JP4521307B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Description

本発明は水不溶性樹脂の分散体を含有するインクジェット記録用水系インクに関する。
従来、アクリル酸エステル、スチレン等のビニル系モノマーを乳化重合する場合に、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキル(アリール)エーテル、酸化エチレン/酸化プロピレン共重合体等の非イオン界面活性剤が乳化剤として用いられてきた。乳化剤は、乳化重合においてポリマー粒子の生成とその分散安定化に関与するばかりでなく、ポリマーエマルジョンの機械的安定性、化学的安定性、凍結安定性、貯蔵安定性に影響し、さらにポリマーエマルジョンの粒子径、粘度、起泡性等のエマルジョン物性、さらには、フィルム化した場合にその耐水性、耐湿性、耐熱性、接着性、粘着性等のフィルム物性に大きな影響を及ぼす。
ポリマーエマルジョンを塗料や粘着剤等に用いる場合、ポリマーエマルジョンの乾燥によりポリマー塗膜が形成されるが、ポリマー塗膜中に残る乳化剤は耐水性、接着性、耐候性、耐熱性等を低下させる原因となることが指摘されている。また、合成ゴムの製造において、ポリマーエマルジョンから塩析等でポリマーを取り出す際に、排水中に乳化剤が含まれ、排水処理の負荷が大きくなるという問題が指摘されている。
かかる問題を解決するために、界面活性能と重合能を併せ持ついわゆる反応性界面活性剤を用いることはすでに良く知られている。
反応性界面活性剤には様々なタイプがあるが、界面活性剤が有する親水性基毎に、硫酸エステル基(−OSO3M)を有するもの、リン酸エステル基(−PO32)を有するもの、カルボキシル基(―COOM)を有するもの等に分類される。
これらの中で親水性基がリン酸基のものは、樹脂の改質剤として用いたときにカルボキシル基やスルホン基のものよりも良好な性能を発現できることから、近年特に注目されている。
しかしながら、親水性基がリン酸基のものは、リン酸基が元来3価の酸性化合物であることから、重合性基を有する置換基を選択的に導入することが困難である。
重合性基を有する置換基を選択的に導入するため、ポリオキシプロピレン基等の炭素数3以上のポリオキシアルキレン基を疎水基として利用する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この技術で得られた反応性界面活性剤でも、近年の更なる高性能化の要求に対しては充分な性能を発現できているとはいい難いのが現状である。
特開2001−120978公報
本発明は分散安定性に優れた水不溶性樹脂の分散体を含有するインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
本発明は、水不溶性樹脂の分散体、水及び着色剤を含有するインクジェット記録用水系インクであって、前記着色剤が顔料又は疎水性染料であり、前記水不溶性樹脂が、下記一般式(1)で表される化合物からなる乳化剤の存在下、エチレン性不飽和モノマーを乳化重合して得られる、該エチレン性不飽和モノマーと前記一般式(1)で表される化合物との共重合体であり、かつ、前記水不溶性樹脂の未中和品を温度25℃で水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下である、インクジェット記録用水系インクである。
Figure 0004521307
(式中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、Mは、水素原子又は陽イオンを示し、同一又は異なっていても良い。pは2〜6の整数、qは平均付加モル数で、1〜4、rは2〜10の整数、sは平均付加モル数で、1〜30、tは0.5〜2.5の平均数を、それぞれ示す。)
本発明のインクジェット記録用水系インクに用いられる水不溶性樹脂は、機械的、熱的な分散安定性に優れ、該水不溶性樹脂の分散体を配合して得られる本発明のインクジェット記録用水系インクは、定着性と耐水性に優れている
一般式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を示すが、好ましくはメチル基である。Mは、水素原子又は陽イオンを示し、同一又は異なっていても良い。陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、オニウム化合物又は塩基性アミノ酸等を挙げることができる。
アルカリ金属イオンの好ましい例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンが挙げられ、その中でもナトリウムイオン及びカリウムイオンが好ましい。アルカリ土類金属イオンの好ましい例としては、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンが挙げられる。
オニウム化合物としては、15族原子のオニウム化合物が好ましく、中でも窒素原子及びリン原子のオニウム化合物が好ましい。
窒素原子のオニウム化合物としては、アンモニウム、イミダゾリニウム、総炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニルアンモニウム、炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニル置換ピリジニウム、総炭素数1〜22のアルカノールアンモニウムが好ましい。
