JP4888908B2 - メンブレン構造素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主に赤外線センサや風量センサ、ガスセンサなどの熱型センサに利用されるメンブレン構造素子に関する。
近年、半導体微細加工を利用して熱型センサを製作する技術が種々開発されている。熱型センサには、基板に対する断熱性を保つために、メンブレンベース部材を基板に対して中空状態で支持した中空構造が採用される場合がある。このようにメンブレンベース部材が中空状態で支持された構造のセンサをメンブレン構造素子という。
前記基板の表面には、熱膨張係数が小さく、熱絶縁性に優れた酸化ケイ素膜が形成される。この酸化ケイ素膜はシリコン基板の表面を酸化することで容易に形成されるものであり、その上に所定パターンの金属配線が形成される。前記金属配線は、通常、検出素子に対応した素子部と、電極パッド部と、これらを接続する配線部から構成される。前記素子部を備えた酸化ケイ素膜の周りを凹状にエッチングすることにより中空構造としたものが前記メンブレンベース部材である。このため、メンブレンベース部材には、素子部と、前記素子部に接続された配線部の一部が配置され、電極パッド部はメンブレンベース部材の外側に配置される。なお、表面酸化により形成された酸化ケイ素膜を熱酸化ケイ素膜という。
前記メンブレンベース部材に形成された金属配線素子部に電流を流し、当該素子部を加熱冷却する過程でその電気的特性の変化を測定することにより、温度、湿度、ガス流量などの物理的特性が測定される。すなわち、前記素子部に電流を流すことにより、メンブレンベース部材が基板から断熱され、また熱容量が小さいため、容易に温度が上昇し、例えば風量センサでは、金属配線の抵抗値の変化から、メンブレンベース部材から熱が奪われる速度と関連した風量を検出することができる。
一般的に金属配線を形成する貴金属や銅などの高導電性金属は、酸化ケイ素膜との密着性が悪い。このため、前記メンブレンベース部材を形成する酸化ケイ素膜の上にMo、Ti、Crなどの金属下地層が数十nm程度形成され、その上に金属配線が形成される。これにより、メンブレン構造素子を作製する工程において受ける熱ストレスや、金属配線を外部と接続するワイヤボンディング工程、および使用時に受ける熱ストレスなどにより、メンブレンベース部材からの金属配線の剥離が抑制されている。
一方、前記メンブレンベース部材を形成する熱酸化ケイ素膜は、基板となる単結晶シリコンなどの基板材料よりも熱膨張係数が小さい。このため、メンブレンベース部材となる熱酸化ケイ素膜を基板表面に形成し、メンブレンベース部材に対応する膜部分の下部をエッチング等により凹状に除去して、メンブレンベース部材を中空構造とした場合、熱酸化ケイ素膜に大きな圧縮応力(基板が単結晶シリコンの時、200MPa程度)が残留し、この残留応力のために中空状態で支持されたメンブレンベース部材が「たるむ」状態となる。メンブレンベース部材にたるみが生じると、膜自体の強度が低下し、著しい場合は膜破壊を招来する。また、熱ストレスに起因するメンブレンベース部材と金属配線の間のクラックの発生が助長される。
前記メンブレンベース部材のたるみを抑制する技術として、例えば、特開平6−132277号公報(特許文献1)には、メンブレンベース部材を窒化ケイ素層、及びシリコンと酸素の組成比が異なる複数の酸化ケイ素層を積層形成し、これにより全体としてメンブレンベース部材の残留応力を緩和する技術が提案されている。また、特開平8−264844号公報(特許文献2)には、メンブレンの中央部分をSi34膜で形成したり、SiO2 膜にV族元素を添加することでメンブレンのヤング率を低下させる技術が提案されている。
