JP4536562B2 - 乳化した毛髪処理用薬剤 - Google Patents

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Description

本発明は、乳化した毛髪処理用薬剤、特にパーマネントウエーブ加工用薬剤に好適な毛髪処理用薬剤ならびにこれを用いる毛髪のパーマネントウエーブ加工方法に関する。
パーマネントウエーブは2つの工程により形成されることが知られている。即ち、還元剤の作用により毛髪のシスチン(ジスルフィド)結合を還元切断する工程と、その後の酸化剤を使用した中和または固定工程であり、この後者の工程によりシスチン(ジスルフィド)結合が復元する。
従来、毛髪のパーマネント加工で使用される化合物は、チオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン、およびこれらの塩類などの一般にケラチン還元物質ともいわれる化合物が使用されてきた。これらの従来のケラチン還元物質ともいわれる化合物は、毛髪のパーマネント加工用としてアルカリ性条件下で実用的な性能を有するため、多くのパーマ液はpH9.5程度のアルカリ性に調整されている。しかし、アルカリ性に調整されたパーマ液は、毛髪や頭皮の損傷を引き起こすことが知られており、これら不都合を解決するために中性から弱酸性のpH領域(pH:3〜7.5、25℃)で使用可能なケラチン還元物質の開発が進められている。
例えば、このようなpH領域で使用されるケラチン還元物質として、チオグリコール酸のモノグリセロールエステルの使用が検討されている(例えば、特許文献1)。また、チオグリコール酸エステルでみられる皮膚障害を解決する目的でメルカプトグリコール酸アミド誘導体およびメルカプト乳酸アミド誘導体の使用も検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3)。さらには、弱酸性で効果を発揮するとされるシステアミンの使用も検討されている。(例えば、特許文献4)
特開平08−291031号公報 特表2000−507272号公報 特表2003−528901号公報 特開平03−271214号公報
しかしながら、特許文献1に提案されたチオグリコール酸モノグリセロールエステルは液状であり、取り扱い性、臭気に関しては優れているが、その構造中の水酸基に由来すると推定される感作性の報告もあり実用には至っていない。
特許文献2に提案されたメルカプトカルボン酸アミドには、皮膚刺激性があることは既に知られており、また特許文献3に提案されたメルカプトカルボン酸アミド誘導体でも同様の感作性が懸念され、更には精製不足や保存中に遊離する原料アミンによる感作性、皮膚刺激性なども懸念されるという問題がある。
特許文献4に提案されたシステアミンは、弱酸性〜酸性でのウエーブ性能は十分ではなく、更には、パーマ処置後の頭髪が独特の臭気を有するなど課題が多い。
このように従来より提案されていたケラチン還元物質では、必ずしも所望のパーマネントウエーブ加工用薬剤は得られていないのが現状であった。
かかる問題を解決するものとして、本出願人は既に、式(1)等で示される環状メルカ
プト化合物をケラチン還元性物質として含むパーマネントウエーブ加工用薬剤を提案した。このパーマネントウエーブ加工用薬剤によれば、毛髪や皮膚への刺激が少ない中性から弱酸性のpH領域において、既知の化合物よりも高いウエーブ性能を有し、毛髪や皮膚に与える刺激を軽減しつつ毛髪に確実にウエーブ加工を施すことができる。
しかしながら、該環状メルカプト化合物の水溶液中での安定性は充分とはいえず、改善の余地があった。すなわち、この特定の環状メルカプト化合物は、水溶液中では経時的に分解してしまうため、パーマネントウエーブ加工用薬剤が水を含む場合には、薬剤中の環状メルカプト化合物濃度が経時的に減少する上、分解に伴い着色や沈殿などが生じて外観を損ない商品価値を低下させるという問題点がある。
このため、本発明は、水を含む薬剤中での上記環状メルカプト化合物の安定性を向上させ、薬剤中の環状メルカプト化合物濃度の経時的な減少、薬剤の着色や沈殿発生などを防止し、長期にわたって安定な性能と優れた外観とを有する毛髪処理用薬剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の環状メルカプト化合物と界面活性剤と水とを含有してなり、乳化した毛髪処理用薬剤によれば、薬剤中の該環状メルカプト化合物の安定性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、たとえば、以下の(1)〜(15)の事項を含む。
(1)下記式(1)で示される化合物と界面活性剤と水とを含有し、乳化していることを特徴とする毛髪処理用薬剤;
Figure 0004536562
(Xは−O−、−S−、−NH−、−NR1−のいずれかの構造を示す。R1は炭素数1〜6のアルキル基を示す。R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。Yは酸素原子または硫黄原子を示す。Rはメルカプト基を有してもよいアルキレン基を示す。)。
(2)前記式(1)のXが、−O−、−NH−、−NCH3−または−S−であること
を特徴とする上記(1)に記載の毛髪処理用薬剤。
(3)前記式(1)のYが、酸素原子であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の毛髪処理用薬剤。
(4)前記式(1)のRが、一つ以上のメルカプト基を有するアルキレン基であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のパーマネントウエーブ加工用薬剤。
(5)前記式(1)で示される化合物が、2−メルカプト−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトンおよび2−メルカプト−6−ヘキサノラクタムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)に記載の毛髪処理用薬剤。
(6)前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、バイオサーファクタントからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤。
(7)前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン付加モル数10〜100の、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(6)に記載の毛髪処理用薬剤。
(8)前記非イオン性界面活性剤が、シリコーン系非イオン性界面活性剤であることを特徴とする上記(6)に記載の毛髪処理用薬剤。
(9)前記バイオサーファクタントが、リポペプチド構造を有することを特徴とする上記(6)に記載の毛髪処理用薬剤。
(10)前記式(1)で示される化合物が、還元物質の含有率(チオグリコール酸として)で、0.2〜30%の量で含まれていることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤。
11)前記界面活性剤が、0.1〜10質量%の量で含まれていることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤。
