を回避することが可能となる。添加する元素や母体の構造(組成式の違い)により、Z元素の添加の最適量は若干異なるが、さらに好ましくは0.005モル以上、0.1モル以下の範囲である。
ここで、上記蛍光体の製造方法について、本発明が好適に適用されるM元素がSr、B元素がSi、Z元素がEuであるSr-Si-O-N系蛍光体の製造を例として説明する。
M元素であるSrの原料としては、Srの酸化物、炭酸塩、水酸化物、窒化物などを用いることができる。Siの原料としてはSi3N4やSiO2を用いることが好ましい。N、OはM元素、B元素の原料に含まれるN、Oや焼成雰囲気から供給される。Z元素であるEuの原料としてはEuN、Eu2O3、または、金属Euを用いることが好ましい。各原料は、各々、市販の原料でも良いが、純度が高いものが好ましく、2N以上さらに好ましくは3N以上のものを準備する。
M元素がSrである蛍光体の製造であれば、M元素の原料として、SrO、SrCO3、Sr(OH)2等の化合物、B元素としてはSi3N4、Z元素としてはEu2O3を準備すると良い。
これらの原料配合において、例えば、モル比がSrCO3 : Si3N4 : Eu2O3= 2.708:1:0.021となるように各原料を秤量する。秤量された原料の混合は、乳鉢等を用いる通常の混合方法で良い。しかし、窒素を含有した蛍光体を混合する場合、混合は大気中で行っても特に問題はないが、原料の中には、水分や酸素、二酸化炭素と反応して形態変化するものもあるため、水分、酸素、二酸化炭素を除去した不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
混合が完了した原料を、窒素等の不活性雰囲気中にて1600℃以上で24時間保持して焼成を行い、当該焼成物を、乳鉢、ボールミル等の粉砕手段を用いて所定(20μm以下)の平均粒径となるように粉砕し、Sr-Si-O-N系蛍光体粒子を得ることができる。製造された蛍光体粒子について組成分析を実施した結果、Sr2.9Si3O4.17N3.28:Euであった。
次に、本発明が好適に適用されるCa-Al-Si-N系蛍光体粒子の製造方法ついて、CaAlSiN3:Euを例として説明する。
この場合の各原料としては、金属原料、窒化物原料がよく、市販品でも問題ないが、純度は先の蛍光体と同様に高い方が好ましい。付活剤であるEuの原料についても窒化物原料、もしくは単体金属が好ましいが、添加量が少量であるため酸化物原料を用いても特に問題はない。以下、原料としてCa3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備した場合には、CaAlSiN3:Eu(但し、Eu/(Ca+Eu) = 0.020とし、Ca0.980AlSiN3:Eu0.020となる。)が得られるように、各元素のモル比がCa : Al : Si : Eu = 0.980 : 1 : 1 :0.020となるように、各原料の混合比を、それぞれ、Ca3N2を0.980/3 mol、AlNを1.0 mol、Si3N41.0/3 mol、Eu2O3を0.020/2 molを秤量し、他は、焼成温度を1500℃にした以外、先の蛍光体と同様の製造方法でCa0.980AlSiN3:Eu0.020蛍光体粒子を得ることができる。ここで、Eu2O3の添加量は少量であるため、得られた蛍光体の組成式はCa0.980AlSiN3:Eu0.020で問題ないと考えるが、厳密にはCa0.980AlSiO0.030N2.967:Eu0.020となる。
M元素、A元素、B元素、Z元素として、異なる組成物の場合、他の元素を用いた場合、および付活剤であるZ元素の付活量を変更した場合も、各原料の仕込み時の配合量を所定の組成比に合わせることで、上述したものと同様の製造方法により蛍光体を製造することができる。
次に、蛍光体粒子の解砕工程について説明する。
焼成後の蛍光体粒子は、乳鉢、ボールミル、ジェットミル、サンプルミル、ローラーミル、等を用いて解砕を行う。尚、後述する理由により、当該解砕は平均粒子径1.0μm以上、20μm以下となるよう行うことが好ましい。
次に、蛍光体粒子の表面にSiO2膜をコートする工程について説明する。
蛍光体粒子表面へ、SiO2膜をコートする方法としては、所謂ゾル・ゲル法が好ましい。ゾル・ゲル法とは、まず蛍光体粒子表面に、コーティング物質の加水分解生成物を被着させた後、触媒などによって、当該加水分解生成物を縮合反応させる方法である。そこで本発明の場合、蛍光体へのSiO2コートは、有機溶媒中で蛍光体粒子とオルガノシラン化合物と水とを混合し、ゾルの加水分解反応を行うことから始まる。
ここで、有機溶媒としては、加水分解反応を進行させるゾル媒体として機能させるために水溶性のものが好ましく、特にメチルアルコール、エチルアルコール、およびイソプロピルアルコールなどのアルコール類が好ましい。
オルガノシランとしては、一般式R14-aSi(OR2)aで表されるアルコキシシラン(但し、R1は1価の炭化水素基、R2は炭素数1から4の1価の炭化水素基、aは3から4の整数である。)が好ましく、中でも、テトラエトキシシラン(以下、TEOSと記載する。)、メチルトリメトキシシランが好ましい。
アルコキシシランの加水分解を蛍光体粒子表面にて行わせるために、当該有機溶媒中に、加水分解に供される純水と蛍光体粒子とを入れて攪拌し、蛍光体粒子を懸濁させておく。次に、当該懸濁溶液中へアルコキシシランを添加し攪拌する。その後、加水分解・縮合反応を促進させる触媒を添加し攪拌する。これによって、蛍光体粒子表面にSiO2ゲルを含む被膜が形成される。
加水分解・縮合反応を促進させるゲル化剤としては、塩酸、硫酸または燐酸などの酸でも良いが、均一で緻密なコーティング膜を得る観点からは、アルカリの方が好ましく、またアルカリの中でも、金属分を有しないアンモニアが好ましい。加えて、アンモニアを用いることで、均一で緻密というな良好なSiO2膜が得られる上に、入手しやすく低コストで、揮発除去が容易で不純物の残留が無いなどの、多くのメリットがある。
