JP4517326B2 - 非可逆回路素子及びこれを用いた無線通信機器 - Google Patents

非可逆回路素子及びこれを用いた無線通信機器 Download PDF

Info

Publication number
JP4517326B2
JP4517326B2 JP2001078794A JP2001078794A JP4517326B2 JP 4517326 B2 JP4517326 B2 JP 4517326B2 JP 2001078794 A JP2001078794 A JP 2001078794A JP 2001078794 A JP2001078794 A JP 2001078794A JP 4517326 B2 JP4517326 B2 JP 4517326B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
conductor
ground
circuit device
ground electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001078794A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001345604A (ja
Inventor
修一 渡辺
秀人 堀口
雄太 杉山
耕司 市川
博之 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2001078794A priority Critical patent/JP4517326B2/ja
Publication of JP2001345604A publication Critical patent/JP2001345604A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4517326B2 publication Critical patent/JP4517326B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Non-Reversible Transmitting Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話などのマイクロ波通信機器などに使用されるサーキュレータ、アイソレータなどの非可逆回路素子に係わり、具体的には、小型化、低損失化が可能で、かつ信頼性の高い構造に関するものである。また、この非可逆回路素子を用いた無線通信機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、サーキュレータ、アイソレータ等の非可逆回路素子は、信号を特定方向のみに伝送し、逆方向には伝送しない特性を有しており、携帯電話あるいは自動車電話などのマイクロ波通信機器の送信回路には不可欠の部品である。このような用途において、非可逆回路素子は部品の小型化、低損失化が要求されている。この非可逆回路素子、例えばアイソレータは、互いに電気的絶縁状態でかつ120度間隔で重ねられた3つの中心導体をガーネット等の磁性体上に配置し、その磁性体に直流磁界を印加するための永久磁石と整合用コンデンサを有し、これらを磁性ヨークを兼ねた金属ケース内に収納して構成される。
【0003】
従来の非可逆回路素子の一例を図15に示す。この従来例は特開平11−205011号公報に示されたアイソレータである。このものは、下ケース92の上に箱形の樹脂ケース96を配置し、この樹脂ケース96に形成された凹部100に、ガーネット12上に3つの中心導体11a〜11cを電気的絶縁状態を保って重ねて構成した中心導体部4と、整合用のコンデンサを構成する3つの平板コンデンサ94a〜94cと、チップ抵抗95とをそれぞれ配置する。樹脂ケース96の凹部100は、樹脂の仕切り101によってそれぞれ形成されており、これにより各部品は位置決めされる。また、凹部100の底部には中心導体部4及びコンデンサ94a〜94cを接続し、アースに導通するためのアース電極102(斜線で示す)が形成されている。各中心導体11a〜11cの一端はコンデンサ94a〜94cの電極に接続され、他端は樹脂ケース96のアース電極102に接続される。また、平板コンデンサ94a〜94cの対向する2つの電極のうち、一方は中心導体11a〜11cに接続され、もう一方はアース電極102に接続される。平板コンデンサ94cには抵抗95が電気的に並列に接続される。また、中心導体部4に直流磁界を印加するための永久磁石93が上ケース91内に配置され、この上ケース91と下ケース92を接合させて、アイソレータが構成される。
【0004】
この上ケース91と下ケース92は、銀で表面をメッキした鉄を主体とする磁性体(例えばSPCC:冷間圧延鋼鈑)であり、磁性ヨークとして働き、ガーネット12と中心導体11a〜11cからなる中心導体部4に永久磁石93の磁力を印加する磁気回路を構成している。樹脂ケース96のアース電極102を構成する導体板は、曲げ加工によって樹脂ケースの下面及び側面に露出し、アース端子97b、97cをも一体的に構成しており、導体板の露出部分は主に銀メッキされる。また樹脂ケース96の下面には、入出力端子97aとアース端子97b、97cが設けられている。尚、図示していないが対向面にも同様に入出力端子97aとアース端子97b、97cが設けられている。従って、2つの中心導体11a、11bの一端はそれぞれ平板コンデンサ94a、94bを介して入出力端子97aに接続され、他端はアース電極102を介してアース端子97b、97cに接続されている。他の1つの中心導体11cはコンデンサ94cと抵抗95を介してアース電極102に接続され、終端される。
【0005】
従来の非可逆回路素子のもう一つの例を図16に示す。この従来例は特開平9−55607号公報に示されたアイソレータである。このものは、整合用のコンデンサが積層基板105の内部に形成されており、下ケース92上に積層基板105を配置し、積層基板中央部に形成された開口部110の中にガーネット12と3つの中心導体11a〜11cからなる中心導体部4を挿入し、中心導体11a〜11cの一端はそれぞれ積層基板105の上面に印刷形成されたコンデンサ106a〜106cに接続される。また1つの中心導体11cが接続するコンデンサ106cには、抵抗107が電気的に並列に接続される。そして、3つの中心導体11a〜11cの他端は、アース板を介さず下ケース92に直接接続されている。また、中心導体部4に直流磁界を印加するための永久磁石93が上ケース91内に配置され、この上ケース91と下ケース92を接合させて、アイソレータが構成される。
【0006】
この積層基板105には、整合用の3つのコンデンサが単層、あるいは複数の層に形成されており、各電極の接続は積層基板内部のビア電極、あるいは本例のように積層基板側面に印刷形成した入出力端子108a、アース端子108b、108cの外部端子によって行われる。積層基板105の下面左右端の凸部分112に入出力端子及びアース端子(図示せず)、更に凹部分114には下ケース接続用電極(図示せず)が設けられており、アース端子と下ケース接続用電極は導通している。中心導体11a〜11cの他端、すなわち下ケース92と接続される側は、下ケース92、積層基板105の下ケース接続用電極及びアース端子108b、108cを介して基板のアースに導通される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