特開平6−132277号公報 特開平8−264844号公報
上記特許文献に記載された技術により、メンブレンベース部材の平坦性が向上するものの、製造工程が複雑である。また、酸化ケイ素膜に比較して窒化ケイ素膜は熱膨張係数、熱伝導係数がともに大きいため、断熱性に劣り、また加熱されたときの変形も大きく、ひいては耐久性に問題が生じやすい。さらにまた、高温下では金属配線を形成する金属材料と金属下地層とが相互拡散して変質し、接合性が劣化する。このため、メンブレンベース部材と金属配線とが分離したり、金属配線が破断したりして十分な耐久性が得られていない。
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、製造が容易で、メンブレンベース部材に対する金属配線の高温での接合性を向上させ、あるいはさらにメンブレンベース部材の平坦性を向上させて、耐久性に優れたメンブレン構造素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、酸化ケイ素と金属配線材との接合性を向上させるため、従来、金属下地層として用いられていたMo、Tiなどよりも接合性に優れた材料を検討した結果、酸化アルミが非常に有効であることを知見した。また、メンブレンベース部材を構成する酸化ケイ素膜をプラズマCVD法によって形成した場合、熱酸化ケイ素膜と同様、膜内に圧縮応力が残留するものの、その後、加熱処理を施すことにより、膜が熱収縮して緻密化するため、圧縮残留応力が軽減され、室温付近ではメンブレンベース部材が平坦化することを見出した。本発明はかかる知見を基に完成したものである。
すなわち、本発明のメンブレン構造素子は、メンブレンベース部材と、前記メンブレンベース部材の周辺の一部を支持することによって前記メンブレンベース部材を中空状態で支持する基板とを備え、前記メンブレンベース部材に金属配線が形成されたメンブレン構造素子であって、前記メンブレンベース部材は酸化ケイ素膜を主体とし、表面側に酸化アルミを主成分とする酸化化合物で形成された、厚さが10nm〜50nmの絶縁密着層を備え、前記金属配線が前記絶縁密着層に形成される。
上記メンブレン構造素子によると、金属配線がメンブレンベース部材の表面側に設けられた絶縁密着層の上に配置され、前記絶縁密着層が酸化アルミを主成分とする酸化化合物で形成されたものであるので、メンブレンベース部材に対する金属配線の接合性が向上し、かつ加熱時の変形が小さくなるため、メンブレン構造素子の耐久性および耐熱性が改善される。このため、このメンブレン構造素子は、熱ストレスを受ける熱型センサーとして好適である。また、断熱性が高いため、消費電力を低減することができる。
前記メンブレン構造素子において、絶縁密着層は前記メンブレンベース部材の表面側に全面に、あるいは前記メンブレンベース部材と前記金属配線との間にのみ局所的に形成される。また、前記金属配線は、Pt、Auおよびこれらを主成分とする合金で形成される。さらに、測定対象と金属配線とが接触する必要のない風量センサなどのメンブレン構造素子として好適なように前記メンブレンベース部材の上に配置された前記金属配線を覆うように酸化ケイ素膜で形成された被覆層が設けられる。この被覆層は保護層として機能し、当該被覆層を設けることにより耐久性をより一層向上させることができる。なお、メンブレンベース部材に、例えばヒータ用金属配線と検知用金属配線など、本質的に機能の異なる二種の金属配線を設ける場合、メンブレンベース部材に絶縁密着層を介して一方の金属配線を形成し、これを覆うように被覆層を形成し、さらにその上に好ましくは絶縁密着層を介して他方の金属配線を設けることができる。この場合、前記被覆層は金属配線の段間絶縁層としても機能する。