リン原子のオニウム化合物としては、ホスホニウムが好ましい。オニウム化合物としては、一級、二級、三級、四級のいずれの化合物であってもよい。
前記一般式(1)において、pは2〜6の整数、qは平均付加モル数で、1〜4、rは2〜10の整数、sは平均付加モル数で、1〜30の数値を取りうるが、好ましくはpは2〜4、qは1〜2、rは2〜8、sは1〜10であり、更に好ましくはpは2〜3、qは1、rは1〜6、sは1〜3である。
tは1H−NMRにより求めた平均の数を示し、0.5〜2.5の範囲の数値をとることができ、tが1のときはリン酸モノエステル、2のときはリン酸ジエステルを意味する。本発明においては、t=1もしくはt=2のどちらでも良く、また、これらの任意の割合の混合物であってもよい。更に、リン酸トリエステルが一部混在していてもよい。tは好ましくは0.8〜2.3、更に好ましくは1〜2である。
tの値は、1H−NMRにより、R1に位置する水素原子と、Mを水素原子とした時のモル比から求めることができる。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、CH2=CR1C(O)O−[(CH2)p−O]qHで表されるヒドロキシ基含有モノマーと、好ましくは炭素数2〜10のラクトンとを反応させ、得られた反応生成物をオキシ塩化リンと反応させることにより得られる。
前記ヒドロキシ基含有モノマーと前記ラクトンとの反応モル比は、好ましくは、前記ヒドロキシ基含有モノマー1モルに対して、前記ラクトンを1〜3モル、反応温度は、好ましくは、50〜130℃である。得られた反応生成物は、アルカリ触媒の存在下、オキシ塩化リンと反応させる。反応モル比は、好ましくは、前記反応生成物1モルに対して、前記オキシ塩化リンを1モル、反応温度は、好ましくは、−30〜−20℃である。
このようにして得られた化合物は、中和剤を用いてリン酸基を中和することにより、陽イオンを導入することができる。リン酸基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらには20〜150%、特には25〜100%であることが好ましい。
中和剤としては、前記陽イオンを形成する塩基性物質が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、トリエタノールアミン、アンモニア、ポスホニウム等のオニウム化合物等が例示される。
中和度は、下記式によって求めることができる。
[N(g)/Nの当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]×100
ここでN(g)は、中和剤の重量を意味し、Nの当量は、前記中和剤の当量を意味する。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、ヒドロキシエチルメタクリレートとβ-プロピオラクトンとの反応物にアシッドホスホオキシ基を付加した、アシッドホスホオキシモノ(β-プロピオラクトキシ)エチルメタクリレート;ヒドロキシエチルメタクリレートと2分子のβ-プロピオラクトンとの反応物にアシッドホスホオキシ基を付加した、アシッドホスホオキシジ(β-プロピオラクトキシ)エチルメタクリレート;ヒドロキシエチルメタクリレートとε-カプロラクトンとの反応物にアシッドホスホオキシ基を付加した、アシッドホスホオキシモノ(ε-カプロラクトキシ)エチルメタクリレート;ヒドロキシエチルメタクリレートと二分子のε-カプロラクトンとの反応物にアシッドホスホオキシ基を付加した、アシッドホスホオキシジ(ε-カプロラクトキシ);等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記一般式(1)で表される化合物は、具体的には、消泡剤、乳化剤、洗浄剤、分散剤、離型剤、繊維処理剤、接着剤用添加剤、防曇剤、艶だし剤、ウレタンフォーム等の整泡剤、塗料用添加剤、帯電防止剤、滑剤、樹脂の内部潤滑剤、樹脂改質剤等として使用することができる。
前記一般式(1)で表される化合物は、特に、ビニル基等のラジカル重合基と反応性を有する界面活性剤(以下、反応性界面活性剤という)として有用であり、乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤、樹脂用改質(撥水性向上、親水性調節、相溶性向上、帯電防止性向上、防曇性向上、防霧性向上、耐水性向上、接着性向上、染色性向上、造膜性向上、耐候性向上、耐ブロッキング性向上等)剤等として使用することができる。その中でも特に乳化重合用乳化剤として有用である。
(乳化重合用乳化剤)
一般式(1)で表される化合物は、乳化重合用の乳化剤として使用することができる。
本発明において乳化重合法とは、水不溶性又は難溶性のエチレン性不飽和モノマーを、水を主成分とする分散媒体中に前記一般式(1)で表される化合物によって乳化又は分散させ、水溶性のラジカル重合開始剤を用いて重合を開始する重合方法を意味する。得られる重合体の分散安定性を向上するために、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基などの塩生成基含有モノマーを併用してもよい。
