JP4523853B2 - ヘッドレスト付き車両用シートおよび同シートを備えた車両 - Google Patents

ヘッドレスト付き車両用シートおよび同シートを備えた車両 Download PDF

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Description

本発明は、自動車等に搭載されるヘッドレスト付き車両用シートに関し、さらに詳しくは、乗員の頭部を拘束するだけでなく、必要に応じて頸部を好適に支持することもできるヘッドレスト付き車両用シートに関するものである。また、このヘッドレスト付き車両用シートを好適に備えた車両に関するものである。
車両用ヘッドレスト、或いはヘッドレスト付き車両用シートにおいては、乗員保護性能や快適性向上等の観点から、種々の構造が提案されている。
例えば特許文献1には、頸部或いは頭部を必要に応じて拘束し、乗員が安眠できるように快適性の向上を図ったヘッドレストが提案されている。図12は、特許文献1に示されるヘッドレストに相当するヘッドレスト190の斜視図である。ヘッドレスト190は、ポールを介してシートバック上部に取り付けられるヘッドレスト本体194の下側に、このヘッドレスト本体194を左右両側及び下側から挟むような略凹部状形態を有する補助部195を配置し、且つこれをヘッドレスト本体194の下側の枢軸191を中心として回動可能としたものである。そして、通常使用時には補助部195を上方へ回動させてこれをヘッドレスト本体194の左右両側及び下側にそれぞれ位置させ(二点鎖線で示す不使用姿勢)、ヘッドレスト本体194とともに乗員の頭部を拘束し得るようにする一方、例えば、乗員に大きな横G(左右方向の慣性力)が掛かるような場合には、補助部195をシート前方側へ倒してこれをヘッドレスト本体194の下側位置からシート前方側へ延出させ(実線で示す使用姿勢)、補助部195の左右両側に位置する両端部分193で乗員の頭部の横揺れを抑制するとともに、補助部195の中央に位置する中央部分192によって乗員の頸部を拘束するものである。
特開平9−75167号公報
ところで、車両の急激な加減速や衝突等により、後向きの大きな加速度が作用し、乗員が後方へ移動させられたり、一旦前向きの加速度が作用して乗員が前方へ移動させられ、その反動で後方へ移動させられたりする場合がある。上記従来技術のヘッドレスト190には、使用姿勢(補助部195が略水平状態となった姿勢)で使用中に、上記のような後方移動をする場合に遭遇すると、頭部や頸部が補助部195の先端部192aに大きな衝撃荷重で衝突し、乗員に不快感をもたらすという問題がある。
図12に示されるように、使用姿勢における先端部192aは、枢軸191と略同一高さに位置している。つまり上記衝撃荷重の方向と、先端部192aにおける回動半径の方向とが略同一(略水平)である。従って、上記衝撃荷重が作用したとき、その荷重が補助部195を回動変位させるようには殆ど作用しない。このため、補助部195の回動変位による緩衝作用を殆ど期待することができず、衝撃荷重の反作用がそのまま乗員の頭部や頸部に及ぼされるのである。
なお、補助部195の材質を充分柔軟なものにすれば上記衝撃荷重を緩和することができるが、その反面、本来の目的である頭部や頸部の拘束作用を減退させてしまうので、上記問題点の解決策としては不適当である。
本発明は以上のような事情に鑑み、乗員の頭部を効果的に拘束し、さらに必要に応じて頸部を適切に支持することができるとともに、乗員から後方向きに衝撃荷重を受けたとき、その反作用を低減し、乗員が受ける衝撃荷重を効果的に緩和することができるヘッドレスト付き車両用シートを提供することを目的とする。またそのシートを好適に備えた車両を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、シートバックの上方側にヘッドレストを配設したヘッドレスト付き車両用シートにおいて、上記ヘッドレストは、乗員の頭部を支持可能でシートバックに取り付けられたヘッドレスト本体と、該ヘッドレスト本体より下方側に設けられて乗員の頸部周辺を支持可能なヘッドレスト下部とを備え、上記ヘッドレスト下部は、上記ヘッドレスト本体内でシート幅方向に延設された横軸を中心に回動することにより前後方向に移動可能とされ、かつ所定の回動角度で位置決め可能であり、さらに該ヘッドレスト下部が少なくとも最後方に位置する状態よりも前方側に位置するように回動された状態で該ヘッドレスト下部に所定押圧力以上の押圧力が後方側へ作用したときに該ヘッドレスト下部が後方変位するように構成され、上記ヘッドレスト下部が最後方に位置する状態を前方から見て、該ヘッドレスト下部のシート幅方向の両端部に、上方側に延設された端部延設部がそれぞれ形成されており、上記端部延設部が上記横軸に軸支されて上記ヘッドレスト下部と一体に回動可能とされ、上記ヘッドレスト下部が少なくとも最後方に位置する状態よりも前方側に位置するように回動された状態において、当該ヘッドレストには、上記ヘッドレスト下部の前面ないし上面と、上記端部延設部の上記ヘッドレスト本体の側面に対向する内方側面と、上記ヘッドレスト本体の前面とにより、乗員の頭部を収めて支持可能な凹部が形成されることを特徴とする。
また請求項2の発明は、上記所定押圧力は、30Nないし100Nの範囲内に設定されていることを特徴とする。
また請求項3の発明は、請求項1または2記載のヘッドレスト付き車両用シートにおいて、上記横軸は上記ヘッドレスト本体の内部上方側に設けられていることを特徴とする。
