JP4521703B2 - ホップより得られるリパーゼ阻害剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホップより得られるリパーゼ阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホップはクワ科の多年生植物であり、その毬果(未受精の雌花が成熟したもの)を一般にホップと呼んでいる。このホップのルプリン部分(毬果の内苞の根元に形成される黄色の顆粒)は、ホップの苦味、芳香の本体であり、ビール醸造において酵母、麦芽と並んで重要なビール原料である。またホップは、民間療法では鎮静剤や抗催淫剤として通用している。
【0003】
一方、ホップ苞はホップ毬果よりルプリン部分を除いたものであり、ビール醸造には有用とされず、場合によってはビール醸造の際にホップ苞は取り除かれる。その際、ホップ苞は土壌改良用の肥料として用いられる他に特に有効な利用法は見い出されておらず、より付加価値の高い利用法の開発が望まれている。葉、茎などのホップ植物体についても同様である。
【0004】
特開平9−2917号、特開平9−163969号、特開平9−295944号、特開平10−25232号公報ではホップ、特にホップ苞由来のポリフェノール類について、抗酸化作用、発泡麦芽飲料に対する泡安定化作用、抗う蝕作用、消臭作用を有する旨記載されている。
【0005】
近年の日本において、食生活の欧米化と慢性的な運動不足が引き起こす肥満は、高血圧・心臓病・糖尿病などの生活習慣病の危険因子として重大な問題となってきている。これらの生活習慣病は現在日本人の死因の約6割を占めており、その治療および予防には肥満を防ぐことが有効であると考えられる。過剰な栄養摂取に起因する肥満の治療薬として、リパーゼ等の消化酵素の阻害剤が挙げられる。リパーゼは脂質を分解する酵素であり、これを阻害することで食品中の脂質の吸収が抑制され、肥満を予防・治療することができると考えられる。
【0006】
ポリフェノール類については、飼料植物に含まれるタンニン類〔British J.Nutrition,60,275(1988)〕、マメ科植物カワラケツメイに含まれるタンニン類やフラボノイド類およびその配糖体(特開平8−259557号、特開平7−61927号)、トリテルペン類化合物およびそれらの誘導体(特開平9−40689号)などがリパーゼ阻害作用を有することが確認されている。
【0007】
またピーマン、かぼちゃ、しめじ、まいたけ、ひじき、緑茶、紅茶、ウーロン茶の水抽出物からなるリパーゼ阻害剤(特開平3−219872号)、緑茶中の主要な成分であるエピガロカテキンガレートを配合する脂質吸収抑制食品(特開平3−228664号)、プロシアニジンを有効成分とする抗肥満剤(特開平9−291039号)が開示されている。
【0008】
以上のようにリパーゼ阻害作用を有する物質は多数報告されているが、いずれも効果および安全性の面で十分なものとはいえない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、脂質の消化吸収を抑制する効果があり、食事制限がなく、天然物由来で安全性が高く、抗肥満作用を有する食品または医薬組成物を提供すること、さらに詳細にはホップまたはホップ苞よりポリフェノール類を得、これをリパーゼ阻害剤、あるいはリパーゼ阻害食品として提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題について鋭意検討した結果、ホップとくにホップ苞に含有されるポリフェノール系物質で、ゲル型合成樹脂に吸着し、分画分子量が1000以上の限外ろ過膜により処理した際に膜を透過しない物質、すなわちホップとくにホップ苞を水または水と混和する有機溶媒の水溶液で抽出し、ゲル型合成樹脂または限外ろ過膜により処理して、それぞれ各処理工程を経て得られる画分が、リパーゼ阻害剤として用いることのできる物質であることを見い出した。