JP2002356712A - 高周波焼入方法及び装置 - Google Patents

高周波焼入方法及び装置

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JP2002356712A JP2001161821A JP2001161821A JP2002356712A JP 2002356712 A JP2002356712 A JP 2002356712A JP 2001161821 A JP2001161821 A JP 2001161821A JP 2001161821 A JP2001161821 A JP 2001161821A JP 2002356712 A JP2002356712 A JP 2002356712A
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秀明 片沼
Kiyoaki Kito
木藤  清明
Yohei Awata
洋平 粟田
Koji Obayashi
巧治 大林
Toshiyuki Mizuno
利之 水野
Takanori Wakasugi
高範 若杉
Fumitoshi Okubo
文敏 大久保
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品の被処理面にオーバーヒートや溶けを生
じることなく高周波誘導加熱を行なうことができ、歪み
の少ない良好な焼入品質を得ることができるような高周
波誘導加熱方法及び装置を提供する。 【解決手段】 被焼入体である部品1を第1の冷却液1
1の中に浸漬すると共に、高周波誘導加熱コイル13の
コイル頭部13aを第1の冷却液11の中に浸漬させた
状態の下で、部品1の被処理面(例えば、小孔5の内周
面)にコイル頭部13aを近接して配置し、超高周波帯
の周波数の高周波電力を短時間にわたり高周波誘導加熱
コイルに供給すると共に、前記被処理面に向けて第2の
冷却液(例えば、コイル冷却液)を流しながら前記被処
理面を高周波誘導加熱し、これと同時に、前記被処理面
を第1の冷却液11及び第2の冷却液にて焼入冷却す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部品の被処理面を
高周波焼入する高周波焼入方法及び装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】図5は、自動車のトランスミッション部
品1を示している。このトランスミッション部品1は、
図6に示すように、軽量化のために3つの部材(具体的
には、上部品2、中部品3、及び下部品4)を溶接して
1つの部品を構成して成るものである。なお、図5にお
いて、Wは溶接部である。下部品4の材料としては炭素
鋼を使用しているが、上部品2及び中部品3の材料につ
いては、コストの低減のために塑性加工の適用可能な軟
鋼を使用している。
【0003】上述のトランスミッション部品1は、上部
品2に形成された複数の小孔5と下部品4に形成された
複数の小孔6とをそれぞれ位置合わせし、これらの小孔
5,6にシャフト(図示せず)を上下方向に挿入配置し
た状態で使用されるようになっている。
【0004】ところで、上部品2は既述の如く塑性加工
の適用可能な軟鋼から成るものであり、炭素鋼に比べて
材料硬度が低いのが実状である。そのため、シャフト嵌
合部である上部品2の小孔5に摩耗を生じるのを防止す
べく小孔5の耐摩耗性を向上させる必要がある。特に、
小孔5の内周面をa−a’、b−b’、c−c’、d−
d’(図5参照)で分けたとき、上部品2の部品中心線
側に位置する内周面(半円部分)に、回転時の応力を大
きく受けるため、それらの箇所における摩耗量が多い。
そこで、従来より、小孔5の耐摩耗性を向上させる手段
として、高周波焼入を施すようにしている。具体的に
は、図7に示すように、上部品2の小孔5内に高周波誘
導加熱コイル7のコイル頭部7aを挿入配置して所要温
度に高周波誘導加熱し、その直後に加熱部分に冷却液
(焼入水等)を噴射して急冷させることにより、小孔5
の内径部の周面に焼入硬化層S1 ,S2 を形成して所要
の表面硬さ(焼入品質)を得るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来よ
り行なっていたような小孔5の高周波焼入方法では、小
