JP4519692B2 - 毛髪処理剤 - Google Patents

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Description

本発明は、環状メルカプト化合物を含有する新規毛髪処理剤に関する。
パーマネントウエーブは2つの工程により形成されることが知られている。即ち、還元剤の作用により毛髪のシスチン(ジスルフィド)結合を還元切断する工程と、その後の酸化剤を使用した中和または固定工程であり、この後者の工程によりシスチン(ジスルフィド)結合が復元する。
従来、毛髪のパーマネント加工で使用される化合物は、チオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン、およびこれらの塩類などの一般にケラチン還元物質ともいわれる化合物が使用されてきた。これらの従来のケラチン還元物質ともいわれる化合物は、毛髪のパーマネント加工用としてアルカリ性条件下で実用的な性能を有するため、多くのパーマ液はpH9.5程度のアルカリ性に調整されている。しかし、アルカリ性に調整されたパーマ液は、毛髪や頭皮の損傷を引き起こすことが知られており、これら不都合を解決するために中性から弱酸性のpH領域(pH:3〜7.5、25℃)で使用可能なケラチン還元物質の開発が進められている。
例えば、このようなpH領域で使用されるケラチン還元物質として、チオグリコール酸のモノグリセロールエステルの使用が検討されている(例えば、特許文献1)。また、チオグリコール酸エステルでみられる皮膚障害を解決する目的でメルカプトグリコール酸アミド誘導体およびメルカプト乳酸アミド誘導体の使用も検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3)。さらには、弱酸性で効果を発揮するとされるシステアミンの使用も検討されている。(例えば、特許文献4)
特開平08−291031号公報 特表2000−507272号公報 特表2003−528901号公報 特開平03−271214号公報
しかしながら、特許文献1に提案されたチオグリコール酸モノグリセロールエステルは液状であり、取り扱い性、臭気に関しては優れているが、その構造中の水酸基に由来すると推定される感作性の報告もあり実用には至っていない。
特許文献2に提案されたメルカプトカルボン酸アミドには、皮膚刺激性があることは既に知られており、また特許文献3に提案されたメルカプトカルボン酸アミド誘導体でも同様の感作性が懸念され、更には精製不足や保存中に遊離する原料アミンによる感作性、皮膚刺激性なども懸念されるという問題がある。
特許文献4に提案されたシステアミンは、弱酸性〜酸性でのウェーブ性能は十分ではなく、更には、パーマ処置後の頭髪が独特の臭気を有するなど課題が多い。
このように従来より提案されていたケラチン還元物質では、弱アルカリ性領域で使用される場合には所望のウェーブ性能を発揮するものの、弱アルカリ性領域でパーマネントウエーブ加工を行うと、皮膚や頭髪に影響を及ぼし、例えば頭髪が変色したり、ぱさついたりすることがあった。
このため、従来の毛髪処理剤を、より影響の少ない中性・弱酸性領域で使用しても、かかるpH領域では、ウェーブ性能が必ずしも十分ではなく、またウェーブ性能を保つために多量に使用すると、かえって臭気が取れなくなったり、また還元物質が皮膚にダメージを与えることもあり、所望のウェーブ性能を有する毛髪処理剤は得られていないのが現状であった。
すなわち、本発明の目的は、皮膚や頭髪への刺激が少ない酸性から中性、さらには弱アルカリのpH領域においても、良好に毛髪のパーマネントウエーブ加工を行うことが可能な毛髪処理剤を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定のメルカプト化合物をケラチン還元物質として使用すれば、中性から酸性のpH領域において既知の化合物よりも高いウェーブ性能を有することを見出した。そしてさらに検討した結果、さらに他のケラチン還元物質と併用すれば、広いpH範囲にわたって、高いウェーブ性能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
[1](i)下記式(1)で示される化合物の少なくとも1種と、
Figure 0004519692
(Xは−O−、−S−、−NH−、−NR1−のいずれかの構造を示す。R1は炭素数1〜6のアルキル基を示す。R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。Yは酸素原子または硫黄原子を示す。Rはメルカプト基を有してもよいアルキレン基を示す。)
(ii)チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、およびそれらの塩またはエステル誘導体またはアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する毛髪処理剤。
[2](ii)の化合物の含量が、(i)と(ii)の化合物の合計量に対し(ii)/(i+ii)が、0.01〜50質量%である[1]の毛髪処理剤。
[3]毛髪処理剤のpHが3〜8の範囲にある[1]または[2]の毛髪処理剤。
[4](ii)の化合物がシステアミン、その塩、または、そのエステル誘導体である[3]の毛髪処理剤。
[5]式(1)のXが、「−O−」、「−NH−」、「−NCH3−」または「−S−」である[1]〜[4]の毛髪処理剤。
[6]式(1)のYが、酸素原子である[1]〜[5]の毛髪処理剤。
[7]式(1)のRが、一つ以上のメルカプト基を有するアルキレン基である[1]〜[6]の毛髪処理剤。
[8]式(1)で示される化合物が、
2−メルカプト−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンおよび2-メルカプト-6-ヘキサノラクタムからなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[7]の毛髪処理剤。
[9]上記(i)および(ii)の化合物の含有量(合計量)が、還元物質の含有率(チオグリコール酸として)で、0.2〜30%である[1]〜[8]の毛髪処理剤。
[10]毛髪処理剤がパーマネントウエーブ加工用薬剤である[1]〜[9]の毛髪処理剤。
[11][10]の毛髪処理剤を用いる毛髪のパーマネントウエーブ加工方法。