更にこの物質を、医薬品や飲食品に利用することにより本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、ホップに含有されるポリフェノール系物質であって、ホップ苞から水または50v/v%以下の有機溶媒水溶液にて4〜95℃の条件で抽出され、ゲル型合成樹脂に吸着し、60v/v%以上のエタノール水溶液またはエタノールにより溶出する性質を有し、分画分子量が10000〜50000の限外ろ過膜により処理した際に該膜を透過しないことを特徴とするリパーゼ阻害物質の有効量を含有したリパーゼ阻害剤に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の原料となるホップ苞とは、ホップ毬果よりルプリン部分を取り除いて得られるものであり、一般に、ホップ毬果を粉砕後、ふるい分けによってルプリン部分を除くことによってホップ苞を得る。しかし、最近のビール醸造において、ホップ苞をふるい分けして除去する手間を省くために、ビール醸造に有用でないホップ苞を取り除かずにホップ毬果をそのままペレット状に成形し、ホップペレットとして、ビール醸造に利用する傾向にある。従って、本発明の原料であるホップとしては、ホップ苞を含むものであれば特に限定せず、ホップ苞を含むホップ毬果やホップペレットを原料としてもなんら問題はない。
【0013】
リパーゼ阻害物質の製造法としては、原料であるホップ苞またはホップ苞を含むホップ毬果やホップペレットなどを、水または50v/v%以下のアルコール、アセトン、アセトニトリルなどの水と混和する有機溶媒の水溶液で抽出する。好適な例としては、水またはエタノール50v/v%以下の含水エタノールが挙げられる。原料と抽出溶媒の割合は、1:20〜100(重量比)程度が望ましく、また抽出は4〜95℃、撹拌下、20〜60分間程度行われることが望ましい。この粗抽出液を濾過して抽出液を得るが、その際必要があればパーライトなどの濾過助材を用いることもできる。このようにして得られた抽出液は、ゲル型合成樹脂および/または限外ろ過膜により処理する。
【0014】
<ゲル型合成樹脂の利用>
まず、ゲル型合成樹脂を利用する方法について述べる。前記の抽出工程を経て得られた抽出液について、ゲル型合成樹脂にリパーゼ阻害物質を吸着させる吸着工程、水または有機溶媒好ましくはエタノール水溶液、とくに好ましくは1〜10v/v%のエタノール水溶液によりゲル型合成樹脂を洗浄する洗浄工程、有機溶媒、好ましくは60v/v%以上のエタノール水溶液またはエタノールによりゲル型合成樹脂からリパーゼ阻害物質を溶出する溶出工程を行い、リパーゼ阻害物質を得る。
【0015】
前記吸着工程とは、同抽出溶液を15〜30℃の室温程度まで冷却した後、ゲル型合成樹脂を充填したカラムに通液し、樹脂にリパーゼ阻害物質を吸着させる工程である。その際、必要があれば、吸着効率をあげるために、減圧濃縮などによりあらかじめ抽出液の有機溶媒濃度を下げておくこともできる。ゲル型合成樹脂の材質としては、親水性ビニルポリマー、ヒドロキシプロピル化デキストラン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などを挙げることができる。ゲル型合成樹脂は、たとえば平成7年1月10日三菱化学株式会社発行「ダイヤイオンI基礎編」第30〜31頁、第123〜131頁に合成吸着剤として記載されているように、いろいろの種類があるが、それぞれの樹脂の種類によりポリフェノールに対する吸着能が異なるので、それぞれの目的に合わせて使い分けることがのぞましい。本発明においては所期の分子量分画ができるものであれば、何んでもよい。通液時間は、SV値が0.5〜100の間となるように設定するのが好ましい。なお、ここで言うSV値とは、以下の式で定義される値である。
〔数1〕
SV値=〔通液量(L)〕/{〔樹脂量(L)〕×〔通液時間(h)〕}
【0016】
前記洗浄工程は、リパーゼ阻害物質を保持したゲル型合成樹脂を洗浄する工程であり、この工程により夾雑成分を除き、リパーゼ阻害物質の精製度をより上げることが可能となる。洗浄に用いる溶媒としては、水ないし1〜10v/v%のエタノール水溶液が好適であり、樹脂量の1〜10倍程度の溶媒量を通液し、洗浄することが望ましい。
【0017】
前記溶出工程は、リパーゼ阻害物質を保持したゲル型合成樹脂よりリパーゼ阻害物質を脱離溶出する工程であり、溶出に用いる溶媒としては含水アルコール、含水アセトン、含水アセトニトリルなどを用いることができ、特に好適な例としては30v/v%以上のエタノール水溶液またはエタノールが挙げられる。溶出溶媒の通液量は樹脂量の2〜6倍程度が望ましい。
【0018】