12)薬剤のpHが4.0〜7.5であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤。
13)パーマネントウエーブ加工用薬剤であることを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載の毛髪処理剤。
14)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤をパーマネントウエーブ加工用薬剤として用いることを特徴とする毛髪のパーマネントウエーブ加工方法。
本発明の毛髪処理用薬剤によれば、水の存在下であっても、特定の環状メルカプト化合物の薬剤中での安定性を向上させ、薬剤中の環状メルカプト化合物濃度の経時的な減少、薬剤の着色や沈殿発生などを防止し、長期にわたって安定な性能と優れた外観とを維持することができる。
すなわち、本発明の毛髪処理用薬剤をパーマネントウエーブ加工用薬剤として用いた場合には、中性から弱酸性のpH領域における優れたパーマネント加工性能を長期保存後も変わらずに発揮することができる上、変色や沈殿発生などの外観不良を抑え、商品価値をより一層高めることができる。
したがって、本発明の毛髪処理用薬剤はパーマネントウエーブ加工用薬剤として好適であり、毛髪のパーマネント加工に極めて有用である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の毛髪処理用薬剤は下記式(1)で示される化合物と界面活性剤と水とを含有し、乳化していることを特徴としている。
環状メルカプト化合物
本発明の毛髪処理用薬剤には、少なくとも下記式(1)で示される環状メルカプト化合物が含まれている。
Figure 0004536562
上記式(1)中、Xは−O−、−S−、−NH−、−NR1−のいずれかの構造を示し、R1は炭素数1〜6のアルキル基を示す。R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。Yは酸素原子または硫黄原子を示す。Rはメルカプト基を有してもよいアルキレン基を示す。
1としては、メチル基、エチル基が毛髪への浸透性向上の点で望ましい。さらに好ま
しくは、R1がメチル基である。
Xとしては、−O−、−NH−、−NCH3−または−S−であることが、水溶液とし
て使用されることの多い毛髪処理用薬剤の調製の際に水溶液への溶解度が比較的高く、液調製の点で好ましい。
式(1)において、Yは酸素原子または硫黄原子を示すが、酸素原子が工業的な原料入手や取り扱い性の点でより好ましい。
また、R2としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基などが例示され、な
かでも水素原子、メチル基、エチル基が好適である。
Rはメルカプト基(−SH)を有してもよいアルキレン基を示す。アルキレン基としては、主鎖の炭素数が2〜6のアルキレン基が好ましい。また、分岐および/または側鎖を有していてもよい。側鎖としては、アルキル基、アルケニル基などが挙げられる。
また、Rがメルカプト基を有する場合、当該メルカプト基は1つであっても複数個であっても良いが、1個または2個が好ましい。とくにアルキレン基にメルカプト基が結合しているものが好ましい。また、アルキレン基へメルカプト基が結合する位置に特に制限はない。メルカプト基は直接アルキレン基に結合していても、さらにアルキレン基などを介していてもよい(例えばメルカプトエチル基)。
中でも、好ましいRとしては、工業的入手のしやすさの点でエチレン基、プロピレン基が挙げられる。
式(1)で示される化合物の具体例としては、2−メルカプト−3−プロピオラクトン、2−メルカプト−2−メチル−3−プロピオラクトン、2−メルカプト−3−メチル−
3−プロピオラクトン、2−メルカプト−3−エチル−3−プロピオラクトン、2−メルカプト−2,3−ジメチル−3−プロピオラクトン、2−メルカプト−3−プロピオラクタム、2−メルカプト−2−メチル−3−プロピオラクタム、2−メルカプト−3−メチル−3−プロピオラクタム、2−メルカプト−3−エチル−3−プロピオラクタム、2−メルカプト−2,3−ジメチル−3−プロピオラクタム、2−メルカプト−3−プロピオチオラクトン、2−メルカプト−2−メチル−3−プロピオチオラクトン、2−メルカプト−3−メチル−3−プロピオチオラクトン、2−メルカプト−3−エチル−3−プロピオチオラクトン、2−メルカプト−2,3−ジメチル−3−プロピオチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−2−メチル−4,4−ジメチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−3−(2−プロペニル)−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−2−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−3−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−3,4−ジメチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−2−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−3−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−2−メチル−4−ブチロチオラクトン、
2−メルカプト−3−メチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−3,4−ジメチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−2−エチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−3−エチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−2−メチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−3−メチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−3,4−ジメチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−2−エチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−3−エチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−5−バレロラクトン、2−メルカプト−2−メチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−3−メチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−4−メチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−メチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−2−エチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−3−エチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−エチル−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクタム、2−メルカプト−2−メチル−5−バレロラクタム、
