JP4404004B2 - 高張力熱延鋼板とその製造方法 - Google Patents
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しかしながら、Dual−Phase鋼は、フェライト単相鋼、ベイナイト単相鋼、フェライト+ベイナイト組織鋼に比べて、一般に高強度で延性に優れているが、曲げ加工性が劣化する欠点がある。これは、曲げ加工は、局所的な加工であり、軟質なフェライトと硬質なマルテンサイト組織の硬度差により、その界面から加工初期にクラックが入るためである。そのため、曲げ加工性に優れた熱延鋼板は、特許文献5に開示されるようにベイナイト単相鋼のような単相組織が主流であり、従来技術の中には、曲げ加工性に優れたDual−Phase鋼の開示がなされていないのが現状である。
例えば、特許文献6には仕上圧延前の粗バーに対して高圧水デスケーリングを強化して行うことによりスケール疵の発生を防止する発明が、特許文献7にはスラブの加熱温度又は粗バーの表面温度をファイアライトの生成が急増する共晶点である1173℃の温度以下に抑制してファイアライトの生成を抑制しながら高圧水によりデスケーリングを行うことによりスケール疵の発生を防止する発明が、特許文献8には粗圧延開始前に高圧水デスケーリングを行い、[1173−420×(P%/Si%)]℃以上で粗圧延を終了することによりスケール疵の発生を防止する発明が、それぞれ開示されている。しかし、これらの発明によっても、Si含有量が0.2%以上の高Si含有鋼からなる熱延鋼板を製造する際に、スケール疵の発生を確実に防止して、優れた表面性状を有する熱延鋼板を製造することは難しい。
(3)前記鋼組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびW:0.5%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)または(2)項に記載の高張力熱延鋼板。
ここで、式中の元素記号は、鋼中における各元素の含有量(単位:質量%)を表す。
ここで、式中の元素記号は、鋼中における各元素の含有量(単位:質量%)を表す。
ここで、B(mm):スラブ厚、A(mm):鋼板の板厚である。
C:0.01%超0.25%以下
Cは、鋼板の強度を高める元素であり、延性に優れた高強度鋼を製造するためには特に重要な元素である。すなわち、Cの含有量が、0.01%以下では、十分なマルテンサイトの量が確保できず、590MPa以上の強度を有する高張力鋼板が製造できなくなる。一方、0.25%を超えると溶接性が低下する。したがって、Cの含有量を0.01%超0.25%以下とした。なお、容易に590MPa以上の高強度を得るには、Cを0.03%以上含有させることが望ましく、そして、780MPa以上の高強度を得るには、Cを0.04%以上含有させることが望ましい。
Siは固溶強化によってフェライト相を強化できるだけでなく、フェライトの生成を促進し、未変態オーステナイト中にCを濃縮させ、容易に第2相をマルテンサイトにさせることができる。そのため、Siの含有は、高強度で高延性であるDual−Phase鋼をつくるには重要であり、その効果を得るには、Siの含有量を0.2%超とする。特に、高強度で高延性型のDual−Phase鋼とするにはSiの含有量を0.4%以上とすることが望ましい。
Mnは、鋼の焼入性を高め強度を上昇させるのに有効な元素であるが、その含有量が0.5%未満では、マルテンサイトを生成させることができず、十分な強度と延性を得ることができない。一方、2.5%を超えて、Mnを含有させてもその効果は飽和する。容易にマルテンサイトを生成させるための焼き入れ性を確保するには、Mnを1.0%以上含有させることが望ましい。
Pは固溶強化として働く元素であり、高強度化のために有効である。しかし、その含有量が0.003%未満では上記の効果が得難い。一方、Pは偏析し易い元素であるため多量に添加した場合には、溶接性の低下を招き、特に、その含有量が0.03%以上になると偏析が著しくなって溶接性の低下が極めて大きくなる。したがって、Pの含有量を0.003%以上0.03%未満とした。更に望ましい下限は、製造コストの観点から0.005%以上であり、更に望ましい上限は、溶接性の観点から0.025%以下である。
Sは、曲げ加工性を低下させる硫化物を生成するため、可能な限り低減することが好ましい不純物である。本発明においては、他の成分元素添加による曲げ加工性の向上度合と製鋼コストを考慮して、その含有量の上限を0.02%とした。望ましくは、0.01%以下である。