乳化重合法において用いられる乳化剤は、モノマーの乳化、懸濁、ミセル形成による重合の場の提供、ポリマー粒子の分散安定化等の重要な役割を担っており、前記一般式(1)で表される化合物からなる乳化剤を使用する場合においても、通常の界面活性剤と同様の役割が求められる。本発明に係わる乳化剤を乳化重合に用いた場合、優れたモノマー乳化性を有しており、重合安定性、及び機械的安定性に優れた水不溶性樹脂の分散体を製造することができる。
前記一般式(1)で表される化合物からなる乳化剤を使用する乳化重合法において用いられるエチレン性不飽和モノマーの具体例を挙げれば、(1)スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等の好ましくは炭素数6〜22の芳香族ビニル類;(2)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の好ましくは炭素数1〜22のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸エステル類:(3)塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(5)(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸類;(6)アクリル酸アミド等のα,β−不飽和カルボン酸アミド類;(7)(メタ)アクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル類;(8)ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等の共役ジエン類、その他エチレン、マレイン酸誘導体、イタコン酸誘導体等である。これらのモノマーは単独で重合させても、2種以上を共重合させても良い。
尚、本明細書にいう「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
前記一般式(1)で表される化合物からなる乳化剤を使用する乳化重合の条件に特に制限はない。乳化重合に供されるモノマーのフィード方法としては、モノマー滴下法、モノマー一括仕込み法、プレエマルジョン法等、公知の乳化重合法で行うことができる。
乳化重合の分散媒にも制限はない。良好な分散安定性を得る観点から、分散媒には水が含まれることが好ましいが、その他に任意の性能の有機溶媒を加えても良い。
有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、(イソ)プロパノール、(イソ)またはsec-またはtert-ブタノール等のアルコール類、アセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、2−ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類、トルエン、キシレン、メシチレン、アルキルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類などが挙げられる。
水と、これらの有機溶媒の比率にも得に制限はないが、分散媒全体における水の割合は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
重合開始剤としては公知のものでよく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の無機過酸化物、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等のアゾ系開始剤、さらには過酸化化合物に亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤等が挙げられる。
該重合開始剤の使用量はモノマー100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部が更に好ましい。
本発明に係わる乳化剤の使用量は、良好な乳化分散安定性や耐水性等のポリマー物性を得る観点から、モノマー100重量部に対して、0.1〜40重量部が好ましく、0.5〜20重量部が更に好ましい。
また乳化重合法において使用する本発明に係わる乳化剤には、前記一般式(1)で表される化合物からなる乳化剤とは構造のことなる他の反応性界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。さらには、反応性基を持たない通常の界面活性剤、又は高分子活性剤を併用することもできるが、排水処理の負荷低減、ポリマー物性の低下を防止する観点から、その使用量はモノマー100重量部に対して、2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
(水不溶性樹脂)
本発明に用いられる水不溶性樹脂は、前記一般式(1)で表される化合物を乳化剤として用い、該化合物と共重合可能な任意のモノマーを乳化重合することによって得られる任意の水不溶性樹脂を意味する。
共重合可能な任意のモノマーとしては、前記(1)〜(8)で示したモノマーが挙げられる。好ましくは、(1)、(2)、(5)、(6)で示したモノマーである。
該水不溶性樹脂の未中和品にあっては、中和剤を用いてリン酸基を中和することにより水分散性を改善することができる。リン酸基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらには20〜150%、特には25〜100%であることが好ましい。