孔5を高周波焼入することにより耐摩耗性を確保するこ
とができるものの、小孔5の内径部に大きな歪みを生じ
てしまうという問題点がある。すなわち、部品(ワー
ク)と高周波誘導加熱コイルとを相対的に回転させない
状態でのいわゆる静止加熱を行なう場合には高周波誘導
加熱コイルの形状の影響を大きく受けるため、小孔5の
内径部に大きな歪みを生じる。すなわち、小孔5内に挿
入配置されたコイル頭部7aのうちのリード部7b側に
位置する小孔5の内径部箇所Pにおいて、その表面がオ
ーバーヒート状態になったり、或いはその表面部分が溶
けてしまうような事態が発生し、これに伴って小孔5の
内径部が大きく変形してしまう場合がある。このような
変形(焼入歪み)を生じると、上部品2の小孔5と下部
品4の小孔6とが互いに位置ずれしてシャフト通し精度
(位置精度)が悪くなり、後工程において上部品2の小
孔5と下部品4の小孔6にシャフトを挿入する際に、シ
ャフトを挿通することができなくなるという不具合を生
じることとなる。
【0006】小孔5の内径部を加熱する高周波誘導加熱
コイル7のコイル頭部7aは小孔5内に挿入配置される
ことから、コイル頭部7aの外径寸法(直径)は小孔5
の内径寸法より小さい。このようにコイル頭部7aの直
径が小さいと、高周波誘導加熱コイル7のインピーダン
スが小さくなり、被加熱体である上部品2と高周波誘導
加熱コイル7との結合率が良くない。また、コイル頭部
7aの直径が小さいことから、高周波誘導加熱コイル7
の一対のリード部7b(図7参照)間の隙間が2次コイ
ルとなり易く、コイル頭部7aの中心軸を挟んでリード
対向側の小孔部分αよりもリード寄りの側の小孔部分β
が強く高周波誘導加熱される。その結果、コイル頭部7
aの中心軸を挟んで焼入硬化層パターンが図7に示す如
く異なったパターン(S1 ,S2 )となる。従って、上
部品2の内径部のうちリード側に位置する部位が高周波
誘導加熱され易いので、リード対向側の小孔部分を所定
の焼入硬化層深さにすると、リード側の小孔部分βの表
面温度が高くなり過ぎてオーバーヒート状態となり、場
合によってはその部位(具体的には、図7に示す角部
M)に溶けが発生する。
【0007】本発明は、上述のような問題点に鑑みてな
されたものであって、その目的は、部品の被処理面にオ
ーバーヒートや溶けを生じることなく高周波誘導加熱を
行なうことができ、歪みの少ない良好な焼入品質を得る
ことができるような高周波誘導加熱方法及び装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明では、部品の被処理面を高周波焼入する高
周波焼入方法において、前記部品を第1の冷却液の中に
浸漬すると共に、高周波誘導加熱コイルのコイル頭部を
前記第1の冷却液の中に浸漬させた状態の下で、前記部
品の被処理面に前記コイル頭部を近接して配置し、超高
周波帯の周波数の高周波電力を短時間にわたり前記高周
波誘導加熱コイルに供給すると共に、前記被処理面に向
けて第2の冷却液を流しながら前記被処理面を高周波誘
導加熱し、これと同時に、前記被処理面を前記第1及び
第2の冷却液にて焼入冷却するようにしている。また、
本発明では、前記小孔の内径部に向けて流される第2の
冷却液は、前記高周波誘導加熱コイルを冷却するために
前記高周波誘導加熱コイルの中空部に導入されるコイル
冷却液であるようにしている。また、本発明では、前記
コイル冷却液を、前記高周波誘導加熱コイルの中空部を
通過して前記高周波誘導加熱コイルを冷却した後に、前
記小孔の内径部に向けて流すようにしている。また、本
発明では、前記コイル冷却液を、高周波誘導加熱を開始
する前の時点から前記小孔の内径部に向けて流し始める
と共に、高周波誘導加熱中並びに高周波誘導加熱後にも
前記小孔の内径部に向けて流すようにしている。また、
本発明では、前記コイル冷却液の流量を、2L/min〜
20L/minに設定するようにしている。また、本発明
では、(A) 第1の冷却液が充填され、かつ、被焼入
体である前記部品が前記第1の冷却液の中に浸漬された
状態で収容配置される冷却液槽と、(B) 被加熱部で
ある部品の小孔に挿入配置されるコイル頭部、第2の冷
却液が流される冷却液流通用の中空部、及び前記コイル
頭部の近傍箇所において前記中空部に連通する冷却液吐
出口を有する高周波誘導加熱コイルと、(C) 前記高
