JP5297596B2 - 重合体粒子の製造方法 - Google Patents
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1μmよりも大きな粒径の重合体粒子の製造方法としては、懸濁重合法が知られている。懸濁重合法によれば5〜数百μmの範囲にわたる粒径の重合体粒子を製造できる。しかし、懸濁重合法は、大きさが不揃いで、粒径が広い範囲にわたって分布した粒子が得られる。
上記の要望に応じる製造方法としてシード重合法が知られている。シード重合法とは、重合体粒子をシード粒子として使用し、このシード粒子に単量体を吸収させ、吸収された単量体をシード粒子内で重合させることで、シード粒子よりも大きな重合体粒子を得るという方法である。この方法では、大きさの揃ったシード粒子を使用すること、各シード粒子に単量体を一様に吸収させることにより、大きさの揃った粒子を得ることができる。原料となる大きさの揃ったシード粒子は、ソープフリー乳化重合法及び分散重合法等によって製造できる。
かくして本発明によれば、エチレン系単量体と重合開始剤とを吸収させたシード粒子と分散剤とを含む水性媒体を加熱して、前記シード粒子に吸収させたエチレン系単量体を重合させて1〜100μmの平均粒子径の重合体粒子を得る方法であって、
前記分散剤が、平均粒子径が20〜200nmのコロイダルシリカ粒子を含む酸性シリカゾルであることを特徴とする重合体粒子の製造方法が提供される。
コロイダイルシリカ粒子は、20〜200nmの平均粒子径を有している。平均粒子径が20nmより小さい場合、コロイダルシリカ粒子が凝集して、流動性を失ってしまうので好ましくない。平均粒子径が200nmより大きい場合、コロイダルシリカ粒子の流動性は保たれるが、得られる重合体粒子が凝集してしまうので好ましくない。好ましい平均粒子径は20〜150nmであり、より好ましい平均粒子径は20〜50nmである。なお、平均粒子径は、通常、一次粒子径を意味するが、前記範囲内であれば、コロイダルシリカ粒子の凝集体の粒子径であってもよい。
コロイダルシリカ粒子としては、沈降性シリカパウダー、気相法シリカパウダー等のコロイダルシリカ粒子、水性媒体中で分散させた水性コロイダルシリカ粒子等が挙げられる。後者の水性コロイダルシリカ粒子が好ましい。
コロイダルシリカ粒子としては、公知のものを使用でき、例えば、日産化学社製スノーテックシリーズが挙げられる。
重合体粒子は、エチレン系単量体と重合開始剤とを吸収させたシード粒子と分散剤とを含む水性媒体を加熱して、シード粒子に吸収させたエチレン系単量体を重合させることにより得られる。
エチレン系単量体及び重合開始剤のシード粒子への吸収は、水性媒体への添加前に行ってもよく、添加時に行なってもよい。分散剤は、シード粒子の添加時に水性媒体へ添加してもよく、シード粒子の添加前に予め水性媒体中へ添加しておいてもよい。
シード粒子は、できるだけ大きさの揃った粒子が好ましい。また、シード粒子は、得ようとする重合体粒子よりも小さい平均粒子径でなければならない(例えば、重合体粒子の平均粒子径の85%以下)。このようなシード粒子は、公知のソープフリー乳化重合法あるいは分散重合法により得ることができる。なお、シード粒子は、エチレン系単量体として例示された単量体に由来する粒子を使用できる。
水性媒体は、水、又は水と水溶性有機溶媒(例えば、エタノールのような低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
更に、目的とする重合体粒子以外の新たな粒子の発生を抑制する目的で、重合時に水溶性の重合禁止剤を使用してもよい。そのような重合禁止剤としては、亜硝酸ナトリウム、塩化第二鉄、ハイドロキノン等が挙げられる。
まず、エチレン系単量体と重合開始剤を、水性媒体中に加え、得られた系をホモジナイザー、超音波処理機、ナノマイザー、マウントガリン型等の微細乳化機により微分散させることで、エチレン系単量体及び重合開始剤を微分散させたエマルジョンを得ることができる。重合開始剤は、エチレン系単量体と別に、水性媒体に微分散させた後、エチレン系単量体を微分散させたエマルジョンに加えてもよい。また、重合性単量体と重合開始剤とを予め混合した後で微分散させてもよい。微分散したエチレン系単量体の液滴の粒径は、シード粒子への吸収性の観点から、シード粒子よりも小さいことが好ましい。
吸収は、エチレン系単量体が実質的に重合しない温度下で行うことが好ましい。十分に吸収させる前に重合が進行するとエチレン系単量体に由来する重合体粉末を生成する場合があるため好ましくない。エチレン系単量体が実質的に重合しない温度は、高い方が吸収速度を速めるには有利である。吸収時間は、30分〜3時間が適当である。