2−メルカプト−3−メチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−4−メチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−5−メチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−2−エチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−3−エチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−4−エチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−5−エチル−5−バレロラクタム、2−メルカプト−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−2−メチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−3−メチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−4−メチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−5−メチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−2−エチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−3−エチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−4−エチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−5−エチル−5−バレロチオラクトン、2−メルカプト−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−2−メチル−6−ヘキサノラクトン、
2−メルカプト−3−メチル−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−4−メチル−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−5−メチル−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−6−メチル−6−ヘキサノラクトン、2−メルカプト−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−2−メチル−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−3−メチル−6−
ヘキサノラクタム、2−メルカプト−4−メチル−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−5−メチル−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−6−メチル−6−ヘキサノラクタム、2−メルカプト−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−2−メチル−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−3−メチル−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−4−メチル−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−5−メチル−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−6−メチル−6−ヘキサノチオラクトン、2−メルカプト−7−ヘプタノラクトン、2−メルカプト−7−ヘプタノチオラクトン、2−メルカプト−7−ヘプタノラクタム、2−メルカプト−8−オクタノラクトン、2−メルカプト−8−オクタノチオラクトン、2−メルカプト−8−オクタノラクタム、2−メルカプト−9−ノナラクトン、2−メルカプト−9−ノナチオラクトン、2−メルカプト−9−ノナラクタム、および、これらラクタム類のN−メチルあるいはN−エチル誘導体などが挙げられる。
これらの中でも、2−メルカプト−4−ブチロラクトン(2−メルカプト−4−ブタノリド)、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクタム、2−メルカプト−6−ヘキサノラクタムが、パーマ性能、毛髪のくせ毛直し、カール伸ばしなどの毛髪矯正性能および工業的な製造の観点で好ましい。
これらの化合物は、既知の方法に準じて製造可能である。例えば、ラクトン化合物、ラクタム化合物をハロゲン化化合物としたのちにメルカプト基を導入することで合成できる。
具体的には、メルカプトラクトン及びメルカプトチオラクトンは、市販のラクトンあるいはチオラクトンを使用して、J.Am.Chem.Soc.1945,.67.2218−2220に記載された方法により合成したハロゲン体、あるいは市販で入手可能なハロゲン体を用いて、さらにAnn.1960,639.146−56に記載された方法に準じて反応させることでラクトン誘導体が合成できる。
メルカプトラクタム類は、J.Am.Chem.Soc.1958.80.6233−6237に記載された方法に準じて合成したハロゲン化合物を用いて、ラクトン類と同様にAnn.1960,639.146−56に記載された方法に準じて反応させることによりラクタム誘導体を合成できる。
このようなメルカプト化合物を、毛髪処理用薬剤の主成分として使用すると、毛髪に影響を与えない低pHで作用するとともに、良好なパーマネントウエーブ効果を発揮し、また、毛髪のくせ毛直し、カール伸ばしなどにも効果を発揮し、皮膚に対する影響も少ない。その理由は明確ではないものの、前記化合物の構造を有することで従来の還元剤よりも親油性が増し、毛髪への浸透性が向上すると共に、複素環を有していることによってメルカプト化合物が酸化されやすく、特に、中性、弱酸性でより酸化されやすく、その結果、従来より使用されていたメルカプト化合物と異なり、アルカリ性にせずとも還元剤として機能を発揮すると思料される。
ただし、このようなメルカプト化合物は、水との共存下では経時によって分解反応が生じやすい。
界面活性剤、水
本発明の毛髪処理用薬剤には、上記環状メルカプト化合物のほかに、界面活性剤および水が含まれている。本発明では、上記環状メルカプト化合物に加えて、界面活性剤を含むため、水の存在下において上記環状メルカプト化合物を乳化した状態で安定に保つことが
できる。