得られた溶出溶媒を濃縮、凍結乾燥、スプレードライなどの通常の方法により除き、リパーゼ阻害物質を粉末として得ることができる。また減圧濃縮の際、アルコール、アセトン、アセトニトリルなどを回収し、再利用することもできる。使用したゲル型合成樹脂は、80v/v%以上のアルコール水溶液、0.05N程度の水酸化ナトリウム水溶液などで洗浄した後、繰り返し使用することが可能である。
【0019】
<限外ろ過膜の利用>
次に、限外ろ過膜を用いる方法について述べる。前記の抽出工程で得られたホップの抽出液を、分画分子量が1000以上の限外ろ過膜で処理する。その際必要があれば、抽出液を減圧濃縮し、有機溶媒濃度を下げておくこともできる。回収された有機溶媒は再利用することもできる。膜の素材としては、セルロース、セルロースアセテート、ポリサルフォン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、PVDFなど、通常限外ろ過膜の材質として使用するものであれば、特に制限なく用いることができる。また分画分子量は1000以上であれば特に問題なく用いることができるが、あまり分画分子量の大きい膜を用いると、収量が極端に下がり、また分画分子量が小さい場合は、処理に要する時間が長くなるので、分画分子量10000〜50000の限外ろ過膜が好適である。また処理は、抽出溶媒の種類や抽出溶媒とホップまたはホップ苞の割合にもよるが、およそ上残り液の量が処理開始時の1/10〜1/100程度になるまで行うのが望ましい。その際の圧力は、限外ろ過膜やろ過装置にもよるが、およそ0.1〜10.0kg/cm2であることが望ましい。また必要があれば、一度処理した上残り液を再び水などの適当な溶媒で薄め、同様に再処理して精製度を高めることもできる。
【0020】
得られた上残り液の溶媒を濃縮、凍結乾燥、スプレードライなどの通常の方法により除き、リパーゼ阻害物質を粉末として得ることができる。また減圧濃縮の際、アルコール、アセトン、アセトニトリルなどを回収し、再利用することもできる。
【0021】
このようにして得られたリパーゼ阻害物質は、かすかに苦味を呈した無臭の肌色、褐色ないし淡黄色の粉末であり、ゲル型合成樹脂に吸着し、分画分子量が1000以上の限外ろ過膜により処理した際に膜を透過しないポリフェノール系物質である。なお収率は、ホップ苞重量換算で0.5〜20.0w/w%、ホップ毬果重量換算で0.5〜15.0w/w%である。
【0022】
前記ゲル型合成樹脂を用いる方法および限外ろ過膜を用いる方法によって得られたリパーゼ阻害物質の活性本体は同一のポリフェノール類であるので、ゲル型合成樹脂を用いる方法で得られたリパーゼ阻害物質をアルコール水溶液などの適当な溶媒に溶解し、限外ろ過膜を用いる方法でさらに活性本体であるポリフェノール類の精製度を高めることもできる。またその逆も可能であり、もちろんゲル型合成樹脂を用いる方法または限外ろ過膜を用いる方法の単独でも十分に有用なリパーゼ阻害物質を得ることができる。
【0023】
得られたリパーゼ阻害物質は、一般に使用される担体、助剤、添加剤等とともに製剤化することができ、常法に従って経口の製品として医薬品として用いることができ、また食品素材と混合して飲食品とすることができる。
【0024】
医薬品は経口剤として錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤などがある。これらの製品を医薬として人体に投与するときは、1回当たり125mg〜2000mg/kg(体重)、好ましくは250mg〜1000mg/kg(体重)を1日に1ないしは数回投与し、十分にその効果を奏し得るものである。
【0025】