携帯電話などのマイクロ波通信機器の市場は近年すさまじい勢いで拡大し、携帯電話端末の小型化もまた急速に進行している。携帯電話端末の小型化に伴い、アイソレータなどの部品に対しても小型化の要求が非常に強く、特にアイソレータは小型でかつ低損失であることが常に重要視される。前者の従来例では、アイソレータをさらに小型化する場合、ガーネット12、平板コンデンサ94a〜94cなどの構成部品を小さくすることが必要である。コンデンサの容量は、
C=ε・ε・S/d……………(1)
と表される。
ここで、Cはコンデンサの容量、εは誘電体の比誘電率、εは真空の誘電率、Sは電極の面積、dは電極間の誘電体の厚さを表す。
(1)式より整合用のコンデンサの小型化により電極の面積Sが小さくなった場合に同じ容量を確保するためには、比誘電率εの大きい誘電体を使用するか、電極間の誘電体の厚さdを小さくしなければならない。しかし、比誘電率の大きい誘電体材料は一般に誘電損失も大きい傾向があり、コンデンサの損失特性が劣化し、それによってアイソレータの損失が増大するという問題がある。
【0008】
他方、電極間の誘電体の厚さを小さくすると、製造工程中のハンドリングが困難となり、コンデンサの欠け、割れなどによる歩留まりの低下の原因になる。また、ガーネットの直径を小さくした場合、中心導体とガーネットで構成される中心導体部のインダクタンスが小さくなるため、同じ動作周波数とするためにはコンデンサの容量を大きくしなければならす、上述したコンデンサの小型化と同じ問題が起こる。また、ガーネットの厚さを大きくすることにより中心導体部のインダクタンスを大きくすることができるが、アイソレータの薄型化の障害となるため好ましくない。更に、コンデンサやガーネットなどの構成部品の小型化に伴い箱形の樹脂ケースの構造は複雑化し、樹脂ケースの製造が困難になることも問題である。
【0009】
一方、後者のアイソレータでは、整合用のコンデンサを積層基板105の内部に形成する構造であるため、積層基板105の複数の層にコンデンサを形成することにより容量の確保が容易に出来るようになると思われる。またこれによると、容量を減らすことなくコンデンサの電極面積を小さくすることが可能となるため、積層基板105を小型化することができると推測される。
【0010】
しかし、上記のアイソレータでは開口部110を有する積層基板105を用いるため、ガーネット12と中心導体11a〜11cからなる中心導体部4は、中心導体11a〜11cの他端が下ケース92に直接半田付けされる。また、積層基板105は、積層基板下面の凹部114に設けた下ケース接続用電極部(図示せず)が下ケース92に半田付けされる。他方、積層基板下面の下ケース接続用電極はアース端子108b、108cと導通しており、これによって、中心導体11a〜11cの他端は、下ケース92及び積層基板下面の下ケース接続用電極を介してアースに接続される。ここで、アイソレータ等のマイクロ波域で動作する部品では、内部回路を損失無くアースに導通させることが重要である。上記のアイソレータの場合、中心導体部を損失無くアースに導通させるためには、下ケース92及び積層基板下面の下ケース接続用電極部分において損失が極力発生しないことが必要である。高周波信号の伝送で損失の発生を抑えるためには、ケースを銀や銅などの良導電材料を用いるか、メッキ又は電極を厚く、例えば30μm以上とするなどして、電気抵抗を抑えることが行われる。しかしながら、下ケース92は磁気ヨークを構成しているため鉄を主材料とし導電性は比較的低い。また、表面の銀メッキ厚を30μm以上とするとケースの値段は倍以上となるため、コストの問題が大きく好ましくない。さらに、めっきが厚すぎるとメッキ膜の内部応力でひび割れが発生しやすく信頼性を損なうという問題もある。また、例えば銀ではなく金を用いると、鉛と錫系のハンダで接続するとき、ハンダ成分と金の合金形成における金の比率が多くなり機械的に脆い金属間化合物を形成し信頼性の点で好ましくない。結局、中心導体を下ケースに直接半田付けする構造では、低損失のアイソレータを得ることは非常に困難である。
【0011】
また、積層基板下面の凹部114に形成する下ケース接続用電極は、誘電体材料(セラミックス)と電極材料(銀など)との熱膨張率、焼結収縮率、焼結収縮速度などの材料特性の違いにより、電極膜厚を大きくすると焼成過程において積層基板に変形が発生してしまうなどの問題が起こるため、電極膜厚を十分に大きくすることができない。そのため、積層基板に直接形成した下ケース接続用電極では電気伝導性が低下し、中心導体を損失なくアースに導通することが困難である。よって、上記のアイソレータの構造では損失の増大が避けられない。
【0012】
また、上記のアイソレータでは、積層基板105の底面又は側面に外部端子108a〜108cを一体的に形成し、実装基板上の外部回路と接続するようになっている。このように、積層基板に外部端子を設けることは、図15のアイソレータのように外部端子を樹脂ケースに形成する場合に比べて部品点数を削減できるため優れているかのように見える。しかしながら、積層基板に形成された外部端子において外部回路との接続が保たれている場合、外部回路を形成する実装基板が何らかの外的要因(例えば携帯端末の落下など)により変形した時に、その変形によりアイソレータにかかる応力が外部端子部分に集中するため積層基板が破損し易くなり、アイソレータそのものが破壊されやすくなるという問題を含んでいる。また、特に外部端子の平面度がばらつくと特性検査の時に検査基板への設置が正確に行われず測定結果にばらつきを生じる等、積層基板に直接外部端子を設けることは、アイソレータの信頼性を低下させる原因となることがある。
【0013】
更に、上記のアイソレータでは、積層基板105に外部端子108a〜108cを形成するために積層基板の両端部に凸部112を設けなければならない。積層基板の製造工程において、このように段差を一体形成する場合、グリーンシートを平面方向に均一に圧着することができなくなり、凸部分と凹部分において圧着後の密度に差が生じる。この圧着密度の差によって凸部分と凹部分の焼成時の収縮率に差が生じるため、焼成後の積層基板は反って変形する。積層基板に変形が存在すると、外部端子の平面度が低下し、実装基板上の外部回路との接触不良が発生する原因となる。積層基板の変形をなくす方法として、焼成時に上下方向より荷重をかけることによって、平面方向への変形を抑制することができるが、このために焼成工程が複雑化し、コスト上昇の原因となるため好ましくない。
【0014】