本発明の毛髪処理剤は、特にパーマネントウエーブ加工用薬剤として用いられることが多く、中性から酸性のpH領域において優れたパーマネント加工実用性能を有する環状メルカプト化合物と、中性から弱アルカリ性のpH領域において優れたパーマネントウエーブ加工実用性能を有するメルカプト化合物とを含有する。このため、本発明によれば、広いpH領域(酸性〜弱アルカリ性)において、高いパーマネントウエーブ加工性能を発揮できる。また、上記環状メルカプト化合物含有濃度が低濃度であっても優れたパーマネントウエーブ加工実用性能を有するので、薬剤量自体を減らすことができるとともに、中性から酸性領域のpH領域においても、汎用パーマネントウエーブ加工用薬剤に比べて安定したウェーブ効率が得られるので、施術時に、皮膚への刺激も少なく、さらに、感作性も少ない。
したがって、本発明の薬剤組成物は、毛髪処理剤として、特に髪の毛のパーマネントウエーブ加工に極めて有用である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る毛髪処理剤は、広く毛髪に適用される処理剤を含むが、特に毛髪のウェーブ形成あるいは毛髪のウェーブ矯正において優れた効果を有し、広義に「パーマネントウエーブ加工用薬剤」と称する。具体的には、強いウェーブ形成力を有するパーマネントウエーブ剤、弱いウェーブ形成力を有するカーリング剤、ウェーブ伸ばし剤として、縮毛矯正剤、ストレートパーマネントウェーブ剤、癖毛直し剤、寝癖直し剤などを含む。
本発明に係る毛髪処理剤は、(i)特定の環状メルカプト化合物と(ii)他のメルカプト化
合物とを含む。
(i)環状メルカプト化合物
本発明の毛髪処理剤は下記式(1)で示される環状メルカプト化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする。
Figure 0004519692
(Xは−O−、−S−、−NH−、−NR1−のいずれかの構造を示す。R1は炭素数1〜6のアルキル基を示す。Yは酸素原子または硫黄原子を示す。(2)式中のRはメルカプト基を有してもよいアルキレン基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
Xとしては、「−O−」、「−NH−」、「−NCH3−」、「−S−」が、水溶液として使用されるパーマ液への溶解度が比較的高く、液調製の点で好ましい。Yは酸素原子または硫黄原子を示すが、酸素原子が工業的な原料入手や取り扱い性の点でより好ましい。
2としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基などが例示され、なかでも水素原子、メチル基、エチル基が好適である。
Rは、メルカプト基(−SH)を有してもよいアルキレン基を示す。アルキレン基としては、主鎖の炭素数が2〜6のアルキレン基が好ましい。また、アルキレン基は、分岐・側鎖を有していてもよい。側鎖としては、アルキル基、アルケニル基などが挙げられる。
また、Rがメルカプト基を有する場合、当該メルカプト基は単数でも複数であってもよい。
中でも、好ましいRとしては、工業的入手のしやすさの点でエチレン基、プロピレン基が挙げられる。
式(1)で示される化合物の具体例としては、2−メルカプト−3−プロピオラクトン、2−メルカプト−2−メチル−3−プロピオラクトン、2−メルカプト−3−メチル−3−プロピオラクトン、2−メルカプト−3−エチル−3−プロピオラクトン、2−メルカプト−2,3−ジメチル−3−プロピオラクトン、2−メルカプト−3−プロピオラクタム、2−メルカプト−2−メチル−3−プロピオラクタム、2−メルカプト−3−メチル−3−プロピオラクタム、2−メルカプト−3−エチル−3−プロピオラクタム、2−メルカプト−2,3−ジメチル−3−プロピオラクタム、2−メルカプト−3−プロピオチオラクトン、2−メルカプト−2−メチル−3−プロピオチオラクトン、2−メルカプト−3−メチル−3−プロピオチオラクトン、2−メルカプト−3−エチル−3−プロピオチオラクトン、2−メルカプト−2,3−ジメチル−3−プロピオチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−2−メチル−4,4−ジメチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−3−(2−プロペニル)−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−2−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−3−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−3,4−ジメチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−2−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−3−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−2−メチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−3−メチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−3,4−ジメチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−2−エチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−3−エチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−2−メチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−3−メチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−3,4−ジメチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−2−エチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−3−エチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−5−バレロラクトン、2−メルカプト−2−メチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−3−メチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−4−メチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−メチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−2−エチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−3−エチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−エチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクタム、2−メルカプト−2−メチル−5−バレロラクタム、