さらに、前記メンブレン構造素子において、前記メンブレンベース部材さらに被覆層を形成する酸化ケイ素膜、加熱により熱収縮する未収縮酸化ケイ素膜を成膜後に熱収縮させた収縮酸化ケイ素膜で形成され、その熱収縮により前記メンブレンベース部材を平坦状に支持させる。また、その平坦性については、常温における基板表面に対するメンブレンベース部材の膜厚方向の最大変位が前記メンブレンベース部材の最大幅の2%以下に止めることが好ましい。前記メンブレンベース部材の平坦性を向上させることにより、耐久性がより一層向上し、メンブレン構造素子の大形化を容易に実現することができる。
また、本発明のメンブレン構造素子の製造方法は、メンブレンベース部材と、前記メンブレンベース部材の周辺の一部を支持することによってメンブレンベース部材を中空状態で支持する基板とを備え、前記メンブレンベース部材に金属配線が形成されたメンブレン構造素子の製造方法であって、酸化ケイ素よりも熱膨張係数が大きい材料で形成された基板の表面側に、熱収縮可能な酸化ケイ素膜である未収縮酸化ケイ素膜を形成する第1未収縮酸化ケイ素膜形成工程と、前記未収縮酸化ケイ素膜を加熱して、熱収縮させた収縮酸化ケイ素膜を形成する第1加熱収縮工程と、前記収縮酸化ケイ素膜の上に全面的あるいは局所的に酸化アルミを主成分とする酸化化合物で形成された、厚さが10nm〜50nmの絶縁密着層を形成する絶縁密着層形成工程と、前記絶縁密着層の上に金属配線を形成する金属配線形成工程と、前記絶縁密着層および金属配線を備えた収縮酸化ケイ素膜の、前記メンブレンベース部材に対応する対応部分を前記基板に対して中空状態で支持されるように前記基板の一部を凹状に除去して前記メンブレンベース部材を形成する除去工程を備える。
本発明の製造方法によれば、基板に未収縮酸化ケイ素膜を形成しておき、この未収縮酸化ケイ素膜を加熱して熱収縮させるだけで、基板に未収縮酸化ケイ素膜に残留した圧縮応力を容易に軽減、解消することができる。このため、除去工程によってメンブレンベース部材を基板に中空状に支持しても、メンブレンベース部材に撓みや反りが生じず、容易に平坦状になる。このため、酸化アルミを主成分とする酸化化合物で形成された絶縁密着層の形成と相まって金属配線の接合性が向上し、耐久性に優れたメンブレン構造素子を容易に得ることができる。
本発明の製造方法は、さらに前記金属配線形成工程によって前記絶縁密着層の上に形成された金属配線を覆うように未収縮酸化ケイ素膜を形成する第2未収縮酸化ケイ素膜形成工程と、前記第2未収縮酸化ケイ素膜形成工程によって形成された未収縮酸化ケイ素膜を加熱して熱収縮させた収縮酸化ケイ素膜からなる被覆層を形成する第2加熱収縮工程を備える。前記被覆層を形成することにより、メンブレン構造素子の耐久性がより向上する。なお、本発明に係るメンブレン構造素子は、金属配線が酸化アルミを主成分とする絶縁密着層に形成されているので、第2加熱収縮工程における加熱によって、それらの金属配線の材質が変質せず、金属配線の接合性が低下するおそれはない。
前記金属配線は、Pt、Auおよびこれらを主成分とする合金で形成される。また、前記未収縮酸化ケイ素膜は、プラズマCVD法によって容易に形成することができる。プラズマCVD法で成膜する場合、成膜原料ガスとしてシランガスを用い、成膜時における基板温度を200℃以下とし、投入電力を0.21W/cm2 以下とすることが好ましい。
また、前記第1、第2加熱収縮工程において、未収縮酸化ケイ素膜に対する加熱温度は、400℃以上とすることが好ましい。400℃未満では未収縮酸化ケイ素膜の熱収縮が不足するおそれがあり、その分、メンブレンベース部材の平坦性が低下する。また、単結晶シリコンからなる基板を用い、前記除去工程において、シリコン異方性エッチングにより前記基板の一部を除去することで、メンブレンベース部材の下部に基板表面に沿うように凹部を容易に形成することができる。