周波誘導加熱コイルに超高周波帯の周波数の高周波電力
を短時間にわたり供給する高周波電源と、(D) 前記
高周波誘導加熱コイルの中空部に前記第2の冷却液を供
給するコイル冷却液供給機構と、をそれぞれ具備し、前
記小孔の内径部を前記冷却液槽内の第1の冷却液の中に
浸漬させた状態の下で前記第2の冷却液に向けて前記第
2の冷却液を流しながら前記小孔の内径部を高周波誘導
加熱して焼入冷却するようにしている。
【0009】すなわち、本発明では、部品に形成された
小孔の内径部を高周波誘導加熱する際にコイル冷却液等
の第2の冷却液(部品が浸漬される第1の冷却液とは別
の冷却液)を前記小孔の内径部に向けて流すことによ
り、小孔の内周表面部におけるオーバーヒートを少なく
し、安定した良好な焼入品質を得るようにしている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図1〜図4を参照して説明する。なお、図1〜図4に
おいて、図5〜図7と同様の部分には同一の符号を付し
て重複する説明を省略する。
【0011】図1は、本発明の一実施形態に係る高周波
焼入方法を施行するために用いられる高周波焼入装置1
0を示すものであって、本装置10は、トランスミッシ
ョン部品1の上部を構成する上部品2の小孔5の内径部
を高周波焼入するためのものである。本実施形態の高周
波焼入装置10は、図1に示す如く、冷却液11が充填
(貯溜)された冷却液槽12と、前記小孔5内に挿入さ
れて小孔5の内周面(被処理面)に近接して配置される
コイル頭部13aを有する高周波誘導加熱コイル13
と、この高周波誘導加熱コイル13に接続された変成器
14と、この変成器14を介して高周波誘導加熱コイル
13に高周波電力(高周波電流)を供給する高周波電源
15と、この高周波電源15を調整制御する制御盤16
とをそれぞれ備えている。
【0012】上述の冷却液槽12は、冷却水等の冷却液
11が充填されるようになっており、その底部12a上
には被焼入体(ワーク)であるトランスミッション部品
1を保持するワーク受け治具17が配設されている。か
くして、トランスミッション部品1は、ワーク受け治具
17に保持された状態の下で冷却液槽12内においてそ
の全体が冷却液11中に浸漬されるようになっている。
なお、この場合、トランスミッション部品1の上部を構
成する上部品2は、冷却液11の液面11aの付近の比
較的浅い位置に配置されるように設定されている。
【0013】また、上述の高周波誘導加熱コイル13
は、図1及び図2に示すように、変成器14に接続され
る一対のリード部20a,20bと、これらのリード部
20a,20bにそれぞれ連設された一対のリード部2
0c,20dと、前記リード部20a,20b間に介在
された絶縁板21と、前記一対のリード部20c,20
d間に接続された断面ほぼ円筒形状のコイル頭部13a
とから構成されている。なお、コイル頭部13aの外径
寸法は、トランスミッション部品1の小孔5の内径寸法
よりも僅かに小さく設定されており、従って、前記コイ
ル頭部13aが前記小孔5内に僅かな隙間をもって挿入
配置(近接配置)されるように構成されている。また、
本実施形態では、高周波発振の結合効率を良くするため
に、磁性材料から成るダストコア23がコイル頭部13
の中空部22内に挿入配置されている。
【0014】さらに、高周波誘導加熱コイル13の一対
のリード部20a,20bには、インレットパイプ24
a,24bがそれぞれ取付けられており、これらのイン
レットパイプ24a,24bの一端部は、前記リード部
20a,20bの内部に設けられた中空部(図示せず)
にそれぞれ接続されている。そして、インレットパイプ
24a,24bの他端部は、図外のコイル冷却液供給機
構に接続されており、このコイル冷却液供給機構からイ
ンレットパイプ24a,24bを通して前記リード部2
0a,20bの中空部にコイル冷却液(第2の冷却液)
が導入されてその中を流れながら高周波誘導加熱コイル
13を冷却するようになっている。また、リード部20
a,20bのコイル頭部13a寄りの端部箇所には、ア
ウトレットパイプ25a,25bがそれぞれ取付けられ
ており、このアウトレットパイプ25a,25bの端部
開口が、コイル頭部13aの近傍位置において冷却液吐
出口26a,26bとして配置されている。
