JPH0987798A - 超微細粒を有する延性、靱性、疲労特性、強度延性バランスに優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
超微細粒を有する延性、靱性、疲労特性、強度延性バランスに優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法Info
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- JPH0987798A JPH0987798A JP25225695A JP25225695A JPH0987798A JP H0987798 A JPH0987798 A JP H0987798A JP 25225695 A JP25225695 A JP 25225695A JP 25225695 A JP25225695 A JP 25225695A JP H0987798 A JPH0987798 A JP H0987798A
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Abstract
微細ポリゴナルフェライト組織からなり、超微細粒を有
する延性、靱性、耐疲労特性、強度延性バランスに優れ
た高張力熱延鋼板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:
0.30〜2.0 %、Mn:1.0 〜2.5 %、Al:0.003 〜0.
100 %、Ti:0.05〜0.30%を含有し、さらに、5 〜20
%(体積率)の残留オーステナイトと、75%以上(体積
率)の平均粒径10μm未満のポリゴナルフェライトから
なる超微細粒を有する延性、靱性、疲労特性、強度延性
バランスに優れた高張力熱延鋼板で、スラブを、低温加
熱後、圧下率が20%以上/パスとなる圧延を2回以上行
い、Ar3変態点以上で仕上圧延を行った後、20℃/秒以
上の冷却速度で冷却し、350 ℃から550 ℃で巻き取るこ
とにより製造できる。
Description
動車用材、構造用材、パイプ用材に適した熱延鋼板に関
し、特に、490MPa以上の引張強度を有し、延性、
靱性、疲労特性、強度延性バランスに優れた高張力熱延
鋼板およびその製造方法に関する。
織を微細化することが有効であることはすでに良く知ら
れている。従来より微細組織を得るための方法が数多く
模索されてきた。特に、近年低コスト化のために高張力
鋼板が多く使用されるようになり、高張力に伴う延性、
加工性、靱性などの劣化を抑える目的で、高張力鋼にお
ける組織の微細化が重要な課題となっている。
制御圧延法、制御冷却法、大圧下圧延法などの方法が知
られている。これらのうち高張力化と組織の微細化とを
同時に達成する方法として、広く用いられてきたのは、
NbもしくはTiを含む高張力熱延鋼板に応用された制
御圧延法である。この方法が広く用いられてきた背景
は、これら鋼板に含有されるNbもしくはTiの析出強
化作用によって高張力化が容易に図れることおよびN
b、Tiのオーステナイト粒の再結晶抑制作用によっ
て、低温圧延を施した時にγ→αへの歪誘起変態が促進
されるため、フェライト粒の微細化が図れること、が同
時に可能となったためである。しかし、これらの方法で
製造された高張力鋼板の難点は機械的性質の異方性が大
きいことである。例えば、プレス成形用の自動車用鋼板
などでは、成形限界はもっとも延性が劣る方向での特性
水準によって決まるため、異方性が大きい鋼板では高い
プレス成形性を確保することが難しくなる。また、構造
用材あるいはパイプ用材においても、靱性や疲労強度な
どの異方性が大きいということは設計上、使用上の問題
につながる。
は、たとえば、特開昭58−123823号公報、特開昭59−22
9413号公報に開示されている。これらの方法の微細化機
構の要点はオーステナイト粒に大圧下を加えることによ
り、γ→αへの歪誘起変態を促進することにある。上記
のNb、Tiを含有する高張力熱延鋼板に応用された制
御圧延法との違いは、制御圧延方法がNb、Tiのオー
