JP4523105B2 - トルクコンバータ - Google Patents

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Details Of Gearings (AREA)
  • Control Of Fluid Gearings (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力軸に連結されるポンプ羽根車と、このポンプ羽根車に対置されてタービン軸が連結されるタービン羽根車とを備え、主として自動車、自動二輪車等の伝動系に介裝されるトルクコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝるトルクコンバータは、例えば特開平11−230303号公報に開示されているように、広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のかゝるトルクコンバータでは、タービン軸に逆負荷が作用したとき、タービン羽根車及びポンプ羽根車間に滑りが生ずるため、マニュアル変速機を使用する場合のような大きなエンジンブレーキ効果を得ることはできない。
【0004】
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、タービン軸に逆負荷が作用したときは、タービン羽根車及びポンプ羽根車間の滑りを防いで、良好なエンジンブレーキ効果が得られるようにした、耐久性の高いトルクコンバータを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、入力軸に連結されるポンプ羽根車と、このポンプ羽根車に対置されてタービン軸が連結されるタービン羽根車とを備えたトルクコンバータにおいて、ポンプ羽根車に一体的に連設されてタービン羽根車を覆うサイドカバーのボスと、このボスを貫通してタービン羽根車に連結するタービン軸との間に、これらボス及びタービン軸を同心に保持するラジアルベアリングと、タービン軸に逆負荷が作用したときタービン軸及びサイドカバー間を連結する一方向クラッチとを同軸に隣接配置し、前記ラジアルベアリングをサイドカバーのボスに軸方向移動不能に取付けると共に、ポンプ羽根車のボスを入力軸に固着し、タービン軸の外端に連結される出力ギヤに作用する、タービン羽根車方向のスラスト荷重を前記ラジアルベアリングに作用させるようにしたことを第1の特徴とする。
【0006】
この第1の特徴によれば、車両の減速時、逆負荷が駆動ギヤからタービン軸に伝達すると、一方向クラッチがタービン軸及びサイドカバー間を直結するので、上記逆負荷はタービン軸からサイドカバーへ直接伝達し、更にポンプ羽根車からクランク軸へと伝達するようになる。したがって、タービン羽根車及びポンプ羽根車間に滑りを起こさせることがなく、良好なエンジンブレーキ効果を得ることができる。しかも、一方向クラッチに隣接するラジアル型のボールベアリングは、タービン軸とサイドカバーのボスとの間に介裝されて、両者の同心性を確保しているので、その両者間において一方向クラッチのスプラグ等のクラッチ素子が受ける荷重の均等化がもたらされ、該クラッチの耐久性向上を図ることができる。
【0007】
更にこの第の特徴によれば、伝動中、出力ギヤに発生する、タービン羽根車方向のスラスト荷重を前記ラジアルベアリングから比較的高剛性のサイドカバー及びポンプ羽根車を介して入力軸に負担させることになり、タービン羽根車及びステータ羽根車へのスラスト荷重の負担を回避して、それらの耐久性を向上させることができる。
【0008】
また上記目的を達成するために、本発明は、入力軸に連結されるポンプ羽根車と、このポンプ羽根車に対置されてタービン軸が連結されるタービン羽根車とを備えたトルクコンバータにおいて、ポンプ羽根車に一体的に連設されてタービン羽根車を覆うサイドカバーのボスと、このボスを貫通してタービン羽根車に連結するタービン軸との間に、これらボス及びタービン軸を同心に保持するラジアルベアリングと、タービン軸に逆負荷が作用したときタービン軸及びサイドカバー間を連結する一方向クラッチとを同軸に隣接配置し、前記ラジアルベアリング及び一方向クラッチを挟んでタービン羽根車と反対側でタービン軸とサイドカバーとの間に、その間をシールするシール手段を設けたことを第2の特徴としており、また本発明は、入力軸に連結されるポンプ羽根車と、このポンプ羽根車に対置されてタービン軸が連結されるタービン羽根車とを備えたトルクコンバータにおいて、ポンプ羽根車に一体的に連設されてタービン羽根車を覆うサイドカバーのボスと、このボスを貫通してタービン羽根車に連結するタービン軸との間に、これらボス及びタービン軸を同心に保持するラジアルベアリングと、タービン軸に逆負荷が作用したときタービン軸及びサイドカバー間を連結する一方向クラッチとを同軸に隣接配置し、前記ラジアルベアリングをシール付きに構成すると共に、このラジアルベアリングを、前記一方向クラッチを挟んでタービン羽根車と反対側に配置したことを第3の特徴としている。