エチレン系単量体の重合は、40〜80℃で行うことが好ましい。重合温度が80℃より高い場合、反応が急激に起こることがあるので好ましくなく、40℃より低い場合、重合に時間がかかることがあるので好ましくない。なお、この重合温度への昇温は、一定あるいは段階的に漸次昇温(このときの昇温速度は、例えば0.1〜2℃/分である)して行うことが好ましい。
本発明の製造方法によれば、1〜100μmの範囲内の平均粒子径を有する重合体粒子を得ることができる。また、CV値が3〜15%の範囲内の大きさの揃った重合体粒子を得ることができる。また、重合体粒子を洗浄しない場合は、表面にコロイダルシリカ粒子を残存させることができる。このような本発明の重合体粒子は、可視光に対する光散乱特性や光反射特性が良好であり、耐水性、耐溶剤性、耐熱性も良好である。
<平均粒子径の測定方法>
・コロイダルシリカ粒子、シード粒子の平均粒子径
コロイダルシリカ粒子、シード粒子の平均粒子径は、ベックマンコールター社製のLS230型で測定する。具体的には、粒子0.1gと0.1%ノニオン性界面活性剤溶液10mlを投入し、ヤマト科学社製タッチミキサーTOUCHMIXER MT−31で2秒間混合する。この後、試験管を市販の超音波洗浄器であるヴェルボクリーア社製ULTRASONIC CLEANER VS−150を用いて10分間分散させる。分散させたものをベックマンコールター社製のLS230型にて超音波を照射しながら測定する。そのときの光学モデルは作製した粒子の屈折率にあわせた。
・重合体粒子の平均粒子径
重合体粒子の平均粒子径は、ベックマンコールター社製のコールターカウンターで測定した。測定方法はCoulter Electronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTERMULTISIZER(1987)に従って、50μmアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定する。
東亜電波工業社製のガラス電極式水素イオン濃度計HM−11PによりpHを測定する。測定の前にpH6.86の標準液とpH4.01の標準液で校正を行い、洗浄水で電極を洗浄した後、シリカゾルに電極を入れpHを測定する。
変動係数(CV値)は、粒子径の標準偏差(σ)及び平均粒子径(x)を次の式に代入することにより算出される。
CV値(%)=(σ/x)×100
重合体粒子を含むスラリーを吸引濾過装置により脱水し、60℃の恒温槽中で充分に乾燥する。乾燥した重合体粒子を乳鉢で解砕し、アルミニウム製の容器にとり、恒温槽中200℃で1時間加熱する。次いで、乳鉢中で重合体粒子を更に解砕し、得られた解砕物の色差b値を色彩色差計(CR−300;ミノルタ社製)により測定する。
シード粒子製造例1
表1にシード粒子の構成単量体及び平均粒子径をまとめて示す。
エチレン系単量体としてメタクリル酸メチル112gとエチレングリコールジメタクリレート48gからなる混合溶液に、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.96g溶解して、重合性単量体成分とした。
これとは別に、純水160gにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gを溶解し、この水溶液に上記の重合性単量体成分を混合し、T・Kホモミキサーを用いて8000rpmで10分間攪拌した。このエマルジョンを攪拌機及び温度計を備えた容量1Lの反応容器に入れ、シード粒子製造例1のスラリーを57g添加した。120rpmで4時間攪拌することで、シード粒子を膨潤させた。
エチレン系単量体としてメタクリル酸メチル112gとエチレングリコールジメタクリレート48gからなる混合溶液に、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.96g溶解して、重合性単量体成分とした。
これとは別に、純水160gにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gを溶解し、この水溶液に上記の重合性単量体成分を混合し、T・Kホモミキサーを用いて8000rpmで10分間攪拌した。このエマルジョンを攪拌機及び温度計を備えた容量1Lの反応容器に入れ、シード粒子製造例1のスラリーを57g添加した。120rpmで4時間攪拌することで、シード粒子を膨潤させた。
エチレン系単量体としてのメタクリル酸メチル112gとエチレングリコールジメタクリレート48gからなる混合溶液に、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.96g溶解して、重合性単量体成分とした。
