JP2024077405A - 芳香族ポリエーテルケトンフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、超高密度磁気記録媒体に要求されるトラック密度の大幅向上を実現する手段としてのテープ張力調整によるトラック密度の向上を実現可能な、小さな張力変化で大きな寸法変化を可能とすることができ、かつ磁気記録媒体への加工工程適性に優れた磁気記録媒体基材用樹脂フィルムを提供することである。【解決手段】芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、芳香族ポリエーテルケトン樹脂を含む組成物からなる。芳香族ポリエーテルケトンフィルムにおいてフィルム長手方向のポアソン比が0.30以上0.60以下であることが好ましい。芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、2層以上の層構成を有し、片面の中心線平均粗さRaが0.5nm以上7.0nm以下である層を少なくとも1層有することが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、10Tbを超えるような超高密度記録媒体に用いるベースフィルムなど、極めて高度な寸法安定性が要求される用途において、磁気記録再生装置における記録媒体への張力調整によりテープ幅を一定に調整することが容易であり、かつ磁気記録媒体への加工性に優れた樹脂フィルムに関する。
近年、コンピューターシステム等において取り扱いが必要なデータ量の増大に伴い、磁気記録媒体への記録容量の大幅な増大が求められてきている。従来、磁気記録媒体に用いられる基材の寸法安定性を向上させる取り組み(引用文献1)もなされてきたが、安価な素材での基材寸法安定性の改良は限界に到達しつつある。また、磁気記録媒体から保存データを再生するドライブ装置への工夫により、テープ張力を調整してデータ記録時とデータ再生時のテープ幅を合致させることで、記録時のトラック位置が再生ヘッドの範囲内となるような提案もなされてきている(引用文献2)。
特開2010-31116号公報 特開2005-285196号公報
しかしながら、テープ張力によるテープ幅の調整範囲は、従来の高剛性の磁気記録媒体基材を使用すると、大きな張力変化を与える必要がある。近年、高密度記録用テープ再生装置の張力は、磁気記録媒体のクリープ変形による不可逆変化を可能な限り抑制するために極力小さくなるように設定されており、従来の高剛性の基材を使用すると、テープ幅の調整範囲がごくわずかな領域に限定されてしまい、トラック本数の増大によって記録密度を大幅に向上させることが難しくなるため、さらなる改良が望まれていた。
一方で、低剛性の基材を使用すればテープ張力の調整によるテープ幅の調整は容易になるが、磁気記録媒体への加工工程では磁性材料を基材に塗布・乾燥する工程で高温度・高張力が負荷された際に基材自体が伸びを生じて座屈しやすくなってしまい、良好な磁気記録媒体を得ることができなくなってしまうという問題があった。特に近年、高速化によるドライブ内の駆動部の排熱増加やシステムの密集化などで、高温に曝される場合もありテープの使用環境および保管環境での寸法安定性といった保存安定性がさらに重要になっており、今までのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどを用いたポリエステルフィルムでは厳しい要求を満足することは困難である。
本発明の目的は、超高密度磁気記録媒体に要求されるトラック密度の大幅向上を実現する手段としてのテープ張力調整によるトラック密度の向上を実現可能な、小さな張力変化で大きな寸法変化を可能とすることができ、かつ磁気記録媒体への加工工程適性に優れた磁気記録媒体基材用樹脂フィルムを提供することある。
本発明は以下の構成を備える。
[1]芳香族ポリエーテルケトン樹脂を含む組成物からなる芳香族ポリエーテルケトンフィルムであって、
フィルム長手方向のポアソン比が0.30以上0.60以下である芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
[2]少なくとも片面の中心線平均粗さRaが0.5nm以上7.0nm以下である層を少なくとも1層有する、2層以上の層構成を有する上記[1]に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
[3]フィルム長手方向のヤング率が5.0GPa以上であり、
30℃、7MPaの荷重で6時間後のフィルム長手方向のクリープコンプライアンスが0.001~0.019GPa-1である上記[1]に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
[4]厚みが6.0um以下である上記[1]に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