Alは、鋼の脱酸に有用な元素である。その効果を得るには、少なくとも0.005%の含有量とする。一方、その含有量が1.0%を超えると、粗大なアルミナ系介在物が増加して、延性と曲げ加工性が著しく低下する。したがって、Alの含有量を0.005〜1.0%とした。また、Alを0.10%超含有させることにより、フェライト生成が促進され、加工性ならびに曲げ加工性が向上する。さらに、FeO/Fe2SiO4 の共晶温度が低下するため、脱スケール性が向上し、島状スケール疵が減少する。
Nは、AlやTiと結合し、窒化物を形成する。窒化物は延性を劣化させる傾向を有するため、できるだけ低減するのが望ましい。0.01%以下であれば、無害化できる。そのため、上限を0.01%とした。N低減のためのコストと材質の改善度合との兼ね合いでN含有量の上限は0.0050%とするのが好ましい。また製造コストの観点から下限は0.0005%以上とすることが好ましい。
Ti、Nb、V、Wは析出強化によって強度を高める元素であり、強度を一層高める作用を有し、2種以上添加しても、それぞれの作用は失われない。好ましくは、TiおよびNbの少なくとも1種を含有すればよい。その作用は、Ti:0.2%、Nb:0.1%、V:0.5%およびW:0.5%をそれぞれ超えて含有させても飽和し、コストがかさむばかりである。そのため、含有量の上限をTi:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびW:0.5%以下のうちの1種または2種以上とした。またその効果は、Ti:0.01%以上ならびにNb:0.005%以上、V:0.01%以上、W:0.01%以上の含有により有効に作用するので、それを下限とするのが好ましい。
Cr、Mo、Cu、NiおよびBは固溶強化によって強度を高める元素であり、強度を一層高める作用を有し、2種以上添加しても、それぞれの作用は失われない。好ましくは、CrおよびMoの少なくとも1種を含有すればよい。その作用は、Cr:1.0%、Mo:1.0%、Cu:1.0%、Ni:1.0%およびB:0.01%をそれぞれ超えて含有させても飽和し、コストがかさむばかりである。そのため、含有量の上限をCr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下とした。またその効果は、Cr:0.05%以上、Mo:0.05%以上、Cu:0.05%以上、Ni:0.05%以上およびB:0.0002%以上の含有により有効に作用するので、それを下限とするのが好ましい。
REM、MgおよびCaは硫化物、酸化物などの介在物を球状化し無害化させることができ、2種以上添加しても、それぞれの作用は失われない。好ましくはMgおよびCaの少なくとも1種を含有すればよい。その作用は、REM:0.1%、Mg:0.01%、Ca:0.01%をそれぞれ超えて含有させても飽和し、コストがかさむばかりである。そのため、含有量の上限をREM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下とした。またその効果は、REM:0.005%以上、Mg:0.0005%以上およびCa:0.0005%以上の含有により有効に作用するので、それを下限とするのが好ましい。
引張強度が590MPa以上の領域で、良好な延性と曲げ加工性ならびに耐疲労特性を得るためには、鋼組織において、平均結晶粒径3〜20μmのフェライトが面積率で50%〜95%、第2相が平均粒径1.0〜8μmで平均粒子間隔2〜10μmで存在し、その第2相がマルテンサイトを面積率で5〜50%、かつ第2相に残部が存在する場合、面積率で5%未満に制限する。
フェライトの面積率が50%未満であると、フェライト粒が少ないため、曲げ加工性が劣化する。一方、フェライトの面積率が95%を超えると、フェライト粒が多いため、曲げ疲労限度耐久比が低下する。フェライトの平均結晶粒径は3〜20μmとする必要がある。フェライトの平均結晶粒径が3μm未満であると、降伏点が上昇し、加工性が劣化する。また、フェライトの平均結晶粒径が20μm超であると、曲げ疲労限度耐久比が低下してしまう。疲労き裂は、軟質であるフェライトの粒内を積極的に進展する。そのため、き裂の進展を抑制するフェライトの粒界が少なくなると早期にき裂が進展してしまう。
