JP4512290B2 - 高周波焼入方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部品の被処理面を高周波焼入する高周波焼入方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、自動車のトランスミッション部品1を示している。このトランスミッション部品1は、図6に示すように、軽量化のために3つの部材(具体的には、上部品2、中部品3、及び下部品4)を溶接して1つの部品を構成して成るものである。なお、図5において、Wは溶接部である。下部品4の材料としては炭素鋼を使用しているが、上部品2及び中部品3の材料については、コストの低減のために塑性加工の適用可能な軟鋼を使用している。
【0003】
上述のトランスミッション部品1は、上部品2に形成された複数の小孔5と下部品4に形成された複数の小孔6とをそれぞれ位置合わせし、これらの小孔5,6にシャフト(図示せず)を上下方向に挿入配置した状態で使用されるようになっている。
【0004】
ところで、上部品2は既述の如く塑性加工の適用可能な軟鋼から成るものであり、炭素鋼に比べて材料硬度が低いのが実状である。そのため、シャフト嵌合部である上部品2の小孔5に摩耗を生じるのを防止すべく小孔5の耐摩耗性を向上させる必要がある。特に、小孔5の内周面をa−a’、b−b’、c−c’、d−d’(図5参照)で分けたとき、上部品2の部品中心線側に位置する内周面(半円部分)に、回転時の応力を大きく受けるため、それらの箇所における摩耗量が多い。そこで、従来より、小孔5の耐摩耗性を向上させる手段として、高周波焼入を施すようにしている。具体的には、図7に示すように、上部品2の小孔5内に高周波誘導加熱コイル7のコイル頭部7aを挿入配置して所要温度に高周波誘導加熱し、その直後に加熱部分に冷却液(焼入水等)を噴射して急冷させることにより、小孔5の内径部の周面に焼入硬化層S1 ,S2 を形成して所要の表面硬さ(焼入品質)を得るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来より行なっていたような小孔5の高周波焼入方法では、小孔5を高周波焼入することにより耐摩耗性を確保することができるものの、小孔5の内径部に大きな歪みを生じてしまうという問題点がある。すなわち、部品(ワーク)と高周波誘導加熱コイルとを相対的に回転させない状態でのいわゆる静止加熱を行なう場合には高周波誘導加熱コイルの形状の影響を大きく受けるため、小孔5の内径部に大きな歪みを生じる。すなわち、小孔5内に挿入配置されたコイル頭部7aのうちのリード部7b側に位置する小孔5の内径部箇所Pにおいて、その表面がオーバーヒート状態になったり、或いはその表面部分が溶けてしまうような事態が発生し、これに伴って小孔5の内径部が大きく変形してしまう場合がある。このような変形(焼入歪み)を生じると、上部品2の小孔5と下部品4の小孔6とが互いに位置ずれしてシャフト通し精度(位置精度)が悪くなり、後工程において上部品2の小孔5と下部品4の小孔6にシャフトを挿入する際に、シャフトを挿通することができなくなるという不具合を生じることとなる。
【0006】
小孔5の内径部を加熱する高周波誘導加熱コイル7のコイル頭部7aは小孔5内に挿入配置されることから、コイル頭部7aの外径寸法(直径)は小孔5の内径寸法より小さい。このようにコイル頭部7aの直径が小さいと、高周波誘導加熱コイル7のインピーダンスが小さくなり、被加熱体である上部品2と高周波誘導加熱コイル7との結合率が良くない。また、コイル頭部7aの直径が小さいことから、高周波誘導加熱コイル7の一対のリード部7b(図7参照)間の隙間が2次コイルとなり易く、コイル頭部7aの中心軸を挟んでリード対向側の小孔部分αよりもリード寄りの側の小孔部分βが強く高周波誘導加熱される。その結果、コイル頭部7aの中心軸を挟んで焼入硬化層パターンが図7に示す如く異なったパターン(S1 ,S2 )となる。従って、上部品2の内径部のうちリード側に位置する部位が高周波誘導加熱され易いので、リード対向側の小孔部分を所定の焼入硬化層深さにすると、リード側の小孔部分βの表面温度が高くなり過ぎてオーバーヒート状態となり、場合によってはその部位(具体的には、図7に示す角部M)に溶けが発生する。
