JP4521804B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録材料、電子材料、製版フィルム、包装材料に用いられるポリエステルフィルムに関する。詳しくは、円筒状コアに巻き取ったフィルムロール外径の幅方向分布(以下、原反形状)が短時間で安定し、かつ高密度磁気記録媒体、特にデジタル記録方式の高密度磁気記録媒体用(例えば、40GB以上の容量を有するDLT, LTOなど)ベースフィルムとして用いたときに優れた電磁変換特性を発揮する二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デ−タストレージ用やデジタルビデオテープ用などの高密度磁気記録媒体を製造するにあたり、テープの生産性や塗布適正を向上させる上でベースフィルムロールの原反形状を制御することが特に重要となってきている。例えば、フィルムロール両端部の直径の差を制御する(特開2001-23161号公報)、また両端部の直径に加え、フィルムロール幅方向におけるロール直径の最大値と最小値の差を規定することにより、DO(ドロップアウト)の少ない磁気記録媒体を生産性よく製造するために好適なフィルムロールの作成を実現している。このような原反形状の制御を行うに際し、フィルム生産時にオンラインでフィルム1枚の厚みのみを制御する方法もあるが、より精密な原反形状を実現するために、最近ではスリット後のフィルムロールの原反形状を測定し、目的の原反形状との偏差を口金の厚み制御機構にフィードバックさせることも公知である(特許文献1参照)。しかしこの方法においては、原反形状の測定はフィルム層間に巻き込まれたエアが抜け、形状が安定するまで待ってから行わなければならず、このようなエア抜けの待ち時間、更にはロール保管場所を確保することは生産工程上の大きなロスとなっていた。
【0003】
一方で近年の磁気記録媒体においては、より一層の高密度化が進んでいる。磁性層が薄膜化されるのに伴い、フィルムには極めて平滑な表面が要求されるようになってきた。しかしながら、フィルム表面があまりに平滑過ぎると、滑り性、巻取り性が悪化してしまう。一般にこのような問題に対しては、平滑面側に粒径の小さな粒子を、粗面側には平滑面よりも大きな粒子を添加し表裏異滑性のフィルムとすることで、電磁変換特性と滑り性を兼ね備えたフィルムの作成を実現してきた。例えば、粗面および平滑面に添加する粒子の粒径および添加量をそれぞれ制御することで、フィルム表面に存在する波長5μmのうねりを小さくし、巻取り性および電磁変換特性を両立させている。しかしながら、このようなフィルムを用いても近年要求されている、より高密度(例えば、40GB以上の容量を有するDLT, LTOなど)の磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いた場合には、十分な電磁変換特性を得ることができなかった(特許文献2参照)。
【0004】
発明者らが鋭意検討した結果、これはフィルム表面の極度の平滑化に伴い、延伸ロールとフィルムとの密着度が増大し、ロールの熱の影響によりフィルム表面に100μmレベルの長波長のうねりが発生、引いてはこのうねりが電磁変換特性を悪化させていることを突き止めた。
【0005】
空間周波数とうねり強度(Relative Power)の概略図を図1に示す。従来公知の技術で得られたフィルムはAのような関係を示していた。磁気記録媒体の高密度化に対応して、フィルムに添加する粒子の粒径および添加量を少なくし表面を平滑化したフィルムがBである。平滑化に伴い、添加粒子により形成される波長5μmレベルのうねり強度は減少しているものの、フィルム表面の熱ダメージにより100μmレベルのうねりが急激に増大した。波長5μmレベルのうねり強度を小さく保ったまま100μmレベルのうねりを小さくすることで、原反形状が安定するまでの時間を短縮しさらに電磁変換特性を飛躍的に向上させたフィルムが本願発明のCである。
【0006】
公知の技術で述べられてきた波長5μmのうねりはフィルムに添加する粒子により形成されるのに対し、本発明の特徴とする100μmのうねりはフィルム地肌への熱ダメージにより発生する。それぞれの発生原因は全く異なるものであり、従来技術に記載されているように積層の両面に添加する粒子径を制御しても、本発明のような長波長のうねりは制御できない
【0007】
【特許文献1】
特開2001-76337号公報(第2−5頁)
【0008】
【特許文献2】
特開2001-341265号公報(第2−5頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題を解決し、ベースフィルムの幅方向に存在する100μmレベルの比較的長波長のうねり強度を特定の範囲に制御することで、フィルムロールの原反形状を短時間で安定させ、かつ優れた電磁変換特性を発揮することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の課題は、非金属製のロールを用い、90〜130℃の延伸温度で、ロールとフィルムのトータルの接触時間を0.1秒以下として、長手方向に延伸して得られる二軸配向ポリエステルフィルムであって、少なくとも片面の幅方向における空間周波数10(1/mm)のRelative PowerI10 TDが、−25〜0dBであることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムによって達成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルフィルムの少なくとも片面の幅方向における空間周波数10 (1/mm)のRelative Power I10 TDが、−25〜0 dB、好ましくは−20〜−5dB、更に好ましくは−15〜−6dBである。