JP4515046B2 - 鉛蓄電池の化成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電池の正極の劣化を抑え、化成時間を短縮した鉛蓄電池の化成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉛蓄電池の化成工程は、鉛蓄電池の充放電特性や寿命特性などを決定するきわめて重要な工程である。この化成工程は、電極に充填した主に二価の鉛化合物を正極では二酸化鉛に酸化し、負極では金属鉛に還元することを目的としている。
【0003】
化成工程における反応は溶解析出を伴う電気化学反応であること、化成初期においては活物質とこれが充填塗布されている集電体としての格子基板間の抵抗および活物質自身の抵抗が大きいこと、十分な化成を施す為には正極活物質の理論容量に対して180から250%の電気量を通電する必要があること、化成末期においては、活物質の反応と同時に電解液の分解が生じて激しいガス発生が起こるため化成電流を小さくしていること等々の理由により、化成工程は長い時間を必要としている。
【0004】
鉛蓄電池用極板を化成するには、未化成の正極板と負極板をそれぞれ化成槽中に浸漬させて行う方法(タンク化成法)と、未化成の正極板と負極板の間にセパレータを挟んで積層して極群とし、該極群を電槽内に挿入した後、電解液を注入して行う、いわゆる電槽化成方法がある。いずれの方法においても化成開始から終了までに長時間を要し、鉛蓄電池の生産効率を低下させる要因となっていた。
【0005】
このような問題を解決するために、化成中の様々な条件を変更することが試みられている。
【0006】
化成時間を短縮する試みの一つとして、化成中の通電電流密度を大きくする方法がある。しかし、化成初期の活物質は不導体の二価の鉛化合物で構成されているので、通電直後は集電体である格子と活物質間の抵抗が非常に大きく、分極して各極格子からガスの発生が起こる。特に正極では導電パスが形成されにくいので、通電直後および化成初期に亘り、格子から酸素ガスが発生する。発生した酸素ガスは格子と活物質界面をガス圧により剥離させるために更に分極が増し、集電性能を悪化させ電池特性を劣化させる。
【0007】
また、化成時間を短縮する第二の試みとして、初期に小さい電流で定電流充電を行い、徐々に電流を大きくする等のパターンを組む方法が提案されている。しかし、化成工程の定電流パターンによる短縮化は、電池サイズにより異なったパターンが必要であり、パターン作成の方法が定量化されていないのが現状である。
【0008】
化成時間を短縮するその他の試みとして、パルス充電を行なう方法や、分極を小さくするために光明丹、或いはスズ化合物の添加(特許文献1参照)、ポケット式ニッケル極で実用化されている炭素粉末添加、粒度の異なる炭素粉末等を正極活物質へ導電剤として添加する方法がある(特許文献2参照)。
【0009】
また、二価鉛イオンの溶解を促進するために、化成温度を50から70℃に維持する方法などが提案されている(特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−126720
【特許文献2】
特開2001−155735
【特許文献3】
特開2001−028263
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パルス充電法はパルス間隔を過度に短くすると、硫酸イオンの拡散速度が大きくないためパルス間隔に追従できず効果があがらず、パルス間隔が長すぎると時間が長くなり電流を大きくしなければならない等の問題がある。
【0012】
導電剤の添加は、光明丹の添加はコスト高になり、またスズの場合もコスト高と、放電時において電池の電位が二酸化スズの還元電位以下になった場合にスズが溶出し、溶出したスズが負極で析出すると水素過電圧を低下させて減液性能が悪化する問題がある。
【0013】
炭素粉末の添加は液式電池であると炭素が酸化によって膨張して活物質を破壊し脱落させ、更に正極中で徐々に酸化されるので正極活物質が還元されて自己放電する等の問題がある。
【0014】
