JP4511676B2 - サーモパイル型赤外線センサ及びその製造方法 - Google Patents

サーモパイル型赤外線センサ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーモパイル型赤外線センサ及びその製造方法に関し、詳しくはセンサの熱電対パターン構造を改善することによりS/N比の向上を図ったサーモパイル型赤外線センサ、及びその製造時の歩留まりを改善したサーモパイル型赤外線センサの製造方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱型赤外線センサの熱平衡式は、次のように表すことができる。
【0003】
【数1】
C・δT/dt+G・δT=W ……(1)
【0004】
ここで、Cは熱容量、δTは受光部温度変化、Gは受光部と周囲との熱コンダクタンス、Wは受光パワーである。受光パワーWが、W=W0 exp(jωt)で変化するとき、δTは下記のように表される。
【0005】
【数2】
|δT|=W0 /G(1+τ2 ω2 1/2 ……(2)
ここで、熱時定数τは次のように表される。
τ≡C/G ……(3)
【0006】
上記式から熱型赤外線センサの応答性を大(熱時定数τを小)にするには、熱容量Cを小さくし、熱コンダクタンスGを大きくする必要がある。しかし、Gを大きくすると同一受光パワーに対して受光部温度変化δTが小さくなり、感度が低下する。従って、熱型赤外線センサの感度や応答性の向上を図るには、Gを小さくし、更にCを小さくする必要がある。このような観点から、サーモパイル型赤外線センサの感度及び応答性は、温接点が配置された感熱部を数ミクロンの厚さからなるメンブレン構造とし、その熱容量C及び基板との熱コンダクタンスGを小さくなるようにして、その熱的特性の向上を達成するようにしている。
【0007】
また、サーモパイル等の熱電素子の性能指数Zは、次式で表すことができる。
【0008】
【数3】
Z=α2 ・σ/λ∝m*3/2 (μ/λL )……(4)
但し、α :ゼーベック係数、σ:導電率、λ:熱伝導率
* :電子又は正孔の有効質量、μ:キャリアの移動度
λL :格子熱伝導率
【0009】
すなわち、熱電素子の電気的性能を向上させるには、上式からゼーベック係数αを大きく、導電率σを大きく、そして熱伝導率λを小さくする必要があることが分かる。従って、熱電材料としては、金属に比較し性能指数Zの大きい半導体材料が用いられる。
【0010】
一方、熱電材料としてのn型シリコンのゼーベック係数αは、以下のように表される。
【0011】
【数4】
α=(VF /T+2k/q) ……(5)
但し、VF :伝導帯の底とフェルミ準位の間のエネルギー差、
T :絶対温度、k:ボルツマン定数、q:電子の電荷
【0012】
また、VF と導電率σの関係は、以下のように表される。
【0013】
【数5】
σ=q・n・μ ……(6)
但し、n:キャリア数、μ:キャリアの移動度
【0014】
【数6】
n=Nc/[exp(VF /kT)] ……(7)
但し、Nc:伝導帯の実効状態密度
(参考文献,半導体デバイス、S.M.Sze著参照)
【0015】
従って、導電率σは、以下のように表される。
【0016】
【数7】
σ=q・Nc・μ/exp(VF /kT) …(8)
【0017】
上式よりゼーベック係数αを大きくするためのに、VF を大きくしようとするとキャリア数が減少し、σが小さくなるというトレードオフの関係があることが分かる。また、単結晶シリコンのλは、シリコン原子が共有結合しているため、格子熱伝導率が非常に大きく支配的であるが、多結晶シリコンのように結晶性が悪くなると格子熱伝導率は小さくなる。そして、μも小さくなるためにσが低下するというトレードオフ関係にある。従って、熱電材料の性能パラメータとしては、不純物密度、結晶性、熱電素子サイズ、熱電対数等が挙げられ、それらのパラメータの最適設計を行う必要がある。
【0018】
従来例1としては、単結晶シリコン基板上に半導体微細加工技術を用いて、SiO2 、SiN薄膜を積層し、熱電材料としてp型多結晶シリコン−Au/Crやn型多結晶シリコン−Au/Crの組み合わせを用いて、最後に基板をEDP(Ethylene Diamine Pyrocatechol)により異方性エッチすることにより空洞部を設け、感熱部を薄膜架橋構造にすることにより高感度化を図ったサーモパイルが記載されている。(文献:「A Silicon-Thermopile-Based Infrared Sensing Array for Use in Automated Manufacturing」(IEEE Trans. Electron Devicesvil.ED-33 no.1,pp72-79,1986 参照)
【0019】
また、図21は、特開平3−191834号公報に開示された高感度化を図ったサーモパイルが開示されている。この従来例2のサーモパイルは、単結晶シリコン基板20に、エピタキシャル層21を設け、エピタキシャル層21内にp型拡散層22による熱電対材料を形成し、さらに絶縁物23を挟んでその上にn型の多結晶シリコン層24からなる熱電対材料を形成し、アルミニウム層25により多結晶シリコン層24と接続することによって、単結晶シリコン−アルミニウム−多結晶シリコンからなる多層のサーモパイル構造が開示されている。熱電材料を多層に構成することによって、単位面積当たりの熱電対数を増加させて高出力化と、チップサイズの小型化をはかったものである。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のサーモパイルは、以下に説明するような問題があった。従来例1のサーモパイルでは、単結晶シリコン基板上にSiO2 、SiN薄膜を積層し、熱電材料としてAu/Crとゼーベック係数が大きい多結晶シリコンを用いたものである。しかし、Auは、熱伝導率が高いために、吸収された熱の散逸が大きく、受光部の温度上昇割合が十分ではない。すなわち、温度上昇値が高くとれない欠点がある。
【0021】
さらに、熱電材料として、p型多結晶シリコンを用いている。しかし、p型多結晶シリコンの多数キャリアである正孔は、移動度が小さいために、抵抗率が高い。従って、出力電圧とジョンソンノイズのS/N比が低くなるため、非接触温度計のセンサとして用いたとき精度が悪い欠点があった。また、熱電材料である多結晶シリコン層のパターンが、薄膜架橋部全体に分布し、均一に配置(レイアウト)されていないため、異方性エッチ時にメンブレンに反りやクラックが入りやすく歩留りが低下するという問題点があった。
【0022】
一方、従来例2のサーモパイルでは、上記の問題を解決し、かつ高感度化を図ったものである。熱電材料に単結晶シリコンと多結晶シリコンを用いて、各々をp型とn型とにし、起電力の極性を反対にすることによって高出力化を図っている。しかしながら、このサーモパイルでは、熱電材料の片方に単結晶シリコン基板の表面に拡散したp型拡散層を用いているため、その層を含む厚み5μm以上からなるエピタキシャル層と単結晶シリコン層を残す必要があった。
【0023】
単結晶シリコンは、不純物濃度を制御することによって、ゼーベック係数を大きくすることができ、また熱伝導率も他の材料に比べて高い特徴を有する。従って、厚み10μm程度に薄くしても吸収膜からなる感温部内の温接点部と基板上に形成された冷接点部の熱絶縁が悪く、単位赤外線入射パワーあたりの感温部の温度上昇は低くなり、結果的に出力電圧が低くなるという問題があった。
【0024】
さらに、熱電材料にp型とn型多結晶シリコンを使用して見かけ上、起電力を増加させても、前述したようにp型多結晶シリコン層の多数キャリアである正孔は、電子に比較し移動度が小さいため抵抗率が高く、n型シリコンに比較し出力電圧とジョンソンノイズとのS/N比が低く、前例と同様に非接触温度計のセンサとして用いたとき精度が低くなる欠点があった。
【0025】
さらに、多結晶シリコンのパターンレイアウトが薄膜メンブレン部全体にレイアウトしていないため、異方性エッチ時の応力集中によってクラックが入りやすく、歩留りが低くなるという問題点や、不純物は、濃度の最適化が開示されてなく、サーモパイルセンサとしてのS/N比が高く取れないという問題点があった。
【0026】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであり、出力電圧−ジョンソンノイズのS/N比が向上し、平坦で強固なメンブレン構造で形成され、赤外線吸収特性や製造時の歩留りが改善された安価なサーモパイル型赤外線センサ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決するためになされた。
【0030】
請求項1の発明は、空洞部を有する単結晶シリコン基板に熱電素子を形成したサーモパイル型赤外線センサに於いて、
前記空洞部を覆う第1の絶縁膜上に、複数のn型多結晶シリコン層が、
チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成され、
前記n型多結晶シリコン層と前記第1の絶縁膜とを覆う第2の絶縁膜に開口部を設け、前記開口部を介して前記n型多結晶シリコン層と金属薄膜層との接触によって、チップ中心側に温接点部を、その周縁側に冷接点をそれぞれ形成し、前記温接点部と隣接する前記n型多結晶シリコン層の冷接点部とを前記金属薄膜層で交互に接続して、前記第1の絶縁膜上に直列接続した熱電素子列を形成し、かつ前記熱電素子列上に絶縁膜を介して赤外線吸収膜を形成したことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサである。
【0031】
また、請求項の発明は、空洞部を有する単結晶シリコン基板に熱電素子を形成したサーモパイル型赤外線センサに於いて、
(イ)前記単結晶シリコン基板に設けられた空洞部を覆う第1の絶縁膜と、
(ロ)前記第1の絶縁膜上に設けられ、
チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成された、複数のn型多結晶シリコン層と、
(ハ)前記n型多結晶シリコン層と前記第1の絶縁膜上に形成した第2の絶縁膜と、
(ニ)複数のn型多結晶シリコン層のチップ中心側と周縁側とにそれぞれ温接点部と冷接点部とを形成するために、前記第2の絶縁膜に形成した開口部と、
(ホ)前記開口部を介して前記n型多結晶シリコン層と接触させて前記温接点部と冷接点部とを形成するための金属薄膜層と、
(ヘ)前記温接点部と隣接する前記n型多結晶シリコン層の冷接点部とを前記金属薄膜層で交互に接続して形成した、直列接続した熱電素子列と、
(ト)前記第2の絶縁膜上と前記金属薄膜層上に形成した第3の絶縁膜と、
(チ)前記温接点部を覆うように前記第3の絶縁膜上に形成される赤外線吸収膜と、
(リ)前記直列接続した熱電素子列の終端部に形成される電極パッド部と、
を設けたことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサである。
【0032】
請求項1又は2の発明では、p型シリコンの多数キャリアである正孔に比較し移動度の高い電子を多数キャリアに持つn型多結晶シリコン層を熱電材料として用い、不純物濃度と多結晶シリコン膜形成時の成膜温度を制御し結晶性を制御することによって、格子熱伝導率を小さくし、ゼーベック係数αと導電率σを最適化させたものであり、熱電材料をn型多結晶シリコン層で構成したので、p型に比較しキャリアとなる電子の移動度が大きく、同じゼーベック係数でも抵抗率が低いために、従来と比較し出力電圧−ジョンソンノイズのS/N比の向上がはかれる。また、n型多結晶シリコン膜のパターンレイアウトを放射状のストライプパターンとしてメンブレン部全体に配置し、さらに温接点部を放射状のストライプパターンの3つの同心円上部分に設けた構造にすることで、多結晶シリコン層に起因するメンブレン部内の応力を分散・緩和して、メンブレン部に発生するクラックや反りを減少させて異方性エッチ時の歩留りを改善することができる。また、各熱電素子を構成する多結晶シリコン層の抵抗を低くできるとともに、入射赤外線によるメンブレン上の高温度になる部分が、中心付近では円形に分布しており、出力電圧を効率よく取り出せるので、S/N比の優れた赤外線センサが得られる。
【0033】
また、請求項の発明は、空洞部を有する単結晶シリコン基板に熱電素子を形成したサーモパイル型赤外線センサに於いて、
前記空洞部を覆う第1の絶縁膜上に、複数のn型多結晶シリコン層が、
チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成され、
前記n型多結晶シリコン層と金属薄膜層との接触によって、チップ中心側に温接点部を、その周縁側に冷接点部を形成し、前記温接点部から導出された前記金属薄膜層を前記第1の絶縁膜上に這わせて隣接するn型多結晶シリコン層の前記冷接点部に接続させて、前記第1の絶縁膜上に直列接続した熱電素子列を形成し、かつ前記熱電素子列を覆う第2の絶縁膜上に赤外線吸収膜を形成したことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサである。
【0034】
この発明では、温接点部と冷接点部とを接続する金属薄膜層を、前記第1の絶縁膜上に形成することによって、前記第2の絶縁膜と、前記絶縁膜に形成される開口部を必要としないために、工数の削減が可能である。
【0035】
また、請求項の発明は、空洞部を有する単結晶シリコン基板に熱電素子を形成したサーモパイル型赤外線センサに於いて、
前記空洞部を覆う第1の絶縁膜上に、複数の第1のn型多結晶シリコン層が、
チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成され、
前記第1のn型多結晶シリコン層と前記第1の絶縁膜とを覆う第2の絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁膜上に、前記第1のn型多結晶シリコン層と同じパターン形状を有し、前記第1のn型多結晶シリコン層のパターンに対して円周方向に半ピッチずらしたパターンからなる複数の第2のn型多結晶シリコン層を形成し、前記第2のn型多結晶シリコン層上を覆う第3の絶縁膜を形成して、前記第1と第2のn型多結晶シリコン層上の前記第2と第3の絶縁膜に開口部を設け、前記開口部を介して金属薄膜との接触によって前記第1と第2のn型多結晶シリコン層のチップ中心側に温接点部を、その周縁側に冷接点部をそれぞれ形成するとともに、前記温接点部と隣接するn型多結晶シリコン層の冷接点部とを前記金属薄膜層で交互に接続して、直列接続した熱電素子列を形成し、かつ前記熱電素子列上に絶縁膜を介して赤外線吸収膜を形成したことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサである。
【0036】