ここで、加水分解反応に使用する反応槽としては、金属槽よりもセラミック反応槽やテフロンコートされた反応槽などを使用することが好ましい。これは、有機溶媒中で攪拌する際に、攪拌羽や反応槽壁が蛍光体粒子との衝突により削り取られ、発光強度を下げる不純物として蛍光体粉末に混入する可能性があるからである。
加水分解反応およびこれに続く縮合反応は、アンモニア水を添加したあと、熟成させることによって進行させるのが望ましい。アンモニア水の添加速度は特に限定されないが、ゆっくり添加することで、蛍光体懸濁液のpHが一気に上昇することを回避し、蛍光体粒子にコーティングされるSiO2膜の構造が粗になってしまうことを回避できる。
また、アンモニア水を添加する際は、連続的に添加することにより、コーティングされる蛍光体粒子同士の凝集を防止できる。これは、アンモニア水を連続的に添加し蛍光体懸濁液のpHを緩やかに上昇させることで、蛍光体粒子表面以外の懸濁液中でSiO2粒子が生成し、当該SiO2粒子が蛍光体粒子同士の凝集を誘発するバインダーとして働いてしまうという事態や、蛍光体粒子表面にSiO2が不均一に生成してしまうと表面が凸凹になり、当該蛍光体粒子同士が凝集しやすくなるといった事態を回避できるからである。また、アンモニア水添加完了後の、熟成時の液温は特に限定されないが、10℃ 〜 70℃さらには40℃程度が好ましい。液温が10℃ 〜 70℃さらには40℃程度であるとコーティング膜が粗になるのを回避することができる。熟成時間も特に限定されないが0.5hr 〜 5hrが好ましい。
以上の操作により得られる蛍光体粒子上のSiO2膜の膜厚、膜密度は、一般に、添加当初のアルコキシシラン量、純水量、蛍光体懸濁液液温、熟成時間などに依存するため、これらを制御することによって、任意の膜厚、膜密度を有するSiO2ゲルの膜を蛍光体粒子表面に被着することができる。
さらに、SiO2ゲルのコーティング膜の膜厚を400 nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは20nm未満とすることで、コーティングされた蛍光体粒子が互いに凝集するのを回避できることも見出された。
次に、添加するアルコキシシラン量の調整による、SiO2ゲルのコーティング膜における膜厚の制御について説明する。
まず、添加するアルコキシシラン量を(W1)、ねらいとするSiO2ゲルのコーティング膜の膜厚を(L)、BET法により求めた蛍光体粒子の比表面積(以下、比表面積BETと記載する。)を(S)、蛍光体粒子の仕込み量を(W3)とする。すると、添加された全蛍光体粒子の表面(S×W3)が膜厚(L)をもってSiO2ゲルコーティングされた場合、SiO2ゲルコーティングの体積を(V1)とすると、V1 = S × W3 × L…(式1)となる。
一方、SiO2ゲルコーティングの密度をρ(シリカゲル=2.0g/cm3の密度と同値)とし、全蛍光体粒子の表面に生成するSiO2の重量を(W2)とすると、W2 = V1×ρ…(式2)となる。
従って、SiO2の分子量を(Mw2)、SiO2のモル量を(M1)としたとき、全蛍光体粒子の表面に生成するSiO2膜のモル量は、M1 = W2/Mw2…(式3)となる。
ここでアルコキシシランが例えばTEOSの場合、Si(OC2H5)4 1.0mol中に、Siは1.0mol存在していることから、Si(OC2H5)41.0molから生成するSiO2も1.0molである。すなわち、SiO2をM1モル生成するためにはTEOSもM1モル必要となるので、TEOSの分子量を(Mw1)とするとアルコキシシラン量(W1)は、W1 = M1 × Mw1…(式4)となる。
そして、(式1〜4)より、W1 = S × W3 × L ×ρ× Mw1/Mw2…(式5)となり、ρ、Mw1、Mw2は定数、Sは測定値、W3は所定の設定値であることから、ねらいの膜厚値Lの値を式5に代入すれば、添加すべきアルコキシシラン量(W1)を求めることができる。
また、式5をLについて解くと、L=Mw2/(S×W3×ρ×Mw1)×W1…(式6)が得られ、添加したアルコキシシラン量(W1)よりSiO2ゲルのコーティング膜厚の値(L)を算定することができる。
さらに、SiO2ゲルのコーティング膜厚の値(L)を直接求める方法例として、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた高倍率観察結果から求めることができる。
得られたSiO2ゲル膜のコーティングされた蛍光体粒子は、固・液分離により蛍光体懸濁液から単離される。固・液分離の方法としては濾過が一般的である。乾燥方法は温風乾燥、真空乾燥、スプレードライヤーなど一般的な方法でよい。
次に、蛍光体粒子を熱処理する工程について説明する。
熱処理の方法としては、本焼成の後に、窒素を構成元素に含む雰囲気ガス中で本焼成より低い温度で熱処理する。
熱処理の条件として、熱処理温度は粒子同士が焼結しない温度、及び、蛍光体が製品に組み込まれた際に、さらされる温度においても安定である安定相を、被熱処理部として形成できる熱処理温度に設定する必要がある。そして、当該熱処理温度は、本焼成の焼成温度1600℃以下であることが好ましく、より好ましくは1000℃以下、さらに好ましくは500℃以下であって、200℃以上である。熱処理時間は熱処理温度によっても変わってくるが、0.5時間以上であることが好ましい。当該熱処理により、蛍光体粒子に被熱処理部を設けることで、蛍光体粒子表面に生じていた欠陥および歪みを除去することができ、熱劣化に優れた蛍光体粒子を得ることができる。
