JP4518029B2 - 高張力熱延鋼板とその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、Dual−Phase鋼は、フェライト単相鋼、ベイナイト単相鋼、フェライト+ベイナイト組織鋼に比べて、一般に高強度で延性に優れているが、曲げ加工性が劣化する欠点がある。これは、曲げ加工は、局所的な加工であり、軟質なフェライトと硬質なマルテンサイト組織の硬度差により、その界面から加工初期にクラックが入るためである。そのため、曲げ加工性に優れた熱延鋼板は、特許文献5に開示されるようにベイナイト単相鋼のような単相組織が主流であり、従来技術の中に、曲げ加工性に優れたDual−Phase鋼の開示がなされていないのが現状である。
(1)鋼組成が、質量%で、C:0.01%超0.25%以下、Si:0.2%超1.0%未満、Mn:0.5〜2.5%、P:0.005%以上0.030%未満、Cu:0.005%以上0.045%未満、S:0.02%以下、Al:0.005〜1.0%、N:0.01%以下およびO:0.0010%以上0.0100%未満を含有し、Cu、PおよびOの含有量が下記式(1)を満足し、残部がFeおよび不純物からなり、鋼組織が、50〜95面積%のフェライトと残部第2相とからなり、前記フェライトの平均結晶粒径が3〜20μm、前記第2相の平均粒径が1.0〜8μmかつ平均粒子間隔が2〜10μm、前記第2相が鋼組織全体を基準とした面積率で5〜50%のマルテンサイトと0〜5%未満のマルテンサイト以外の第2相とからなり、表面性状が、鋼板表面における最大長さ5mm以上の島状スケール疵が面積率で10%以下であり、機械特性が、引張強度:590MPa以上、曲げ性:密着〜2.0t、曲げ疲労限度耐久比:0.48以上であることを特徴とする高張力熱延鋼板。
ここで、式中の各元素記号は各元素の含有量(単位:質量%)を表す。
(2)前記鋼組成におけるAl含有量が、質量%で、0.1%超1.0%以下であることを特徴とする前記(1)に記載の高張力熱延鋼板。
ここで、式中の各元素記号は各元素の含有量(単位:質量%)を表す。
ここで、式中の各元素記号は各元素の含有量(単位:質量%)を表す。
ここで、B(mm):スラブ厚、A(mm):鋼板の板厚である。
C:0.01%超0.25%以下
Cは、鋼板の強度を高める元素であり、延性に優れた高強度鋼を製造するためには特に重要な元素である。すなわち、Cの含有量が、0.01%以下では、十分なマルテンサイトの量が確保できず、590MPa以上の強度を有する高強度鋼板が製造できなくなる。一方、0.25%を超えると溶接性が低下する。したがって、Cの含有量を0.01%を超え0.25%以下とした。なお、容易に590MPa以上の高強度を得るには、Cを0.03%以上含有させることが望ましく、そして、780MPa以上の高強度を得るには、Cを0.04%以上含有させることが望ましい。
Siは固溶強化によってフェライト相を強化できるだけでなく、フェライトの生成を促進し、未変態オーステナイト中にCを濃縮させ、容易に第2相をマルテンサイトにさせることができる。そのため、Siの含有は、高強度で高延性であるDual−Phase鋼をつくるには重要であり、その効果を得るには、Siの含有量を0.2%超とする必要がある。特に、高強度で高延性型のDual−Phase鋼とするにはSiの含有量を0.4%以上とすることが望ましい。
Mnは、鋼の焼入性を高め強度を上昇させるのに有効な元素であるが、その含有量が0.5%未満では、マルテンサイトを生成させることができず、十分な強度と延性を得ることができない。
容易にマルテンサイトを生成させるための焼き入れ性を確保するには、Mnを1.0%以上含有させることが望ましい。
Pは固溶強化として働く元素であり、高強度化のために有効である。また、酸洗性を高め熱間圧延後の熱延鋼板の脱スケール性を高める効果も有する。しかし、その含有量が0.005%未満では上記の効果が得難い。一方、Pは偏析し易い元素であるため多量に添加した場合には、溶接性の低下を招き、特に、その含有量が0.030%以上になると偏析が著しくなって溶接性の低下が極めて大きくなる。また、酸洗時に粒界が優先的にエッチングされることにより、曲げ加工性や耐疲労特性を劣化させる。