[5]フィルム幅方向の湿度膨張係数が6.0ppm/%RH以下である、上記[1]に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
[6]芳香族ポリエーテルケトンがポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である上記[1]に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
[7]上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルムと、芳香族ポリエーテルケトンフィルムの両面のうち少なくとも一方の面に形成された磁性層と、を備える磁気記録媒体。
本発明は、超高密度磁気記録媒体に要求されるトラック密度の大幅向上を実現する手段としてのテープ張力調整によるトラック密度の向上を実現可能な、小さな張力変化で大きな寸法変化を可能とすることができ、かつ磁気記録媒体への加工工程適性に優れた磁気記録媒体基材用樹脂フィルムを提供することができる。
本発明で用いる寸法測定装置の斜視図である。 図1における載置面の曲率半径を示す模式図である。
以下、本発明について、詳述する。なお、説明の便宜上、フィルムの製膜方向を、機械軸方向、縦方向、長手方向、MD方向と称することがあり、製膜方向と厚み方向とに直交する方向を、幅方向、横方向、TD方向と称することがある。
本発明の芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、フィルムの長手方向のポアソン比が0.30以上0.60以下の範囲にあることが好ましい。ポアソン比が0.3以上である場合、テープ張力よるテープ幅の調整範囲が広くなるため、コントロールが易くなる。長手方向のポアソン比が0.60以下の場合、保管環境ではテープ芯部分は膨張した状態となるため、幅方向の寸法変化が小さくなる。さらに好ましい範囲は0.40以上0.60以下である。
本発明の芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、良好な電磁変換特性とウェブハンドリング性を両立させるために表面粗さがフィルムの表裏で異なる積層ポリエステルフィルムが好ましい。一般的に平坦な面は磁性層、粗い面はバックコート層が塗布される。平坦な面の平均表面粗さRaは0.5nm以上7.0nm以下が好ましく、0.9nm以上5.0nm以下がさらに好ましく、1.1nm以上3.4nm以下が特に好ましい。また、粗い面の平均表面粗さは4.0nm以上8.0nm以下の範囲が好ましく、さらに4.3nm以上7.5nm以下が好ましく、4.6nm以上7.0nm以下がより好ましく、特に4.8nm以上6.5nm以下が好ましい。
本発明の芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、フィルム長手方向のヤング率が5.0GPa以上であることが好ましい。さらに好ましくは5.5GPa以上7.0GPa以下である。ヤング率が5.0GPa以上である場合、厚みの薄いフィルムの取り扱いが非常に容易であり、また、ヤング率が7.0GPa以下である場合、磁気記録媒体としたときに再生装置のテープ張力を調整して幅方向の寸法制御を行なう際、大きな張力変化を与えなくても済む。
最近の磁気材料用途においては、高容量化も要求されているが、さらに長時間保管での保存安定性が特に厳しくなっているため、本発明の芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、30℃、7.0MPaの荷重で6時間後のフィルム長手方向のクリープコンプライアンスが0.001GPa-1以上0.019GPa-1以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0.008GPa-1以上0.015 GPa-1以下である。
本発明の芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、その厚みが6.0um以下であることが好ましい。さらに好ましくは1.0μm以上、4.5μm以下である。厚みが1.0μm以上である場合、フィルムの取扱いが容易となり、フィルムを製膜する際に破断し難くなる。厚みが4.5μm以下である場合、磁気記録媒体としたときに再生装置のテープ張力を調整して幅方向の寸法制御を行なう際、大きな張力変化を与えなくても済む。より好ましい厚みの下限は1.5μm以上、さらに2.0μm以上で、好ましい上限は4.0μm以下、さらに3.5μm以下である。