ステナイト粒の再結晶抑制効果を利用するのに対し、大
圧下圧延法では、Nb、Tiを含有させなくても結晶粒
の微細化が可能である。しかし、1パスあたりの圧下率
を40%以上にする必要があるなど、一般的なホットス
トリップミルでは難しいことが難点である。
両立させたものとして、残留オーステナイトのTRIP
効果(Transformation Induced Plasticity:変態誘起塑
性)を利用した鋼板が提案されている。たとえば、特開
昭60−43425 号公報には、熱間圧延後、鋼板を450 〜65
0 ℃の温度範囲で4 〜20秒保持し、ついで350 ℃以下で
巻き取ることによる残留オーステナイトを有する鋼板を
製造する方法が提案されている。しかし、この方法では
所定の温度で保定するという特殊な冷却制御を必要とす
るため、安定かつ均一な材質を得ることができないとい
う難点があった。
を有利に解決し、熱延のままで、延性、靱性、疲労強
度、強度延性バランスに優れた、引張強さが490MP
a以上の高張力熱延鋼板およびその製造方法を提供する
ことを目的とする。
態を利用しない、新たなる結晶粒の微細化方法を鋭意探
究し、以下に述べる新しい手段を見出した。オーステナ
イト粒が圧延−再結晶により微細化してゆくことは古く
から知られているが、一般にはこのような再結晶による
微細化では、到達しうるフェライト結晶粒径はせいぜい
20μmが限度である。そのため、再結晶過程を利用す
る方法は、超微細粒を得るためには、不適切であると考
えられてきた。しかし、本発明者らは、熱間圧延開始前
のオーステナイト粒を極度に微細化させてから圧延を行
うと、その後の圧延−再結晶が極めて加速的に生じるよ
うになり、圧延後の再結晶粒の微細化が大幅に進展する
ことを見出した。その理由については必ずしも明確では
ないが、以下に述べる機構によると考えられる。
は、動的再結晶と静的再結晶がある。動的再結晶は、圧
延温度が高く、歪速度が遅く、且つ大圧下が加えられた
時、すなわち、ホットストリップミルでの熱間圧延でい
えば、一般的には粗圧延の初期〜中期の段階に該当する
ような圧延条件においてのみ生ずる可能性のある再結晶
である。圧延温度が低下し、かつ歪速度が速くなるよう
な仕上圧延の段階になるとこの動的再結晶は起きにくく
なり、代わって静的再結晶が起きるようになると考えら
れてきた。
粒界移動あるいは新粒界を生成することによって歪を開
放する現象である。結晶粒の微細化は再結晶核の核生成
サイトを増加させるので動的再結晶を生じやすくする方
向に作用する。また、動的再結晶の核の生成位置は、オ
ーステナイト粒界であるので、オーステナイト粒が微細
であるほど動的再結晶の核生成頻度が高まり、再結晶後
の新しい粒の微細化が進行する。かくして、初期オース
テナイト粒径を極度に微細化すれば、動的再結晶はより
低温域、より高歪速度域、より低歪領域においても生じ
るようになり、従来の熱間圧延では生じえなかった仕上
圧延段階においても、動的再結晶による微細化が進行し
てゆくものと推測される。
は、熱間圧延開始前、すなわち、スラブ加熱段階におけ
る初期オーステナイト粒を極度に(例えば 100μm 以
下)微細化させることである。本発明では、多量のTi
Cを存在せしめることによってはじめて達成できた。す
なわち、本発明では、Tiをスラブ加熱段階でオーステ
ナイト中に溶解させずTiCの状態として存在させるこ
とが重要な要件となる。オーステナイト中に溶解したT
i、すなわち、固溶Tiは再結晶を阻害し、本発明の微
細化過程である動的再結晶を起こしがたくする。また、
Tiが、オーステナイト中に溶解すると、初期オーステ
ナイトの成長を抑制するTiCの量が減少するため、オ
ーステナイト粒が成長する。
により得た微細オーステナイトを冷却すると、フェライ
ト変態が促進され、より未変態オーステナイトへのCの
濃縮が進行し、残留オーステナイトが安定に存在し易く
なることを見出し、本発明を構成した。すなわち、本発
明は、重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:0.30〜2.