本発明のリパーゼ阻害物質を含有する医薬品は、生理的に認めうるベヒクル、担体、賦形剤、統合剤、安定剤、香味剤などとともに要求される単位容量形態をとることができる。錠剤、カプセル剤に混和される試薬としては、トラガント、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチンのような結合剤、微晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、全ゼラチン化澱粉、アルギン酸のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、ショ糖、乳糖、サッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油、チェリーのような香味剤などを挙げることができる。また、カプセル剤の場合は前記の材料に更に油脂のような液状担体を含有することができ、また、他の材料は被覆剤として用いることもできる。また製剤の物理的形態を別な方法で変化させることができる。例えば、錠剤はシェラック、砂糖で被覆することができる。シロップまたはエリキシル剤は、甘味剤としてショ糖、防腐剤としてメチルまたはプロピルパラベン、色素およびチェリーまたはオレンジ香味のような香味剤を含有することができる。
【0026】
本発明のリパーゼ阻害物質を含有した飲食品は、前記製剤の形態でもよいが、あめ、せんべい、クッキー、飲料などの形態でそれぞれの食品原料に所要量を加えて、一般の製造法により加工製造することもできる。健康食品、機能性食品としての摂取は、病気予防、健康維持に用いられるので、経口摂取として1日数回に分けて、全日量として6.25g〜100g、好ましくは12.5g〜50gを含む加工品として摂取される。
【0027】
これらの飲食品にリパーゼ阻害物質を添加する際には、リパーゼ阻害物質を粉末のまま添加してもよいが、好ましくはリパーゼ阻害物質を1〜2wt%の水溶液またはアルコール水溶液の溶液あるいはアルコール溶液とし、飲食品に対し最終濃度が0.001〜15wt%、好ましくは0.01〜10wt%となるように添加することが望ましい。本発明のリパーゼ阻害物質を含有する医薬品および飲食品は、脂質の吸収を抑制する効果を有するので、肥満の予防および治療上有効なものである。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
調製例1 (ゲル型合成樹脂によるホップ毬果からのリパーゼ阻害物質の調製)
ホップ毬果20gを乳鉢で粉砕し、2Lの水で撹拌下、95℃、40分間抽出した。ろ過後、放冷し、抽出液を親水性ビニルポリマー樹脂(東ソー社製トヨパールHW40)80mlを充填したカラムに2時間かけて通液し(SV=12.5)、ついで400mlの5%エタノール水溶液で洗浄した。さらに同カラムに80%エタノール水溶液400mlを通液し、同溶出液を回収し、凍結乾燥して、リパーゼ阻害物質800mgを無臭のかすかに苦味を呈した淡黄色の粉末として得た。ホップ毬果からの収率は4%であった。
【0030】
調製例2 (ゲル型合成樹脂によるホップ苞からのリパーゼ阻害物質の調製)
ホップ苞20gを600mlの50%エタノール水溶液で撹拌下、80℃、40分間抽出した。ろ過後、容積が300mlになるまで減圧濃縮し、その濃縮液をスチレン−ジビニルベンゼン樹脂(三菱化学社製セパビーズ825)80mlを充填したカラムに1時間かけて通液し(SV=3.75)、ついで400mlの水で洗浄した。さらに同カラムに80%エタノール水溶液400mlを通液し、同溶出液を回収し、凍結乾燥して、リパーゼ阻害物質1.6gを無臭のかすかに苦味を呈した淡黄色の粉末として得た。ホップ苞からの収率は8%であった。
【0031】
調製例3 (限外ろ過膜によるホップ毬果からのリパーゼ阻害物質の調製)
ホップ毬果20gを乳鉢で粉砕し、2Lの水で撹拌下、95℃、40分間抽出した。ろ過後、放冷し、抽出液を分画分子量が50000の限外ろ過膜(アミコン社製XM50)により、1.0kg/cm2、室温下、20mlになるまで処理した。得られた上残り液を減圧乾固し、リパーゼ阻害物質200mgを無臭のかすかに苦味を呈した淡黄色の粉末として得た。ホップ毬果からの収率は1%であった。
【0032】
調製例4 (限外ろ過膜によるホップ苞からのリパーゼ阻害物質の調製)
ホップ苞20gを600mlの50%エタノール水溶液で撹拌下、80℃、40分間抽出した。ろ過後、抽出液を分画分子量が10000の限外ろ過膜(アミコン社製YM10)により、3.0kg/cm2、室温下、60mlになるまで処理した。得られた上残り液を凍結乾燥して、リパーゼ阻害物質0.8gを無臭のかすかに苦味を呈した淡黄色の粉末として得た。ホップ苞からの収率は4%であった。
【0033】
実施例1 (リパーゼ阻害物質のさらなる精製および定性分析)