第2相は、マルテンサイトを鋼組成全体を基準とした面積率で5〜50%かつ残部が面積率で5%未満である。マルテンサイトが面積率で5%未満であると曲げ疲労限度耐久比が低下する。マルテンサイトは硬質であるため、軟質なフェライト粒を進展してくる疲労き裂進展を遅延させる効果がある。一方、マルテンサイトの面積率が50%超であると、延性と曲げ加工性が劣化する。マルテンサイトは硬質であるため、それ自体延性や曲げ加工時における局部延性が乏しい。第2相が残部を含む場合は、その面積率は、5%未満である。残部とは、ベイナイト組織、パーライト組織、セメンタイト、残留γである。残部の面積率が5%以上であると、フェライトとマルテンサイトの硬度差によって向上する均一伸びが減少し、結果的に延性が劣化してしまう。また、残留γを含む場合には、均一伸びは向上するが、曲げ性が劣化するので同様に5%未満とする。
鋼板表面において最大長さ5mm以上の島状スケール疵は面積率で10%以下である。島状スケール疵の面積率の基準は、鋼板面積1.5m2あたりとする。通常使用される自動車の足廻り部品やバンパー等の補強材に代表される構造部材の素材、またはホイール用の素材としての鋼板の面積は1.5m2以下のものが多いためである。
本発明の鋼板は、上記の鋼組成からなり、かつ上記の鋼組織を呈した鋼板であるので、引張り強度が590MPa以上、180度曲げにおける限界曲げ半径が板厚の2倍以下であり、かつ曲げ疲労限度耐久比が0.48以上であるものが得られる。なお、強度780MPa以上の鋼板とすることによって、特に部材の薄肉化に効力が発揮される。
本発明の鋼板を得るためには、一般的にはスラブを1100℃以上として粗熱間圧延を施して粗バーとなし、得られた粗バーを、下記式1で規定される限界温度T以上とした後、仕上げ圧延前にデスケーリングを実施する。このように前記粗バーを下記式1で定められる限界温度T以上としてデスケーリングした後に、Ar3点〜Ar3点+150℃で圧延を完了する仕上熱間圧延を施して熱延鋼板とし、前記仕上熱間圧延の完了後3秒以内に冷却を開始して平均冷却速度20〜200℃/秒で760〜600℃の温度域の所定温度まで冷却する1次冷却と、前記1次冷却後2〜20秒間の中間空冷と、前記中間空冷後10℃/秒以上の平均冷却速度で冷却する2次冷却とを前記熱延鋼板に施して、250℃以下で巻き取る。
ここで、式中の元素記号は、鋼中における各元素の含有量(単位:質量%)を表す。
粗熱間圧延に供する際にスラブ温度を1100℃以上とする。スラブ温度が、1100℃未満であると、スラブ中に存在する粗大な析出物や硫化物、窒化物が再固溶せず、圧延後の鋼板に残存し、著しく、延性、曲げ加工性、曲げ疲労耐久比を劣化させる。また、オーステナイトが粗大化しないため、フェライトの生成が過剰となり、所望のフェライト面積率が得られなくなる。スラブ加熱温度の上限は1300℃が望ましい。1300℃超であると、スラブが自重で変形し、圧延トラブルに繋がる危険性がある。
粗熱間圧延を行い、得られた粗バーを粗バーの表面に生成するFeO/Fe2SiO4の共晶温度以上、具体的には、T(℃)=168.15×((5×P+Al)/Si)2−245.12×(5×P+Al)/Si+1170として規定される限界温度T(℃)以上に加熱した後、デスケーリングを実施する。デスケーリング前の粗バーの温度がT(℃)未満であると、粗バーへの加熱が不十分であり、粗バー表面に生成するスケール量が少ない。そのため粗バーへのデスケーリング性が悪化し、島状スケール疵が発生する。このようなデスケーリングの悪化理由としては、スケールは、その生成量が大きくなるほど、スケールの内部に圧縮応力が発生するとともに、粗バーとスケールとの界面に生成するボイドの生成量も増加する。発生した圧縮応力及び生成したボイドの相互作用により、粗圧延を終了した時からデスケーリングを開始する時までにスケール生成が進行するほど、粗バーの表面に生成するスケールは剥離し易いものとなる。しかしながら、Si含有量が0.2%超であるSi含有鋼は、高温かつ長時間のスラブ加熱によってSi酸化物(Fe2SiO4)が母材及びスケールの界面に濃化することによってスケール(FeO)の生成を抑制している。ここで、一般的に、スケールの生成量を増加するには鋼板温度を高く設定すればよいが、Si含有鋼ではこの酸化抑制効果がかなり大きいために、鋼板温度を多少高めた程度ではスケールの生成量はあまり増加しない。そのため、FeO/Fe2SiO4の共晶温度である約1177℃以上に維持されておれば、Si含有鋼のSi量が高くとも、あるいはSiが界面に濃化していようとも、Fe2SiO4が溶融化するためにスケール生成に対する抑制効果はなくなり、スケールの生成が進行する。FeO/Fe2SiO4の共晶温度は粗バーの組成、特にP、Alを含有すると、この共晶温度は低下し、T(℃)=168.15×[(5×P+Al)/Si]2−245.12×(5×P+Al)/Si+1170以上の温度であれば、FeO/Fe2SiO4の共晶温度以上となり、その温度への加熱後にデスケーリングを実施すれば、鋼板表面のスケール疵は減少する。