この発明では、1層構造の場合と同数のn型多結晶シリコン層のパターンレイアウトを2層構造にすることによって、n型多結晶シリコン層の面積を広くすることができるので、多結晶シリコン層の抵抗を低くすることができる。その結果、S/N比を向上させることができる。
【0037】
また、請求項の発明は、前記単結晶シリコン基板の面方位が、(100)面であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサであり、この発明では、単結晶シリコン基板の面方位が、(100)面であるので、異方性エッチングによる空洞部の形成に有効である。
【0038】
また、請求項の発明は、チップ中心から放射状に配置された前記n型多結晶シリコン層が、チップ周縁方向に広がった扇型パターンの組合せであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサであり、この発明では、メンブレン部の面積を効率よく使用するために、円形平面に、互いに噛み合うようにn型多結晶シリコン膜のパターンの幅を広くとれるので、温接点部と冷接点部間のn型多結晶シリコン膜の抵抗を低くできる。従って、サーモパイル素子の出力電圧−ジョンソンノイズ(S/N)比を高くすることができる。また、メンブレンの全面にn型多結晶シリコン膜が形成されるので、ストレス等に強い構造とすることができる。
【0039】
また、請求項の発明は、前記温接点部が、チップ中心から半径r1〜r3の同心円上に配置され、かつr1<r2<r3の関係であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサである。
【0040】
この発明では、熱電素子の温接点部を同心円に配置することによって、各熱電素子を構成する多結晶シリコン層の抵抗を低くできるとともに、入射赤外線によるメンブレン上の高温度になる部分が、中心部付近では円形に分布しているために、出力電圧を効率よく取り出せるので、S/N比の優れた赤外線センサが得られる。
【0041】
また、請求項の発明は、前記熱電素子列上に設けられる赤外線吸収膜が、硼珪酸系ガラス、ポリイミド系樹脂、ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂の一種からなることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサである。
【0042】
この発明では、例えば硼珪酸系ガラスからなるガラス絶縁膜をアニールして一度溶融させることによりピンホールを減少させることができ、しかも硼珪酸系ガラスであるので、赤外線が吸収される波長領域を拡大することができる。また、樹脂の場合、顔料やカーボン粉末を添加することによって、赤外線吸収率や吸収される波長域が拡大できるので、赤外線センサの感度を向上させることができる。
【0043】
また、請求項の発明は、前記熱電素子列を覆う絶縁膜が、PSGとSiNとの2層の絶縁膜であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサであり、この発明では、メンブレン部のストレスを緩和することができる。
【0044】
また、請求項10の発明は、前記第1の絶縁膜が、SiO2とSiNとの2層、又はSiNをSiO2で挟んだ3層構造からなることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサであり、この発明では、SiO2 とSiNを適宜に組み合わせることによって、メンブレン部のストレスの緩和がされるとともに、空洞部形成時のエッチストップ層として使用できる。
【0045】
また、請求項11の発明は、前記n型多結晶シリコン層の周縁部が、温接点部、冷接点部を形成する部分を除いて、階段状に形成されていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサである。
この発明では、n型多結晶シリコン膜のパターンエッジ形状を階段状にすることによって、ステップカバレッジの問題が解決し、多結晶シリコン膜と電気的に接触する金属薄膜層の膜厚を薄くすることが可能となる。それによって金属薄膜層の応力が低減されるため、平坦なメンブレンの製造が容易になり、歩留まりが向上する。
【0046】
また、請求項12の発明は、前記n型多結晶シリコン層の周縁断面がテーパ状であることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサである。
【0047】
この発明では、n型多結晶シリコン層のパターンエッジ形状をテーパ状にすることによって、ステップカバレッジの問題が解決できた結果、温接点部と冷接点部間を接続する金属薄膜層の断線が無くなるとともに金属薄膜層の膜厚を薄くできるので、金属薄膜層によって生じる応力を低減でき、平坦なメンブレン部の製造が容易となり歩留まりが向上する。
【0048】
また、請求項13の発明は、前記n型多結晶シリコン層の抵抗率が、1〜10mΩ・cmであることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサである。
【0049】
この発明では、n型多結晶シリコン膜の抵抗率を1〜10mΩ・cmの範囲にすることによって、ゼーベック係数と電気抵抗値とのトレードオフの関係の最適化をすることが可能となる。すなわち、n型多結晶シリコン層の抵抗率が1mΩ・cmよりも小さい場合は、ゼーベック係数が小さくなり実用となる出力電圧が得られないし、10mΩ・cm以上の場合は、ゼーベック係数は大きくなるがゼーベック係数の温度係数とジョンソンノイズも大きくなってS/N比が低下する欠点があり、n型多結晶シリコン膜の抵抗率は1〜10 mΩ・cmの範囲が好適である。
【0050】
また、請求項14の発明は、前記熱電素子列を覆う絶縁膜が、SiO2,SiN、SiNO、PSG(リンガラス)、Al23、サイアロンの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサである。
【0051】
この発明では、パッシベーション膜として成膜したSiO2 、SiN又はSiNOを適宜組み合わせて用いることにより、気密性が高くかつメンブレン部に加わる応力を緩和させ、平坦なメンブレン部を作製することができる。さらに、PSG(リンガラス)、Al2 3 、サイアロンの少なくとも一種を用い、さらに硼珪酸系ガラスを形成することで、メンブレン部に加わる応力を緩和させることができる。
【0052】
また、請求項15の発明は、前記金属薄膜が、Al,Cr,Ta,Mo,W,NiCrの少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサである。
【0053】
この発明では、n型多結晶シリコン層と接触させて配線する金属薄膜層の材料として、下地絶縁層のSiO2 との密着性が良くかつ熱伝導率が小さい、Al,Cr,Ta,Mo,W及びこれらの合金,又はNiCrの内のどれか一種を使用することにより、量産性に富みかつ感熱部からの熱の放散を小さく、感熱部の温度上昇を高くとることが可能になる。
【0054】
また、請求項16の発明は、前記赤外線吸収膜の表面が凹凸を有する縞状パターンであることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサである。
この発明では、赤外線吸収膜の凹凸を形成することで、赤外線の吸収率を低下させることによって吸収率を向上させるようにしたものである。
【0055】
また、請求項17の発明は、請求項1〜16の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサにおいて、
前記サーモパイル型赤外線センサをパッケージに封入して、前記パッケージのキャップ部分に形成した開口部に赤外線を透過させるフィルタ材からなるウインドウ材が設けられ、前記ウインドウ材が4角形または6角形であり、前記開口部の形状と前記ウインドウ材の形状が一致し、かつ前記開口部の各コーナ部に形成された切欠部が前記4角形または6角形の各辺の交点より外側に形成されていることを特徴とするサーモパイル型赤外線センサである。
【0056】
また、請求項18の発明は、請求項1〜16の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサにおいて、
前記サーモパイル型赤外線センサをパッケージに封入して、前記パッケージのキャップ部分に形成した開口部に赤外線を透過させるフィルタ材からなるウインドウ材が設けられ、前記ウインドウ材が4角形または6角形であり、前記開口部の形状と前記ウインドウ材の形状が一致し、かつ前記開口部の各コーナ部に形成された凹部が形成され、前記凹部によって前記ウインド材を位置決めし保存することを特徴とするサーモパイル型赤外線センサである。
【0057】
請求項17の発明では、パッケージのキャップに設けた開口部にウインドウ材の形状を一致させて、ウインドウ材を開口部に嵌挿させて固着したものであり、ウインドウ材のコーナ部が嵌挿される開口部に湾曲した切欠部を形成して、コーナ部が切欠部内に嵌入するようにして、隙間を可能な限り小さくしたものである。また、請求項18の発明では、開口部裏面の四隅に外側に突出する凹部を形成して、ウインドウ材を開口部に嵌入させて、かつウインドウ材の四隅を凹部の底面に当接させて、ウインドウ材とキャップとを接着することで、キャップをウインドウ材に強固に固着することができる。また、ウインドウ材とキャップの厚さ方向の位置合わせが正確にできるので、ウインドウ材とキャップ表面を面一とすることが可能できる。
【0058】
また、請求項19の発明は、サーモパイル型赤外線センサの製造方法に於いて、
(イ)単結晶シリコン基板の両面に熱酸化、CVD又はスパッタリングにより第1の絶縁膜を形成する第1の工程と、
(ロ)前記第1の絶縁膜表面上にCVD又はスパッタリングにより多結晶シリコン層を成膜する第2の工程と、
(ハ)前記多結晶シリコン層に不純物を拡散することにより抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲のn型多結晶シリコン層を形成する第3の工程と、
(ニ)前記n型多結晶シリコン層をパターニングして、
チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成される、
第1のパターンを形成する第4の工程と、
(ホ)前記第1のパターンを構成する複数の前記各部分パターンに分割されたn型多結晶シリコン層及び前記第1の絶縁膜上にCVD、ガラス塗布又はスパッタリングにより第2の絶縁膜を形成する第5の工程と、
(ヘ)前記第2の絶縁膜における温接点部及び冷接点部の各々に対応した部分に開口部を設ける第6の工程と、
(ト)前記第6の工程の後、スパッタリング又は蒸着により金属薄膜層を成膜する第7の工程と、
(チ)前記金属薄膜層をパターニングして、前記n型多結晶シリコン層と前記金属薄膜層とを前記開口部でオーミック接触させて、温接点部と冷接点部とからなる各熱電素子を直列接続して、熱電素子列を形成する第8の工程と、
(リ)前記金属薄膜層と前記第2の絶縁膜上に第3の絶縁膜を形成し、かつチップ中央部に赤外線吸収膜を形成する第9の工程と、
(ヌ)前記単結晶シリコン基板の裏面の前記第1の絶縁膜に開口部を設けて、エッチングによって前記基板の裏面に空洞部を形成し、前記第1の絶縁膜を裏面から露出させる第10の工程と、
を備えたことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサの製造方法である。
【0059】
また、請求項20の発明は、サーモパイル型赤外線センサの製造方法に於いて、
(イ)単結晶シリコン基板の両面に熱酸化、CVD又はスパッタリングにより第1の絶縁膜を形成する第1の工程と、
(ロ)前記第1の絶縁膜上にCVD又はスパッタリングにより多結晶シリコン層を成膜する第2の工程と、
(ハ)前記多結晶シリコン層に不純物を拡散することにより抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲のn型多結晶シリコン層を形成する第3の工程と、
(ニ)前記n型多結晶シリコン層を、その厚み方向に途中までパターニングして、
チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなるメサ状の第1部分パターンと、
前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型で且つメサ状の第2部分パターンと、
前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在するメサ状の第3部分パターンと、を有し、
前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成される、
第1のパターンを形成する第4の工程と、
(ホ)前記第1のパターンが形成された前記n型多結晶シリコン層を、前記第4の工程で形成した前記各部分パターンに相似したより大きい部分パターンによって、その厚み方向に前記第1の絶縁層までパターニングして、テーパの付いた階段状に形成された複数の部分パターンに分割されたn型多結晶シリコン層を形成する第5の工程と、
(ヘ)前記第5の工程の後の前記階段状n型多結晶シリコン層上に第2の絶縁膜を形成し、温接点部及び冷接点部の各々に対応した部分の前記第2の絶縁膜に開口部を設ける第6の工程と、
(ト)前記第6の工程の後に、スパッタリング又は蒸着により金属薄膜層を成膜する第7の工程と、
(チ)前記金属薄膜層をパターニングして、前記階段状n型多結晶シリコン層と前記金属薄膜層とを前記開口部でオーミック接触させて、温接点部と冷接点部とからなる各熱電素子を直列接続して、熱電素子列を形成する第8の工程とを備え、
(リ)前記第2の絶縁膜と前記金属薄膜層上に第3の絶縁膜を形成し、前記第3の絶縁膜上に赤外線吸収膜を形成する第9の工程と、
(ヌ)前記単結晶シリコン基板の裏面に空洞部を形成して、前記第1の絶縁膜を裏面から露出させる第10の工程と、
を含むことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサの製造方法である。
【0060】
また、請求項21の発明は、サーモパイル型赤外線センサの製造方法に於いて、
(イ)単結晶シリコン基板の両面に熱酸化、CVD又はスパッタリングにより第1の絶縁膜を形成する第1の工程と、
(ロ)前記第1の絶縁膜上にCVD又はスパッタリングにより第1の多結晶シリコン層を成膜する第2の工程と、
(ハ)前記第1の多結晶シリコン層をパターニングして、
チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成される、第1のパターンを形成した後、
