JP2009126816A - メルカプト化合物を含有する毛髪処理剤 - Google Patents
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Description
特許文献1に提案されたメルカプトカルボン酸アミドには、皮膚刺激性があることは既に知られており、また特許文献2に提案されたシステアミンは、パーマ処置後の頭髪が独特の臭気を有するという問題がある。
すなわち、本発明は、特に皮膚への刺激が少ない中性から弱酸性のpH領域においても、毛髪のパーマネントウエーブ加工またはくせ毛直しなどの処理が可能であるとともに、処理後の頭髪に残存する臭気を低減した毛髪用処理剤を提供することを目的としている。
して含有する毛髪処理剤により、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]下記式(1)で示される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする毛髪処理剤;
[3]前記式(1)のR1およびR2が水素原子であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の毛髪処理剤。
[5]前記式(1)で示される化合物が、ビス(2−メルカプトエチル)エーテルであることを特徴とする上記[1]に記載の毛髪処理剤。
[8]パーマネントウエーブ加工用薬剤であることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の毛髪処理剤。
なお、本明細書において「毛髪処理剤」とは、一般に、毛髪のウエーブを形成する、またはウエーブを伸ばすパーマネントウエーブ加工用薬剤と称するもの、あるいは毛髪のウエーブを矯正する毛髪矯正剤と称するもののほか、毛髪矯正剤として使用されるヘアウオーター、ヘアワックス、ヘアムースおよび頭髪用ジェル、ヘアケア剤として使用されるシャンプー、リンス、コンディショナーおよびトリートメントなど、毛髪に適用されるすべての処理剤を含む広義の意味である。
<メルカプト化合物>
本発明の毛髪処理剤には、下記式(1)で示されるメルカプト化合物の少なくとも1種が含まれている。
であるのが好ましい。
率がよく、水溶液として使用されるパーマ液への溶解度も比較的高く、液調製の点で好ましい。
これらの化合物は、既知の方法に準じて製造可能である。例えば、市販のハロゲン化物のハロゲン原子をメルカプト基で置換することで合成できる。具体的には、市販のハロゲン化合物と水硫化ナトリウムとを反応させることにより、式(1)で示される化合物を得ることができる。
本発明の毛髪処理剤は、上記式(1)で示されるメルカプト化合物を溶剤に溶解、分散、乳化、懸濁させて使用することが望ましい。溶剤としては、水が好ましい。
本発明の毛髪処理剤に用いることのできる水としては、特に限定されないが、イオン交換水、蒸留水、精製水などの精製工程を経たものが好ましい。
本発明の毛髪処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲内で、従来から使用されているケラチン還元物質を併用してもよい。該ケラチン還元物質としては、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、アセチルシステイン、システアミン、アシルシステアミン、ジチオグリコールおよびそれらの塩類、または亜硫酸塩などが挙げられる。これらを併用する場合、該ケラチン還元物質の量は、上記式(1)示されるメルカプト化合物との合計量に対し、0.01〜50.0(質量%)程度であるのが望ましい。
ってもよく、また、シリコン系界面活性剤であっても、バイオサーファクタントであってもよい。
塩、ジアルキルスルホコハク酸モノジウム塩、ジソジウムアルキルアミドエチルスルホコハク酸エステル、α-スルフォン化脂肪族アルキルエステル塩、ナトリウムN-メチル-N-オレイルタウリン、ソジウムアルキルイセチネート、石油スルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルメチルカルボン酸塩、ナフタリンスルフォン酸塩ホルマリン縮合物などが例示される。
ルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N-ジアルキルモルフォリニウム塩、
ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の塩、ポリエチレンポリアミン脂肪アミドの尿素縮合物の第4級アンモニウム塩などのハロゲン化物、オキソ酸塩、脂肪酸塩などが例示される。
ピレンアンモニオスルホベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニオベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリウニウムベタインなどが例示される。
バイオサーファクタントとしては、サーファクチンのナトリウム塩が挙げられる。サーファクチンとは7分子のアミノ酸からなる環状ペプチドの親水性部位と、長い脂肪酸残基による疎水性部位とで構成され、環の両端には二個のカルボキシル基があり、全体として2価のアニオンチャージを持つ。環状ペプチドは2分子のD−ロイシンを含み、L−ロイシンがL−バリンまたはL−イソロイシンに置換されていてもよい。また脂肪酸には鎖長と分岐位置は適宜選択される。
界面活性剤の配合量はその使用目的、組成物の粘度に応じて適宜選択されるが、毛髪処理剤中0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質
量%の量で使用される。
湿潤剤あるいは乳化剤としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ソルビトール、植物抽出エキス、ビタミン類、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、カチオン性、アニオン性、両性、非イオン性の界面活性剤やポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテルなどのエーテル型非イオン界面活性剤、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコンオイル、アルコール変性シリコンオイル、フッ素変性シリコンオイル、ポリエーテル変性シリコンオイル、アルキル変性シリコンオイルなどのシリコン誘導体などが挙げられる。
その他の添加剤としては、キレート剤として、エデト酸およびその金属塩、グルタミン酸4酢酸およびその金属塩、アスパラギン酸4酢酸およびその金属塩、プロピルジアミン
4酢酸およびその金属塩などが挙げられる。
本発明の毛髪処理剤は、少なくとも上記式(1)で示されるメルカプト化合物を含有している。
試料10mLを100mLのメスフラスコに取り、化粧品原料基準に適合する精製水(以下、単に「水」と記載する。)を加えて全量を100mLとし、これを試験溶液とする。
熱し、5分間煮沸する。冷却後、0.1Nヨウ素液で滴定し、その消費量をAmLとする(指示薬:デンプン試液 3mL)。得られた滴定結果を下式によりチオグリコール酸換算の含有率として算出する。
また、化粧品分類のパーマネントウエーブ用剤(カーリング剤)も同様の測定値により使用量が規定されている。
本発明のパーマネントウエーブ加工方法は、上述した毛髪処理剤をパーマネントウエーブ加工用薬剤として使用する限り、特に制限されるものではないが、例えば、毛髪に対するパーマネントウエーブ加工処理の方法としては、下記(1)〜(4)の工程からなる方法が挙げられる。なお、パーマネントウエーブ加工処理とは、上述したように、パーマネントウエーブ形成処理、パーマネントウエーブ形成処理によるウエーブのばし処理、および縮毛矯正処理を含めたものをいう。
なお、縮毛矯正の際には、ロッドを使用しない。また、水巻などで毛髪を固定してから
ケラチン還元液で湿潤しても良い。
(3)酸化剤を含有する組成物によってメルカプト化合物を酸化し、毛髪を固定する。
なお、(3)で使用する酸化剤としては、一般的に使用される臭素酸ナトリウムの3〜8質量%程度の水溶液や過酸化水素、過ホウ酸ナトリウムなどの希釈液が使用できる。
なお、本発明のメルカプト化合物を含むパーマネントウエーブ加工用薬剤を第1剤または第1液、酸化剤を含有する組成物を第2剤または第2液とよぶこともある。
ビス(2−メルカプトエチル)エーテルの製造
70%水硫化ナトリウム(80g、1mol、純正化学株式会社)をメタノール(60g、純正化学株式会社)と精製水(蒸留後にイオン交換フィルターを通した水、60g)との混合溶媒に混合した。室温でビス(2−クロロエチル)エーテル(143g、1mol、東京化成工業株式会社)を約90分かけて滴下した。滴下完了後の反応液を60℃で約120分間攪拌した。
下記の方法に従い、合成例1で得られたメルカプト化合物を含有するパーマネントウエーブ用第1液、およびパーマネントウエーブ用第2液を調整し、パーマネントウエーブ処理を行い、ウエーブ効率を求めた。
まず、精製水80gに、それぞれ表1に示す組成に従い、ポリオキシエチレンセチルエーテル、プロピレングリコールを加え、その後リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムを加えて均一になるように攪拌した。攪拌しながらメルカプト化合物をそれぞれ表1に示す配合量で加えた。しばらく攪拌した後、L−アルギニンを加えて表1に示すpHに調整し、全量が100gとなるよう、さらに精製水を加えた。