Cuは、Pとは反対に酸洗性を低下させる性質を有し、酸洗時に粒界が優先的にエッチングされるのを抑制したり、酸化物系介在物の脱落を抑制したりする作用を有する。しかし、その含有量が0.05%未満では上記効果が得難い。一方、その含有量が0.045%以上になると、酸洗性の低下により生産性が低下したり、コストの増加を招いたりする。
特に、本発明ではCu/(P+O)の比を0.4〜3.0の範囲に規定するが、これはPおよびOによる酸洗性向上とCuによる酸洗性抑制の機構を利用して曲げ加工性および曲げ疲労特性を改善するためである。
Sは、曲げ加工性を低下させる硫化物を生成するため、可能な限り低減する必要のある不純物である。本発明においては、他の成分元素添加による曲げ加工性の向上度合と製鋼コストを考慮して、その含有量の上限を0.02%とした。望ましくは、0.01%以下である。
Alは、鋼の脱酸に有用な元素である。その効果を得るには、少なくとも0.005%の含有量が必要である。一方、その含有量が1.0%を超えると、粗大なアルミナ系介在物が増加して、延性と曲げ加工性が著しく低下する。したがって、Alの含有量を0.005〜1.0%とした。また、Alを0.1%超含有させることにより、フェライトの生成が促進され、加工性ならびに曲げ加工性が向上する。さらに、FeO/Fe2SiO4の共晶温度が低下するため、脱スケール性が向上し、島状スケール疵が減少する。
Nは、AlやTiと結合し、窒化物を形成する。窒化物は延性を劣化させる傾向を有するため、できるだけ低減するのが望ましい。0.01%以下であれば、無害化できる。そのため、上限を0.01%とした。N低減のためのコストと材質の改善度合との兼ね合いでN含有量の上限は0.0050%とするのが好ましい。また製造コストの観点から下限は0.0005%以上とすることが好ましい。
Oは、鋼板中にMnO等の酸化物系介在物を形成し、酸洗時にこれらの酸化物系介在物が脱落してボイドの形成が促進されるため、曲げ加工や繰り返し疲労時の割れや亀裂の起点となる。一方、酸化物系介在物が多いと酸化物系介在物と接触する鋼部分との表面積が増加し、結果的にPと同様の効果を生じ、酸洗性の向上をもたらす。このため、O含有量を0.0100%未満とする。O含有量の下限は、コストの観点から0.0010%以上とする。
本発明の効果を得るために、Cu、P、Oを関連づけて規定する。
ここに、上記式の意義は次の通りである。
Cu/(P+O)が3.0超では、材質は硬質化し曲げ加工性が劣化する。Cu/(P+O)が0.4未満では曲げ加工性や耐疲労特性が劣化する。
本発明において、Ti、Nb、V、Wはいずれも析出強化によって強度を高める元素であり、強度を一層高める作用を有し、2種以上添加しても、それぞれの作用は失われない。その作用は、Ti:0.2%、Nb:0.1%、V:0.5%およびW:0.5%をそれぞれ超えて含有させても飽和し、コストがかさむばかりである。そのため、含有量の上限をTi:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびW:0.5%以下のうちの1種または2種以上とした。またその効果は、Ti:0.01%以上ならびにNb:0.005%以上、V:0.01%以上、W:0.01%以上の含有により有効に作用するので、それを下限とするのが好ましい。
本発明において、Cr、Mo、NiおよびBはいずれも固溶強化によって強度を高める元素であり、強度を一層高める作用を有し、2種以上添加しても、それぞれの作用は失われない。その作用は、Cr:1.0%、Mo:1.0%、Cu:1.0%、Ni:1.0%およびB:0.01%をそれぞれ超えて含有させても飽和し、コストがかさむばかりである。
本発明において、REM、MgおよびCaはいずれも硫化物、酸化物などの介在物を球状化し無害化させることができ、2種以上添加しても、それぞれの作用は失われない。その作用は、REM:0.1%、Mg:0.01%、Ca:0.01%をそれぞれ超えて含有させても飽和し、コストがかさむばかりである。そのため、含有量の上限をREM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下とした。またその効果は、REM:0.005%以上、Mg:0.0005%以上およびCa:0.0005%以上の含有により有効に作用するので、それを下限とするのが好ましい。