本発明のメンブレン構造素子によれば、金属配線がメンブレンベース部材の上に厚さが10nm〜50nmの絶縁密着層を介して配置され、前記絶縁密着層が酸化アルミを主成分とする酸化化合物で形成されたものであるので、メンブレンベース部材に対する金属配線の接合性が向上し、メンブレン構造素子の耐久性が改善される。さらに、メンブレンベース部材および被覆層を形成する酸化ケイ素膜を加熱により熱収縮する未収縮酸化ケイ素膜を成膜後に熱収縮させた収縮酸化ケイ素膜で形成し、その熱収縮により前記メンブレンベース部材を平坦状に支持させることにより、メンブレンベース部材の強度、金属配線の接合性が向上し、ひいては耐久性がより一層向上する。このため、本発明のメンブレン構造素子は、特に熱ストレスを受ける、赤外線センサや風量センサ、ガスセンサなどの熱型センサに好適に利用される。
また、本発明のメンブレン構造素子の製造方法によれば、メンブレンベース部材の主体および被覆層となる酸化ケイ素膜を予め未収縮酸化ケイ素膜で形成しておき、これを加熱して熱収縮させるので、前記未収縮酸化ケイ素膜に内在する圧縮応力を軽減することができ、金属配線を所定の絶縁密着層の上に形成することと相まって、平坦性、耐久性に優れたメンブレン構造素子を容易に製造することができる。
まず、本発明の基礎となる参考形態である第1実施形態に係るメンブレン構造素子をその製造方法と共に説明する。図1および図2は、第1実施形態に係るメンブレン構造素子の断面図および平面図を示している。このメンブレン構造素子は、シリコン製の基板2と、その上下面に積層された熱酸化ケイ素膜11,12と、その一方(上側)の表面に積層された酸化ケイ素膜13と、さらにその上に形成された絶縁接着層14と、さらにその上に形成された所定パターンの金属配線6を備える。前記金属配線6の素子部6Aが配置された平面視方形の膜部分は、前記基板2に設けられた凹部4の上に4本の支持アーム5によって中空状に支持されている。前記中空状に支持された部分がメンブレンベース部材1であり、熱酸化ケイ素膜11、酸化ケイ素膜13および絶縁密着層14の積層体によって構成されている。なお、前記熱酸化ケイ素膜11,12は、0.1μm 程度のごく薄い膜であり、メンブレンベース部材側(上側)の酸化ケイ素膜11は無くてもよい。基板2の裏面側の熱酸化ケイ素膜12は、製造の都合上形成したものである。
前記メンブレンベース部材1は、この実施形態では、熱酸化ケイ素膜11と酸化ケイ素膜13と絶縁密着層14によって形成されており、前記酸化ケイ素膜13は、加熱により熱収縮する未収縮酸化ケイ素膜を成膜後、加熱処理を施して熱収縮させた収縮酸化ケイ素膜によって形成されている。メンブレンベース部材1は、強度、耐久性の観点から全厚さを0.5μm 〜2μm 程度にすればよいが、用途によっては10μm 程度まで厚くしてもよい。
前記金属配線6は、Pt金属線によって形成されており、金属線が上下屈曲した蛇行状パターンに形成された素子部6Aと、この素子部6Aに接続され、前記支持アーム5を通って前記メンブレンベース部材1の外側に設けられた電極パッド部6Cに配線される配線部分6Bとで構成されている。
前記絶縁密着層14は、Al23などの酸化アルミで形成されている。酸化アルミで形成された絶縁密着層14は、前記金属配線6を形成する金属線材との接合性に優れ、また熱膨張係数も小さいため、メンブレンベース部材1の熱膨張を助長するおそれもない。さらに、高温下において、前記金属線材と相互拡散がほとんど生じないので、金属配線の材質が変化せず、接合力が劣化し難い。なお、この第1実施形態では、絶縁密着層14を酸化アルミだけで形成したが、主成分である酸化アルミと、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ホウ素などの酸化物とが複合化した酸化化合物を用いてもよい。この場合、酸化アルミは、酸化化合物全体の50体積%以上、好ましくは80体積%以上とすることが望ましい。