調製例2で得たリパーゼ阻害物質0.8gを、500mlの10%エタノール水溶液に溶解し、分画分子量が10000の限外ろ過膜(アミコン社製YM10)により、1.0kg/cm2、室温下、20mlになるまで処理した。得られた上残り液を凍結乾燥して、リパーゼ阻害物質0.4gを無臭のかすかに苦味を呈した肌色の粉末として得た。この粉末3mgを100mlのメタノールに溶解しUV吸収スペクトル分析を行ったところ、図1に示すように吸収極大を280nmに、吸収極小を260nmに持つ特徴的なスペクトルを示した。また一般的なポリフェノール類の定量法のひとつであるカテキン定量(食品公定分析法)を行ったところカテキン含量に換算して40.6%の値を得た。
【0034】
実施例2 (錠剤、カプセル剤)
実施例1で得られた物質 10.0g
乳 糖 75.0g
ステアリン酸マグネシウム 15.0g
合 計 100.0g
前記の各成分を均一に混合し、常法に従って錠剤、カプセル剤とした。
【0035】
実施例3 (散剤、顆粒剤)
実施例1で得られた物質 20.0g
澱 粉 30.0g
乳 糖 50.0g
合 計 100.0g
前記の各成分を均一に混合し、常法に従って散剤、顆粒剤とした。
【0036】
実施例4 (飴)
ショ糖 20.0g
水飴(75%固形分) 70.0g
水 9.5g
着色料 0.45g
香 料 0.045g
実施例1で得られた物質 0.005g
合 計 100.0g
前記の各成分を用い、常法に従って飴とした。
【0037】
実施例5 (ジュース)
濃縮ミカン果汁 15.0g
果 糖 5.0g
クエン酸 0.2g
香 料 0.1g
色 素 0.15g
アスコルビン酸ナトリウム 0.048g
実施例1で得られた物質 0.002g
水 79.5g
合 計 100.0g
前記の各成分を用い、常法に従ってジュースとした。
【0038】
実施例6 (クッキー)
薄力粉 32.0g
全 卵 16.0g
バター 16.0g
砂 糖 25.0g
水 10.8g
ベーキングパウダー 0.198g
実施例1で得られた物質 0.002g
合 計 100.0g
前記の各成分を用い、常法に従ってクッキーとした。
【0039】
実施例7 (リパーゼ阻害効果)
リパーゼ活性の測定は、基質に4−メチルウンベリフェロンのオレイン酸エステル(4−MUO)、酵素にブタ膵臓リパーゼを用い、生成した4−メチルウンベリフェロン(4−MU)の蛍光強度を測定することにより実施した。0.1mM量の4−MUOを懸濁したMcllvaine緩衝液(pH7.4)100μl、ブタ膵臓リパーゼ4.5μgを溶解させたMcllvaine緩衝液100μl、被験物溶液5μlを混合し、37℃で20分間反応させた。0.1N塩酸1mlを添加して反応を停止させ、0.1Mクエン酸ナトリウム2mlを添加してpHを4.3付近に調整した。反応により生成した4−MUの蛍光強度を励起波長320nm、蛍光波長450nmで蛍光光度計により測定した。
活性測定の被験物としては、実施例1で得られた物質の他、比較品として茶類に多く含まれるポリフェノールの1種であるエピカテキンガレートを用いた。各試料の阻害活性は、試料無添加の対照の活性を半分にする試料添加量(IC50値)で示した。
結果は表1に示したが、実施例1で得られた物質はエピカテキンガレートよりも強い阻害活性を示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、ホップ苞及びホップ苞を含むホップ毬果等のホップを原料として、リパーゼ阻害物質を得ることができた。更にこれを、医薬品や飲食品の材料として容易に利用することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた物質のUV吸収スペクトルである。縦軸は吸光度を、横軸は波長(nm)を示す。
Claims (1)
- ホップに含有されるポリフェノール系物質であって、ホップ苞から水または50v/v%以下の有機溶媒水溶液にて4〜95℃の条件で抽出され、ゲル型合成樹脂に吸着し、60v/v%以上のエタノール水溶液またはエタノールにより溶出する性質を有し、分画分子量が10000〜50000の限外ろ過膜により処理した際に該膜を透過しないことを特徴とするリパーゼ阻害物質の有効量を含有したリパーゼ阻害剤。
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