JP3451820B2 - 切り欠き疲労性に優れる熱延鋼板とその製造方法 - Google Patents

切り欠き疲労性に優れる熱延鋼板とその製造方法

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JP3451820B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の足回り部
品、主にホィールディスクなどの素材として用いられ
る、TS:540N以上の熱延鋼板、特に、プレスにより成形
された打ち抜き端面より発生する疲労に対する疲労特性
を改善する熱延鋼板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱延鋼板が使用されることの多い、自動
車の足回り部品は安全保安部品であることから、その静
的強度を必要とすることは言うまでもなく、疲労強度に
対しても十分考慮されなければならない。
【0003】また、近年燃費向上のための軽量化が進め
られている。この軽量化の方法の一つとして、強度を上
げて、板厚を減少させることが試みられており、ホィー
ルディスクに関しても、同様の目的から板厚の減少が行
われている。
【0004】ホィールディスクの疲労の起点となりやす
いのは、ハット部および風穴と呼ばれる負荷応力のかか
る部分である。ハット部の疲労特性は、ハット部の板厚
と母材強度に依存するところが大きい。このためプレス
方法の改善によるハット部の板厚増加方法などが研究さ
れている。また、母材についても同じTSレベルでも疲労
強度が上昇する鋼板についての研究がなされている。
【0005】例えば、特開平3−126813号公報では最表
層の粗大なフェライトおよびベイナイトの発生を抑制
し、Siの不可避的量以上の添加を避けることにより表面
性状を良好とした耐久疲労比 (σW /σB 、σW :疲労
強度、σB :引張強さ) が0.52以上の熱延鋼板の製造方
法について開示されている。
【0006】また、特開平5−51646 号公報にはC量、
冷却速度、巻取り温度などを規定し疲労特性に悪影響を
与えるパーライトの生成を抑制し、P、Cuを添加するこ
とによる疲労特性の向上方法が開示されている。しか
し、これらはハット部の疲労特性向上には有効と思われ
るが、風穴部の疲労特性向上には効果が極めて小さい。
【0007】今日、ホィールディスクの高強度、薄肉化
の障害となっているのは、ハット部ではなくむしろ風穴
部の疲労特性といえる。図1は母材 (平滑) および打抜
き穴試験片のそれぞれについて引張り疲労試験を行った
ときの結果をグラフにまとめたものである。図1から引
張り疲労試験では母材の高強度化に伴い、母材疲労特性
は向上するが、打ち抜き穴試験片の疲労特性は母材TS:
540N以上では上昇しない。
【0008】また、打ち抜き面形状に関しては、特開平
5−51695 号公報には打ち抜き穴のバリが疲労破壊の起
点となり、バリ抑制のためには破断伸びを小さくするこ
とが有効であり、n値の小さい材料が打ち抜き疲労性に
優れていることが開示されている。さらに特開平4−36
5813号公報には微細な析出物を多量に存在させることに
より鋼板のバリを小さくする方法が開示されている。
【0009】しかし、ホィールディスクの風穴部を観察
すると、打ち抜き疲労特性を劣化させるバリについて
は、すでにコイニング加工により消滅しており、今日の
ホィールディスクにおける風穴疲労特性はバリの形状や
有無に律束されないことがわかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ここに、本発明の目的
は、風穴疲労特性の優れたホィールディスクを製造する
に適するTS:540N 以上のプレス打抜端面からの疲労特性
に優れた熱延鋼板とその製造方法を提供することであ
る。
【0011】本発明のより具体的な目的は伸び20%以
上、孔拡げ率80%以上、疲労限230N/mm2 以上を満足す
る風穴疲労特性の優れたホィールディスクを製造するに
適するTS:540N 以上のプレス打抜端面からの疲労特性に
優れた熱延鋼板とその製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべく
本発明者らは、ホィールディスクの風穴部の疲労特性が
何に依存するか詳細に調査した結果、打ち抜き面の形状
や欠陥の有無に大きく依存しており、疲労の起点は破断
面あるいは剪断面/破断面の境界であることがわかっ
た。さらに、TS:540N以上の鋼板に関しては、打ち抜き