前記絶縁密着層14の厚さは、金属配線の接合性が向上すればよく、特に限定されないが、接合性向上機能を備え、かつ不要な厚さから生じる膜応力の増大や絶縁機能の低下を考慮すれば、3nm〜100nm程度が好ましい。なお、この実施形態では、前記絶縁密着層14は、収縮酸化ケイ素膜13の全面に形成したが、前記メンブレンベース部材1に対応する部分のみ、さらには金属配線6が形成される部分のみに形成するようにしてもよい。
ここで、絶縁密着層14を形成する酸化アルミ膜と金属配線膜との接合性をスクラッチ試験によって調べた結果を表1に示す。スクラッチ試験は試験用薄膜のPt配線膜にビッカース硬度計の鋭利な圧子を100N/min の速度で除々に荷重を増加しながら最大30Nまで印加しつつ、薄膜をその荷重と垂直な方向へ移動させ、Pt配線膜の剥離状態を観察することにより、薄膜の接合性を評価する試験である。前記試験用薄膜は以下の要領で製作された。シリコン基板に熱酸化ケイ素膜を形成し、その上に酸化アルミ(Al23)膜のほか、代表的な酸化膜として酸化チタン膜、酸化タンタル膜、およびチッ化シリコン膜からなる密着性試験膜(厚さ20μm )をスパッタリングにより形成し、その上にPt配線膜(厚さ400nm)を同法により積層成膜した。また、スクラッチ試験は、製作後(熱処理前)の試験用薄膜のほか、前記試験用薄膜を800℃で1時間加熱保持する熱処理を施したものに対しても行った。調査結果を下記表1に示す。表1より、酸化アルミ膜は他の膜に比して、800℃という高温の熱処理の有無に拘わらず、Pt配線膜との接合性に優れていることが分かる。同表において、評価基準は以下のとおりである。「×」は測定開始直後に剥離したもの、「○」は1N超、30N未満で剥離したもの、「◎」は剥離が生じなかったものである。
Figure 0004888908
次に、上記実施形態のメンブレン構造素子の製造方法について説明する。まず、図3(1) に示すように、汎用のシリコン基板(結晶方位(100)の単結晶シリコン基板)2を準備し、基板2の表裏面に熱酸化により0.1μm 程度のごく薄い熱酸化ケイ素膜11、12を形成した。0.1μm 程度の熱酸化ケイ素膜は基板全体を加熱処理することにより基板の表裏面に容易に形成される。裏面側の熱酸化ケイ素膜12は、後工程でシリコン基板をエッチングする際にその裏面を保護のために形成するものである。表面側の熱酸化ケイ素膜11は必ずしも必要がないので、成膜後除去してもよい。また、適宜の保護膜を基板の裏面に設けることにより、表裏面への熱酸化酸化ケイ素膜11,12の形成を省略することができる。
次に、表面側の熱酸化ケイ素膜11の上に、図3(2) に示すように、熱収縮可能な未収縮酸化ケイ素膜13Aを形成する。この工程を第1未収縮酸化ケイ素膜形成工程という。未収縮酸化ケイ素膜の厚さについて、膜の強度と熱絶縁性の観点から、既述のとおり、0.5μm 〜10μm 程度に設定すればよい。前記未収縮酸化ケイ素膜13Aの成膜法としては、成膜速度、成膜の容易さからプラズマCVD法が好適である。
次に、未収縮酸化ケイ素膜13Aを形成した基板2に対して、不活性ガスあるいは真空中で400〜800℃程度、好ましくは600〜700℃程度の温度で30〜100分程度加熱保持する加熱処理を施し、前記未収縮酸化ケイ素膜13Aを熱収縮させ、未収縮酸化ケイ素膜13に内在した圧縮残留応力を軽減、除去し、さらには引っ張り応力を残留させるようにする。この工程を第1加熱収縮工程といい、加熱処理後の酸化ケイ素膜を収縮酸化ケイ素膜13という。