二価鉛イオンの溶解を促進する方法は、化成中にデンドライト短絡を生じさせる危険がある。特にVRLA(制御弁式鉛蓄電池)や電解液と活物質の比率が小さい電池では問題になる。
【0015】
本発明は、上記問題に対し、化成時間を短く、かつ適正な化成条件で化成することにより、生産効率の優れた、また高率放電特性および寿命性能が優れた鉛蓄電池の化成方法を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる目的を達成するために、本発明の第1は、正極化成時における電池温度による正極の酸素発生電位変化を予め求め、得られた酸素発生電位から0〜50mV低い値に正極電位を設定して充電化成することを特徴とする鉛蓄電池の化成方法である。
【0017】
本発明の第2は、正極化成時における正極の電池温度による酸素発生電位の変化を予め求め、得られた酸素発生電位を基に経時的に流しうる限界電流及び限界電気量を求め、前記限界電流及び限界電気量以下に正極電位を設定して充電化成することを特徴とする鉛蓄電池の化成方法である。
【0018】
本発明の請求項3は、正極化成時における正極の電池温度による酸素発生電位の変化を予め求め、求めた酸素発生電位またはこれに近い電位で正極電極に定電位充電を行って応答電流及び電気量を求め、この値を限界電流及び限界電気量としてパターン化してメモリーに記憶させ、記憶させたパターンに基づき前記限界電流及び限界電気量以下に正極電位を設定して充電化成することを特徴とする鉛蓄電池の化成方法である。
【0019】
【作用】
上記化成方法によると、正極からの酸素発生を抑制しながら、活物質の反応抵抗変化を模擬した電流で化成が実施できる。
【0020】
化成初期は正極活物質と格子および活物質自身の抵抗が大きいために、格子表面から酸素ガスが発生しやすいが、通電と共に導電性の二酸化鉛が徐々に形成され始めると抵抗が小さくなり、化成効率が高い状態になる。この状態の領域に達すると、正極では分極が小さくなり電池電圧が低下し、正極電位は酸素発生電位以下まで低下する。従って、この領域に達したならば、正極に、激しく酸素ガス発生が起こる電位の直下まで分極させるのに必要な最大電流を流すようにすることで化成時間を短縮し、短時間化成とすることにより、Pb2+の拡散を制限できるので、正負極活物質の表面積が大きくなり、高率放電特性が改善できる。更に、正極活物質中のβ−PbO結晶子の大きさを小さくすることができるので、軟化による劣化を抑制し寿命性能を向上することができる。
【0021】
一方、化成時は電解液中の硫酸と活物質の塩基性硫酸鉛や金属鉛が反応して生ずる中和熱や酸化熱、並びに通電による熱が発生し、電池温度に変化が生ずる。化成工程での電極のガス発生電位は温度に強い依存性があるため、化成時に設定する電位は温度換算する必要がある。
【0022】
正極電位を温度換算し、経時的に制御するパターンを作成し、該パターンにより正極を化成することで正極の劣化を最低限に抑えながら、化成時間の短縮を図ることが可能となる。
【0023】
また、予め正極の酸素発生電位を経時的に求め、得られた酸素発生電位を基に制御しうる限界電流、限界電気量を求めてパターン化し、該パターンにより正極を化成することで化成時間の短縮を図ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
【実施形態1】
本発明では先ず酸素発生電位と温度との関係を導き出す。
図1は本発明の化成方法を実施する酸素発生電位と温度との関係を導き出す一実施形態を示すもので、図において1は鉛蓄電池で、図示する実施形態では6セルの電池を4個直列に接続し、恒温槽2に挿入している。3は参照電極、4は熱電対で、参照電極3、熱電対4を化成時の温度が最大になるようなセルを選定し、該セルの液口栓からセル内に投入する。このセルをモニターセルとする。図1では熱電対4のモニターセルとして左から2番目の電池の6番セルを、参照電極3のモニターセルとしては左から3番目の電池の1番セルを選定してモニターとした。モニターセルの選定は例えばモノブロック電池では、直列に接続された電池群の中ほどの電池のプラス端子を持つセルを選定する。単セルでも同様に直列に接続された電池群の中ほどの電池を選定する。液式電池またはVRLAも同様に行なうことができる。