引張強度が590MPa以上の領域で、良好な延性と曲げ加工性ならびに耐疲労特性を得るためには、金属組織において、平均結晶粒径3〜20μmのフェライトが面積率で50〜95%、第2相が平均粒径1〜8μmで平均粒子間隔2〜10μmで存在し、その第2相はマルテンサイトが面積率で5〜50%である。マルテンサイト以外の第2相は面積率で5%未満まで存在することが許容される。
フェライトの面積率が50%未満であると、フェライト粒が少ないため、曲げ加工性が劣化する。一方、フェライトの面積率が95%を超えると、フェライト粒が多いため、曲げ疲労限度耐久比が低下する。フェライトの平均結晶粒径は3〜20μmとする必要がある。
第2相は、マルテンサイトが面積率で5〜50%である。マルテンサイト以外の第2相の存在は面積率で5%未満までは許容される。
鋼板表面において最大長さ5mm以上の島状スケール疵が面積率で10%以下が必要である。島状スケール疵の面積率の基準は、鋼板面積1.5m2あたりとする。通常使用される自動車の足廻り部品やバンパー等の補強材に代表される構造部材の素材、またはホイール用の素材としての鋼板の面積は1.5m2のものが多いためである。
本発明の鋼板は、上記の成分からなり、かつ上記の金属組織を呈した鋼板であるので、引張り強度が590MPa以上、180度曲げにおける限界曲げ半径が板厚の2倍以下であり、かつ曲げ疲労限度耐久比が0.48以上であるものが得られる。なお、強度780MPa以上の鋼板とすることによって、特に部材の薄肉化に効力が発揮される。
酸洗板の場合には、酸洗後の鋼板の平均表面粗さRaが1.2μm以下、鋼板表面から鋼板表面からの深さが0.03mmの位置までの鋼板表層部におけるフェライトの平均結晶粒径をαs、鋼板表面からの深さが0.03mm超の位置から板厚中心までにおける鋼板中心部におけるフェライトの平均結晶粒径をαbとした時、フェライトの平均結晶粒径3〜20μmの範囲で、αS≧αb×1.1であることが必要である。
本発明の鋼板を得るためには、スラブを1100℃以上として粗熱間圧延を施して粗バーとなし、前記粗バーを下記式(1)で仕上げ圧延前に限界温度T以上で粗バーを加熱した後、デスケーリングを実施し、前記粗バーを下記式(1)で定められる限界温度T以上としてデスケーリングした後にAr3点〜Ar3+150℃で圧延を完了する仕上熱間圧延を施して熱延鋼板とし、前記仕上熱間圧延の完了後3秒以内に冷却を開始して平均冷却速度20〜200℃/秒で760〜600℃の温度域の所定温度まで冷却する1次冷却と、前記1次冷却後2〜20秒間の中間空冷と、前記中間空冷後10℃/秒以上の平均冷却速度で冷却する2次冷却とを前記熱延鋼板に施して、250℃以下で巻き取ることが必要である。
ここで、式中の各元素記号は各元素の含有量(単位:質量%)を表す。
粗熱間圧延に供する際にスラブ温度を1100℃以上とする。スラブ温度が、1100℃未満であると、スラブ中に存在する粗大な析出物や硫化物、窒化物が再固溶せず、圧延後の鋼板に残存し、著しく、延性、曲げ加工性、曲げ疲労耐久比を劣化させる。また、オーステナイトが粗大化しないため、フェライトの生成が過剰となり、所望のフェライト面積率が得られなくなる。スラブ温度の上限は1300℃が望ましい。1300℃超であると、スラブが自重で変形し、圧延トラブルに繋がる危険性がある。
粗熱間圧延を行ない、得られた粗バーを粗バーの表面に生成するFeO/Fe2SiO4の共晶温度以上、具体的には、T(℃)=168.15×((5×P+Al)/Si)2−245.12×(5×P+Al)/Si+1170(℃)として規定される限界温度T(℃)以上に加熱した後、デスケーリングを実施する。
デスケーリング装置は、公知のデスケーリング装置であればよく、本実施の形態では、粗バーの幅方向へ粗バーの表面へ高圧水を、高圧水吐出圧:10MPa以上100MPa以下及び粗バー単位幅当たり流量:0.01m3/秒/m以上0.4m3/秒/m以下の条件で噴射するための噴射用ノズルを複数個配置されたデスケーリング装置を用いた。また、スケール除去時の粗バーの移動速度は0.1m/秒以上2.5m/秒以下とした。なお、仕上圧延前にデスケーリングを行う際の粗バーの温度も特に限定を要さない。