以上のことから、本発明は上記した問題を解消することを目的とするもので、整合用のコンデンサとして積層素体を用いつつ、この積層素体を複合体ベースに設けた導体板の上面に載置し、積層素体の内部回路と基板回路との接続は複合体ベースに設けた外部端子を用いる構造とすることにより、小型、低損失で、かつ信頼性が高く製造しやすい非可逆回路素子となし、さらにこれを用いた無線通信機器を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、互いに電気的絶縁状態でかつ所定角度で重ねられた複数の中心導体と、該中心導体がと密接または近接して配置される磁性体と、整合用のコンデンサと、前記中心導体及び磁性体に直流磁界を印加するように配置された永久磁石とを有し、これらを磁性ヨークを兼ねる金属ケース内に収納してなる非可逆回路素子において、少なくとも前記整合用のコンデンサ底面が実質的に平坦な積層素体で構成し、前記積層素体は前記コンデンサをアースに導通するためのアース用電極を下面のほぼ全面に有し、該積層素体を配置する複合体ベースは絶縁部材と導体板とからなり、その上面のほぼ全面がアース電極の略平面であって、前記アース用電極を前記複合体ベース側のアース電極に直接載置して電気的に接続する非可逆回路素子である。
【0016】
先ず、このような構成によれば、整合用のコンデンサを積層素体の内部に単層あるいは複数の層に形成するため、層数を適宜設定することによって所定の容量値が得られる。このため、平面領域において電極面積を増大させることなく容量値を増加させることができる。よって、層数を増加することにより、容量値を変化させることなく平面領域における電極面積を縮小できるため、コンデンサを形成する積層素体を小型化することができ、アイソレータの小型化が可能となる。更に、積層素体を構成する誘電体材料として、誘電率が小さい材料を選択することが可能となるため、コンデンサの誘電損失を減少させることができ、アイソレータの損失特性を向上させることができる。
さらに、複合体ベースの上平面に積層素体の下面を直接載置して平面対平面の接触構造をとることからグランドの接触面積をより広く確実にとれる構造となっている。また、下ケースの上に複合体ベースを載せ、さらにその上に積層素体を載せると言うように順次、平面上に積み重ねる構造をとっているので各部品のハンドリングがし易く組み立てが容易である。
【0017】
また、本発明の複合体ベースの中央部を含む領域には、前記中心導体及び前記積層素体のコンデンサをアースに導通するためのアース電極が形成され、前記アース電極と同一面上に、前記中心導体及び前記積層素体のコンデンサを入出力に導通するための端子電極とを有しており、前記アース電極と導通するアース端子及び前記端子電極と導通する入出力端子等の外部端子を前記複合体ベースの側面及び/又は下面に設けたものである。このとき、積層素体は、そのコンデンサをアースに導通するためのアース用電極を下面のほぼ全面に有し、このアース用電極を前記複合体ベース側のアース電極の上面のほぼ全面に直接載置して電気的に接続し、さらに前記複合体ベースのアース電極の下面を金属製下ケースに直接載置して電気的に接続した構造をとることが望ましい。
【0018】
このような構成によって、積層素体の下面は複合体ベースのアース電極(導体板)に直接ベタ置きして半田接続され、さらにこの複合体ベースのアース電極(導体板)下面は金属製の下ケースの上面に直接ベタ置きして半田接続される。よって、広い接触面積を介して確実にアースされてグランドに落ちるので挿入損失が低減し、アース電極及び端子電極の導通が損失なく良好に行われる。また、二次,三次の高調波の減衰特性が良好となり機械的な強度も向上する。このように積層素体と樹脂ベース及び下ケースの接続をそれぞれ平面上にベタ置きして行うことは本発明の重要な特徴の一つである。
さらにアース電極と導通するアース端子及び端子電極と導通する入出力端子等の外部端子についても前記導体板を用いて一体的に複合体ベースの側面及び/又は下面に形成しているので、さらに低損失に導くことが出来る。また、ベース下面の平面度の精度が高く保てるので、検査基板また実装基板との接触不良を起こし難く特性の安定した非可逆回路素子となる。
【0019】
また、本発明の上記複合体ベースは、熱可塑性樹脂と電気抵抗率が5.5×10−8Ω・m以下の導体板を一体成形した樹脂ベースとして構成することが望ましい。複合体ベースを構成する絶縁部材として合成樹脂のほかにセラミックスや非導電性膜を被覆すること等が考えられるが、製造上はポリエチレン、ポリプロピレン、PET等の熱可塑性樹脂で一体成形することが望ましい。またさらに高強度、高耐熱を考慮するとシリカ系のフィラーを含んだ液晶芳香族ポリマーやポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性エンジニアリング樹脂を用いて射出成形により樹脂と導体板を一体成形することが好ましい。また、導体板としては、SPCC等の鉄板を用いても良いが、銅や銀あるいはそれらと同等である電気抵抗率の低い板材が望ましく、具体的には電気抵抗率が5.5×10−8Ω・m以下であるような良導電材料あるいはこれらをめっきした金属板により構成される。尚、実装基板との半田喰われ性を考慮すると銅板が好ましい。また、成形性なども考慮すると厚さは0.03〜0.15mmの板状の導電体であることが好ましい。
【0020】
このような構成によって、上記した挿入損失の低減や高調波特性の向上がより顕著となる。また、アイソレータの内部回路と外部回路との接続を樹脂ベースに設けられた外部端子によって行った場合、外部回路を形成する実装基板が何らかの外的要因(例えば携帯端末の落下など)により変形した時に、その変形によりアイソレータにかかる応力は外部端子の導体板部分、及び外部端子周辺の樹脂部分において吸収される。そのため、樹脂ベースを用いることにより、積層素体が応力によって破壊され、アイソレータが破損するという問題を極力避けることができる。これにより、アイソレータの信頼性を向上させることができる。
【0021】
また本発明は、前記樹脂ベースにおいて、前記端子電極と前記入出力端子のうち少なくとも1つとが同一の導体板で一体的に形成されている非可逆回路素子である。
【0022】
このような構成により、樹脂ベースにおいて端子電極と入出力端子との間に発生する電気抵抗成分を非常に小さくすることができ、中心導体及びコンデンサを外部回路に導通させる際の電気的損失を非常に小さく抑えることができる。このように、本構成によれば、前記端子電極と前記入出力端子とが同一の導体板で一体的に形成されるため、非可逆回路素子の低損失化ができる。
【0023】
また本発明は、前記樹脂ベースにおいて、前記アース電極と前記アース端子のうち少なくとも1つのアース端子とが同一の導体板で一体的に形成されている非可逆回路素子である。
【0024】
このような構成により、樹脂ベースにおいてアース電極とアース端子との間に発生する電気抵抗成分を非常に小さくすることができ、中心導体及びコンデンサをアースに導通させる際の電気的損失を非常に小さく抑えることができる。上述した通りアイソレータ等のマイクロ波域で動作する部品では、内部回路を損失無くアースに導通させることが低損失化に対して非常に重要である。本構成によれば、前記アース電極と前記アース端子とが同一の導体板で一体的に形成されるため、非可逆回路素子の低損失化が可能である。
【0025】
また本発明では、前記樹脂ベースにおいて、アース電極と端子電極とが導体板で同一平面内に設けられ、前記積層基板との接続面が略平面となる。