次に、図3(3) に示すように、加熱処理した収縮酸化ケイ素膜13の上に酸化アルミからなる絶縁密着層14を3〜100nm、好ましくは10〜50nm程度形成する。この工程を絶縁密着層形成工程という。前記絶縁密着層14は、スパッタ法等の蒸着法により成膜すればよい。スパッタ法により成膜する場合、アルミナ焼結体ターゲットを用いて、アルゴン・酸素混合ガス雰囲気下でスパッタリングを行えばよい。
次に、図3(4) に示すように、絶縁密着層14の上にPt配線膜をスパッタ法などにより成膜して金属配線を形成する。配線の形成は、フォトリソグラフィーを行った後にスパッタリングを行い、フォトレジストと共に余分な膜を除去するリフト法を適用することができる。あるいは、金属薄膜形成後にフォトリソグラフィーを行ってドライエッチング法により配線を形成する方法を適用することもできる。
次いで、前記Pt配線6の素子部6Aを含む方形領域(メンブレンベース部材1の対応部分)を中空構造とすべく、メンブレンベース部材1の対応部分の下部にある基板2のシリコンを除去する。この工程を除去工程という。詳細に説明すると、図3(5) に示すように、メンブレンベース部材1の支持アーム5(図2参照)に相当する部分を除いて、メンブレンベース部材1の対応部分の周りの絶縁密着層14、収縮酸化ケイ素膜13、熱酸化ケイ素膜11を所定の幅で化学的あるいは物理的手段により除去して開口部20を形成する。その後、エッチング液に基板2を浸漬し、前記開口部20内に露出した基板2のシリコンをエッチングする。この際、シリコンは結晶方位に依存した異方性エッチングとなり、メンブレン相当部分の下部において容易に横方向に貫通した凹部4が形成される。エッチング液としては、例えば80℃程度に加熱したTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)溶液を用いることができる。前記凹部4を形成した後、メンブレンベース部材1が破壊されないようにエッチング液を洗浄し、乾燥する。これらの工程により、第1実施形態のメンブレン構造素子が製造される。
ここで、前記未収縮酸化ケイ素膜をプラスマCVD法により成膜する際の好適な成膜条件、およびこれを熱収縮させるのに適した加熱条件について説明する。まず、プラズマCVD法により酸化ケイ素膜を成膜した場合のプラズマ投入電力と膜に残留する応力について説明する。
未収縮酸化ケイ素膜を以下の要領で成膜した。熱酸化酸化ケイ素膜(膜厚0.1μm )が形成されたシリコン基板(厚さ525μm )を準備し、その上に膜厚1μm 程度の未収縮酸化ケイ素膜をプラスマCVD法により成膜した。成膜に使用したプラズマCVD装置の試料台及びこれに対向配置される電極のサイズはそれぞれ直径30cm(表面積約707cm2 )である。成膜条件は、SiH4,N2,N20 の混合ガスを用い、ガス圧力を80Pa、基板温度を200℃あるいは300℃とし、プラズマ投入電力を変化させて種々の未収縮酸化ケイ素膜を成膜した。
成膜後、各未収縮酸化ケイ素膜を用いて膜の残留応力を測定した。膜の残留応力は、基板の反り量を基に下記式から求めた。基板の反り量は、室温(23℃)にて基板(直径100mmφ)を3点支持し、レーザー光の反射もしくは触針式の表面粗さ計を用いて測定した。
σ=1/6×{1/Rpost−1/Rpre}×E/(1−ν)×ts2/tf
但し、E:基板(シリコン)のヤング率、ν:基板(シリコン)のポワソン比、Rpost:成膜後の基板の反りの曲率半径、Rpre:成膜前の基板の反りの曲率半径、ts:基板の厚さ、tf:膜の厚さ、(E/(1−ν)の値:単結晶シリコン(100)基板の場合、1.8×1011Paである。