熱処理雰囲気としては、蛍光体表面が酸化すると表面構造が発光に適さない構造へと変化してしまうため、窒素を構成元素に含む雰囲気ガス中で行うことが好ましく、例えば、窒素雰囲気やアンモニア雰囲気などが好ましい。アンモニア雰囲気で行う際には、アンモニアは腐食性ガスのため炉材質が考慮された炉を使用する必要がある。また、若干ではあるが熱処理する蛍光体粒子より不要ガスが発生する可能性もあるため、雰囲気ガスはフローさせることが好ましい。
以上説明した、蛍光体粒子の表面にSiO2膜をコートする工程、および、蛍光体粒子を熱処理する工程は、所望により、いずれを先に行ってもよい。
尤も、SiO2膜コートを先に、熱処理を後に行った場合、SiO2ゲルの膜中に含まれる水分の除去、およびSiO2膜の結晶性向上による光の取り出し効率アップという効果を得ることができる。他方、熱処理を先に、SiO2膜コートを後に行った場合は、蛍光体粒子に残留する歪みを十分に解消することができ、発光特性の向上という効果を得ることができる。さらに、両方の効果を求める場合は、まず熱処理を行い、次にSiO2膜コート、さらに熱処理を行うことも好ましい構成である。
尚、SiO2膜コート後に熱処理を行う場合、熱処理の条件は、SiO2コート中にある水分と蛍光体表面とが化学反応を起こさない温度であって、且つ、SiO2コートの酸素が蛍光体中に拡散しない温度に設定すれば良いが、この場合も1000℃以下、より好ましくは500℃以下であって、200℃以上である。熱処理温度が1000℃以下であれば、ナノオーダーレベルの膜厚を有するSiO2ゲルのコーティング膜の溶解による蛍光体粒子同士の凝集を回避することができる。熱処理雰囲気としては、熱処理中の蛍光体粒子の酸化を防ぐために、Ar、N2などの不活性雰囲気、もしくは窒素を構成元素に含む雰囲気ガス(アンモニアガス等)中で行うことが好ましい。また、SiO2コート中から蒸発した水分を速やかに炉外に排出できるように、雰囲気ガスはフローさせることが好ましい。
こうして得られた、被熱処理部およびSiO2膜が、表面に設けられた窒素を含有する蛍光体粒子は、未処理の蛍光体粒子に比べ、熱劣化、長時間の点灯による輝度低下・色味変化が抑制されたものとなる。
この結果、波長300nmから500nmの範囲にある所定の励起光を照射された蛍光体の300℃、大気中で熱劣化される前の25℃における発光スペクトル中の最大ピークの相対強度の値を発光強度BPとし、前記所定の励起光を照射された前記蛍光体の300℃、大気中で4時間保持し、熱劣化された後の25℃における前記最大ピークの相対強度の値を発光強度APとしたとき、被熱処理部と表面にSiO2膜とを設けた蛍光体粒子を含む蛍光体は、当該熱劣化に対する変化率が、(BP - AP)/ BP ≦ 0.3 となり、耐熱性に優れていることが判明した。
本発明に係る被熱処理部およびSiO2コート膜が設けられた蛍光体を、粉体の形で用いる場合、当該蛍光体の粉体の平均粒径が20μm以下であることが好ましい。これは、蛍光体において発光は主に粒子表面で起こると考えられており、平均粒径が20μm以下であれば、粉体単位重量あたりの表面積を確保でき輝度の低下を回避することができるからである。さらに、当該粉体をペースト状として、発光素子等に塗布した場合には塗布密度を高めることができ、この観点からも輝度の低下を回避することができるからである。通常、SiO2を加水分解・重合により粒子表面にコートした場合は、粒子同士が凝集しやすく、コート前の平均粒子径に比べて、コート後の平均粒子径は大きく増加する場合が多いが、上述した本発明の製造方法によれば、凝集がほとんどみられず、コート前とコート後の平均粒子径はほぼ等しい。更に、SiO2コート後に熱処理した場合も、処理温度が低温であるため凝集はほとんど見られない。つまり、コート前の蛍光体粉末の平均粒子径を20μm以下とし、本発明の製造方法を適用すれば、当該蛍光体の粉体の平均粒径が20μm以下であるものを容易に得ることが可能である。また、本発明者らの検討によると、詳細な理由は不明であるが、蛍光体粉体の発光効率の観点からは、蛍光体粉末の平均粒径が1μmより大きいことが好ましいことも判明した。以上のことより、係る蛍光体粉体の平均粒径は、1μm〜20μmであることが好ましい。
粉末状となった本発明に係る蛍光体を、波長域250 nmから550 nm、好ましくは波長域350 nmから480 nmのいずれかの光を発光する発光部と組み合わせることで、各種の照明装置やディスプレイ用バックライト装置等の発光装置を製造することができる。
発光部として、例えば、紫外から青色の範囲で発光するLED発光素子、紫外光を発生する放電灯等を用いることができる。そして、本発明に係る蛍光体と他の蛍光体との混合した物を当該LED発光素子と組み合わせた場合には、各種の照明装置やディスプレイ用バックライト装置等の発光装置を製造することができ、本発明に係る蛍光体と他の蛍光体との混合した物を当該放電灯と組み合わせた場合には、各種蛍光灯や照明装置やディスプレイ用バックライト装置等の発光装置を製造することができる。
本発明に係る蛍光体と、当該LED発光素子および放電灯との組み合わせ方法は公知の方法にて行えば良いが、例えば、当該蛍光体を発光部に直接塗布する方法、当該蛍光体をシリコン等の樹脂に分散させた後、当該分散物を発光部に塗布する方法、当該蛍光体を樹脂などにより形成された透明基材等に塗布し、当該基材を発光部上に配置する方法を採ることができる。
上述の発光装置において、LED発光素子、放電灯等を発光させると、これらの発光部は所定波長の光を発光するが、この所定波長の光の一部または全部が励起源となり、当該蛍光体が前記所定波長と異なる波長で発光し、優れた耐久性、輝度を有する白色光を始めとした発光装置を得ることができる。
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