【0009】
これら第2,第3の各特徴によれば、車両の減速時、逆負荷が駆動ギヤからタービン軸に伝達すると、一方向クラッチがタービン軸及びサイドカバー間を直結するので、上記逆負荷はタービン軸からサイドカバーへ直接伝達し、更にポンプ羽根車からクランク軸へと伝達するようになる。したがって、タービン羽根車及びポンプ羽根車間に滑りを起こさせることがなく、良好なエンジンブレーキ効果を得ることができる。しかも、一方向クラッチに隣接するラジアル型のボールベアリングは、タービン軸とサイドカバーのボスとの間に介裝されて、両者の同心性を確保しているので、その両者間において一方向クラッチのスプラグ等のクラッチ素子が受ける荷重の均等化がもたらされ、該クラッチの耐久性向上を図ることができる。
【0010】
更に第2の特徴によれば、トルクコンバータのサイドカバー内を満たしているオイルによって前記ラジアルベアリング及び一方向クラッチを潤滑することができると共に、そのオイルの、タービン軸及びサイドカバー間から外部へのリークを防ぐことができる。
【0011】
更に第3の特徴によれば、トルクコンバータのサイドカバー内を満たしているオイルによって一方向クラッチを潤滑することができると共に、そのオイルの外部へのリークを前記ラジアルベアリングによって防ぐことができる。
【0012】
さらに本発明は、第の特徴に加えて、入力軸にポンプ羽根車のボスを固着する一方、前記ラジアルベアリングのアウタレースをサイドカバーのボスに軸方向移動不能に取付けると共に、同ベアリングのインナレースをタービン軸に軸方向移動不能に保持したことを第の特徴とする。
【0013】
この第の特徴によれば、前記ベアリング及び出力ギヤの協働により、クランク軸への組み付け前に、トルクコンバータの組立体を構成することができる。したがってクランク軸への組み付け時、ポンプ羽根車のボスを入力軸に固着するのみで、トルクコンバータ全体の軸方向の位置決めを行うことができ、しかも伝動中、出力ギヤに作用するスラスト荷重を、その方向の如何を問わず、前記ラジアルベアリングから比較的高剛性のサイドカバー及びポンプ羽根車を介して入力軸に負担させることになり、タービン羽根車及びステータ羽根車へのスラスト荷重の負担を回避して、それらの耐久性を向上させることができる。
【0014】
さらにまた本発明は、第3又は第4の特徴に加えて、サイドカバーのボスの外端に、タービン軸の外端に固設される出力ギヤを対置し、サイドカバーのボスの外端部内周面に、前記ベアリングを通過したオイルの圧力を受けると出力ギヤの側面に密接するシールリングを摺動可能に嵌合したことを第の特徴とする。
【0015】
この第の特徴によれば、シール付きのラジアルベアリングのシールに損傷が生じて、サイドカバー内のオイルが該ベアリングを通過した場合には、そのオイルの圧力がシールリングを出力ギヤの環状凹部の底面に押しつけることになり、これにより上記オイルの外部へのリークを防ぐことができる。しかも、シール付きのラジアルベアリングのシールに損傷が無い平時では、シールリングを出力ギヤに押圧する圧力は発生しないから、シールリングと出力ギヤ間に摩擦抵抗は生ぜず、シールリングによる動力の摩擦損失を防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の実施例に基づいて以下に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1実施例に係るトルクコンバータの縦断面図、図2は本発明の第2実施例に係るトルクコンバータの縦断面図である。
【0018】
先ず、図1に示す本発明の第1実施例の説明から始める。
【0019】