また請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載のヘッドレスト付き車両用シートにおいて、上記ヘッドレスト下部は、上記ヘッドレスト本体に対して、摩擦力によって保持力を得るフリクション機構を介して取付けられることを特徴とする。
また請求項の発明は、請求項1乃至の何れか1項に記載のヘッドレスト付き車両用シートを備えた車両であって、前面衝突を検出する前突検出手段と、上記ヘッドレスト付き車両用シートの前方に設けられ、上記前突検出手段によって前面衝突が検出されたときに該ヘッドレスト付き車両用シートに着座した乗員に向けてバッグを展開膨脹させるエアバッグ手段とを備えることを特徴とする。
なお、当明細書において上下前後左右の方向を指すときは、特に記す場合を除いて、上半身を略鉛直に伸ばしてシートに着座した乗員、つまり、運転席に着座して運転操作を行っている乗員を基準とする方向をいうものとする。
請求項1の発明によれば、乗員の頭部の拘束と、頸部の支持とを効果的に行いつつ、衝撃荷重の緩和も可能となる。特に、ヘッドレスト本体によって乗員の頭部が必要以上に後方へ移動しないように拘束され、車両衝突時の乗員保護性能を向上させることができる。また必要に応じてヘッドレスト下部を回動させて前方へ移動させることにより、乗員の頸部(またはそれよりやや上方の後頭部。以下これらを総称して頸部周辺という。)を後方から支持することができる。例えば乗員がリラックス(居眠りを含む)して着座している場合、シートバックの後傾により上半身を後傾させて着座するリクライニング状態の場合、走行中に大きな慣性力(横Gを含む)が作用する場合等において、ヘッドレスト下部に頸部周辺を支持させることによって、頸部の負担を軽減することができる。つまり乗員の快適性を向上させることができる。なお、この時ヘッドレスト下部に作用する押圧力は、所定押圧力以下となるため、ヘッドレスト下部は実質的に不動となり、快適な姿勢を維持することができる。
しかも、ヘッドレスト下部がヘッドレスト本体より下方側に設けられ、ヘッドレスト本体内に設けられた横軸を中心に回動するように構成されているので、ヘッドレスト下部がヘッドレスト本体の真下近傍にあるときのヘッドレスト下部における回動円の接線方向は略水平方向となる。つまりヘッドレスト下部に後向きの衝撃荷重が作用したとき、該ヘッドレスト下部が後方変位するように回動させ易い構造となっている。
そしてヘッドレスト下部が、該ヘッドレスト下部に所定押圧力以上の押圧力が後方側へ作用したときに後方変位するように構成されているので、この所定押圧力を好適な値(ある程度の幅を持った範囲である場合を含む)に設定することにより、乗員の頸部周辺から衝撃荷重を受けた場合にヘッドレスト下部が回動変位するように構成することができる。そしてその際の乗員への反作用が低減され、乗員が受ける衝撃荷重が効果的に緩和されて乗員の不快感を抑制することができる。
また、請求項1の発明によれば、乗員がヘッドレスト下部の端部延設部を把持してヘッドレスト下部を回動させることができるので、回動操作性を高め、位置の微調整を容易化することができる。
さらに、ヘッドレスト下部で頸部周辺を支持する際、乗員の頭部を凹部に収めることができる。そして凹部に収められた頭部が、この凹部から逸脱することが規制される。さらに、例えば旋回中の加減速や斜め衝突により、頸部周辺がヘッドレスト下部に、平面視で斜め前後方向から衝突した場合であっても、頸部周辺を凹部内に接触させて支持しつつ、ヘッドレスト下部が回動変位することによって衝撃が緩和され、乗員の不快感を抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、所定押圧力を、大き過ぎず小さ過ぎない、好適な値とすることができる。すなわち、所定押圧力が30N以上となるように設定することより、乗員がヘッドレスト下部に頸部周辺を支持させているときに、所望の角度での固定位置を維持することができ、また所定押圧力が100N以下の値となるように設定することにより、乗員の手動によるネックサポート部の移動操作を可能としつつ、乗員に不快感をもたらす衝撃荷重を受けた場合に、的確にヘッドレスト下部が回動変位し、緩衝作用を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、横軸をヘッドレスト本体の内部上方側に設けることにより、横軸をヘッドレスト本体の内部下方側に設ける場合に比べ、ヘッドレスト下部の回動半径を長くとることができる。従ってヘッドレスト下部に衝撃荷重が作用して後方へ回動する場合、その上下方向移動量が比較的小さくなり、乗員の頸部周辺とヘッドレスト下部との当接位置が短時間に大きく上下にずれることがなく、乗員の不快感を効果的に抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、フリクション機構という比較的簡単な構造でヘッドレスト下部の位置決めを容易に行うことができる。また衝撃荷重を受けたときの回動動作を、的確且つ円滑に行うことができる。
請求項に記載の発明によれば、前面衝突時、前方側で展開膨脹したエアバッグに乗員が衝突した後、その反動で後方に移動させられ、シートバックに押付けられ、頸部周辺がヘッドレスト下部に衝突した場合であっても、ヘッドレスト下部の回動変位による緩衝作用によって乗員の不快感を抑制することができる。