2−メルカプト−3−メチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−4−メチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−5−メチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−2−エチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−3−エチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−4−エチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−5−エチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−2−メチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−3−メチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−4−メチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−5−メチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−2−エチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−3−エチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−4−エチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−5−エチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−2−メチル−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−3−メチル−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−4−メチル−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−5−メチル−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−6−メチル−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−2−メチル−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−3−メチル−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−4−メチル−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−5−メチル−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−6−メチル−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−2−メチル−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−3−メチル−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−4−メチル−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−5−メチル−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−6−メチル−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−7−ヘプタノラクトン、2−メルカプト−7−ヘプタノチオラクトン、2−メルカプト−7−ヘプタノラクタム、2−メルカプト−8−オクタノラクトン、2−メルカプト−8−オクタノチオラクトン、2−メルカプト−8−オクタノラクタム、2−メルカプト−9−ノナラクトン、2−メルカプト−9−ノナチオラクトン、2−メルカプト−9−ノナラクタム、および、これらラクタム類のN−メチルあるいはN−エチル誘導体などが挙げられる。
これらの中でも、2−メルカプト−4−ブチロラクトン(2−メルカプト−4−ブタノリド)、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクタム、2-メルカプト-6-ヘキサノラクタムが、パーマ性能および工業的な製造の
観点で好ましい。
これらの化合物は、既知の方法に準じて製造可能である。例えば、ラクトン化合物、ラクタム化合物をハロゲン化化合物としたのちにメルカプト基を導入することで合成できる。
メルカプトラクトン、メルカプトチオラクトンは、市販のラクトンあるいはチオラクトンを使用して、J.Am.Chem.Soc.1945,.67.2218−2220の方法によりハロゲン体を合成する。合成したハロゲン体あるいは市販で入手可能なハロゲン体をAnn.1960,639.146−56の方法に準じて合成することでラクトン誘導体が合成できる。
メルカプトラクタム類は、J.Am.Chem.Soc.1958.80.6233−6237の方法に準じてハロゲン体を合成し、得られるハロゲン化合物をラクトン類と同様にAnn.1960,639.146−56の方法に準じて合成することでラクタム誘導体が合成できる。