デスケーリング装置は、公知のデスケーリング装置であればよく、本実施の形態では、粗バーの幅方向へ粗バーの表面へ高圧水を、高圧水吐出圧:10MPa以上100MPa以下及び粗バー単位幅当たり流量:0.01m3/秒/m以上0.4m3/秒/m以下の条件で噴射するための噴射用ノズルを複数個配置されたデスケーリング装置を用いた。また、スケール除去時の粗バーの移動速度は0.1m/秒以上2.5m/秒以下とした。なお、仕上圧延前にデスケーリングを行う際の粗バーの温度も特に限定を要さない。
仕上熱間圧延は、Ar3点〜Ar3点+150℃の温度範囲で行う。仕上げ圧延温度がAr3点未満の場合、フェライト域圧延となり加工フェライトが生成し、加工性が劣化する。場合によっては圧延時体積膨張が起こり、圧延トラブルが発生することもある。Ar3点+150℃超では、フェライトの生成が抑制され、フェライトの面積率が50%未満となる。
ここで、B(mm):スラブ厚、A(mm):鋼板の板厚である。表面粗さは、鋼板表面に濃化するSiやMnの偏析のばらつきに大きく影響される。その理由としては、鋼板表面においてSiやMnの偏析にばらつきが生じていると、酸洗時の酸による鋼板の溶解が不均一であるためそれに準じて、表面粗さが粗くなる。また、Si偏析のばらつきが多いと、スケールの生成も不均一であるため、酸によるスケ−ル除去時に鋼板の粗さを増加させる要因となる。そのため、スラブ表面での偏析を軽減する必要がある。スラブ表面からスラブ内部位置St(mm)までの液相線温度〜固相線温度の冷却速度を10℃/秒以上にすることにより、スラブ表面近傍のSiやMnの偏析が軽減される。加えて本発明で実施する前述の仕上げ圧延前の粗バーの加熱、そして、その後のデスケーリングを併用することにより、酸洗後の鋼板表面粗さRaを1.2μm以下とすることができる。
さらに、本発明において、上述の連続鋳造により得られたのスラブを用いる場合、鋼板表面から鋼板表面からの深さが0.03mmの位置までのフェライト組織は、Mnの偏析が軽減されているため生成が促進される傾向がある。さらに仕上熱間圧延後、3秒以内に冷却速度20〜150℃/秒とすることで、鋼板表面から鋼板表面からの深さが0.03mmの位置までのフェライトの平均結晶粒径をαS、鋼板表面からの深さが0.03mm超の位置から板厚中心までの鋼板中心部におけるフェライトの平均粒径をαbとした時、αS≧αb×1.1とすることができる。
得られたスラブの断面をピクリン酸にてエッチングし、0.5mmピッチでデンドライト2次アーム間隔λ(μm)を測定し、次式に基づいて、その値からスラブの液相線〜固相線内の冷却速度A(℃/秒)を算出した。なお、平均冷却速度は、スラブ表面から厚方向のスラブSt位置まで0.5mmピッチで測定した冷却速度の算術計算での平均値とした。
<金属組織の評価>
鋼板の圧延方向に平行な断面について、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて、JIS G 0552に準拠してフェライトの平均結晶粒径を測定した。フェライトの面積率は、画像処理にてもとめた。
鋼板表面における最大長さ5mm以上の島状スケールの面積率の算出は、得られた鋼板の外観写真を撮影し、画像処理にて面積率をもとめた。
各鋼板の圧延直角方向からJIS 5号引張試験を採取した。試験方法はJIS Z2241に準じた。降伏点YP、引張強さTS、伸びElを測定した。
各鋼板の圧延直角方向から巾40mm、長さ200mmの試験片を採取した。試験形状ならびに試験方法はJIS Z2248に準じた。曲げ半径は、密着から板厚の1倍、2倍、3倍、4倍にて実施し、その割れが発生しない板厚に対する曲げ半径を限界曲げ半径とした。
各鋼板からJIS Z2275に記載されている形状にて長さ90mm、巾40mmの試験片を採取した。試験方法は、JIS Z2275に準じた。両振り平面曲げ疲労(応力比:−1)にて実施し、107乗回の繰り返し数にて破断しない応力振幅値を疲労限界とし、次式により、TSとの算術計算から耐久比をもとめた。
鋼板の特性結果を表3、表4に示した。
供試材No.27は、1次冷却停止後の中間空冷時間が22秒間であった。そのため、第2相の平均粒子間隔が11μmとなった。曲げ疲労限度耐久比が0.42であり、曲げ疲労限度耐久比が劣化した。
Claims (8)