【0026】
このような構成によれば、積層素体の樹脂ベースとの接続面側(誘電体基板の裏面)において、樹脂ベース側の端子電極と接続する入出力用の電極と、樹脂ベース側のアース電極と接続するアース用の電極とを積層素体の同一平面内に形成することができる。これにより、図16に示すような従来例に必要であった凸部112のような、積層素体に凹凸となる段差を形成する必要がなくなるため、製造工程を複雑化することなく積層素体の変形を避けることができる。
【0027】
また、本発明の樹脂ベースは、前記積層素体を配置する略平面上に積層素体の位置決め手段を有する非可逆回路素子である。位置決め手段は、例えば樹脂ベースの外側面の外部端子を利用することなどが考えられる。
【0028】
このような構成によれば、前記樹脂ベースの略平面上への積層素体の積層作業や位置決め、固定が容易となるため製造工程が簡略化でき、更に、樹脂ベースと積層素体との位置ずれによる不良が減少するため歩留まりを向上させることができる。
【0029】
また、本発明において中心導体は、複数枚のセラミックグリーンシートを積層すると共に、グリーンシート間に中心電極を印刷形成した積層中心導体とすることができる。
【0030】
このような構成によれば、コンデンサ部分を構成する積層素体だけでなく中心導体部をも積層素体となすことになるので、さらに小型化と簡素化ができ、組み立て時の工数短縮にも寄与できる。また、より高い寸法精度を得るために組み立て時の工数短縮をわずかに犠牲にし、銅を主成分とする板材をエッチング工法で製作した中心導体を予め焼結したマイクロ波磁性フェライト材料に所定角度をおいて巻きつけた中心導体組み立て体を用いて電気特性を安定化させることも有効な手段である。
【0031】
また、本発明において、前記積層素体及び/又は積層中心導体の層間に形成した電極パターンをビア電極及び/又は側面印刷電極で導通した構成とすることができる。
【0032】
このような構成によれば、ビア電極の場合は工数を短縮して低コストで生産することが可能となる。しかし、その反面小型化の面で若干不利である。一方の側面印刷電極の場合はより小型化できる点で優れている。また、ビア電極と側面印刷電極を併用した場合は、上記利点と欠点を併せ持つことになるが、導体の抵抗を低く抑えより低損失にできる傾向にある。これらの電極構造は目的に沿って設計段階で適宜考慮して選択すればよい。
【0033】
また、本発明は、上記した非可逆回路素子と、送信用回路及び受信用回路と、アンテナとを含んでなる無線通信機器である。
【0034】
【発明の実施の形態】
まず本発明では、小型で低損失であり、かつ信頼性の高い非可逆回路素子を提供するため、少なくとも整合用のコンデンサを積層素体で構成し、素子の内部回路と実装基板上の外部回路との導通を複合体ベース(以下、樹脂ベースを例にとって説明する。)に設けた外部端子によって行うようにし、積層素体と樹脂ベース及び下ケースの接続を平面上に載置して行うことを特徴としている。ここでの積層素体は、たとえば積層チップのように、セラミックのグリーンシートに電極材を印刷し、そのシートを積層、圧着した後、焼成することによって得られる。積層素体内部の電極は、セラミックとの同時焼成によって形成する。また、積層素体の側面電極は、セラミックと同時焼成する方法と、セラミックの焼成後に電極材を印刷し、焼付けする方法のどちらによっても形成することができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。尚、本発明の実施例では非可逆回路素子としてアイソレータを例に示すが、1つのコンデンサを終端している抵抗を用いない場合はサーキュレータを構成するものであり、本発明はアイソレータに限定するものではない。
【0035】
(実施例1)
本発明の第1の実施例の分解斜視図を図1に示す。このアイソレータは、樹脂ベース6上に積層素体5、中心導体部4を配置し、更にその上に中心導体部4に直流磁界を印加するための永久磁石3を配置し、それらの上下から磁性ヨークを兼ねる金属ケース1、2で囲むようにして構成される。中心導体部4は、基本的には上述した従来技術と同様である。円板状の接地用導体から放射状に3つの中心導体が突出した構造の導体帯の上に、ガーネットなどの磁性体の円板を配置し、円板の側面に沿って中心導体を折り曲げ、それぞれの中心導体は絶縁フィルムなどを間に挟むようにして絶縁状態で120度間隔で重ねられ、中心導体部4が構成される。中心導体部4は積層素体5の略中央部に設けられた貫通孔10に挿入され、それぞれの中心導体11a〜11cの一端は積層素体上面のコンデンサの電極13a〜13cに接続され、他端はガーネット12の下面に位置する接地用導体を介して樹脂ベース6のアース電極18(導体板)に接続される。
【0036】
積層素体5は、図2に示すように、誘電体セラミックグリーンシート21a〜21eにコンデンサを形成する電極パターン22a〜22c、23a〜23c、24a〜23c及びグランド電極24を印刷し、22a、23a、24aで入力側コンデンサ容量を、22b、23b、24bで出力側コンデンサ容量を、22c、23c、24cでロード側コンデンサ容量をそれぞれ形成している。それらのシート21a〜21eを積層、圧着した後焼成して形成される。積層素体内部の電極は、セラミックとの同時焼成によって形成される。この積層素体5において、ロード用電極22c、23c、24cはビア電極26によって導通されている。異なる層にまたがる電極の導通は、例えば22aと23a、24aとを導通する側面電極14aのように、セラミックの焼成後に積層素体5の側面に電極材を印刷し、焼き付ける方法によって形成した側面電極を利用している。尚、これは、コンデンサ用電極22a、23a、24a及び22b、23b、24bの導通をビア電極により行っても良い。また、アース電極14b、14cも側面電極で形成している。積層素体の略中央部の貫通孔10は、あらかじめシート21a〜21eに孔25を開けておくことにより形成できるが、シートの積層、圧着後のブロックに孔を形成する方が好ましい。
【0037】
積層素体5の上面には抵抗15が印刷、焼き付け法により形成される。印刷抵抗の代わりにチップ抵抗を用いることも可能であり、また、セラミックとの同時焼成によって抵抗形成することも可能である。また、図3に示すように、積層素体5の下面すなわち樹脂ベース6のアース電極18(導体板)との接続面には、樹脂ベース6の端子電極16a、16b(別体の導電板)と接続する入出力用電極28a、28bを端部に形成し、その廻りの素地の露出部を除いたほぼ全面に樹脂ベース6のアース電極18と接続するアース用電極27が形成されている。このアース用電極27は樹脂ベース6のアース電極18(導体板)の上平面のほぼ全面に接触するようにベタ置きで載せるようになっており、さらにこのアース電極18の下面のほぼ全面は金属製下ケース2の上にベタ置きで載せるようになっている。その後、これらの接触部を半田リフローにより電気的に接続している。
【0038】