【0015】このような構成の高周波誘導加熱装置10
を用いてトランスミッション部品1の小孔5の内径部を
高周波焼入する際の手順及び作用の一例につき述べる
と、次の通りである。
【0016】まず、冷却液槽12内に冷却水等の冷却液
を充填し、焼入対象物であるトランスミッション部品1
を冷却液槽12内のワーク受け治具17に嵌着して冷却
液槽12内に保持する。これに伴い、トランスミッショ
ン部品1の全体が冷却液11中に浸漬されると共に、被
焼入部である上部品2の小孔5が冷却液11の液面11
aの近傍位置に配置される。次いで、高周波誘導加熱コ
イル13のコイル頭部13aのみを冷却液11中に入れ
て前記小孔5内に挿入し、コイル頭部13aの外周面と
小孔5の内径部との間に僅かな隙間を隔てた状態で配置
する。
【0017】このような設定状態の下で高周波誘導加熱
を開始するのであるが、高周波誘導加熱を開始する前
に、高周波誘導加熱コイル13のリード部20a,20
bに図外のコイル冷却液供給機構からコイル冷却液を供
給し始める。しかる後に、高周波電源15から出力ケー
ブル23及び変成器14を順次に介して高周波誘導加熱
コイル13に超高周波帯の周波数(例えば、1MHz〜
4MHz)の高周波電力を短時間(例えば、0.4se
c以下)にわたって供給し、これにより小孔5の内径部
を高周波誘導加熱する。この際、高周波誘導加熱コイル
13自体も加熱されるが、インレットパイプ24a,2
4bを通してリード部20a,20bの中空部に導入さ
れるコイル冷却液にてリード部20a,20bが冷却さ
れる。そして、図3において矢印Rで示すように、これ
らのリード部20a,20bを通過したコイル冷却液R
はアウトレットパイプ25a,25bのコイル冷却液吐
出口26a,26bから前記小孔5の内径部に向けて流
される。なお、本実施形態では、コイル冷却液は、小孔
5の内径部のうちで最も過熱され易い部位すなわち高周
波誘導加熱コイル13のリード20c,20d寄りの部
位(小孔部分β)に特に多く流されるようにしている。
【0018】かくして、高周波誘導加熱コイル13のコ
イル頭部13aに対向する前記小孔5の内径部が高周波
誘導加熱されると同時に、冷却液槽12内の冷却液(第
1の冷却液)11、並びに、高周波誘導過熱コイル13
を冷却するコイル冷却液(第2の冷却液)による焼入冷
却がなされて前記小孔5の内径部に焼入硬化層が形成さ
れる。なお、コイル冷却液の流通は、高周波誘導加熱中
に継続して行われると共に、高周波誘導加熱後において
も所定時間にわたり継続して行われる。
【0019】図4は、上述のような高周波誘導加熱方法
及び装置を用いて小孔5の内径部を高周波焼入した場合
に、小孔5の内周面に得られる焼入硬化層パターン
1 ,P 2 を示している。本実施形態においては、既述
の如くコイル冷却液を特に小孔5の内径部のうち高周波
誘導加熱コイル13のリード部20c,20d寄りの部
位により多く流すようにしているので、最も高周波誘導
加熱され易いリード部20c,20d寄りの内径部箇所
(小孔部分β)の加熱温度を効果的に低下せしめること
ができ、その結果、図4に示す焼入硬化層パターンP2
からわかるように、リード部20c,20d側に位置す
る小孔5の周縁の角部Mの過熱が防止されて焼入長さH
が従来の場合よりも小さく抑えられる。さらに、小孔5
の内径部に向かうコイル冷却液の流れにより、被焼入部
である小孔5の内径部表面における熱交換が良くなるた
め、冷却効率が上がり、表面硬度や焼入硬化層深さの安
定化を図ることが可能となる。
【0020】以下に、本発明の具体的な実施例を示す。 実施例 (1) ワーク(被焼入体): トランストランスミッション部品 (a) 材質 : SAPH (b) 小孔の直径 : 12.0mm (c) 板厚 : 4.5mm (2) 高周波誘導加熱条件 (a) 高周波電力 : 16KW (b) 周波数 : 2.5MHz(超高周波帯) (c) 加熱時間 : 0.4sec (d) コイル冷却液の流量 : 5L/min
【0021】上記加工条件により上部品2の小孔5の内
径部を焼入処理した場合の高周波誘導加熱コイル13の
リード部20c,20d側に位置する角部Mの焼入長さ
Hは、0.8mmであった。従来方法では、この部位の
焼入硬化層深さは、1.5mmである。このように焼入
長さHが従来の場合よりも短くなるのは、高周波誘導加