0 %、Mn:1.0 〜2.5 %、Al:0.003 〜0.100 %、
Ti:0.05〜0.30%を含有し、残部Feおよび不可避的
不純物からなり、さらに、平均結晶粒径10μm未満の
ポリゴナルフェライトが体積率で75%以上、かつ残留
オーステナイトが体積率で5〜20%の組織からなるこ
とを特徴とする超微細粒を有する延性、靱性、疲労特
性、強度延性バランスに優れた高張力熱延鋼板であり、
また、本発明は、重量%で、C:0.05%〜0.30%、S
i:0.30〜2.0 %、Mn:1.0 〜2.5 %、Al:0.003
〜0.100 %、Ti:0.05〜0.30%、Nb:0.30%以下、
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、さ
らに、平均結晶粒径10μm未満のポリゴナルフェライ
トが体積率で75%以上、かつ5〜20%の残留オース
テナイトが体積率で5〜20%の組織からなることを特
徴とする超微細粒を有する延性、靱性、疲労特性、強度
延性バランスに優れた高張力熱延鋼板であり、また、本
発明は、重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:0.30〜
2.0 %、Mn:2.5 %以下、Al:0.003 〜0.100 %、
Ti:0.05〜0.30%、を含有し、かつ、Ni:2.5%、
Cr:2.5 %、Mo:2.5 %、Cu:2.5 %、のうちか
ら選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよ
び不可避的不純物からなり、さらに、平均結晶粒径10
μm未満のポリゴナルフェライトが体積率で75%以
上、かつ残留オーステナイトが体積率で5〜20%の組
織からなることを特徴とする超微細粒を有する延性、靱
性、疲労特性、強度延性バランスに優れた高張力熱延鋼
板であり、またさらに、本発明は、重量%で、C:0.05
%〜0.30%、Si:0.30〜2.0 %、Mn:2.5 %以下、
Al:0.003 〜0.100 %、Ti:0.05〜0.30%、Nb:
0.30%以下、を含有し、かつ、Ni:2.5 %以下、C
r:2.5 %以下、Mo:2.5%以下、Cu:2.5 %以
下、のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物からなり、さらに、平均
結晶粒径10μm未満のポリゴナルフェライトが体積率
で75%以上、かつ残留オーステナイトが体積率で5〜
20%の組織からなることを特徴とする超微細粒を有す
る延性、靱性、疲労特性、強度延性バランスに優れた高
張力熱延鋼板である。
0.30%、Si:0.30〜2.0 %、Mn:1.0 〜2.5 %、A
l:0.003 〜0.100 %、Ti:0.05〜0.30%、を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、
950 ℃以上1100℃以下の温度に加熱後、1 パス当たりの
圧下率が20%以上となる圧延を少なくとも2回以上行
い、仕上圧延温度がAr3変態点以上となる熱間圧延を行
った後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、350℃か
ら550℃の温度範囲で巻き取ることを特徴とする超微
細粒を有する延性、靱性、疲労特性、強度延性バランス
に優れた高張力熱延鋼板の製造方法であり、また、さら
に、本発明は、前記製造方法において、前記スラブが、
重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:0.30〜2.0 %、
Mn:1.0 〜2.5 %、Al:0.003 〜0.100 %、Ti:
0.05〜0.30%、Nb:0.30%以下、を含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなる組成を有するスラブであ
り、また、本発明は、前記製造方法において、前記スラ
ブが、重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:0.30〜2.
0 %、Mn:2.5 %以下、Al:0.003 〜0.100 %、T
i:0.05〜0.30%、を含有し、かつ、Ni:2.5 %以
下、Cr:2.5 %以下、Mo:2.5 %以下、Cu:2.5
%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブであ
り、また、本発明は、前記製造方法において、前記スラ
ブが、重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:0.30〜2.