後述するが、Relative Powerは、値がプラス側に大きいほどフィルム表面のうねりが強いことを示す。また、I10 TDは幅方向に存在する100μmレベルの長波長のうねりの強度を表す。I10 TDが0dBよりも大きいと長波長のうねりが強くなり過ぎ、巻き取られたフィルムロールにおいてフィルム層間の距離に局所的に狭い部分が発生するため、エア抜け性が悪化する。特に、フィルム幅方向に強いうねりが存在すると、ロール端面方向へのエア抜け性が悪化し、原反形状が安定するまでに時間がかかるようになるため好ましくない。さらに、このような長波長のうねりは磁性層を塗布した際に塗布厚みムラを引き起こし、電磁変換特性を悪化させるため好ましくない。また、I10 TDは小さいほど長波長のうねりが少なくなり好ましいが、フィルム製造上ごく弱いうねりの発生は避けられず実質的には−25dB以上の値である。ロール円周方向へのエア流れも確保するためには、長手方向の長周期のうねりI10 MDについても幅方向と同様、−25〜0 dB、更には−15〜−6dBであることが好ましい。
【0012】
また、空間周波数10(1/mm)の強度により表される100μmの長波長のうねりと、空間周波数200(1/mm)により表される5μmの短波長の幅方向におけるうねりの強度差I10―200 TDが5〜26 dBであると、本発明の効果がより一層顕著となるので好ましい。I10-200 TDは、好ましくは26dB以下、更に好ましくは23dB以下である。前述したように空間周波数200(1/mm)で表される波長5μmの短波長のうねりは、フィルムに添加される粒子径と強い相関がある。I10-200 TDが26dBよりも大きい場合、フィルム表面では添加粒子により形成される短波長のうねりよりも、100μレベルの長波長のうねりが支配的になる。この状態では、フィルム層間の距離に局所的に狭い部分が発生し、エア抜け性が悪化するだけでなく、磁性層を塗布した際に塗布厚みムラを引き起こしやすく、電磁変換特性が悪化する場合がある。逆に、I10-200 TDが5〜26dBの場合には、フィルム表面に形成される長波長のうねりよりも添加粒子により形成される短波長のうねりの方が支配的になる。言い換えれば添加粒子径・添加量に応じた突起が適切に形成されており、フィルム層間でエア抜けを局所的に妨げるような場所は発生せず、さらに磁性層の塗布厚みムラも低減される。一方で、フィルム製造上ごく小さな長波長のうねりの発生は避けられず、実質的にI10-200 TDは5dB以上の値となる。
【0013】
長手方向における長波長と短波長のうねりの強度差I10-200 MDについても同様で、26dB以下、好ましくは23dB以下である。うねりの方向が長手もしくは幅方向に極端に方向性を持った形であると、フィルムロール幅方向および円周方向で均一にエアが抜けにくくなるため、I10―200 TD−15≦I10―200 MD≦I10―200 TD+15、の関係を満たすことが好ましく、特にフィルムをロール上に巻き取る際に巻きずれを防止する観点から、より好ましくはI10―200 TD≦I10―200 MD≦I10―200 TD+15である。
【0014】
本発明の特徴は、長波長および短波長のうねりを示す空間周波数を明確に定義し、さらに幅方向と長手方向のうねり成分を分離することで、後述するWRaのような測定面全体の平均粗さだけでは説明が困難であった現象、例えば本発明のようなフィルムロールとして巻取った際のエア抜けのし易さや電磁変換特性を改善することを狙ったものである。従って、WRaが同じでもI10 TDが大きいものは本発明の効果が得られない。上記の範囲とすることで初めて本発明の効果が得られるのである。
【0015】
本発明におけるポリエステルフィルムとは、分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであれば特に限定しないが、主としてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートからなることが好ましい。特に好ましくはその構成成分の80%以上がエチレンテレフタレート、エチレンナフタレートであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートである。エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが使用できる。
【0016】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、単層でも2層以上の積層構造であっても良いが、2層構造の場合磁性層を塗布する層(A)と反対側の層(B)の表面突起形成を容易に制御できるため、本発明の効果がより一層良好となるので好ましい。
【0017】
前記ポリエステルフィルムにおいて、層(B)の厚みは好ましくは0.1〜3.0μmであり、より好ましくは0.2〜1.5μmである。この厚みが、0.1μmよりも小さくなると粒子が脱落しやすくなり、3.0μmよりも大きくなると添加粒子の突起形成効果が減少し、好ましくない。
【0018】
