JP4511701B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。更に詳しくは二価フェノール化合物のアルカリ水溶液とカーボネート前駆体とを用いてポリカーボネート樹脂を製造する方法において、色相及び熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂を効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
二価フェノール化合物のアルカリ水溶液とカーボネート前駆体とを用いてポリカーボネート樹脂を製造する方法において、色相及び熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂を得る方法として、ポリカーボネート樹脂にホスファイト化合物やホスフェート化合物等のリン系の熱安定剤を添加する方法が提案されている(特公昭51−44552号公報、特開昭57−158254号公報、特開平2−18332号公報等)。
【0003】
また、特開昭61−14227号公報には、反応原料液として、ビスフェノールAのアルカリ水溶液に、有機溶媒を混合若しくは接触させた後に、分離したアルカリ水溶液を使用する方法が示されている。
【0004】
しかしながら、これらの方法によって得られたポリカーボネート樹脂の色相及び熱安定性はある程度改善されるが十分ではなく、また、かかる熱安定剤を多量に添加すると衛生性の問題や樹脂の耐久性が劣るという問題、また、ポリカーボネート樹脂と他の樹脂とを混合してアロイ樹脂として用いる際に他の樹脂に対して色相及び熱安定性等に悪影響を及ぼす問題がある。
【0005】
したがって、ポリカーボネート樹脂に添加する熱安定剤が適量のままで、より色相及び熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂を得られる製造方法の提供が要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色相および熱安定性に優れ、且つ衛生性および耐久性も良好なポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、原料として使用する二価フェノール化合物のアルカリ水溶液が、得られるポリカーボネート樹脂の色相及び熱安定性に影響を与えることおよび熱安定剤の添加方法に着目し、かかる二価フェノール化合物のアルカリ水溶液と有機溶媒を混合し、分液した二価フェノール化合物のアルカリ水溶液を原料として用いることおよび重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に熱安定剤を添加することによって、驚くべきことに、色相及び熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液とカーボネート前駆体とを用いてポリカーボネート樹脂を製造する方法において、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液と有機溶媒とを1:0.05〜30(重量比)の割合で混合し、混合後分液して得た二価フェノール化合物のアルカリ水溶液を原料として使用して、且つ重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に熱安定剤を添加する方法として、精製終了後のポリカーボネート樹脂溶液に熱安定剤を添加する方法または温水で造粒する際に温水中に熱安定剤を添加する方法を行うことを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法が提供される。
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用される二価フェノール化合物の代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0009】
なかでも、ビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの混合物が好ましく使用され、特にビスフェノールAが好ましい。
【0010】
本発明において、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液と有機溶媒とを1:0.05〜30(重量比)の割合で混合し、混合後分液して得た二価フェノール化合物のアルカリ水溶液を原料として使用することが必要である。
【0011】
本発明で有機溶媒と混合する二価フェノール化合物のアルカリ水溶液に用いられるアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましく用いられ、アルカリ量は二価フェノール化合物1モルに対し1.7〜3.0モルが好ましく、アルカリ水溶液中のアルカリ濃度は5.5〜8.5重量%が好ましい。アルカリ量が、二価フェノール化合物1モルに対し1.7モル以上であると二価フェノール化合物の有機溶媒への溶解量が少なく、有機溶媒と混合、分液後のアルカリ水溶液中の二価フェノール化合物濃度が一定で、原料二価フェノール化合物のモル比がばらつかず、安定した品質のポリカーボネート樹脂が得られ好ましく、アルカリ量が二価フェノール化合物1モルに対し3.0モル以下であるとホスゲン化反応時や重合反応時に分解反応が進行し難く好ましい。また、水溶液中のアルカリ濃度が5.5重量%以上であると水溶液量が適量で反応速度が適度に進行し、装置も大型化することもなく好ましく、アルカリ濃度が8.5重量%以下であると二価フェノール化合物のアルカリ水溶液への溶解度が低下せず、混合する有機溶媒へ溶解する割合が低く、混合後のアルカリ水溶液中の二価フェノール化合物の収率が高く好ましい。
【0012】
本発明において、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液との混合に用いられる有機溶媒としては、水と混じらない有機溶媒であり、具体的には塩化メチレン、テトラクロルエタン、トリクロルエタン、ジクロルエタン、クロルベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素が好適に用いられ、特に塩化メチレンが好ましく用いられる。これらの溶媒は単独でもしくは2種以上混合して使用される。また、これらの有機溶媒に、アセトン、n−へキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の溶媒を一部用いてもよい。
【0013】
上記二価フェノール化合物のアルカリ水溶液と上記有機溶媒とを1:0.05〜30(重量比)の割合、好ましくは1:0.07〜28(重量比)の割合、より好ましくは1:0.1〜25(重量比)で混合する。有機溶媒の混合量が二価フェノール化合物のアルカリ水溶液1重量部に対し0.05重量部未満の場合は色相及び熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂が得られず好ましくなく、有機溶媒の混合量が30重量部を超えても効果は上がらず有機溶媒の使用量が多くなり、設備が大型化するだけで好ましくない。
【0014】
上記二価フェノール化合物のアルカリ水溶液と上記有機溶媒とを混合する方法としては、例えば、両者を混合槽に投入し、攪拌翼を回転することにより攪拌を行う方式(槽の中心軸と攪拌軸とを一致させるもの、攪拌軸を傾斜させるもの、槽の側壁に攪拌軸を設けるもの等)、槽を揺動させることにより攪拌を行う方式、ポンプにより槽内の液を循環させる方式等が用いられる。混合攪拌した後、静置して有機溶媒溶液相とアルカリ水溶液相を分液させ、アルカリ水溶液相を取り出すことができる。また、他の方法として、遠心抽出装置を用いる方法も採用できる。かかる遠心抽出装置のなかで、分散相の形成と、遠心分離処理を同一装置で連続して行える交流遠心抽出装置が好ましく、具体的には、(株)日立製作所製ウルトレックスEP−02や川崎エンジニアリング(株)製KCC遠心抽出機等の多孔板付遠心抽出機が挙げられる。また、好ましくは300G以上、より好ましくは700G以上の遠心力によって、遠心抽出処理を行うことが好ましい。
【0015】
本発明においては、上記混合された混合溶液から分液したアルカリ水溶液相をポリカーボネート樹脂の製造における原料として用いられる。
【0016】