本発明の毛髪処理用薬剤に用いることのできる界面活性剤としては、水の存在下で上記環状メルカプト化合物を充分に乳化できるものであればよく、とくに限定されないが、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、バイオサーファクタントからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(4.2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5,5)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(2)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(4)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(10)アルキルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;
ポリオキシエチレン(16)ノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;
ポリオキシエチレン(7)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(50)オレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルケニルエーテル;
ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;
ポリオキシエチレン(5)ラノリンアルコール、ポリオキシエチレン(10)ラノリンアルコール、ポリオキシエチレン(20)ラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンアルキルアルコール;
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルグリコール;
モノオレイン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリルなどのポリオキシエチレングリセリル;
ポリオキシエチレン(3)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン化ヒ
マシ油;
モノラウリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビット、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(10〜80)ソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(150)ソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビットなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;
モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;
多価アルコール脂肪酸部分エステル;ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル;ポリオキシエチレン脂肪酸モノ(ジ)エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;
ポリオキシエチレン(5)オレイン酸アミドなどのポリオキシエチレン脂肪酸アミド;脂肪酸ジエタノールアミド;ポリオキシエチレンアルキルアミン;トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル;トリアルキルアミンオキサイド;
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(ジメチコンコポリオール)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)などのシリコーン系非イオン性界面活性剤が挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのうち、乳化作用の強さと、取り扱いの容易さの点からは、ポリオキシエチレン付加モル数10〜100の、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられる。また、毛髪への滑り、帯電防止効果の付与を期待できる点からは、シリコーン系非イオン性界面活性剤も好ましく用いられる。該シリコーン系非イオン性界面活性剤は、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルなどとして知られるものであるが、非イオン性界面活性剤としての挙動を示すため、本明細書中では界面活性剤として分類する。市販品としては、たとえば、SH3771M(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、SM8704C(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)などが挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、
塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリル酸−アクリルアミド3元共重合体、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベ
ンゼトニウム、ラノリン誘導第4級アンモニウム、アミドアミン類、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、特開2004-176070
号公報に記載されたシリコーン系陽イオン性界面活性剤(分子中に第4級アンモニウム基を有するシランまたはシロキサン)などが挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルメチルカルボン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルキルスルホン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン
縮合物;スルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸エステル塩;ジソジウムアルキルアミドエチルスルホコハク酸エステル;α−スルホン化脂肪族アルキルエステル塩;ソジウムアルキルイセチネート;石油スルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ラウリルエーテル硫酸アンモニウムなどのアルキルエーテル硫酸塩;硫酸化油脂;ポリオキシエチレン(2,5)ラウリル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキル硫酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩;アルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩;ナトリウムN−メチル−N−オレイルタウリンなどのN−アシル−N−メチルタウリン塩などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N-トリメチル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、ラウリルジメ
チルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのカルボキシベタイン類;
N-アシルアミドプロピル-N',N'-ジメチル-N'-β-ヒドロキシプロピレンアンモニオスルホベタインなどのスルホベタイン類;
N,N-ジアルキル-N,N-ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニオベタイン;
2-アルキル-1-ヒドロキシエチル-1-カルボキシメチルイミダゾリウニウムベタインなどのイミダゾリニウムベタイン類;
N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン・ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
高分子界面活性剤としては、アクリル酸・メタアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
バイオサーファクタントとしては、レシチン、水添レシチン、サポニン、サーファクチン類および/またはその塩などが挙げられる。ここで、バイオサーファクタントとは、原
核生物がその生命活動の中で合成する界面活性剤様の性質を有する物質を意味する。このうち、サーファクチン類とは、下記式(2)で示されるリポペプチド構造を有する化合物および/またはその類縁化合物、あるいはこれらの化合物を2種以上含有する組成物であ
る。
Figure 0004536562
上記式(2)において、Xは、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、セリン、アラニン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リ
ジン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン及びホモセリンからなる群から選ばれるアミノ酸残基を表す。これらのうち、好ましいXはロイシン、イソロイシンまたはバリンである。
Rは、炭素原子数8〜14のノルマルアルキル基、炭素原子数8〜14のイソアルキル基または炭素原子数8〜14のアンテイソアルキル基である。ノルマルアルキル基は直鎖アルキル基、イソアルキル基は通常(CH32CH−(CH2n−からなる基であり、アンテイソアルキル基は通常CH3−CH2−CH(CH3)−(CH2n−からなる基であ
る。
前記類縁化合物とは、式(2)のアミノ酸の一部が他のアミノ酸に置き換わったものをいう。具体的には2番目のL−ロイシン、4番目のL−バリン、6番目のD−ロイシン等が他のアミノ酸に置き換わったものが挙げられるが、これらに限定されない。
サーファクチン類は、通常は原核生物により生産されるが、他の製法、たとえば化学合成法によって得られるものも同様に使用することができる。原核生物としては、一般にバチルスズブチリス(Bacillus subtilis)IAM 1213株、IAM 1069株、IAM 1259株、IAM 1260株、IFO 3035株、ATCC 21332株等のバチルス属微生物が用いられる。
サーファクチン類の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、リジン、アルギニン、コリンなどの有機塩を挙げることができる。これらのうち、サーファクチン類のナトリウム塩としては、サーファクチンナトリウムとして昭和電工株式会社からアミノフェクト(R)(昭和電工株式会社登録商標)の商品名で販売されているものを使用することができる。
本発明の毛髪処理用薬剤に用いることのできる水としては、とくに限定されないが、イオン交換水、蒸留水、精製水などの精製工程を経たものが好ましい。
毛髪処理用薬剤
本発明の毛髪処理用薬剤は、少なくとも上記式(1)で示される環状メルカプト化合物、界面活性剤、および水を含み、かつ乳化している。
この毛髪処理用薬剤としては、パーマネントウエーブ加工用薬剤、毛髪矯正剤などが好ましく挙げられる。毛髪矯正剤は、主として、毛髪のくせ毛直し、カール伸ばし、いわゆる寝ぐせの改善のほか、カール形成などにも好適に使用される薬剤であり、パーマネントウエーブ用加工用薬剤で一般に行われる臭素酸塩や過酸化水素による酸化処理を必要としない。
上記毛髪矯正剤は、用途には特に制限はなく、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアウオーター、ヘアワックス、ヘアムース、頭髪用ジェルなどとして用いられる。これらの中では、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアウオーター、またはヘアムースからなる群より選ばれるいずれかの毛髪化粧料として好ましく用いられる。
本発明の毛髪処理用薬剤をパーマネントウエーブ加工用薬剤として使用する場合、上記式(1)で表される環状メルカプト化合物が還元物質の含有率(チオグリコール酸として)で、好ましくは0.2〜30%、より好ましくは1〜15%となる量で含有されている。環状メルカプト化合物の含有率がこの範囲にあれば、毛髪や皮膚へのダメージがなく、
ウエーブ効率を高く保持することができる。
還元物質の含有率が0.2%未満では、パーマネントウエーブ加工用薬剤としての性能が全くでない場合がある。一方、30%を越えると、モンゴロイド系人種の場合には、毛髪の極端な縮毛、キューティクルの部分剥離が促進されることで毛髪ダメージが大きくなることがある。
なお、還元物質の含有率(チオグリコール酸として)とは、チオグリコール酸還元力換算とも言い、医薬部外品に関するパーマネントウエーブ用剤品質規格で施術ごとに定められたケラチン還元性物質濃度の表記法であり、下記の方法(I)〜(III)に準じて測定
された濃度である。
(I)試料10mLを100mLのメスフラスコに取り、化粧品原料基準に適合する精製水(以下、単に「水」と記載する。)を加えて全量を100mLとし、これを試験溶液とする。
(II)試験溶液20mLを正確に取り、水50mLおよび30%硫酸5mLを加え、穏やかに加熱し、5分間煮沸する。冷却後、0.1Nヨウ素液で滴定し、その消費量をAmLとする(指示薬:デンプン試液 3mL)。
(III)得られた滴定結果を下式によりチオグリコール酸換算の含有率として算出する

還元物質の含有率(チオグリコール酸として)(%)=0.4606×A
なお、化粧品分類のパーマネントウエーブ用剤(カーリング剤)は、パーマネントウエーブ工業会で自主規制値を設定しており、同様の測定方法により使用量が規定されている。
また、本発明の毛髪処理用薬剤を毛髪矯正剤として使用する場合、上記式(1)で表される環状メルカプト化合物は通常0.01〜15質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%の量で含有される。上記環状メルカプト化合物の含有量がこの範囲にあれば、期待される毛髪矯正効果を充分に発揮することができる。
その一方、環状メルカプト化合物の含有量が上記下限値未満では毛髪矯正効果がほとんど発揮されない場合があり、上記上限値を超えると臭気が強くなるので実用的でない場合がある。このように毛髪矯正剤として使用した場合は、毛髪への塗布後、櫛による整髪あるいは洗髪までの比較的短い時間で、くせ毛やカールの矯正ができ、さらに、毛髪のソフト感が向上する。その理由は、定かではないが、上記式(1)で示される環状メルカプト化合物を使用することによって、剤の親油性が増し、毛髪への浸透性が向上するために短時間で効果が現れると推定され、さらには、後述のように弱酸性から中性領域で使用されるために毛髪の損傷などがなくソフト感が得られるものと考えられる。