前記第1のパターンが形成された前記第1の多結晶シリコン層上に第2の多結晶シリコン層を成膜して、前記第1及び第2の多結晶シリコン層に不純物を拡散し、抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲の前記第1の多結晶シリコン層による第1のn型多結晶シリコン層と前記第2の多結晶シリコン層による第2のn型多結晶シリコン層とを形成する第3の工程と、
(ニ)前記第1及び第2のn型多結晶シリコン層が積層して構成された1つのn型多結晶シリコン層を、前記第3工程で形成した前記各部分パターンに相似したより大きい部分パターンによってパターニングして、テーパの付いた階段状に形成された複数の部分パターンに分割された前記n型多結晶シリコン層を形成する第4の工程と、
(ホ)前記第4の工程の後、前記第2のパターンによるn型多結晶シリコン層上に第2の絶縁膜を形成し、温接点部と冷接点部の各々に対応した部分の前記第2の絶縁膜に開口部を設ける第5の工程と、
(ヘ)前記第5の工程の後、スパッタリング又は蒸着により金属薄膜層を成膜する第6の工程と、
(ト)前記金属薄膜層をパターニングして、前記n型多結晶シリコン層と前記金属薄膜層とを前記開口部でオーミック接触させて、温接点部と冷接点部とを接続して直列接続した熱電素子列を形成する第7の工程とを備え、
(チ)前記第2の絶縁膜と前記金属薄膜層上に第3の絶縁膜を形成した後、前記第3の絶縁膜上に赤外線吸収膜を形成する第8の工程と、
(リ)前記単結晶シリコン基板の裏面に空洞部を形成して、前記第1の絶縁膜を裏面から露出させる第9の工程と、
を含むことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサの製造方法である。
【0061】
また、請求項22の発明は、サーモパイル型赤外線センサの製造方法に於いて、
(イ)単結晶シリコン基板の両面に熱酸化、CVD又はスパッタリングにより第1の絶縁膜を形成する第1の工程と、
(ロ)前記第1の絶縁膜表面上にCVD又はスパッタリングにより第1の多結晶シリコン層を成膜する第2の工程と、
(ハ)前記第1の多結晶シリコン層に不純物を拡散することにより抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲の第1のn型多結晶シリコン層を形成する第3の工程と、
(ニ)前記n型多結晶シリコン層をパターニングして、
チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成される、
第1のパターンを形成する第4の工程と、
(ホ)前記第1のパターンを構成する複数の前記各部分パターンに分割されたn型多結晶シリコン層及び第1の絶縁膜上にCVD、ガラス塗布又はスパッタリングにより第2の絶縁膜を形成する第5の工程と、
(ヘ)前記第5の工程の後に、前記第2の絶縁膜上に第2の多結晶シリコン層を成膜し、前記第2の多結晶シリコン層に不純物を拡散することにより抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲の第2のn型多結晶シリコン層をドーピングして形成する第6の工程と、
(ト)前記第6の工程の後、前記第2のn型多結晶シリコン層をパターニングして、前記第1のn型多結晶シリコン層からなる第1のパターンに対して、円周方向に半ピッチずれた、前記第1のパターンと同一形状の第2のパターンを形成する第7の工程と、
(チ)パターニングされた前記第1及び第2のn型多結晶シリコン層上に第3の絶縁膜を形成し、温接点部及び冷接点部の各々に対応した部分の前記第2又は第3の絶縁膜に開口部を設ける第8の工程と、
(リ)前記第3の絶縁膜上に金属薄膜層を形成してパターニングし、前記開口部で前記第1と第2のn型多結晶シリコン層と前記金属薄膜層との接触によって形成される前記温接点部と冷接点部とを接続して熱電素子列を形成する第9の工程と、
(ヌ)前記第3の絶縁膜と前記金属薄膜層上に第4の絶縁膜を形成し、前記第4の絶縁膜上に赤外線吸収膜を形成する第10の工程と、
(ル)前記単結晶シリコン基板の裏面に空洞部を形成して、前記第1の絶縁膜を裏面から露出させる第11の工程と、
を含むことを特徴とするサーモパイル赤外線センサの製造方法である。
【0062】
また、請求項23の発明は、サーモパイル型赤外線センサの製造方法に於いて、
(イ)単結晶シリコン基板の両面に熱酸化、CVD又はスパッタリングにより第1の絶縁膜を形成する第1の工程と、
(ロ)前記第1の絶縁膜表面上にCVD又はスパッタリングにより第1の多結晶シリコンを成膜する第2の工程と、
(ハ)前記多結晶シリコンに不純物を拡散することにより抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲のn型多結晶シリコン層を形成する第3の工程と、
(ニ)前記n型多結晶シリコン層をパターニングして、
チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成される、
第1のパターンを形成する第4の工程と、
前記第1の絶縁膜及び前記第1のパターンが形成された前記n型多結晶シリコン層上に金属薄膜層を成膜する第5の工程と、
(ホ)前記金属薄膜層をパターニングして、パターニングされた前記n型多結晶シリコン層の前記温接点部と冷接点部を前記金属薄膜層との接触によって形成するとともに、前記金属薄膜層によって前記温接点部と冷接点部とを互いに接続して熱電素子列を形成する第6の工程と、
(ヘ)前記第1の絶縁膜、前記金属薄膜層と前記パターン化されたn型多結晶シリコン層上に絶縁膜を形成し、該絶縁膜上のチップ中央部に赤外線吸収膜を形成する第7の工程と、
(ト)前記基板をエッチングして空洞部を形成し、前記第1の絶縁膜を裏面から露出させる第8の工程と
を含むことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサの製造方法である。
【0063】
また、請求項24の発明は、前記熱電素子列上に形成される赤外線吸収膜が、硼珪酸系ガラス、ポリイミド系樹脂、ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂の一種からなることを特徴とする請求項19〜23の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法である。
【0064】
また、請求項25の発明は、加熱工程を経て、前記赤外線吸収膜の表面を凹凸を有する縞状パターンとしたことを特徴とする請求項19〜24の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法である。
この発明では、赤外線吸収膜の凹凸を形成することで、赤外線の吸収率が向上する。
【0065】
また、請求項26の発明は、前記赤外線吸収膜の膜厚が1〜15μmであって、前記赤外線吸収膜の表面に1〜10μmの凹凸を形成したことを特徴とする請求項25に記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法である。
【0066】
この発明では、赤外線吸収膜の膜厚が15μm以上であると吸収効率が低下するので、1〜15μmの範囲が好ましく、凹凸の寸法を10μm以上とすると、反射率が向上するために、吸収効率が低下し、1〜10μmの範囲とすることによって、吸収効率を高めることができる。
【0067】
上記製造方法に於いて、減圧CVDによる多結晶シリコン成膜時の温度を600℃〜700℃にすることによって、シリコンの結晶化が進行して多結晶化し、キャリア移動度が高くなり多結晶シリコン膜の抵抗率が低下し、ゼーベック係数を高くし、出力電圧−ジョンソンノイズ(S/N)比を高くすることができるサーモパイル型赤外線センサの製造方法である。
【0068】
この発明では、熱電素子の温接点部を同心円に配置することによって、各熱電素子を構成するn型多結晶シリコン層の抵抗を低くできるとともに、入射赤外線によるメンブレン上の高温度になる部分が、中心部付近では円形に分布しているために、出力電圧を効率よく取り出せるので、S/N比の優れた赤外線センサが得られるとともに、n型多結晶シリコン層のレイアウトを温接点が前記空洞部中心部から半径r1<r2<r3の同心円の各円周上に配置することにより、多結晶シリコンによるメンブレン内に発生する応力が集中しないようになされている。
【0069】
なお、本発明のサーモパイル型赤外線センサは、使用形態によって、サーモパイル素子(チップ)を基板にマウントして使用する場合やチップをパッケージングして使用する場合とがあり、本発明のサーモパイル型赤外線センサでは、このパッケージングとして、熱伝導率が高い金属ケースやAl2 3 やAlNからなるセラミックパッケージが用いられ、このチップをセラミックパッケージで封じることにより、周囲温度の変化に対する追従性がよくなり、パッケージ内に温度差が発生せず、冷接点部の温度補償を高精度に行うことが可能となる。
【0070】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るサーモパイル型赤外線センサ及びその製造方法について、その実施の形態を示す図面を参照して説明する。なお、本発明では、実施形態1から4を参照して説明する。
【0071】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について、図1〜図6を参照して説明する。図1は、実施形態1に係るサーモパイル型赤外線センサのサーモパイル素子(チップ)を示す一部切欠斜視図であり、図2は、サーモパイル型赤外線センサの各熱電素子の接続を説明するための説明図である。図3(a)は、図1の多結晶シリコン層の平面図であり、絶縁膜、パッシべーション膜及び樹脂吸収膜等の図示は省略しており、図3(b)は、絶縁膜を形成した場合の図3(a)のX−X断面図である。図4は、本実施形態のサーモパイル型赤外線センサの概要を示す部分平面図であり、図5は、絶縁膜を形成した場合の図4で示した部分断面図である。図6(a),(b)は、サーモパイル素子にパッシべーション膜や赤外線吸収膜を形成した模式的断面図である。
【0072】
図1に於いて、単結晶シリコン基板1に空洞部13が形成され、空洞部13を覆うように、絶縁膜2aが形成されてメンブレン部14が形成されている。空洞部13を覆う絶縁膜2a上には、放射状のn型多結晶シリコン層が形成され、これらのn型多結晶シリコン層とアルミニウム等の金属薄膜層との接触部に温接点部と冷接点部とが形成される。隣接するn型多結晶シリコン層同志の温接点部と冷接点部とを金属薄膜層で交互に接続することで、直列接続された熱電素子列が絶縁膜2a上に形成される。温接点部は、空洞部13上の絶縁膜2a上に形成され、冷接点部は、単結晶シリコン基板1上の絶縁膜2a上に形成されている。熱電素子列の引出線が外周部に形成された電極パッド部12に接続されている。このように基板1の空洞部13を覆うように薄膜架橋状に絶縁膜2aが形成されて、その上に熱電素子列による感熱部が形成されている。さらに、後述するように、感熱部を覆うようにパッシベーション膜と赤外線吸収膜等が形成されている。
【0073】
先ず、本実施形態の理解を容易とするために、図2を参照して各熱電素子の接続について説明する。図2に示すように、絶縁膜上にn型多結晶シリコン層31 〜33 が島状に形成されている。n型多結晶シリコン層31 の温接点部Taは、金属薄膜層7によりn型多結晶シリコン層32 の冷接点部Tbと接続され、かつn型多結晶シリコン層32 の温接点部Taが金属薄膜層7でn型多結晶シリコン層33 の冷接点部Tbに接続されている。このようにn型多結晶シリコン層の温接点部Taが、金属薄膜層7によって、隣接するn型多結晶シリコン層の冷接点部Tbに接続されて、熱電素子が金属薄膜層7で直列接続されて熱電素子列を形成している。これらの最終端は、図1に示したように、電極パッド部12に接続されている。
【0074】
続いて、図3(a)を参照して説明すると、本実施形態のサーモパイル型赤外線センサのパターンは、n型多結晶シリコン層31 〜33 と配線パターンである金属薄膜層71 〜73 とが放射状に形成されて、熱電素子列が形成されている。例えば、接点部Taは、チップ中心近傍の円周上に4個形成され、その外側の同心円の円周上に36個が形成され、さらにその外側の同心円の円周上に40個が形成されている。これら熱電素子の冷接点部Tbは、基板に形成された絶縁膜上のチップ周縁に温接点部と同数80個が形成されている。このように熱電素子がチップ中心に放射状に形成されている。
【0075】
サーモパイル型赤外線センサのパターンは、島状のn型多結晶シリコン層31 〜33 の各パターンの組合せから構成され、n型多結晶シリコン層31 は、チップ中心側を要とする扇型パターンと、この扇型パターンからチップ周縁方向に延びるストライプ状部とで構成されている。n型多結晶シリコン層31 のストライプ状部のパターン形状は、鉤型のn型多結晶シリコン層であり、他のパターンとの噛み合い部を除いてチップ周縁部の幅が広がった形状である。このn型多結晶シリコン層31 の切欠位置には、ストライプ状に鉤型のn型多結晶シリコン層32 が噛み合うように配置され、n型多結晶シリコン層31 ,32 の切欠部に、ストライプ状のn型多結晶シリコン層33 が噛み合うように形成されている。これらn型多結晶シリコン層33 は、チップ周縁程、パターンの幅が広がった形状である。これらのn型多結晶シリコン層31 〜33 のチップ中心側の端部に温接点部Taが設けられ、他端側に冷接点部Tbが設けられている。これら島状のn型多結晶シリコン層のパターンが、絶縁膜2a上に放射状に均一に配置されることにより、メンブレン構造の応力分布を均一にすることができる。
【0076】
図3(b)は、図3(a)のX−X線に沿った部分の断面図であり、冷接点部Tbの切断面が図示されている。同図では、絶縁膜2a上に形成されたn型多結晶シリコン層32 ,33 が絶縁膜4で覆われ、絶縁膜4にコンタクトホール(開口部)15が形成され、この開口部15でn型多結晶シリコン層32 ,33 とAl等の金属薄膜層とがオーミック接触する接触部が形成され、この接触部に冷接点部Tbが形成されている。温接点部も同様に絶縁膜4に開口部を形成して、金属薄膜層7とn型多結晶シリコン層とが接触して、温接点部が形成されている。また、n型多結晶シリコン層の周縁は、急峻な段差を回避するためにテーパ状となっている。
【0077】
さらに、本実施形態について、図4〜図6を参照して詳細に説明する。なお、図4は、サーモパイル型赤外線センサの部分拡大平面図であり、パターンの1/4が概略図で示されている。この図では、絶縁膜が省略されており、開口部15a〜15cは二点鎖線で示した。図5(a)〜(d)では、図4のA−A,B−B,C−C,D−D断面図が図示され、この図では、絶縁膜が形成されている。図6(a),(b)は、本実施形態のサーモパイル型赤外線センサの熱電素子の膜構成を説明するための模式的断面図である。
【0078】