本発明におけるポリカーボネート樹脂の製造方法としては、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液とカーボネート前駆体とを界面縮重合法で反応させる方法が用いられる。ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0017】
界面縮重合法による反応は、通常二価フェノール化合物のアルカリ水溶液とホスゲンとの反応であり、有機溶媒の存在下に反応させる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0018】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノール又は低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0019】
【化1】
Figure 0004511701
【0020】
[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。]
【0021】
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0022】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができ、これらを用いてポリカーボネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、殊に光学ディスク基板としての物性、特に樹脂の吸水率を低くする効果があり、また、基板の複屈折が低減される効果もあり好ましく使用される。なかでも、下記一般式(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0023】
【化2】
Figure 0004511701
【0024】
【化3】
Figure 0004511701
【0025】
[式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
【0026】
かかる式(2)の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノール及びトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
【0027】
また、式(3)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシル及びヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0028】
これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少くとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0029】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜100,000が好ましく、11,000〜45,000がより好ましく、12,000〜30,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。かかる粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0030】
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂には熱安定剤が配合される。
【0031】
かかる熱安定剤はリン系の熱安定剤が好ましく用いられ、例えば亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
【0032】
なかでも、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、及び4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)等が好ましく使用され、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及び4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)が好ましい。
【0033】
これらは単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.001〜0.1重量部、好ましくは0.002〜0.05重量部である。
【0034】
前記熱安定剤をポリカーボネート樹脂に配合する方法としては、重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法が採用される。この方法を用いることにより、得られるポリカーボネート樹脂の色相および熱安定性が格段に向上する。ポリカーボネート樹脂パウダーに添加する方法では、本発明の目的は達成されない。重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法としては、精製終了後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法または温水で造粒する際に温水中に添加する方法が好ましい。熱安定剤は、溶媒に溶解してあるいはそのまま添加しても構わない。
【0035】
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂には、酸化防止剤、離型剤(脂肪酸エステル等)、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、増白剤、紫外線吸収剤、耐候剤、抗菌剤、顔料、染料、充填剤、強化剤、他樹脂やゴム等の重合体、難燃剤等の改質改良剤を適宜添加して用いることができる。
【0036】
また、本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、色相および熱安定性が改良され、例えば光磁気ディスク、各種追記型ディスク、デジタルオーディオディスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオディスク(いわゆるレーザディスク)、デジタル・バーサイル・ディスク(DVD)等の光学ディスク基板用の材料として、シリコンウエハー等の精密機材収納容器の材料としてあるいは食品用途として好適に使用でき、殊に光学ディスク基板用の材料として好適に採用される。
【0037】
【実施例】
以下、実施例に従って、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、評価は次に示す方法で行った。
(1)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量
粘度平均分子量は、ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解し、20℃で測定した比粘度より求めた。
【0038】
(2)色相(b値)
得られたポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で可塑化後、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
【0039】
(3)熱安定性(△E)
得られたポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。
ΔE=[(L′−L)2+(a′−a)2+(b′−b)21/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
【0040】
[実施例1]
(A)温度30℃にコントロールする機能を有した撹拌機付き混合槽に7.67重量%水酸化ナトリウム水溶液262.8重量部(0.504モル)を仕込み、攪拌下に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)57.5重量部(0.252モル)およびハイドロサルファイト0.12重量部を加えた後、塩化メチレン320.4重量部を加えて10分間攪拌し、分離槽にて静置分離し、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液相と塩化メチレン相とに分液し、次いでビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液相を取り出した。