- 鋼組成が、質量%で、C:0.01%超0.25%以下、Si:0.2%超1.0%未満、Mn:0.5〜2.5%、P:0.003%以上0.03%未満、S:0.02%以下、Al:0.005〜1.0%およびN:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、鋼組織が、50〜95面積%のフェライトと第2相とからなり、前記フェライトの平均結晶粒径が3〜20μm、前記第2相の平均粒径が1.0〜8μmかつ平均粒子間隔が2〜10μmであり、前記第2相が鋼組織全体を基準とした面積率で5〜50%のマルテンサイトを含有するとともに残部が5%未満であり、鋼板表面における最大長さ5mm以上の島状スケール疵が面積率で10%以下である表面性状を備え、機械特性が、引張強度:590MPa以上、曲げ性:密着〜2.0t、曲げ疲労限度耐久比:0.48以上であることを特徴とする高張力熱延鋼板。
- 前記鋼組成におけるAl含有量が、質量%で、0.10%超1.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高張力熱延鋼板。
- 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびW:0.5%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高張力熱延鋼板。
- 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高張力熱延鋼板。
- 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、REM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高張力熱延鋼板。
- 酸洗後の鋼板の平均表面粗さRaが1.2μm以下、鋼板表面からの深さが0.03mmの位置までの鋼板表層部におけるフェライトの平均結晶粒径をαs、鋼板表面からの深さが0.03mm超の位置から板厚中心までの鋼板中心部におけるフェライトの平均結晶粒径をαbとした時、αs≧αb×1.1であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高張力熱延鋼板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の鋼組成を有するスラブを1100℃以上の温度として粗熱間圧延を施して粗バーとなし、得られた粗バーを下記式1で規定する限界温度T以上とした後にデスケーリングを実施し、次いで、Ar3点〜Ar3点+150℃で圧延を完了する仕上熱間圧延を施して熱延鋼板とし、前記仕上熱間圧延の完了後3秒以内に冷却を開始して平均冷却速度20〜200℃/秒で760〜600℃の温度域の所定温度まで冷却する1次冷却と、前記1次冷却後2〜20秒間の中間空冷と、前記中間空冷後10℃/秒以上の平均冷却速度で冷却する2次冷却とを前記熱延鋼板に施して、250℃以下で巻き取ることを特徴とする高張力熱延鋼板の製造方法。
限界温度T(℃)=168.15×[(5×P+Al)/Si]2−245.12×(5×P+Al)/Si+1170・・・・・(1)
ここで、式中の元素記号は、鋼中における各元素の含有量(単位:質量%)を表す。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の鋼組成の溶鋼を、スラブ表面から下記式2で定められるスラブ内部位置Stまでの液相線温度〜固相線温度の冷却速度を10℃/秒以上として連続鋳造法によりスラブとなし、前記スラブを1100℃以上の温度として粗熱間圧延を施して粗バーとなし、得られた粗バーの温度を下記式1で定められる限界温度T以上とした後にデスケーリングを実施し、次いでAr3点〜Ar3点+150℃で圧延を完了する仕上熱間圧延を施して熱延鋼板とし、前記仕上熱間圧延の完了後3秒以内に冷却を開始して平均冷却速度20〜150℃/秒で760〜600℃の温度域の所定温度まで冷却する1次冷却と、前記1次冷却後2〜20秒間の中間空冷と、前記中間空冷後10℃/秒以上の平均冷却速度で冷却する2次冷却とを前記熱延鋼板に施して、250℃以下で巻き取り、その後酸洗することを特徴とする高張力熱延鋼板の製造方法。
限界温度T(℃)=168.15×[(5×P+Al)/Si]2−245.12×(5×P+Al)/Si+1170・・・・・(1)
ここで、式中の元素記号は、鋼中における各元素の含有量(単位:質量%)を表す。
St(mm)=[B(mm)]/A(mm)]×0.03mm・・・(2)
ここで、B(mm):スラブ厚、A(mm):鋼板の板厚である。
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