本実施形態のサーモパイル型赤外線センサは、図4,図5に示したように、n型多結晶シリコン層31 〜33 の温接点部Taが、チップ中心Cから半径r1〜r3の円周上の位置にそれぞれ形成され、n型多結晶シリコン層31 〜33 の終端部に冷接点部Tbが形成されている。n型多結晶シリコン層31 のパターンは、半径rlから半径r2の間に形成された扇型パターン3aと、この扇型パターン3aから外縁部近くまで延在するストライプ状の鉤型パターン3bとからなり、鉤型パターン3bは、半径r2から半径r3までと、半径r3から外周部に行くほど幅が広がった扇状となっている。n型多結晶シリコン層31 の切欠部を補うように、n型多結晶シリコン層32 が形成され、n型多結晶シリコン層32 のパターンは、半径r2から外周方向に基板の外縁部近くまで延在する鉤型パターン3b′からなるストライプ状パターンである。鉤型パターン3b,3b′の切欠部を補うように、n型多結晶シリコン層33 のパターンが配置され、n型多結晶シリコン層33 のパターンは、半径r3から外周方向に延在するストライプ状パターン3cからなる。なお、半径r1〜r3は、r1<r2<r3の関係にある。なお、半径r1は、中心Cに近い位置である。また、チップ中心Cには、円形の多結晶シリコン層を残しても良い。
【0079】
n型多結晶シリコン層31 〜33 は、絶縁膜4で覆われ、n型多結晶シリコン層31 の扇型パターン3aの先端部の絶縁膜4には、図5(a)に示すように、コンタクトホール(開口部)15aが形成され、n型多結晶シリコン層32 ,33 の先端部の絶縁膜にも、図5(b),(c)に示すように、開口部15b,15cがそれぞれ形成されている。これら開口部15a〜15cに金属薄膜層7がオーミック接触することで、温接点部Taが形成されている。n型多結晶シリコン層31 〜33 の他端には、図5(d)に示すように、絶縁膜4に開口部15dが形成され、金属薄膜層7が開口部15dから露出するn型多結晶シリコン層とオーミック接触することで、冷接点部Tbが形成されている。このように、n型多結晶シリコン層31 〜33 は、そのチップ中心側に温接点部Taが形成され、他端に冷接点部Tbが形成されている。
【0080】
上記したように、本実施形態のサーモパイル型赤外線センサは、1層のn型多結晶シリコン層で構成され、単結晶シリコン基板1の表面に形成された絶縁膜2a上にn型多結晶シリコン層3がストライプ状に多数放射状に形成されている。そして、絶縁膜2a及びn型多結晶シリコン層3上に形成された絶縁膜4に開口部15a〜15dが形成され、絶縁膜4上にAl等の金属薄膜層を成膜した後、パターニングして温接点部と冷接点部とを交互に接続する金属薄膜層7が形成されている。
【0081】
上記実施形態の各熱電素子が直列接続された熱電素子列上には、図6(a)に示したように、SiNによる絶縁膜8が形成され、その感熱部中央の温接点部Taを覆うように、SiO2 (絶縁膜)10が被覆された硼珪酸系ガラス層9が形成されている。また、図6(b)に示すように、感熱部中央の温接点部Taを覆うように、PSG(Phospho-Silicate-Glass)層81 とSiN82 とによる絶縁膜8が形成され、さらに赤外線の吸収を良好とするために、メンブレン中央部(感熱部)を覆うように樹脂吸収膜16が形成されている。このようにガラス層又は樹脂吸収膜が形成されることによって、センサとしての赤外線吸収特性を向上させている。絶縁膜8は、SiN以外にSiO2 、PSG(リンガラス)、Al2 3 、サイアロンの少なくとも一種を含む。
【0082】
なお、図6(a)の絶縁膜10は、硼珪酸系ガラス層9をエッチング工程から保護するために形成されている。この硼珪酸系ガラス層9と絶縁膜10は、メンブレン中央部を残してエッチング除去され、ガラス層9と絶縁膜10とは、赤外線吸収膜としての機能を有している。一方、図6(b)の樹脂吸収膜16は、ポリイミド系樹脂、ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂及び合成ゴム等が用いられる。また、基板1の裏面には、絶縁膜2bが形成されており、絶縁膜2bをエッチングにより開口し、裏面からアルカリエッチャント等のエッチング液により異方性エッチングすることによって、空洞部13が形成されている。なお、図1で示した電極パッド部12は、絶縁膜8の一部をエッチングして開口し、金属薄膜11,12をパターニングして形成している。金属薄膜層11,12の材質は、Au,Al,Cr,Ta,Mo,W,NiCrの少なくとも一種が選択される。
【0083】
次に、実施形態1のサーモパイル型赤外線センサの製造方法の一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0084】
▲1▼基板1は、面方位(100)であり、その厚みが、400μm程度の半導体単結晶シリコン基板からなり、900〜1100℃程度の温度で熱酸化し、基板1の両面に厚さが、0.1〜1μmの二酸化シリコン(Si02 )からなる絶縁膜2a,2bが形成されている。なお、絶縁膜2aは、SiO2 の一層、SiO2 +SiNの2層、又はSiO2 +SiN+SiO2 の3層構造の何れであってもよい。
【0085】
▲2▼この絶縁膜2a上には、LP−CVD法やスパッタリング法により膜厚が、0.1〜2μmのノンドープ多結晶シリコン層が形成され、さらにこのシリコン膜にPOC13 を不純物源として、800〜1150℃の温度でリンをドーピングする。ドーピング後表面に形成されたリンガラス(PSG)を緩衝弗酸によりエッチングする。この多結晶シリコン層は、抵抗率が1〜10mΩ・cmのn型多結晶シリコン層になる。
【0086】
▲3▼n型多結晶シリコン層3上に膜厚1〜4μmのフォトレジストを形成する。このレジストをマスクとして、図4に示したように、チップ中心Cから放射状にストライプ状の多結晶シリコン層からなるパターンが形成される。このストライプ状パターンは、チップ中心Cを起点とする半径rlからその外周方向に半径r2の間の扇状パターン3aと、扇状パターン3aから基板外縁部近くまで延在する鉤型パターン3bのストライプ状パターンとから形成されている。さらに、半径r2からチップ外周方向に前記基板の外縁部近くまで延在する鉤型パターン3b′と、半径r3から外周方向に前記基板の外縁部近くまで延在するストライプ状パターン3cとからなるパターンが形成される。
【0087】
このn型多結晶シリコンの各パターンは、n型多結晶シリコン層を反応性イオンエッチング(RIE)等を用いてパターニングされ、n型多結晶シリコン層31 〜33 が島状であって、互いに噛み合った配置で形成されている。なお、RIEによるn型多結晶シリコン膜のエッチングガスとしては、例えばSF6 がよく、適切な条件を設定することによって、エッチングされたn型多結晶シリコン層31 〜33 のエッジ形状がテーパ状になる。各n型多結晶シリコン層のエッジ形状をテーパ状にすることによって、シリコン層上に形成される上層膜のステップカバレッジの問題(配線の断線等)を改善することができる。なお、n型多結晶シリコン層を等方性エッチングによって、その周縁部をテーパ状或いは階段状に形成してもよい。
【0088】
▲4▼さらに、Al−Siをスパッタリング法によって、膜厚が0.2〜1μmとなるまで堆積させた後、エッチャントとして燐酸を用いてパターニングして金属薄膜層7を形成する。この工程で、多数の温接点部Taと冷接点部Tbとを形成して、熱電素子が直列接続された熱電素子列による感熱部が形成される。
【0089】
▲5▼続いて、感熱部上に、プラズマCVD法やスパッタリング法によって、絶縁膜8として膜厚0.2〜2μmのSiNが形成され、さらに絶縁膜8上に硼珪酸系ガラス層9が膜厚0.3〜3μmで形成される。硼珪酸系ガラス層9は、300〜600℃の温度でアニールしてリフローすることによって、ピンホールの低減やステップカバレージが改善される。さらに、硼珪酸系ガラス層9上には、スパッタリング法によって、SiO2 10が膜厚0.1〜2μmで形成されている。なお、絶縁膜8は、膜の引っ張り又は圧縮応力が緩和されるように、SiO2 、SiN又はSiNOの材料の中から選択して組み合わせて用いられる。例えば、SiO2 とSiNとの2層、又はSiO2 にSiNを挟んだ3層構造とする。
【0090】
▲6▼メンブレン部14上の硼珪酸系ガラス層9とSiO2 10の一部をエッチング除去して、メンブレン中央部を残して赤外線吸収膜とする。
【0091】
▲7▼電極パッド部は、絶縁膜8の一部をエッチングして開口し、金属薄膜層11,12をパターニングして絶縁膜8にオーバーラップするように形成されている。
【0092】
▲8▼最終工程では、基板1の裏面の絶縁膜2bをエッチングにより開口し、裏面から基板1をアルカリエッチャント等のエッチング液により異方性エッチングすることによって、基板1に空洞部13が形成される。
【0093】
最終工程における基板1の裏面のエッチングは、例えば、(100)面単結晶シリコンをKOHにより異方性エッチすると、図1に示されているように、54.7°の角度のテーパが形成される。この製造方法は、バッチ処理で大量に処理可能な利点があるために、安価な素子を製作することができる利点を有する。しかし、この製造方法では、結晶構造に起因するテーパが形成されるために、チップ上で無駄な部分が生じ、チップサイズの縮小化が困難である。
【0094】
チップサイズの縮小化の要求に対しては、ドライエッチング法によるシリコン基板を垂直にエッチングする製造方法が用いられる。この製造方法は、リアクティブイオンエッチング装置(RIE:Reactive Ion Etching)を用いたドライエッチング技術によって、単結晶シリコンを87°〜90°の角度で垂直にエッチング加工することができる。この方法では、高密度プラズマが発生可能なICP(Inducutively Coupled Plasma )を適用したICP−RIE装置を用い、エッチングのマスクとしてSiO2 やレジストを用いて、シリコン基板を垂直にエッチングすることが可能である。このような方法を用いて加工することによって、チップサイズを縮小することができる。
【0095】
続いて、樹脂製の赤外線吸収膜の製造方法について、図6(b)を例にして説明する。樹脂吸収膜(赤外線吸収膜)16は、メンブレン中央部を覆うように形成されている。赤外線吸収膜16は、ポリイミド系樹脂、ビニル系樹脂、又はアクリル系樹脂の少なくとも1種が選択され、この樹脂中にカーボン等の赤外線の吸収特性を向上させる顔料が添加される。
【0096】
上記赤外線吸収膜の成膜方法としては、スピンコートを用いたフォトリソグラフィ法、または印刷法がある。例えば、フォトリソグラフィ法を用いた赤外線吸収膜の成膜方法は、スピンコータを用いウエハ上に感光性レジストを滴下して、塗布されたレジストの膜厚を、0.1μmから30μmとする。
【0097】
レジスト膜は、恒温槽やホットプレート等の加熱手段によって、80〜120℃程度の温度で加熱(プリベーク)される。プリベーク後、成膜された膜は、マスクアライナーにより所望のパターンをアライメントした後、露光現像し、赤外線吸収膜となるべき部分のレジストが除去される。続いて、リンス工程を経た後、ポストベークされて、最終的な形状が形成される。
【0098】
次に、赤外線吸収膜となるカーボン微粒子を含んだ樹脂液を膜厚1〜30μmスピンコートする。さらに、80℃から120℃程度の温度で加熱(プリベーク)した後、レジストを溶解する剥離液によりリフトオフする。最終加熱(ポストベーク)されて最終的な赤外線吸収膜が形成される。この最終の加熱工程において、温度、時間、加熱方法を制御することによって、図19に示したが、成膜した樹脂吸収膜の表面に凹凸が1〜10μmからなる縞状パターンが形成される。なお、図19の画像は、デジタル写真を示したものである。この図の樹脂吸収膜は、ホットプレートにより約150〜300℃で2〜15分間ポストベークしたときの吸収膜の表面を示している。
【0099】
赤外線吸収膜に使用される樹脂としては、本発明で開示した樹脂以外に感光性樹脂を用いてもよい。感光性樹脂を用いた場合は、リフトオフ工程を省略することができる。
【0100】
なお、フォトリソグラフィを用いてパターニングすると、スピンコート後の表面は、凹凸が1μm以下の非常に平坦な膜が形成される。この平坦な膜は、露光の際に解像度が増すなど多くの利点がある。しかし、光学的には、平坦であるために、入射した赤外線がこの表面で反射する。従来の成膜方法によって形成された平坦な膜の赤外線透過率は、波長10μmにおいて5%程度であるが、反射率が25%程度と高いため、赤外線の吸収率が実質的に低下する。
【0101】
しかし、本実施形態のように、赤外線吸収膜の表面に1〜5μmの凹凸の縞状パターンを形成することによって、赤外線吸収膜の表面に形成された凹凸で入射赤外線が散乱して、赤外線の反射率を10%程度低下させることができる。赤外線吸収膜の反射率が低下することによって、赤外線吸収率が向上してセンサの出力を約5%向上させることができる。
【0102】
(実施形態2)
本発明に係るサーモパイル型赤外線センサの実施形態2について、図7〜図9を参照して説明する。図7は、サーモパイル型赤外線センサのパターンの半分を示す概略図である。図8は、全パターンの1/4の概略を示す要部拡大図である。なお、図7,図8では、絶縁膜やパッシベーション層等が省略されて図示されている。図9(a)〜(d)は、図8で示したA−A,B−B,C−C,D−D断面の膜構成を図示した。
【0103】
本実施形態は、実施形態1のn型多結晶シリコン層31 〜33 の抵抗を下げて、S/N比を向上させることを目的とし、n型多結晶シリコン層の膜厚を厚くしたものであり、そのパターンが図7に示されている。本実施形態には、実施形態1と同様に、空洞部を有する単結晶シリコン基板を用い、その両面に絶縁膜が形成されている。絶縁膜上に形成される熱電材料であるn型多結晶シリコン層は、1層の多結晶シリコン層の膜厚を厚く形成する製造方法▲1▼と、2層のn型多結晶シリコン層を形成して厚く形成する製造方法▲2▼とがある。
【0104】
先ず、実施形態2のサーモパイル型赤外線センサについて、図7を参照して説明をすると、上記実施形態で説明したように、n型多結晶シリコン層31 〜33 は、絶縁膜上のチップ中心から放射状に配置され、かつ互いに分離した島状に形成されている。図3(a)のn型多結晶シリコン層31 〜33 のパターンよりも小さめにパターニングしてエッチングし、メサ状にn型多結晶シリコン層311〜331が形成される。その後、n型多結晶シリコン層31 〜33 のパターンを形成することによって、それらの周縁部をテーパの付いた階段状とした形状を有する。その上に、第2の絶縁膜4を形成し開口部を形成した後、金属薄膜層をスパッタリングしてパターニングすることによって、前記開口部において、n型多結晶シリコン層と金属薄膜層とが接触することによって、温接点部Taと冷接点部Tbとが形成される。これらのn型多結晶シリコン層の周縁部を、テーパの付いた階段状にすることによって、急峻な段差を解消し、金属薄膜層のn型多結晶シリコン層の周縁部での金属薄膜層の断線を防止している。