【0041】
(B)温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器に(A)で得られたビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液全量と塩化メチレン181重量部を加え、撹拌下15〜25℃で上記ホスゲン28.3重量部を40分要して吹込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、48重量%水酸化ナトリウム水溶液7.2重量部およびp−tert−ブチルフェノール2.42重量部を加え、撹拌を始め、乳化後トリエチルアミン0.06重量部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで水洗を終了した。
【0042】
水洗後のポリカーボネート溶液に、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.005重量部のトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(熱安定剤)を添加混合した。
【0043】
このポリカーボネート溶液を、軸受け部に異物取出口を有する隔離室を設けたニーダー中の温水に滴下し、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化した。次にこの含液したポリカーボネート樹脂を粉砕、乾燥して粘度平均分子量15000のポリカーボネート樹脂パウダーを得た。このパウダーを145℃、6時間乾燥し、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.06重量部のステアリン酸モノグリセリド(離型剤)を加えた。次に、かかるパウダーをベント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−46]によりシリンダー温度240℃、ベントガス真空度665Paで脱気しながら溶融混練し、ペレットを得た。このペレットを用いて評価した。その結果を表1に示した。
【0044】
[実施例2]
実施例1において、熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの代わりに4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)66%、4−ビフェニレンホスフィン酸ビス(2、4−tert−ブチルフェニル)20%、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト14%の混合組成物を用いる以外は実施例1と同様の方法によりペレットを得、このペレットを評価した。その結果を表1に示した。
【0045】
[実施例3]
実施例1において、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトをポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.02重量部用いた以外は実施例1と同様の方法によりペレットを得、このペレットを評価した。その結果を表1に示した。
【0046】
[実施例4]
実施例1の(A)において、塩化メチレンを32.0重量部に変更する以外は実施例1と同様の方法によりペレットを得、このペレットを評価した。その結果を表1に示した。
【0047】
[実施例5]
実施例1の(A)において、6.0重量%水酸化ナトリウム水溶液を336重量部(0.504モル)使用し、塩化メチレンを78.7重量部に変更する以外は実施例1と同様の方法によりペレットを得、このペレットを評価した。その結果を表1に示した。
【0048】
[実施例6]
7.67重量%のビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液1重量部{水酸化ナトリウム/ビスフェノールA=2.0(モル比)}と塩化メチレン20重量部の割合でKCC遠心抽出機(川崎エンジニアリングKK製)に導入し、遠心効果2500Gで混合、分液処理しビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を得た。次いで、実施例1の(B)において、上記ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を用いる以外は実施例1と同様の方法によりペレットを得、このペレットを評価した。その結果を表1に示した。
【0049】
[比較例1]
実施例1の(B)において、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを水洗後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する代わりに乾燥後のポリカーボネート樹脂パウダーに添加すること以外は実施例1と同様の方法によりペレットを得、このペレットを評価した。その結果を表1に示した。
【0050】
[比較例2]
実施例1の(B)において、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを加えない以外は実施例1と同様の方法によりペレットを得、このペレットを評価した。その結果を表1に示した。
【0051】
[比較例3]
(A)温度コントロール機能を有した撹拌機付き混合槽に7.67重量%水酸化ナトリウム水溶液262.8重量部(0.504モル)を仕込み、攪拌下にビスフェノールA57.5重量部(0.252モル)およびハイドロサルファイト0.12重量部を加えた後、塩化メチレン9.6重量部を加えて10分間攪拌し、分離槽にて静置分離してビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液相と塩化メチレン相とに分液し、次いでビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液相を取り出した。
【0052】
このビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液相を、実施例1の(B)の方法と同様の方法によりペレットを得、このペレットを評価した。その結果を表1に示した。
【0053】
【表1】
Figure 0004511701
【0054】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、色相及び熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂を効率よく得ることができ、かかるポリカーボネート樹脂は、光学ディスク基板用の材料として好適に使用され、その奏する工業的効果は格別である。

Claims (2)

  1. 二価フェノール化合物のアルカリ水溶液とカーボネート前駆体とを用いてポリカーボネート樹脂を製造する方法において、二価フェノール化合物のアルカリ水溶液と有機溶媒とを1:0.05〜30(重量比)の割合で混合し、混合後分液して得た二価フェノール化合物のアルカリ水溶液を原料として使用して、且つ重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に熱安定剤を添加する方法として、精製終了後のポリカーボネート樹脂溶液に熱安定剤を添加する方法または温水で造粒する際に温水中に熱安定剤を添加する方法を行うことを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
  2. 熱安定剤は、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、及び4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)をそれぞれ単独又は2種以上を混合した熱安定剤であり、且つ熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.1重量部である請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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