以上のようにして求めたプラズマ投入電力と膜に残留する応力の関係を図4に示す。同図より、例えば基板温度が300℃、100Wの投入電力場合、膜の残留応力は−300MPa(圧縮)であり、成膜後の内部応力は投入電力が大きくなるにつれてその絶対値が小さくなることがわかる。成膜後の未収縮酸化ケイ素膜の残留応力が圧縮応力であることは、成膜後の基板は酸化ケイ素膜面を凸にして反っていることからわかる。また、基板温度が300℃より200℃の方が残留応力が軽減されることがわかる。
さらに、基板温度を300℃、プラスマCVDの投入電力を200Wとして未収縮酸化ケイ素膜を成膜したシリコン基板を用いて、これを窒素ガス雰囲気中で加熱した際の加熱温度に対する内部応力を測定した。その結果を図5に示す。前記未収縮酸化ケイ素膜の加熱は、酸化ケイ素膜が成膜されたシリコン基板を熱処理炉に装入することによって行われ、測定温度に制御された炉内雰囲気温度とシリコン基板の温度とがぼほ一致するようにし、測定温度における保持時間を1hrとした。使用した測定装置は、KLA-Tencor社製、型番F2410である。
図5より、加熱処理前に−200MPaであった応力が400℃近傍までほとんど変化がないが、400℃から700℃の間で急激に変化して(プラスに転じて)いる。この温度域で未収縮酸化ケイ素膜中の未結合手が反応することにより、膜が緻密化し、わずかに収縮することにより、内部応力がプラス(引張り応力)に変化しているものと考えられる。700℃から800℃では曲線の傾きが減少し、温度を下げるときはほぼ直線的に応力が低下し、最終的には室温で−80MPa程度の値を示している。これより、加熱処理における加熱温度は、400℃以上とすることが好ましく、1000℃程度で加熱してもよいが、好ましくは800℃以下、さらに好ましくは700℃以下とするのがよいことがわかる。
前記プラスマCVD法により投入電力を変えて未収縮酸化ケイ素膜を形成した各基板に対し、窒素ガス中で、800℃、1hrの加熱処理を行ったところ、図4に併せて示すように、熱処理後の応力は小さい投入電力で成膜したものの方が応力軽減効果が大きいことがわかる。また、基板温度300℃で成膜した熱収縮可能な酸化ケイ素膜については、投入電力75Wでは内部応力がほぼゼロになり、平均して−50MPa程度まで小さくなった。また、基板温度200℃、投入電力75W〜150W(0.11W/cm2 〜0.21W/cm2 )で成膜した熱収縮可能な酸化ケイ素膜では残留応力が0〜+50MPaと内部応力が引張応力となった。
また、図4より、投入電力が小さく、基板温度が低い方が加熱処理による膜の残留応力軽減効果は大きく、応力調整を行い易いことがわかる。基板の材質や熱収縮可能な未収縮酸化ケイ素膜の厚さに応じて、適切な応力範囲に調整するためには、上記のとおり、投入電力や基板温度を調整することが有効と考えられる。本発明の用途に適した、1μm 程度の厚さの膜を単結晶基板上に形成する場合には、図4から明らかなように、基板温度を300℃以下、投入電力を250W(0.35W/cm2 )以下とすることにより、膜の残留応力を−100MPa程度以下に調整することができ、また基板温度を300℃以下、投入電力を150W(0.21W/cm2 )以下とすることにより、膜の残留応力を−50MPa程度以下に調整することができる。さらに、基板温度を200℃以下、投入電力を150W(0.21W/cm2 )以下とすることにより、膜の残留応力を0〜+50MPa程度の引張応力に調整することができる。なお、プラズマCVD法による成膜の安定性確保の点から、投入電力は50W(0.07W/cm2 )以上、基板温度は100℃以上とすることが好ましい。
