JP2004115671A - ビニル系重合体粒子及びその製造方法 - Google Patents

ビニル系重合体粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粗大粒の発生がないビニル系重合体粒子を高い生産効率で得るに適した方法を提供することを課題とする。
【解決手段】燐酸エステルと高級アルコールとを溶解した疎水性のビニル系単量体を、粘土鉱物の存在する水系で懸濁重合させることで1〜100μmの平均粒子径を有するビニル系重合体粒子を得ることを特徴とするビニル系重合体粒子の製造方法により上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル系重合体粒子及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、水系媒体に対して優れた分散性及び再分散性を示すビニル系重合体粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニル系重合体粒子は数多く提案されており、なかでも微細な重合体粒子は色々な用途で必要とされている。例えば、化粧品の分野では8〜20μmの範囲内の微細な重合体粒子が滑り性付与剤として必要とされ、電子複写機のトナーとしては5〜20μmの範囲内の粒子が必要とされ、塗料の艶消し剤としては5〜100μmの範囲内の粒子が必要とされ、光拡散剤としては2〜100μmの範囲内の粒子が必要とされる。
【0003】
このような微細な重合体粒子を製造する方法としては、一旦大きな粒子を作り、次いでこれを粉砕する方法がある。しかし、この方法では、重合体粒子の形状が角張った形状となり、そのため滑り性が要求される用途等には適していない。上記以外にもビニル系単量体を重合させるには色々な方法が提案されているが、平均粒子径が1〜100μmの粒子を得るには、工業的生産面から懸濁重合法が一般的に採用されている。
【0004】
懸濁重合法は分散安定剤を含んだ水性媒体中にビニル系単量体を分散させ、分散した単量体液滴の内部で重合反応を行わせて重合体粒子を得る方法である。分散安定剤は、水性媒体中でビニル系単量体を液滴として保持させるのに必要とされる。
分散安定剤としては、一般に水溶性高分子物質と難溶性無機化合物の微粉末とに大別され、前者はゼラチン、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が用いられ、後者には硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の難溶性無機塩類、粘土、珪酸、珪藻土等の無機高分子物質等が用いられている。これらの分散安定剤を用いて懸濁重合を行うことは一般的に知られており、例えば、特開平5−209006号公報(特許文献1)に記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−209006号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水溶性高分子は重合によりそれ自身が重合体粒子と重合したグラフトポリマーを生成し、得られる重合体粒子の性質に悪影響を与えるおそれがある。例えば、熱安定性の低下や、重合体粒子を水分散体として保管した場合、粒子が沈降してケーキングを起こし、再び粒子を分散させるために分散機が必要になる等工程が煩雑になるという悪影響がある。
また、難溶性無機塩類を用いた場合は、無機微粉末が重合体粒子の表面に残存し、得られる重合体粒子を配合する製品の性質に悪影響(例えば塗料に配合したときに塗膜の耐候性低下を引き起こす等)を生じるおそれがある。この問題を解決するには難溶性無機塩類を分解して除去すればよいが、製造工程として洗浄工程が加わるために総生産時間が長くなり、その結果生産工程が煩雑になる。また、難溶性無機塩類を分解し、洗浄した粒子を水分散体として保管した場合、粒子が沈降してケーキングを起こし、再び粒子を分散させるために分散機が必要になる等工程が煩雑になる。
【0007】
無機高分子物質を用いた場合は、上記のような問題は生じず、水分散体とした場合には良好な再分散性を示すが、微細な粒子を得るには分散安定性が悪いせいか粗大粒が多く発生し、生産効率が極めて低いものとなった。
以上のように、これまで1〜100μmの微細なビニル系重合体粒子を得るのに適した方法がなかった。
そこで、本発明では、粗大粒の発生がないビニル系重合体粒子を高い生産効率で得るに適した方法を提供することを課題とする。特に本発明では、1〜100μmという微細な粒子の範囲内で粗大粒の発生がなく、生産効率の高いビニル系重合体粒子が簡便に得られる方法を提供することを課題とする。
【0008】
【発明が解決しようとする手段】
本発明の発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、燐酸エステル及び高級アルコールとを溶解した疎水性のビニル系単量体を、粘土鉱物の存在した水系で懸濁重合させることによって、1〜100μmという微細な粒子の範囲内で粗大粒の発生がなく、その結果、高い生産効率でビニル系重合体粒子が得られることを意外にも見出し本発明に至った。更に、得られたビニル系重合体粒子は、親水性が強く、水系媒体に対して優れた分散性及び再分散性を有することも見い出している。