本発明の芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、フィルム幅方向の湿度膨張係数が6.0ppm/%RH以下であることが好ましい。フィルム幅方向における湿度膨張係数が6.0ppm/%RH以下である場合、幅方向の湿度膨張による寸法のバラつきを小さくすることが容易となり、寸法安定性の十分な磁気記録媒体用支持体が得られる。
なお、フィルム幅方向の湿度膨張係数の下限は特に制限されないが、製膜条件などを過酷にしなくても良いことから、0.1ppm/%RH以上が好ましい。好ましい支持体の幅方向における平均の湿度膨張係数は0.1ppm/%RH以上5.0ppm/%RH以下、さらに0.1ppm/%RH以上4.0ppm/%RH以下の範囲である。
また、支持体の長手方向における湿度膨張係数が上限を超えると、最大値と最小値の差が大きくなりやすく、寸法安定性の不十分な磁気記録媒体用支持体しかえられないため好ましくない。
本発明における芳香族ポリエーテルケトンとしては、構成単位として下記式(1)や(2)で示される構造を含むものが挙げられ、単独または他の構造を有するモノマー単位を含有しても良い。

前記他の構造を有するモノマー単位としては次のようなものが例示される。
上記構成単位において、Aは直接結合、酸素、-CO-、-SO-または二価の低級脂肪族炭化水素基であり、Q及びQ’は同一であっても相違してもよく、-CO-または-SO-であり、nは0または1である。これらポリマーは、特公昭60-32642号公報、特公昭61-10486号公報、特開昭57-137116号公報等に記載されている。
本発明においては、芳香族ポリエーテルケトン樹脂としては、上記式(2)を含む態様が好ましい(以下、かかる態様を、芳香族ポリエーテルエーテルケトン樹脂と呼称する。)。芳香族ポリエーテルケトン樹脂が上記式(2)を含む態様である場合は、上記式(2)で表わされるユニットの含有量は、芳香族ポリエーテルケトン樹脂の質量を基準として、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
また、かかる芳香族ポリエーテルケトン樹脂を含む組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤等を含有することもできる。
本発明の芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、薄膜としたときの取り扱い性を向上する目的で、フィルム層表面の突起高さや表面粗さを適正化させるために、樹脂フィルムを形成する樹脂中に不活性粒子を含有させることができる。不活性粒子の種類としては、球状シリカ、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機粒子、またその他有機系高分子粒子としては、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン-アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等が好ましい。これらの1種もしくは2種以上を選択して用いることもできる。
不活性粒子の大きさは、0.01μm以上1.00μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.05μm以上0.70μm以下、特に好ましくは0.10μm以上0.50μm以下である。
樹脂への不活性粒子の添加方法については、樹脂を構成する成分の一部に粒子を添加してスラリー状としてそのまま重合を行なう場合と、樹脂の重合後に二軸押出機を用いて添加するなど複数の方法がある。好ましい不活性粒子の添加量は、全フィルム重量に対して、0.001%以上2.000%以下、より好ましくは0.010%以上1.000%以下、特に好ましくは0.100%以上0.800%以下である。
樹脂フィルムの層構成は単一層としても良いし、表裏の表面粗さの異なる2層以上としても良い。特に磁気記録媒体の基材として用いる場合には、2層以上の層構成とすることが好ましい。2層以上の構成とする場合に最外層を構成する樹脂には粒子を添加しない場合もありうる。
本発明の樹脂フィルムは、磁性層との密着性向上やフィルム自体の滑り性向上を目的としてコーティング層を設けても構わない。
本発明の樹脂フィルムの製造方法は、それ自体公知の方法を採用でき、例えばポリマーを単一の押出機を用いてダイからシート状に押出するか、または、二つ以上の押出機を用いて異なるポリマーを溶融状態で積層した後にダイからシート状に押出し、得られたシート状物を冷却固化することで、単層または積層未延伸樹脂フィルムとする工程、そして得られた未延伸樹脂フィルムを、好ましくは一方向または直交する二方向に延伸し、さらに熱処理することで製造できる。溶融状態で押し出す工程での温度は、未溶融物がなく、過度に樹脂の熱劣化が進まない温度であれば特に制限されず、例えば、樹脂の融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で行うことが好ましい。つぎに、冷却については、得られる未延伸樹脂フィルムの平坦性を維持しつつ、厚み斑も少なくするために、フィルム製膜方向に沿ってダイの下方に設置された回転する冷却ドラムを用い、それにシート状物を密着させて冷却するのが好ましい。所定の厚みとヤング率が達成できれば未延伸フィルムのままとすることも不可能ではないが、より優れた高温での加工性を発現させるために、未延伸樹脂フィルムに延伸操作を施して所望の厚みとヤング率を有するフィルムを作成することが好ましい。