入力軸としてのエンジンのクランク軸1と、図示しない補助多段変速機を駆動する出力ギヤ16との間に本発明のトルクコンバータTが介裝される。このトルクコンバータTは、ポンプ羽根車2と、その外周部に外周部を対置させるタービン羽根車3と、それらの内周部間に配置されるステータ羽根車4とを備え、ポンプ羽根車2には、タービン羽根車3の外側面を覆うサイドカバー5が溶接により一体的に連設される。ポンプ羽根車2は、そのボス2aがクランク軸1にスプライン嵌合されると共に、クランク軸1外周の環状肩部1aと、クランク軸1に螺着されるナット15とで挟持される。こうしてポンプ羽根車2はクランク軸1に固着される。
【0020】
ステータ羽根車4のボス4aは、クランク軸1に左右一対のニードルベアリング8,8′を介して支承されるステータ軸7にスプライン結合されると共に、このボス4aとポンプ羽根車2のボス2aとの間にスラストベアリング9が介裝される。
【0021】
タービン羽根車3は、ステータ軸7を囲繞するタービン軸6の内端に嵌合して溶接され、そのタービン軸6は、ステータ軸7の外周にボールベアリング10及びニードルベアリング11を介して相対回転自在に支承される。その際、ボールベアリング10はタービン軸6の内端側に、ニードルベアリング11はその外端側にそれぞれ配置される。
【0022】
またサイドカバー5には、タービン軸6を囲繞するボス5aが溶接されており、このボス5aの内周面とタービン軸6の外周面との間に、一方向クラッチ13とラジアルベアリング14とが、前者13をステータ羽根車4側にして軸方向に隣接配置される。ラジアルベアリング14は、シール付きのボールベアリングで構成され、そのインナレース14aは、タービン軸6の外周面に嵌合されると共に、該軸6上の環状肩部6aと該軸6の外端部に固着される出力ギヤ16とで軸方向移動不能に保持される。またそのアウタレース14bは、サイドカバー5のボス5a内周面に嵌合されると共に、ボス5a内周面の環状肩部17と、ボス5a内周面に係止した止め環18とで軸方向移動不能に保持される。こうしてボールベアリング14は、タービン軸6及びサイドカバー5相互の同心性の確保と、それらタービン軸6及びボス5a相互の位置決めの役割を果たす。
【0023】
前記一方向クラッチ13は、タービン軸6に逆負荷が作用したとき、タービン軸6とサイドカバー5のボス5a間を直結すべくオン状態となるように構成される。
【0024】
ステータ軸7には、出力ギヤ16の外側面に隣接する外筒19が一体に形成され、この外筒19に囲繞される内筒20がクランク軸1にブッシュ32を介して相対回転自在に嵌合され、これら内、外筒20,19間にフリーホイール23が介裝される。内筒20は、その一端にフランジ20aを有しており、このフランジ20aがクランクケース等の固定構造体21に設けられた固定ピン22に係合されると共に、固定構造体21に突設された位置決めストッパ21aに外端面を支承される。
【0025】
出力ギヤ16の側面には、サイドカバー5のボス5aの外端部を受容する環状凹部25が形成されており、ボス5aの外端部内周面に環状のシールリング24が環状凹部25の底面と前記止め環18との間を摺動可能に嵌合される。
【0026】
クランク軸1には、その軸心部を通る供給油路31と、この供給油路31から半径方向に延びる入口孔26及び出口孔27とが設けられる。供給油路31は、一端がオイルポンプ30の吐出側に接続され、他端はエンジンの潤滑部に接続される。入口孔26は、前記スラストベアリング9を介してポンプ羽根車2及びステータ羽根車4間に連通し、出口孔27は、ステータ軸7に穿設した横孔28と、ステータ軸7外周面及びタービン軸6内周面の間隙29と、前記ボールベアリング10とを介してタービン羽根車3及びステータ羽根車4間に連通する。
【0027】
次に、この第1実施例の作用について説明する。
【0028】
オイルポンプ30の作動中、それから供給油路31に圧送されたオイルの一部は入口孔26を通ってスラストベアリング9を潤滑しながらトルクコンバータT内に流入して、その内部を満たした後、ボールベアリング10を潤滑し、間隙29、横孔28及び出口孔27を順次経て、供給油路31の下流側へ流出していく。
【0029】
クランク軸1の回転がポンプ羽根車2に伝達されると、トルクコンバータT内を満たしているオイルは、ポンプ羽根車2の回転により、そのポンプ羽根車2→タービン羽根車3→ステータ羽根車4→ポンプ羽根車2と、トルクコンバータT内を循環しながらポンプ羽根車2の回転トルクをタービン羽根車3に伝達し、タービン軸6から出力ギヤ16を駆動する。このとき、ポンプ羽根車2及びタービン羽根車3間でトルクの増幅作用が生じていれば、それに伴う反力がステータ羽根車4に負担され、ステータ羽根車4は、フリーホイール23のロック作用により固定ピン22に支持される。