市販のCa3N2(2N)、AlN(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備し、各元素のモル比がCa:Al:Si:Eu = 0.980:1:1:0.020となるように各原料をCa3N2を0.980/3 mol、AlNを1 mol、Si3N4を1/3 mol、Eu2O3を0.020/2 mol秤量し、窒素雰囲気下のグローブボックス中において乳鉢を用いて混合した。混合した原料をBNるつぼに入れ、窒素雰囲気中1500℃で24時間保持・焼成した後、1500℃から200℃まで1時間で冷却し、組成式Ca0.980AlSiN3:Eu0.020で示される蛍光体を得た。ここで、Eu2O3の添加量は少量であるため、得られた蛍光体の組成式はCa0.980AlSiN3:Eu0.020で問題ないと考えるが、厳密にはCa0.980AlSiO0.030N2.967:Eu0.020となる。得られた蛍光体の平均粒子径(D50)は、5.76μmと白色LED用蛍光体として好ましい1.0μm以上、20μm以下の範囲であった。
この蛍光体粒子を、イソプロピルアルコール550gと純水0.368gとの混合溶媒中に10g投入し、液温を40℃に維持して攪拌を続けながら、コート膜厚が5.0 nmとなるように上記計算式より求めた0.408gのテトラエトキシシラン(TEOS、95%)を添加した。TEOSの添加の後、チューブポンプを用いて、アンモニア水(23.29%)61.3gを45minにわたり連続添加し、さらに攪拌を60min継続して熟成を行った。得られた反応液から蛍光体粒子をろ過により分別したあと、当該蛍光体粒子を洗浄することなく、そのまま乾燥機に入れ乾燥させてSiO2コートされた蛍光体粒子を得た。当該蛍光体粒子の酸素濃度 2.96%、窒素濃度 29.4%であり、平均粒子径(D50)は 6.00μmであった。
次に、SiO2コートされた蛍光体粒子を、窒化ホウ素でできたるつぼに充填し、窒素雰囲気中で300℃まで15℃/minで昇温し、300℃で12時間保持し熱処理した。熱処理後に乳鉢粉砕することにより、被熱処理部および表面にSiO2コートが設けられた蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒子の酸素濃度 2.84%、窒素濃度 29.4%であり、平均粒子径(D50)は 6.47μmであった。
(比較例1)
比較例1では、蛍光体粒子に被熱処理部を設けない以外は、実施例1と同様の処理をして蛍光体粒子を得た。当該蛍光体粒子の酸素濃度 2.96%、窒素濃度 29.4%であり、平均粒子径(D50)は 6.00μmであった。
(比較例2)
比較例2では、蛍光体粒子に被熱処理部および表面にSiO2コートを設けない以外は、実施例1と同様の処理をして蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒子の酸素濃度 2.92%、窒素濃度 26.8%であり、平均粒子径(D50)は 5.76μmであった。
(実施例1および比較例1、2に係る試料の特性比較)
図1に、実施例1及び比較例1、2に係る蛍光体粒子の、平均粒径(D50)、酸素濃度(wt%)、窒素濃度(wt%)、25℃で波長460nmの励起光により励起されたときの発光特性(ピーク波長(nm)、発光強度(比較例2の強度を1と規格化した場合の相対強度)、色度(x、y)、当該蛍光体へ300℃の熱をかけ、当該加熱時間0minの時の発光強度を1.00と規格化したときの、加熱時間0minから240min(4時間)後の相対発光強度及びその変位を示す。また、図2は、縦軸に相対発光強度をとり、横軸に熱劣化時間(加熱時間)をとったグラフであり、実施例1及び比較例1、2に係る蛍光体の当該相対発光強度の時間変化を、実施例1は○、比較例1は◆、比較例2は●でプロットし、当該プロット点を、実施例1のデータは実線、比較例1のデータは一点鎖線、比較例2のデータは破線を用いて結んだものである。
尚、当該蛍光体の加熱による熱劣化測定は、次のようにしておこなった。
まず、測定対象の蛍光体試料を波長460nmの光で励起して発光強度を測定した。次に、当該測定用の蛍光体粒子を約2.0g秤量し、BNるつぼに入れ、マッフル炉を用いて大気中で300℃で所定時間の加熱を行い、熱劣化後の試料を得た。そして、当該熱劣化後の試料に対し波長460nmの光で励起して発光強度を測定し、熱劣化に伴う発光強度の変化を測定した。
実施例1、及び比較例1、2に係る蛍光体粒子の平均粒径はいずれもほぼ等しく、被熱処理部およびSiO2コートを設けたことによる、蛍光体粒子の凝集や焼結が生じていないことが解る。これは、実施例1に係る蛍光体粒子の処理条件を、SiO2コートの反応速度を抑制する条件にしたこと、及び熱処理条件を蛍光体粒子の焼結が起こらない温度域に設定した効果であると考えられる。
実施例1および比較例1、2に係る蛍光体粒子の酸素濃度は、いずれもほぼ等しい。理論的にはSiO2コートを施すと酸素濃度は上昇するが、当該SiO2コートの膜厚はナノオーダーと非常に薄いため、SiO2コートによる酸素増加は僅かであり、分析結果ではSiO2コート前後での酸素濃度の差は、はっきりとは現れていない。加えて、当該熱処理を、窒素を構成元素に含む雰囲気ガス中で行っているため、蛍光体粒子は酸化されることなく、処理前の発光特性を維持していることが確認できる。
窒化物蛍光体は、合成後の処理工程により発光特性が大幅に低下してしまうことがある。しかし本発明に係る処理条件では、そのような低下はみられず、処理前の発光特性を維持している。更に、窒化物蛍光体は、水分および酸素の影響により発光特性が低下してしまうことがあるため、合成後の処理工程において、水分および酸素の影響を回避することが好ましい。