このようにして得られた薬剤中の各メルカプト化合物の含有量は、チオグリコール酸還元力換算で2質量%に相当する。
臭素酸ナトリウム5g、および精製水95gを混合してパーマネントウエーブ用第2液を得た。
ウェーブ効率をキルビー法(日本パーマネントウェーブ液工業組合、「Scienceof Wave revised edition」、第4刷、新美容出版株式会社、20
03年9月28日、p33参照)に基づき、キルビー器具(同文献参照)を用いて以下のようにして求めた。
このようにして得られた乾燥毛髪の採寸を行い、下記ウェーブ効率計算式によりウェーブ効率を算出した。結果を表1に示す。
A:キルビー器具の1番目と6番目の棒の間隔(棒の中心点を実測)
B:カールした毛髪の5山分の長さ
C:カールした毛髪を直線に伸ばした時の5山分の長さ
A、B、Cのいずれも単位はcm
実施例1で用いたメルカプト化合物をシステイン5.26g(昭和電工株式会社製、チオグリコール酸換算で4質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして、pH7.0のパーマネントウエーブ用第1液の調製を行った。得られたパーマネントウエーブ用第1液と、実施例1で調整したパーマネントウエーブ用第2液とを用いて、実施例1と同様にパーマネントウエーブ処理を行った。しかしながら、該パーマネントウエーブ用第1液はpH7.0においてはパーマネント加工性能が低く、キルビー器具を用いての測定が不可能であり、ウェーブ効率を算出することができなかった。
実施例1で用いたメルカプト化合物をシステアミン3.35g(東京化成工業株式会社製、チオグリコール酸換算で2質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして、pH6.5のパーマネントウエーブ用第1液の調製を行った。得られたパーマネントウエーブ用第1液と、実施例1で調整したパーマネントウエーブ用第2液とを用いて、実施例1と同様にパーマネントウエーブ処理を行い、ウエーブ効率を算出した。
実施例1で得られたパーマネントウエーブ用第1液を40℃に加温し、pH6.5の条件下、該液中に中国人毛髪(長さ約20cm)を20分間浸した。その後、第1液から取り出した毛髪から液が滴らない程度に軽く拭き取りとった。
比較例2のシステアミンを含む第1剤も同様の処理、臭気評価を行い、この臭気を基準とした。これに対して改善されたと感じた人数をもとに下記の基準で評価した。
官能評価 0:6人のパネラー全てが改善していないと感じた。
官能評価 1:6人のパネラーのうち、1−2名が臭気改善効果を認めた。
官能評価 2:6人のパネラーのうち、3−4名が臭気改善効果を認めた。
官能評価 3:6人のパネラーのうち、5−6名が臭気改善効果を認めた。
中性から酸性領域のpH領域においても、安定したウエーブ効率が得られ、かつ処理後の毛髪に残存する臭気を低減することが判明した。
Claims (9)
- 前記式(1)のXが酸素原子であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
- 前記式(1)のR1およびR2が水素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載の毛髪処理剤。
- 前記式(1)のnが1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪処理剤。
- 前記式(1)で示される化合物が、ビス(2−メルカプトエチル)エーテルであることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
- 前記式(1)で示される化合物の含有量が、還元物質の含有率(チオグリコール酸換算)で、0.2〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪処理剤。
- pHが3.0〜8.0であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の毛髪処理剤。
- パーマネントウエーブ加工用薬剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の毛髪処理剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の毛髪処理剤をパーマネントウエーブ加工用薬剤として用いることを特徴とする毛髪のパーマネントウエーブ加工方法。
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