次に、樹脂ベース6の平面図及び側面図を図4、5に、A−A’断面図を図6に、B−B’断面図を図7に示す。図4〜図7において、斜線部分は導体板により構成されていることを、白地部分は樹脂であることを示している。図5に示すように、樹脂ベース6の上面すなわち積層素体5の下面との接続面側はアース電極18(導体板)および樹脂部分19を含めて平面状に構成され、しかも、アース電極18とアース端子17b、17c、17e、17fとは同一の導体板18により構成されている。また、アース電極18と端子電極16a、16bは同一平面上に形成され、入力側の端子電極16aと入力外部端子17aと、出力側の端子電極16bと出力外部端子17dとは、それぞれ同一の導体板で構成されている。即ち、本例の導体板は前記アース電極18を構成する導体板▲1▼と、入力側の端子電極16aと入力外部端子17aを構成する導体板▲2▼と、出力側の端子電極16bと出力外部端子17dを構成する導体板▲3▼とを有しており、それぞれの導体板▲1▼、▲2▼、▲3▼が同一平面上に形成されるものである。そして、本例の導体板は、0.1mm厚さの銅板を用い、射出成形によりこの銅板と液晶芳香族ポリマー(商品名:スミカスーパー)を一体成形して樹脂ベース6を別途製造したものである。尚、銅板を用いることによって加工性、挿入損失低減効果、さらに半田喰われ等の不良が生じない点で好ましい。
【0039】
樹脂ベース6において、アース電極18とアース端子17b、17c、17e、17fとが同一の導体板で構成されるため、アース電極18とアース端子17b、17c、17e、17fとの間での電気抵抗は非常に小さい。このため積層素体5のアース用電極27は低損失でアースに導通される。また、端子電極16a、16bと入出力端子17a、17dとがそれぞれ同一の導体板で構成されるため、端子電極16a、16bと入出力端子17a、17dとの間での電気抵抗は非常に小さい。このため積層素体5の入出力用電極28a、28bは低損失で入出力に導通される。
【0040】
外部回路との接続は樹脂ベース6に設けられた、入出力端子及びアース端子となる外部端子17a〜17fによって行われる。これより、外部回路基板への実装状態において、実装基板が何らかの外的要因により変形した時に、その変形によりアイソレータにかかる応力は樹脂ベース6に設けられた外部端子17a〜17fの導体板及び導体板周辺の樹脂部分によって吸収されるため、外部回路とアイソレータの接続が強固なものとなるほか、アイソレータ自体破損しにくくなる。また、上記外部端子を樹脂ベースに設けることにより、樹脂ベース下面部分における端子の平面性が確保されるため実装基板との接触不良を起こしにくい。
【0041】
また、平板状の樹脂ベース上に積層素体5や中心導体部4を順次乗せていく構造であるので組立時のハンドリングや工程が容易で製造が簡単となる。また、樹脂ベースと積層素体は矩形状でほぼ同一外形寸法に形成されるので組み立て精度も比較的良いものである。さらに、図8に示すように、樹脂ベース6の積層素体5との接続面上に、例えば外部端子17aを延ばして突出部20を設けることにより、積層素体5の位置決め手段となる突起を形成することも可能である。この場合、さらに製造組立が容易となる。このような構造は他の部位に複数設けることができる。
以上、本実施例によれば外形寸法が4mm×4mm×1.7mmの小型で低損失のアイソレータを得ることが出来た。
【0042】
(実施例2)
本発明の第2の実施例を図9に示す。本実施例もまたアイソレータを示したものであるが、実施例1とは中心導体部40の構成及び積層素体50の構成が異なる。本実施例における中心導体部40は、図10に示すように磁性体セラミックグリーンシート43a〜43fに中心導体パターン44a〜44cを印刷し、それらのシート43a〜43fを積層、圧着した後、焼成して形成され積層中心導体とした例である。積層中心導体部40には、中心導体44a〜44cの一端と積層素体50のコンデンサの電極51a〜51cとを接続するためのコンデンサ接続用電極41a〜41c、中心導体部40の下面に中心導体の他端をアースに導通するための接地用導体45(図示せず)及び側面電極42がセラミックとの同時焼成、もしくは焼成後のセラミックへの印刷、焼き付け法により形成される。接地用導体45は下面のほぼ全面に形成され樹脂ベース6のアース電極18にベタ置きされて半田で電気的に接続される。また、本例の積層素体50のコンデンサの電極51a〜51cは、積層素体内部に形成されたビア電極を用いて積層素体下面の入出力用電極及びアース用電極(図示せず)に導通されるようになっている。
【0043】
図のように中心導体部40が矩形状に形成される場合、積層素体50の略中央部には中心導体部40に合わせて矩形状の貫通孔55が形成される。さらに、貫通孔55の内側面には、コンデンサの電極51a〜51cと中心導体部40のコンデンサ接続用電極41a〜41cとを接続するための内側面電極52a、52b、52cが形成される。内側面電極52a〜52cはセラミックとの同時焼成、もしくは焼成後のセラミックへの印刷、焼き付け法によって形成される。コンデンサ接続用電極41a〜41cと内側面電極52a〜52cは、その電極部分をスルーホールを切り欠いて、いわゆるサイドスルーホールにより形成し半田付けすることもできる。中心導体部40の形状と、積層素体50の中央部の貫通孔55の形状を一致させることにより、中心導体部40と積層素体50の位置決め、接続が容易に行われる。その他樹脂ベース等の構成は実施例1と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0044】
(実施例3)
本発明の第3の実施例を図11に示す。実施例2では中心導体を磁性体内部に形成した中心導体部40とコンデンサを素体内部に形成した積層素体50とを組み合わせる構成であったが、図11(a)のように中心導体67をも積層素体60の表面及び内部に形成してしまい、樹脂ベース70と積層素体60との間に磁性体62を配置する構成である。この場合に磁性体62の厚さ分だけ積層素体60の下面に段差を設けることにより積層素体60と樹脂ベース70との接続を行うことができる。しかし、先にも述べたように積層素体に段差を形成することは積層素体の変形の原因となる。そのため、本実施例では図11(b)に示すように、積層素体60は平面構造とし、樹脂ベース70側の樹脂部分79の端子電極76a及びアース電極(図示せず)等の外枠の高さを磁性体62の厚さ分だけ高く設定することにより、アース電極78と積層素体60の間に磁性体62を介在させ積層素体60と樹脂ベース70との接続を行う構造の方が好ましい。
【0045】
(実施例4)