【0105】
続いて、▲1▼1層の多結晶シリコン層による製造方法の実施形態について簡単に説明する。単結晶シリコン基板に絶縁膜2aを形成し、絶縁膜2a上にLP−CVD法やスパッタリング法によって膜厚が、0.1〜2μmのノンドープ多結晶シリコン層を形成し、さらにこの多結晶シリコン層にPOC13 を不純物源として、800〜1150℃の温度でリンをドーピングしてn型多結晶シリコン層を形成している。このn型多結晶シリコン層は、抵抗率が1〜10mΩ・cmとなる。n型多結晶シリコン層を形成した後、その表面のリンガラス(PSG)を緩衝弗酸によって除去し、その後、実施形態1のパターンに相似した小さいパターンでパターニングして、メサ状のn型多結晶シリコン層311〜331を形成し、次に、実施形態1のn型多結晶シリコン層と同一のパターンでパターニングして、階段状のn型多結晶シリコン層31 〜33 が形成される。その後、実施形態1で説明した製造工程を経て、パッシベーション膜と赤外線吸収膜等が形成されて、サーモパイル型赤外線センサが製造される。
【0106】
次に、▲2▼2層の多結晶シリコン層による製造方法の実施形態について簡単に説明する。図7〜図9を参照して説明する。なお、パターン化した1層の多結晶シリコン層を、2層目の多結晶シリコン層が覆うようにして、▲1▼の製造方法で説明した形状とほぼ等しい形状とするものであり、n型多結晶シリコン層31 〜33 に相当する部分が、1層と2層の多結晶シリコン層で形成され、n型多結晶シリコン層311〜331相当する部分が、1層の多結晶シリコン層で形成されている。先ず、単結晶シリコン基板に絶縁膜2aを形成し、絶縁膜2a上にLP−CVD法やスパッタリング法によって膜厚が、0.1〜2μmのノンドープ多結晶シリコン層を形成する。その後、上記n型多結晶シリコン層311〜331を形成するマスクを用いて、互いに分離した多結晶シリコン層のパターンが形成される。さらに前記多結晶シリコン層上に、同様な製造方法で、0.1〜2μmのノンドープ多結晶シリコン層が形成される。その後、これらの多結晶シリコン層に、POC13 を不純物源として、800〜1150℃の温度でリンをドーピングする。その後、n型多結晶シリコン層31 〜33 のパターンを用いてn型多結晶シリコン層31 〜33 に相当するパターンが形成される。このn型多結晶シリコン層は、抵抗率が1〜10mΩ・cmとなる。このような製造工程を経て、絶縁層上にn型多結晶シリコン層31 〜33 がチップ中心に放射状に形成され、n型多結晶シリコン層31 〜33 上に、n型多結晶シリコン層31 〜33 に相似した小さいn型多結晶シリコン層311〜331がそれぞれ形成される。続いて、それらの上に絶縁膜を形成して開口部が形成され、n型多結晶シリコン層を熱電材料とする各熱電素子の温接点部Taと冷接点部Tbとが形成され、かつ各熱電素子が直列接続されて熱電素子列が形成される。なお、熱電材料としてのn型多結晶シリコン層は、上記のようにノンド−プ多結晶シリコン層によるパターンを1層づつ形成して2層とし、その後、不純物を拡散させてn型多結晶シリコン層としてもよいし、1層毎に不純物を多結晶シリコン層にドーピングして、2層のn型多結晶シリコン層を形成してもよい。
【0107】
さらに、本実施形態を詳細について説明すると、n型多結晶シリコン層31 の温接点部Taは、図9(a)に示したように、n型多結晶シリコン層31 上の絶縁膜4に形成された開口部15aで、n型多結晶シリコン層31 と金属薄膜層7とが接触して形成されている。この金属薄膜層7は、図9(b),(c)に示したように、n型多結晶シリコン層311上を通過することなく、n型多結晶シリコン層31 の絶縁膜4上をチップ周縁方向に延在している。そして、金属薄膜層7は、図9(d)に示すように、開口部15dでn型多結晶シリコン層33 に接触して、冷接点部Tbが形成されている。n型多結晶シリコン層32 の温接点部Taは、図9(b)に示したように、開口部15bでn型多結晶シリコン層32 と金属薄膜層7とが接触して形成されており、金属薄膜層7は、図9(c)に示すように、絶縁膜4で覆われたn型多結晶シリコン層32 上を通過して、図9(d)に示すように、隣接するn型多結晶シリコン層33 の開口部15dで接触して冷接点部Tbが形成されている。そして、n型多結晶シリコン層33 の温接点部Taは、図9(c)に示すように、n型多結晶シリコン層33 上の絶縁膜4に形成された開口部15cで、金属薄膜層7とn型多結晶シリコン層33 とが接触して、絶縁膜4上を通って、隣接するn型多結晶シリコン層31 の冷接点部Tbに接続されている。このように温接点部Taと冷接点部Tbとが形成された熱電素子は、図6(a),(b)で示したように、パッシベーション膜と前記温接点部を覆うように赤外線吸収膜を形成してサーモパイル型赤外線センサが作製されている。
【0108】
無論、本実施形態では、上記実施形態と同様にn型多結晶シリコン層31 〜33 のパターンが絶縁膜上にチップ中心から放射状に噛み合うように形成されており、絶縁膜2a上に放射状に均一に配置されることにより、メンブレン構造の応力分布を均一にすることができる。かつ、n型多結晶シリコン層の周縁は、急峻な段差を回避するためにテーパ状となっている。
【0109】
(実施形態3)
本発明に係るサーモパイル型赤外線センサの実施形態について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、本実施形態の1/4パターンの概略を図示しており、図11は、図10のA−A,B−B,C−C,D−D,E−E断面図の膜構成を示している。本実施形態では、図10,図11に示すように、金属薄膜層7を絶縁膜2a上に配置することにより、先に説明したパターニングされたn型多結晶シリコン層を絶縁膜4で覆い、この絶縁膜4に開口部15を形成する製造工程を不要とするものである。従って、実施形態3の製造方法は、実施形態1の製造方法から開口部15を形成する絶縁膜4を除いた製造工程となるので、その詳細な説明は省略する。
【0110】
図10,図11において、本実施形態では、単結晶シリコン基板の絶縁膜2a上に、先に説明した製造工程と同様な工程によって、多結晶シリコン層が形成されて不純物拡散が行われ、その後、パターニングしてn型多結晶シリコン層31 〜33 が形成されている。熱電素子を構成する、一方の材料であって、配線をかねる金属薄膜層7が温接点部Taから絶縁膜2a上を通って冷接点部Tbに接続されるように構成されている。従って、n型多結晶シリコン層31 のパターンは、上記パターンとは多少異なり、金属薄膜層7による配線直下のn型多結晶シリコン層は除去されて、絶縁膜2a上に形成されている。
【0111】
n型多結晶シリコン層31 〜33 は、上記実施形態とほぼ等しいパターンであるが、n型多結晶シリコン層31 のパターンは、切り込みを有する扇状パターン3aである。n型多結晶シリコン層31 と金属薄膜層7との接触部7aに温接点部Taが形成され、この温接点部Taから延びる金属薄膜層7は、扇状パターンのn型多結晶シリコン層31 の溝部に露出した絶縁膜2a上を通って、金属薄膜層7との接触部7dである冷接点部Tbに接続されている。また、n型多結晶シリコン層32 の接触部7bから絶縁膜2a上を通って、隣接するn型多結晶シリコン層33 の接触部7cと接触している。さらに、n型多結晶シリコン層33 の接触部7cから絶縁膜2a上を通って、隣接するn型多結晶シリコン層32 の接触部7dと接触している。直列接続された熱電素子列が形成されている。
【0112】
本実施形態では、開口部を形成するための絶縁膜を必要としないし、製造工数の削減ができる利点があり、歩留まりの向上も期待できる。また、n型多結晶シリコン層の周縁部を階段状とすることによって、金属薄膜の配線パターンの断線防止ができ、さらにn型多結晶シリコン層と金属薄膜層とがチップ表面に均等に配置されるので、応力によるクラックの発生防止が可能となる。
【0113】
(実施形態4)
本発明に係るサーモパイル型赤外線センサの実施形態について、図12〜図14を参照して説明する。図12は、サーモパイル型赤外線センサの1/4パターンの概略を示す図であり、図13(a)〜(c),図14(a),(b)は、図12のA−A,B−B,C−C,D−D,E−E断面図を示している。また、図12では、熱電素子を覆う絶縁膜が図示されていないが、図14,図15では、絶縁膜が図示されている。また、図12では、金属薄膜層とn型多結晶シリコン層との接触によって形成される温接点部Taと冷接点部Tbとを接触部として図示し、温接点部Taと冷接点部Tbを形成するために絶縁膜に形成される開口部の図示は省略した。
【0114】
なお、本実施形態では、熱電素子の熱電材料であるn型多結晶シリコン層が、絶縁膜を挟んで2層に形成されている。即ち、第1層のn型多結晶シリコン層は、実施形態1のパターンと同一のパターンであり、この実施形態1のn型多結晶シリコン層のパターンに対して、絶縁膜を介して同一パターンのn型多結晶シリコン層を円周方向に半ピッチずらして形成したものである。図1の実施形態と同一パターンであれば、160個の熱電素子を形成することができるが、80個の熱電素子が形成できればよく、第1層のn型多結晶シリコン層の40個、第2層のn型多結晶シリコン層の40個をそれぞれ形成して、80個の熱電素子を形成することで、実用上問題はない。
【0115】
図13(a)〜(c),図14(a),(b)は、図12のA−A,B−B,C−C,D−D,E−E断面の膜構成を示している。これらの図では、温接点部Ta又は冷接点部Tbを通過する切断面である断面図を示している。この実施形態では、一層の多結晶シリコン層を階段状とし、テーパを形成し、熱電素子を被覆するパッシベーション膜や赤外線吸収膜は、上記実施形態と同様の態様とする。
【0116】
図12〜図14を参照して説明すると、実施形態1と同様に、単結晶シリコン基板に形成された絶縁膜2a上に、第1のn型多結晶シリコン層31 〜33 が上記実施形態と同様にストライプ状に多数放射状に形成されている。その上部には、絶縁膜4が形成され、さらに絶縁膜4上に第2のn型多結晶シリコン層51 〜53 がストライプ状に形成されている。n型多結晶シリコン層51 〜53 の第2のパターンは、n型多結晶シリコン層31 〜33 の第1のパターンに対して半ピッチずれたパターンである。そして、その上に絶縁膜6が形成されている。第1のストライプ状のn型多結晶シリコン層31 〜33 上の2層の絶縁膜4,6には、開口部が形成され、第2のn型多結晶シリコン層51 〜53 上の絶縁膜6にも開口部が形成されている。これらの開口部は、熱電素子の温接点部と冷接点部とを形成するためのものであり、絶縁膜6上に、Al等の金属薄膜層を成膜し、パターニングすることによって、熱電素子を構成する一方の材料であって配線をかねる金属薄膜層7が形成され、n型多結晶シリコン層31 〜33 ,51 〜53 と金属薄膜層7との接触部が熱電素子の温接点部Taと冷接点部Tbとなる。
【0117】
温接点部Taの断面は、図13(a)〜(c)に示され、冷接点部Tbの断面は、図14(a),(b)に示されている。第1のn型多結晶シリコン層31 〜33 の冷接点部は、図14(b)に示され、絶縁膜4に設けられた開口部で金属薄膜層7がn型多結晶シリコン層31 〜33 と接触して形成されている。第2のn型多結晶シリコン層51 〜53 の冷接点部は、図14(a)に示され、絶縁膜6に設けられた開口部で金属薄膜層7とがn型多結晶シリコン層51 〜53 と接触して、冷接点部Tbが形成されている。そして、第2のn型多結晶シリコン層の温接点部Taと、隣接する第1のn型多結晶シリコン層の冷接点部Tbとが接続されて、金属薄膜層7によって、直列接続された熱電素子列が構成されている。さらに、多数の温接点部が構成されるメンブレン部には、図6(a),(b)に示したように、絶縁膜8からなるパッシベーション膜と赤外線吸収膜とが形成されている。
【0118】
上記実施形態1〜3の場合も同様であるが、SiNによる絶縁膜8上に硼珪酸系ガラス層9からなる赤外線吸収膜を形成することによって、センサとしての赤外線吸収特性を向上させることができる。なお、絶縁膜10は、前記赤外線吸収膜からなる感熱部を形成するときに、エッチング工程から硼珪酸系ガラス層9を保護するために成膜される。電極パッド部12は、絶縁膜8の一部をエッチングして開口し、金属膜11,12をパターニングして絶縁膜8にオーバーラップするように形成される。また、図6(b)に示したように、メンブレン中央部に赤外線吸収膜16として、ポリイミド系樹脂,ビニル系樹脂,又はアクリル系樹脂等からなる樹脂膜を形成してもよい。このように、1層構造のn型多結晶シリコン層、2層構造のn型多結晶シリコン層の場合であっても図6に示したパッシベーション膜や赤外線吸収膜等が形成される。
【0119】
次に、本実施形態の製造方法について、図12〜図14を参照して説明する。なお、単結晶シリコン基板の表裏に形成される絶縁膜2a上に第1層のn型多結晶シリコン層31 〜33 を形成する工程は、先に説明した製造工程と同様であるので、その説明は省略して、その次の工程から説明する。
【0120】
▲1▼図12の点線で示した第1のn型多結晶シリコン層31 〜33 上部に、絶縁膜4を形成する工程に進む。絶縁膜4は、LP−CVD法により膜厚0.1〜2μmのSiO2 を形成する。なお、絶縁膜4として前述したように多結晶シリコン層を熱酸化し、多結晶シリコン表面に約10nm〜100nmのSiO2 を形成して層間絶縁膜として構成することにより、層間絶縁性の向上をはかることができることはもちろんである。
【0121】
▲2▼第2のn型多結晶シリコン層の形成工程に進む。先ず、基板温度を600℃〜700℃として、この絶縁膜4上にLP−CVD法により膜厚が0.1〜2μmのノンドープ多結晶シリコン膜を形成し、さらにイオン打ち込み法により、リンイオン打ち込みを行った後、800〜1150℃の温度で熱処理してリンを拡散させる。このドーピング工程によって、ノンドープ多結晶シリコン層は、抵抗率が1〜10mΩ・cmのn型多結晶シリコン層になる。
【0122】
▲3▼前記n型多結晶シリコン層上に、膜厚1〜4μmのフォトレジスト膜を形成し、第1のn型多結晶シリコン膜31 〜33 の形成時と同じパターンであって、チップ中心Cから第1のn型多結晶シリコン膜31 〜33 の第1のパターンに対して、円周方向に半ピッチずらした第2のパターンで、図12の実線で示すようにパターニングする。これによってチップ中心から周辺部に向かって放射状にストライプ状パターンが形成される。この放射状パターンは、先に下地に形成した第1のn型多結晶シリコン層31 〜33 のストライプパターンと同一である。このパターンをマスクとし、RIE等を用いることにより、n型多結晶シリコンがパターニングされ、第2のn型多結晶シリコン層51 〜53 が形成される。