0 %、Mn:2.5 %以下、Al:0.003 〜0.100 %、T
i:0.05〜0.30%、Nb:0.30%以下、を含有し、か
つ、Ni:2.5 %以下、Cr:2.5 %以下、Mo:2.5
%以下、Cu:2.5 %以下、のうちから選ばれた1種ま
たは2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物
からなるスラブである超微細粒を有する延性、靱性、疲
労特性、強度延性バランスに優れた高張力熱延鋼板の製
造方法である。
る。 C:0.05〜0.30重量%(以下%という) Cは必要な強度を得るためおよび組織微細化に重要な加
熱段階でのTiCを十分な量を確保するために、0.05%
以上必要である。また、0.30%を超えるとパーライト相
の比率が高くなり、延性および靱性が劣化するととも
に、溶接性が劣化する。したがって、0.05〜0.30%の範
囲とした。なかでも、超微細フェライトを得るために
は、0.05%〜0.20%が好ましい。
を高め、フェライト変態を促進する有効な元素である。
フェライト変態の促進により残留オーステナイトを含む
組織を得やすくする効果も有している。このような効果
を十分に発揮させるためには0.30%以上の添加が必要で
ある。一方では、Siの多量添加は、熱延時に脱スケー
ル性の悪いスケールが生成して製品の表面性状に悪影響
を及ぼす。本発明では、超微細組織を得るため加熱温度
を低温域に設定するので、上記表面状態を悪化させるS
i量の上限は、通常に比べ高くできるが、2.0 %を超え
るとその悪影響が顕在化するので2.0 %とした。なお、
フェライト変態を促進させるには、0.50%〜2.0 %がよ
り好ましい。
には、Mn単独では1.0 %以上の添加が必要である。一
方、2.5 %を超えるとフェライト変態が著しく遅延し、
本発明の目的とするフェライト組織が体積率で75%以上
となりにくい。上記した理由から、1.0 〜 2.5%の範囲
とした。
Moで代替することができる。これら元素は、強度向上
についてはMnとほぼ等しい効果を有しているため、他
の特性、例えば、耐食性、溶接性等を高める場合には、
Mn量の一部をこれら元素で代替する。Mnを他の元素
で代替するときは、Mnの範囲は2.5 %以下となるが経
済性を考慮し、Mn量の下限は、0.5 %が好ましい。
003 %未満ではその効果は得られない。また、0.10%を
超えると結晶粒の粗大化および介在物による内部欠陥を
もたらす。そのため、0.003 〜0.10%の範囲とした。結
晶粒微細化のためには、0.010 %〜0.060 %が好まし
い。
ナイト粒を微細化させ圧延過程での動的再結晶を生じさ
せるために、必須の元素である。オーステナイト粒微細
化に必要なTiCを得るためには、少なくとも0.05%以
上必要であるが、0.30%を超えるとTiCによる微細化
効果は飽和するので、上限とした。
o:2.5 %以下、Cu:2.5 %以下から選ばれた1種ま
たは2種以上 Ni、Cr、Mo、Cuはいずれも強度向上に有効な元
素である。強度以外に、耐食性、溶接性等の向上のた
め、Mnの代替元素として添加する。添加量は、強度や
要求される特性により選択できるが、いずれの元素も2.
5 %を超えると、フェライト変態が著しく遅延し、フェ
ライト体積率75%以上の組織とならなくなるため、上限
とした。Mn全量をこれら元素で代替するより、各元素
を複合して添加したほうが経済的ではある。好ましく
は、フェライト変態を著しく遅らせないために、Ni、
Cr、Mo、Cuいずれの元素とも 1.5%以下が望まし
い。
熱段階の初期オーステナイト粒を微細化させる。また、
Tiは、EBW、フラッシュバット溶接時の溶接界面で
の酸化物の残存による欠陥が問題になる場合があり、そ
れを回避するため、Tiの一部をNbに代替することが
できる。0.30%を超えると、効果が飽和するため上限と
した。
は、低いほどよいが、経済性を考慮して、O:0.008 %
以下、N:0.006 %以下、P:0.020 %以下、S:0.01
0 %以下が望ましい。 フェライト粒径:10μm 未満、フェライト体積率:7
5%以上 延性・靱性を保持しつつ、高張力化を達成するために
は、組織をポリゴナルフェライトを主体とする組織とす
る必要がある。なお、ポリゴナルフェライトとは、ここ
では、結晶粒の圧延方向と直角方向の粒径比が 1.0〜1.