【0030】
トルク増幅作用を終えると、ステータ羽根車4は、これが受けるトルク方向の反転により、フリーホイール23を空転させながらポンプ羽根車2及びタービン羽根車3と共に同一方向へ回転するようになる。
【0031】
車両の減速時、逆負荷が駆動ギヤ16からタービン軸6に伝達すると、一方向クラッチ13がオン状態となって、タービン軸6及びサイドカバー5間を直結するので、上記逆負荷はタービン軸6からサイドカバー5へ直接伝達し、そしてポンプ羽根車2からクランク軸1へと伝達するようになる。したがって、タービン羽根車3及びポンプ羽根車2間に滑りを起こさせることがなく、良好なエンジンブレーキ効果を得ることができる。
【0032】
しかも、一方向クラッチ13に隣接するラジアル型のボールベアリング14は、タービン軸6とサイドカバー5のボス5aとの間に介裝されて、両者6、ボス5aの同心性を確保しているので、その両者6、ボス5a間において一方向クラッチ13のスプラグ等のクラッチ素子が受ける荷重の均等化がもたらされ、該クラッチ13の耐久性向上を図ることができる。
【0033】
上記一方向クラッチ13は、ボールベアリング14よりタービン羽根車3側に配置されているので、トルクコンバータTのサイドカバー5内を満たしているオイルによってこれを潤滑することができる。しかもそのオイルは、シール付きのボールベアリング14によって外部へのリークを阻止される。このシール付きのボールベアリング14のシールに損傷が生じて、サイドカバー5内のオイルが該ベアリング14を通過した場合には、そのオイルの圧力がシールリング24を出力ギヤ16の環状凹部25の底面に押しつけることになり、これにより上記オイルの出力ギヤ16外へのリークを極力防ぐことができる。しかも、シール付きのボールベアリング14のシールに損傷が無い平時では、シールリング24を出力ギヤ16に押圧する圧力は発生しないから、シールリング24と出力ギヤ16間に摩擦抵抗は生ぜず、シールリング24による動力の摩擦損失を防ぐことができる。またシールリング24を支持するボス5aの端部が、出力ギヤ16の凹部25に収容されることにより、シールリング24周りの構造をコンパクトに構成することができる。
【0034】
また、上記ベアリング14は、出力ギヤ16との協働により、タービン軸6とサイドカバー5のボス5aとを軸方向に連結するので、簡単な構造により、クランク軸1への組み付け前に、トルクコンバータTの組立体を構成することができ、したがってクランク軸1への組み付け時、ポンプ羽根車2のボス2aをクランク軸1に固着するのみで、トルクコンバータT全体の軸方向の位置決めを行うことができる。しかも、伝動中、出力ギヤ16に発生するスラスト荷重を、その方向の如何を問わず、上記ベアリング14から比較的高剛性のサイドカバー5及びポンプ羽根車2を介してクランク軸1に負担させることになるから、タービン羽根車3及びステータ羽根車4へのスラスト荷重の負担を回避して、それらの耐久性を向上させることができる。
【0035】
次に、図2により本発明の第2実施例について説明する。
【0036】
ステータ軸7は、ブッシュ35及びニードルベアリング8′を介してクランク軸1に相対回転自在に支承される。このステータ軸7の外端にフランジ7aが一体に形成されており、これが固定ピン22に直接係合されると共に、ストッパ21aに外端面を支承される。このステータ軸7の内端部外周面と、ステータ羽根車4の内周面にスプライン結合した外筒37の内周面との間にフリーホイール23が介裝される。
【0037】
上記外筒37は、その一端に重なるスペーサ38とがステータ羽根車4の板状のボス4aとタービン羽根車3のボス3aとの間に配置される。フリーホイール23の潤滑のために、ボス4aには軸方向の通孔39と放射状の溝40とが、またスペーサ38にも、軸方向の通孔41と放射状の溝42とがそれぞれ設けられる。
【0038】
タービン軸6は、一対のニードルベアリング36,11を介してステータ軸7に支承されると共に、その内端部がタービン羽根車3のボス3aにスプライン嵌合される。またタービン軸6の外端部外周には出力ギヤ16が一体成形される。
【0039】