まず、本発明の実施形態の基礎となる参考形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る第1参考形態のヘッドレスト付き車両用シート50(以下シート50と略称する)の側面図である。シート50が設けられる座席位置に制限はないが、特に運転席以外の座席、つまり走行中にもリラックス(居眠りを含む)して着座して良い座席に設けると好適である。当参考形態では助手席に搭載された場合を示す(図6参照)。シート50は、主に乗員の座面を支持するシートパン56を内蔵したシートクッション52と、乗員の背もたれとなるシートバック51とからなる。さらにシートバック51の上方側に、乗員の頭部および必要に応じて頸部を拘束するヘッドレスト1が設けられている。
シート50にはいわゆるサブマリン対策が施されている。サブマリン対策とは衝突時に乗員がシートベルトの下をかい潜って前方に飛び出すサブマリン現象を防止する周知の対策であり、具体的には例えばシートパン56を前上がりにする(膝に近い側を高くする)等の構造である。
シート50は、シートバック51を後傾自在とするリクライニング機構55を備えている。リクライニング機構55は、例えばレバー53とヒンジ部54とを備え、レバー53を前上がり方向に回転させることによって、シートバック51を、実線で示す通常着座状態と二点鎖線で示すリクライニング状態とに切換えられるように構成されている(矢印A2で示す)。シートバック51を適宜途中位置で停止させることも自在である。
なお、当参考形態で前後上下左右の方向を指すときは、特に記す場合を除いて、シート50に通常着座状態で着座した乗員を基準とする方向をいうものとする。従ってシート幅方向とは左右方向、つまり車幅方向と同義である。
図2は、ヘッドレスト1の斜視図である。また図3は、ヘッドレスト1の分解斜視図である。ヘッドレスト1は、主にヘッドレスト本体2と、ヘッドレスト本体2をシートバック51に連結するポール23と、ヘッドレスト本体2の下方側に設けられたネックサポート部3(ヘッドレスト下部)と、ネックサポート部3をヘッドレスト本体2に対して回動自在に支持する回動アーム20とからなる。
ヘッドレスト本体2は、主として乗員の頭部が必要以上に後方へ移動しないように拘束する部材である。ヘッドレスト本体2は、例えば、表皮一体発泡成形により製作された成形体であって、全体として横長の枕状形態を有している。
ポール23は、正面視で略逆U字状に曲げられた棒状体であり、車幅方向に延びる基部23aと、その両端から下方に延びる左右一対の脚部23bからなる。基部23aはポール基部ホルダ10に覆われた状態でヘッドレスト本体2の内部に埋設されている。そして脚部23bの先端側がヘッドレスト本体2の下方側から突出している。シートバック51には、突出したポール23の脚部23bを受け入れる図外のポールホルダが設けられており、ポール23をそのポールホルダに嵌挿することによってヘッドレスト1がシートバック51に取り付けられるように構成されている。また、ポール23の嵌挿深さ、つまりヘッドレスト1の高さを、周知の機構により適宜調整して固定できるように構成されている。
ポール基部ホルダ10の車幅方向両端には、後述する回動アーム20の枢軸26(横軸)を回動自在に支持する軸支部材10aが形成されており、枢軸26と係合する先端部分がヘッドレスト本体2の側面から突出している。軸支部材10aは、ヘッドレスト本体2の内部上方側、詳しくは上下方向中央よりも上側に設けられている。
ネックサポート部3は、必要に応じて乗員の頸部を後方から支持する部材である。ネックサポート部3は、例えば、表皮一体発泡成形により製作された成形体であって、ヘッドレスト本体2よりも高さ及び前後方向の厚みが小さく、ヘッドレスト本体2と略同幅の枕状形態を有している。ネックサポート部3には、左右方向に延びるネックサポート芯材21が通されている。ネックサポート芯材21の両端はネックサポート部3の両側面から突出している。ネックサポート部3の前側表面は、頸部を安定的に支持できるような湾曲形状となっている。すなわち図2に示す状態で、ネックサポート部の前側表面において、シート幅方向中央部よりもその両端側が前方に突出するように湾曲して形成されている。また上端面のシート幅方向中央部よりも両端部が上方に突出するように湾曲して形成されている。シート幅方向中央部付近の上端前面の曲率半径R(図7(a),(b)参照)は、一般的な乗員40の頸部42の形状に適合し易い25±10mmとなっている。
回動アーム20は、各軸支部材10aとネックサポート芯材21の各端部とをそれぞれ連結することにより、ヘッドレスト本体2にネックサポート部3を回動自在に支持させる左右一対の部材である。回動アーム20の各下方側端はネックサポート芯材21の端部に接合されている。一方、各回動アーム20の上方側端には、図3に示すように、互いに対向する向きに(すなわちヘッドレスト本体2の内部側に向けて)突出する枢軸26が形成されている。
枢軸26は軸支部材10aに設けられた係合穴12に嵌入され、回動自在に軸支されている。従って、ネックサポート部3と回動アーム20とは一体となって枢軸26を中心に回動自在となっている。その回動角度範囲は、ネックサポート部3が最後方位置から前方側へ移動する方向(図7(a),(b)の矢印A1参照)に、例えば最大約60°に設定されている。
図4は枢軸26と軸支部材10aとがフリクション機構18によって係合している状態を示す部分断面正面図であり、軸支部材10aを断面で示す。また図5は軸支部材10aおよび枢軸26の図であり、(a)は軸支部材10aと枢軸26との部分分解斜視図、(b)は軸支部材10aの側面図、(c)は軸支部材10aの変形例としての軸支部材10bの側面図である。
フリクション機構18は、以下に述べるように、枢軸26と軸支部材10aとの係合において、摩擦力によって回動アーム20の回動位置保持力を得る機構である。