延伸方式には縦一軸延伸、横一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの方法があり特に制限されないが、ここでは逐次二軸延伸について説明する。縦一軸延伸は逐次二軸延伸から横延伸を省略したもの、横一軸延伸は逐次二軸延伸から縦延伸を省略したもの、同時二軸延伸は縦横の延伸を同時に行なうものである。逐次二軸延伸では、未延伸樹脂フィルムを、一軸方向(通常は縦方向)に樹脂のガラス転移温度をTgとして、(Tg-10)℃~(Tg+60)℃の温度で2倍以上、好ましくは2.5倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直交する方向にTg~(Tg+60)℃の温度で2倍以上、好ましくは2.5倍以上の倍率で延伸するのが好ましい。この時延伸ゾーンを2つ以上に分割して徐々に温度を上げながら延伸することにより、分子鎖が配向しやすくなるので好ましい。この時の最高温度は一軸方向で延伸した温度以上であることが好ましい。さらに必要に応じて縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。さらにまた、延伸後の樹脂フィルムは、樹脂の融点をTmとして、(Tm-70)℃~(Tm-10)℃の温度で熱固定することができる。熱固定時間は0.1~60秒が好ましい。
本発明の樹脂フィルムは、磁気記録テープ、さらに高密度磁気記録テープ、特にディジタル記録型磁気記録テープのベースフィルムとして好ましく用いられる。そこで、本発明の芳香族ポリエーテルケトンフィルムを用いた磁気記録テープについて、さらに説明する。本発明の磁気記録テープは、上述の樹脂フィルムに磁性層を形成することで製造できる。なお、本発明の樹脂フィルムの表面には、磁性層などとの接着性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、それ自体公知の易接着機能を有する塗膜層などを形成しても良い。
本発明における磁気記録テープを形成する磁性層は、特に制限されないが、鉄または鉄を主成分とする針状微細磁性粉やバリウムフェライトをポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等のバインダーに均一分散し、その塗液を塗布して形成したものであり、前述のとおり、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを使用することで、寸法安定性と電磁変換特性やエラーレート性能に選りすぐれた磁気記録テープとすることができる。ところで、前述の通り記録密度を高めていくには磁性体を微細化していくことが必要で、そのため塗液から溶剤などの除去が難しくなり、加工性を維持しようとすると、乾燥などをより高温で行う必要がでてきた。そして、極めて平坦な表面を有するフィルムを高温で加工しようとすると、シワなどの問題があることを新たに見出し、本発明に到達した。
なお、磁性層は、その厚みが1.0μm以下、さらに0.01μm以上0.10μm以下となるように塗布するのが、特に短波長領域での出力、S/N、C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用塗布型磁気記録テープとする観点から好ましい。また、必要に応じて、塗布型磁性層の下地層として、微細な酸化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散し、塗設することも好ましい。
また、磁性層の表面には、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)等の保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、さらに他方の表面に、公知のバックコート層を設けてもよい。
このようにして得られる塗布型磁気記録テープは、LTO、エンタープライズ等の1Tバイトを超えるような容量をもつデータ用途の磁気テープとして極めて有用である。特に本発明に寄れば、テープテンションの調整により正確なトラッキングが可能となることからリニアテープにおけるトラック密度を飛躍的に向上させることが可能になる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