【0007】
本発明は、上述のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、部品の被処理面にオーバーヒートや溶けを生じることなく高周波誘導加熱を行なうことができ、歪みの少ない良好な焼入品質を得ることができるような高周波誘導加熱方法及び装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明は、上下方向に延びる筒形状に形成されたコイル頭部と、前記コイル頭部と上下方向に間隔を空けて配置される冷却液吐出口と、前記コイル頭部に電力を供給し、前記コイル頭部及び前記冷却液吐出口の間で上下方向に延び、かつ前記コイル頭部の上端における径方向の一方に偏った位置と連結する線状のリード部とを有する高周波誘導加熱コイルを用いて、部品に形成された小孔の内径部を高周波焼入する高周波焼入方法であって、前記部品を第1の冷却液の中に浸漬すると共に、前記高周波誘導加熱コイルのコイル頭部を前記第1の冷却液の中に浸漬した状態の下で、前記部品の小孔の内径部に対して前記コイル頭部の外周を近接させるように、前記コイル頭部を前記部品の小孔内に挿入配置し、超高周波帯の周波数の高周波電力を短時間にわたり前記高周波誘導加熱コイルに供給すると共に、第2の冷却液を前記冷却液吐出口から前記コイル頭部と前記リード部との連結部分に向かって流しながら、前記小孔の内径部を高周波誘導加熱し、これと同時に、前記被処理面を前記第1及び第2の冷却液にて焼入冷却するようにしている。
また、本発明では、前記小孔の内径部に向けて流される第2の冷却液は、前記高周波誘導加熱コイルを冷却するために前記高周波誘導加熱コイルの中空部に導入されるコイル冷却液であるようにしている。
また、本発明では、前記コイル冷却液を、前記高周波誘導加熱コイルの中空部を通過して前記高周波誘導加熱コイルを冷却した後に、前記小孔の内径部に向けて流すようにしている。
また、本発明では、前記コイル冷却液を、高周波誘導加熱を開始する前の時点から前記小孔の内径部に向けて流し始めると共に、高周波誘導加熱中並びに高周波誘導加熱後にも前記小孔の内径部に向けて流すようにしている。
また、本発明では、前記コイル冷却液の流量を、2L/min〜20L/minに設定するようにしている。
また、本発明では、
(A) 第1の冷却液が充填され、かつ、被焼入体である前記部品が前記第1の冷却液の中に浸漬された状態で収容配置される冷却液槽と、
(B)上下方向に延びる筒形状に形成され、かつ被加熱部である部品の小孔の内径部に対してその外周を近接させるように前記小孔に挿入配置されるコイル頭部、第2の冷却液が流される冷却液流通用の中空部、前記コイル頭部と上下方向に間隔を空けて配置され、かつ前記中空部に連通する冷却液吐出口、並びに前記コイル頭部に電力を供給し、前記コイル頭部及び前記冷却液吐出口の間で上下方向に延び、かつ前記コイル頭部の上端における径方向の一方に偏った位置と連結する線状のリード部を有する高周波誘導加熱コイルと、
(C) 前記高周波誘導加熱コイルに超高周波帯の周波数の高周波電力を短時間にわたり供給する高周波電源と、
(D) 前記高周波誘導加熱コイルの中空部に前記第2の冷却液を供給するコイル冷却液供給機構と、
をそれぞれ具備し、
前記小孔の内径部を前記冷却液槽内の第1の冷却液の中に浸漬した状態の下で、前記第2の冷却液を前記冷却液吐出口から前記コイル頭部と前記リード部との連結部分に向かって流しながら、前記小孔の内径部を高周波誘導加熱して焼入冷却するように構成している。
【0009】