本発明の第4の実施例を図12に示す。図12において上ケース1、永久磁石3、中心導体部4、積層素体5および外部端子等は実施例1と同じ構成であり同じ符号で示している。この例は実施例1に示した樹脂ベース6と下ケース2を一体成形した例であると言える。つまり、この樹脂ベース7は、アース電極となる部分と外部端子となる部分及び下ケースの立ち上がり部分70とを予め打ち抜き、曲げ成形し導体板71となし、この導体板71と、さらに端子電極16aと入力外部端子17aを構成する導体板72及び端子電極16bと出力外部端子17d(図示せず)とを構成する導体板73を成形金型内に配置しに対し上述の樹脂19を射出成形して、これらの導体板が同一平面を形成するように一体成形したものである。よって、この樹脂ベース7によれば2つの部品が一つにまとめられているのでそれだけ部品点数が減り組立工程も短縮されるなどの効果がある。但し、磁気回路を構成する必要から導体板71を含む下ケースとしては、飽和磁束密度が0.6T(テスラ)以上の磁束密度の高い金属と電気抵抗率が5.5×10−8Ω・m以下の電気伝導度の高い金属をクラッドして一体化した積層材を用いることが望ましい。より好ましくは、例えば鉄系金属(SPCC)、42合金、Fe―Co合金等から選ばれる飽和磁束密度が2.0T以上の高い金属材料と、銅、無酸素銅、黄銅、リン青銅等から選ばれる電気抵抗率が3.0×10−8Ω・m以下の電気伝導度の高い金属材料とをクラッドして一体化したものである。この実施例ではSPCCと銅のクラッド材を用いており、積層素体が載る表面側を銅材料として導体板の作用をなし、外側をSPCC材の面として磁気ヨークの作用をなし、これによって低損失と磁気回路を同時に構成できている。
また、他の例としては別々に製造した下ケース(鉄系金属板等)と導体板(銅板等)を、下ケースの上に個々導体板を直接半田付けなどして一体となし、これに樹脂を射出成形して下ケースと一体になった樹脂ベースを成形することも出来る。
【0046】
(実施例5)
本発明の第5の実施例を図13に示す。この例は図2に示した積層素体の別の実施例で、同じ構成については同一符号を付している。つまり、図2の例ではロード電極22cについてのみビア電極26を用いて接続していたが、本例では入力側のコンデンサ電極22a〜24a、出力側のコンデンサ電極22b〜24b、ロード電極22c〜24c及びアース用電極22d〜24d、22e〜24e、23f、24f、23g、24gの全てをそれぞれのビア電極26によって接続するようにしたものである。このようにすれば側面電極に比べ製造工程が簡略され、かつタクト短縮となるので低コスト化が出来る。尚、電極パターンの接続は、ビア電極、側面電極及びサイドスルーホールによる側面電極などの手段があるのでこれらの特色を適宜考慮して選択すれば良い。
【0047】
次に、上記した本発明のアイソレータを用いた無線通信機器について図14を用いて説明する。図14は携帯電話機の場合の概略ブロック図であるが、本実施例の無線通信機器8は、アンテナ80と、送信用フィルタおよび受信用フィルタからなるデュプレクサ81と、デュプレクサ81の送信用フィルタ側の入出力手段に接続される送信用回路82と、デュプレクサ81の受信用フィルタ側の入出力手段に接続される受信用回路83とから構成されている。
送信用回路82の概略は、送信側からフィルタ、ミキサ、パワーアンプがあり、送信信号はパワーアンプにより増幅され、本発明のアイソレータを経由した後、デュプレクサ81の送信用フィルタを通してアンテナ80から発信される。また、受信信号はアンテナ80からデュプレクサ81の受信用フィルタを通して受信用回路83に与えられ、受信用回路83におけるローノイズアンプで増幅されフィルタを通過した後、ミキサで電圧制御発信機VCOからスプリッターで分配された局発信信号と混合されて中間周波数に変換される。
【0048】
このような無線通信機器の構成は一例であるが、本発明の小型アイソレータを用いていることから、樹脂ベースの外部端子と実装基板との平面度が良くて接触不良がなく、また半田喰われが生じないので半田付けの作業性と信頼性が極めて高くなる。また、実装基板も小さくなり総じて小型軽量化された無線通信機器を提供できる。また、例えば人間の顔の高さから床面に携帯電話などの無線通信機器を落下したときでも樹脂ベースの働きによりアイソレータ部分の破損が生じない。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、整合容量を積層素体で形成するために小型化が容易であるとともに、積層素体の入出力用端子及びアース用端子と接続する端子電極及びアース電極を同一平面上に有し、さらに素子の内部回路と外部回路とを接続するための外部端子を一体的に有する複合体ベース(樹脂ベース)を用いることにより、小型、低損失で信頼性が高く、製造も容易な非可逆回路素子を提供することができる。また、この非可逆回路素子を用いることにより小型高性能の無線通信機器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の非可逆回路素子を示す分解斜視図である。
【図2】第1の実施例の積層素体の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図2の積層素体の底面図である。
【図4】本発明の樹脂ベースの平面図である。
【図5】図4の樹脂ベースの側面図である。
【図6】図4の樹脂ベースのA−A’断面図である。
【図7】図4の樹脂ベースのB−B’断面図である。
【図8】本発明の一実施例の樹脂ベースと外部回路との接続部を示す拡大図である。
【図9】本発明の第2の実施例の非可逆回路素子の構成を示す分解斜視図である。
【図10】第2の実施例の中心導体部の構成を示す分解斜視図である。
【図11】第3の実施例を示し(a)は積層素体を、(b)は樹脂ベースと積層素体の接続部を示す側面一部断面図である。
【図12】第4の実施例を示し樹脂ベースと下ケースを一体的に構成した別の樹脂ベースを用いた非可逆回路素子の斜視図である。
【図13】第5の実施例を示し積層素体の他の例を示す分解斜視図である。
【図14】無線通信機器の一例を示すブロック図である。
【図15】従来例の非可逆回路素子の構成を示す分解斜視図である。
【図16】他の従来例の非可逆回路素子の構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1、91…金属製上ケース
2,92…金属製下ケース
3.93…フェライト磁石
4…中心導体部
5、50、60…積層素体
6…樹脂ベース
8…無線通信機器
10、25、55、102、110…貫通孔
11a、11b、11c…中心導体
13a、13b、13c…コンデンサ電極
14a、14b、14c…入出力端子、アース端子等の外部端子
12…ガーネット
13、61…内部電極
15…印刷抵抗
16a、16b…端子電極
17a、17b、17c…入出力端子、アース端子等の外部端子
18、18’…アース電極(導体板)
19…樹脂部
20…位置決め突出部
21a、21b、21c、21d、21e…セラミックグリーンシート
22a、22b、22c、23a、23b、23c…電極パターン
26…ビア電極
27…アース用電極
28a、28b…入出力用電極
40…中心導体部
42…側面電極
41a、41b、41c…コンデンサ接続用電極
43a、43b、43c、43d、43e、43f…磁性体セラミックグリーンシート
44a、44b、44c…中心導体パターン
51a、51b、51c…コンデンサ電極
52a、52b、52c…内側面電極
61、13…内部電極
62…ガーネット
70…樹脂ベース
76a…端子電極
77a…入出力端子等の外部端子
78…アース電極(導体板)
79…樹脂部
80…アンテナ
81…デュプレクサ
82…送信用回路
83…受信用回路