中和剤としては、前記陽イオンを形成する塩基性物質が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、トリエタノールアミン、アンモニア等のオニウム化合物等が例示される。
中和度は、前記の式によって求めることができる。
本発明において水不溶性の樹脂とは、105℃で2時間乾燥させた後、未中和品を、温度25℃で水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である樹脂をいう。
本発明に用いられる水不溶性樹脂は、前記一般式(1)で表される化合物の高い乳化能力または分散能力と、高い共重合性によって、高い分散安定性を有している。
得られた水不溶性樹脂は、その高い分散安定性を活かした種々の用途に供することができる。例えば、艶出し剤、表面保護剤、粘度調整剤、チキソトロピー性付与剤、保湿剤、表面処理剤、樹脂改質剤などに使用できる。
具体的には、床や家具用のワックスや、水性塗料の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤、紙の剛性向上剤や滲み防止性付与剤等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
(樹脂改質剤)
記一般式(1)で表される化合物を用いて、該化合物と共重合可能な任意のモノマーとの乳化重合法で得られる水不溶性樹脂からなる樹脂改質剤を用いることにより、親水性の調節、帯電防止性の向上、防曇性の向上、耐水性の向上、接着性の向上、造膜性の向上、耐候性の向上、相溶性向上等の様々な物性が向上した樹脂を得ることができる。
前記樹脂改質剤を用いて改質できる樹脂は特に制限はなく、既存の各種の合成樹脂やゴム類等を挙げることができる。本発明で用いることのできる合成樹脂としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレンエチレン共重合体、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリジメチルシリコーン、ポリジフェニルシリコーン、ワックス等の各種熱可塑性樹脂及びそれらの誘導体並びにそれらを含む共重合体や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂及びそれらの誘導体を例示することができる。
前記樹脂改質剤を用いて改質できるゴム類としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレン共重合体ゴム、エチレンプロピレンジエン共重合体ゴム、ニトリルーブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー等の各種ゴムを挙げることができる。
これら樹脂の中で、ポリオレフィン、ABS樹脂、各種ゴムが好ましく用いられる。
前記樹脂改質剤を樹脂に添加する方法としては、改質する樹脂等の重合工程で添加してもよく、改質する樹脂等が熱可塑性樹脂である場合、該水不溶性樹脂の分散体の所定量を該樹脂に添加した後、減圧乾燥等により分散媒である液体を除去し、該樹脂を一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、バンバリーミキサー、ブラベンダー等を用いる既存の方法で溶融混練して混合すればよい。また、該水不溶性樹脂の分散体を濾過等により、分散媒を除去して、乾燥させた後、改質する樹脂等に添加し、該樹脂を一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、バンバリーミキサー、ブラベンダー等を用いる既存の方法で溶融混練して混合してもよい。前記樹脂改質剤は、他の改質剤と併用してもよい。
該樹脂改質剤の樹脂への添加量は、樹脂の総量100重量部に対して、0.1〜80重量部、好ましくは0.5〜60重量部、特に好ましくは1〜40重量部である。
(インクジェット記録用水系インク)
本発明のインクジェット記録用水系インクは、前記水不溶性樹脂の分散体、好ましくは分散媒として水を50重量%以上含有する水不溶性樹脂の水分散体を含有する。
前記水不溶性樹脂の分散体を含有する本発明のインクジェット記録用水系インクは、その高い分散安定性に起因して、カートリッジ内にある時や吐出時にインクジェット記録に要求される高い安定性を発現でき、且つ印刷後は、水不溶性樹脂がバインダーとなることで着色剤を紙に強固に固着させ、印刷物に高い定着性を付与することができる。
該水系インク中、前記水不溶性樹脂の分散体の含有量は、0.01〜20重量%が好ましく、0.05〜15重量%が更に好ましく、0.1〜10重量%が特に好ましい。分散体中、水不溶性樹脂は、好ましくは平均粒径5〜300nmであり、より好ましくは30〜200nmである粒子である。平均粒径は、後述する水不溶性樹脂に着色剤を含有させる場合でも同じである。平均粒径の測定には、レーザー粒子解析システム〔大塚電子株式会社製、品番:ELS8000〕を用いる。なお、測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力する。
本発明のインクジェット記録用水系インクに用いられる着色剤は、特に制限はなく、顔料、自己分散型顔料、疎水性染料、水溶性染料等を用いることができる。
顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらに体質顔料を併用することもできる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー13、17、74、83、97、109、110、120、128、139、151、154、155、174、180;C.I. ピグメント・レッド 48、57:1、122、146、176、184、185、188、202;C.I.ピグメント・バイオレット 19、23;C.I.ピグメント・ブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、60;C.I. ピグメント・グリーン7、36;等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム及びタルク等が挙げられる。
顔料及び疎水性染料を、水系インクに使用する場合には、界面活性剤、水不溶性樹脂の分散体等を用いて、インク中で安定な微粒子にする必要がある。特に、耐滲み性、耐水性等の観点から、前記水不溶性樹脂粒子中にこれら顔料及び疎水性染料を含有させることが好ましい。
本発明の前記水不溶性樹脂の粒子中に疎水性染料を含有させて得られるインクジェット記録用水系インクは、染料に起因する高い発色性と、水不溶性樹脂と疎水性染料に由来する高い耐水性を両立できる。
自己分散型顔料を用いる場合は、水不溶性樹脂の液状分散体にそのまま添加して用いることができる。自己分散型顔料の中では自己分散型カーボンブラックが好ましい。
疎水性染料としては、油溶性染料や分散染料を用いることができる。油溶性染料としては特に限定されないが、具体例としては、C.I.ソルベント・ブラック3、7、27、29、34、45、C.I.ソルベント・イエロー14、16、29、56、82、83:1、C.I.ソルベント・レッド1、3、8、18、24、27、43、49、51、72、73、C.I.ソルベント・バイオレット3、C.I.ソルベント・ブルー2、4、11、44、64、70、C.I.ソルベント・グリーン3, 7、C.I.ソルベント・オレンジ2等を挙げることができる。
商業的に入手しうる油溶性染料としては、例えば、Nubian Black PC-0850、Oil Black HBB 、Oil Black 860 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、OilRed 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS〔以上、オリエント化学株式会社、商品名〕、Neopen Yellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue808、Neopen Blue807、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238〔以上、BASF社、商品名〕等が挙げられる。
分散染料の具体例としては、例えば、C.I.ディスパーズ・イエロー、C.I.ディスパーズ・オレンジ、C.I.ディスパーズ・レッド、C.I.ディスパーズ・バイオレット、C.I.ディスパーズ・ブルー、C.I.ディスパーズ・グリーン等の各品番製品が挙げられる。これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3及び7、及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水系インク中、着色剤の含有量は、印字濃度の観点から、1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、更に好ましくは2〜8重量%である。
着色剤の添加量は、印字濃度及び水不溶性樹脂への含有のさせやすさの観点から、前記水不溶性樹脂の分散体の固形分100重量部に対して、好ましくは5〜900重量部、より好ましくは10〜400重量部である。
水系インク中、着色剤を含有する水不溶性樹脂の分散体の固形分の含有量は、吐出安定性及び印字濃度の観点から、着色剤と水不溶性樹脂の分散体の合計100重量部に対して、0.5〜30重量部が好ましく、1〜20重量部がより好ましい。
水不溶性樹脂の分散体に疎水性染料を含有させる方法としては、任意の方法を用いることができる。例えば、乳化重合法で得られる前記水不溶性樹脂の分散体と、有機溶媒に溶解させた疎水性染料とを混合し、その後、有機溶媒を留去する方法、もしくは前記水不溶性樹脂の分散体を一旦有機溶媒に溶解させて溶液とし、この溶液にさらに疎水性染料を溶解させて、これに水を加えて、もしくは水に投入して再乳化し、その後、有機溶媒を留去する方法、または前記一般式(1)で表される化合物を用いて、これと共重合可能なモノマーを乳化重合する際に、有機溶媒に溶解させた疎水性染料を共存させて重合反応を行ない、その後、有機溶媒を留去する方法等を好ましく挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。これらの水不溶性樹脂の分散体に疎水性染料を含有させるとき、場合によっては機械力によって強制的に含有させる方法、例えば高圧乳化機や高速攪拌翼分散機を用いて強制的に含有させても良い。