【0025】
測定に当たっては、参照電極3とプラス端子5間の電位を、化成用電源7のリモートセンシング端子8へ接続する。熱電対4により測定された温度(電位差)は例えばコンピュータ9へA/D変換ボードを取付けてコンピュータで読ませて、予め入力した酸素発生電位と温度の関係式から、その温度での酸素発生電位を求め、この値を定電位充電の設定値として使用する。即ち、この電位以下の値を化成用電源へ出力する。酸素発生電位と設定電位の差は小さいほど大きな電流が流れて化成短縮になるので、その差を小さく設定することが好ましい。
【0026】
上述したように、酸素発生電位と設定電位の差は小さいと大きな電流が流れて化成時間の短縮になるがガス発生量は大きくなる。一方、大きいと逆になるので、酸素発生電位から−20〜−0mVが望ましい。
【0027】
また、化成用電源の最大電流は電池サイズにより通電可能電流が異なるが、20〜50A程度が望ましい。
【0028】
1.化成時の温度変化の確認
本実施形態では34B19型電池を用いて行った。先ず、図1の装置により従来法で化成を行なった時の温度変化を熱電対4により測定した。
【0029】
測定結果は、電解液を注液すると温度は上がり約65℃まで上昇し、その後は徐々に下がって50℃付近まで下がり、終期に再び上昇して約55℃まで上昇した。
【0030】
2.酸素発生電位と温度の関係式についての調査
次に、電解液を従来の電槽化成で使用される一般的な比重の1.240g/ccとして、作用極(WE)に電極面積2.55cm2の純鉛板、対極(CE)に十分な面積を持った純鉛板、参照電極(RE)に水銀/硫酸第一水銀電極を用いて、0.05mV/secの走査速度(Rate)でサイクリックボルタンメトリを実施した。測定温度は25、40、60℃とした。走査範囲は参照電極に対して、0.8V〜1.6Vに設定した。
【0031】
図2に測定結果を示す。図2において縦軸に電流、横軸は参照電極との電位を示す。温度が高いほど、酸素発生電位は卑側にシフトしている。酸素発生に伴う酸化電流の増加曲線の接線とX軸の交点を求めて酸素発生電位とし、温度との関係でプロットしたものを図3に示す。図3において、縦軸に酸素発生電位、横軸に温度を示す。この図のプロット点から近似曲線を求め、温度(x)と酸素発生電位(y)の関係式(式1)が得られた。
【0032】
【式1】
【0033】
3.化成用電源の準備
化成用電源として150V−50Aの直流安定化電源にリモートセンシング端子を装備した。また、コンピュータからの入力信号を受信するためにGPIB(インターフェイス)を装備した。更に電流系統にシャント抵抗を測定して通電電流値をコンピュータへ出力できるように整備した。
【0034】
4.コンピュータの準備
アナログ入力とデジタル出力付のA/D変換ボード(PCIタイプ)をコンピュータに取付け、熱電対4からの温度データ(x)を受信できるようにした。ソフトウエア上で、前記で得られた温度と酸素発生電位の関係式を入力して、受信した温度に応じた酸素発生電位(y)を算出し、化成用電源に出力できるように整備した。なお、化成用電源への出力は、得られた値と同じ電位、または誤差を考慮して算出値から50mV低めに設定した値とした。更に通電電気量を累積するために化成用電源からシャント抵抗で換算した電流値(電圧)をA/Dボードに接続できるようにした。
【0035】
5.化成用装置の作製
図1に図示する実施形態では6セルモノブロックの鉛蓄電池を4個直列に接続し、恒温槽2に挿入している。参照電極3、熱電対4を化成時の温度が最大になるようなセルを選択することとし、熱電対4のモニターセルとして図の左から2番目の鉛蓄電池の6番セルを、照電極3のモニターセルとしては図の左から3番目の鉛蓄電池の1番セルを選定してモニターとした。
【0036】
6.化成の準備