サイドカバー5のボス5aとタービン軸6間において、一方向クラッチ13と軸方向に隣接配置されるラジアル型ボールベアリング14′は、前記実施例のシール付きボールベアリング14とは異なるシール無しとされる。その際、このボールベアリング14′のアウタレース14b′は、サイドカバー5のボス5a内周面の環状肩部43と、ボス5a内周面に係止した止め環44とで軸方向移動不能に保持されるが、そのインナレース14a′は、タービン軸6外周面の環状肩部6bとタービン羽根車3のボス3aとで軸方向移動不能に保持される。この場合、ボールベアリング14′及び一方向クラッチ13の何れをトルクコンバータTの内側に配置するかは自由である。
【0040】
タービン軸6の軸方向外方への移動を阻止するために、タービン軸6の外端面と前記フランジ7aとの間にスラストワッシャ45が挿入される。
【0041】
ボールベアリング14′をシール無しとした代わりに、出力ギヤ16の環状凹部25の大径側内周面と、この環状凹部25に突入した、サイドカバー5のボス5aの外端部外周面との間に、その間をシールするシール部材47(シール手段)が介装される。図示例の場合、シール部材47は、ボス5aの外周面に形成された環状溝48に装着されて、環状凹部25の大径側内周面に相対回転自在に密接する。
【0042】
ステータ軸7及びタービン軸6間に設けられた間隙29は、前記ニードルベアリング36を介してスペーサ38の放射状溝42に連通する。またステータ軸7には、上記間隙29をクランク軸1の出口孔27に連通する横孔28が設けられる。
【0043】
その他の構成は、前実施例と略同様であるので、図2中、前実施例と対する部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
而して、一方向クラッチ13と軸方向に隣接して並ぶボールベアリング14′は、タービン軸6とサイドカバー5のボス5aとの同心性を確保するので、前記実施例の場合と同様に、その両者6,5a間において一方向クラッチ13のクラッチ素子が受ける荷重の均等化がもたらされ、該クラッチ13の耐久性の向上を図ることができる。
【0045】
トルクコンバータTの作動中、クランク軸1の供給油路31から入口孔26に流入したオイルは、前記実施例の場合と同様にスラストベアリング9を経てトルクコンバータT内に流入するが、そのオイルの一部がステータ羽根車4のボス4aの放射状溝40及び横孔39を通ってフリーホイール23を潤滑する。またトルクコンバータT内のオイルは、スペーサ38の放射状溝42、ニードルベアリング36及び間隙29を順次通過し、前実施例と同様に横孔28及び出口孔27を通って供給油路31へと流出する。
【0046】
またサイドカバー内を満たしているオイルは、ボールベアリング14′、一方向クラッチ13へと順次流れてこれらを潤滑するが、そのオイルは、ボス5a及び出力ギヤ16間のシール部材47によって外部へのリークを阻止される。
【0047】
伝動中、出力ギヤ16に作用するタービン羽根車3方向へのスラスト荷重は、上記ベアリング14から比較的比較的高剛性のサイドカバー5及びポンプ羽根車2を介してクランク軸1に負担させ、また出力ギヤ16の、タービン羽根車3とは反対方向へのスラスト荷重は、スラストワッシャ45及びフランジ7aを介して固定構造体21のストッパ21aに負担させることになるから、タービン羽根車3及びステータ羽根車4へのスラスト荷重の負担を回避して、それらの耐久性を向上させることができる。
【0048】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば第2実施例においては、ボス5a及び出力ギヤ16間のシール部材47に代えて、ボス5aの内周面とタービン軸6の外周面との間にシール部材を直接介装することもできる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1〜第3の各特徴によれば、入力軸に連結されるポンプ羽根車と、このポンプ羽根車に対置されてタービン軸が連結されるタービン羽根車とを備えたトルクコンバータにおいて、ポンプ羽根車に一体的に連設されてタービン羽根車を覆うサイドカバーのボスと、このボスを貫通してタービン羽根車に連結するタービン軸との間に、これらボス及びタービン軸を同心に保持するラジアルベアリングと、タービン軸に逆負荷が作用したときタービン軸及びサイドカバー間を連結する一方向クラッチとを同軸に隣接配置したので、車両の減速時、逆負荷が駆動ギヤからタービン軸に伝達すると、一方向クラッチがタービン軸及びサイドカバー間を直結するので、上記逆負荷はタービン軸からサイドカバーへ直接伝達し、更にポンプ羽根車からクランク軸へと伝達するようになる。