図4および図5(a)に示すように、枢軸26の先端付近には、径方向に突出するキー状の係合突起26aが、180°離間して1対設けられている。一方、軸支部材10aには、枢軸26に僅かな隙間をもってはめあう係合穴12と、各係合突起26aを僅かな隙間をもって軸方向に通す切欠き部12aとが形成されている。
係合突起26aは、ネックサポート部3および回動アーム20を、ネックサポート部3が最後方に位置する状態から前方に90°以上(例えば150°)回動させた所定の位置で軸支部材10aの切欠き部12aを通るように構成されている。
係合穴12の縁には、切欠き部12aが設けられた箇所を除いて、ヘッドレスト本体2の内部側に向けて突出するボス部15が形成されている。ボス部15の高さ(図5(b)における紙面に垂直な方向の突出長さ)は、係合穴12の中心角位置に応じて変化するように成形されている。詳しくは、図5(b)に示す状態で、各切欠き部12aから左回り中心角が大なるほどボス高さが徐々に連続的に高くなるように変化し(従ってボス端面は傾斜面14となる)、所定のボス高さに達した位置(図では切欠き部12aから左回り中心角で約90°の位置)からは中心角が増大しても上記所定のボス高さを維持するように成形されている(従ってボス端面は平坦面13となる)。
枢軸26は、軸支部材10aとの係合状態において、係合突起26aの左右方向外側面である摺接面27が軸支部材10aのボス部15の平坦面13に当接するように構成されている。平坦面13のボス高さを好適に設定することにより、枢軸26と軸支部材10aとの係合状態において、係合突起26a(或いは枢軸26)またはボス部15が僅かに弾性変形し、その復元力によって摺接面27と平坦面13との間に所定の押圧力が生じるように構成されている。そしてその押圧力によって、回動アーム20の回動に抗する摩擦力が生じるように構成されている。
従って、回動アーム20を回動させようとする外力が作用したとき、その枢軸26まわりの回転モーメントが比較的小さいとき(押圧力が小さいとき)には上記摩擦力によって回動アーム20が回動せず、その停止位置を維持する一方、比較的大きいとき(押圧力が所定押圧力F(図8参照)以上のとき)には上記摩擦力に打ち勝って回動アーム20が回動する。当参考形態では、所定押圧力Fが30N〜100Nの範囲内に設定されている。
以上のようなフリクション機構18によって、乗員が上記摩擦力に抗しながら回動アーム20(またはネックサポート部3)を上記所定押圧力F以上の押圧力で押圧すると、ゆっくりと回動させられ、また押圧を停止すると、回動アーム20はその位置(回動角度)を保持して固定されるように構成される。また、このような所定押圧力Fの設定および回動アーム20の構成により、乗員が前方を向いた着座姿勢を崩すことなく、腕を後頭部付近に伸ばすだけで回動アーム20の操作を容易に行うことができ、ネックサポート部3を任意の位置に容易に調節することができる。
一方、ネックサポート部3が最後方位置よりも前方に位置する状態で回動アーム20の位置が固定されているとき、ネックサポート部3に後方向きの大きな荷重(所定押圧力F以上の荷重)が作用すると、回動アーム20が後方へ回動し、ネックサポート部3がある程度の時間をかけて後方変位し、その衝撃を緩和する。
図6は、シート50を車両70の助手席位置に搭載した状態を示す説明図である。シート50より前方にダッシュボード71が形成されており、ダッシュボード71には周知のエアバッグシステム60(エアバッグ手段)が装備されている。エアバッグシステム60は、前面衝突時にバッグ61を展開膨脹させるものである。エアバッグシステム60の主要な構成は、車両の前面衝突を検出する衝突センサ64(前突検出手段)と、衝突センサ64からの信号を受け、バッグ61を展開膨脹させるべき前突が発生したことを判断し、エアバッグモジュール62にバッグ61の展開信号を送るコントロールユニット63と、未使用のバッグ61を格納するとともに、コントロールユニット63からの展開信号を受けたときには、図外のインフレータに点火してバッグ61にガスを充填し、展開膨脹させるエアバッグモジュール62とからなる。
エアバッグモジュール62は、シート50に着座した乗員40に向けてバッグ61が展開膨脹するように、ダッシュボード71の上面付近に設けられる。コントロールユニット63および衝突センサ64は、車両70内の適所に配設される。
また車両70には3点式のシートベルト57が装備されている。シートベルト57は、図外のピラー上部に設けられたショルダーアンカ58等を経由して取りまわされ、乗員40を拘束する。
次に、回動アーム20をヘッドレスト本体2に取付ける方法について説明する。回動アーム20を、ネックサポート部3が最後方位置となる状態から大きく回動させ(例えば約150°)、枢軸26の係合突起26aと係合穴12の切欠き部12aとの位置を合わせる(図3および図5(a)の状態)。
続いて枢軸26を係合穴12に嵌入し、ネックサポート部3が最後方位置に近づく方向に回動アーム20を回動させる。これは、図5(b)において係合穴12に枢軸26を紙面奥側から手前側に向けて嵌入し、左回りに回動させる操作に相当する。回動の初期には摺接面27は傾斜面14のボス高さが低い部分に乗り上げるので、抵抗なく容易に回動させることができる。そして回動角度を増すに伴ってボス高さが高くなるので、次第に傾斜面14と摺接面27との摩擦力が大きくなり、回動抵抗が大きくなる。摺接面27が平坦面13に当接する位置まで回動させると、その摩擦力は狙いの最大値となる。