前記二軸配向ポリエステルフィルムの層(A)の、非接触3次元粗さ計(WYKO)を用いて面積測定倍率41.6倍で測定した表面粗さWRaAは、0.3〜5.0nm好ましくは0.5〜2.5nmである。表面粗さWRaAを0.3nm未満にすることは上述したフィルム表面への熱の影響から実質的に困難であり、5.0nmを超えると表面が粗くなり過ぎ、高密度磁気記録媒体用として十分な電磁気変換特性が得られにくい。一方、反対面の層(B)の表面粗さWRaBは1.0〜10.0nm、好ましくは、2.0〜6.0nmである。表面粗さが1.0nmよりも小さいとフィルム巻き取り中しわなどが入り、巻き姿が不良となる場合がある。一方、WRaBが10.0nmよりも大きくなると、表面が粗くなり過ぎるためフィルムロールとして巻き取った際、磁性層を塗布する層(A)に転写するなど悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0019】
次に、上記表面粗さを満足するためには層内に不活性粒子を添加することが好ましく、本発明において層(A)に用いられる不活性粒子Iは、平均粒径が0.02〜0.35μm、好ましくは0.05〜0.10μmで、含有量は0.001〜0.30重量%、好ましくは0.01〜0.25重量%である。
【0020】
本発明において層(B)に含まれる粒子は1種類であっても2種類以上であってもよいが、テープ化した後の走行性を確保する観点から、平均粒径の異なる少なくとも2種の不活性粒子II,IIIを含有することが好ましい。粒子IIの平均粒径は0.1μm〜0.5μm、好ましくは0.2μm〜0.4μmで、含有量は0.1重量%〜0.4重量%、好ましくは0.15〜0.3重量%であり、粒子IIIの平均粒径は粒子IIよりも大きく、平均粒径は0.3μm〜1.0μmで、好ましくは0.4μm〜0.9μmであり、かつ含有量が0.002重量%〜0.1重量%好ましくは0.005〜0.08重量%である。
【0021】
層(A)および層(B)に含まれる不活性粒子は、球状シリカ、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機粒子、またその他有機系高分子粒子としては、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等が好ましい。これらの内の1種もしくは2種以上を選択して用いる。いずれについても、粒子形状・粒子分布は均一なものが好ましく、体積形状係数f=0.3〜π/6であり、より好ましくはf=0.4〜π/6である。体積形状係数fは、次式で表される。
【0022】
f=V/Dm 3
Vは粒子体積(μm3),Dmは粒子の投影面における最大径(μm)である。なお、体積形状係数fは粒子が球の時、最大のπ/6(=0.52)をとる。必要に応じて濾過などを行うことが好ましい。中でも、球状シリカは単分散性に優れ、突起形成を容易に制御でき、本発明の効果がより良好となるため好ましい。また必要に応じて、地肌補強の観点から一次粒径が0.005〜0.10μm、好ましくは0.01〜0.05μmのα型アルミナ、γ型アルミナ、δ型アルミナ、θ型アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタン粒子などから選ばれる不活性粒子を表面突起形成に影響を及ぼさない範囲で含有してもよい。
【0023】
また、本発明におけるポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向および幅方向のヤング率がそれぞれ3500〜10000MPaで両者の比(長手/幅)が1.0〜2.5であり、好ましくは1.2〜2.2である。長手方向および幅方向のヤング率が3500MPaよりも小さくなると、十分な磁気テープの強度が得られず、記録・再生時に強い力がかかると、容易に破断するため好ましくない。一方、10000MPaよりも大きくなると、フィルム製膜時の延伸倍率が高くなり、フィルム破断が多発し、製品歩留まりが著しく悪くなる。
【0024】
長手方向および幅方向のヤング率の比(長手方向/幅方向)が1.0よりも小さくなると、磁気テープとした場合に十分な縦強度が得られず、記録・再生時縦方向に強い力がかかるとテープが切断する。一方、ヤング率の比(長手方向/幅方向)が2.5を超えると十分な磁気テープの横強度を得ることが難しく、該テープと磁気ヘッドの当たりが弱くなるため満足しうる電磁変換特性が得られない。
【0025】
本発明におけるポリエステルフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で少なくとも片面に水溶性塗剤、あるいは有機溶剤系の塗剤を塗布することにより易接着層を設けても良い。
【0026】
本発明に用いられるポリエステルフィルムの厚さは、2.0〜10.0μmが好ましく、より好ましくは4.0〜7.0μmである。
【0027】
なお本発明のフィルム中には、発明を阻害しない範囲で、耐熱性ポリマを20重量%以下の割合でブレンドしても良い。耐熱性ポリマとしては、溶融成形性及びポリエステルとの相溶性を有する熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、ポリイミド系樹脂(ポリエーテルイミドを含む)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレートが例示される。
【0028】