仕上熱間圧延は、Ar3点〜(Ar3点+150℃)の温度範囲で行う。 仕上げ圧延温度がAr3点以下の場合、フェライト域圧延となり加工フェライトが生成し、加工性が劣化する。酷い場合には圧延時体積膨張が起こり、圧延トラブルが発生する。Ar3+150℃超では、フェライトの生成が抑制され、フェライトの面積率が50%未満となる。
酸洗後の鋼板の平均表面粗さRaを1.2μm以下にするには、まず、スラブを連続鋳造する際、スラブ表面から下記式(2)で定められるスラブ内部位置Stまでの液相線温度〜固相線温度の冷却速度を10℃/秒以上としたスラブを用いる。
ここで、B(mm):スラブ厚、A(mm):鋼板の板厚である。
表面粗さは、鋼板表面に濃化するSiやMnの偏析のばらつきに大きく影響される。その理由としては、鋼板表面においてSiやMnの偏析にばらつきが生じていると、酸洗時の酸による鋼板の溶解が不均一であるためそれに準じて、表面粗さが粗くなる。また、Si偏析のばらつきが多いと、スケールの生成も不均一であるため、酸によるスケ−ル除去時に鋼板の粗さを増加させる要因となる。
さらに、本発明のスラブを用いた場合、鋼板表面から鋼板表面からの深さが0.03mmの位置までのフェライト組織は、Mnの偏析が軽減されているため生成が促進される傾向がある。さらに仕上熱間圧延後、3秒以内に冷却速度20〜150℃/秒とすることで、鋼板表面から鋼板表面からの深さが0.03mmの位置までのフェライトの平均結晶粒径をαS、鋼板表面からの深さが0.03mm超の位置から板厚中心までの鋼板中心部におけるフェライトの平均粒径をαbとした時、αS≧αb×1.1とすることができる。
<スラブ平均冷却速度>
得られたスラブの断面をピクリン酸にてエッチングし、0.5mmピッチでデンドライト2次アーム間隔λ(μm)を測定し、次式に基づいて、その値からスラブの液相線〜固相線内の冷却速度A(℃/秒)を算出した。なお、平均冷却速度は、スラブ表面から厚方向のスラブSt位置まで0.5mmピッチで測定した冷却速度の算術計算での平均値とした。
<金属組織の評価>
鋼板の圧延方向に平行な断面について、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて、JIS G 0552に準拠してフェライトの平均結晶粒径を測定した。フェライトの面積率は、画像処理にてもとめた。
鋼板表面における最大長さ5mm以上の島状スケールの面積率の算出は、得られた鋼板の外観写真を撮影し、画像処理にて面積率をもとめた。
各鋼板の圧延直角方向からJIS 5号引張試験を採取した。試験方法はJIS Z2241に準じた。降伏点YP、引張強さTS、伸びElを測定した。
各鋼板の圧延直角方向から巾40mm、長さ200mmの試験片を採取した。試験形状ならびに試験方法はJIS Z2248に準じた。曲げ半径は、密着から板厚の1倍、2倍、3倍、4倍にて実施し、その割れが発生しない板厚に対する曲げ半径を限界曲げ半径とした。
各鋼板からJIS Z2275に記載されている形状にて長さ90mm、巾40mmの試験片を採取した。試験方法は、JIS Z2275に準じた。両振り平面曲げ疲労(応力比:−1)にて実施し、107乗回の繰り返し数にて破断しない応力振幅値を疲労限界とし、次式により、TSとの算術計算から耐久比をもとめた。
鋼板の特性結果を表3、表4に示した。
Claims (8)
- 鋼組成が、質量%で、C:0.01%超0.25%以下、Si:0.2%超1.0%未満、Mn:0.5〜2.5%、P:0.005%以上0.030%未満、Cu:0.005%以上0.045%未満、S:0.02%以下、Al:0.005〜1.0%、N:0.01%以下およびO:0.0010%以上0.0100%未満を含有し、Cu、PおよびOの含有量が下記式(1)を満足し、残部がFeおよび不純物からなり、鋼組織が、50〜95面積%のフェライトと残部第2相とからなり、前記フェライトの平均結晶粒径が3〜20μm、前記第2相の平均粒径が1.0〜8μmかつ平均粒子間隔が2〜10μm、前記第2相が鋼組織全体を基準とした面積率で5〜50%のマルテンサイトと0〜5%未満のマルテンサイト以外の第2相とからなり、表面性状が、鋼板表面における最大長さ5mm以上の島状スケール疵が面積率で10%以下であり、機械特性が、引張強度:590MPa以上、曲げ性:密着〜2.0t、曲げ疲労限度耐久比:0.48以上であることを特徴とする高張力熱延鋼板。