格子基板として鉛−カルシウム系合金を用いたカルシウム系の34B19型鉛蓄電池に比重1.240の希硫酸を電解液として注液後、図1に示すように4個を直列に接続した。電池1同士は接触させて60℃の恒温水槽2中へ設置した。先に選定したモニターセル、即ち、図の左から2番目の電池の4番セルにガラスシースの熱電対(TypeT)4を設置し、コンピュータのアナログ入力端子へ接続した。また3番目の電池の1番セルに参照電極3として水銀/硫酸第一水銀電極を設置し、正極端子5と参照電極3からリード線を伸ばして、電源のリモートセンシング端子8へ接続した。
【0037】
7.化成(実施例A〜C、E〜G)
熱電対4により得られる化成される鉛蓄電池の温度によりコンピュータのソフトウエアで算出した酸素発生電位から、電源の設定電位を各々0mV、20mV、50mVそれぞれ低い値になるよう電源をリモートモードとし、電流の設定は最大50Aが流れるように設定して化成を行った。その結果を、それぞれ電池AからCとして表1に記載した。なお、化成終了は通電電気量が正極活物質の理論容量に対して、220%となった時とした。
【0038】
実施例電池Bにおける化成は、注液30分後に通電を開始した。20mV低下させたことにより通電直後には活物質の抵抗が大きく、2から3Aの電流しか流れなかったが、徐々に増加して1時間後には45Aに達し、その後、約2時間目からは電流が徐々に低下し、電気量220%までに7時間を要した。
【0039】
次に、設定電位を酸素発生電位から20mV低下させた電池Bに関して、通電電気量を160%、180%、200%とした場合について化成実験を実施し、それぞれの結果を電池からとして表1に併記した。
【0040】
8.比較例(D、〜K
比較例として、熱電対4により得られる化成される鉛蓄電池の温度によりコンピュータのソフトウエアで算出した酸素発生電位から、電源の設定電位を70mV低い値になるよう電源をリモートモードとし、電流の設定は最大50Aが流れるように設定して化成を行った。その結果を、電池として表1に記載した。なお、化成終了は通電電気量が正極活物質の理論容量に対して、220%となった時とした。また、別の比較例として、従来の定電流パターン充電を実施した。同じ60℃恒温水槽中で鉛蓄電池4個を直列に接続して、第一化成は15Aで6時間通電し、11Aで0.5時間の放電をした。次ぎに、第二化成は10Aで5時間の通電を行なった。充電量は正極活物質の理論容量に対して、160%、180%、200%、220%とし、それぞれの結果を電池HからKとして表1に併記した。
【0041】
また、電池AからGにつき、未化成量として化成終了後に正極板を取り出して、水洗乾燥後に活物質を採取し、化学分析によって硫酸鉛量を定量し、その結果も表1に併記した。
【0042】
なお、電池AからGにつき、負極活物質に関しても定量したが、負極では化成効率が高いので、全ての水準で硫酸鉛量が0.23%から0.35%で有意差は認められずに化成が完了した。
【0043】
【表1】
【0044】
9.化成結果の評価
表1に電池AからKまでの、化成中の最大電流、最大正極電位、所要時間を示した。
【0045】
本発明に係る化成方法では、化成初期において二酸化鉛導電パスが形成されて分極が低下したときに、従来の定電流法と比較して大きな電流を流すことができるので、化成が短時間で完了した。また化成中の最大正極電位は設定値以上には上昇しないので、従来法よりも非常に低くすることができ、通電直後の格子表面からの酸素ガス発生が抑制できたと考えられる。
【0046】
化成後の未化成量は、本発明の化成方法では電気量が160%でも十分に化成が完了しているのに対し、従来法では電気量が低下するとともに硫酸鉛量が増加している。これは本発明の場合では酸素ガスの発生による格子界面の剥離が抑制されたことと、正極の必要量に応じて電流が変化したために、化成効率が上昇し、少ない電気量でも化成が完了したと考えられる。
【0047】
しかし、設定電位が算出した酸素発生電位と同じ電池A(表1中の0mV)では電流が最大値となり通電による配線ケーブルの発熱や電池の発熱が大きかった。また設定電位が70mV低い電池の場合(表1中の−70mV)では電流値が小さくなってしまうために化成時間が長くなってしまった。よって設定電位は酸素発生電位よりも20から50mV低い方が望ましい結果となっている。
【0048】
10.寿命試験