次に、実施例1および比較例1、2に係る蛍光体粒子を加熱して行った、熱劣化試験の結果について説明する。図1、2の結果から解るように、実施例1に係るCaAlSiN3:Eu蛍光体は、比較例2に比べて、熱劣化時間30minから60minの間では約10%程度、発光強度の低下を抑えることができている。さらに実施例1に係るCaAlSiN3:Eu蛍光体は、比較例1に比べても、熱劣化時間120minから240minの間で数%程度、発光強度の低下を抑えることができている。そして、熱劣化に対しての変化率:(BP - AP)/ BP の値においても、実施例1は比較例1、2に比べ0.02程度の改善がみられた。従って、本発明に係る蛍光体を用いた各種照明装置の製品化工程において、60min程度の熱処理工程があった場合でも、本発明に係る処理を行った蛍光体を用いた場合には、製品化工程における発光特性低下を回避することが可能であることが判明した。
(実施例2)
市販のSrCO3(3N)、Si3N4(3N)、Eu2O3(3N)を準備し、各々のモル比がSrCO3 : Si3N4 : Eu2O3= 2.708 : 1 : 0.021となるように各原料を秤量する。この秤量した原料を大気中にて回転ボールミルを用いて混合した。混合した原料をBNるつぼに充填し、窒素雰囲気6.0kgf/cm2の加圧下において、1600℃まで15℃/minの昇温速度で昇温し、1600℃で24h保持して焼成した後、1600℃から200℃まで1時間で冷却し、得られた焼成物を乳鉢を用いて粉砕し蛍光体試料を得た。当該蛍光体試料の原料仕込みからの組成式は、2.75SrO・Si3N4:Euである。得られた蛍光体の平均粒子径(D50)は、6.73μmと白色LED用蛍光体として好ましい1.0μm以上、20μm以下の範囲であった。
この蛍光体粒子10gを、イソプロピルアルコール550gと純水0.299gとの混合溶媒中に投入し、液温を40℃に維持して攪拌を続けながら、0.331gのテトラエトキシシラン(TEOS、95%)を添加した。TEOSの添加後、チューブポンプを用いて、アンモニア水(濃度23.29%)49.7gを45minにわたり連続添加し、さらに攪拌を60min継続して、熟成を行った。得られた反応液から、蛍光体粒子をろ過により分別したあと、当該蛍光体粒子を洗浄することなく、そのまま乾燥機に入れ乾燥させてSiO2コートされた蛍光体粒子を得た。ここで、蛍光体粒子表面を、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて(×20万倍)の倍率で観察した写真データを図3に示す。図3より、蛍光体粒子表面を被覆するSiO2コート膜厚は約5.0nmであり、TEOS添加量より算出したコート膜厚とほぼ同値であることが判明した。
次に、SiO2コートされた蛍光体粒子をBNるつぼに充填し、窒素雰囲気中で300℃まで15℃/minで昇温し、300℃で12時間保持して熱処理を行った。熱処理後の蛍光体を乳鉢粉砕することにより、被熱処理部および表面にSiO2コートが設けられた蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒子の酸素濃度 15.5%、窒素濃度 9.86%であり、平均粒子径(D50)は 7.32μmであった。
(比較例3)
比較例3では、蛍光体粒子に被熱処理部を設けない以外は、実施例2と同様の処理をして蛍光体粒子を得た。当該蛍光体粒子の酸素濃度 15.9%、窒素濃度 9.34%であり、平均粒子径(D50)は 7.05μmであった。
(比較例4)
比較例4では、蛍光体粒子に被熱処理部および表面にSiO2コートを設けない以外は、実施例2と同様の処理をして蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒子の酸素濃度 15.9%、窒素濃度 10.0%であり、平均粒子径(D50)は 6.73μmであった。
(実施例2、および比較例3、4に係る試料の特性比較)
図4に、実施例2及び比較例3、4に係る蛍光体粒子の、平均粒径(D50)、酸素濃度(wt%)、窒素濃度(wt%)、25℃で波長460nmの励起光により励起されたときの発光特性(ピーク波長(nm)、発光強度(比較例4の強度を1と規格化した場合の相対強度)、色度(x、y)、当該蛍光体へ300℃の熱をかけ、当該加熱時間0minの時の発光強度を1.00と規格化したときの、加熱時間0minから240min(4時間)後の相対発光強度及びその変位を示す。また、図5は、縦軸に相対発光強度をとり、横軸に熱劣化時間(加熱時間)をとったグラフであり、実施例2、及び比較例3、4に係る蛍光体の当該相対発光強度の時間変化を、実施例2は○、比較例3は◆、比較例4は●でプロットし、当該プロット点を、実施例2のデータは実線、比較例3のデータは一点鎖線、比較例4のデータは破線を用いて結んだものである。
尚、当該蛍光体の加熱による熱劣化測定は、実施例1および比較例1、2と同様におこなった。
実施例2、及び比較例3、4に係る蛍光体粒子の平均粒径は、いずれもほぼ等しく、被熱処理部およびSiO2コートを設けたことによる、蛍光体粒子の凝集や焼結が生じていないことが解る。これは、実施例2に係る蛍光体粒子の処理条件を、SiO2コートの反応速度を抑制する条件にしたこと、及び熱処理条件を蛍光体粒子の焼結が起こらない温度域に設定した効果であると考えられる。
実施例2、および比較例3、4に係る蛍光体粒子の酸素濃度は、いずれもほぼ等しい。理論的にはSiO2コートを施すと酸素濃度は上昇するが、当該SiO2コートの膜厚はナノオーダーと非常に薄いため、SiO2コートによる酸素増加は僅かであり、分析結果ではSiO2コート前後での酸素濃度の差は、はっきりとは現れていない。加えて、当該熱処理を、窒素を構成元素に含む雰囲気ガス中で行っているため、蛍光体粒子は酸化されることなく、処理前の発光特性を維持していることが確認できる。