すなわち、本発明では、部品に形成された小孔の内径部を高周波誘導加熱する際にコイル冷却液等の第2の冷却液(部品が浸漬される第1の冷却液とは別の冷却液)を前記小孔の内径部に向けて流すことにより、小孔の内周表面部におけるオーバーヒートを少なくし、安定した良好な焼入品質を得るようにしている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。なお、図1〜図4において、図5〜図7と同様の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る高周波焼入方法を施行するために用いられる高周波焼入装置10を示すものであって、本装置10は、トランスミッション部品1の上部を構成する上部品2の小孔5の内径部を高周波焼入するためのものである。本実施形態の高周波焼入装置10は、図1に示す如く、冷却液11が充填(貯溜)された冷却液槽12と、前記小孔5内に挿入されて小孔5の内周面(被処理面)に近接して配置されるコイル頭部13aを有する高周波誘導加熱コイル13と、この高周波誘導加熱コイル13に接続された変成器14と、この変成器14を介して高周波誘導加熱コイル13に高周波電力(高周波電流)を供給する高周波電源15と、この高周波電源15を調整制御する制御盤16とをそれぞれ備えている。
【0012】
上述の冷却液槽12は、冷却水等の冷却液11が充填されるようになっており、その底部12a上には被焼入体(ワーク)であるトランスミッション部品1を保持するワーク受け治具17が配設されている。かくして、トランスミッション部品1は、ワーク受け治具17に保持された状態の下で冷却液槽12内においてその全体が冷却液11中に浸漬されるようになっている。なお、この場合、トランスミッション部品1の上部を構成する上部品2は、冷却液11の液面11aの付近の比較的浅い位置に配置されるように設定されている。
【0013】
また、上述の高周波誘導加熱コイル13は、図1及び図2に示すように、変成器14に接続される一対のリード部20a,20bと、これらのリード部20a,20bにそれぞれ連設された一対のリード部20c,20dと、前記リード部20a,20b間に介在された絶縁板21と、前記一対のリード部20c,20d間に接続された断面ほぼ円筒形状のコイル頭部13aとから構成されている。なお、コイル頭部13aの外径寸法は、トランスミッション部品1の小孔5の内径寸法よりも僅かに小さく設定されており、従って、前記コイル頭部13aが前記小孔5内に僅かな隙間をもって挿入配置(近接配置)されるように構成されている。また、本実施形態では、高周波発振の結合効率を良くするために、磁性材料から成るダストコア23がコイル頭部13の中空部22内に挿入配置されている。
【0014】
さらに、高周波誘導加熱コイル13の一対のリード部20a,20bには、インレットパイプ24a,24bがそれぞれ取付けられており、これらのインレットパイプ24a,24bの一端部は、前記リード部20a,20bの内部に設けられた中空部(図示せず)にそれぞれ接続されている。そして、インレットパイプ24a,24bの他端部は、図外のコイル冷却液供給機構に接続されており、このコイル冷却液供給機構からインレットパイプ24a,24bを通して前記リード部20a,20bの中空部にコイル冷却液(第2の冷却液)が導入されてその中を流れながら高周波誘導加熱コイル13を冷却するようになっている。また、リード部20a,20bのコイル頭部13a寄りの端部箇所には、アウトレットパイプ25a,25bがそれぞれ取付けられており、このアウトレットパイプ25a,25bの端部開口が、コイル頭部13aの近傍位置において冷却液吐出口26a,26bとして配置されている。
【0015】
このような構成の高周波誘導加熱装置10を用いてトランスミッション部品1の小孔5の内径部を高周波焼入する際の手順及び作用の一例につき述べると、次の通りである。
【0016】
まず、冷却液槽12内に冷却水等の冷却液を充填し、焼入対象物であるトランスミッション部品1を冷却液槽12内のワーク受け治具17に嵌着して冷却液槽12内に保持する。これに伴い、トランスミッション部品1の全体が冷却液11中に浸漬されると共に、被焼入部である上部品2の小孔5が冷却液11の液面11aの近傍位置に配置される。次いで、高周波誘導加熱コイル13のコイル頭部13aのみを冷却液11中に入れて前記小孔5内に挿入し、コイル頭部13aの外周面と小孔5の内径部との間に僅かな隙間を隔てた状態で配置する。