次に各電池を5時間率の放電試験で容量確認を行ない、75℃水槽中でJISD5301で規定する軽負荷に準じた寿命試験(以下寿命試験という)でサイクル特性を評価した。表2に評価結果を示す。
【0049】
本発明に係る電池Aから電池Gの5時間率放電では、ほぼ同等の持続時間を示し、化成が十分に行なわれたことが確認できた。また寿命試験でも良好な特性が確認できた。電池Aのサイクル数が比較的短いのは化成時の設定電位が高かったために、格子界面の剥離防止効果が小さかったためと推定される。この結果からも化成時の設定電位は算出された酸素発生電位よりも20mV以上小さい方が望ましい。
【0050】
一方、従来の定電流化成法による電池Hから電池Kは未化成量に応じて5時間率の持続時間が短くなり、電気量200%以下では化成が不十分であったと考えられる。また寿命試験でも本発明品に係る電池A〜C、E〜Fと比較すると、サイクル数が少ない。これは化成初期の正極活物質の抵抗が大きいのにもかかわらず、初期の電流が大き過ぎたために、格子界面から多量の酸素ガスが発生して、格子と活物質の界面で剥離が起こり、サイクル性能が低下したものと考えられる。
【0051】
【表2】
【0052】
【実施形態2】
1.化成用電池の作成
公知の方法によりペースト状の正極活物質(以下正極ペーストという)を作成し、この正極ペーストを格子基板に充填し、20g/枚の活物質重量を有する高さ85.5mm、幅38mm、厚さ1.6mmの正極板を作製した。
【0053】
次に、公知の方法によりペースト状の負極活物質(以下負極ペーストという)を作成し、この負極ペーストを格子基板に充填し、12g/枚の活物質重量を有する高さ86.5mm、幅38mm、厚さ1.2mmの負極板を作製した。これらの正極板2枚と負極板3枚を用いた極群を電槽内に収納して4個の電池P、Q、R、Sを作成した。
【0054】
2.定電位化成(実施例P〜R)
電池Pを実施形態1で実施した様に参照電極を参照しながら、求めた温度(x)と酸素発生電位(y)の関係式、式1から酸素発生電位を算出した電位より50mV低い電位で定電位化成を行った。充電は正極理論容量の220%になるように行った。結果を図4に実線Pで示す。次に電池Qを、この実線Pを基に、電流値を小まめに変えて、該実線Pよりはその流れる電流が超えない様にして定電流化成パターンCC1を予めコンピュータに記憶され、記憶した電流と時間で充電を行った。その結果を図4に太線Qとして示す。更に電池Rを実線Pよりその流れる電流値を多少大まかに変え、定電流化成パターンCC2の様になる様に予めコンピュータに記憶させ、記憶したパターンで充電を行った。その結果を図4に細線Rとして示す。いずれも充電は正極理論容量の220%となるように行った。
【0055】
3.比較例
また、比較例として電池Sを従来の定電流パターンにより化成した。図4に実線Sで示すように第一充電は2.2Aで6時間、1.6Aで0.5時間の放電をしたのち、第二充電を1.4Aで5時間の通電を行った。充電量は同様に220%とした。なお、通電は注液30分後に開始し、55℃に保った恒温水槽中で行った。
【0056】
図4に実線P示すように、定電位化成を行った場合、通電直後には活物質の抵抗が大きく、0.5Aから1Aの電流しか流れなかったが、通電量とともに増加し、約1時間後には8.5Aに達し、その後は電流が徐々に低下した。電気量220%まで通電するのに約6時間で達した。定電位化成をした結果、従来条件と比較し、最大で4倍以上の電流が流れ、化成時間を大幅に短縮することができた。
【0057】
3.定電流パターンの作成
次に、定電流化成パターンは次の様にして作成した。即ち、図4で得られた実線Pの定電位化成から、図5に示す通り、各パターンにおいて、実線Q、Rで示す様に横軸に充電電気量、縦軸に電流値を示した時に、実線Pを限界電流および限界電気量としこれらの値を超えないように設定した。
【0058】
4.定電流パターンによる化成
作成した定電流のパターンCC1の条件で電池Qを、同CC2の条件で電池Rを化成した。なお、通電は前記と同様に、注液30分後に開始し、55℃に保った恒温水槽中で行った。表3に化成中の最大正極電位、所要時間を示した。定電流パターンCC1、CC2は酸素発生電位を超えることはなく大きな電流を流すことができかつ、従来の定電流パターンと比べ最大44%の時間短縮ができた。