(ii)他のケラチン還元物質
本発明では、上記環状メルカプト化合物とともに、ケラチン還元物質として、(ii)チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、およびそれらの塩またはエステル誘導体またはアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。
エステル誘導体は、具体的にはN−アセチルシステイン、アシルシステインなどがあり、また、特許文献1に開示された、多価アルコールのエステルが例示され、多価アルコールとしては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1−メトキシプロパノール(−2)、1−エトキシプロパノール(−2)、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらは、そのモノメチルエーテルまたはモノエチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類であってもよい。
またアミド誘導体としては、特許文献2および3に示されるような、N−分枝鎖アルキル置換アセトアミド誘導体や、ヒドロキシ基またはエーテル結合を含むものなどが例示される。
また塩とはして、カルボン酸基が塩を構成していても、またアミン基が塩を形成していてもよく、具体的にはチオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、システイン塩酸塩などを挙げることが出来る。
これらの中でも、システアミンおよびその誘導体が、前記(i)の化合物と組み合わせる
と、広いpH領域でも高いパーマネントウエーブ加工性能を発揮できるとともに、薬剤量
を少なくすることも可能となるので好適である。
毛髪処理剤の組成
本発明に係る毛髪処理剤中の(ii)の化合物の含量は、(i)と(ii)の化合物の合計量に対
し((ii)/(i+ii))が、0.01〜50質量%、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは20
〜50質量%の範囲にあることが望ましい。
この範囲で使用すると、弱酸性から弱アルカリ性の広いpH範囲で高いパーマネントウ
エーブ加工性能を発揮し、皮膚に対する影響も少ない毛髪処理剤が得られる。
その理由は明確ではないものの、(i)のメルカプト化合物は、毛髪処理剤の主成分とし
て使用すると、前記式(1)で表されるような構造を有しているため、従来の還元剤よりも親油性が増し、毛髪への浸透性が向上すると共に、環構造を有していることによってメルカプト化合物が酸化されやすく、特に、酸性〜中性でより酸化されやすく、その結果、従来より使用されていたメルカプト化合物と異なり、アルカリ性にせずとも還元剤として機能を発揮すると考えている。
毛髪は、親油性のキューティクル層、親水性の皮質、髄質層からなり、pHの上昇にともなって膨潤しキューティクル間隙が広がることが知られている。親水性の高い(ii)の化合物は、pH9付近で使用される際に膨潤によって広くなったキューティクル間隙から浸透するのに対し、より親油性の高い(i)の化合物は、pHに影響されることなく親油性の
キューティクル面への吸着を経て浸透するものの、メルカプト基でのイオン性付与による浸透性の低下に加えて、親油性に由来する皮質、髄質層への拡散が、(ii)の化合物の浸透に比べると遅いと考えられる。
このため、酸性〜中性のpH領域で高いパーマネントウエーブ加工性能を有する(i)の化合物と、弱アルカリ領域での浸透性の高い(ii)の還元物資と組み合わせることで、弱酸から弱アルカリの広いpH領域でも高いパーマネントウエーブ加工性能を発揮するものと本
発明者は考えている。
なお、(i)の化合物単独(具体例:2-メルカプト-4-ブチロラクトン(MBL))と、(ii)の化合物単独(具体例:システアミン塩酸塩)で含むパーマネントウエーブ加工用薬剤を用いて、pHによるパーマネントウエーブ加工性能(ウェーブ効率)の変化を評価すると、図1に示す結果が得られる。図1はともにチオグリコール酸還元力換算で2%に相当した各化合物を単独で用いたときに、pHによるウェーブ効率の変化を示すグラフである。
図1からわかるように、(i)の化合物を含むパーマネントウエーブ加工用薬剤は、酸性
から中性のpH領域で高いウェーブ効率を示す、アルカリ性になると若干ウェーブ効率が低下する傾向にある。これに対し、(ii)の化合物を含むパーマネントウエーブ加工用薬剤では、酸性ではウェーブ効率が低く、pHとともにウェーブ率が直線的に向上し、アルカリ性になるとウェーブ効率が高くなる。このため、(i)と(ii)の化合物を組み合わせること
で、広いpH領域で、パーマネントウエーブ加工性能が発揮される。
本発明の毛髪処理剤をパーマネントウエーブ加工用薬剤として使用する場合、上記式(i)と(ii)の化合物の合計で、環状メルカプト化合物がチオグリコール酸還元力換算で、好
ましくは0.2〜30%、より好ましくは1〜15%、さらに好ましくは1〜10%となる量で含有されている。この範囲にあれば、毛髪や皮膚へのダメージなく、ウェーブ効率を高く保持することができる。
チオグリコール酸還元力換算で0.2%未満では、パーマネントウエーブ加工用薬剤としての性能が全くでない場合がある。一方、30%を超えると、毛髪の極端な縮毛、キューティクルの部分剥離が促進されることで毛髪ダメージが大きくなることがある。
なお、チオグリコール酸還元力換算とは、医薬部外品に関するパーマネントウエーブ用剤品質規格で施術ごとに定められたケラチン還元性物質濃度の表記法であり、下記の方法に準じて測定された濃度である。
[チオグリコール酸還元力換算]
試料10mLを100mLのメスフラスコに正確に取り、化粧品原料基準に適合する精製水(以下、単に「水」と記載する。)を加えて全量を100mLとし、これを試験溶液とする。
試験溶液20mLを正確に取り、水50mLおよび30%硫酸5mLを加え、穏やかに加熱し、5分間煮沸する。冷後、0.1Nヨウ素液で滴定し、その消費量をAmLとする(指示薬:デンプン試液 3mL)
得られた滴定結果を下式によりチオグリコール酸換算の含有率として算出する。
還元性物質の含有率(チオグリコール酸として)(%)=0.4606×A
また、化粧品分類のパーマネントウエーブ用剤(カーリング剤)は、パーマネントウエーブ液工業組合で自主規制値を設定しており、同様の測定方法により使用量が規定されている。