こうして回動アーム20の組み付けが完了するが、ヘッドレスト1の使用状態における回動アーム20の通常の回動範囲内(ネックサポート部3が最後方位置にある状態から前方に最大約60°)では、摺接面27は常時平坦面13に当接している。つまり上記最大摩擦力が常時得られ、所定押圧力F以上の押圧力を回動アーム20(ネックサポート部3)に作用させたときのみ回動アーム20が回動する状態となっている。
なお、ヘッドレスト1の製造管理において、所定押圧力Fを測定すると、例えば製造直後の初期なじみが未完の状態等において、比較的ばらつきが大きくなる場合がある。そのようなときは、予め10回程度前後方向の回動をさせ、初期なじみを完了させてから所定押圧力Fを測定すれば良い。或いは、所定押圧力Fを、例えば10回の測定の平均値で管理するようにしてばらつきの影響を削減するようにしても良い。
次に、シート50の作用を、使用形態に即して説明する。図7は、シート50の使用形態の一例を示す説明図であり、(a)は通常着座状態、(b)はリクライニング状態を示す。
図7(a)は、詳しくはシート50を通常着座状態とし、ネックサポート部3を第1姿勢とした状態(実線で示す)と第2姿勢とした状態(二点鎖線で示す)とを示している。
ネックサポート部3の第1姿勢とは、ネックサポート部3が回動角度範囲の最後方側に位置するように回動アーム20を回動させた姿勢であり、ヘッドレスト本体2の前面とネックサポート部3の前面とが略同一平面内にあるような姿勢である。また第2姿勢とは、第1姿勢の状態から、ネックサポート部3を前方側へ回動(矢印A1で示す)させた姿勢である。
通常着座状態では、乗員40の上半身と頭部41とが略鉛直に伸び、乗員40は図示のように頭部41をヘッドレスト本体2に預けて(もたれかけて)着座するか、着座頭部41とヘッドレスト本体2との間に僅かな隙間を空けて着座している。
通常着座状態において、第1姿勢は、例えば、乗員40の頭部41の横揺れが少なく、主として頭部41の後方移動に対して頭部拘束機能を発揮することを主眼においた場合、つまりヘッドレスト1を従来の通常のヘッドレストと同様の目的で使用する場合に好適な姿勢である。この第1姿勢では、ヘッドレスト本体2の前面とネックサポート部3の前面とが略同一の面を構成しており、この広い面積で乗員40の頭部41を拘束することで、高い頭部拘束機能が発揮される。
例えば、急加速や衝突等によって乗員40に大きな前進加速度が作用した場合、頭部41には後方に向けて大きな荷重(慣性力)が作用し、後方変位させようとする。しかし頭部41が、ヘッドレスト本体2によって、ヘッドレスト本体2と当接する位置よりも後方変位しないように拘束されているので、頸部42に過度の負担がかかることが効果的に抑制されている。
またヘッドレスト本体2の前面とネックサポート部3の前面とが略同一平面内にあるので、その双方で頭部41および頸部42からの荷重をより広い面積で受けることができ、衝撃の分散を図ることができる。
一方、通常着座状態におけるネックサポート部3の第2姿勢は、例えば、より頭部拘束機能を高めたい場合、ある程度の横揺れがある場合、或いは乗員40がややリラックスして着座する場合等に好適な姿勢である。
第1姿勢と第2姿勢とを切換えるには、操作者がネックサポート部3または回動アーム20を把持し、上記所定押圧力F以上の押圧力で押圧して回動させる。そして所望の回動角度となる位置で回動動作を停止すると、フリクション機構18により、その位置で固定される。このように、比較的簡単な構造のフリクション機構18でありながら、ネックサポート部3の位置決めを容易に行うことができる。この回動動作において、ネックサポート部3が第1姿勢にあるときの回動円の接線方向が略水平方向となるので、ネックサポート部3は回動円の略接線方向である前後方向に大きく移動し、上下方向には殆ど移動しない。つまり使用頻度の高い使用形態において、ネックサポート部3の高さ位置をあまり変化させず、低い位置を維持したまま前後位置を大きな調整幅で調整することができる。またこれにより、ヘッドレスト本体2における頭部41を拘束する位置が、ヘッドレスト1全体の高さに対して比較的低い位置(図示のようにヘッドレスト1の中央付近)とすることができるので、ヘッドレスト1全体の大型化が効果的に抑制されている。
しかも、枢軸26がヘッドレスト本体2の内部上方側に設けられているので、枢軸26をヘッドレスト本体2の内部下方側に設ける場合に比べ、ネックサポート部3の回動半径を長くとることができる。すなわち回動角度に対する前後方向移動量が比較的大きくなっている。従って、より広い前後位置調整幅を得ることができるとともに、停止位置の微調整の容易化が図られている。
ネックサポート部3を第2姿勢にすると、頭部41の後方変位に対し、頭部41をヘッドレスト本体2で、頸部42をネックサポート部3で、それぞれ的確に拘束するので、ヘッドレスト本体2のみで頭部41のみを拘束する第1姿勢よりも、より高い頭部拘束機能を得ることができる。
さらに、図7(a)に示すように頸部42をネックサポート部3に預けて着座すると、乗員40が頭部41を支持するための頸部42の負担が軽減され、快適性が高められる。しかも、ネックサポート部3の前面が、シート幅方向中央部よりもその両端側が前方に突出するように湾曲して形成され、さらに上端面のシート幅方向中央部よりも両端部が上方に突出するように湾曲して形成されているので、例えば、横Gにより頭部41が横に振られても、頸部42を穏かに左右方向中央位置に復元させる復元力が作用する。従って、頸部42の横揺れを、ある程度許容しつつも必要以上に大きくならないように抑制している。さらに、ネックサポート部3のシート幅方向中央部付近の上端前面の曲率半径Rを、一般的な乗員40の頸部42の形状に適合し易い25±10mmとしていることも相俟って、乗員40の快適性がより高められている。