さらに本発明の毛髪処理用薬剤には、前記界面活性剤が、好ましくは0.02〜15質量%、より好ましくは0.1〜10質量%の量で含まれている。このような量で界面活性剤を配合することにより、上記環状メルカプト化合物を、水の存在下においても、充分に乳化させることができ、パーマネントウエーブ加工用薬剤、毛髪矯正剤などの毛髪処理用薬剤中での上記環状メルカプト化合物の経時による分解を抑制することができる。また、乳化した薬剤中で、上記環状メルカプト化合物はミセル内の親油性領域に存在するため、環状メルカプト化合物の臭気をマスキングする効果も有する。
本発明の毛髪処理用薬剤を調製する方法は特に限定されず、上記式(1)で示される特
定の環状メルカプト化合物を、上記界面活性剤を用いて、溶剤としての水に乳化させることができればよく、混合手法や混合順序、混合条件などは問わない。
本発明の毛髪処理用薬剤は、上記式(1)で示される環状メルカプト化合物、界面活性剤、および水を含み、乳化している限り、特にその形態に制限はなく、例えば、液状、泡状、ゲル状、クリーム状、ペーストなどの形態で使用可能である。そして、その形態によって液タイプ、スプレータイプ、エアゾールタイプ、クリームタイプ、ゲルタイプ等、種々のタイプの薬剤として使用できる。
さらに、本発明の毛髪処理用薬剤には、毛髪の加工性能を向上させる目的および使用形態に応じて、種々の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、膨潤剤、浸透促進剤、緩衝剤、油剤、増粘剤、毛髪保護剤、湿潤剤、pH調整剤、香料、染料、安定化剤、臭気マスキング剤などを用いることができる。
膨潤剤、浸透促進剤としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、尿素、ベンジルアミン、2−メチルピロリドンなどが挙げられる。
緩衝剤としては、無機緩衝剤のほか、アルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸を含む緩衝剤が挙げられる。
油剤としては、パラフィン、流動パラフィン、ミツロウ、スクワラン、ホホバ油、オリーブ油、エステル油、トリグリセリド、ワセリン、ラノリンなどが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガントガム、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール、カオリン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシル酸、イソステアリン酸などの脂肪酸、ワセリンなどが挙げられる。
毛髪保護成分としては、コラーゲンやケラチンなどの加水分解物およびその誘導体などが挙げられる。
湿潤剤としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ソルビトール、植物抽出エキス、ビタミン類、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩などが挙げられる。
pH調整剤としては、塩酸、リン酸などの無機酸、あるいはリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機酸塩;クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸などの有機酸、あるいはそのナトリウム塩;アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ剤が挙げられる。
安定剤としては、過剰還元防止を目的として、還元化合物のジスルフィド体のほか、ジチオジグリコール酸などがあげられる。
その他の添加剤としては、キレート剤として、エデト酸およびその金属塩、グルタミン酸4酢酸およびその金属塩、アスパラギン酸4酢酸およびその金属塩、プロピルジアミン4酢酸およびその金属塩などが挙げられる。
また、本発明の毛髪処理用薬剤には、本発明の効果を損なわない範囲内の量で、従来から知られているケラチン還元物質、たとえば、亜硫酸塩や亜硫酸水素塩のほか、チオグリコール酸およびそのモノグリセロールエステル、チオ乳酸、システイン、アセチルシステイン、システアミン、アシルシステアミンおよびそれらの塩類を併用してもよい。
本発明の毛髪処理用薬剤をパーマネントウエーブ加工用薬剤と使用する場合、そのpHについては特に制限は無く、pH9程度のアルカリ性で使用しても良いが、好ましくはpH2.5〜8.7、更に好ましくはpH3.5〜8.0、もっとも好ましくはpH4.0〜7.5の範囲で使用することが望ましい。
すなわち、本発明の毛髪処理用薬剤をパーマネントウエーブ加工用薬剤と使用した場合には、パーマネントウエーブ加工用薬剤はアルカリ性であってもパーマネントウエーブ加工効果があるものの、中性、弱酸性になるほどその効果が大きくなる。
薬剤のpHが上記範囲にあると皮膚刺激性も少なく、毛髪や頭皮の損傷を引き起こす原因とならない。また、本発明に係わる薬剤は、pHを上記範囲内として使用してもパーマネント加工の実用的な性能を発揮することができる。なお、上記範囲内に薬剤のpHを制御するには、例えば上記pH調整剤を薬剤に添加するなどすればよい。
本発明では、上記した環状メルカプト化合物を含んでいるので、皮膚への刺激が少ない中性から弱酸性のpH領域において、毛髪のパーマネントウエーブ加工性能に優れている。
また、本発明の毛髪処理用薬剤を該毛髪矯正剤として使用する場合は、アルカリ性側で使用できることは言うまでもないが、従来の毛髪処理剤で使用されているpHよりも低い、弱酸性から中性領域で使用可能であり、むしろ該pH領域でより一層優れた毛髪矯正効果を示す。使用するpHについては特に制限はないが、好ましくはpH2.5〜9.0、更に好ましくはpH3.5〜8.0、特に好ましくはpH4.0〜7.5である。pHが上記範囲にあると皮膚刺激性も少なく、毛髪の損傷などを引き起こす原因となりにくい。
パーマネントウエーブ加工方法
本発明のパーマネントウエーブ加工方法は、上述した毛髪処理用薬剤をパーマネントウエーブ加工用薬剤として使用する限り、その使用方法は特に制限されるものではないが、例えば、毛髪に対するパーマネントウエーブ処理の方法としては、下記(1)〜(4)の工程を有する方法が挙げられる。なお、パーマネントウエーブ処理とは、パーマネントウエーブ形成処理、パーマネントウエーブ処理によるウェーブのばし処理および縮毛矯正処理を含めたものをいう。
(1)パーマネントウエーブ加工用薬剤を毛髪に湿潤し、毛髪に型付けをするためのロッドで巻き込む。なお、縮毛矯正の際には、ロッドを使用しない。また、水巻などで毛髪を固定してからパーマネントウエーブ加工用薬剤を湿潤しても良い。
(2)薬剤を湿潤した後、室温にて放置する。その際、30℃から40℃程度の温度に加温することが好ましい。
(3)酸化剤を含有する組成物によって環状メルカプト化合物を酸化し、毛髪を固定する。
(4)固定した毛髪からロッドを取り外し、毛髪を洗浄、シャンプー処理をし、乾燥する。
なお、(3)で使用する酸化剤としては、一般的に使用される臭素酸ナトリウムの3〜8質量%程度の水溶液や過酸化水素、過ホウ酸ナトリウムなどの希釈液が使用できる。