(1)ヤング率
得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm
、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋
ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち
上がり部の接線よりヤング率を計算する。
(2)フィルムの厚み
ゴミが入らないようにフィルムを10枚重ね、打点式電子マイクロメータにて厚みを測
定し、1枚当たりのフィルム厚みを計算する。
(3)ポアソン比
温度環境20~30℃、湿度環境30~70%RH以内の環境で、支持体の長手方向に対して長さ300mm、幅12.7mmとなるようにサンプリングし、図のような装置にセットする。長手方向の片側に0.5Nの荷重を加えもう片側を固定して、デジタル寸法測定器 KEYENCE-LS-7000およびデータ収集システム KEYENCE-NR-2000を使用して、サンプルの幅方向の変形量を測定する。同様にして、0.7、1.0.1.2Nの荷重にて同様に測定する。測定するサンプルのヤング率から、各荷重をかけた時の長手方向の変形量を計算する。これら4点それぞれの変形量(ΔMD)に対する幅方向変形量(ΔTD)を直線回帰した直線の方向け期からポアソン比を求めた。
(4)クリープコンプライアンスの測定
ブルカーAXS製湿度制御熱機械分析装置(TMA4000SA,MTC-1000SA)を使用して、幅
3mm、測定長15mmになるようにフィルムをセットし、測定温度30℃、7MPaの荷重で6時間後のクリープ変形量を測定した。得られたクリープ変形量を応力で除したものをクリープコンプライアンス(単位:GPa-1)として下記式により求めた。
伸び量(ΔL)=(6時間後の長さ-初期長さ)/初期長さ
クリープコンプライアンス〔Gpa-1〕=ΔL/(7/1000)
(5)湿度膨張係数(αh)
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、ブルカーAXS製湿度制御熱機械分析装置(TMA4000SA,MTC-1000SA)を使用して、温度30℃、湿度30%RHと湿度70%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。
なお、測定方向が切り出した試料の幅方向であり、5回測定し、その平均値をαhとした。
αh=(L70-L30)/(L30×△H)
ここで、上記式中のL30は30%RHのときのサンプル長(mm)、L70は70%RHのときのサンプル長(mm)、△H:40(=70-30)%RHである。
(6)樹脂水分率
JIS K 7251に準拠して、アクアトラックV(blabender社製)にて樹脂50.00gを精秤して水分率を測定した。
(7)磁気記録テープの作成
1m幅にスリットしたフィルムを、張力2kg/mmで搬送させ、支持体の一方の表
面に以下の記載に従って磁性塗料および非磁性塗料を塗布し12.65mm幅にスリット
し、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組
み込んで、磁気テープとした。
<磁性層形成用塗布液>
バリウムフェライト磁性粉末100質量部
(板径:20.5nm、板厚:7.6nm、板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)
飽和磁化:44Am/kg、BET比表面積:60m/g)
ポリウレタン樹脂12質量部
質量平均分子量10,000
スルホン酸官能基0.5meq/g
α-アルミナHIT60(住友化学社製)8質量部
カーボンブラック#55(旭カーボン社製)
粒子サイズ0.015μm0.5質量部
ステアリン酸0.5質量部
ブチルステアレート2質量部
メチルエチルケトン180質量部
シクロヘキサノン100質量部
<非磁性層形成用塗布液>
非磁性粉体α酸化鉄85質量部
平均長軸長0.09μm、BET法による比表面積50m/g
pH7
DBP吸油量27~38ml/100g
表面処理層Al2O38質量部
カーボンブラック15質量部
“コンダクテックス”(登録商標)SC-U(コロンビアンカーボン社製)
ポリウレタン樹脂UR8200(東洋紡社製)22質量部
フェニルホスホン酸3質量部
シクロヘキサノン140質量部
メチルエチルケトン170質量部
ブチルステアレート1質量部
ステアリン酸2質量部
メチルエチルケトン205質量部
シクロヘキサノン135質量部