【0009】
かくして本発明によれば、燐酸エステルと高級アルコールとを溶解した疎水性のビニル系単量体を、粘土鉱物の存在する水系で懸濁重合させることで1〜100μmの平均粒子径を有するビニル系重合体粒子を得ることを特徴とするビニル系重合体粒子の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、上記方法により得られたビニル系重合体粒子が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る方法は、燐酸エステルと高級アルコールとを分散剤として使用し、この分散剤を粘土鉱物とともに併用することを特徴の1つとするものである。本発明で用いる燐酸エステルは、HPOで表される燐酸エステルである。燐酸は、一般式〔I〕
【0011】
【化1】
Figure 2004115671
【0012】
なる構造式で示されるものであるから、エステル置換ができる3個の水酸基をもっている。燐酸エステルは、その3個の水酸基のうちの1個〜3個がアルコール類と反応してエステル化されたものであって、一般式〔II〕
【0013】
【化2】
Figure 2004115671
【0014】
で表される化合物である。ここで、R〜Rは、同一又は異なって、水素原子又はアルコール由来の基を表している(ただし、全てが水素原子ではない)。燐酸をエステル置換するアルコールとしては、例えば、炭素数1〜18の飽和又は不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。更に、メチル基、エチル基等の低級アルキル基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等の置換基を有していてもよい。燐酸エステルの中でも部分燐酸エステルが好ましく、具体的には、カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、モノイソデシルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、ラウリルホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0015】
燐酸エステルの使用量は、ビニル系単量体100重量部に対し、0.005〜0.4重量部とするのが好ましく、0.01〜0.2重量部とするのが特に好ましい。燐酸エステルが0.4重量部を超えて多くなると、ビニル系重合体粒子が使用される製品に悪影響を及ぼす場合があり好ましくなく、逆に0.005重量部未満になると、重合過程で分散粒子が合着するのを防止する効果が乏しくなり、粗大粒が発生する場合があるため好ましくない。
【0016】
高級アルコールとしては、炭素数が5以上の脂肪族飽和アルコールを用いることが好ましく、炭素数は10以上がより好ましい。また、ビニル系単量体への溶解性の観点から炭素数の上限は、22であることが好ましい。具体的な、高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール等が挙げられる。炭素数が5未満では、重合過程で分散粒子が合着するのを防止する効果が乏しくなり、粗大粒が発生する場合があるため好ましくない。
【0017】
高級アルコールの添加量は、ビニル系単量体100重量部に対し、0.01〜1重量部とするのが好ましい。高級アルコールが1重量部を超えて多くなっても増加に見合った顕著な効果の増進が認められないので好ましくない。逆に0.01重量部未満になると、重合過程で分散粒子が合着するのを防止する効果が乏しくなり、粗大粒が発生する場合があるため好ましくない。
【0018】
粘土鉱物としては、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムナトリウム、珪酸アルミニウムナトリウム等の膨潤性スメクタイト、マグネシウムナトリウムフルオライドシリケート等の膨潤性雲母等が挙げられる。粘土鉱物の添加量は、ビニル系単量体100重量部に対し、0.1〜20重量部とするのが好ましく、0.5〜10重量部とするのが特に好ましい。粘土鉱物が20重量部を超えて多くなると、溶液中の粘度が上がり過ぎて系全体が流れにくくなり、従って懸濁重合が困難となると共に、添加量の増加に見合った親水性の向上効果が見られないので好ましくない。逆に0.1重量部未満になると粒子を保護できなくなり、粗大粒が発生し、また親水性の向上効果が見られないので好ましくない。
【0019】
なお、本発明でいう粗大粒とは、目的の平均粒子径の約15倍以上の粒子径を有する粒子のことを意味する。本発明の製造方法で得られた粒子を用いる用途(例えば塗料や化粧料)において、そのような粗大粒が存在すると、製品に悪影響(例えばザラツキ感)を及ぼすおそれが生じるので好ましくない。
【0020】
本発明で用いることのできるビニル系単量体としては、特に限定されない。例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、n−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレンおよびその誘導体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸等も使用できる。