【0123】
▲4▼第1及び第2のn型多結晶シリコン層31 〜33 及び51 〜53 のストライプパターンエッジ部上の絶縁膜4及び6をフォトリソグラフィによりパターニングして、RIE法によりエッチングすることにより、温接点部と冷接点部を形成するための開口部が形成される。
【0124】
▲5▼第1のn型多結晶シリコン層31 〜33 と第2のn型多結晶シリコン層51 〜53 のそれぞれに、温接点部と冷接点部とを形成して接続するために、スパッタ法によってAl−Siの金属薄膜層7を膜厚0.2〜1μmで成膜し、その後、フォトリソグラフィによりパターニングし、エッチャントとして燐酸を用いてエッチングして、温接点部Ta、冷接点部Tbが各々接続され、同時に外部への取り出し電極12を形成するための下地電極パッド部が形成される。
【0125】
▲6▼金属薄膜層7が形成された後、プラズマCVD法やスパッタ法により、SiN,SiO2 等の膜厚0.2〜2μmの絶縁膜8が形成される。さらに、絶縁膜8上に、膜厚0.3〜3μmの硼珪酸系ガラス層9がスパッタ法により成膜される。このガラス層9は、ピンホールを低減し、ステップカパレッジを改善するために300〜600℃の温度で熱処理される。このピンホールを低減する工程は、上記実施形態においても効果的である。
【0126】
▲7▼熱処理した前記ガラス層9上に、スパッタ法により膜厚0.5〜2μmからなるSiO2 の絶縁膜10を形成する。そして、フォトリソグラフィによりパターニングし、メンブレン中央部を残して硼珪酸系ガラス層9及び絶縁膜10をエッチングし除去する。さらに、フォトリソグラフィによりパターニングして電極パッド部上の絶縁膜8をエッチングして除去し、電極パッド11,12としてCrを50〜300nm、Auを100〜500nmの厚さに成膜した後、リフトオフによりパターニングする。
【0127】
▲8▼基板1の裏面絶縁膜2bをフォトリソグラフィによりエッチングして開口部を形成し、裏面から単結晶シリコン基板1をアルカリエッチャント等で異方性エッチングして基板部分を除去し、空洞部13を形成し、赤外線受光部となる温接点部を含んだメンブレン部14が形成されたセンサチップの完成となる。
【0128】
そして、最終工程において、赤外線吸収膜である樹脂膜の形成方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、あるいは樹脂をスピンコートした後、硬化させ、フォトリソグラフィによるパターニングによって形成する方法等がある。インクジェット法の場合は、空洞部を形成した後でも樹脂膜を形成することができる。なお、必要に応じて、赤外線吸収特性を向上させるため、樹脂にカーボン等を分散させてもよい。
【0129】
さらに、上記実施形態に於いて、金属薄膜層7の上に形成される絶縁膜としては、SiO2 ,SiN,SiNO以外に、PSG(リンガラス),Al2 3 ,サイアロンの何れか一つを含む絶縁膜であってもよい。また、金属薄膜層7を覆う絶縁膜は、PSGとSiNとで構成してもよい。
【0130】
上記実施形態のサーモパイル型赤外線センサは、通常図15に示すようにパッケージに封入して赤外線検出器として用いられる。同図は、サーモパイル素子TAをステムSA上に固定した状態を示す。使用されるステムSAは、例えば、FeやFe−Ni−Co等の金属製で、サーモパイル素子TAを固定する中央部には凹みが形成されている。
【0131】
また、サーモパイル素子TAは、熱伝導性が非常によい接着剤によりステム上に固定される。温度補償用に用いられるサーミスタチップTBも、導電性ペーストによりステム上に接着される。サーモパイル素子TAの電極パッド部とステム上に形成された外部電極端子部との接続は、Au線やAl−Si線でワイヤボンディングにより接続される。
【0132】
ステムSA上にサーモパイル素子TAとサーミスタチップTBを載置固定して電気的に接続した後、赤外線透過性フィルタ材をエポキシ系接着剤や半田によってキャップ開口部に接着固定したウィンドウ付キャップSBを、ステムSAに被せて溶接などの方法により気密封止する。パッケージ内は、乾燥窒素、Ar、KrやXeガスなどの熱伝導性の低いガスで封止するか、または真空で封止する。低熱伝導性ガスや真空で封止することによって、サーモパイル素子のメンブレン部から前記封止ガスを介して周囲雰囲気への熱の伝導を低減させることができ、赤外線検出器の高出力化が図れる。
【0133】
一方、ウィンドウ付キャップSBには、ウインドウ材となる赤外線透過性フィルタ材Fが設けられている。赤外線透過性フィルタ材Fは、シリコン基板やゲルマニウムの基板表面に、透過率を制御するためにZnSやGe等により構成される数十層の多層膜で形成されているために非常に高価である。従って、安価な赤外線センサを製造するには、パッケージサイズを小さくし、フィルタサイズを極力小さくする必要がある。しかし、フィルタサイズが極端に小さいと、入射赤外線線量が減少することにより、センサ出力が低下する。
【0134】
このような観点からフィルタサイズをできる限り、有効に利用し得るキャップ構造について、図16(c),(d)を参照して説明する。ウィンドウ付キャップSBには、キャップSBに開口部27が設けられて、この開口部27に赤外線透過性フィルタ材Fを嵌め込むようにする。しかし、プレス等の金型を用いて加工して、製作された場合、開口部27が円形である場合には問題とならないが、四角形や六角形の開口部の場合、コーナ部分が存在するので、四角形や六角形の辺と辺とが交わる部分である隅に丸みが発生する加工特性がある。
【0135】
例えば、開口部27が正方形であり、その一辺が2mmである場合、開口部27のコーナ部の丸みは、半径が最小で0.2〜0.3mmとなる。半径が0.2mmの場合は、隙間G1が約0.06mmとなり、0.3mmの場合は、開口部とウインドウ材との隙間G1が約0.1mmとなる。開口部の加工精度を考慮すると、その隙間は更に多きなものとなる。
【0136】
このように、フィルタ材Fの角が開口部27に嵌入するようにするためには、開口部の隅部に丸みが形成されることで、フィルタ材Fを挿入することができるので、隙間G1が大きくなる。この隙間G1が発生することで、フィルタ材Fと開口部27との接着に多量の接着剤を必要とする。また、接着剤が入射側の面に漏れ出すおそれがあり、好ましくは以下に説明する図16(a),(b)のウィンドウ付キャップSBの構造とする。無論、この隙間G1の場合であっても樹脂28を充填することによって、充分実施し得るものである。
【0137】
次に、図16(a),(b)のウィンドウ付キャップ構造について説明する。同図において、ウィンドウ付キャップSBは、キャップSBに開口部26が設けられて、この開口部26に赤外線透過性フィルタ材Fが嵌入している。開口部26は、それらの隅が円形の切欠部が形成されており、ダイシング加工によって切り出された赤外線透過性フィルタ材Fの四隅がそれぞれ円形或いは湾曲した切欠部26aに嵌入して、開口部26に嵌挿される。フィルタ材FとキャップSBとの隙間G2は、加工精度の許容誤差を考慮した寸法とすることができ、極めて狭いものとすることができる。
【0138】
このように、開口部26のコーナ部において、各辺の延長上の交点より、外側方向に切欠部26aを形成することにより、ウインドウ材Fを開口部26に嵌挿した際の引っ掛かりが無くなり、コーナ部に起因する開口部とウインドウ材との隙間をより、小さくすることができる。従って、気密封止の信頼性が向上し、接着剤28がウインドウ材表面にはみ出し等の不良を最小限にすることができる。
【0139】
次に、図17(a),(b)を参照して他の実施形態について説明する。同図は、ウィンドウ付キャップ構造の一部切欠き斜視図を示し、同図(a)はウィンドウ材を設けるための開口部を形成したキャップ内部側からの斜視図であり、同図(b)はウィンドウ材が設けられたキャップ外観を示す斜視図である。
同図において、キャップSBには、四角形の開口部26が設けられ、開口部26の四隅に凹部26bが設けられている。凹部26bは、キャップ裏面側から外側に突出するように形成されている。ウインドウ材Fは、四角形であり、凹部26bの深さを調節することで、開口部26にウインドウ材Fを嵌入させたときに、ウインドウ材Fの表面(赤外線入射面)とキャップSBの表側とが面一となる。無論、ウインドウ材Fは、開口部26に嵌入した際に、キャップSBの表面から多少凹凸があったとしても問題はないが、段差が生じないように嵌入させるのが望ましい。その後、キャップSBの裏側からウインドウ材Fの周囲と凹部26bに樹脂を充填して、ウインドウ材Fをキャップの開口部26に固定する。この開口部26は、ウインドウ材Fの寸法が一致し、ウインドウ材Fが四隅の凹部26bの底部に当接させて固定されている。従って、本実施形態では、ウインドウ材Fの全面で赤外線を吸収する面とすることができ、従来のウインドウ材の形状より小さな形状とすることが可能であり、高価なウインドウ材Fをコスト低減に役立ち経済的である効果を有している。
【0140】
図18(a)は、パッケージとしてアルミナのようなセラミックパッケージを用いた例であり、サーモパイル素子TAやサーミスタチップTBがワイヤーボンディングによって配線がなされている。図18(b)は、セラミックパッケージ内にサーモパイル素子TAの空洞部側が赤外線の受光面となるように載置し、サーミスタチップTBとして、面実装タイプ(surface mount type)のものを用いた例を示す。アルミナは、熱伝導率が20W/m・K程度と高く、赤外線検出器のケースとして使用したときに、パッケージに発生する温度分布が小さくなるために測定温度誤差を小さくできる利点がある。パッケージ材料としては、アルミナに限定されるものではなくて、AlNを用いれば、熱伝導率が170W/m・Kと大きいため、さらに良い特性が得られる。図18(b)のような形状で使用する場合は、空洞部側に硼珪酸系ガラスや赤外線吸収膜を形成するとよい。
【0141】
次に、本発明のサーモパイル型赤外線センサの赤外線吸収スペクトルについて、図20を参照して説明する。図20(a)は、メンブレン部にSiO2 膜の場合の赤外線吸収特性を示し、同図(b)は、メンブレン部に硼珪酸鉛ガラス膜を形成した場合の赤外線吸収特性を示している。同図(b)から明らかなように、硼珪酸系ガラス9(図6(a)参照)として、硼珪酸鉛ガラスを用いた場合、約6〜11μmの波長に吸収帯(温度に換算して、約−10〜210℃)がある。また、同図(a)から明らかなように、SiO2 膜では、約8〜9.5μmの波長に吸収帯(温度に換算して、約30〜90℃)がある。すなわち、実施形態のサーモパイル型赤外線センサのように、硼珪酸系ガラスを絶縁膜として用いることによって、従来用いられていたSiO2 膜に比べて、広い温度範囲を検知することができる。さらに、パッシベーション膜としてSiN膜を用いた場合、10〜12μmの波長に吸収帯があり、成膜時に酸素を導入してSiNO膜にすることにより、吸収帯を短波長側にシフトすることができる。従って、SiNO膜と硼珪酸ガラス膜とを組み合わせることによって、吸収帯を拡張することができ、感度を一層向上させることができる。なお、硼珪酸系ガラス膜として、硼珪酸鉛ガラス膜を用いた場合を示したが、鉛に変えて他の元素を添加して熱処理したものであってもよい。無論、無添加の硼珪酸ガラス膜であってもよい。
【0142】
なお、本実施形態では、一層のn型多結晶シリコン層で80個の熱電素子を形成しているが、これに限定することなく、チップ中心の同心円の半径やパターン幅を変えることによって、さらに個数を増減することが可能である。実施形態2では、受光パワー密度1.25mW/cm2 の条件で、S/N比が84dBのセンサを製造することができた。
【0143】
なお、本発明のサーモパイル型赤外線センサは、小型で高精度に非接触温度測定が可能なため、人間の体温を高速に測定可能な耳式体温計用センサとして最適なセンサとなる。
また、本発明において、素子表面に熱電素子列を1つ以上形成して、熱電素子列をチップ上あるいは外部で直列接続するようにしてもよい。
【0144】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、熱電材料としてn型多結晶シリコン層を用いることによって、p型多結晶シリコン層に比べてキャリアとなる電子の移動度が大きく、同じ抵抗率でもゼーベック係数が大きくなるために出力電圧−ジョンソンノイズのS/N比が大きくなる。しかも、実施形態1〜3のように、温接点部がサーモパイル素子の空洞部の中心から半径r1<r2<r3の距離順に同心円に配置されることによってn型多結晶シリコン層によるメンブレン部の応力集中が緩和され、かつn型多結晶シリコン層のストライプ幅をできるだけ広く形成することによってサーモパイル素子の抵抗を低くできるようになされている。その結果、出力電圧対ジョンソンノイズのS/N比を高くでき、またメンブレン部全体の応力が低減されるために異方性エッチング時の歩留まりが向上し、その結果とし安価なサーモパイル素子の製造が可能になる利点がある。
【0145】
さらに、実施形態4に示したように、n型多結晶シリコン層を絶縁膜を介して2層に積層し、又は、上下のシリコン膜のパターンを半ピッチずらして形成し、さらに、温接点部がサーモパイル素子の空洞部の中心から半径r1<r2<r3の距離順に同心円に配置することによって、n型多結晶シリコン層によるメンブレン部の応力集中が緩和される。また、実施形態1〜3の場合と同様の温接点数をパターンをずらした2層のn型シリコン層を形成した場合、ストライプ幅を広く形成することが可能であり、サーモパイル素子の抵抗を低くできる。その結果、一層出力電圧対ジョンソンノイズのS/N比を高くでき、またメンブレン部全体の応力が低減されるために異方性エッチング時の歩留まりが向上し、安価なサーモパイル素子の製造が可能であり、その結果安価なサーモパイル型赤外線センサを提供できる。
【0146】
また、本発明によれば、サーモパイルを構成する熱電材料として、n型多結晶シリコン膜の抵抗率を1mΩ・cmから10mΩ・cmにすることによって、出力電圧とジョンソンノイズのS/N比を大きくし、電圧感度の温度依存性を小さくすることができる。すなわち、多結晶シリコン膜の抵抗率が1mΩ・cmよりも小さい場合は、ゼーベック係数が小さくなり実用となる出力電圧が得られないし、出力電圧を大きくするためには、接点数を増やさなければならないのでその分、熱電対の全長が長くなり製造歩留まりが低下する欠点がある。また、10mΩ・cm以上の場合は、ゼーベック係数は大きくなるがジョンソンノイズも大きくなってS/N比が低下する欠点がある。
【0147】
また、n型多結晶シリコン層の抵抗率を1mΩ・cm〜10mΩ・cmの範囲に設定することによって、熱電対数、n型多結晶シリコン膜のパターン形状及び温接点部の位置、センサのS/N比等のパラメータを最適化でき、製造歩留まり等の関係で量産しやすい利点がある。
【0148】