上述したように、窒化物蛍光体は合成後の処理工程で条件を誤ると、溶液中の水分や処理雰囲気中からの酸素やSiO2コートの酸素により蛍光体が酸化されてしまい、発光特性が大幅に低下してしまうことがある。特に、実施例2で使用した蛍光体は、実施例1で使用した蛍光体に比べ、酸素含有量が高いため、酸素と窒素のバランスが崩れやすく、バランスを崩してしまうと発光特性が大きく低下するという特徴を持っている。しかし、本発明に係る処理条件では、この問題を回避することができ、処理後の蛍光体は、処理前の発光特性を維持していることが判明した。
次に熱劣化試験の結果について図4、5を用いて説明する。
まず、図4、5の結果から解るように、比較例4に係る2.75SrO・Si3N4:Euで表記される蛍光体は、上述した比較例2に係るCaAlSiN3:Euで表記される蛍光体に比べ、熱劣化に対しての変化率:(BP - AP)/ BPの値が大きく、熱劣化の影響を受け易くて、大気中で300℃、240min(4時間)熱劣化させると、発光強度が熱劣化前と比較して60%程度も低下してしまう場合がある。ところが、当該比較例4にSiO2コートを設けた場合は、比較例3に示すように50%程度の低下となり、さらに、本発明に係る被熱処理部およびSiO2コートを設けた場合は、実施例2に示すように28%程度に改善することが解った。つまり、2.75SrO・Si3N4:Euで表記される蛍光体は、発光特性が熱劣化を受けやすいが、蛍光体表面にSiO2コートを施すことにより蛍光体表面への酸素供給を遮断し、さらに、被熱処理部を設けることで欠陥や歪みを除去することにより、当該熱劣化を大きく抑制できることが判明した。
従って、本発明に係る蛍光体を用いた各種照明装置の製品化工程において、60min以上の熱処理工程があった場合でも、本発明に係る処理を行った蛍光体を用いた場合には、製品化工程における発光特性低下を、大きく抑制することが可能であることが判明した。
実施例1及び比較例1、2に係る蛍光体の分析結果及び発光特性の一覧表である。 実施例1及び比較例1、2に係る熱劣化試験の結果を示すグラフである。 実施例2に係る蛍光体の透過電子顕微鏡写真(×20万倍)である。 実施例2及び比較例3、4に係る蛍光体の分析結果及び発光特性の一覧表である。 実施例2及び比較例3、4に係る熱劣化試験の結果を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 組成式MmAaBbOoNn:Zで表記され、
    M元素はCa、Srから選択される1種類以上の元素であり、A元素はAlであり、B元素はSiであり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Z元素はEuであり、m=1、a=1、b=1、o ≦ 1、n = 2/3m + a + 4/3b - 2/3oである蛍光体であって、
    前記蛍光体の表面にSiO 膜をコートする工程と、前記蛍光体に1000℃以下200℃以上の温度で窒素を含む雰囲気ガス中で熱処理を施す工程と、が行われたことにより、当該蛍光体の表面にSiO2膜を有することを特徴とする窒素を含有する蛍光体。
  2. 請求項に記載の窒素を含有する蛍光体であって、
    前記SiO2膜の膜厚が0.5 nm以上、400 nm以下であることを特徴とする窒素を含有する蛍光体。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の窒素を含有する蛍光体であって、
    当該蛍光体へ、波長300nmから500nmの範囲にある所定の励起光を照射した際、25℃における発光スペクトル中の最大ピークの相対強度の値をBPとし、
    当該蛍光体を、300℃の大気中に4時間置いた後、25℃にもどし、前記の励起光を照射した際の、発光スペクトル中の前記最大ピークの相対強度の値をAPとしたとき、
    (BP - AP)/ BP ≦ 0.3であることを特徴とする窒素を含有する蛍光体。
  4. 請求項1からのいずれか一項に記載の窒素を含有する蛍光体であって、前記蛍光体の粒子の平均粒径が、20μm以下、1.0μm以上であることを特徴とする窒素を含有する蛍光体。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載の窒素を含有する蛍光体であって、
    前記蛍光体は粉末状であることを特徴とする窒素を含有する蛍光体。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載の窒素を含有する蛍光体の製造方法であって、
    前記蛍光体の原料を焼成して蛍光体粒子を得る工程と、
    前記蛍光体粒子を、1000℃以下200℃以上の窒素を含む雰囲気ガス中で熱処理して被熱処理部を有する蛍光体粒子を得る工程と、
    前記被熱処理部を有する蛍光体粒子を、解砕する工程と、
    水溶性の有機溶媒中へ、前記解砕された被熱処理部を有する蛍光体粒子と、オルガノシラン化合物と、水と、を投入して混合した後に、ゲル化剤を投入して、被熱処理部を有し、且つ、表面にSiO2膜を有する、窒素を含有する蛍光体粒子を製造する工程と、を有すること特徴とする窒素を含有する蛍光体の製造方法。
  7. 請求項1からのいずれか一項に記載の窒素を含有する蛍光体の製造方法であって、
    前記蛍光体の原料を焼成して蛍光体粒子を得る工程と、
    前記蛍光体粒子を、解砕する工程と、
    水溶性の有機溶媒中へ、前記解砕された蛍光体粒子と、オルガノシラン化合物と、水と、を投入して混合した後に、ゲル化剤を投入して、表面にSiO2膜を有する蛍光体粒子を得る工程と、
    前記表面にSiO2膜を有する蛍光体粒子を、1000℃以下200℃以上の窒素を含む雰囲気ガス中で熱処理して、被熱処理部を有し、且つ、表面にSiO2膜を有する、窒素を含有する蛍光体粒子を製造する工程と、を有すること特徴とする窒素を含有する蛍光体の製造方法。