この中でも、ポリエステルとの親和性が良好であり、ガラス転移温度(Tg)が150〜350℃で溶融成形性に優れている点から、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンから選ばれる熱可塑性ポリマが好ましい。親和性が良好とは、例えばポリエステルと耐熱性ポリマからなるポリマ−アロイを用い、未延伸または2軸延伸フィルムを作成し、該フィルム断面を透過型電子顕微鏡で3万〜50万倍の倍率で観察した場合、外部添加粒子などの添加物に起因しない直径200nm以上の構造(例えば分散不良のポリマードメインなど)が観察されないことをいう。ただし、親和性を判定する方法は特にこれに限定されるものではなく、温度変調型DSC(MDSC)によって、単一のガラス転移点が観察される場合には良好な親和性があると判定してもよい。このような熱可塑性ポリマの中でも、相溶性、コスト、溶融成形性の観点から、2,2-ビス[4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物と、mフェニレンジアミンまたはp-フェニレンジアミンとの縮合物が特に好ましい。このポリエーテルイミドは、”ウルテム”(登録商標)の商標名で、General Electric(GE)社より入手可能である。また、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの有機添加剤が通常と同等量添加されても良い。
【0029】
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。まず、ポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子Iを所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、滑り性、電磁変換特性を共に良好とすることができる。また粒子の水スラリーを直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の効果に有効である。
【0030】
粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子マスターを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないポリエステルで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。
【0031】
上記の方法にて得られたポリエステルのペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、ポリマーをフィルターにより濾過する。非常に薄い磁性層を塗布する高密度磁気記録媒体用途においては、ごく小さな異物もDOの原因となるため、フィルターには例えば1.5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いてスリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムすなわち、1から3台の押出機、1から3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて必要に応じて積層し、口金からシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムこの場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマ流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
【0032】
次にこの未延伸フィルムの延伸方法は逐次延伸であっても同時二軸延伸であってもよいが、逐次延伸の場合最初の長手方向の延伸が重要であり、延伸温度は90〜130℃、好ましくは100〜120℃である。延伸温度が90℃よりも低くなるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が130℃よりも高くなるとフィルム表面が熱ダメージを受けやすくなるため好ましくない。また、延伸ムラを防止する観点からは2段階以上に分けて行うことが好ましく、トータル倍率は2.5~4.0、好ましくは2.8〜3.5倍である。延伸倍率が2.5倍よりも小さいと磁気記録媒体用として必要な強度が得られにくい。一方、倍率が4.0倍よりも大きくなると、フィルム破断が起こりやすく、安定したフィルムの製造が難しい。さらに、延伸ロールの材質としては、非金属製のものが好ましく、特に表面の粗さなどを制御しやすい非粘着性のシリコンもしくはテフロン(登録商標)ロール等が好ましい。金属製のロールでは、ロールとフィルムが密着してフィルムに熱ダメージを与えやすく、本発明の特徴とするフィルム表面を製造することは難しい。さらに延伸ロールの表面粗さRaは、0.005〜1.0μm、好ましくは0.02〜0.6μm以下である。Raが1.0μmよりも大きいと延伸時ロール表面の凸凹がフィルム表面に転写するため好ましくなく、一方、0.005μmよりも小さいとロールとフィルム地肌が密着し、フィルムが熱ダメージを受けやすくなるため好ましくない。Raをこの範囲に制御するためには、研磨剤の粒度、研磨回数などを適宜調整することが有効である。さらに、ロールの振れ、円筒度は共に0.10mm以下、好ましくは0.05mm以下であることが好ましい。振れ、円筒度が0.10mmを超えると、延伸ムラを引き起こし、表面性が悪化しやすくなるため好ましくない。振れ、円筒度を上記の範囲にするためには、ロールの軸の調整、研磨剤の粒度、研磨回数を適宜調整することが有効である。さらに、延伸部におけるロールとフィルムのトータルの接触時間は0.1秒以下、好ましくは0.08秒以下にすることがフィルムを製造する上で特に有効である。ロールとフィルムの接触時間が0.1秒よりも大きくなると、延伸ロールの熱によりフィルム表面にうねりが発生し、本発明の特徴とするフィルムが得られにくい。