本発明によれば、上記したパーマネントウエーブ加工用薬剤を使用しているので、皮膚
に対する影響も少なく、感作性も弱く、さらには毛髪のウエーブ効率にも優れている。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
2−メルカプト−4−ブチロラクトンの製造
70%水硫化ナトリウム(49g、0.6mmol、純正化学株式会社製)をメチルアルコール(500g、純正化学社製、特級)と精製水(蒸留後にイオン交換フィルターを通した水、500g)に溶解した。溶解した液を撹拌しながら氷冷下にて10℃以下まで冷却した。冷却した溶液に2−ブロモ−4−ブチロラクトン(100g、0.6mol、東京化成株式会社製)を約30分かけて滴下した。滴下完了後の液を10分間撹拌した後に、反応液を減圧下で約半量となるまで濃縮した。濃縮した液に、酢酸エチル(500mL、純正化学社製、特級)を加えて抽出した。得られた水相を酢酸エチル(500mL)で再抽出した。これらの抽出した有機相を合わせて、減圧下に濃縮、蒸留精製することで2−メルカプト−4−ブチロラクトン(23g、bp.94℃/0.3kPa、収率32%)を得た。
[実施例1〜15]
ガラス製の300mLトールビーカーに精製水(蒸留後にイオン交換フィルターを通した水)85gをはかり取り、プロピレングリコール3g、リン酸二水素一ナトリウム0.2gとリン酸水素二ナトリウムを表1に記載の量で、室温で加えて、撹拌して完全に溶解した。
得られた溶液に表1に記載の界面活性剤を2gずつ加えて概ね均一となるように撹拌した。この溶液をホモミキサーで激しく撹拌しながら、合成例1で合成した2−メルカプト−4−ブチロラクトン2.6gを少しずつ添加した。添加完了後に5分間ホモミキサーで撹拌した。その後に、液重量が100gとなるように精製水を加えた後に、再度ホモミキサーで撹拌してテスト液とした。
得られたテスト液の外観は、無色透明の液体あるいは乳白色〜微黄色の乳液状であった。
このようにして得られたテスト液中の2-メルカプト-4-ブチロラクトンの含有量は、
チオグリコール酸還元力換算で2%に相当する。
このテスト液を調製直後に100mLのフタ付きサンプル瓶に入れて臭いをかぎ、後述する比較例1のテスト液の調製直後の臭気を基準として、臭気の改善具合を以下の評価基準に従い評価した。その後、サンプル瓶のフタを閉め、40℃の恒温槽にて放置した。
放置後10日目にテスト液中の2−メルカプト−4−ブチロラクトンの濃度変化を下記の分析条件のもと、高速液体クロマトグラフィーで分析して、2−メルカプト−4−ブチロラクトンの分解率を算出した。さらに、調製直後のテスト液と比較して、この放置後10日目のテスト液の色調変化を目視により評価した。
これらの結果およびテスト液のpHを表1に示す。
高速液体クロマトグラフィーの分析条件
Column :Shodex RSpak NN-814 (Column Size:8.0mmφ×250mm)
Eluent :0.008mM-KH2PO4 + 0.1%H3PO4
Flow Rate:1.0mL/min
Detector :UV(210nm), RI
Column temp.:40℃
Inj. Vol. :20μL
臭気評価基準
◎;界面活性剤未添加溶液と比べて大幅な臭気低減をしている。
〇;界面活性剤未添加溶液より臭気低減をしている。
△;界面活性剤未添加溶液より僅かに改善。
×;界面活性剤未添加溶液と同等。
[比較例1]
ガラス製の300mLトールビーカーに精製水90gをはかり取り、プロピレングリコール3g、リン酸二水素一ナトリウム0.2gとリン酸水素二ナトリウム0.6gを室温で加えて、撹拌して完全に溶解した。
得られた溶液に合成例1で合成した2−メルカプト−4−ブチロラクトン2.6gをホモミキサーで撹拌しながら少しずつ添加した。添加完了後に5分間ホモミキサーで撹拌した。その後に、液重量が100gとなるように精製水を加えた後に、再度ホモミキサーで撹拌してテスト液とした。
得られたテスト液の外観は、無色透明の溶液であった。
このようにして得られたテスト液中の2-メルカプト-4-ブチロラクトンの含有量は、
チオグリコール酸還元力換算で2%に相当する。
このテスト液を調製直後に100mLのフタ付きサンプル瓶に入れて臭いをかぎ、その臭気を上記臭気評価基準の比較用臭気サンプル(界面活性剤未添加溶液の臭気)とした。その後、サンプル瓶のフタを閉め、40℃の恒温槽にて放置した。
放置後10日目にテスト液中の2−メルカプト−4−ブチロラクトンの濃度変化を上記実施例1〜15と同様の条件で、高速液体クロマトグラフィーで分析して、2−メルカプト−4−ブチロラクトンの分解率を算出した。さらに、調製直後のテスト液と比較して、この放置後10日目のテスト液の色調変化を目視により評価した。
これらの結果およびテスト液のpHを表1に示す。
Figure 0004536562
表1より、実施例1〜15のテスト液は、比較例1のテスト液と比較して、40℃で10日間経過した後でも2−メルカプト−4−ブチロラクトンの分解が抑制され、着色が防止されている上に、臭気も改善されていることが分かる。
[実施例16〜30]
ガラス製の300mLトールビーカーに精製水65gをはかり取り、プロピレングリコール3g、リン酸二水素一ナトリウム0.3gと、リン酸水素二ナトリウムを表2に記載の量で、室温で加えて、撹拌して完全に溶解した。溶液に表2に記載の界面活性剤を4gずつ加えて概ね均一となるように撹拌した。この溶液をホモミキサーで激しく撹拌しながら、合成例1で合成した2−メルカプト−4−ブチロラクトン2.6gを少しずつ添加した。添加完了後に5分間ホモミキサーで撹拌した。その後に、液重量が100gとなるように精製水を加えた後に、再度ホモミキサーで撹拌してテスト液とした。
このようにして得られたテスト液中の2-メルカプト-4-ブチロラクトンの含有量は、
チオグリコール酸還元力換算で12.7%に相当する。
得られたテスト液の外観は、無色透明の液体あるいは乳白色〜微黄色の乳液状であった。
このテスト液を調製直後に100mLのフタ付きサンプル瓶に入れて臭いをかぎ、後述する比較例2のテスト液の調製直後の臭気を基準として、臭気の改善具合を上記評価基準に従い評価した。その後、サンプル瓶のフタを閉め、40℃の恒温槽にて放置した。
放置後10日目にテスト液中の2−メルカプト−4−ブチロラクトンの濃度変化を上記実施例1〜15と同様の条件で、高速液体クロマトグラフィーで分析して、2−メルカプト−4−ブチロラクトンの分解率を算出した。さらに、調製直後のテスト液と比較して、この放置後10日目のテスト液の色調変化を目視により評価した。
これらの結果およびテスト液のpHを表2に示す。
[比較例2]
ガラス製の300mLトールビーカーに精製水70gをはかり取り、プロピレングリコール3g、リン酸二水素一ナトリウム0.3gとリン酸水素二ナトリウム0.8gを室温で加えて、撹拌して完全に溶解した。得られた溶液に合成例1で合成した2−メルカプト−4−ブチロラクトン15gをホモミキサーで撹拌しながら少しずつ添加した。添加完了後に5分間ホモミキサーで撹拌した。その後に、液重量が100gとなるように精製水を加えた後に、再度ホモミキサーで撹拌してテスト液とした。
得られたテスト液の外観は、無色の液状であるが僅かに油状の物質が溶け残っていた。
このようにして得られたテスト液中の2-メルカプト-4-ブチロラクトンの含有量は、
チオグリコール酸還元力換算で12.7%に相当する。