  8. 請求項1からのいずれか一項に記載の窒素を含有する蛍光体と、発光部と、を有することを特徴とする発光装置。
  9. 前記発光部が発する光の波長が、300 nm 〜 500 nmであることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
  10. 前記発光部としてLED(発光ダイオード)を用いることを特徴とする請求項8または9に記載の発光装置。
JP2005103429A 2005-03-31 2005-03-31 窒素を含有する蛍光体およびその製造方法、並びに発光装置 Active JP5036975B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005103429A JP5036975B2 (ja) 2005-03-31 2005-03-31 窒素を含有する蛍光体およびその製造方法、並びに発光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005103429A JP5036975B2 (ja) 2005-03-31 2005-03-31 窒素を含有する蛍光体およびその製造方法、並びに発光装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006282809A JP2006282809A (ja) 2006-10-19
JP5036975B2 true JP5036975B2 (ja) 2012-09-26

Family

ID=37405058

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005103429A Active JP5036975B2 (ja) 2005-03-31 2005-03-31 窒素を含有する蛍光体およびその製造方法、並びに発光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5036975B2 (ja)

Families Citing this family (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4491585B2 (ja) 2004-05-28 2010-06-30 Dowaエレクトロニクス株式会社 金属ペーストの製造方法
JP4511885B2 (ja) 2004-07-09 2010-07-28 Dowaエレクトロニクス株式会社 蛍光体及びled並びに光源
JP4422653B2 (ja) 2004-07-28 2010-02-24 Dowaエレクトロニクス株式会社 蛍光体およびその製造方法、並びに光源
JP4933739B2 (ja) 2004-08-02 2012-05-16 Dowaホールディングス株式会社 電子線励起用の蛍光体および蛍光体膜、並びにそれらを用いたカラー表示装置
US7138756B2 (en) 2004-08-02 2006-11-21 Dowa Mining Co., Ltd. Phosphor for electron beam excitation and color display device using the same
JP4524470B2 (ja) 2004-08-20 2010-08-18 Dowaエレクトロニクス株式会社 蛍光体およびその製造方法、並びに当該蛍光体を用いた光源
US7476338B2 (en) 2004-08-27 2009-01-13 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Phosphor and manufacturing method for the same, and light source
JP4543253B2 (ja) 2004-10-28 2010-09-15 Dowaエレクトロニクス株式会社 蛍光体混合物および発光装置
JP4892193B2 (ja) 2005-03-01 2012-03-07 Dowaホールディングス株式会社 蛍光体混合物および発光装置
US7524437B2 (en) 2005-03-04 2009-04-28 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Phosphor and manufacturing method of the same, and light emitting device using the phosphor
US7445730B2 (en) 2005-03-31 2008-11-04 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Phosphor and manufacturing method of the same, and light emitting device using the phosphor
US7443094B2 (en) 2005-03-31 2008-10-28 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Phosphor and manufacturing method of the same, and light emitting device using the phosphor
JP4975269B2 (ja) 2005-04-28 2012-07-11 Dowaホールディングス株式会社 蛍光体およびその製造方法、並びに当該蛍光体を用いた発光装置
JP5353192B2 (ja) * 2007-11-09 2013-11-27 三菱化学株式会社 蛍光体、及びその製造方法
TWI393763B (zh) * 2010-10-15 2013-04-21 Chi Mei Corp A phosphor and a light emitting device