ネックサポート部3を第2姿勢としている通常着座状態において、車両の衝突等によって乗員40に大きな後向きの加速度が作用すると、頸部42からネックサポート部3に後向きの大きな衝撃荷重が伝達される。その衝撃荷重(厳密にはその前後方向分力)が上記所定押圧力F以上であるとき、フリクション機構18によってネックサポート部3が後方へ的確且つ円滑に回動変位する。この回動変位によって乗員40の頸部42が受ける反作用が低減され、乗員40が受ける衝撃荷重が効果的に緩和されて乗員40の不快感を抑制することができる。
図8は、所定押圧力Fについて示す説明図である。図中、Pは所定押圧力Fの作用点である。作用点Pは、頸部42とネックサポート部3との接点であり、所定押圧力Fがその一点に集中的に作用していると想定して良い点である。
参考形態の所定押圧力Fは、30Nないし100Nの範囲内という、大き過ぎず小さ過ぎない好適な値に設定されている。すなわち、所定押圧力Fが30N以上となるように設定されているので、乗員40がネックサポート部3に頸部42を支持させているときに、所望の角度での固定位置を維持することができ、また所定押圧力Fが100N以下の値となるように設定されているので、乗員40の手動によるネックサポート部3の移動操作を可能としつつ、乗員40に不快感をもたらす衝撃荷重を受けた場合に、的確にネックサポート部3が回動変位し(矢印Mで示す)、好適な緩衝作用を得ることができる。
また、枢軸26をヘッドレスト本体2の内部上方側に設けることにより、枢軸26をヘッドレスト本体2の内部下方側に設ける場合に比べ、ネックサポート部3の回動半径を長くとることができる。従ってネックサポート部3に衝撃荷重が作用して後方へ回動する場合、その上下方向移動量が比較的小さくなり、乗員40の頸部42とネックサポート部3との当接位置(作用点P)が短時間に大きく上下にずれることがなく、この点でも乗員40の不快感を効果的に抑制することができる。
ところで、枢軸26の摺接面27と軸支部材10aの平坦面13との摩擦力は、温度変化によってばらつきが大きくなる場合がある。そのようなとき、軸支部材10aに代えて図5(c)に示すような軸支部材10bを用いれば好適である。軸支部材10bは、軸支部材10aに対し、平坦面13に代えて鋸歯状溝付き平坦面13aとしている点が異なっている。鋸歯状溝付き平坦面13aは、平坦面13に放射状の鋸歯状溝(ギザギザ)を形成させたものである。一方、特に図示しないが、鋸歯状溝付き平坦面13aと摺接する摺接面27にも、この鋸歯状溝に係合する同様の鋸歯状を設けておけば更に好適である。
鋸歯状溝付き平坦面13aと摺接面27との互いの鋸歯状溝が係合することにより、回動アーム20の回動時に温度依存性の低い適度な抵抗を得ることができる。つまり温度変化が大なるときでも所定押圧力Fの安定性を高めることができる。
図7に戻り、図7(b)は、詳しくはシート50をリクライニング状態とし、ネックサポート部3を第2姿勢とした状態を示している。この図に示すように、リクライニング状態では、乗員40の上半身と頭部41とが斜め上方に延びている。頭部41にはこれを後傾させようとする重力が作用するので、その重力に抗して頸部42のみで頭部41を支持するのは負担が大となる。そこで頭部41をヘッドレスト本体2に預け、ヘッドレスト本体2からの支持を受けることにより、頸部42の負担を軽減することができる。さらに図示のように、第2姿勢としたネックサポート部3に頸部42を支持させることにより、頸部42の負担を大幅に軽減することができる。
なお、ネックサポート部3の位置調整に前後して、周知の機構によりポール23のシートバック51への嵌挿深さを調整し(矢印A3で示す)、頭部41がヘッドレスト本体2に、頸部42がネックサポート部3に、それぞれ好適に当接して支持されるようにすれば良い。
次に、シート50をリクライニング状態とし、かつヘッドレスト1を第2姿勢としている状態で、比較的強い前面衝突が起こった場合について、図6を参照して説明する。シート50をリクライニング状態にすると、シートベルト57は実線で示すように、ショルダーアンカ58から直線的に下方に導かれる状態、すなわち上半身のサポートが不完全な状態となっている。この状態で前面衝突が起こると、乗員40がシートベルト57の下をかい潜って前方に飛び出すサブマリン現象が起こる虞がある。しかし当参考形態のシート50には上述のようにサブマリン対策が施されているので、その懸念はない。
従って、衝突が起こると乗員40は、二点鎖線で示すようにその上半身を大きく前方に振られることになる(矢印A4で示す)。するとシートベルト57が二点鎖線で示すように前方に強く引張られ、大きな強い張力で乗員40の前方移動を的確に抑制する。
これに併行して衝突センサ64が前突を検出し、エアバッグシステム60によってバッグ61が二点鎖線で示すように乗員40に向けて展開膨脹する。バッグ61は乗員40の主に頭部41を受け止め、ダッシュボード71や図外のフロントガラス等への衝突を防止する。
このようにして乗員40の保護が効果的に図られるのであるが、その後、乗員40は、シートベルト57による前方移動抑制の反動として、また頭部41がバッグ61に受け止められた反動として、その上半身がシートバック51側に強く引き戻される(矢印A5で示す)。そして頭部41や頸部42がヘッドレスト本体2やネックサポート部3と再接触(衝突)する。このとき、第2姿勢とされたネックサポート部3が、その位置を強固に保持していると、頸部42に与える衝撃荷重が大きくなり、乗員40に不快感を与える虞がある。