3 の範囲にあるものをいう。しかも、そのような組織の
もとで引張強さが490MPa以上を得るためには、ポ
リゴナルフェライト粒径が10μm 未満を満足させる必
要がある。ポリゴナルフェライト粒径に対する、シャル
ピー衝撃試験の破面遷移温度 VTrs、両振り平面曲げ疲
労試験における耐疲労限と引張強さの比FL/TS、強
度延性バランス(引張強さ×伸び)TS×Elの関係を
図3に示す。ポリゴナルフェライト粒径が10μm 以上
では、靱性・耐疲労特性・強度延性バランスの劣化が著
しいため、10μm 未満を上限とした。
サイトが増すと強度は増加するが、延性、靱性は劣化す
る傾向を示す。そのため、可能な限り、組織はフェライ
ト、それもポリゴナルフェライトとする必要がある。図
2に、ポリゴナルフェライト体積率と、シャルピー衝撃
試験の破面遷移温度 VTrs、両振り平面曲げ疲労試験に
おける耐疲労限と引張強さの比FL/TS、強度延性バ
ランス(引張強さ×伸び)TS×Elとの関係を示す。
高い靱性、高い耐疲労限と引張強さの比、高い強度延性
バランスが得られるのは、ポリゴナルフェライト体積率
が75%以上の場合である。これにより、ポリゴナルフ
ェライト体積率75%を下限とした。
がある。残留オーステナイト量に対する、 VTrs,FL
/TS,TS×Elの関係を図1に示す。残留オーステ
ナイト量が5%未満では、延性、靱性、耐疲労特性、強
度延性バランスが低く、一方、20%以上の残留オース
テナイトを確保することは難しいため、残留オーステナ
イトは、体積率で5〜20%の範囲とした。本発明の主
要な要件の1つである残留オーステナイトが安定して存
在することが高張力化しても延性、靱性、耐疲労特性、
強度延性バランスを安定して確保できる要因の1つであ
る。
でよく、特に限定しない。転炉または、電気炉で溶製
し、取鍋精錬、脱ガス処理等を施し、連鋳法あるいは造
塊法によりスラブまたは鋼塊とし、鋼塊は分塊圧延を通
しスラブとしたのち、熱間圧延により、熱延鋼板とす
る。熱間圧延前にスラブの幅圧下を施してもよい。次
に、熱間圧延条件について説明する。
を微細化するため、TiCの析出を利用することにあ
る。このため、スラブの加熱温度を950℃〜1100
℃の範囲に限定する。950℃未満では、仕上圧延をオ
ーステナイト領域で終了することが難しくなるため、目
的とするポリゴナルフェライト組織を得ることおよび延
性、靱性、耐疲労特性、強度延性バランス等の機械的性
質の確保、とくに、延性の確保が難しくなるため、スラ
ブ加熱温度の下限を950℃とした。また、1100℃
を超えるとTiCの溶解が増し、TiCによるオーステ
ナイト粒を微細化する効果が失われること、固溶Tiの
増加により熱間圧延時の動的再結晶が生じがたくなるこ
となどにより、残留オーステナイトを含み、かつ超微細
なポリゴナルフェライト組織を得ることが難しくなるた
め、スラブ加熱温度の上限は1100℃とした。
粒を動的再結晶により微細化することにある。オーステ
ナイト粒が動的再結晶を起こすためには、上記した初期
オーステナイト粒の微細化と、さらに圧延条件を適切に
する必要がある。圧延条件として、少なくとも2回以上
1パス当たりの圧下率を20%以上とする必要がある。
20%未満では、動的再結晶による微細化が生じないた
め、下限とした。オーステナイトの微細化の観点から
は、圧下率は大きい方が好ましいが、実際的には圧延機
の能力、生産性から限界があるため、20%から50%が好
ましい。1パス当たりの圧下率が20%以上となるパス
の回数は、少なくとも2回以上を必要とする。それは、
動的再結晶を起こさせる回数が多くなるほど微細化が進
展するのでパス回数が重要である。パス回数が2回に満
たない場合には本発明の目的とする10μm 未満の超微細
フェライトが得られなくなるためである。本発明では、
仕上圧延後の段階ではオーステナイト粒はほぼ等軸粒で
微細化している。そのまま、γ→α変態を完了させれ
ば、微細なポリゴナルフェライト粒になる。
イト粒の粒成長が進行し、微細なポリゴナルフェライト
粒の形成が難しくなるため、圧延後の冷却速度の下限
は、20℃/秒とした。フェライト粒微細化の点から
は、圧延後の冷却速度は速ければ速いほどよく、冷却速