【0033】
その後、85〜140℃、好ましくは90〜120℃で幅方向に2.5〜4.5倍、好ましくは3.0〜4.0倍延伸する。かかる温度、倍率範囲をはずれると延伸ムラあるいは熱ダメージによる表面性の悪化、フィルム破断などの問題を引き起こし、本発明の特徴とするフィルムが得られにくいため好ましくない。2軸延伸されたフィルムをさらに、温度110℃〜160℃で1.1〜2.5倍再縦延伸する。本発明の目的とする表面を得るためには、120〜150℃で、1.2〜2.0倍程度再縦延伸することが好ましい。かかる温度、倍率の範囲を外れると、熱ダメージによる表面性悪化、さらにはフィルム破断を引き起こすため好ましくない。その後1.0〜1.5倍再横延伸した後、190〜225℃好ましくは200〜220℃で0.5〜20秒、好ましくは1〜15秒熱固定を行う。特に熱固定温度はフィルム表面性に大きく影響を与えるため、本発明の目的を達するためには上記範囲に制御しなければならない。また、熱処理後に弛緩処理を施す工程を設けるとさらに好ましい。
【0034】
また、ポリエステルフィルムをロール状に巻き取る際のコア材としては繊維強化プラスチック、鉄などを用いることができるが、中でも繊維強化プラスチックを用いると、経時による巻き締まりにより発生する原反形状の変化やしわの発生を軽減できる点で好ましい。
【0035】
また、前記巻取コアを回転させたときの振れは、0.20mm以下であることが好ましくは、さらに好ましくは0.15mm以下である。巻取コアの円筒度も、0.20mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.15mm以下である。振れ、円筒度がかかる範囲を満たさない場合、フィルムを巻き取る際にしわなどが発生しやすく好ましくない。
【0036】
また、巻取コアの軸方向曲げ強度は、180MPa以上であることが好ましく、更に好ましくは200MPa以上である。かかる範囲に満たない巻取コアを使用するとフィルムを巻き取る際にかかる張力と接圧により巻取コアが変形してしまうことがある。また、コア材の軸方向弾性率は9.8GPaであることが好ましく、さらに好ましくは13.7GPa以上である。かかる範囲に満たないコアを使用すると前期同様に巻取コアが変形してしまうことがあり好ましくない。巻取コアの強度をかかる範囲とするための方法は特に限定されないが、例えば繊維強化プラスチックの基材中のガラス繊維系の量などを適宜調整することが有効であり、また基材の厚みを調整することによっても所望の強度が得られる。
【0037】
また、前記コア材の表面粗さRaは0.5μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.3μm以下である。かかる範囲に満たないコア材を使用すると、コア表面の凹凸がフィルム表面に転写され、本発明の効果が十分に発揮されないため好ましくない。コア材の表面粗さをかかる範囲とするための方法は、特に限定されないが、例えばコア表面に樹脂層を設け、表面を精度良く研削することにより所望の表面粗さが得られる。
【0038】
また、前記コア材の表面硬度は65°以上であることが好ましく、好ましくは80°以上である。かかる範囲に満たない巻取コアを使用するとフィルムの巻取時にかかる張力と接圧により巻取コアの表面が変形し、フィルムの表面性や原反形状を悪化させることがある。巻取コアの表面硬度をかかる範囲に調整するための方法としては、特に限定されないが、例えばコア表面にエポキシ樹脂などの硬い樹脂を用い、その厚みなどを適宜選ぶことにより調整できる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例で本発明を詳細に説明する。
【0040】
本発明の特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次の通りである。
【0041】
(1)粒子の平均粒径
フィルムからポリマをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザで処理する。SEMの倍率はおよそ5000〜20000倍から適宜選択する。観察箇所をかえて粒子数5000個以上で粒径とその体積分率から、次式で体積平均径dを得る。粒径の異なる2種類以上の粒子を含有している場合には、それぞれの粒子について同様の測定を行い、粒径を求めた。
d=Σ(di・Nvi)
ここで、diは粒径、Nviはその体積分率である。粒子がプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、フイルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、3000〜100000倍で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所をかえて500視野以上測定し、上記式から体積平均径dを求める。
【0042】
(2)粒子の体積形状係数