面形状や欠陥の有無が同等ならば、疲労特性はTS、組織
にほとんど依存しないことが判明した。
【0013】つまり、ホィールディスクの風穴疲労特性
向上のため、打ち抜き面の形状を良好にし、欠陥をなく
すことが重要である。そこで、打ち抜き面形状を良好と
する方法をさらに研究した結果、次のことが分かり、本
発明に至ったのである。
【0014】(1) 破断面の粗さを小さくするため結晶粒
径を小さくする。これにはオーステナイト粒径を微細に
する効果があるNbの添加が有効である。 (2) 破断面の欠陥を少なくするために、Mn、Ti、Nb、Cr
を適正な範囲で添加することが有効である。低温変態生
成物であるベイナイト、マルテンサイトを少量生成させ
ることも有効である。 (3) 破断面の欠陥になりやすいパーライトの生成を抑制
すること。このためには成分および冷却条件を規定する
ことが必要である。
【0015】よって、本発明は、重量%で C:0.03〜0.10%、 Si:0〜1.5 %、 Mn:0.5
〜2.0 %、 P:0.025 %以下、 S:0.002 %以下、 Ti:0.01
〜0.10% Nb:0.01〜0.10%、 Cr:0.3 〜1.0 %、 Al:0.01
〜0.10%、 かつ下記(1) 式に示すXの範囲: 2.0≦X≦4.0 、 さらに必要により、Ca:0.01%以下、 残部: 鉄および不可避的不純物 より成る鋼組成を有し、フェライトおよび少量のベイナ
イト、マルテンサイト組織からなる切り欠き疲労性およ
び孔拡げ性に優れた熱延鋼板であって、前記鋼組成の
片を1230℃以上に加熱したのち、Ar3 点+30℃以上の仕
上げ温度で熱間圧延を行い、次いで、30℃/S以上の冷却
速度で750 〜600 ℃に冷却し、この温度域で3〜15S 空
冷し、さらに30℃/S以上の冷却速度で300 ℃以下の温度
にまで冷却してからその温度で巻取ることにより前記組
織とし、孔拡げ率80%以上の特性を有するようにした
延鋼板である。
【0016】また別の面からは本発明は上記鋼組成を有
する鋼片を1230℃以上に加熱したのち、Ar3 点+30℃以
上の仕上げ温度で熱間圧延を行い、次いで、30℃/S以上
の冷却速度で 750〜600 ℃に冷却し、この温度域で3〜
15S 空冷し、さらに30℃/S以上の冷却速度で300 ℃以下
の温度にまで冷却してからその温度で巻取ることを特徴
とするフェライトおよび少量のベイナイト、マルテンサ
イト組織からなる切り欠き疲労性に優れた熱延鋼板の製
造方法である。 X=0.8 Mn+5Ti+7Nb+3Cr ・・・ (1)
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明において鋼組成およ
び熱間圧延条件を上述のように限定した理由について、
その作用効果とともに詳細に説明する。まず、本発明に
おいて上述のように化学組成を定める理由を作用効果と
ともに述べる。「%」は「重量%」を意味する。
【0018】C:0.03〜0.10% Cは強度、組織に影響が最も大きい元素である。Cが0.
03%以下では、540N以上の強度を得ることが難しく、打
ち抜き疲労性に有効な低温変態生成物が生成しにくくな
るため、下限を0.03%とした。一方、Cが0.10%を越え
ると、打ち抜き疲労性、孔広げ性に悪影響を及ぼすパー
ライトの析出が避けられないため、上限を設定した。好
ましくは、0.05〜0.07%である。
【0019】Si:0〜1.5 % Siは、加工性の劣化が少なく、強度を上昇させるのに有
効な元素であるが、Si添加により、鋼板表面にスケール
疵が発生する。このため、用途に応じて添加の有無を決
定する必要があるが、TS:590N以下では、Si無添加によ
る特性の劣化は少ないので添加しないことが望ましい。
一方、Siが1.5 %を越えるとホィールリムとのスポット
溶接性が劣化するため上限を設定した。TS:590 N/mm2
以上では好ましくは1.2 %以下である。
【0020】Mn:0.5 〜2.0 % Mnは母材のTSを上昇させると共に、Ti、Nb、Crと複合添
加することで打ち抜き面性状が良好となり、打ち抜き疲
労特性も向上する。その効果は0.5 %以上で現れる。ま
た、1.5 %を越えると、硬質なマルテンサイトが多量に
生成するため、孔広げ性が低下する。好ましくは、0.8
〜1.5 %である。
【0021】P:0.025 %以下 Pは母材強度を増すのに有効な元素であるが、0.025 %
超添加するとバンド組織を形成しやすくなり、孔拡げ性
が劣化する。このため、Pは少ないほど望ましいが、0.
