JP4523361B2 - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、耐摩耗特性および耐熱老化特性を向上させたタイヤを作製することができるゴム組成物の製造方法に関する。
通常のゴム組成物の製造方法のように、少なくとも2種以上のジエン系ゴムを混練後、硫黄、加硫促進剤およびステアリン酸などを添加して混練りした場合、それらは溶解度の高いゴムに偏在する。そのため、2種以上のジエン系ゴムを混合することにより得られたゴム組成物の加硫物性は、それぞれ1種のジエン系ゴムで得られたゴム物性を足し合わせた物性よりも低くなるため、得られたゴム組成物をタイヤとして使用した場合、耐摩耗特性および耐熱老化特性に劣るという問題が生じていた。
そこで、混合したゴム中に、硫黄、加硫促進剤およびステアリン酸などの加硫助剤のような薬品を均一あるいは任意のゴムに偏在するために、例えば、あらかじめ溶解性の悪いゴムに該薬品を分散させたマスターバッチを作製し、このマスターバッチと任意のゴムを混練することにより該薬品を均一に分散させる試みがなされてきた(特許文献1参照)。
しかし、作製したマスターバッチを混練すると、混練時間と共に相溶性の高いゴムに再び偏在してしまい、加工制御が非常に困難であり、さらに得られたゴム組成物をタイヤとして使用した場合、耐摩耗特性および耐熱老化特性に劣るという問題があった。
特開2003−55471号公報
本発明は、耐摩耗特性および耐熱老化特性を向上させたタイヤを作製することができるゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、一般式(1)
(CFx) (1)
(式(1)中、xは1または2である。)で表されるフッ化黒鉛化合物0.1〜250重量部を混練しマスターバッチを製造する工程、およびマスターバッチとゴムを混練する工程を含むゴム組成物の製造方法に関する。
前記マスターバッチを製造する工程において、さらに加硫促進剤および/または老化防止剤を混練することが好ましい。
前記マスターバッチは、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、前記加硫促進剤0.1〜30重量部、および前記老化防止剤0.1〜20重量部を含むことが好ましい。
また、本発明は、前記製造方法により得られるゴム組成物に関する。
さらに、本発明は、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、一般式(1)
(CFx) (1)
(式(1)中、xは1または2である。)で表されるフッ化黒鉛化合物0.1〜250重量部を分散させてなるマスターバッチに関する。
本発明によれば、フッ化黒鉛化合物およびジエン系ゴムを混練することでマスターバッチを製造し、さらに該マスターバッチとゴムを混練することにより、フッ化黒鉛化合物が任意のゴム物性を調整し、得られたゴム組成物からなるタイヤの耐摩耗特性および耐熱老化特性を向上させることができる。
本発明のゴム組成物の製造方法は、(a)フッ化黒鉛化合物をジエン系ゴムと混練りし、マスターバッチを製造する工程(工程a)、および(b)該マスターバッチとゴムを混練する工程(工程b)からなる。
前記マスターバッチは、工程aにおいてフッ化黒鉛化合物を混練りすることにより製造される。
フッ化黒鉛化合物は、一般式(1)で表される。
(CFx) (1)
(式(1)中、xは1または2である。)
フッ化黒鉛化合物は、混練り時に固体であるためにゴムに溶解せず、マスターバッチのゴム中に偏在したままで存在できる。フッ化黒鉛化合物は架橋効率を向上させる機能を有するため、あらかじめ架橋効率を向上させたいジエン系ゴムのマスターバッチを作製することで、狙いとする物性を有する混合ゴムを作ることが可能となる。
マスターバッチ中におけるフッ化黒鉛化合物の配合量は、ゴム組成物中のジエン系ゴム成分100重量部に対して0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上である。配合量が0.1重量部未満では、混練り時に発散しやすく、また、均一に分散させることが難しい。また、配合量は250重量部以下、好ましくは150重量部以下、より好ましくは100重量部以下である。250重量部をこえると、加工性が悪化する。
前記ジエン系ゴムとしては、任意のジエン系ゴムが挙げられ、具体的には、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、ポリクロロプレン(CR)などが挙げられる。
また、工程aにおいて、ジエン系ゴムのほかに、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM、EPDM)、炭素数が4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムなどの非ジエン系ゴムを前記ジエン系ゴムと併用することができる。
工程aにおいて、さらに加硫促進剤および/または老化防止剤を混練することが好ましい。加硫促進剤および/または老化防止剤をフッ化黒鉛化合物とともに混練りすることにより、工程aにて製造されたマスターバッチとゴムを混練する工程(工程b)において、加硫促進剤および/または老化防止剤のゴム成分への再分配がおこるが、マスターバッチ中のゴムに対して、加硫促進剤および/または老化防止剤は、ある程度偏在することができるため、フッ化黒鉛化合物のはたらきを増大させることが可能であり、得られたゴム組成物の耐摩耗特性および耐老化特性を向上させることができる。
前記加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジンなどのグアニジン類、ジエチルチオウレアなどのチオウレア類、メルカプトベンゾチアゾールなどのチアゾール類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド類、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム類などがあげられる。なかでも、遅効性であり、効果が大きいという理由からスルフェンアミド類が好ましく、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが特に好ましい。
マスターバッチにおける加硫促進剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましく、0.2重量部以上であることがより好ましい。配合量が0.1重量部未満では、加硫特性が悪化する傾向がある。また、マスターバッチにおける加硫促進剤の配合量は、30重量部以下であることが好ましく、20重量部以下であることがより好ましい。加硫促進剤の配合量が30重量部をこえると、ブルーム等により密着性が悪化する傾向がある。
前記老化防止剤としては、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンなどのp−フェニレンジアミン誘導体、2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリンなどのケトン・アミン縮合物、N−フェニル−1−ナフチルアミンなどのナフチルアミン類、4,4’−ジメトキシジフェニルアミンなどのジフェニルアミン誘導体、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのモノフェノール類、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類などが用いられる。なかでもp−フェニレンジアミン誘導体を用いることが好ましく、とくにN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを用いることが好ましい。
