JP3019143B2 - 後席用エアバッグ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両用シート等の
後席用エアバッグ装置に関し、更に詳細に説明すると、
シートフレームと、該シートフレームに取付けられるパ
ッド材と、該パッド材を被覆する表皮材とからなるフロ
ント側シートのシートバックの背面側に設けられ、前記
シートフレームに取付けられる収納容器と、該収納容器
に収納固着されるガス発生器と、該ガス発生器の作動時
に該ガス発生器から噴出されるガスが流入されるように
前記収納容器に固着されているエアバッグ本体とを備え
る後席用エアバッグ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、車両等の乗員の保護装置とし
てエアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置
としては、特公昭５６−４３８９０号公報、実開昭６１
−１８５６４２号公報等が存在する。

【０００３】また、助手席用のエアバッグ装置として
は、特開平５−１５５３０２号公報、実開平３−１２１
１５５号公報等が存在し、実開平３−１０９５５号公報
等に示されるように後席用エアバッグ装置も存在する。

【０００４】図４に示す如く、後席用エアバッグ装置５
は、フロント側シート１のシートバック２の背面側に設
けられ、フロント側シート１のシートバック２の背面側
に一体に組み込まれ、リヤシート７の着座者を保護し得
るようになされている。また実開平３−１０９５５号公
報に示されている如く、別途形成された配管をシートバ
ックの背面側に設け、この配管にエアバッグ装置を連結
している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、フロント側
シートのシートバックの背面側に配管を別途形成するこ
とは、車室内の居住性を悪化させると共に、部品点数が
増大する欠点を有し、また図４に示す如く、シートバッ
クの背面側に一体に組み込んだ場合には、シートバック
のリクライニング装置により、シートバックを前後傾動
させた場合にエアバッグ本体の膨出方向が後席乗員に対
して最適位置とすることができず、エアバッグ本体が矢
印ａで示す如く上方に膨出したり、エアバッグ本体が矢
印ｂで示す如く下方に膨出したりする虞れを有してい
た。このためフロントシートにリクライニング装置を設
けることが不可能となる欠点を有していた。

【０００６】本発明は、リクライニング装置を設けたフ
ロントシートのシートバックの背面側にエアバッグ装置
を一体に組み込んだ場合にも、シートバックの前後傾動
が可能で、シートバックの前後傾動に応じてエアバッグ
装置のエアバッグ本体の膨出方向を後席乗員に対して最
適位置とすることができる後席用エアバッグ装置を提供
することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上述せる課題に
鑑みてなされたもので、本発明の請求項１に記載の後席
用エアバッグ装置は、シートフレームと、該シートフレ
ームに取付けられるパッド材と、該パッド材を被覆する
表皮材とからなるフロント側シートのシートバックの背
面側に設けられ、前記シートフレームに取付けられる収
納容器と、該収納容器に収納固着されるガス発生器と、
該ガス発生器の作動時に該ガス発生器から噴出されるガ
スが流入されるように前記収納容器に固着されているエ
アバッグ本体とを備える後席用エアバッグ装置におい
て、前記収納容器の取付けブラケットがシートフレーム
に設けられた回動機構に取付けられ、前記回動機構はシ
ートフレーム側に枢支された第１の歯部を有する第１の
回動部材と、該第１の歯部と噛合する第２の歯部を有す
る第２の回動部材とを有し、該第２の回動部材はロック
機構によりロック状態を保持するようになされ、前記第
２の回動部材に収納容器の取付けブラケットが固着さ
れ、前記第２の回動部材にはフレキシブルワイヤの一端
が連結され、該フレキシブルワイヤの他端が前記リクラ
イニング装置によるシートバックの回動中心から離間し
たシートバックの下部に固定され、前記フレキシブルワ
イヤの下部がシートクッション側の後部に設けられたガ
イド部に挿通され、前記リクライニング装置によりシー
トバックが前後傾動された場合に、前記ロック機構が作
動してロック解除状態となると共に、前傾時に前記フレ
キシブルワイヤに押圧力が発生し、該フレキシブルワイ
ヤの押圧力により前記第２の回動部材が一方向に回動さ
れ、前記シートバックの後傾時に前記フレキシブルワイ
ヤに引張力が発生し、該フレキシブルワイヤの引張力に
より前記第２の回動部材が他方向に回動されるようにな
されていることを特徴とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下本発明に係わる後席用エアバ
ッグ装置を図面を参照して詳述する。図１乃至図３
（ａ），（ｂ）には本発明に係わる後席用エアバッグ装
置の実施の形態が夫々示されており、この後席用エアバ
ッグ装置は車両用シートの運転席、助手席等のフロント
シート、またはセカンドシート等に適用することができ
る。