したがって、タービン羽根車及びポンプ羽根車間に滑りを起こさせることがなく、良好なエンジンブレーキ効果を得ることができる。しかも、一方向クラッチに隣接するラジアル型のボールベアリングは、タービン軸とサイドカバーのボスとの間に介裝されて、両者の同心性を確保しているので、その両者間において一方向クラッチのスプラグ等のクラッチ素子が受ける荷重の均等化がもたらされ、該クラッチの耐久性向上を図ることができる。
【0050】
また本発明の第の特徴によれば、前記ラジアルベアリングをサイドカバーのボスに軸方向移動不能に取付けると共に、ポンプ羽根車のボスを入力軸に固着し、タービン軸の外端に連結される出力ギヤに作用する、タービン羽根車方向のスラスト荷重を前記ラジアルベアリングに作用させるようにしたので、伝動中、出力ギヤに発生する、タービン羽根車方向のスラスト荷重を前記ラジアルベアリングから比較的高剛性のサイドカバー及びポンプ羽根車を介して入力軸に負担させることになり、タービン羽根車及びステータ羽根車へのスラスト荷重の負担を回避して、それらの耐久性を向上させることができる。
【0051】
さらに本発明の第2の特徴によれば、前記ラジアルベアリング及び一方向クラッチを挟んでタービン羽根車と反対側でタービン軸とサイドカバーとの間に、その間をシールするシール手段を設けたので、トルクコンバータのサイドカバー内を満たしているオイルによって前記ラジアルベアリング及び一方向クラッチを潤滑することができると共に、そのオイルの、タービン軸及びサイドカバー間から外部へのリークを防ぐことができる。
【0052】
さらに本発明の第3の特徴によれば、前記ラジアルベアリングをシール付きに構成すると共に、このラジアルベアリングを、前記一方向クラッチを挟んでタービン羽根車と反対側に配置したので、トルクコンバータのサイドカバー内を満たしているオイルによって一方向クラッチを潤滑することができると共に、そのオイルの外部へのリークを前記ラジアルベアリングによって防ぐことができる。
【0053】
さらに本発明の第の特徴によれば、入力軸にポンプ羽根車のボスを固着する一方、前記ラジアルベアリングのアウタレースをサイドカバーのボスに軸方向移動不能に取付けると共に、同ベアリングのインナレースをタービン軸に軸方向移動不能に保持したので、前記ベアリング及び出力ギヤの協働により、クランク軸への組み付け前に、トルクコンバータの組立体を構成することができ、したがってクランク軸への組み付け時、ポンプ羽根車のボスを入力軸に固着するのみで、トルクコンバータ全体の軸方向の位置決めを行うことができ、しかも伝動中、出力ギヤに作用するスラスト荷重を、その方向の如何を問わず、前記ラジアルベアリングから比較的高剛性のサイドカバー及びポンプ羽根車を介して入力軸に負担させることになり、タービン羽根車及びステータ羽根車へのスラスト荷重の負担を回避して、それらの耐久性を向上させることができる。
【0054】
さらにまた本発明の第の特徴によれば、サイドカバーのボスの外端に、タービン軸の外端に固設される出力ギヤを対置し、サイドカバーのボスの外端部内周面に、前記ベアリングを通過したオイルの圧力を受けると出力ギヤの側面に密接するシールリングを摺動可能に嵌合したので、シール付きのラジアルベアリングのシールに損傷が生じて、サイドカバー内のオイルが該ベアリングを通過した場合には、そのオイルの圧力がシールリングを出力ギヤの環状凹部の底面に押しつけることになり、これにより上記オイルの外部へのリークを防ぐことができる。しかも、シール付きのラジアルベアリングのシールに損傷が無い平時では、シールリングを出力ギヤに押圧する圧力は発生しないから、シールリングと出力ギヤ間に摩擦抵抗は生ぜず、シールリングによる動力の摩擦損失を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係るトルクコンバータの縦断面図。
【図2】 本発明の第2実施例に係るトルクコンバータの縦断面図。
【符号の説明】
T・・・・・・トルクコンバータ
1・・・・・・入力軸(クランク軸)
2・・・・・・ポンプ羽根車
2a・・・・・ポンプ羽根車のボス