025 %以下では特性の劣化はほとんどみられないため、
上限を0.025 %とした。好ましくは0.015 %以下であ
る。
【0022】S:0.002 %以下 SもMnS として鋼中に存在し、孔拡げ性を著しく劣化さ
せる。Sも極力少なくすることが望ましいが、0.002 %
までは孔拡げ性の劣化はあまり見られないため上限を0.
002 %とした。好ましくは0.0008%以下である。
【0023】Ti:0.01〜0.10%以下 TiはMn、Nb、Crと複合添加することで打ち抜き面性状が
良好となり、打ち抜き疲労性が向上する。この効果を得
るためには0.01%以上添加する必要がある。一方、0.10
%を越えても疲労特性向上に効果が見られないことか
ら、上限を0.10%とした。好ましくは、0.02〜0.05%で
ある。
【0024】Nb:0.01〜0.10% NbはTiと同様に、Mn、Ti、Crと複合添加することで打ち
抜き面性状が良好となり、打ち抜き疲労性が向上する
が、単独添加でも結晶粒径の微細化に効果が大きく、破
断面の粗さを大きく改善する効果がある。この効果を得
るためには0.01%以上添加する必要がある。一方、0.10
%を越えても疲労特性向上に効果が見られないことか
ら、上限を0.10%とした。好ましくは、0.02〜0.07%で
ある。
【0025】Cr:0.3 〜1.0 % CrもMn、Ti、Nbと複合添加することで打ち抜き疲労特性
が向上する。この効果を得るためには0.3 %以上添加す
る必要がある。一方、1.0 %を越えても疲労特性向上に
効果が見られないことから、上限を1.0 %とした。好ま
しくは、0.5 〜0.8 %である。
【0026】Al:0.01〜0.10% Alは脱酸材として必要であり、0.01%未満では脱酸が不
十分となり介在物が増加する。また、0.10%以上添加す
ると、Alの酸化物が鋼中に残存することがある。このた
め上限を0.10%とした。好ましくは、0.01〜0.05%であ
る。
【0027】Ca:0.01%以下 Caは孔拡げ性に有害なMnS を球状化し無害にすることが
できる。このため、微量のMnS の有無も孔拡げ性に大き
く影響する690N以上の鋼板にはCaを添加することが望ま
しい。
【0028】X:2.0 〜4.0 Xは打ち抜き面性状、打ち抜き疲労性に影響が大きい。
Xが2.0 未満の場合、剪断面が長くなり、破断面にも大
きなクラックが入り、そこを起点として疲労亀裂が発達
する。従って下限を2.0 とした。一方、4.0 超では剪断
面/破断面の境界に微小なクラックが入る。境界は加工
硬化されているためわずかなクラックが打ち抜き疲労性
を大幅に低下させる。従って上限を4.0 とした。
【0029】次に製造条件の限定理由について説明す
る。
【0030】加熱温度:1230℃以上 打ち抜き面性状に影響がある、Ti、Nbは固溶状態におい
て効果がある。従って鋳込み時に析出した粗大なTiC 、
NbC を再固溶させるためには1230℃以上とする必要があ
る。また、スケールロスや燃料費などから加熱温度は13
00℃以下とすることが望ましい。
【0031】熱延仕上げ温度:Ar3 点+30℃以上 Ar3 点近傍で熱間圧延を仕上げると、板厚中心付近にバ
ンド組織が形成されることが多い。このバンド組織は孔
拡げ性を劣化させる原因となるため、Ar3 +30℃以上で
熱間圧延を仕上げる必要がある。好ましくは、Ar3 点+
30℃〜Ar3 点+40℃である。
【0032】仕上げ圧延直後冷却速度:30℃/S以上 仕上げ圧延直後の冷却速度が遅いと、孔拡げ性、打ち抜
き疲労性に有害なパーライトが析出する。本発明ではこ
のときの冷却速度を30℃/S以上とする。上限は特に限定
することはないが、好ましくは 100℃/S以下、より好ま
しくは、50〜90℃/Sである。
【0033】空冷温度:750 〜600 ℃、空冷時間:3〜
10S 空冷温度が750 ℃を越える場合もパーライトが析出す
る。一方、空冷温度が600 ℃未満と低い場合、あるいは
急冷時間が3Sより短い場合、フェライトの成長が不十分
となり、成分によりベイナイトが多量に生成される。こ
れは伸びの劣化だけでなく、打ち抜き疲労特性も劣化す
る。
【0034】しかし、空冷時間が10S 超と長くなりすぎ