【０００９】図２に示す如く、フロント側シート１１は
車体フロアに前後スライド機構を介し、または介さずに
取付けられたシートクッション１２と、このシートクッ
ション１２の後端部にリクライニング装置１５を介して
前後傾動可能に支持されたシートバック１３とを備えて
いる。前記リクライニング装置１５はベース１６とアー
ム１７及び操作レバー１８とを備えている。

【００１０】シートバック１３は、シートフレーム１３
ａと、該シートフレーム１３ａに取付けられるパッド材
（図示せず）と、該パッド材を被覆する表皮材１３ｃと
からなる。フロント側シート１１のシートバック１３の
背面側に後席用エアバッグ装置２１が設けられている。

【００１１】後席用エアバッグ装置２１はモジュール化
され、シートバック１３のシートフレーム１３ａのサイ
ドフレーム１３ｂに固着されている。このエアバッグ装
置２１は、図１に示す如く、ガス発生器２５及び折り畳
まれたエアバッグ本体２６を収納した収納容器２４を有
し、この収納容器２４に取付けブラケット２８が固着さ
れ、この取付けブラケット２８が回動機構３１を介して
サイドフレーム１３ｂに取付けられている。尚、符号２
９は取付けボルトである。

【００１２】前記回動機構３１はリクライニング装置１
５によりシートバック１３が前傾された場合に、前記収
納容器２４を下方向に回動させ、シートバック１３が後
傾された場合に、前記収納容器２４を上方向に回動させ
るようになされている。

【００１３】前記回動機構３１は第１の回動部材３５と
第２の回動部材３８とを有し、これら第１の回動部材３
５と第２の回動部材３８はシートフレーム１３ａのサイ
ドフレーム１３ｂに設けられた固定ブラケット３３に枢
支ピン３５ａ，３８ａにより一定の範囲で回動し得るよ
うに枢支されている。

【００１４】第１の回動部材３５は第１の歯部３６を有
し、第２の回動部材３８は前記第１の歯部３６と噛合す
る第２の歯部３９を有している。前記第２の回動部材３
８はロック機構４１によりロック状態を保持するように
なされている。

【００１５】このロック機構４１は、前記リクライニン
グ装置１５によりシートバック１３が前後傾動された場
合にロック解除状態となる。また第１の回動部材３５と
第２の回動部材３８とが噛合することにより、ロック機
構４１の強度がなくても第２の回動部材３８の回動が規
制される。

【００１６】前記ロック機構４１はクラッチ４３の作動
により一方向に回動されるロック爪４５を有し、前記第
２の回動部材３８の第２の歯部３９と反対側に形成され
たロック歯４７に前記ロック爪４５が係合し、第２の歯
部３９の回動を規制している。前記ロック爪４５は図示
しない付勢スプリングによりクラッチ４３の作動とは反
対方向に付勢されている。

【００１７】前記クラッチ４３は電動式のリクライニン
グ装置１５の場合には、図示しない電動スイッチに連動
してスイッチオンとなり、電気的に作動するように構成
することができ、または操作レバー１８の回動操作に連
動する機械的な機構とすることもできる。

【００１８】前記第２の回動部材３８には固定ブラケッ
ト５１が固着され、この固定ブラケット５１に前記収納
容器２４に固着された取付けブラケット２８が取付けボ
ルト２９により固着されている。

【００１９】尚、固定ブラケット５１または取付けブラ
ケット２８の左右方向に延びる長さを変更することによ
り収納容器２４の左右方向の位置調整をすることができ
る。

【００２０】また、前記第２の回動部材３８にはフレキ
シブルワイヤ５３の上部側の一端５３ａが連結され、該
フレキシブルワイヤ５３の下部側の他端５３ｂが前記リ
クライニング装置１５によるシートバック１３の回動中
心Ｐから離間したシートバック１３の下部に固定されて
いる。尚、図１及び図２中、符号５５は復帰用のスプリ
ングである。またフレキシブルワイヤ５３の下部側は図
２に示されている如く、シートクッション１２の後部に
設けられたガイド部６０に挿通されている。

【００２１】前記リクライニング装置１５によりシート
バック１３が前後傾動された場合に、前記ロック機構４
１が作動してロック解除状態となると共に、シートバッ
ク１３の前傾時に前記第２の回動部材３８が前記フレキ
シブルワイヤ５３の押圧力により一方向である反時計方
向に回動され、前記シートバック１３の後傾時に前記第
２の回動部材３８が前記フレキシブルワイヤ５３の引張
力により他方向である時計方向に回動され、図３
（ａ），（ｂ）に示す如く、収納容器２４がシートバッ
ク１３の前後傾動に拘わらず、常に一定の方向を向いた
状態に保持される。

【００２２】尚、上述せる構成は、本発明の一実施の形
態を示したものであり、収納容器２４、第１の回動部材
３５、第２の回動部材３８及びロック機構４１の形状、
大きさ等は図示のものに限定されるものではなく、種々
の変形変更をなし得るものである。