熱コイル13から排出されるコイル冷却液により加熱部
の温度が下げられるからである。また、小孔5の内径部
の表面硬度は、Hv500であり、所定の表面硬度(H
v400以上)が確保された。
【0022】また、特に高い強度が要求される高周波誘
導加熱コイル13のリード対向部(リード部20c,2
0dから最も離れた小孔部分α)の焼入硬化層深さを
0.3mm〜0.5mmの範囲にしてその焼入硬化層深さ
をできるだけ浅くするようにすれば、小孔5の内径部の
焼入歪みを少なく抑えることができることが実験により
確認された。さらに、焼入部の各部においてオーバーヒ
ートや溶け等の不具合を生じることはなく、小孔5の内
径部の焼入歪み(変形)の程度は、トランスミッション
部品1の組立作業時において小孔5,6へのシャフト挿
入に問題を生じるレベルではなくなった。
【0023】以上、本発明の一実施形態につき述べた
が、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、
本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及変更が可能
である。例えば、既述の実施形態ではコイル冷却液をリ
ード部20a,20bに配設されたアウトレットパイプ
25a,25bのコイル冷却液吐出口26a,26bか
ら小孔5の内径部に向けて流すようにしているが、コイ
ル冷却液吐出口をリード部20a,20bに穿設しても
良い。また、コイル頭部13aがコイル冷却液流通用の
中空部を形成できる寸法である場合には、コイル頭部1
3aにコイル冷却液吐出口を設けるようにしても良い。
また、トランスミッション部品1の小孔5を高周波焼入
するようにしているが、トランスミッション部品1以外
の各種の部品に形成される小孔の内径部を高周波焼入す
る場合にも本発明を適用することが可能である。また、
焼入対象部である小孔5は、円孔に限らず、楕円形状、
半円形状、矩形形状等の各種形状の場合であっても本発
明を適用することが可能である。さらに、既述の実施形
態では、コイル冷却液を第2の冷却液として利用するよ
うにしたが、コイル冷却液とは別の冷却液を第2の冷却
液として小孔5の内径部に向けて流すようにしてもよ
い。
【0024】
【発明の効果】以上の如く、本発明は、被焼入体である
部品を第1の冷却液(部品冷却液)の中に浸漬すると共
に、高周波誘導加熱コイルのコイル頭部を第1の冷却液
の中に浸漬させた状態の下で、部品の被処理面に前記コ
イル頭部を挿入配置し、超高周波帯の周波数の高周波電
力を短時間にわたり前記高周波誘導加熱コイルに供給す
ると共に、前記被処理面に向けて第2の冷却液(コイル
冷却液)を流しながら前記被処理面を高周波誘導加熱
し、これと同時に、前記被処理面を前記第1及び第2の
冷却液にて焼入冷却するようにしたものであるから、高
周波誘導加熱コイルより部品の被処理面に向けて流され
る前記第2の冷却液の作用により、被処理面におけるオ
ーバーヒートを少なく抑えることができ、ひいては部品
の焼入歪み(変形)を少なくすることができる。従っ
て、本発明によれば、部品の被処理面の焼入処理に際
し、安定した良好な焼入品質を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高周波焼入方法を施行するために
用いられる高周波焼入装置の構成図である。
【図2】図1に示す高周波焼入装置に使用されている高
周波誘導加熱コイルの斜視図である。
【図3】高周波誘導加熱時におけるコイル冷却液の流れ
を示す説明図である。
【図4】図1の高周波誘導加熱装置にて小孔の内径部を
高周波焼入した場合に得られる焼入硬化層パターンを示
す断面図である。
【図5】被焼入体である自動車のトランスミッション部
品を示す斜視図である。
【図6】上述のトランスミッション部品の分解斜視図で
ある。
【図7】従来の高周波焼入方法により小孔の内径部に得
られる焼入硬化層パターンを示す断面図である。
【符号の説明】