度の上限は特に規定しないが、鋼板の平坦度を良好に保
つためには、100℃/秒以下が好ましい。
は、350〜550℃の範囲が望ましい。550℃を超
えると残留オーステナイトの形成が少なくなること、巻
き取り後の自己焼鈍によりフェライト粒が成長すること
など好ましくない結果が生じる。また、350℃未満で
はマルテンサイト量が増し、残留オーステナイト量が減
少し、鋼板の平坦度の低下が生じる。このようなことか
ら、巻取温度は、350℃〜550℃の範囲とした。
製し、220mm厚のスラブとした。さらに、表2に示
す圧延条件で3.0mm厚の熱延鋼板とした。熱延鋼板
の組織として、ポリゴナルフェライトの体積率、ポリゴ
ナルフェライト結晶粒径を画像処理装置を用いて測定し
た。フェライト結晶粒径は、0.1×0.1mmの視野
で、10箇所測定しその平均値で表示した。また、残留
オーステナイト量を、X線回折で測定した。さらに、J
IS5号試験片による引張特性、周波数20Hzの両振
り平面曲げ試験法による疲労限、2mmVノッチシャル
ピー衝撃試験片による延性−脆性遷移温度(V Trs)を
調査した。その結果を表3に示す。
Pa以上と高く、しかも、強度延性バランス、TS×E
lは20000MPa・%以上、耐久比、FL/TSは
0.55以上、 VTrsは−100℃以下であり、高張力
鋼としては、高靱性・高耐久比・強度延性バランスを有
していることがわかる。表3の結果をもとに、図1に V
Trs、FL/TS、TS×Elと残留オーステナイト率
の関係を示す。これから明らかなように、本発明例では
いずれも残留オーステナイト率が5%以上で、比較例よ
りも VTrs、FL/TS、TS×Elとも優れているこ
とがわかる。
ポリゴナルフェライト体積率の関係を示す。本発明例は
いずれも VTrs、FL/TS、TS×Elが優れてい
る。これに対して比較例では、ポリゴナルフェライト体
積率が75%以上でも特性が低いものがある。図3は、 V
Trs、FL/TS、TS×Elとポリゴナルフェライト
粒径の関係を示す。本発明例はいずれも VTrs、FL/
TS、TS×Elが比較例より優れている。これに対し
て比較例では、ポリゴナルフェライト粒径が10μm 未満
でも特性が低いものがある。
フェライト体積率は75%以上であるが、No. 1、9、24
は残留オーステナイト率が5%未満で、ポリゴナルフェ
ライト粒径が10μm 以上のもであり、No. 19はポリゴナ
ルフェライト粒径は10μm 未満であるが残留オーステナ
イト率が5%未満のものである。図3におけるNo. 16、
19、27は、いずれもポリゴナルフェライト粒径が10μm
未満であるが、No. 16、27は残留オーステナイト率が5
%未満で、フェライト体積率は75%未満のものである。
No. 19は残留オーステナイト率が5%未満のものであ
る。
ポリゴナルフェライト体積率、ポリゴナルフェライト粒
径の全ての条件が同時に本発明範囲を満足する場合にの
み、良好な機械的性質を得ることができることがわか
る。
とせずに、残留オーステナイトを含む超微細ポリゴナル
フェライト組織がえられ、その結果、延性、靱性、耐疲
労特性、強度延性バランスに優れた高張力熱延鋼板が得
られる。さらに、本発明になる鋼板を用いて製品を製造
する際には作業性、生産性、歩留り等の向上が期待され
る。
テナイト率の関係を示す図である。
フェライト体積率の関係を示す図である。
フェライト粒径の関係を示す図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:
0.30〜2.0 %、Mn:1.0 〜2.5 %、Al:0.003 〜0.
100 %、Ti:0.05〜0.30%、を含有し、残部Feおよ
び不可避的不純物からなり、さらに、平均結晶粒径10
μm未満のポリゴナルフェライトが体積率で75%以
上、かつ残留オーステナイトが体積率で5〜20%の組
織からなることを特徴とする超微細粒を有する延性、靱
性、疲労特性、強度延性バランスに優れた高張力熱延鋼
板。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:
0.30〜2.0 %、Mn:1.0 〜2.5 %、Al:0.003 〜0.