この場合、チオグリコール酸換算で示される含有率のうち50%以上が、(i)の環状メ
ルカプト化合物であることが好ましく、更に好ましくは、50〜95%、もっとも好ましくは、50〜80%の範囲にある。50%以下の場合には、弱酸性〜中性でのウェーブ効率が十分でないことがある。前記範囲にあれば、酸性〜弱アルカリ性の広いpH範囲で、高いウェーブ効率を有するパーマネントウエーブ加工用薬剤が得られる。
本発明のパーマネントウエーブ加工用薬剤は、式(i)および(ii)の化合物を溶剤に溶解
、分散、乳化、懸濁させて使用することが望ましい。溶剤としては、水が好ましい。
本発明のパーマネントウエーブ加工用薬剤は、上記(i)および(ii)の化合物を含む限り
、特にその形態に制限はないが、例えば、液状、泡状、ゲル状、クリーム状、ペーストなどの形態にして使用可能である。そして、その形態によって液タイプ、スプレータイプ、エアゾールタイプ、クリームタイプ、ゲルタイプ等、種々のタイプの薬剤として使用できる。
本発明の毛髪処理剤には、その他の有効成分として紫外線吸収剤、毛髪保護剤等も配合することは可能である。
上記環状メルカプト化合物は通常オイル状の形態である。また、たとえば水などの親水性溶媒と混合しにくく、2層分離してしまうことがあるので、界面活性剤が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両イオン性、非イオン性のいずれであってもよく、また、シリコン系界面活性剤であっても、バイオサーファクタントであってもよい。
たとえば、アニオン製界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸
塩、ジアルキルスルホコハク酸モノジウム塩、ジソジウムアルキルアミドエチルスルホコハク酸エステル、α-スルフォン化脂肪族アルキルエステル塩、ナトリウムN-メチル-N-オレイルタウリン、ソジウムアルキルイセチネート、石油スルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルメチルカルボン酸塩、ナフタリンスルフォン酸塩ホルマリン縮合物などが例示される。
また、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルグリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸モノ(ジ)エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ひまし油、脂肪酸ジエテノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、第1〜3級脂肪アミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-ア
ルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N-ジアルキルモルフォリニウム塩、
ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の塩、ポリエチレンポリアミン脂肪アミドの尿素縮合物の第4級アンモニウム塩などのハロゲン化物、オキソ酸塩、脂肪酸塩などが例示される。
両イオン界面活性剤としては、N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N-トリメチル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシル
アミドプロピル-N',N'-ジメチル-N'-β-ヒドロキシプロピレンアンモニオスルホベタイン、N,N-ジアルキル-N,N-ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニオベタイン、2-アルキル-1-ヒドロキシエチル-1-カルボキシメチルイミダゾリウニウムベタインなどが例示される
シリコン系界面活性剤としては、ジメチコンコポリオール(ポリオキシエチレン・メチ
ルポリシロキサン共重合体)などが挙げられる。
バイオサーファクタントとしては、サーファクチンのナトリウム塩が挙げられる。サーファクチンとは7分子のアミノ酸からなる環状ペプチドの親水性部位と、長い脂肪酸残基による疎水性部位とで構成され、環の両端には二個のカルボキシル基があり、全体として2価のアニオンチャージを持つ。環状ペプチドは2分子のD−ロイシンを含み、L−ロイシンがL−バリンまたはL−イソロイシンに置換されていてもよい。また脂肪酸には鎖長と分岐位置は適宜選択される。
界面活性剤を使用すると、前記希釈剤・溶剤と、上記(i)および(ii)の化合物とを均一
に混合させことが可能となる上、しかも混合したエマルションも分離しにくくなる。なお、上記(i)の環状メルカプト化合物は、水存在下に分解しやすいという欠点もあるが、界
面活性剤を添加しておくと、水と直接接触していないので、長期保存しても安定であり、このため使用期限を延ばすことも可能となる。
界面活性剤の配合量はその使用目的、組成物の粘度に応じて適宜選択されるが、通常、(i)および(ii)の合計量に対して、0.01〜200質量%、好ましくは0.02〜150質量%の量
で使用される。
さらに、毛髪の加工性能を向上させる目的および使用形態に応じて、種々の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、膨潤剤、浸透促進剤、緩衝剤、油剤、増粘剤、毛髪保護剤、湿潤剤、乳化剤、pH調整剤、香料、染料、安定化剤、臭気マスキング剤などを用いることができる。
膨潤剤、浸透促進剤としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、尿素、2−メチルピロリドンなどが挙げられる。
緩衝剤としては、無機緩衝剤のほか、アルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸を含む緩衝剤が挙げられる。
油剤としては、パラフィン、流動パラフィン、ミツロウ、スクワラン、ホホバ油、オリーブ油、エステル油、トリグリセリド、ワセリン、ラノリンなどが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガントガム、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール、カオリン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシル酸、イソステアリン酸などの脂肪酸、ワセリンなどが挙げられる。