しかし当参考形態では、所定押圧力Fより大きな荷重で頸部42がネックサポート部3に衝突すると、ネックサポート部3が後方移動し、その衝撃が効果的に緩和される。従って、乗員40の不快感が効果的に抑制される。
次に、上記参考形態1と異なる他の参考形態について説明する。図9は、本発明に係る第2参考形態のヘッドレスト付き車両用シートの、ヘッドレスト1aの側面図である。以下の参考形態において、ヘッドレスト以外は第1参考形態と同様なのでその重複説明を省略する。また、第1参考形態と同一または同様の機能を有する部材には第1参考形態と同一符号を付し、その重複説明を省略する。
参考形態のヘッドレスト1aは、第1参考形態のヘッドレスト1に対し、ヘッドレスト本体2aが異なっている。ヘッドレスト本体2aは、第1参考形態のヘッドレスト本体2の下方に下方側延長部7を形成したような形状となっている。下方側延長部7は、ネックサポート部3が第1姿勢にある状態でネックサポート部3と当接し、ネックサポート部3がそれより後方側へ移動することを規制している。
ヘッドレスト1aがこのように構成されているので、ネックサポート部3が必要以上に後方へ移動することをより確実に規制することができる。例えば、車両の衝突等によってネックサポート部3に後方向きに衝撃荷重が作用し、ネックサポート部3が後方変位した場合でも、下方側延長部7がネックサポート部3を確実に受け止め、その最後方位置より後方に移動することを規制することができる。
その際、下方側延長部7またはネックサポート部3が、比較的変形しやすい材質(クッション材等)からなるようにすれば、下方側延長部7とネックサポート部3との衝突によっても緩衝作用を得ることができ、一層の不快感抑制効果を得ることができる。
図10は、本発明に係る第3参考形態のヘッドレスト付き車両用シートの、ヘッドレスト1bの図であり、(a)はネックサポート部3が第1姿勢にある状態の斜視図、(b)は(a)の側面図、(c)はネックサポート部3が第2姿勢にある状態の側面図である。
ヘッドレスト1bは、第2参考形態のネックサポート部3の左右両端に端部延設部4を設けている点が第2参考形態のヘッドレスト1aと異なる。端部延設部4は、図10(a),(b)に示すように、ネックサポート部3が最後方に位置する第1姿勢の状態を前方から見て、シート幅方向の両側端部から上方側に延設されている。ネックサポート部3と端部延設部4とは一体となって補助体30を形成している。回動アーム20は端部延設部4に内蔵されている。従って、ネックサポート部3を含む補助体30は、図10(c)に示すように、全体が一体となって内蔵の枢軸26を中心に回動可能となっている(矢印A1で示す)。
ヘッドレスト1bは、第2参考形態のヘッドレスト1aの作用・効果を全て有し、さらに端部延設部4を設けることにより、乗員40がこの端部延設部4を把持してネックサポート部3を回動させることができるので、より回動操作性が高められ、位置の微調整の一層の容易化が図られている。
図11は、本発明実施形態に係るヘッドレスト付き車両用シートの、ヘッドレスト1cの図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
ヘッドレスト1cは、第3参考形態の端部延設部4に代えて端部延設部4aとされている点が第3参考形態のヘッドレスト1bと異なる。ネックサポート部3と端部延設部4aとは一体となって補助体30aを形成している。ネックサポート部3を第2姿勢とした状態において、ヘッドレスト1cには、ネックサポート部3の前面ないし上面と、端部延設部4の内方側面と、ヘッドレスト本体2aの前面とにより凹部38(図11(a),(b)にハッチングで示す)が形成されるように構成されている。凹部38は、シート幅方向に沿って横長となっている。
またこの凹部38は、第1姿勢においても、第2姿勢より範囲は狭いが形成されるように構成されている。
ヘッドレスト1cの、第1姿勢と第2姿勢との切換え手順は、第3参考形態のヘッドレスト1bと同様である。ヘッドレスト1cは、ヘッドレスト1cの作用・効果を全て有し、さらに次の作用・効果を有する。
ネックサポート部3(補助体30a)の第2姿勢は、例えば、大きな横Gが作用し、乗員40の頭部41の横揺れが大きく、頭部の後方移動とともに、頭部の側方移動に対しても充分な頭部拘束機能を必要とする場合や、乗員40が居眠りをする等して頭部41の姿勢保持の意識を欠いている場合等に好適である。
図11(b)に示すように、ネックサポート部3を第2姿勢とした状態で乗員40が頭部41をヘッドレスト1cに預けると、頭部41の後部が凹部38に収められる。従って、乗員40に大きな横Gが作用したり、乗員40が頭部41の姿勢保持の意識を欠いていたりしても、頭部41がヘッドレスト本体2aを逸脱しないように、また頸部42がネックサポート部3を逸脱しないように、凹部38内に効果的に拘束される。
また、凹部38が、シート幅方向に沿って横長であるため、頭部41は凹部38内で、ある程度の横揺れが許容される。従って走行中の頭部41は適度に横揺れし、一層の心地良さを乗員40に感じさせることができる。
また例えば旋回中の加減速や斜め衝突により、頸部42がネックサポート部3に、平面視で斜め前後方向から衝突した場合であっても、後頭部を凹部38内に収めて支持しつつ、ネックサポート部3が回動変位することによって衝撃が緩和され、乗員40の不快感を抑制することができる。