【0021】
また、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタリン塩等を本発明の効果を妨げない範囲で1種もしくは2種以上組合せて使用することもできる。
【0022】
上記ビニル系単量体中に、架橋剤として重合性の二重結合を2個以上有する化合物を加えてもよい。架橋剤としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンおよびそれらの誘導体のような芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のジエチレン性カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルファイト等のジビニル化合物および3以上のビニル基をもつ化合物等を単独または混合物として使用することもできる。
【0023】
また、ビニル系単量体中に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、水酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、群青、紺青、マンガンバイオレット、群青紫、チタンブラック、カーボンブラック、アルミニウム粉、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄処理雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、アルミナ、タルク、マイカ、ベントナイト、カオリン、セリサイト等の無機顔料、タートラジン、サンセットエロFCF、ブリリアントブルーFCF等のアルミニウムレーキ、ジルコニウムレーキ、バリウムレーキ、へリンドンピンクCN、リソールルビンBCA、レーキレッドCBA、フタロシアニンブルー、パーマネントオレンジ等の有機顔料等の添加剤を共存させて重合し、顔料含有樹脂粒子とすることも可能である。
【0024】
ビニル系単量体の重合を促進するために、重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤としては、ビニル系単量体の懸濁重合を行うために使用されてきたビニル系単量体に可溶性な公知の重合開始剤を用いることができる。一例を挙げると、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4´−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレート等がある。この中でも、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましい。重合開始剤は、単独でもよく、併用してもよい。使用割合はスチレン系単量体100重量部に対して、0.01〜1重量部程度であるのが好ましい。
【0025】
本発明の方法では、上述の材料を混合する際の混合順序に、格別の制限はない。しかし、混合順序は下記のようにすることが好ましい。
まず、粘土鉱物を水性媒体(例えば、水、水と水溶性アルコールとの混合物)の中に予め分散して水相とし、他方、燐酸エステルと高級アルコールと任意に重合開始剤とをビニル系単量体に予め溶解して油相とし、その後両者を混合及び撹拌して、ビニル系単量体を含む組成物を水系媒体中に分散させるのが好ましい。ビニル系重合体粒子の平均粒子径は、油相と水相との混合条件及び攪拌条件を調節することにより適宜調整することができる。
【0026】
油相を水相中に微細な液滴で分散させるには、例えばプロペラ翼等の攪拌力による方法、ローターとステーターから構成した高せん断力を利用する分散機である一般的なホモミキサーまたは超音波分散機等を用いる方法、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の機壁への衝突力や液滴同士の衝突力を利用した高圧型分散機を用いる方法等が挙げられる。
重合体粒子の平均粒子径を1〜100μmにするために、上記分散方法により、油滴を中心径1〜100μm程度にするのが好ましい。
【0027】
次いで、重合反応は、油相と水相とを混合した後、攪拌しながら昇温して開始させることができる。このときの攪拌速度は、油滴の浮上や重合後の粒子の沈降を防止できる程度の攪拌を行えばよい。水相は、油相100重量部に対して100〜1000重量部用いられる。重合開始温度は40〜90℃とするのが好ましい。そして、この温度で保持しながら、一般的に1〜10時間程度重合させるのが好ましい。その後、重合温度を95〜120℃程度にして、約0.1〜5時間程度で重合反応を完結させることがより好ましい。
重合反応の終了後、反応混合物を冷却し、必要に応じて濾過、乾燥してビニル系重合体粒子(以下、重合体粒子と略称する)が得られる。
【0028】