着色剤を含有する水不溶性樹脂の粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤と水不溶性樹脂により粒子が形成されていればよい。例えば、水不溶性樹脂に着色剤が内包された粒子形態、水不溶性樹脂に着色剤が均一に分散された粒子形態、水不溶性樹脂の粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
その他、本発明の水系インクには、必要により、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を添加することもできる。
本発明の水系インク中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%,より好ましくは40〜80重量%である。水系インクとは、水を主溶媒として用いたインクである。水系インクのpHは、4〜10が好ましい。
本発明の水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、25〜50mN/mである。水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましい。
特に断らない限り、%は、重量%、部は重量部を意味する。
合成例1(一般式(1)で表される化合物(1)の合成)
オキシ塩化リン36.8g(0.24mol)を70mlのエチルエーテルに溶かし、300mlの4口反応容器に入れ、−20〜−30℃まで冷却した。ジ(ε-カプロラクトキシ)エチルメタクリレート[ダイセル化学工業(株)製プラクセルFM2D、水酸基価153.8KOHmg/g]73g(0.2mol)とトリエチルアミン24.2g(0.24mol)をエチルエーテル70mlに溶解させて滴下ロートに入れ、反応容器に接続した。オキシ塩化リン溶液を攪拌し、乾燥窒素ガスを吹き込みながら約2時間かけて、ジ(ε-カプロラクトキシ)エチルメタクリレートとトリエチルアミンの溶液をオキシ塩化リン溶液に滴下した。滴下後、−20℃以下の温度で3時間攪拌し、リン酸エステル中間体を合成した。その後、0℃に昇温し、生成したトリエチルアミン塩酸塩をろ過により取り除いた。ろ液に、イオン交換水20gを加え、ヒドロキノンモノメチルエーテル20mgを加え、40℃で2時間撹拌を行った。減圧下、エチルエーテルを留去し、得られた液体を200mlのイオン交換水に分散させ、液がアルカリ性を示すまで炭酸ナトリウムを添加した。該水溶液を分液ロートに入れクロロホルムで3回洗浄を行った。次に該水溶液に6mol/Lの塩酸水溶液をpHが1以下になるまで加え、酢酸エチルで該水溶液から3回抽出を行い、得られた酢酸エチル溶液を集め硫酸ナトリウムで乾燥後、ヒドロキノンモノメチルエーテル20mgを加え、減圧下濃縮を行い、アシッドホスホオキシジ(ε-カプロラクトキシ)エチルメタクリレートの粗生成物淡黄色液体50gを得た。該液体をシリカゲルクロマトグラフィー法(クロロホルム:メタノール=20:1)で精製を行い、ヒドロキノンモノメチルエーテル20mgを加え、有機溶媒を留去した。R1とMの水素原子のモル比を、1H−NMRにより確認したところ、得られた化合物は、一般式(1)において、R1=水素原子、M=水素原子、p=2、q=1、r=5、s=2、t=1.2で表される化合物(1)であることが確認できた。収量は42gであった。
合成例2(一般式(1)で表される化合物(2)の合成)
合成例1において、ジ(ε-カプロラクトキシ)エチルメタクリレート73gの代わりにモノ(ε-カプロラクトキシ)エチルメタクリレート[ダイセル化学工業(株)製プラクセルFM1、水酸基価224.6KOHmg/g]50gを用いた他は合成例1と同様にして、一般式(1)において、R1=水素原子、M=水素原子、p=2、q=1、r=5、s=1、t=1.3で表される化合物(2)35gを得た。
合成例3(一般式(1)で表される化合物 (3)の合成)
合成例1において、ジ(ε-カプロラクトキシ)エチルメタクリレート73gの代わりにトリ(ε-カプロラクトキシ)エチルメタクリレート[ダイセル化学工業(株)製プラクセルFM3、水酸基価118.3KOHmg/g]95gを用いた他は合成例1と同様にして、一般式(1)において、R1=水素原子、M=水素原子、p=2、q=1、r=5、s=3、t=1.5で表される化合物(3)
50gを得た。
参考例1〜3
合成例1〜3で得られた化合物(1)〜(3)を用い、下記に示す方法で乳化重合を行い、下記に示す方法で性能を評価した。
<乳化重合>
500mLのビーカー3個を準備し、これにそれぞれスチレン95gを仕込み、イオン交換水100gに合成例1〜3で得られた化合物5.0gを溶解したものをそれぞれ、上記ビーカーに添加し、水酸化ナトリウムで中和(中和度50%)した後、ホモミキサーで5000r/minで10分間攪拌し、均一なモノマー乳化物を得た。
上記モノマー乳化物を1L−セパラブルフラスコに移し、イオン交換水50gに過硫酸カリウム0.2gを加えて、窒素気流中で30分攪拌した。次にフラスコを80℃の水浴に入れて昇温し、2時間保持した。室温まで冷却した後、アンモニア水でpH8.5に調整し、固形分が20%となるように水を加えて本発明の水不溶性樹脂の分散体、即ち水不溶性樹脂の水分散体を得た。
参考比較例1、2