一方、ネックサポート部3を第1姿勢にして使用した場合、その状態においても第2姿勢の場合よりは小さいが凹部38が形成されるので、ネックサポート部3が頸部42を支持していなくても、頭部41が凹部38に収められることにより、必要以上の横揺れが抑制される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変形を行っても良い。例えば、シート50は、必ずしもエアバッグシステム60を備えた座席位置に設ける必要はなく、また必ずしもエアバッグシステム60を備えた車両に搭載される必要もない。エアバッグシステム60と併用しない場合であっても、シートベルト57からの反動による頸部42とネックサポート部3との衝突荷重を効果的に抑制する効果を得ることができる。
リクライニング機構55は、レバー53によって後傾角度を調整する機械式のものに限定するものではなく、モータ等を備えた電動式の機構であっても良い。
記実施形態では、ヘッドレスト下部としてネックサポート部3を設けたが、ヘッドレスト下部は必ずしもネックサポート部3に限定するものではない。例えば、ヘッドレスト下部は、頸部よりやや上の頭部を支持するような部材であっても良い。
本発明に係る第1参考形態のヘッドレスト付き車両用シートの側面図である。 図1に示すヘッドレストの斜視図である。 図1に示すヘッドレストの分解斜視図である。 図1に示すヘッドレストの、枢軸と軸支部材とがフリクション機構によって係合している状態を示す部分断面正面図である。 図1に示すヘッドレストの、軸支部材および枢軸の図であり、(a)は軸支部材と枢軸との部分分解斜視図、(b)は軸支部材の側面図、(c)は軸支部材の変形例を示す側面図である。 図1に示すヘッドレスト付き車両用シートを車両の助手席位置に搭載した状態を示す説明図である。 図1に示すヘッドレスト付き車両用シートの使用形態の一例を示す説明図であり、(a)は通常着座状態、(b)はリクライニング状態を示す。 図1に示すヘッドレストに作用する所定押圧力を示す説明図である。 本発明に係る第2参考形態のヘッドレスト付き車両用シートの、ヘッドレストの側面図である。 本発明に係る第3参考形態のヘッドレスト付き車両用シートの、ヘッドレストの図であり、(a)はネックサポート部が第1姿勢にある状態の斜視図、(b)は(a)の側面図、(c)はネックサポート部が第2姿勢にある状態の側面図である。 本発明実施形態に係るヘッドレスト付き車両用シートの、ヘッドレストの図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。 従来技術のヘッドレストの斜視図である。
1,1a,1b,1c ヘッドレスト
2,2a ヘッドレスト本体
3, ネックサポート部(ヘッドレスト下部)
4,4a 端部延設部
7 下方側延長部
18 フリクション機構
26 枢軸(横軸)
38 凹部
50 ヘッドレスト付き車両用シート
60 エアバッグシステム(エアバッグ手段)
64 衝突センサ(前突検出手段)
F 所定押圧力

Claims (5)

  1. シートバックの上方側にヘッドレストを配設したヘッドレスト付き車両用シートにおいて、
    上記ヘッドレストは、乗員の頭部を支持可能でシートバックに取り付けられたヘッドレスト本体と、該ヘッドレスト本体より下方側に設けられて乗員の頸部周辺を支持可能なヘッドレスト下部とを備え、
    上記ヘッドレスト下部は、上記ヘッドレスト本体内でシート幅方向に延設された横軸を中心に回動することにより前後方向に移動可能とされ、かつ所定の回動角度で位置決め可能であり、さらに該ヘッドレスト下部が少なくとも最後方に位置する状態よりも前方側に位置するように回動された状態で該ヘッドレスト下部に所定押圧力以上の押圧力が後方側へ作用したときに該ヘッドレスト下部が後方変位するように構成され
    上記ヘッドレスト下部が最後方に位置する状態を前方から見て、該ヘッドレスト下部のシート幅方向の両端部に、上方側に延設された端部延設部がそれぞれ形成されており、
    上記端部延設部が上記横軸に軸支されて上記ヘッドレスト下部と一体に回動可能とされ、
    上記ヘッドレスト下部が少なくとも最後方に位置する状態よりも前方側に位置するように回動された状態において、当該ヘッドレストには、上記ヘッドレスト下部の前面ないし上面と、上記端部延設部の上記ヘッドレスト本体の側面に対向する内方側面と、上記ヘッドレスト本体の前面とにより、乗員の頭部を収めて支持可能な凹部が形成されることを特徴とするヘッドレスト付き車両用シート。
  2. 上記所定押圧力は、30Nないし100Nの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1記載のヘッドレスト付き車両用シート。
  3. 上記横軸は上記ヘッドレスト本体の内部上方側に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のヘッドレスト付き車両用シート。
  4. 上記ヘッドレスト下部は、上記ヘッドレスト本体に対して、摩擦力によって保持力を得るフリクション機構を介して取付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のヘッドレスト付き車両用シート。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載のヘッドレスト付き車両用シートを備えた車両であって、
    前面衝突を検出する前突検出手段と、
    上記ヘッドレスト付き車両用シートの前方に設けられ、上記前突検出手段によって前面衝突が検出されたときに該ヘッドレスト付き車両用シートに着座した乗員に向けてバッグを展開膨脹させるエアバッグ手段とを備えることを特徴とする、ヘッドレスト付き車両用シートを備えた車両。
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