Claims (12)

  1. 互いに電気的絶縁状態でかつ所定角度で重ねられた複数の中心導体と、該中心導体がと密接または近接して配置される磁性体と、整合用のコンデンサと、前記中心導体及び磁性体に直流磁界を印加するように配置された永久磁石とを有し、これらを磁性ヨークを兼ねる金属ケース内に収納してなる非可逆回路素子において、
    少なくとも前記整合用のコンデンサ底面が実質的に平坦な積層素体で構成し、前記積層素体は前記コンデンサをアースに導通するためのアース用電極を下面のほぼ全面に有し、該積層素体を配置する複合体ベースは絶縁部材と導体板とからなり、その上面のほぼ全面がアース電極の略平面であって、前記アース用電極を前記複合体ベース側のアース電極に直接載置して電気的に接続することを特徴とする非可逆回路素子。
  2. 前記複合体ベースの中央部を含む領域には、前記中心導体及び前記積層素体のコンデンサをアースに導通するためのアース電極が形成され、前記アース電極と同一面上に、前記中心導体及び前記積層素体のコンデンサを入出力に導通するための端子電極とを有しており、前記アース電極と導通するアース端子及び前記端子電極と導通する入出力端子等の外部端子を前記複合体ベースの側面及び/又は下面に設けたことを特徴とする請求項1に記載の非可逆回路素子。
  3. 前記複合体ベースのアース電極の下面を前記金属ケースに直接載置して電気的に接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載の非可逆回路素子。
  4. 前記複合体ベースは、熱可塑性樹脂と電気抵抗率が5.5×10−8Ω・m以下の導体板とを一体成形した樹脂ベースであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の非可逆回路素子。
  5. 前記樹脂ベースは、前記端子電極と前記入出力端子のうち少なくとも1つとが同一の導体板で一体的に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の非可逆回路素子。
  6. 前記樹脂ベースは、前記アース電極と前記アース端子のうち少なくとも1つのアース端子とが同一の導体板で一体的に形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の非可逆回路素子。
  7. 前記樹脂ベースには、前記積層素体を略平面上に配置するための位置決め手段を有することを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の非可逆回路素子。
  8. 前記中心導体は、複数枚のセラミックグリーンシートを積層すると共に、グリーンシート間に中心電極を印刷形成してなる積層中心導体であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の非可逆回路素子。
  9. 前記積層素体及び/又は積層中心導体の層間あるいは任意の層間に形成した電極パターンをビア電極及び/又は側面印刷電極で適宜導通したことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の非可逆回路素子。
  10. 前記中心導体は、前記磁性体の外面に沿って複数の中心導体を折り曲げ、当該中心導体の交差部に中心導体間を絶縁するように絶縁フィルムを配設した中心導体部を用いたことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の非可逆回路素子。
  11. 前記金属ケースのうち少なくとも下ヨークに飽和磁束密度が0.6T(テスラ)以上の磁束密度の高い金属と電気抵抗率が5.5×10 −8 Ω・m以下の電気伝導度の高い金属をクラッドして一体化した積層材を用いることにより、下ヨークと導体板を兼用したことを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子。
  12. 前記請求項1乃至11の何れかに記載の非可逆回路素子と、送信用回路及び受信用回路と、アンテナとを含んでなることを特徴とする無線通信機器。
JP2001078794A 2000-03-27 2001-03-19 非可逆回路素子及びこれを用いた無線通信機器 Expired - Lifetime JP4517326B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001078794A JP4517326B2 (ja) 2000-03-27 2001-03-19 非可逆回路素子及びこれを用いた無線通信機器