重合体粒子の平均粒子径は、油相と水相との混合比率、分散剤等の添加量及び攪拌条件、分散条件等を調節することにより調整可能である。重合体粒子の平均粒子径は用途に応じて適宜選択されるが、本発明の製造方法によれば、粗大粒の発生もなく、平均粒子径1〜100μm程度の重合体粒子を容易に得ることができる。重合体粒子が1μm未満であると、例えば、塗料や化粧料に配合した際、粒子が小さすぎるため艶消し性や滑り性等の効果を発揮できないため好ましくない。一方、100μmを超えると、ザラツキ感が出てくるので好ましくない。なお、平均粒子径の測定法は、実施例の欄に記載する。
【0029】
上記方法により得られた重合体粒子は、特に限定されず、種々の分野で使用することができる。例えば、塗料、化粧料、トナー、光拡散剤等の原料として使用できる。更に、本発明の重合体粒子は、理由は明らかではないが、ケーキングし難いという性質も有している。そのため、塗料や化粧料のような水系媒体を使用する用途において特に有用である。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、以下の実施例と比較例において平均粒子径の大きさはマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)で測定した値である。測定方法はCoulter Electronics Limited発行のReference MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、50μmアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定した。
【0031】
具体的には、樹脂粒子0.1gを0.1%ノニオン系界面活性剤溶液10ml中にタッチミキサー及び超音波を用いて予備分散させ、これを本体備え付けの、ISOTON II(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせた。次にマルチサイザーII本体にアパチャーサイズを100μm、Currentを1600、Gainを2、Polarityを+と入力(アパチャーサイズ等は必要に応じて変更して入力可能である)してmanualで測定を行った。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、樹脂粒子を10万個測定した点で測定を終了した。平均粒子径は、この測定値の平均値である。
【0032】
実施例1
水800gに、分散安定剤として珪酸マグネシウムナトリウム(水澤化学工業社製、イオナイト)45gを分散させ、水相を作製した。別に、メタクリル酸メチル380gにエチレングリコールジメタクリレート20gと、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.4g、分散剤としてセチルアルコール1.2g及びカプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート(日本化薬社製、PM−21)0.2gを加えて油相を作製した。この油相を上記水相に加えて、ホモミキサー(特殊機化社製、TKホモミキサー)にて4500rpmで5分間攪拌して微分散した。この微分散した懸濁液を2Lオートクレーブに加え、充分に窒素パージした後、撹拌速度を300rpmに保持し、60℃で10時間懸濁重合した。次いで、温度を100℃まで上昇させ、100℃で1時間加熱し、重合を完了した。
【0033】
加熱終了後、冷却し、重合後のスラリーを目開き150μmの篩網に通したが、粗大粒は観察されなかった。
続いて、濾紙を設置したブフナー漏斗にて重合体粒子を吸引濾過し、吸引濾過後の脱水ケーキを撹拌羽根を供えた10L真空乾燥機に投入し、60℃で15時間乾燥して約400gの重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の平均粒子径は9.5μmであった。
【0034】
実施例2
実施例1において、メタクリル酸メチル380gをアクリル酸ブチル240gに、エチレングリコールジメタクリレート20gを160gに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、約400gの重合体粒子を得た。重合後のスラリーを目開き150μmの篩網に通したが、粗大粒は観察されなかった。乾燥後の平均粒子径は9.8μmであった。
【0035】
実施例3
水800gに、分散安定剤として珪酸アルミニウムマグネシウム(クニミネ工業社製、スメクトンSA)12gを分散させ、水相を作製した。別に、メタクリル酸メチル380gに1,6ヘキサンジオールジメタクリレート20gと、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.4g、分散剤としてステアリルアルコール1.2g及びアシッドホスホオキシエチルメタクリレート(ユニケミカル社製、ホスマーM)0.08gを加えて油相を作製した。この油相を上記水相に加えて、ホモミキサーにて3000rpmで5分間攪拌して微分散した。この微分散した懸濁液を2Lオートクレーブに加え、充分に窒素パージした後、撹拌速度を250rpmに保持し、60℃で10時間懸濁重合した。次いで、温度を100℃まで上昇させ、100℃で1時間加熱し、重合を完了した。
【0036】
加熱終了後、冷却し、重合後のスラリーを目開き300μmの篩網に通したが、粗大粒は観察されなかった。