走査型電子顕微鏡で、粒子の写真を例えば5000倍で10視野撮影した上、画像解析処理装置を用いて、投影面最大径および粒子の平均体積を算出し、下記式により体積形状係数を得た。
【0043】
f = V / Dm 3
ここで、Vは粒子の平均体積(μm3)、Dmは投影面の最大径(μm)である。
【0044】
(3)フィルム積層厚み
表面からエッチングしながらXPS(X線光電子光法)、IR(赤外分光法)あるいはコンフォーカル顕微鏡などで、その粒子濃度のデプスプロファイルを測定する。片面に積層したフイルムにおける表層では、表面という空気-樹脂の界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明の片面に積層したフイルムの場合は、深さ[I]で一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに極大値の粒子濃度の1/2になる深さ[II](ここで、II>I)を積層厚さとした。さらに、無機粒子などが含有されている場合には、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、フイルム中の粒子のうち最も高濃度の粒子の起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、層(A)の表面からの深さ(厚さ)方向の分析を行う。そして上記同様の手法から積層厚さを得る。
【0045】
(4)Relative Power、および中心面平均粗さ WRa
WYKO社製 非接触3次元粗さ計TOPO−3Dを用いて、測定面積倍率41.6倍、測定面積 239×239μm(0.057mm2)で測定した。該粗さ計に内蔵された表面解析ソフト(ver. 4.90)により、各空間周波数におけるRelative Powerおよび中心面平均粗さ(WRa)を求めた。測定は10回行い、平均値をもってRelative Power およびWRaの値とした。
【0046】
なお、Relative Powerは、各空間周波数におけるパワースペクトラムP(fx, fy)を対数スケール(dB)で表した値であり、P(fx,fy)=1nm2を0dBと表記するように解析ソフト中で基準化されている。xをフィルム幅方向、yをフィルム長手方向として測定した。P(fx, fy)およびWRaは、それぞれ下記式により計算される。
【0047】
【数1】
式中、P(fx,fy)はパワースペクトラムであり、Aは測定面積、FTは∬h(x,y)exp[i2π(x・fx+y・fy)]で表されるフーリエ変換の演算、h(x,y)は表面形状データ、fx, fyは空間上の周波数座標である。
【0048】
【数2】
ここで、
【0049】
【数3】
また、Zjkは、測定方向とそれと直交する方向をそれぞれM,N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における3次元粗さチャート上の高さである。
【0050】
(5)延伸ロールの表面粗度
Mitutoyo(株)製の表面粗さ計サーフテスト301を使用して、カットオフ0.25mmにて中心線平均粗さを幅方向に3等分した各領域の中央部において、、その平均値を採用した。
【0051】
(6)延伸ロールの振れ
延伸ロールを回転させたときの振れを、幅方向に3等分した各領域の中央部においてダイヤルゲージにて測定した。
【0052】
(7)延伸ロールの円筒度
延伸ロールを固定し、ダイヤルゲージをコア幅方向に移動させ、最大値と最小値の差を円筒度とした。円筒度は後述の原反形状測定器により測定した値から計算してもよい。
【0053】
(8)巻取コアの振れ
コア両端内側をチャックにて固定し、回転させたときの振れを幅方向に3等分した各領域の中央部において、ダイヤルゲージにて測定した。
【0054】
(9)巻取コアの円筒度
コア両端内側をチャックにて固定し、ダイヤルゲージをコア幅方向に移動させ、最大値と最小値の差を円筒度とした。円筒度は後述の原反形状測定器により測定した値から計算してもよい。
【0055】
(10)巻取コアの軸方向弾性率、および曲げ強度
外径167mm、内径152.5mm、長さ1023mmのコアを支点間距離が900mmとなるようにコアを支え、コアの中央に荷重を負荷し、荷重−たわみ比より軸方向弾性率を、破壊荷重より曲げ強度を求めた。
【0056】
(11)巻取コアの円周方向弾性率
外径167mm、内径152.5mm、長さ50mmに切断したのコアを平板2枚の間に置き、中央に荷重を負荷し、荷重−たわみ比より円周方向弾性率を求めた。
【0057】
(12)巻取コアの表面粗度
JIS B 0601に準じ、東京精密(株)の表面粗さ計サーフコム111Aを使用して、カットオフ0.25mmにて中心線平均粗さを幅方向に3等分した各領域の中央部において、表面粗度を測定し、その平均値を採用した。
【0058】
(13)巻取コアの表面硬度
JIS K 7215の検査方法に従い、TYPE Dの表面硬度計にて幅方向3点測定を行い、平均値を採用した。
【0059】
(14)原反形状の測定
キタノ企画(株)製バルク形状測定装置を用い、フィルムロール外径の幅方向分布を測定した。
【0060】
(15)形状変化指数
スリット直後(0.3時間後)および、スリット終了から1、2、4、8、12、24、48、72時間後の原反形状を測定し、製品幅方向10mm毎に値を読み取った後、平均が0になるよう測定値を基準化した。それぞれの時間における、幅方向各点のスリット直後からの形状の変化量を求め、ばらつき(σ)を計算した。