毛髪保護成分としては、コラーゲンやケラチンなどの加水分解物およびその誘導体などが挙げられる。
湿潤剤あるいは乳化剤としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ソルビトール、植物抽出エキス、ビタミン類、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、カチオン性、アニオン性、両性、非イオン性の界面活性剤やポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニ
ルエーテルなどのエーテル型非イオン界面活性剤、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコンオイル、アルコール変性シリコンオイル、フッ素変性シリコンオイル、ポリエーテル変性シリコンオイル、アルキル変性シリコンオイルなどのシリコン誘導体などが挙げられる。
pH調整剤としては、塩酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸などの有機酸あるいは、そのナトリウム塩、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ剤が挙げられる。
安定剤としては、過剰還元防止を目的として、還元化合物のジスルフィド体のほか、ジチオジグリコール酸などがあげられる。
香料としては特に制限されないが、アセチルジイソアミレン、アニスアルコール、ウンデカラクトン、エチルマルトール、オレンジ油、カンファー、ゲラニオール、ゲラニルニトリル、ジメチルオクタノール、シクロペンタデカノリド、シトラール、シトロネラール、ジメチルオクテンオール、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジヒドロミルセノール、シンナミックアルコール、スペアミント油、ダマスコン、タンジー油、トリプラール、トリメチルウンデカジエナール、γ−デカラクトン、トリメチルヘキセナール、ネロール、ネロリドール、γ−ノナラクトン、バジル油、ピネン、フェニルエチルアルコール、フェニルプロパナール、フェンキルアルコール、ヘキセナール、シス−3−ヘキセノール、ペパーミント油、ベルガモット油、ベンジルホーメート、ベンズアルデヒド、ボルネオール、メチルイオノン、メチルシンナミックアルデヒド、メトキシシトロネラール、メンタンオール、メントール、メントン、ライム油、ラズベリーケトン、リナロール、リナロールオキシド、リモネン、レモン油、ローズフェノン、酢酸ブチルシクロヘキシル、酢酸イソボルニル、酢酸ジメチルフェニルエチルカルビニル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、4−(1−エトキシビニル)−3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキサノン、シス−p−メンタン−7−オール、α,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルフォメート、2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エチルエステル、2,6,6−トリメチル−1−クロトニルシクロヘキサン、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ペンタン−2−オール、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オールからなる群から選択される少なくとも一種の化合物あるいは精油が好適に使用される。これらの香料は、上記式(i)のメルカプト化合物のマスキング効果が高い。また、香気の
変質が少なく、長期間に渡って経時安定性に優れている。また使用後、洗浄してもしばらくいい匂いが残る。上記化合物あるいは精油を複数併用するとさらに好ましい結果が得られる。
その他の添加剤としては、キレート剤として、エデト酸およびその金属塩、グルタミン酸4酢酸およびその金属塩、アスパラギン酸4酢酸およびその金属塩、プロピルジアミン4酢酸およびその金属塩などが挙げられる。
また、本発明に係る毛髪処理剤が、毛髪のくせ毛直し、カール伸ばし、寝ぐせの改善のほか、カール形成などの毛髪矯正剤として使用される場合、その使用態様には特に制限はなく、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアウオーター、ヘアワックス、ヘアムース、頭髪用ジェルなどに上記(i)および(ii)の化合物を
配合して用いられる。このような毛髪矯正剤の場合、パーマネントウエーブ用加工用薬剤で一般に行われる臭素酸塩や過酸化水素による酸化処理を必要としない。本発明に係る毛髪処理用剤を毛髪矯正剤として使用する場合、上記(i)および(ii)の化合物の合計量で通
常0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは1〜5
質量%の量で含有する。上記合計量がこの範囲にあれば、期待される毛髪矯正効果を充分に発揮することができる。このように毛髪矯正剤として使用した場合は、毛髪への塗布後、櫛による整髪あるいは洗髪までの比較的短い時間で、くせ毛やカールの矯正ができる。さらに、本発明の毛髪矯正剤を使用すれば、毛髪のソフト感を向上させることも可能である。
本発明の毛髪処理剤のpHについては特に制限は無く、pH9程度のアルカリ性で使用しても良いが、好ましくはpH3〜8、更に好ましくはpH5〜8の範囲で使用することが好ましい。なお、本発明の毛髪処理剤はアルカリ性であっても、中性、弱酸性であってもその効果は変わらず、優れている。
薬剤のpHが上記範囲にあると皮膚刺激性も少なく、毛髪や頭皮の損傷を引き起こす原因とならない。また、本発明に係わる毛髪処理剤は、pHを上記範囲内として使用してもパーマネントウエーブ加工の実用的な性能を発揮することができる。上記範囲内に薬剤のpHを制御するためには、例えば上記pH調整剤を薬剤に添加することによって行うことができる。
本発明では、上記した環状メルカプト化合物を含んでいるので、皮膚への刺激が少ない中性から弱酸性のpH領域において、毛髪のパーマネントウエーブ加工性能に優れている。