合成例1〜3で得られた化合物に替えて、アシッドホスホノキシポリプロピレングリコールメタクリレート(ユニケミカル(株)製、ホスマーPP(酸価238KOHmg/g)(参考比較例1)、反応性界面活性剤(花王(株)製、ラテムルS180A)(参考比較例2)を用い、上記に示す方法で乳化重合を行い、水不溶性樹脂の水分散体を得た。
<重合安定性>
参考例1〜3、及び参考比較例1,2で得られた水不溶性樹脂の水分散体をそれぞれ、200メッシュのステンレス製金網で濾過し、重合後の反応器壁や攪拌羽根等に付着した凝集物も同様に集めて濾過し、イオン交換水による水洗後、減圧(26.6kPa)下、105℃で2時間乾燥させて凝集物量を求めた。使用したモノマーの総量に対する凝集物量の%で重合安定性を表した。
<機械的安定性>
JIS K−6828−1996により(荷重:10kg、回転数:1000r/min、5分)、参考例1〜3及び参考比較例1,2で得られた水不溶性樹脂の水分散体の機械的安定性を測定した。
<平均粒径>
参考例1〜3及び参考比較例1,2で得られた水不溶性樹脂の水分散体の平均粒径を、大塚電子(株)製のELS−8000を用いて前記明細書記載の方法により測定した。
<残乳化剤の抽出率>
参考例1〜3及び参考比較例1,2で得られた水不溶性樹脂の水分散体を固形分として、それぞれ10g分を100mLビーカーにとり、これにメタノール20vol%と飽和Na2SO4の上澄み液80vol%の混合液50mLを加え、ポリマーエマルジョンを破壊する。これにメタノール50vol%と飽和Na2SO4の上澄み液50vol%の混合液40mLを加えた後、濾紙濾過して残乳化剤を含む濾過液を得る。さらに、濾紙上のポリマー分にメタノール50vol%と飽和Na2SO4上澄み液50vol%の混合液160mLを数回に分けて加えて洗浄する。最初の濾過液にこの洗浄液を加えたものを凍結乾燥し、メタノール、水、残モノマー等の揮発成分を完全に除く。これに、50℃のエタノール50mLを加えて残乳化剤を抽出する。これを再度濾紙濾過してエタノール不溶成分(Na2SO4/微量のポリマー成分)を除去した後、エバポレータにて減圧乾固する。この乾固物中に含まれる残乳化剤量を高速液体クロマトグラフ法(逆相分配クロマトグラフ法)で測定し、下記式により、残乳化剤抽出率を求めた。残乳化剤抽出率(%)=[残乳化剤量(測定量)/水不溶性樹脂の水分散体10g中の乳化剤仕込量]×100
これらの結果を表1に示した。
Figure 0004521307
表1から明らかなように、前記一般式(1)で表される化合物は、反応性界面活性剤として、重合性が高い乳化剤であり、得られた水不溶性樹脂の水分散体は、平均粒径が小さく、機械的安定性が高いことが分かる。
参考例4〜6、参考比較例3,4
上記の参考例1〜3及び参考比較例1,2で得られた水不溶性樹脂を樹脂改質剤として用い、下記の評価法で樹脂改質剤の評価を行った。その結果を表2に示す。
<樹脂改質剤の評価法>
市販のハイインパクトスチレン樹脂(スミブライトM540)に、参考例1〜3及び参考比較例1,2で得られた水不溶性樹脂の水分散体を2重量%濃度になるように混合し、その後減圧下で75℃の状態を24時間保って前処理を行い、水を除去した。この後、220℃に設定した押出機にてペレットに加工し、得られたペレットを用いて、230℃の射出成型機にてJIS K7110によりテストピースを作成した。作成したテストピースは、25℃、50%RHの条件で表面固有抵抗値の測定(横河電機(株)製測定機使用)を行い、また同時に、アイゾット衝撃強度(JIS K 6911により)の測定を行った。
表2から明らかなように、前記一般式(1)で表される化合物を乳化剤として用いて得られる水不溶性樹脂からなる樹脂改質剤は、樹脂との親和性が高く、アイゾット衝撃強度を低下させることなく、表面固有抵抗値を低下させて、帯電防止性を付与することができる。
Figure 0004521307
実施例、比較例
<インクジェット記録用水系インク>
自己分散顔料(オリエント化学工業(株)製、CW2固形分15%)33.3部、グリセリン5部、トリメチルグリシン10部、エチレングリコール3部、モノブトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイド平均付加モル数:6)8重量部、ポリエチレングリコールラウリルエーテル〔花王(株)製、商品名:エマルゲン130G〕0.2部、参考例1で得られた水不溶性樹脂の水分散体15部及び水25.5部を混合し、得られた分散液を平均孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、ごみ及び粗大粒子を除去して本発明のインクジェット記録用インク1(実施例)を得た。
同様の手順で、参考例2、3及び参考比較例1,2で得られた水不溶性樹脂の水分散体をそれぞれ用いて、実施例のインクジェット記録用インク及び比較例のインクジェット記録用インクとした。得られたインクの定着性、耐水性を下記の方法により評価した。その結果を表3に示した。
実施例
上記の参考例1〜3、参考比較例1,2で得られた水不溶性樹脂の水分散体をメチルエチルケトンに溶解して30%の溶液とし、該溶液83.3部、トルエン250部及び疎水性染料としてOilPink312(オリヱント化学工業(株)製)25部を加えて固形物を完全に溶解させ、これにイオン交換水600重量部を加えて攪拌した後、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス(株)製)を用いて30分間乳化した。得られた乳化物から、減圧下、60℃で有機溶媒を除去し、更に一部の水を除去することにより濃縮し、固形分濃度が20%の水不溶性樹脂に疎水性染料を含浸させた不溶性樹脂の水分散体(以下本発明のインクジェット記録用色材)1〜3、及び比較のために水不溶性樹脂に疎水性染料を含浸させた不溶性樹脂の水分散体(以下比較用インクジェット記録用色材)1,2を得た。