【0061】
こうして求めたばらつきは、スリット終了から72時間後にはほぼ一定の値 σ72となる。そこで、横軸にスリットからの経過時間、縦軸にばらつきの変化量(σ―σ72)/σ72をプロットした上、指数関数(y=axb、a,bは定数)で近似した。縦軸の値(σ―σ72)/σ72が0.2、すなわちスリット直後からの形状変化が、80%終了するまでにかかる時間を形状変化指数として評価し、8 hr以下を合格とした。
【0062】
(16)電磁変換特性
フィルム表面に、下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布(上層は磁性塗料で、塗布厚0.1μm、非磁性下層の厚みは適宜変化させた。)し、磁気配向させ、乾燥させる。次いで反対面に下記組成のバックコート層を形成した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理した後、60℃で、48時間キュアリングする。上記テープ原反を8mm幅にスリットし、パンケーキを作成した。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとした。
【0063】
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末: 100重量部
・スルホン酸Na変成塩化ビニル共重合体: 10重量部
・スルホン酸Na変性ウレタン: 10重量部
・ポリイソシアナート: 5重量部
・ステアリン酸: 1.5重量部
・オレイン酸: 1重量部
・カーボンブラック: 1重量部
・アルミナ: 10重量部
・メチルエチルケトン: 75重量部
・シクロヘキサン: 75重量部
・トルエン: 75重量部
(非磁性下層塗料の組成)
・酸化チタン : 100重量部
・カーボンブラック : 10重量部
・スルホン酸Na変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部
・スルホン酸Na変性ポリウレタン : 30重量部
・メチルエチルケトン : 30重量部
・メチルイソブチルケトン : 30重量部
・トルエン : 30重量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm) : 10重量部
・αアルミナ : 0.1重量部
・酸化亜鉛 : 0.3重量部
・スルホン酸Na変性塩化ビニル共重合体 : 30重量部
・スルホン酸Na変性ポリウレタン : 20重量部
・シクロヘキサン : 200重量部
・メチルエチルケトン : 300重量部
・トルエン : 100重量部
このテープについて、市販のHi8用VTR(SONY社製 EV−BS3000)を用いて、7MHz±1MHzのC/Nの測定を行った。このC/Nを市販されているHi8用MPビデオテープと比較して、次の通りランク付けした。
【0064】
+3dB以上 :○○
+1dB以上、+3dB未満のもの :○
+1dB未満のもの :×
判定ランクの内、○○および○を合格とした。
【0065】
実施例1
平均粒径0.06μm、体積形状係数f=0.51の球状シリカ粒子を含有するポリエチレンテレフタレートと実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレットを作り、球状シリカ粒子の含有量が0.2重量%となるよう2種のペレットを混合することにより熱可塑性樹脂Aを調製した。また、平均粒径0.3μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を含有するポリエチレンテレフタレートと、平均粒径0.8μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を含有するポリエチレンテレフタレート、および実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレットを、0.3μmの粒子含有量が0.25重量%、0.8μmの粒子含有量が0.01重量%となるよう混合した熱可塑性樹脂Bを調製した。これらの熱可塑性樹脂をそれぞれ160℃で8時間減圧乾燥した後、別々の押出機に供給し、275℃で溶融押出して高精度濾過した後、矩形の2層用合流ブロックで合流積層し、2層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラム巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。この未延伸積層フィルムを延伸温度110℃で2段階に分けて長手方向に延伸した。このとき接触する延伸ロールには非粘着性のシリコンロールを用い、表面粗さRa は0.40μm、振れは0.02mm、円筒度は0.01mm、更に2段階の延伸部のフィルムとロールのトータルの接触時間は0.05秒とした。その後、この一軸延伸フィルムをテンタにより温度95℃で幅方向に3.2倍延伸した後、140℃で1.7倍再縦延伸し、定長下で210℃で3秒間熱処理し、弛緩処理を施し、総厚み6μm、層(B)厚み0.4μmのフィルム原反を得た。このフィルム原反を振れが0.03mm、円筒度が0.05mm、軸方向弾性率が14.7GPa、曲げ強度が210MPa、円周方向弾性率が15.7GPa、表面粗さが0.5μm、表面硬度が85°の繊維強化プラスチック(FWP)コアA(天龍工業(株)製FWP−10)にサーフェースセンターワインド方式のスリッタを用いて幅1m、長さ10000mのフィルムロールに巻取張力5kg/m、巻取接圧40kg/m、巻取速度130m/分で巻上げた。