【0059】
【表3】
【0060】
本発明に係る化成方法では、化成初期の二酸化鉛導電パスが形成されて分極の低下や増大を模擬でき、反応抵抗が下がる部分で大きな電流を流すことができるため化成時間が短時間で完了することができたものである。また、化成中の最大正極電位は、想定した電位以上にはならないため、通電直後の格子表面からの酸素ガス発生を抑制できたと考えられる。
【0061】
化成終了後、電池内の希硫酸の比重を1.280に調整したのち、高率放電試験および7
5℃の寿命試験を行った。表4に放電持続時間およびサイクル数を示す。また、表5に化成終了後の活物質のBET比表面積とβ−PbO結晶子の大きさ示す。
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
高率放電特性では、定電位化成した電池Pと本発明に係る電池Q、Rが良好な特性を示すことが確認できた。従来の定電流パターンによる電池Sは、化成初期の正極活物質の抵抗が大きいにもかかわらず、初期の電流が大きすぎたため、格子界面から多量の酸素ガス発生により、格子と活物質の界面が剥離したため、電池特性が悪化したものと考えられる。
【0065】
定電位化成した電池Pと本発明に係る電池Q、Rの電池特性を改善できたのは、表5に示すように、活物質の表面積が大きくなったため、高率放電特性が改善されたものと考えられる。寿命試験においても電池P〜Rで良好な結果が得られた。β−PbOの結晶格子が小さくなることにより軟化による劣化を抑制できたため寿命性能が改善されたと考えられる。
【0066】
本発明の方法により大電流対応の短時間化成と正極板の副反応である酸素ガス発生が抑制可能となる。これは、正極板の硫酸鉛の生成反応と硫酸鉛の電解液への溶解反応と、2価の鉛イオンが酸化し4価の酸化鉛となる析出反応が略等しくなる。すなわち、溶解反応速度にあわせた析出をさせる(大きな電流を流す)ことで、活物質の比表面積が大きくなり、粒子径は小さくなり電池特性が改善されたと考えられる。
【0067】
以上のように本発明によって、化成時間の短縮が可能で、かつ、電池特性が改善されるので、工業的価値は大である。
【0068】
【発明の効果】
以上のように本発明は、予め正極の酸素発生電位変化を予め求め、得られた酸素発生電位以下に、あるいは酸素発生電位を限界電流及び限界電気量以下の電位に、正極電位を設定して充電することにより、正極の劣化を最低限に抑え、かつ化成時間の短縮が可能となり、工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する化成装置の一例を示す説明図。
【図2】サイクリックボルタンメトリによる結果を示すグラフ。
【図3】温度と酸素発生電位の関係を示すグラフ。
【図4】化成の時間と定電流の関係を示すグラフ。
【図5】定電流パターンを示すグラフ。
【符号の説明】
1鉛蓄電池
2恒温槽
3参照電極
4熱電対
7化成用電源
9コンピュータ

Claims (3)

  1. 正極化成時における正極の電池温度による酸素発生電位の変化を予め求め、得られた酸素発生電位から0〜50mV低い値に正極電位を設定して充電化成することを特徴とする鉛蓄電池の化成方法。
  2. 正極化成時における正極の電池温度による酸素発生電位の変化を予め求め、得られた酸素発生電位を基に経時的に流しうる限界電流及び限界電気量を求め、前記限界電流及び限界電気量以下に正極電位を設定して充電化成することを特徴とする鉛蓄電池の化成方法。
  3. 正極化成時における正極の電池温度による酸素発生電位の変化を予め求め、求めた酸素発生電位またはこれに近い電位で正極電極に定電位充電を行って応答電流及び電気量を求め、この値を限界電流及び限界電気量としてパターン化してメモリーに記憶させ、記憶させたパターンに基づき前記限界電流及び限界電気量以下に正極電位を設定して充電化成することを特徴とする鉛蓄電池の化成方法。
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