【００２３】

【発明の効果】以上が本発明に係わる後席用エアバッグ
装置の一実施の形態であるが、本発明の請求項１に記載
の後席用エアバッグ装置によれば、収納容器の取付けブ
ラケットがシートフレームに設けられた回動機構に取付
けられ、前記回動機構はシートフレーム側に枢支された
第１の歯部を有する第１の回動部材と、該第１の歯部と
噛合する第２の歯部を有する第２の回動部材とを有し、
該第２の回動部材はロック機構によりロック状態を保持
するようになされ、前記第２の回動部材に収納容器の取
付けブラケットが固着され、前記第２の回動部材にはフ
レキシブルワイヤの一端が連結され、該フレキシブルワ
イヤの他端が前記リクライニング装置によるシートバッ
クの回動中心から離間したシートバックの下部に固定さ
れ、前記フレキシブルワイヤの下部がシートクッショ側
の後部に設けられたガイド部に挿通され、前記リクライ
ニング装置によりシートバックが前後傾動された場合
に、前記ロック機構が作動してロック解除状態となると
共に、前傾時に前記フレキシブルワイヤに押圧力が発生
し、該フレキシブルワイヤの押圧力により前記第２の回
動部材が一方向に回動され、前記シートバックの後傾時
に前記フレキシブルワイヤに引張力が発生し、該フレキ
シブルワイヤの引張力により前記第２の回動部材が他方
向に回動されるようになされているので、第１の歯部を
有する第１の回動部材により第２の回動部材の回動が規
制され、強固な収納容器の取付け状態が得られ、シート
バックの前後傾動が可能で、シートバックの前後傾動に
応じてエアバッグ装置のエアバッグ本体の膨出方向を後
席乗員に対して最適位置とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る後席用エアバッグ装置の一部斜視
図。

【図２】本発明に係る後席用エアバッグ装置をフロント
シートに適用した状態の一実施の形態を示す側面図。

【図３】本発明に係る後席用エアバッグ装置をフロント
シートに適用した状態を夫々示すもので、（ａ）はシー
トバックが直立状態の側面図、（ｂ）はシートバックが
後傾状態の側面図。

【図４】従来の後席用エアバッグ装置の側面図。

【符号の説明】

１１ フロント側シート １２ シートクッション １３ シートバック １５ リクライニング装置 １８ 操作レバー ２１ エアバッグ装置 ２４ 収納容器 ２５ ガス発生器 ２６ エアバッグ本体 ２８ 取付けブラケット ２９ 取付けボルト ３１ 回動機構 ３３ 固定ブラケット ３５ 第１の回動部材 ３６ 第１の歯部 ３８ 第２の回動部材 ３９ 第２の歯部 ４１ ロック機構 ４３ クラッチ ４５ ロック爪 ４７ ロック歯 ５１ 固定ブラケット ５３ フレキシブルワイヤ ５５ 復帰スプリング

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートフレームと、該シートフレームに
   取付けられるパッド材と、該パッド材を被覆する表皮材
   とからなるフロント側シートのシートバックの背面側に
   設けられ、前記シートフレームに取付けられる収納容器
   と、該収納容器に収納固着されるガス発生器と、該ガス
   発生器の作動時に該ガス発生器から噴出されるガスが流
   入されるように前記収納容器に固着されているエアバッ
   グ本体とを備える後席用エアバッグ装置において、 前記収納容器の取付けブラケットがシートフレームに設
   けられた回動機構に取付けられ、前記回動機構はシート
   フレーム側に枢支された第１の歯部を有する第１の回動
   部材と、該第１の歯部と噛合する第２の歯部を有する第
   ２の回動部材とを有し、該第２の回動部材はロック機構
   によりロック状態を保持するようになされ、前記第２の
   回動部材に収納容器の取付けブラケットが固着され、前
   記第２の回動部材にはフレキシブルワイヤの一端が連結
   され、該フレキシブルワイヤの他端が前記リクライニン
   グ装置によるシートバックの回動中心から離間したシー
   トバックの下部に固定され、前記フレキシブルワイヤの
   下部がシートクッション側の後部に設けられたガイド部
   に挿通され、前記リクライニング装置によりシートバッ
   クが前後傾動された場合に、前記ロック機構が作動して
   ロック解除状態となると共に、前傾時に前記フレキシブ
   ルワイヤに押圧力が発生し、該フレキシブルワイヤの押
   圧力により前記第２の回動部材が一方向に回動され、前
   記シートバックの後傾時に前記フレキシブルワイヤに引
   張力が発生し、該フレキシブルワイヤの引張力により前
   記第２の回動部材が他方向に回動されるようになされて
   いることを特徴とする後席用エアバッグ装置。