0.4≦Cu/(P+O)≦3.0 (1)
ここで、式中の各元素記号は各元素の含有量(単位:質量%)を表す。 - 前記鋼組成におけるAl含有量が、質量%で、0.1%超1.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高張力熱延鋼板。
- 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびW:0.5%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高張力熱延鋼板。
- 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高張力熱延鋼板。
- 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、REM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高張力熱延鋼板。
- 酸洗後の鋼板の平均表面粗さRaが1.2μm以下、鋼板表面から鋼板表面からの深さが0.03mmの位置までの鋼板表層部におけるフェライトの平均結晶粒径をαs、鋼板表面からの深さが0.03mm超の位置から板厚中心までの鋼板中心部におけるフェライトの平均結晶粒径をαbとした時、αs≧αb×1.1であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高張力熱延鋼板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の鋼組成を有するスラブを1100℃以上として粗熱間圧延を施して粗バーとなし、得られた粗バーを下記式(2)で定められる限界温度T以上としてデスケーリングを行なった後に、Ar3点〜(Ar3点+150℃)で圧延を完了する仕上熱間圧延を施して熱延鋼板とし、前記仕上熱間圧延の完了後3秒以内に冷却を開始して平均冷却速度20〜200℃/秒で760〜600℃の温度域の所定温度まで冷却する1次冷却と、前記1次冷却後2〜20秒間の中間空冷と、前記中間空冷後10℃/秒以上の平均冷却速度で冷却する2次冷却とを前記熱延鋼板に施して、次いで250℃以下で巻き取ることを特徴とする高張力熱延鋼板の製造方法。
限界温度T(℃)=168.15×((5×P+Al)/Si)2−245.12×(5×P+Al)/Si+1170(℃) (2)
ここで、式中の各元素記号は各元素の含有量(単位:質量%)を表す。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の鋼組成の溶鋼を、スラブ表面から下記式(3)で定められるスラブ内部位置Stまでの液相線温度〜固相線温度の冷却速度を10℃/秒以上として連続鋳造法によりスラブとなし、前記スラブを1100℃以上として粗熱間圧延を施して粗バーとなし、得られた粗バーを下記式(2)で定められる限界温度T以上としてデスケーリングを行なった後に、Ar3点〜(Ar3点+150℃)で圧延を完了する仕上熱間圧延を施して熱延鋼板とし、前記仕上熱間圧延の完了後3秒以内に冷却を開始して平均冷却速度20〜150℃/秒で760〜600℃の温度域の所定温度まで冷却する1次冷却と、前記1次冷却後2〜20秒間の中間空冷と、前記中間空冷後10℃/秒以上の平均冷却速度で冷却する2次冷却とを前記熱延鋼帯に施して、250℃以下で巻き取り、その後酸洗することを特徴とする高張力熱延鋼板の製造方法。
限界温度T(℃)=168.15×((5×P+Al)/Si)2−245.12×(5×P+Al)/Si+1170(℃) (2)
ここで、式中の各元素記号は各元素の含有量(単位:質量%)を表す。
St(mm)=[B(mm)]/A(mm)]×0.03mm (3)
ここで、B(mm):スラブ厚、A(mm):鋼板の板厚である。
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