上記の塗布液(磁性層形成用塗布液、非磁性層形成用塗布液)のそれぞれについて、各成分をニーダで混練した。1.0mmφのジルコニアビーズを分散部の容積に対し65体積%充填する量を入れた横型サンドミルに、塗布液をポンプで通液し、2,000rpmで120分間(実質的に分散部に滞留した時間)、分散させた。得られた分散液にポリイソシアネートを非磁性層の塗料には5.0質量部、磁性層の塗料には2.5質量部を加え、さらにメチルエチルケトン3部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた非磁性層形成用塗布液を、フィルム上に乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布乾燥させた後、磁性層形成用塗布液を乾燥後の磁性層の厚さが0.07μmになるように塗布を行い、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに6,000G(600mT)の磁力を持つコバルト磁石と6,000G(600mT)の磁力を持つソレノイドにより配向させ乾燥させた。その後、カレンダー後の厚みが0.5μmとなるようにバックコート層(カーボンブラック平均粒子サイズ:17nm100部、炭酸カルシウム平均粒子サイズ:40nm80部、αアルミナ平均粒子サイズ:200nm5部をポリウレタン樹脂、ポリイソシアネートに分散)を塗布した。次いでカレンダーで温度90℃、線圧300kg/cm(294kN/m)にてカレンダー処理を行った後、70℃で、48時間キュアリングした。さらに、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性面に押し当たるように取り付け、テープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、磁気テープを得た。
[実施例1]
芳香族ポリエーテルケトン樹脂として、芳香族ポリエーテルエーテルケトン樹脂(ビクトレックス社製:ポリエーテルエーテルケトン381G、Tg:142℃、Tm:343℃)100質量部に、不活性微粒子として、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.2質量部を配合したもの(PEEK-1)を用意し、180℃で6時間乾燥した。乾燥後の樹脂の水分率は60ppmであった。その後、押出機により380℃で溶融押出し、80℃に保持したキャスティングドラム上へキャストして、未延伸フィルムを作成した。
次いで、次に示す条件で縦方向、次いで横方向に逐次二軸延伸を行い、更に熱固定および熱弛緩処理することにより、厚さ3μmの二軸延伸フィルムを得た。すなわち、未延伸フィルムを138℃で予熱し、155℃で縦方向(機械軸方向)に2.3倍延伸し、続いてテンターに導いた後、予熱開始部分の温度95℃、予熱終了部分の温度(延伸開始部分の温度)138℃の工程で20秒間予熱し、続いて、横方向(機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向)に3.5倍延伸した。その際、横方向の延伸速度は5000%/分とした。また、横方向の延伸の温度は、第1段階の温度を145℃、第2段階の温度を150℃、第3段階(最終段階)の温度を165℃とした。その後245℃で5秒間熱固定をし、さらに180℃まで冷却する間に横方向に3%弛緩処理をして、厚み3.0μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2]
実施例1で用いた粒子添加ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK-1)と、これとは別に、PEEK-1の不活性微粒子を、平均粒径0.2μmの球状シリカ粒子を0.1質量部配合したポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK-2)を準備した。それぞれの樹脂を180℃で3時間乾燥した後、2台の別々の押し出し機に投入し、フィードブロックにてPEEK-1からなる層AとPEEK-2からなる層Bを厚み比1:10で合流させて2層積層フィルムとして、未延伸フィルムの厚みを変更したほかは実施例8と同様にして未延伸フィルムおよび層Aの表面よりも層Bの表面が平坦である厚み3.0μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例3]
熱固定温度を270℃する以外はすべてで実施例1と同様にして厚み3.0μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例4]
縦延伸倍率を2.2倍、横延伸倍率を3.8倍にし、厚みが3.0umになるように吐出を調整する以外はすべてで実施例1と同様にして厚み3.0μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1~4のフィルムは、芳香族ポリエーテルケトン樹脂を含む組成物からなり、フィルム長手方向のポアソン比が0.30以上0.60以下である。そのため、実施例1~4のフィルムは、小さな張力変化で大きな寸法変化を可能とすることができる。即ち、実施例1~4のフィルムは、超高密度磁気記録媒体に要求されるトラック密度の大幅向上を実現する手段としてのテープ張力調整によるトラック密度の向上を実現可能である。