【0066】
実施例2
延伸温度を125℃、再縦延伸の倍率を1.4倍、熱処理ゾーンにおいて1.4倍の再横延伸を行う以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムロールを得た。
【0067】
実施例3
層(A)への粒子の添加量を0.05重量%、層(B)に添加する粒子を粒径0.2μmおよび0.5μmとし、添加量をそれぞれ0.20重量%、0.01重量%とする以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0068】
実施例4
上述の実質的に粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート(50重量%)とGE社製の”ウルテム”(50重量%)を、290℃に加熱した同方向ベント式2軸混練押出機に供給して、”ウルテム”を50重量%含有したブレンドチップを作成した。上記ペレタイズ操作により得たブレンドチップを層(A)および層(B)共に20重量%になるよう混合し、延伸温度を120℃、再縦延伸の倍率を1.6倍、熱処理ゾーンにおいて1.2倍の再横延伸を行う以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムロールを得た。
【0069】
実施例5
層(A)に添加する粒子の粒径および添加量を変更する以外は、実施例4と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムロールを得た。
比較例1
延伸部に表面粗さRa 0.6μm、振れ0.02mm、円筒度0.04mのセラミックスロールを用い、延伸温度を125℃、接触時間を0.15秒に変更する以外は、実施例1と同様にして二軸積層ポリエステルフィルムロールを得た。
【0070】
比較例2
延伸部の非粘着シリコンロール温度を130℃、接触時間を0.15秒、再縦延伸の倍率を1.1倍とし、熱処理ゾーンにおいて1.3倍の再横延伸を行った以外は、実施例1と同様にして二軸積層ポリエステルフィルムロールを得た。
【0071】
比較例3
延伸部に鏡面仕上げの金属ロールを用いる以外は、実施例1と同様にして二軸積層ポリエステルフィルムロールを得た。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【発明の効果】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、原反形状が短時間で安定するため生産性がよく、かつ優れた電磁変換特性を発揮するためその工業価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】空間周波数とRelative Powerの関係を示す概略図である。
【図2】スリット終了からの経過時間と形状変化指数の関係を示す概略図である。
【符号の説明】
A;公知の技術1:添加粒子径が大きく、粒子添加量が多いい場合の空間周波数とRelative Powerの関係を示す概略図である。
B;公知の技術2:添加粒子径が小さく、粒子添加量が少ない場合の空間周波数とRelative Powerの関係を示す概略図である。
C;本願発明:本願発明での空間周波数とRelative Powerの関係を示す概略図である。
イ:実施例1におけるスリット終了からの経過時間と形状変化指数の関係を示す概略図である。
ロ:実施例2におけるスリット終了からの経過時間と形状変化指数の関係を示す概略図である。
ハ:実施例4におけるスリット終了からの経過時間と形状変化指数の関係を示す概略図である。
ニ:比較例1におけるスリット終了からの経過時間と形状変化指数の関係を示す概略図である。
ホ:比較例3におけるスリット終了からの経過時間と形状変化指数の関係を示す概略図である。
Claims (5)
- 非金属製のロールを用い、90〜130℃の延伸温度で、ロールとフィルムのトータルの接触時間を0.1秒以下として、長手方向に延伸して得られる二軸配向ポリエステルフィルムであって、少なくとも片面の幅方向における空間周波数10(1/mm)のRelative PowerI10 TDが、−25〜0dBであることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
- 少なくとも片面の幅方向における空間周波数10と200(1/mm)のRelative Powerの強度差I10-200 TDが5〜26dBであることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1または2に記載のフィルムを繊維強化プラスチックの円筒状コアに巻きつけてなるフィルムロール。
- リニアトラック記録方式の磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 重層メタル塗布型デジタル記録方式の磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いられることを特徴とする請求項1、2または4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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