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000086166 2000-03-27
JP2000-86166 2000-03-27
JP2001078794A JP4517326B2 (ja) 2000-03-27 2001-03-19 非可逆回路素子及びこれを用いた無線通信機器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001345604A JP2001345604A (ja) 2001-12-14
JP4517326B2 true JP4517326B2 (ja) 2010-08-04

Family

ID=26588401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001078794A Expired - Lifetime JP4517326B2 (ja) 2000-03-27 2001-03-19 非可逆回路素子及びこれを用いた無線通信機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4517326B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100856237B1 (ko) * 2002-03-29 2008-09-03 삼성전기주식회사 코드레스폰의 송수신 스퓨리어스 제거용 필터
JP4656186B2 (ja) 2008-05-27 2011-03-23 株式会社村田製作所 非可逆回路素子及び複合電子部品の製造方法
JP5476253B2 (ja) * 2010-08-17 2014-04-23 ヒロセ電機株式会社 電気治療器
JP6939860B2 (ja) * 2019-09-20 2021-09-22 Tdk株式会社 非可逆回路素子

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3213921B2 (ja) * 1992-04-25 2001-10-02 株式会社村田製作所 非可逆回路素子
JPH06291514A (ja) * 1993-04-02 1994-10-18 Murata Mfg Co Ltd マイクロ波用非可逆回路素子
JP3178239B2 (ja) * 1994-04-28 2001-06-18 株式会社村田製作所 非可逆回路素子
JP3467840B2 (ja) * 1993-06-30 2003-11-17 株式会社村田製作所 非可逆回路素子
JPH0955607A (ja) * 1995-08-11 1997-02-25 Taiyo Yuden Co Ltd 非可逆回路素子
JPH1041706A (ja) * 1996-07-26 1998-02-13 Hitachi Metals Ltd 非可逆回路素子
JP3483191B2 (ja) * 1997-07-31 2004-01-06 日立金属株式会社 非可逆回路素子
JPH11205011A (ja) * 1997-11-11 1999-07-30 Hitachi Metals Ltd 集中定数型非可逆回路素子
JPH11312905A (ja) * 1998-04-28 1999-11-09 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非可逆回路素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001345604A (ja) 2001-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4345709B2 (ja) 非可逆回路素子、その製造方法及び通信装置
US6731183B2 (en) Non-reciprocal circuit device and wireless communications equipment comprising same
JP3125693B2 (ja) 非可逆回路素子
US20060022766A1 (en) High frequency circuit module having non-reciprocal circuit element
JP3147615B2 (ja) 高周波用非可逆回路素子
JP4517326B2 (ja) 非可逆回路素子及びこれを用いた無線通信機器
EP1309031B1 (en) Nonreciprocal circuit device and communication apparatus
JP3548822B2 (ja) 非可逆回路素子および通信装置
US6597563B2 (en) Thin irreversible circuit element provided with capacitors
US7394330B2 (en) Non-reciprocal circuit element
JP4639540B2 (ja) 非可逆回路素子及び通信装置
JP3939622B2 (ja) 非可逆回路素子及びアイソレータ並びに非可逆回路素子の製造方法
JP4530165B2 (ja) 非可逆回路素子及び通信装置
JP4341777B2 (ja) 非可逆回路素子の製造方法
JP4962729B2 (ja) 非可逆回路素子及び通信装置
JP2003204207A (ja) 非可逆回路素子
JP2004015430A (ja) 2ポート型非可逆回路素子および通信装置
JP4012988B2 (ja) 非可逆回路素子及び通信装置
JP4066333B2 (ja) 非可逆回路素子
JP2002164712A (ja) 中心電極組立体、非可逆回路素子及び通信装置
JP4189920B2 (ja) 非可逆回路素子及びその製造方法
JP4605501B2 (ja) 非可逆回路素子
JP2001189607A (ja) 非可逆回路素子及びその製造方法
JP2003188607A (ja) 非可逆回路素子の製造方法
JP2006020052A (ja) 2ポートアイソレータ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090817

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090911

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100423

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100506

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130528

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4517326

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

EXPY Cancellation because of completion of term