るとCの濃縮が進みパーライトが析出するかあるいはそ
の後の冷却過程においてマルテンサイトが多量に生成さ
れる。これは、孔拡げ性の劣化だけでなく、打ち抜き疲
労特性も劣化させる。好適空冷温度は、720 〜650 ℃で
あり、また好適空冷時間は5〜9S である。
【0035】空冷後冷却速度:30℃/S以上 空冷後、再び30℃/S以上の冷却速度を必要とするのもパ
ーライトの析出を抑制するためである。このときも上限
は特に限定することはないが、好ましくは80℃/S以下、
より好ましくは、50〜80℃/Sである。
【0036】巻取り温度:300 ℃以下 打ち抜き面性状を改善する低温変態組織をわずかに得る
ため、300 ℃以下の巻き取りが必要である。好ましくは
200 〜250 ℃以下である。
【0037】
【実施例】表1の成分を有するスラブを表2の加熱温
度、圧延仕上げ温度、仕上げ圧延直後冷却速度、空冷温
度、空冷時間、空冷後冷却速度、巻取温度で、板厚2.9
mの熱延鋼板を製造した。この熱延鋼板を用いて、引張
特性、孔拡げ性、疲労限度を調査した。それらの結果
は、まとめて表2に示す。
【0038】なお、本実施例における各試験方法は次の
通りである。引張試験はJIS 5号試験片により測定し、
圧延方向の特性値でもって引張特性を評価した。
【0039】孔拡げ試験は図2(a) 、(b) にその試験要
領を示すように、試験片の寸法を150 mm角とし、その中
心に直径12mmの孔20を、パンチとダイスによる打ち抜き
により作製した。直径12mmをD0 とし、このときパンチ
とダイスのクリアランスは板厚の25%とした。打ち抜き
により孔を作製後、頂角が60°をなす孔拡げ用円錐パン
チをバリ側として、孔拡げ加工を行った。このとき試験
片はダイスにより抑えられ材料の流入がないようにし
た。判定はパンチを徐々に上げ、孔拡げを実施し、板厚
貫通割れが1つ発生した時点でパンチを止め、試験片を
試験機よりはずしたときの内径を2方向測定しその平均
値をD1 とした。
【0040】孔拡げ率(HEL) は(2) 式により計算で求め
た。 HEL= (D1 −D0)/D0 ×100 ・・・ (2) 疲労試験は図3に示す試験片30を用いて実施した。試験
片30は板幅の1/4 〜1/4 幅より圧延方向に採取し、試験
片のエッジは機械加工を施し、バリなどは紙ヤスリで除
去した。その後、直径12mmの孔40を打ち抜きにより作製
した。そのときのクリアランスは25%とした。母材 (平
滑材) の引張り疲労試験片は23mm幅で実施した。図中の
数字は寸法(mm)を示す。板厚は2.9 mmであった。
【0041】疲労試験は完全片振りの引張疲労で評価を
行った。引張疲労試験としたのはホィールディスクの風
穴部の応力状態に近いためである。結果は表2に示す。
表2に示す結果からも、本発明範囲内であるNo.A〜H で
は、引張特性、孔拡げ性、疲労特性のいずれも良好であ
ることがわかる。
【0042】それに対して、比較鋼であるNo.I〜Z で
は、引張特性、孔拡げ性、疲労特性の何れかが劣る結果
となっている。つまり、No.IではC添加量が多いため、
フェライト、ベイナイト、パーライトの混粒組織となり
EL、および疲労特性に劣化が見られる。No.JもMnが過剰
に添加されているためマルテンサイトが多量に生成し、
特性の劣化が見られる。No.K、L については P、S が孔
拡げ性を劣化させていることがわかる。また、No.M、O
はTi、Nb、Crを多量に添加してもその効果が飽和される
ことを表している。一方、No.N、P 、R はTi、Nb、Crの
添加量が少ないため、疲労性の劣化が見られる。さらに
No.S、T はそれぞれの成分は本発明の範囲内であるが、
疲労特性に影響を及ぼすXが本発明の範囲よりはずれて
おり、それが疲労性の劣化をもたらした。
【0043】No.U〜Z は製造条件がそれぞれ本発明の範
囲からはずれたものの例であるが、冷却速度、空冷温
度、時間巻取り温度が本発明の範囲からはずれたため、
組織的に打ち抜き面が劣化し疲労特性は劣化したことが
わかる。
【0044】また、図4は表2の結果にもとづき、X値
だけを種々変更したときのX値と疲労限についてまとめ
たグラフであり、図示のようにX以外は本発明範囲内で
あるとき、Xの値により打ち抜き疲労特性が大きく向上