また、実施例1~4のフィルムでは、フィルム幅方向の湿度膨張係数が6.0ppm/%RH以下であり、湿度による寸法変化が小さかった。即ち実施例1~4は保存安定性に優れていた。
[比較例1]
縦延伸倍を1.9倍、横延伸倍率を2.2倍にし、熱固定温度を270℃で厚みが3.0umになるように吐出を調整する以外はすべてで実施例1と同様にして厚み3.0μmの二軸延伸フィルムを得た。得られた比較例1のフィルムの特性を表1に示す。
比較例1のフィルムは、フィルム長手方向のポアソン比が0.60より高いため、本発明の範囲外である。そのため、比較例1のフィルムは、従来のポリエステルフィルムと同様に、小さな張力変化で大きな寸法変化を可能とすることができなかった。また、比較例1のフィルムでは、フィルム幅方向の湿度膨張係数が6.0ppm/%RHより大きく、湿度による寸法変化が大かった。即ち比較例1の保存安定性は悪かった。
[比較例2]
固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(PET)を160℃で3時間、ギアオーブンで事前に乾燥してから、押し出し機に供給して280℃(平均滞留時間:20分)でダイから溶融状態で回転中の温度30℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が100℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、105℃で予備加熱を4秒間行った後、延伸温度110℃、延伸倍率4.5倍その後熱固定処理(205℃で2秒間)および冷却を行い、厚さ4.5μmのPETの二軸配向フィルムを得た。得られた比較例2のフィルムの特性を表1に示す。
比較例2のフィルムは、芳香族ポリエーテルケトン樹脂でなく、PETを含む組成物からなるため、本発明の範囲外である。比較例2のフィルムでは、フィルム幅方向の湿度膨張係数が6.0ppm/%RHより大きく、湿度による寸法変化が大かった。即ち比較例2の保存安定性は悪かった。
本発明の芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、従来のポリエステルフィルムに比べて小さな張力変化で大きな寸法変化を可能とすることができ、保存安定性に優れる。そのため、本発明の芳香族ポリエーテルケトンフィルムは、磁気記録媒体のベースフィルムとして好適に利用できる。
20…磁気テープ、21、23・・・架台、22…寸法測定機、22a…発信部の発光部
、30・・・受信部、30b…受信部の受光部、24…レーザー光、25…円筒面の載置

Claims (7)

  1. 芳香族ポリエーテルケトン樹脂を含む組成物からなる芳香族ポリエーテルケトンフィルムであって、
    フィルム長手方向のポアソン比が0.30以上0.60以下である芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
  2. 片面の中心線平均粗さRaが0.5nm以上7.0nm以下である層を少なくとも1層有する、2層以上の層構成を有する請求項1に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
  3. フィルム長手方向のヤング率が5.0GPa以上であり、
    30℃、7MPaの荷重で6時間後のフィルム長手方向のクリープコンプライアンスが0.001~0.019GPa-1である請求項1に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
  4. 厚みが6.0um以下である請求項1に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
  5. フィルム幅方向の湿度膨張係数が6.0ppm/%RH以下である、請求項1に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
  6. 芳香族ポリエーテルケトンがポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である請求項1に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルム。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の芳香族ポリエーテルケトンフィルムと、芳香族ポリエーテルケトンフィルムの両面のうち少なくとも一方の面に形成された磁性層と、を備える磁気記録媒体。
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