また、n型多結晶シリコン層のパターンエッジ形状を、階段状やテーパ状にすることによって多結晶シリコン層上に成膜する膜のステップカパレッジに対する制約が緩和されるため、多結晶シリコン層の膜厚を厚くすることが可能となる。また、段差が低く緩やかになるため、多結晶シリコン層上に成膜する膜を薄膜化することができるので、段差上での金属膜の断線などの問題がなくなる。
【0149】
さらに、赤外線吸収膜として硼珪酸系ガラスやSiNOを用いることにより、従来のSiO2 に比較し30%程度の高出力化が図れる。また、樹脂などからなる吸収膜に比較し、異方性エッチング前に形成できるので、素子製作コストの削減が可能となる。
【0150】
なお、パッケージ材として、Al2 3 やAlN等のセラミックを用いることにより、安価で温度ドリフトの少ない小型のサーモパイル素子を製作することができる。
【0151】
また、冷接点温度補償素子として、抵抗値を狭偏差で分類したチップサーミスタや薄膜サーミスタを用いることにより、非接触温度センサとして用いた場合、出荷時キャリブレーション工数の削減や、対象物体の温度を高精度に測定することができる。
【0152】
また、本発明では、素子に形成される赤外線吸収膜の表面を縞状にすることで、赤外線の反射を抑制して吸収率を高めることで、赤外線の検出効率を高めることができるとともに、S/N比の向上に寄与する。
【0153】
また、本発明では、キャップに高価なウインドウ材が装着されるので、ウインドウ材を無駄なく有効に利用できるように、キャップに開口部を形成することで、安価な赤外線センサを提供することができる。また、開口部の四隅に形成される凹部は、キャップにウインドウ材を強固に固定するのに有効であり、またキャップ内に注入した不活性ガスを密封するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーモパイル型赤外線センサの実施形態1を示す一部切欠斜視図である。
【図2】本発明のサーモパイル型赤外線センサを説明するための説明図である。
【図3】(a)は、図1のサーモパイル型赤外線センサの平面図、(b)は、そのX−X断面図である。
【図4】図1のサーモパイル型赤外線センサの部分拡大平面図である。
【図5】(a)〜(d)は、図4のA−A,B−B,C−C断面図であり、D−D断面は、膜構成の断面図である。
【図6】(a)は、本発明に係るサーモパイル型赤外線センサの一実施例の模式的断面図、(b)は、他の実施例を示す模式的断面図である。
【図7】本発明のサーモパイル型赤外線センサの実施形態2を示す部分平面図である。
【図8】図7のサーモパイル型赤外線センサの部分拡大平面図である。
【図9】(a)〜(d)は、図8のA−A,B−B,C−C断面図であり、D−D断面は膜構成を示し断面図である。
【図10】本発明のサーモパイル型赤外線センサの実施形態3を示す部分拡大平面図である。
【図11】(a)〜(e)は、図10のA−A,B−B,C−C断面図であり、D−D,E−E断面は膜構成の断面図である。
【図12】本発明のサーモパイル型赤外線センサの実施形態4を示す部分拡大平面図である。
【図13】(a)〜(c)は、図10のA−A,B−B,C−C断面図である。
【図14】(a),(b)は、図10のD−D,E−E断面の膜構成を示す断面図である。
【図15】サーモパイル素子をステムに収納したタイプのパッケージ構造を示す分解斜視図である。
【図16】(a),(c)は、サーモパイル素子を収納するためのキャップの正面図であり、(b),(d)は、その断面図である。
【図17】(a)は、キャップの裏側からの一部切欠斜視図であり、(b)は、キャップの表側からの一部切欠斜視図である。
【図18】(a),(b)は、サーモパイル素子をセラミックパッケージに収納したタイプのパッケージ構造を示す分解斜視図である。
【図19】赤外線吸収膜の表面の形成された縞状の凹凸を示すデジタル写真である。
【図20】本発明のサーモパイル型赤外線センサの赤外線吸収特性を示す図である。
【図21】従来のサーモパイル素子の要部斜視図である。
【符号の説明】
1 単結晶シリコン基板
2(2a,2b) 絶縁膜
3(31 〜33 ,312 〜332) 多結晶シリコン層
3a 扇型パターン
3b,3b′ 鉤型パターン
3c ストライプ状パターン
4 絶縁膜
5(51 〜53 ) 多結晶シリコン層
6 絶縁膜
7 金属薄膜
8 絶縁膜
1 PSG
2 SiN
9 硼珪酸ガラス
10 SiO2
11,12 電極パッド
13 空洞部
14 メンブレン部
15a〜15d 開口部
16 赤外線吸収膜
26 開口部
26a 切欠部
26b 凹部
27 開口部
27a 切欠部
28 接着剤
F ウインドウ材
SB キャップ
Ta 温接点部
Tb 冷接点部

Claims (26)

  1. 空洞部を有する単結晶シリコン基板に熱電素子を形成したサーモパイル型赤外線センサに於いて、
    前記空洞部を覆う第1の絶縁膜上に、複数のn型多結晶シリコン層が、
    チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
    前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
    前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
    前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成され、
    前記n型多結晶シリコン層と前記第1の絶縁膜とを覆う第2の絶縁膜に開口部を設け、前記開口部を介して前記n型多結晶シリコン層と金属薄膜層との接触によって、チップ中心側に温接点部を、その周縁側に冷接点をそれぞれ形成し、前記温接点部と隣接する前記n型多結晶シリコン層の冷接点部とを前記金属薄膜層で交互に接続して、前記第1の絶縁膜上に直列接続した熱電素子列を形成し、かつ前記熱電素子列上に絶縁膜を介して赤外線吸収膜を形成したことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサ。
  2. 空洞部を有する単結晶シリコン基板に熱電素子を形成したサーモパイル型赤外線センサに於いて、
    (イ)前記単結晶シリコン基板に設けられた空洞部を覆う第1の絶縁膜と、
    (ロ)前記第1の絶縁膜上に設けられ、
    チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
    前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
    前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
    前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成された、複数のn型多結晶シリコン層と、
    (ハ)前記n型多結晶シリコン層と前記第1の絶縁膜上に形成した第2の絶縁膜と、
    (ニ)複数のn型多結晶シリコン層のチップ中心側と周縁側とにそれぞれ温接点部と冷接点部とを形成するために、前記第2の絶縁膜に形成した開口部と、
    (ホ)前記開口部を介して前記n型多結晶シリコン層と接触させて前記温接点部と冷接点部とを形成するための金属薄膜層と、
    (ヘ)前記温接点部と隣接する前記n型多結晶シリコン層の冷接点部とを前記金属薄膜層で交互に接続して形成した、直列接続した熱電素子列と、
    (ト)前記第2の絶縁膜上と前記金属薄膜層上に形成した第3の絶縁膜と、
    (チ)前記温接点部を覆うように前記第3の絶縁膜上に形成される赤外線吸収膜と、
    (リ)前記直列接続した熱電素子列の終端部に形成される電極パッド部と、
    を設けたことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサ。
  3. 空洞部を有する単結晶シリコン基板に熱電素子を形成したサーモパイル型赤外線センサに於いて、
    前記空洞部を覆う第1の絶縁膜上に、複数のn型多結晶シリコン層が、
    チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
    前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
    前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
    前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成され、
    前記n型多結晶シリコン層と金属薄膜層との接触によって、チップ中心側に温接点部を、その周縁側に冷接点部を形成し、前記温接点部から導出された前記金属薄膜層を前記第1の絶縁膜上に這わせて隣接するn型多結晶シリコン層の前記冷接点部に接続させて、前記第1の絶縁膜上に直列接続した熱電素子列を形成し、かつ前記熱電素子列を覆う第2の絶縁膜上に赤外線吸収膜を形成したことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサ。
  4. 空洞部を有する単結晶シリコン基板に熱電素子を形成したサーモパイル型赤外線センサに於いて、
    前記空洞部を覆う第1の絶縁膜上に、複数の第1のn型多結晶シリコン層が、
    チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
    前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
    前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
    前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成され、
    前記第1のn型多結晶シリコン層と前記第1の絶縁膜とを覆う第2の絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁膜上に、前記第1のn型多結晶シリコン層と同じパターン形状を有し、前記第1のn型多結晶シリコン層のパターンに対して円周方向に半ピッチずらしたパターンからなる複数の第2のn型多結晶シリコン層を形成し、前記第2のn型多結晶シリコン層上を覆う第3の絶縁膜を形成して、前記第1と第2のn型多結晶シリコン層上の前記第2と第3の絶縁膜に開口部を設け、前記開口部を介して金属薄膜との接触によって前記第1と第2のn型多結晶シリコン層のチップ中心側に温接点部を、その周縁側に冷接点部をそれぞれ形成するとともに、前記温接点部と隣接するn型多結晶シリコン層の冷接点部とを前記金属薄膜層で交互に接続して、直列接続した熱電素子列を形成し、かつ前記熱電素子列上に絶縁膜を介して赤外線吸収膜を形成したことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサ。
  5. 前記単結晶シリコン基板の面方位が、(100)面であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  6. チップ中心から放射状に配置された前記n型多結晶シリコン層が、チップ周縁方向に広がった扇型パターンの組合せであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  7. 前記温接点部が、チップ中心から半径r1〜r3の同心円上に配置され、かつr1<r2<r3の関係であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  8. 前記熱電素子列上に設けられる赤外線吸収膜が、硼珪酸系ガラス、ポリイミド系樹脂、ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂の一種からなることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  9. 前記熱電素子列を覆う絶縁膜が、PSGとSiNとの2層の絶縁膜であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  10. 前記第1の絶縁膜が、SiO2とSiNとの2層、又はSiNをSiO2で挟んだ3層構造からなることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  11. 前記n型多結晶シリコン層の周縁部が、温接点部、冷接点部を形成する部分を除いて、階段状に形成されていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  12. 前記n型多結晶シリコン層の周縁断面がテーパ状であることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  13. 前記n型多結晶シリコン膜の抵抗率が、1〜10mΩ・cmであることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  14. 前記熱電素子列を覆う絶縁膜が、SiO2、SiN、SiNO、PSG(リンガラス)、Al23、サイアロンの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  15. 前記金属薄膜層が、Al,Cr,Ta,Mo,W,NiCrの少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  16. 前記赤外線吸収膜の表面が凹凸を有する縞状パターンであることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサ。
  17. 請求項1〜16の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサにおいて、
    前記サーモパイル型赤外線センサを封入するパッケージのキャップ部分に形成した開口部に赤外線を透過させるフィルタ材からなるウインドウ材が設けられ、前記ウインドウ材が4角形または6角形であり、前記開口部の形状と前記ウインドウ材の形状が一致し、かつ前記開口部の各コーナ部に形成された切欠部が前記4角形または6角形の各辺の交点より外側に形成されていることを特徴とするサーモパイル型赤外線センサ。
  18. 請求項1〜16の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサにおいて、
    前記サーモパイル型赤外線センサを封入したパッケージのキャップ部分に形成した開口部に赤外線を透過させるフィルタ材からなるウインドウ材が設けられ、前記ウインドウ材が4角形または6角形であり、前記開口部の形状と前記ウインドウ材の形状が一致し、かつ前記開口部の各コーナ部に形成された凹部が形成され、前記凹部によって前記ウインド材を位置決めし保存することを特徴とするサーモパイル型赤外線センサ。