する領域が見られる。つまりMn、Ti、Nb、Crは打ち抜き
面の性状に大きく影響し、打ち抜き疲労特性を改善する
ことができる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】以上説明したごとく、C、Mn等を適量添
加しMn、Ti、Nb、Crを添加する、および加熱温度や冷却
速度、空冷時間、温度さらに巻取り温度なども規定する
ことにより、打ち抜き面性状が大幅に改善され、その結
果として打ち抜き疲労性に優れた熱延鋼板を製造するこ
とが可能となる。これは主にホィールディスクなどの打
ち抜き面が繰り返し応力を受けて、疲労破壊の起点とな
りやすい部品に対してその疲労特性を向上させる手段と
して多大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】引張疲労試験における、母材試験片 (打ち抜き
なし) と打ち抜き疲労試験片の疲労限に及ぼす母材TSの
影響を示したグラフである。
【図2】図2(a) 、(b) は孔拡げ試験要領を示したそれ
ぞれ試験片の平面図および断面説明図である。
【図3】引張疲労試験片を示した側面図である。
【図4】X値(0.8Mn+5Ti+7Nb+3Cr) が疲労特性に
及ぼす影響を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 9/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C:0.03〜0.10%、 Si:0〜1.5 %、 Mn:0.5
    〜2.0 %、 P:0.025 %以下、 S:0.002 %以下、 Ti:0.01
    〜0.10% Nb:0.01〜0.10%、 Cr:0.3 〜1.0 %、 Al:0.01
    〜0.10%、 かつ下記(1) 式に示すXの範囲: 2.0≦X≦4.0 、 残部: 鉄および不可避的不純物 よりなる鋼組成を有し、フェライトおよび少量のベイナ
    イト、マルテンサイト組織からなる切り欠き疲労性およ
    び孔拡げ性に優れた熱延鋼板であって、前記鋼組成の
    片を1230℃以上に加熱したのち、Ar3 点+30℃以上の仕
    上げ温度で熱間圧延を行い、次いで、30℃/S以上の冷却
    速度で750 〜600 ℃に冷却し、この温度域で3〜15S 空
    冷し、さらに30℃/S以上の冷却速度で300 ℃以下の温度
    にまで冷却してからその温度で巻取ることにより前記組
    織とし、孔拡げ率80%以上の特性を有するようにした
    延鋼板。 X=0.8 Mn+5Ti+7Nb+3Cr ・・・ (1)
  2. 【請求項2】 前記鋼組成が、さらに、重量%で、Ca:
    0.01%以下を含有する請求項1記載の切り欠き疲労性お
    よび孔拡げ性に優れた熱延鋼板。
  3. 【請求項3】 重量%で C:0.03〜0.10%、 Si:0〜1.5 %、 Mn:0.5
    〜2.0 %、 P:0.025 %以下、 S:0.002 %以下、 Ti:0.01
    〜0.10% Nb:0.01〜0.10%、 Cr:0.3 〜1.0 %、 Al:0.01
    〜0.10%、 かつ下記(1) 式に示すXの範囲: 2.0≦X≦4.0 、 残部: 鉄および不可避的不純物 よりなる鋼組成を有する鋼片を1230℃以上に加熱したの
    ち、Ar3 点+30℃以上の仕上げ温度で熱間圧延を行い、
    次いで、30℃/S以上の冷却速度で 750〜600 ℃に冷却
    し、この温度域で3〜15S 空冷し、さらに30℃/S以上の
    冷却速度で300 ℃以下の温度にまで冷却してからその温
    度で巻取ることを特徴とするフェライトおよび少量のベ
    イナイト、マルテンサイト組織からなる切り欠き疲労性
    および孔拡げ性に優れた熱延鋼板の製造方法。 X=0.8 Mn+5Ti+7Nb+3Cr ・・・ (1)
  4. 【請求項4】 前記鋼組成が、さらに、重量%で、Ca:
    0.01%以下を含有する請求項3記載の切り欠き疲労性お
    よび孔拡げ性に優れた熱延鋼板の製造方法。
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