【0017】
このような設定状態の下で高周波誘導加熱を開始するのであるが、高周波誘導加熱を開始する前に、高周波誘導加熱コイル13のリード部20a,20bに図外のコイル冷却液供給機構からコイル冷却液を供給し始める。しかる後に、高周波電源15から出力ケーブル23及び変成器14を順次に介して高周波誘導加熱コイル13に超高周波帯の周波数(例えば、1MHz〜4MHz)の高周波電力を短時間(例えば、0.4sec以下)にわたって供給し、これにより小孔5の内径部を高周波誘導加熱する。この際、高周波誘導加熱コイル13自体も加熱されるが、インレットパイプ24a,24bを通してリード部20a,20bの中空部に導入されるコイル冷却液にてリード部20a,20bが冷却される。そして、図3において矢印Rで示すように、これらのリード部20a,20bを通過したコイル冷却液Rはアウトレットパイプ25a,25bのコイル冷却液吐出口26a,26bから前記小孔5の内径部に向けて流される。なお、本実施形態では、コイル冷却液は、小孔5の内径部のうちで最も過熱され易い部位すなわち高周波誘導加熱コイル13のリード20c,20d寄りの部位(小孔部分β)に特に多く流されるようにしている。
【0018】
かくして、高周波誘導加熱コイル13のコイル頭部13aに対向する前記小孔5の内径部が高周波誘導加熱されると同時に、冷却液槽12内の冷却液(第1の冷却液)11、並びに、高周波誘導過熱コイル13を冷却するコイル冷却液(第2の冷却液)による焼入冷却がなされて前記小孔5の内径部に焼入硬化層が形成される。なお、コイル冷却液の流通は、高周波誘導加熱中に継続して行われると共に、高周波誘導加熱後においても所定時間にわたり継続して行われる。
【0019】
図4は、上述のような高周波誘導加熱方法及び装置を用いて小孔5の内径部を高周波焼入した場合に、小孔5の内周面に得られる焼入硬化層パターンP1 ,P2 を示している。本実施形態においては、既述の如くコイル冷却液を特に小孔5の内径部のうち高周波誘導加熱コイル13のリード部20c,20d寄りの部位により多く流すようにしているので、最も高周波誘導加熱され易いリード部20c,20d寄りの内径部箇所(小孔部分β)の加熱温度を効果的に低下せしめることができ、その結果、図4に示す焼入硬化層パターンP2 からわかるように、リード部20c,20d側に位置する小孔5の周縁の角部Mの過熱が防止されて焼入長さHが従来の場合よりも小さく抑えられる。さらに、小孔5の内径部に向かうコイル冷却液の流れにより、被焼入部である小孔5の内径部表面における熱交換が良くなるため、冷却効率が上がり、表面硬度や焼入硬化層深さの安定化を図ることが可能となる。
【0020】
以下に、本発明の具体的な実施例を示す。
実施例
(1) ワーク(被焼入体): トランストランスミッション部品
(a) 材質 : SAPH
(b) 小孔の直径 : 12.0mm
(c) 板厚 : 4.5mm
(2) 高周波誘導加熱条件
(a) 高周波電力 : 16KW
(b) 周波数 : 2.5MHz(超高周波帯)
(c) 加熱時間 : 0.4sec
(d) コイル冷却液の流量 : 5L/min
【0021】
上記加工条件により上部品2の小孔5の内径部を焼入処理した場合の高周波誘導加熱コイル13のリード部20c,20d側に位置する角部Mの焼入長さHは、0.8mmであった。従来方法では、この部位の焼入硬化層深さは、1.5mmである。このように焼入長さHが従来の場合よりも短くなるのは、高周波誘導加熱コイル13から排出されるコイル冷却液により加熱部の温度が下げられるからである。また、小孔5の内径部の表面硬度は、Hv500であり、所定の表面硬度(Hv400以上)が確保された。
【0022】