このテスト液を調製直後に100mLのフタ付きサンプル瓶に入れて臭いをかぎ、その臭気を上記臭気評価基準の比較用臭気サンプル(界面活性剤未添加溶液の臭気)とした。その後、サンプル瓶のフタを閉め、40℃の恒温槽にて放置した。
放置後10日目にテスト液中の2−メルカプト−4−ブチロラクトンの濃度変化を上記実施例1〜15と同様の条件で、高速液体クロマトグラフィーで分析して、2−メルカプト−4−ブチロラクトンの分解率を算出した。さらに、調製直後のテスト液と比較して、この放置後10日目のテスト液の色調変化を目視により評価した。
これらの結果およびテスト液のpHを表2に示す。
Figure 0004536562
表2より、2−メルカプト−4−ブチロラクトンの配合量を多くした場合でも、実施例16〜30のテスト液は、比較例2のテスト液と比較して、40℃で10日間経過した後でも2−メルカプト−4−ブチロラクトンの分解が抑制され、着色が防止されている上に、臭気も改善されていることが分かる。
[実施例31〜34]
上記実施例1,6,9,10の分解率テスト後のテスト液をパーマネントウエーブ用第1液として用い、さらに下記パーマネントウエーブ用第2液を用いて、下記の方法でパーマネントウエーブ処理を行いパーマ性能への影響を確認した。
パーマネントウエーブ用第1液
表1に記載の実施例1,6,9,10の分解率テスト後のテスト液をパーマネントウエーブ用第1液として使用した。
パーマネントウエーブ用第2液の調製
臭素酸ナトリウム5g、および精製水95gを混合してパーマネントウエーブ用第2液を得た。
パーマネントウエーブ処理
ウエーブ効率は、フレグランスジャーナル臨時増刊(1984年、No.5、442ページ)記載の方法に従い、キルビー法により評価した。
まず、中国人毛髪(長さ約20cm)をキルビーの器具に固定した。33℃に加温した上記パーマネントウエーブ用第1液に固定した毛髪を20分間浸した。その処理後に第1液から取り出した毛髪から液が滴らない程度に軽く拭き取りとった。
この毛髪に上記パーマネントウエーブ用第2液を湿潤させて、25℃で10分間放置した。第2液による上記処理が完了した後に、流水を用いて毛髪を洗浄し、キルビーの器具から毛髪を外した後、毛髪を乾燥した。このようにして得られた乾燥毛髪の採寸を行い、下記ウエーブ効率計算式によりウエーブ効率を算出した。
ウエーブ効率(%)=100−[100×(B−A)]÷(C−A)
A:キルビー器具の1番目と6番目の棒の間隔(棒の中心点を実測)(mm)
B:カールした毛髪の6山の長さ(mm)
C:カールした毛髪を直線に伸ばした時の6山分の長さ(mm)
このようにして得られたウエーブ効率の結果をX2とした(上記実施例1,6,9,10の分解率テスト後のテスト液を使用)。さらに上記実施例1,6,9,10の調製直後のテスト液を用いたほかは同様にしてこれらのウエーブ効率を求め、その結果をX1とした。
上記X1とX2より、以下の式を用いてウエーブ効率の低下率を算出した。算出した結果を表3に示す。
ウエーブ効率の低下率(%)=[(X1−X2)/X1]×100
[比較例3]
比較例1で用いた分解率テスト後のテスト液をパーマネントウエーブ用第1液として使用したほかは、実施例31〜34と同様にしてパーマネントウエーブ処理を行い、ウエーブ効率X2を算出した。さらに上記比較例1の調製直後のテスト液を用いたほかは同様にしてウエーブ効率を求め、その結果をX1とした。
これらX1およびX2を使用して、実施例31〜34と同様にしてウエーブ効率の低下率を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 0004536562
表3より、実施例31〜34のテスト液によれば、経時後も2−メルカプト−4−ブチロラクトンの分解が抑えられているため、調製直後のテスト液と比較した場合でも毛髪に対するウエーブ効率の低下率が低いことが分かる。したがって、これらのテスト液は、比較例3のテスト液と比較して、パーマネントウエーブ加工薬剤としてより長く使用可能である。

Claims (14)

  1. 下記式(1)で示される化合物と界面活性剤と水とを含有し、乳化していることを特徴とする毛髪処理用薬剤;
    Figure 0004536562
    (Xは−O−、−S−、−NH−、−NR1−のいずれかの構造を示す。R1は炭素数1〜6のアルキル基を示す。R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。Yは酸
    素原子または硫黄原子を示す。Rはメルカプト基を有してもよいアルキレン基を示す。)。
  2. 前記式(1)のXが、−O−、−NH−、−NCH3−または−S−であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理用薬剤。
  3. 前記式(1)のYが、酸素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載の毛髪処理用薬剤。
  4. 前記式(1)のRが、一つ以上のメルカプト基を有するアルキレン基であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤。
  5. 前記式(1)で示される化合物が、2−メルカプト−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトンおよび2−メルカプト−6−ヘキサノラクタムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理用薬剤。
  6. 前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、バイオサーファクタントからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤。
  7. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン付加モル数10〜100の、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の毛髪処理用薬剤。
  8. 前記非イオン性界面活性剤が、シリコーン系非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項に記載の毛髪処理用薬剤。
  9. 前記バイオサーファクタントが、リポペプチド構造を有することを特徴とする請求項に記載の毛髪処理用薬剤。
  10. 前記式(1)で示される化合物が、還元物質の含有率(チオグリコール酸として)で、0.2〜30%の量で含まれていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤。
  11. 前記界面活性剤が、0.1〜10質量%の量で含まれていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤。
  12. 薬剤のpHが4.0〜7.5であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤。
  13. パーマネントウエーブ加工用薬剤であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の毛髪処理用薬剤をパーマネントウエーブ加工用薬剤として用いることを特徴とする毛髪のパーマネントウエーブ加工方法。
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