これとは別に、純水160gにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gを溶解し、この水溶液に上記の重合性単量体成分を混合し、T・Kホモミキサーを用いて8000rpmで10分間攪拌した。このエマルジョンを攪拌機及び温度計を備えた容量1Lの反応容器に入れ、シード粒子製造例1のスラリーを57g添加した。得られた系を120rpmで4時間攪拌を行い、シード粒子を膨潤させた。
エチレン系単量体としてメタクリル酸メチル112gとエチレングリコールジメタクリレート48gからなる混合溶液に、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.96g溶解して、重合性単量体成分とした。
これとは別に、純水160gにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.8g溶解し、この水溶液に上記の重合性単量体成分を混合し、T・Kホモミキサーを用いて8000rpmで10分間攪拌した。このエマルジョンを攪拌機及び温度計を備えた容量1Lの反応容器に入れ、シード粒子製造例1のスラリーを57g添加した。120rpmで4時間攪拌することで、シード粒子を膨潤させた。
エチレン系単量体としてメタクリル酸メチル112gとエチレングリコールジメタクリレート48gからなる混合溶液に、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.96g溶解して、重合性単量体成分とした。
これとは別に、純水160gにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gを溶解し、この水溶液に上記の重合性単量体成分を混合し、T・Kホモミキサーを用いて8000rpmで10分間攪拌した。このエマルジョンを攪拌機及び温度計を備えた容量1Lの反応容器に入れ、シード粒子製造例1のスラリーを57g添加した。120rpmで4時間攪拌することで、シード粒子を膨潤させた。
エチレン系単量体としてメタクリル酸メチル112gとエチレングリコールジメタクリレート48gからなる混合溶液に、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.96g溶解して、重合性単量体成分とした。
これとは別に、純水160gにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gを溶解し、この水溶液に上記の重合性単量体成分を混合し、T・Kホモミキサーを用いて8000rpmで10分間攪拌した。このエマルジョンを攪拌機及び温度計を備えた容量1Lの反応容器に入れ、シード粒子製造例1のスラリーを57g添加した。120rpmで4時間攪拌することで、シード粒子を膨潤させた。
エチレン系単量体としてメタクリル酸メチル112gとエチレングリコールジメタクリレート48gからなる混合溶液に、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.96g溶解して、重合性単量体成分とした。
これとは別に、純水160gにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gを溶解し、この水溶液に上記の重合性単量体成分を混合し、T・Kホモミキサーを用いて8000rpmで10分間攪拌した。このエマルジョンを攪拌機及び温度計を備えた容量1Lの反応容器に入れ、シード粒子製造例1のスラリーを57g添加した。120rpmで4時間攪拌することで、シード粒子を膨潤させた。
表2に実施例1と2及び比較例1〜5で使用したエチレン系単量体、シード粒子及び分散剤の種類、分散剤の平均粒子径、pH、得られた重合体粒子の平均粒子径、CV値及び色差b値をまとめて示す。
比較例1の重合体粒子は、ポリビニルアルコールの変質により粒子が変色していることがわかる。
また、比較例2〜5によれば、酸性を示さないシリカゾルを分散剤として使用した場合、CV値が高く大きさの揃わない重合体粒子が得られるか、又は重合体が粒子の形状を維持しない大きな塊となることがあり、重合体粒子が得られないことがわかる。
Claims (2)
- エチレン系単量体と重合開始剤とを吸収させたシード粒子と分散剤とを含む水性媒体を加熱して、前記シード粒子に吸収させたエチレン系単量体を重合させて1〜100μmの平均粒子径の重合体粒子を得る方法であって、
前記分散剤が、平均粒子径が20〜200nmのコロイダルシリカ粒子を含む酸性シリカゾルであることを特徴とする重合体粒子の製造方法。 - 前記酸性シリカゾルが、2〜4のpHを有する請求項1に記載の重合体粒子の製造方法。
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