また、特に高い強度が要求される高周波誘導加熱コイル13のリード対向部(リード部20c,20dから最も離れた小孔部分α)の焼入硬化層深さを0.3mm〜0.5mmの範囲にしてその焼入硬化層深さをできるだけ浅くするようにすれば、小孔5の内径部の焼入歪みを少なく抑えることができることが実験により確認された。さらに、焼入部の各部においてオーバーヒートや溶け等の不具合を生じることはなく、小孔5の内径部の焼入歪み(変形)の程度は、トランスミッション部品1の組立作業時において小孔5,6へのシャフト挿入に問題を生じるレベルではなくなった。
【0023】
以上、本発明の一実施形態につき述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及変更が可能である。例えば、既述の実施形態ではコイル冷却液をリード部20a,20bに配設されたアウトレットパイプ25a,25bのコイル冷却液吐出口26a,26bから小孔5の内径部に向けて流すようにしているが、コイル冷却液吐出口をリード部20a,20bに穿設しても良い。また、コイル頭部13aがコイル冷却液流通用の中空部を形成できる寸法である場合には、コイル頭部13aにコイル冷却液吐出口を設けるようにしても良い。また、トランスミッション部品1の小孔5を高周波焼入するようにしているが、トランスミッション部品1以外の各種の部品に形成される小孔の内径部を高周波焼入する場合にも本発明を適用することが可能である。また、焼入対象部である小孔5は、円孔に限らず、楕円形状、半円形状、矩形形状等の各種形状の場合であっても本発明を適用することが可能である。さらに、既述の実施形態では、コイル冷却液を第2の冷却液として利用するようにしたが、コイル冷却液とは別の冷却液を第2の冷却液として小孔5の内径部に向けて流すようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上の如く、本発明は、上下方向に延びる筒形状に形成されたコイル頭部と、前記コイル頭部と上下方向に間隔を空けて配置される冷却液吐出口と、前記コイル頭部に電力を供給し、前記コイル頭部及び前記冷却液吐出口の間で上下方向に延び、かつ前記コイル頭部の上端における径方向の一方に偏った位置と連結する線状のリード部とを有する高周波誘導加熱コイルを用いて、被焼入体である部品に形成された小孔の内径部を高周波焼入する高周波焼入方法であって、前記部品を前記第1の冷却液の中に浸漬すると共に、前記高周波誘導加熱コイルのコイル頭部を第1の冷却液(部品冷却液)の中に浸漬した状態の下で、前記部品の小孔の内径部に対して前記コイル頭部の外周を近接させるように、前記コイル頭部を前記部品の小孔内に挿入配置し、超高周波帯の周波数の高周波電力を短時間にわたり前記高周波誘導加熱コイルに供給すると共に、第2の冷却液(例えば、コイル冷却液)を前記冷却液吐出口から前記コイル頭部と前記リード部との連結部分に向かって流しながら、前記小孔の内径部を高周波誘導加熱し、これと同時に、前記被処理面を前記第1及び第2の冷却液にて焼入冷却するようにしたものであるから、高周波誘導加熱コイルより部品の被処理面に向けて流される前記第2の冷却液の作用により、被処理面におけるオーバーヒートを少なく抑えることができ、ひいては部品の焼入歪み(変形)を少なくすることができる。従って、本発明によれば、部品の被処理面の焼入処理に際し、安定した良好な焼入品質を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高周波焼入方法を施行するために用いられる高周波焼入装置の構成図である。
【図2】図1に示す高周波焼入装置に使用されている高周波誘導加熱コイルの斜視図である。
【図3】高周波誘導加熱時におけるコイル冷却液の流れを示す説明図である。
【図4】図1の高周波誘導加熱装置にて小孔の内径部を高周波焼入した場合に得られる焼入硬化層パターンを示す断面図である。
【図5】被焼入体である自動車のトランスミッション部品を示す斜視図である。
【図6】上述のトランスミッション部品の分解斜視図である。