TWI393764B (zh) * 2010-10-15 2013-04-21 Chi Mei Corp A phosphor and a light emitting device
CN102443391B (zh) * 2010-09-30 2014-07-16 奇美实业股份有限公司 控制烧成的荧光体结构成分比例的方法、荧光体及发光装置
WO2019045106A1 (ja) * 2017-09-04 2019-03-07 三菱ケミカル株式会社 蛍光体、発光装置、画像表示装置及び照明装置
JP6787417B2 (ja) 2019-02-08 2020-11-18 日亜化学工業株式会社 窒化物蛍光体の製造方法及び窒化物蛍光体

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4450547B2 (ja) * 2002-08-29 2010-04-14 日亜化学工業株式会社 発光装置の製造方法
JP4512869B2 (ja) * 2005-02-28 2010-07-28 電気化学工業株式会社 蛍光体とその製造方法、およびそれを用いた発光素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006282809A (ja) 2006-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5036975B2 (ja) 窒素を含有する蛍光体およびその製造方法、並びに発光装置
TWI375710B (ja)
TWI351426B (en) Phosphor, method for production thereof, and light
JP4971630B2 (ja) 蛍光体およびその製造方法、並びに発光装置
JP5229878B2 (ja) 蛍光体を用いた発光器具
JP5367218B2 (ja) 蛍光体の製造方法および発光装置の製造方法
JP5016187B2 (ja) 窒化物蛍光体、窒化物蛍光体の製造方法、並びに上記窒化物蛍光体を用いた光源及びled
JP5503870B2 (ja) Ledに使用する蛍光体及びその配合物
JP5885175B2 (ja) 蛍光体およびその製造方法、蛍光体を用いた発光装置、画像表示装置、顔料および紫外線吸収剤
WO2008041501A1 (fr) Substance fluorescente, feuilles fluorescentes, procédé de fabrication de la substance fluorescente, dispositifs d&#39;émission de lumière réalisés à l&#39;aide de la substance
JP2008019407A (ja) 蛍光体の製造方法、蛍光体、半導体発光装置および画像表示装置
US20080272688A1 (en) Phosphor and Method of preparing the same as well as semiconductor light-emitting device and image display
JP2013127054A (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置および画像表示装置
KR101196845B1 (ko) (할로)금속실리콘산질화물 형광체 및 이의 제조방법
JP2009188274A (ja) 発光装置およびその製造方法
JPWO2012036016A1 (ja) 蛍光体および発光装置
JP2017210529A (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置、画像表示装置、顔料、および、紫外線吸収剤
JP5971620B2 (ja) 青色発光蛍光体及び該青色発光蛍光体を用いた発光装置
JP5912895B2 (ja) 蛍光体とその製造方法、及びそれを用いた発光装置
JP6489543B2 (ja) 波長変換部材、発光装置、および波長変換部材の製造方法
JP4879950B2 (ja) 蛍光体の製造方法
JP5736272B2 (ja) 青色発光蛍光体及び該青色発光蛍光体を用いた発光装置
WO2012124480A1 (ja) 蛍光体および発光装置
JP7282757B2 (ja) 赤色蛍光体及び発光装置
JP2010265463A (ja) 窒化物蛍光体、窒化物蛍光体の製造方法、並びに上記窒化物蛍光体を用いた光源及びled

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110224

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110420

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110512

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120531

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120626

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120704

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150713

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5036975

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250