本発明では、毛髪処理剤として所望の配合比となるように予め調整した薬剤組成物を使用しても良いし、使用する直前に各薬剤を混合する用事調整で使用しても良い。用事調整の場合には、上記式(i)と(ii)の化合物と香料を薬剤組成物に、前記した希釈剤・溶剤、
界面活性剤や、後述する膨潤剤や浸透促進剤などの各種配合剤を混合した溶液を混合、溶解する方式でも良く、あらかじめ薬剤組成物を希釈剤・溶剤で希釈しておき、各種配合剤と混合・溶解する方式でもよい。また(i)と(ii)にそれぞれ各種配合剤を混合した溶液を
、混合・溶解させてもよい。
[パーマネントウエーブ加工方法]
本発明の毛髪処理剤の使用方法には特に制限するものはないが、例えば、パーマネントウエーブ加工用薬剤として毛髪に対するパーマネントウエーブ処理の方法としては、下記の方法で使用できる。なお、パーマネントウエーブ処理とは、パーマネントウエーブ形成処理、パーマネントウエーブ処理によるウェーブのばし処理および縮毛矯正処理を含めたものをいう。
(1)本発明の環状メルカプト化合物を含む薬液を毛髪に湿潤し、毛髪に型付けをするためのロッドで巻き込む。
なお、縮毛矯正の際には、ロッドを使用しない。また、水巻などで毛髪を固定してからケラチン還元液を湿潤しても良い。
(2)薬液を湿潤後に室温にて放置する。その際、30℃から40℃程度の温度に加温することが好ましい。
(3)酸化剤を含有する組成物によって環状メルカプト化合物を酸化し、毛髪を固定する。
(4)固定した毛髪からロッドを取り外し、毛髪を洗浄、シャンプー処理をし、乾燥する。
なお、(3)で使用する酸化剤としては、一般的に使用される臭素酸ナトリウムの3〜8質量%程度の水溶液や過酸化水素、過ホウ酸ナトリウムなどの希釈液が使用できる。
本発明によれば、上記したパーマネントウエーブ加工用薬剤を使用しているので、皮膚に対する影響も少く、感作性も弱く、さらにはウェーブ効率にも優れているとともに、不
快臭が改善されているので、作業性にも富んでいる。
なお、本発明の環状メルカプト化合物を含む毛髪処理剤を第1液、酸化剤を含有する組成物を第2液とよぶこともある。
[実施例]
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[合成例1]
2−メルカプト−4−ブチロラクトンの製造
70%水硫化ナトリウム(49g、0.6mmol、純正化学株式会社製)をメチルアルコール(500g、純正化学社製、特級)と精製水(蒸留後にイオン交換フィルターを通した水、500g)に溶解した。溶解した液を撹拌しながら氷冷下にて10℃以下まで冷却した。冷却した溶液に、2−ブロモ−4−ブチロラクトン(100g、0.6mol、東京化成株式会社製)を約30分かけて滴下した。滴下完了後の液を10分間撹拌した後に、反応液を減圧下で約半量となるまで濃縮した。濃縮した液に、酢酸エチル(500mL、純正化学社製、特級)を加えて抽出した。得られた水相を酢酸エチル(500mL)で再抽出した。これらの抽出した有機相を合わせて、減圧下に濃縮、蒸留精製することで2−メルカプト−4−ブチロラクトン(23g、bp.94℃/0.3kPa、収率32%)を得た。
[合成例2]
2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトンの製造
2−ブロモ−4−メチル−4−ブチロラクトン(97g、0.5mol、アルドリッチ社)を使用した以外は、合成例1に従って2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン(18g、bp.73℃/0.4kPa、収率25%)を合成した。
[合成例3]
2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンの製造
(1)2−ブロモ−4−ブチロチオラクトンの製造
4−ブチロチオラクトン(10g、0.098mol、アルドリッチ社)を酢酸エチル(90g、純正化学株式会社製)に溶解し、63℃に加温した。臭素(18g、0.11mol、純正化学株式会社製)を滴下ロートより15分で滴下した。滴下完了後、反応液を24時間、63℃で撹拌した。
反応後の反応液を室温まで冷却後、水(50g)を少しずつ加えて10分間撹拌した。更に、酢酸エチルを100g加えて抽出した。
有機相の分離により得られる水相を酢酸エチル(100mL)で再抽出した。これらの抽出した有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウム(純正化学株式会社製)にて乾燥後、硫酸ナトリウムをろ過除去した有機相を減圧下に濃縮・蒸留することで、2−ブロモ−4−ブチロチオラクトン(7g、bp.62℃/0.2kPa、収率37%)を得た。
(2)2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンの製造
上記2−ブロモ−4−ブチロチオラクトン(7g、0.037mol)を使用して、合成例1に準じて反応した。反応後の液を蒸留精製し、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン(2.2g、bp.62℃/0.2kPa、収率45%)を合成した。
[実施例1〜3][比較例1〜2]
2-メルカプト-4-ブチロラクトンを含有する下記パーマネントウエーブ用第1液、お
よび下記パーマネントウエーブ用第2液を用いて、パーマネントウエーブ処理を行い、ウェーブ効率を求めた。
パーマネントウエーブ用第1液の調製
100mLのポリエチレン製容器に表1に従いプロピレングリコール、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、2−メルカプト−4−ブチロラクトン、システアミン塩酸塩、精製水(蒸留後にイオン交換フ
ィルターを通した水)50gを加えてよく混合し、モノエタノールアミンと精製水を徐々に加えてpH6に調整しながら100gにしてパーマネントウエーブ用第1液とした。こ
のようにして得られた薬剤中の2-メルカプト-4-ブチロラクトンとシステアミン塩酸塩
の含有量は、チオグリコール酸還元力換算で2%に相当する。(なお、比較例1,3,5,7,9,11,12はシステアミン塩酸塩を含まない。また比較例2,4,6,8,10,13,14は式(1)の環状メルカプト化合物を含まない)
パーマネントウエーブ用第2液の調製
臭素酸ナトリウム5g、および精製水95%を混合してパーマネントウエーブ用第2液を得た。
パーマネントウエーブ処理
ウェーブ効率は、フレグランスジャーナル臨時増刊(1984年、No.5、442ページ)記載の方法に従い、キルビー法により評価した。