1 トランスミッション部品 2 上部品 5 小孔 10 高周波焼入装置 11 第1の冷却液 12 冷却液槽 13 高周波誘導加熱コイル 13a コイル頭部 15 高周波電源 20a〜20d リード部 26a,26b 冷却液吐出口 α,β 小孔部分 M 角部 P1 ,P2 焼入硬化層パターン R コイル冷却液(第2の冷却液)の流れ方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片沼 秀明 東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 電 気興業株式会社内 (72)発明者 木藤 清明 東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 電 気興業株式会社内 (72)発明者 粟田 洋平 東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 電 気興業株式会社内 (72)発明者 大林 巧治 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 水野 利之 福井県武生市池ノ上町38 アイシン・エ ィ・ダブリュ工業株式会社内 (72)発明者 若杉 高範 福井県武生市池ノ上町38 アイシン・エ ィ・ダブリュ工業株式会社内 (72)発明者 大久保 文敏 福井県武生市池ノ上町38 アイシン・エ ィ・ダブリュ工業株式会社内 Fターム(参考) 3K059 AA09 AB09 CD48 CD64

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部品の被処理面を高周波焼入する高周波
    焼入方法において、 前記部品を第1の冷却液の中に浸漬すると共に、高周波
    誘導加熱コイルのコイル頭部を前記第1の冷却液の中に
    浸漬させた状態の下で、前記部品の被処理面に前記コイ
    ル頭部を近接して配置し、 超高周波帯の周波数の高周波電力を短時間にわたり前記
    高周波誘導加熱コイルに供給すると共に、前記被処理面
    に向けて第2の冷却液を流しながら前記被処理面を高周
    波誘導加熱し、 これと同時に、前記被処理面を前記第1及び第2の冷却
    液にて焼入冷却するようにしたこと、を特徴とする高周
    波焼入方法。
  2. 【請求項2】 前記小孔の内径部に向けて流される第2
    の冷却液は、前記高周波誘導加熱コイルを冷却するため
    に前記高周波誘導加熱コイルの中空部に導入されるコイ
    ル冷却液であることを特徴とする請求項1に記載の高周
    波焼入方法。
  3. 【請求項3】 前記コイル冷却液を、前記高周波誘導加
    熱コイルの中空部を通過して前記高周波誘導加熱コイル
    を冷却した後に、前記小孔の内径部に向けて流すように
    したことを特徴とする請求項2に記載の高周波焼入方
    法。
  4. 【請求項4】 前記コイル冷却液を、高周波誘導加熱を
    開始する前の時点から前記小孔の内径部に向けて流し始
    めると共に、高周波誘導加熱中並びに高周波誘導加熱後
    にも前記小孔の内径部に向けて流すようにしたことを特
    徴とする請求項2又は3に記載の高周波焼入方法。
  5. 【請求項5】 前記コイル冷却液の流量を、2L/min
    〜20L/minに設定したことを特徴とする請求項1乃
    至4の何れか1項に記載の高周波焼入方法。
  6. 【請求項6】(A) 第1の冷却液が充填され、かつ、
    被焼入体である前記部品が前記第1の冷却液の中に浸漬
    された状態で収容配置される冷却液槽と、(B) 被加
    熱部である部品の小孔に挿入配置されるコイル頭部、第
    2の冷却液が流される冷却液流通用の中空部、及び前記
    コイル頭部の近傍箇所において前記中空部に連通する冷
    却液吐出口を有する高周波誘導加熱コイルと、(C)
    前記高周波誘導加熱コイルに超高周波帯の周波数の高周
    波電力を短時間にわたり供給する高周波電源と、(D)
    前記高周波誘導加熱コイルの中空部に前記第2の冷却
    液を供給するコイル冷却液供給機構と、をそれぞれ具備
    し、 前記小孔の内径部を前記冷却液槽内の第1の冷却液の中
    に浸漬させた状態の下で前記第2の冷却液に向けて前記
    第2の冷却液を流しながら前記小孔の内径部を高周波誘
    導加熱して焼入冷却するようにしたことを特徴とする高
    周波焼入装置。
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