マスターバッチにおける老化防止剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましく、0.2重量部以上であることがより好ましい。配合量が0.1重量部未満では、マスターバッチの配合による充分な効果が得られない傾向がある。また、マスターバッチにおける老化防止剤の配合量は、20重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましい。配合量が20重量部をこえると、ブルームが多くなり、加硫ゴムの外観が悪化する傾向がある。
工程aにおける混練温度は170℃以下であることが好ましい。混練温度が170℃をこえると、加硫促進剤および老化防止剤が分解する傾向がある。
工程aにおける混練時間は0.5分以上であることが好ましい。混練時間が0.5分未満では、充分に分散されたマスターバッチが得られない。
本発明のゴム組成物の製造方法は、(b)マスターバッチとゴムを混練する工程(工程b)からなる。
工程bにおいてマスターバッチと混練りされるゴムとしては、ジエン系ゴムが好ましい。
ジエン系ゴムとしては、任意のジエン系ゴムが挙げられ、具体的には、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、ポリクロロプレン(CR)などが挙げられる。
また、工程bにおいて、ジエン系ゴムのほかに、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM、EPDM)、炭素数が4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体をハロゲン化したゴムなどの非ジエン系ゴムを前記ジエン系ゴムと併用することができる。
工程bにおいて、マスターバッチおよびゴムの他に、カーボンブラックなどの補強剤、加硫または架橋剤、加硫または加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、カップリング剤などのタイヤ用または一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができ、これら配合剤、添加剤の配合量も一般的な量とすることができる。
工程bにおいて、カーボンブラックなどの補強用充填剤の他に、シリカおよび/または一般式mM・xSiOy・zHO(Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウムおよびジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これら金属の酸化物および水酸化物およびそれらの水和物、およびこれらの金属の炭酸塩から選ばれ、m、x、yおよびzは定数)で表される無機充填剤を配合することができる。
本発明の製造方法により得られたゴム組成物は、タイヤの製造に使用されることができる。とくに、優れた耐摩耗性および耐熱老化特性を発揮することが可能であるため、該ゴム組成物を、タイヤ用ゴムとして用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物を用い、通常の方法によってタイヤを製造することができる。すなわち、必要に応じて前記各種薬品を配合した本発明のゴム組成物を未加硫の段階でタイヤの各部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
以下に実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例において使用した各種薬品を以下に示す。
Figure 0004523361
天然ゴム(NR):テックビーハング社製のRSS#3
ポリブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のUBEPOL−BR150B
フッ化黒鉛化合物:セントラル硝子(株)製のセフボン−CMA
カーボンブラック:昭和キャボット(株)製のショウワブラックN220
オイル:(株)ジャパンエナジー社製のJOMOプロセスX140
ワックス:大内新興化学工業(株)のサンノックワックス
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-cyclohexyl-2-benzothiazyl-sulfenamide)
実施例1〜4および比較例1〜4
(マスターバッチの作製)
表1の配合内容にしたがい、1.7リットルの密閉型バンバリーミキサーにて、3〜5分混練りし、120℃で排出することにより、マスターバッチA〜Fを作製した。
(ゴムサンプルの作製)
得られたマスターバッチに対して、硫黄および加硫促進剤を除く表2の配合成分を、1.7リットルの密閉型バンバリーミキサーで3〜5分混練りし、温度が165℃に達したら配合ゴムを排出してベース練りゴムとした。ベース練りゴムと硫黄および加硫促進剤をオープンロールで混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃、30分間加硫することによりゴムサンプルを作製した。ゴムサンプルを用いて以下の試験におこなった。
(摩耗試験)
ランボーン型摩耗試験器を用いて、室温、スリップ率20%の条件で行い、摩耗量の逆数について、比較例4を100として指数表示した。数値が大きいほど耐摩耗性が高いことを示す。
(老化試験)
熱老化は、80℃高温槽に200時間放置した後、1日室温で放冷したサンプルを用い、JIS K 6251にしたがって、引張り試験を行った。熱老化前の100%モジュラスを100とし、下記式で耐熱老化特性を指数表示した。数値が小さいほど耐熱老化特性に優れることを示す。
(耐熱老化特性)=
(熱老化後100%モジュラス)/(熱老化前100%モジュラス)×100
試験結果を表2に示す。
Figure 0004523361

Claims (5)

  1. ジエン系ゴム成分100重量部に対して、一般式(1)
    (CFx) (1)
    (式(1)中、xは1または2である。)
    で表されるフッ化黒鉛化合物0.1〜250重量部を混練しマスターバッチを製造する工程、および
    マスターバッチとゴムを混練する工程
    を含むタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  2. マスターバッチを製造する工程において、さらに加硫促進剤および/または老化防止剤を混練することを特徴とする請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  3. マスターバッチが、ジエン系ゴム成分100重量部に対して、
    加硫促進剤0.1〜30重量部、および
    老化防止剤0.1〜20重量部を含む請求項2記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  4. 請求項1、2または3記載の製造方法により得られるタイヤ用ゴム組成物。
  5. ジエン系ゴム成分100重量部に対して、一般式(1)
    (CFx) (1)
    (式(1)中、xは1または2である。)
    で表されるフッ化黒鉛化合物0.1〜250重量部を分散させてなるタイヤ用ゴム組成物に使用するマスターバッチ。
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