まず、中国人毛髪(長さ約20cm)をキルビーの器具に固定した。40℃に加温した下記のパーマネントウエーブ用第1液に固定した毛髪を20分間浸した。その処理後に第1液から取り出した毛髪から液が滴らない程度に軽く拭き取りとった。この毛髪を臭素酸塩からなる上記パーマネントウエーブ用第2液を湿潤させて、25℃下、10分間放置した。第2液による上記処理が完了した後に、流水を用いて毛髪を洗浄し、キルビーの器具から毛髪を外した後、毛髪を乾燥した。このようにして得られた乾燥毛髪の採寸を行い、下記ウェーブ効率計算式によりウェーブ効率を算出した。
ウェーブ効率(%)=100−[100×(B−A)]÷(C−A)
A:キルビー器具の1番目と6番目の棒の間隔(棒の中心点を実測)
B:カールした毛髪の6山の長さ
C:カールした毛髪を直線に伸ばした時の6山分の長さ
A、B、Cのいずれも単位はcm
結果を表1に示す。
Figure 0004519692
[実施例4〜6][比較例3〜4]
表2に従い、pH7.5に調整した以外は実施例1と同様にしてパーマネントウエーブ
処理を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004519692
[実施例7〜9][比較例5〜6]
表3に従い、パーマネントウエーブ用第1液中の2-メルカプト-4-ブチロラクトンと
システアミン塩酸塩の含有量をチオグリコール酸還元力換算で6%相当、pH5に調整し
た以外は実施例1と同様にしてパーマネントウエーブ処理を行った。結果を表3に示す。
Figure 0004519692
[実施例10〜12][比較例7〜8]
表4に従い、2-メルカプト-4-ブチロラクトンの代わりに2-メルカプト-4-メチル-
4-ブチロラクトンを使用し、pH5.5に調整した以外は実施例1と同様にしてパーマネントウエーブ処理を行った。パーマネントウエーブ用第1液中の2-メルカプト-4-メチ
ル-4-ブチロラクトンとシステアミン塩酸塩の含有量は、チオグリコール酸還元力換算で2%に相当する。結果を表4に示す。
Figure 0004519692
[実施例13〜15][比較例9〜10]
表5に従い、2-メルカプト-4-ブチロラクトンの代わりに2-メルカプト-4-ブチロチ
オラクトンを使用し、pH5.5に調整した以外は実施例1と同様にしてパーマネントウ
エーブ処理を行った。パーマネントウエーブ用第1液中の2-メルカプト-4-ブチロチオ
ラクトンとシステアミン塩酸塩の含有量は、チオグリコール酸還元力換算で2%に相当する。結果を表5に示す。
Figure 0004519692
[実施例16][比較例11〜14]
表6に従い、2-メルカプト-4-ブチロラクトンの代わりに2-メルカプト-4-メチル-
4-ブチロラクトン、システアミン塩酸塩の代わりにチオグリコール酸アンモニウムを使
用し、pH7に調整した以外は実施例1と同様にしてパーマネントウエーブ処理を行った
。パーマネントウエーブ用第1液中の2-メルカプト-4-メチル-4-ブチロラクトンとチ
オグリコール酸アンモニウムの含有量は、チオグリコール酸還元力換算で2%に相当する。結果を表6に示す。
Figure 0004519692
図1は(i)および(ii)の化合物を、単独で用いたときに、pHによるウェーブ効率の変化を示すグラフである

Claims (11)

  1. (i)下記式(1)で示される化合物の少なくとも1種と、
    Figure 0004519692
    (Xは−O−、−S−、−NH−、−NR1−のいずれかの構造を示す。R1は炭素数1〜6のアルキル基を示す。R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。Yは酸素原子または硫黄原子を示す。Rはメルカプト基を有していてもよいアルキレン基を示す。)
    (ii)チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、システアミン、およびそれらの塩またはエステル誘導体またはアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有することを特徴とする毛髪処理剤。
  2. (ii)の化合物の含量が、(i)と(ii)の化合物の合計量に対し(ii)/(i+ii)が、0.01〜50質量%であること特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
  3. 毛髪処理剤のpHが3〜8の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の毛髪処理剤。
  4. (ii)の化合物がシステアミン、その塩、または、そのエステル誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪処理剤。
  5. 式(1)のXが、「−O−」、「−NH−」、「−NCH3−」または「−S−」であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪処理剤。
  6. 式(1)のYが、酸素原子であることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の毛髪処理剤。
  7. 式(1)のRが、一つ以上のメルカプト基を有するアルキレン基であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の毛髪処理剤。
  8. 式(1)で示される化合物が、
    2−メルカプト−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトンおよび2-メルカプト-6-ヘキサノラクタムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の毛髪処理剤。
  9. 上記(i)および(ii)の化合物の含有量(合計量)が、還元物質の含有率(チオグリコール酸として)で、0.2〜30%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の毛髪処理剤。
  10. 毛髪処理剤がパーマネントウエーブ加工用薬剤である請求項1〜のいずれかに記載の毛髪処理剤。
  11. 請求項10に記載の毛髪処理剤を用いることを特徴とする毛髪のパーマネントウエーブ加工方法。
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