  19. サーモパイル型赤外線センサの製造方法に於いて、
    (イ)単結晶シリコン基板の両面に熱酸化、CVD又はスパッタリングにより第1の絶縁膜を形成する第1の工程と、
    (ロ)前記第1の絶縁膜表面上にCVD又はスパッタリングにより多結晶シリコン層を成膜する第2の工程と、
    (ハ)前記多結晶シリコン層に不純物を拡散することにより抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲のn型多結晶シリコン層を形成する第3の工程と、
    (ニ)前記n型多結晶シリコン層をパターニングして、
    チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
    前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
    前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
    前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成される、
    第1のパターンを形成する第4の工程と、
    (ホ)前記第1のパターンを構成する複数の前記各部分パターンに分割されたn型多結晶シリコン層及び前記第1の絶縁膜上にCVD、ガラス塗布又はスパッタリングにより第2の絶縁膜を形成する第5の工程と、
    (ヘ)前記第2の絶縁膜における温接点部及び冷接点部の各々に対応した部分に開口部を設ける第6の工程と、
    (ト)前記第6の工程の後、スパッタリング又は蒸着により金属薄膜層を成膜する第7の工程と、
    (チ)前記金属薄膜層をパターニングして、前記n型多結晶シリコン層と前記金属薄膜層とを前記開口部でオーミック接触させて、温接点部と冷接点部とからなる各熱電素子を直列接続して、熱電素子列を形成する第8の工程と、
    (リ)前記金属薄膜層と前記第2の絶縁膜上に第3の絶縁膜を形成し、かつチップ中央部に赤外線吸収膜を形成する第9の工程と、
    (ヌ)前記単結晶シリコン基板の裏面の前記第1の絶縁膜に開口部を設けて、エッチングによって前記基板の裏面に空洞部を形成し、前記第1の絶縁膜を裏面から露出させる第10の工程と、
    を備えたことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
  20. サーモパイル型赤外線センサの製造方法に於いて、
    (イ)単結晶シリコン基板の両面に熱酸化、CVD又はスパッタリングにより第1の絶縁膜を形成する第1の工程と、
    (ロ)前記第1の絶縁膜上にCVD又はスパッタリングにより多結晶シリコン層を成膜する第2の工程と、
    (ハ)前記多結晶シリコン層に不純物を拡散することにより抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲のn型多結晶シリコン層を形成する第3の工程と、
    (ニ)前記n型多結晶シリコン層を、その厚み方向に途中までパターニングして、
    チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなるメサ状の第1部分パターンと、
    前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型で且つメサ状の第2部分パターンと、
    前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在するメサ状の第3部分パターンと、を有し、
    前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成される、
    第1のパターンを形成する第4の工程と、
    (ホ)前記第1のパターンが形成された前記n型多結晶シリコン層を、前記第4の工程で形成した前記各部分パターンに相似したより大きい部分パターンによって、その厚み方向に前記第1の絶縁層までパターニングして、テーパの付いた階段状に形成された複数の部分パターンに分割されたn型多結晶シリコン層を形成する第5の工程と、
    (ヘ)前記第5の工程の後の前記階段状n型多結晶シリコン層上に第2の絶縁膜を形成し、温接点部及び冷接点部の各々に対応した部分の前記第2の絶縁膜に開口部を設ける第6の工程と、
    (ト)前記第6の工程の後に、スパッタリング又は蒸着により金属薄膜層を成膜する第7の工程と、
    (チ)前記金属薄膜層をパターニングして、前記階段状n型多結晶シリコン層と前記金属薄膜層とを前記開口部でオーミック接触させて、温接点部と冷接点部とからなる各熱電素子を直列接続して、熱電素子列を形成する第8の工程とを備え、
    (リ)前記第2の絶縁膜と前記金属薄膜層上に第3の絶縁膜を形成し、前記第3の絶縁膜上に赤外線吸収膜を形成する第9の工程と、
    (ヌ)前記単結晶シリコン基板の裏面に空洞部を形成して、前記第1の絶縁膜を裏面から露出させる第10の工程と、
    を含むことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
  21. サーモパイル型赤外線センサの製造方法に於いて、
    (イ)単結晶シリコン基板の両面に熱酸化、CVD又はスパッタリングにより第1の絶縁膜を形成する第1の工程と、
    (ロ)前記第1の絶縁膜上にCVD又はスパッタリングにより第1の多結晶シリコン層を成膜する第2の工程と、
    (ハ)前記第1の多結晶シリコン層をパターニングして、
    チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
    前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
    前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
    前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成される、第1のパターンを形成した後、
    前記第1のパターンが形成された前記第1の多結晶シリコン層上に第2の多結晶シリコン層を成膜して、前記第1及び第2の多結晶シリコン層に不純物を拡散し、抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲の前記第1の多結晶シリコン層による第1のn型多結晶シリコン層と前記第2の多結晶シリコン層による第2のn型多結晶シリコン層とを形成する第3の工程と、
    (ニ)前記第1及び第2のn型多結晶シリコン層が積層して構成された1つのn型多結晶シリコン層を、前記第3工程で形成した前記各部分パターンに相似したより大きい部分パターンによってパターニングして、テーパの付いた階段状に形成された複数の部分パターンに分割された前記n型多結晶シリコン層を形成する第4の工程と、
    (ホ)前記第4の工程の後、前記第2のパターンによるn型多結晶シリコン層上に第2の絶縁膜を形成し、温接点部と冷接点部の各々に対応した部分の前記第2の絶縁膜に開口部を設ける第5の工程と、
    (ヘ)前記第5の工程の後、スパッタリング又は蒸着により金属薄膜層を成膜する第6の工程と、
    (ト)前記金属薄膜層をパターニングして、前記n型多結晶シリコン層と前記金属薄膜層とを前記開口部でオーミック接触させて、温接点部と冷接点部とを接続して直列接続した熱電素子列を形成する第7の工程とを備え、
    (チ)前記第2の絶縁膜と前記金属薄膜層上に第3の絶縁膜を形成した後、前記第3の絶縁膜上に赤外線吸収膜を形成する第8の工程と、
    (リ)前記単結晶シリコン基板の裏面に空洞部を形成して、前記第1の絶縁膜を裏面から露出させる第9の工程と、
    を含むことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
  22. サーモパイル型赤外線センサの製造方法に於いて、
    (イ)単結晶シリコン基板の両面に熱酸化、CVD又はスパッタリングにより第1の絶縁膜を形成する第1の工程と、
    (ロ)前記第1の絶縁膜表面上にCVD又はスパッタリングにより第1の多結晶シリコン層を成膜する第2の工程と、
    (ハ)前記第1の多結晶シリコン層に不純物を拡散することにより抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲の第1のn型多結晶シリコン層を形成する第3の工程と、
    (ニ)前記n型多結晶シリコン層をパターニングして、
    チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
    前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
    前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
    前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成される、
    第1のパターンを形成する第4の工程と、
    (ホ)前記第1のパターンを構成する複数の前記各部分パターンに分割されたn型多結晶シリコン層及び第1の絶縁膜上にCVD、ガラス塗布又はスパッタリングにより第2の絶縁膜を形成する第5の工程と、
    (ヘ)前記第5の工程の後に、前記第2の絶縁膜上に第2の多結晶シリコン層を成膜し、前記第2の多結晶シリコン層に不純物を拡散することにより抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲の第2のn型多結晶シリコン層をドーピングして形成する第6の工程と、
    (ト)前記第6の工程の後、前記第2のn型多結晶シリコン層をパターニングして、前記第1のn型多結晶シリコン層からなる第1のパターンに対して、円周方向に半ピッチずれた、前記第1のパターンと同一形状の第2のパターンを形成する第7の工程と、
    (チ)パターニングされた前記第1及び第2のn型多結晶シリコン層上に第3の絶縁膜を形成し、温接点部及び冷接点部の各々に対応した部分の前記第2又は第3の絶縁膜に開口部を設ける第8の工程と、
    (リ)前記第3の絶縁膜上に金属薄膜層を形成してパターニングし、前記開口部で前記第1と第2のn型多結晶シリコン層と前記金属薄膜層との接触によって形成される前記温接点部と冷接点部とを接続して熱電素子列を形成する第9の工程と、
    (ヌ)前記第3の絶縁膜と前記金属薄膜層上に第4の絶縁膜を形成し、前記第4の絶縁膜上に赤外線吸収膜を形成する第10の工程と、
    (ル)前記単結晶シリコン基板の裏面に空洞部を形成して、前記第1の絶縁膜を裏面から露出させる第11の工程と、
    を含むことを特徴とするサーモパイル赤外線センサの製造方法。
  23. サーモパイル型赤外線センサの製造方法に於いて、
    (イ)単結晶シリコン基板の両面に熱酸化、CVD又はスパッタリングにより第1の絶縁膜を形成する第1の工程と、
    (ロ)前記第1の絶縁膜表面上にCVD又はスパッタリングにより第1の多結晶シリコンを成膜する第2の工程と、
    (ハ)前記多結晶シリコンに不純物を拡散することにより抵抗率が1〜10mΩ・cmの範囲のn型多結晶シリコン層を形成する第3の工程と、
    (ニ)前記n型多結晶シリコン層をパターニングして、
    チップ中心から半径r1の位置を起点として前記半径r1より前記チップ外縁寄りの半径r2までの間に形成される扇形パターンと、該扇形パターンの外縁に連接されて前記チップ外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r2より前記チップ外縁寄りの半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型パターンと、からなる第1部分パターンと、
    前記半径r2の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する、前記半径r3から前記チップ外縁側端部まで切り欠いた切欠部が設けられた、鉤型の第2部分パターンと、
    前記半径r3の位置を起点として前記基板外縁近傍まで半径方向に沿って帯状に延在する第3部分パターンと、を有し、
    前記第2部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターンに並列して配置され、且つ、前記第3部分パターンが、前記第1部分パターンの前記鉤型パターン及び前記第2部分パターンのそれぞれに設けられた前記切欠部に配置されて、各部分パターンが、それぞれ互いに噛み合わされて全方向に均等に広がる放射状に構成される、
    第1のパターンを形成する第4の工程と、
    前記第1の絶縁膜及び前記第1のパターンが形成された前記n型多結晶シリコン層上に金属薄膜層を成膜する第5の工程と、
    (ホ)前記金属薄膜層をパターニングして、パターニングされた前記n型多結晶シリコン層の前記温接点部と冷接点部を前記金属薄膜層との接触によって形成するとともに、前記金属薄膜層によって前記温接点部と冷接点部とを互いに接続して熱電素子列を形成する第6の工程と、
    (ヘ)前記第1の絶縁膜、前記金属薄膜層と前記パターン化されたn型多結晶シリコン層上に絶縁膜を形成し、該絶縁膜上のチップ中央部に赤外線吸収膜を形成する第7の工程と、
    (ト)前記基板をエッチングして空洞部を形成し、前記第1の絶縁膜を裏面から露出させる第8の工程と
    を含むことを特徴とするサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
  24. 前記熱電素子列上に形成される赤外線吸収膜が、硼珪酸系ガラス、ポリイミド系樹脂、ビニル系樹脂又はアクリル系樹脂の一種からなることを特徴とする請求項19〜23の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
  25. 加熱工程を経て、前記赤外線吸収膜の表面を凹凸を有する縞状パターンとしたことを特徴とする請求項19〜24の何れかに記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
  26. 前記赤外線吸収膜の膜厚が1〜15μmであって、前記赤外線吸収膜の表面に1〜10μmの凹凸を形成したことを特徴とする請求項25に記載のサーモパイル型赤外線センサの製造方法。
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