3・・・・・・タービン羽根車
3a・・・・・タービン羽根車のボス
5・・・・・・サイドカバー
5a・・・・・サイドカバーのボス
6・・・・・・タービン軸
14・・・・・ラジアルベアリング(シール付きボールベアリング)
14′・・・・ラジアルベアリング(シール無しボールベアリング)
14a・・・・インナレース
14b・・・・アウタレース
16・・・・・出力ギヤ
24・・・・・シールリング
25・・・・・環状凹部
47・・・・・シール手段(シール部材)

Claims (5)

  1. 入力軸(1)に連結されるポンプ羽根車(2)と、このポンプ羽根車(2)に対置されてタービン軸(6)が連結されるタービン羽根車(3)とを備えたトルクコンバータにおいて、
    ポンプ羽根車(2)に一体的に連設されてタービン羽根車(3)を覆うサイドカバー(5)のボス(5a)と、このボス(5a)を貫通してタービン羽根車(3)に連結するタービン軸(6)との間に、これらボス(5a)及びタービン軸(5a)を同心に保持するラジアルベアリング(14,14′)と、タービン軸(6)に逆負荷が作用したときタービン軸(6)及びサイドカバー(5)間を連結する一方向クラッチ(13)とを同軸に隣接配置し、前記ラジアルベアリング(14,14′)をサイドカバー(5)のボス(5a)に軸方向移動不能に取付けると共に、ポンプ羽根車(2)のボス(2a)を入力軸(1)に固着し、タービン軸(6)の外端に連結される出力ギヤ(16)に作用する、タービン羽根車(3)方向のスラスト荷重を前記ラジアルベアリング(14,14′)に作用させるようにしたことを特徴とするトルクコンバータ。
  2. 入力軸(1)に連結されるポンプ羽根車(2)と、このポンプ羽根車(2)に対置されてタービン軸(6)が連結されるタービン羽根車(3)とを備えたトルクコンバータにおいて、
    ポンプ羽根車(2)に一体的に連設されてタービン羽根車(3)を覆うサイドカバー(5)のボス(5a)と、このボス(5a)を貫通してタービン羽根車(3)に連結するタービン軸(6)との間に、これらボス(5a)及びタービン軸(5a)を同心に保持するラジアルベアリング(14′)と、タービン軸(6)に逆負荷が作用したときタービン軸(6)及びサイドカバー(5)間を連結する一方向クラッチ(13)とを同軸に隣接配置し、前記ラジアルベアリング(14′)及び一方向クラッチ(13)を挟んでタービン羽根車(3)と反対側でタービン軸(6)とサイドカバー(5)との間に、その間をシールするシール手段(47)を設けたことを特徴とするトルクコンバータ。
  3. 入力軸(1)に連結されるポンプ羽根車(2)と、このポンプ羽根車(2)に対置されてタービン軸(6)が連結されるタービン羽根車(3)とを備えたトルクコンバータにおいて、
    ポンプ羽根車(2)に一体的に連設されてタービン羽根車(3)を覆うサイドカバー(5)のボス(5a)と、このボス(5a)を貫通してタービン羽根車(3)に連結するタービン軸(6)との間に、これらボス(5a)及びタービン軸(5a)を同心に保持するラジアルベアリング(14)と、タービン軸(6)に逆負荷が作用したときタービン軸(6)及びサイドカバー(5)間を連結する一方向クラッチ(13)とを同軸に隣接配置し、前記ラジアルベアリング(14)をシール付きに構成すると共に、このラジアルベアリング(14)を、前記一方向クラッチ(13)を挟んでタービン羽根車(3)と反対側に配置したことを特徴とするトルクコンバータ。
  4. 請求項記載のトルクコンバータにおいて、
    入力軸(1)にポンプ羽根車(2)のボス(2a)を固着する一方、前記ラジアルベアリング(14)のアウタレース(14b)をサイドカバー(5)のボス(5a)に軸方向移動不能に取付けると共に、同ベアリング(14)のインナレース(14a)を、タービン軸(6)に軸方向移動不能に保持したことを特徴とするトルクコンバータ。
  5. 請求項3又は4記載のトルクコンバータにおいて、
    サイドカバー(5)のボス(5a)の外端に、タービン軸(6)の外端に固設される出力ギヤ(16)を対置し、サイドカバー(5)のボス(5a)の外端部内周面に、前記ベアリング(24)を通過したオイルの圧力を受けると出力ギヤ(16)の側面に密接するシールリング(24)を摺動可能に嵌合したことを徴とするトルクコンバータ。
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