【図7】従来の高周波焼入方法により小孔の内径部に得られる焼入硬化層パターンを示す断面図である。
【符号の説明】
1 トランスミッション部品
2 上部品
5 小孔
10 高周波焼入装置
11 第1の冷却液
12 冷却液槽
13 高周波誘導加熱コイル
13a コイル頭部
15 高周波電源
20a〜20d リード部
26a,26b 冷却液吐出口
α,β 小孔部分
M 角部
P1 ,P2 焼入硬化層パターン
R コイル冷却液(第2の冷却液)の流れ方向
Claims (6)
- 上下方向に延びる筒形状に形成されるコイル頭部と、前記コイル頭部と上下方向に間隔を空けて配置される冷却液吐出口と、前記コイル頭部に電力を供給し、前記コイル頭部及び前記冷却液吐出口の間で上下方向に延び、かつ前記コイル頭部の上端における径方向の一方に偏った位置と連結する線状のリード部とを有する高周波誘導加熱コイルを用いて、部品に形成された小孔の内径部を高周波焼入する高周波焼入方法であって、
前記部品を第1の冷却液の中に浸漬すると共に、前記高周波誘導加熱コイルのコイル頭部を前記第1の冷却液の中に浸漬した状態の下で、前記部品の小孔の内径部に対して前記コイル頭部の外周を近接させるように、前記コイル頭部を前記部品の小孔内に挿入配置し、
超高周波帯の周波数の高周波電力を短時間にわたり前記高周波誘導加熱コイルに供給すると共に、第2の冷却液を前記冷却液吐出口から前記コイル頭部と前記リード部との連結部分に向かって流しながら、前記小孔の内径部を高周波誘導加熱し、
これと同時に、前記被処理面を前記第1及び第2の冷却液にて焼入冷却するようにしたことを特徴とする高周波焼入方法。 - 前記小孔の内径部に向けて流される第2の冷却液は、前記高周波誘導加熱コイルを冷却するために前記高周波誘導加熱コイルの中空部に導入されるコイル冷却液であることを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入方法。
- 前記コイル冷却液を、前記高周波誘導加熱コイルの中空部を通過して前記高周波誘導加熱コイルを冷却した後に、前記小孔の内径部に向けて流すようにしたことを特徴とする請求項2に記載の高周波焼入方法。
- 前記コイル冷却液を、高周波誘導加熱を開始する前の時点から前記小孔の内径部に向けて流し始めると共に、高周波誘導加熱中並びに高周波誘導加熱後にも前記小孔の内径部に向けて流すようにしたことを特徴とする請求項2又は3に記載の高周波焼入方法。
- 前記コイル冷却液の流量を、2L/min〜20L/minに設定したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の高周波焼入方法。
- (A) 第1の冷却液が充填され、かつ、被焼入体である前記部品が前記第1の冷却液の中に浸漬された状態で収容配置される冷却液槽と、
(B)上下方向に延びる筒形状に形成され、かつ被加熱部である部品の小孔の内径部に対してその外周を近接させるように前記小孔に挿入配置されるコイル頭部、第2の冷却液が流される冷却液流通用の中空部、前記コイル頭部と上下方向に間隔を空けて配置され、かつ前記中空部に連通する冷却液吐出口、並びに前記コイル頭部に電力を供給し、前記コイル頭部及び前記冷却液吐出口の間で上下方向に延び、かつ前記コイル頭部の上端における径方向の一方に偏った位置と連結する線状のリード部を有する高周波誘導加熱コイルと、
(C) 前記高周波誘導加熱コイルに超高周波帯の周波数の高周波電力を短時間にわたり供給する高周波電源と、
(D) 前記高周波誘導加熱コイルの中空部に前記第2の冷却液を供給するコイル冷却液供給機構と
をそれぞれ具備し、
前記小孔の内径部を前記冷却液槽内の第1の冷却液の中に浸漬した状態の下で、前記第2の冷却液を前記冷却液吐出口から前記コイル頭部と前記リード部との連結部分に向かって流しながら、前記小孔の内径部を高周波誘導加熱して焼入冷却するように構成していることを特徴とする高周波焼入装置。
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