続いて、濾紙を設置したブフナー漏斗にて重合体粒子を吸引濾過し、吸引濾過後の脱水ケーキを撹拌羽根を供えた10L真空乾燥機に投入し、60℃で15時間乾燥して約400gの重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の平均粒子径は20μmであった。
【0037】
実施例4
実施例1において、カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレートの代わりにラウリルホスフェート(日本サーファクタント工業社製、ホステンHLP)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして約400gの重合体粒子を得た。重合後のスラリーを目開き150μmの篩網に通したが、粗大粒は観察されなかった。乾燥後の平均粒子径は10.1μmであった。
【0038】
比較例1
実施例1において、セチルアルコールを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、重合体粒子を得た。重合後のスラリーを目開き150μmの篩網に通し、網上の重合体を乾燥させ、計量した結果約2gの重合体が残った。篩網を通過した粒子の平均粒子径は9.2μmであり、乾燥後の粒子の重量は約398gであった。
【0039】
比較例2
実施例1において、カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレートを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、重合体粒子を得た。重合後のスラリーを目開き150μmの篩網に通し、網上の重合体を乾燥させ、計量した結果約5gの重合体が残った。篩網を通過した粒子の平均粒子径は9.4μmであり、乾燥後の粒子の重量は約395gであった。
【0040】
比較例3
2Lオートクレーブに、水800gと、分散安定剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA224E)32gとを加え、攪拌しながら90℃で30分間加熱した。溶解後冷却、取り出して水相を作製した。別に、メタクリル酸メチル380gにエチレングリコールジメタクリレート20gと、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.4gを加えて油相を作製した。この油相を上記水相に加えて、ホモミキサーにて6000rpmで5分間攪拌して微分散した。この微分散した懸濁液を2Lオートクレーブに加え、充分に窒素パージした後、攪拌速度を400rpmに保持し、60℃で10時間懸濁重合した。次いで、温度を100℃まで上昇させ、100℃で1時間加熱し、重合を完了した。
加熱終了後、冷却し、重合後のスラリーを目開き150μmの篩網に通したが、粗大粒は観察されなかった。
【0041】
続いて、濾紙を設置したブフナー漏斗にて重合体粒子を吸引濾過し、吸引濾過後の脱水ケーキを撹拌羽根を供えた10リットル真空乾燥機に投入し、60℃で15時間乾燥した。得られた約400gの重合体粒子は凝集していた。この凝集体を一次粒子に解砕した後の粒子の平均粒子径は10.1μmであった。
上記実施例及び比較例から、次のことがわかる。まず、比較例1及び2のように、高級アルコール又は燐酸エステルを使用しない場合、粗大粒が発生することがわかる。これに対して、実施例1〜4では、粘土鉱物、高級アルコール及び燐酸エステルの3成分を使用することで、粗大粒の発生を防ぐことができている。また、粘土鉱物以外の分散安定剤を使用した比較例3では、重合体粒子の乾燥後に解砕が必要であるが、実施例1〜4では解砕は必要でなく、従って製造工程を簡略化できる。
【0042】
実施例5(塗料の製造)
実施例1で得られた重合体粒子4g、市販の黒色艶あり塗料(アサヒペン社製、水性ハウスカラー)40gとを100mlのプラスチック容器に加え、3枚翼の攪拌羽を用い、300rpmで1分間分散、混合を行い、塗料を得た。この塗料を100μmのスキージを有するブレードを用いて塗工機にてプラスチック板に塗装し、常温で10時間乾燥させたところ、粒子が均一に分散した塗膜が得られた。
【0043】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、水系媒体中への分散性に優れ、かつ沈降後の再分散性に優れた、粒子径が1〜100μmであって粗大粒のない重合体粒子が簡便に得られる。そのため、媒体として水系を用いる分野(塗料、化粧品等)において好適できる。

Claims (3)

  1. 燐酸エステルと高級アルコールとを溶解した疎水性のビニル系単量体を、粘土鉱物の存在する水系で懸濁重合させることで1〜100μmの平均粒子径を有するビニル系重合体粒子を得ることを特徴とするビニル系重合体粒子の製造方法。
  2. ビニル系単量体100重量部に対して、粘土鉱物が0.1〜20重量部、燐酸エステルが0.005〜0.4重量部、高級アルコールが0.01〜1重量部使用される請求項1に記載の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法により得られたビニル系重合体粒子。
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