本発明のインクジェット記録用色材1、25部、グリセリン5部、トリメチルグリシン10部、エチレングリコール3部、モノブトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイド平均付加モル数:6)8部、ポリエチレングリコールラウリルエーテル〔花王(株)製、商品名:エマルゲン130G〕0.2部及び水68.7部を混合し、得られた分散液を平均孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、ごみ及び粗大粒子を除去して本発明のインクジェット記録用インク1(実施例)を得た。得られたインクの定着性、耐水性を下記の方法により評価した。その結果を表3に示した。
実施例、比較例
インクジェット記録用色材1の代わりに、インクジェット記録用色材2,3および比較用インクジェット記録用色材1,2を用いた他は実施例と同様にして、実施例及び比較例のインクジェット記録用水系インクを得た。得られたインクジェット記録用水系インク性能を下記の方法に基づいて評価した。その結果を表3に示した。
Figure 0004521307
(1)平均粒径
前記と同じ方法で測定した。
(2)定着性
インクジェットプリンター〔セイコーエプソン(株)製、型番:EM−930C〕を用い、PPC用再生紙〔日本加工製紙(株)製〕にベタ印字して25℃で24時間乾燥させた試料の特定の印字箇所をゼブラ(株)製蛍光ペン、ビームライナーSで1回なぞり、その直後にPPC用再生紙の未印字部分に再度マーキングし、蛍光インクの汚れ度合いを目視で確認し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:マーカーインクの引き跡に、黒色が全く認められない。
△:同、極薄く付着が認められる。
×:同、はっきり付着が認められる。
(3)耐水性
インクジェットプリンター〔セイコーエプソン(株)製、型番:EM−930C〕を用い、PPC用再生紙〔日本加工製紙(株)製〕にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた試料の特定の印字箇所の印字濃度を測定後、静水中に垂直に10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。25℃で24時間自然乾燥させた後、浸漬前と同じ箇所の印字濃度を、マクベス濃度計(マクベス社製、品番:RD914)で測定し、浸漬前の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の残存率を式:
〔残存率〕=〔浸漬後の印字濃度〕/〔浸漬前の印字濃度〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐水性を評価した。
(評価基準)
○:残存率が90%以上。
△:残存率が70%以上90%未満。
×:残存率が70%未満。

Claims (6)

  1. 水不溶性樹脂の分散体、水及び着色剤を含有するインクジェット記録用水系インクであって、前記着色剤が顔料又は疎水性染料であり、前記水不溶性樹脂が、下記一般式(1)で表される化合物からなる乳化剤の存在下、エチレン性不飽和モノマーを乳化重合して得られる、該エチレン性不飽和モノマーと前記一般式(1)で表される化合物との共重合体であり、かつ、前記水不溶性樹脂の未中和品を温度25℃で水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下である、インクジェット記録用水系インク。
    Figure 0004521307
    (式中、R 1 は、水素原子又はメチル基を示し、Mは、水素原子又は陽イオンを示し、同一又は異なっていてもよい。pは2〜6の整数、qは平均付加モル数で、1〜4、rは2〜10の整数、sは平均付加モル数で、1〜30、tは0.5〜2.5の平均数を、それぞれ示す。)
  2. 前記水不溶性樹脂の調製に用いられる前記乳化剤の使用量が、前記エチレン性不飽和モノマー100重量部に対して0.1〜40重量部である、請求項に記載のインクジェット記録用水系インク
  3. 前記着色剤が前記水不溶性樹脂中に含有されてなる、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水系インク。
  4. 前記着色剤が自己分散顔料である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
  5. 前記水不溶性樹脂の分散体の含有量が0.01〜20重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
  6. 着色剤を含有する水不溶性樹脂の分散体の固形分の含有量が、着色剤と水不溶性樹脂の分散体との合計100重量部に対して0.5〜30重量部である、請求項3に記載のインクジェット記録用水系インク。
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