100 %、Ti:0.05〜0.30%、Nb:0.30%以下、を含
有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、さら
に、平均結晶粒径10μm未満のポリゴナルフェライト
が体積率で75%以上、かつ残留オーステナイトが体積
率で5〜20%の組織からなることを特徴とする超微細
粒を有する延性、靱性、疲労特性、強度延性バランスに
優れた高張力熱延鋼板。 - 【請求項3】 重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:
0.30〜2.0 %、Mn:2.5 %以下、Al:0.003 〜0.10
0 %、Ti:0.05〜0.30%、を含有し、かつ、Ni:2.
5 %以下、Cr:2.5 %以下、Mo:2.5 %以下、C
u:2.5 %以下、のうちから選ばれた1種または2種以
上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
さらに、平均結晶粒径10μm未満のポリゴナルフェラ
イトが体積率で75%以上、かつ残留オーステナイトが
体積率で5〜20%の組織からなることを特徴とする超
微細粒を有する延性、靱性、疲労特性、強度延性バラン
スに優れた高張力熱延鋼板。 - 【請求項4】 重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:
0.30〜2.0 %、Mn:2.5 %以下、Al:0.003 〜0.10
0 %、Ti:0.05〜0.30%、Nb:0.30%以下、を含有
し、かつ、Ni:2.5 %以下、Cr:2.5 %以下、M
o:2.5 %以下、Cu:2.5 %以下、のうちから選ばれ
た1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避
的不純物からなり、さらに、平均結晶粒径10μm未満
のポリゴナルフェライトが体積率で75%以上、かつ残
留オーステナイトが体積率で5〜20%の組織からなる
ことを特徴とする超微細粒を有する延性、靱性、疲労特
性、強度延性バランスに優れた高張力熱延鋼板。 - 【請求項5】 重量%で、C:0.05%〜0.30%、Si:
0.30〜2.0 %、Mn:1.0 〜2.5 %、Al:0.003 〜0.
100 %、Ti:0.05〜0.30%、を含有し、残部Feおよ
び不可避的不純物からなるスラブを、950 ℃以上1100℃
以下の温度に加熱後、1 パス当たりの圧下率が20%以上
となる圧延を少なくとも2回以上行い、仕上圧延温度が
Ar3変態点以上となる熱間圧延を行った後、20℃/秒以
上の冷却速度で冷却し、350℃から550℃の温度範
囲で巻き取ることを特徴とする超微細粒を有する延性、
靱性、疲労特性、強度延性バランスに優れた高張力熱延
鋼板の製造方法。 - 【請求項6】 前記スラブが、重量%で、C:0.05%〜
0.30%、Si:0.30〜2.0 %、Mn:1.0 〜2.5 %、A
l:0.003 〜0.100 %、Ti:0.05〜0.30%、Nb:0.
30%以下、を含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
らなる組成を有するスラブである請求項5記載の超微細
粒を有する延性、靱性、疲労特性、強度延性バランスに
優れた高張力熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項7】 前記スラブが、重量%で、C:0.05%〜
0.30%、Si:0.30〜2.0 %、Mn:2.5 %以下、A
l:0.003 〜0.100 %、Ti:0.05〜0.30%、を含有
し、かつ、Ni:2.5 %以下、Cr:2.5 %以下、M
o:2.5 %以下、Cu:2.5 %以下、のうちから選ばれ
た1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避
的不純物からなるスラブである請求項5記載の超微細粒
を有する延性、靱性、疲労特性、強度延性バランスに優
れた高張力熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項8】 前記スラブが、重量%で、C:0.05%〜
0.30%、Si:0.30〜2.0 %、Mn:2.5 %以下、A
l:0.003 〜0.100 %、Ti:0.05〜0.30%、Nb:0.
30%以下、を含有し、かつ、Ni:2.5 %以下、Cr:
2.5 %以下、Mo:2.5 %以下、Cu:2.5 %以下、の
うちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなるスラブである請求項5
記載の超微細粒を有する延性、靱性、疲労特性、強度延
性バランスに優れた高張力熱延鋼板の製造方法。
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