さらに、加熱処理による応力軽減効果を組織的観点から以下の調査により確認した。成膜後(加熱処理前)の熱収縮可能な未収縮酸化ケイ素膜と加熱処理後の収縮酸化ケイ素膜に対して、フーリエ変換赤外吸収分光法(FTIR)により酸化ケイ素の結合状態を調べた。その一例として、図4における基板温度200℃、投入電力75Wで成膜したものの赤外吸収スペクトルを図6に示す。同図から、加熱処理を行うことで、波数3000〜3700cm-1、および950cm-1付近に見られるSi−OH結合とH20 による吸収帯が消失し、1070cm-1付近の酸化ケイ素の主バンドが増加傾向を示していることがわかる。すなわち、未収縮酸化ケイ素膜は、その中に不完全な結合が多い状態から、加熱処理によりより緻密な収縮酸化ケイ素膜へと変化している。これより、加熱処理により膜は収縮し、引張り応力状態に変化するものと考えられる。
上記第1実施形態のメンブレン構造素子においては、メンブレンベース部材1の主体となる酸化ケイ素膜を未収縮酸化ケイ素膜13Aを熱収縮させた収縮酸化ケイ素膜13によって形成したが、未収縮酸化ケイ素膜の成膜については、ゾル・ゲル法など、加熱処理により熱収縮可能な低密度の酸化ケイ素膜を形成することができるものであれば、プラズマCVD法に限らず、他の方法を適用してもよい。また、上記実施形態では、基板として単結晶シリコン基板を用いたが、これに限らず、他の結晶、セラミック、樹脂などで形成された基板を用いることができる。また、上記実施形態では、金属配線としてPt配線を用いたが、配線材としてはPtに限らず、Au、PtまたはAuを主成分とするPt合金またはAu合金を用いることができる。これらの合金において、Pt、Au以外の元素としては、Rh,Pdなどの白金属元素、Ti,Coなどの遷移金属元素を例示することができ、これらの添加元素の一種以上を合計で80mass%以上、好ましくは90mass%以上を含有させることができる。
また、上記第1実施形態では、熱酸化ケイ素膜11、収縮酸化ケイ素膜13および絶縁密着層14によってメンブレンベース部材1を構成したが、これら以外の他の層を収縮酸化ケイ素膜13と絶縁密着層14との間や、収縮酸化ケイ素膜の間にサンドイッチ状に積層形成することができる。もっとも、メンブレンベース部材は、その全厚さの80%以上を熱膨張係数が小さく、断熱性に優れた酸化ケイ素膜で形成することが好ましい。さらに、メンブレンベース部材の平坦性を確保するには、前記熱酸化酸化ケイ素膜11や絶縁密着層14に圧縮応力が残留し、他の層にも圧縮応力が残留すると仮定すると、メンブレンベース部材の全厚の80%以上を収縮酸化ケイ素膜で形成することが好ましい。
次に、本発明の発明形態である第2実施形態に係るメンブレン構造素子を図7を参照して説明する。第1実施形態に係るメンブレン構造素子と同一の部材は同符号を付して説明を省略ないし簡略し、相違点を中心に説明する。
このメンブレン構造素子は、基板2の上に熱酸化ケイ素膜11、収縮酸化ケイ素膜13、絶縁密着層14が積層成膜され、その上に電極パッド部6Cを含む所定パターンの金属配線6が形成されているところは前記第1実施形態と同様であるが、前記金属配線6を覆うように前記絶縁密着層14の上に収縮酸化ケイ素膜からなる被覆層15が0.2〜0.6μm 程度の厚さで被覆形成されている。前記被覆層15を保護層として設けることにより、メンブレンベース部材1に形成された金属配線6を外部雰囲気から保護し、メンブレン構造素子の耐久性をより一層向上させることができる。なお、この実施形態では、絶縁密着層14の上に金属配線6を一段形成したが、既述のように、被覆層15を段間絶縁層として用い、その上に好ましくは絶縁密着層を介して他の金属配線を形成するようにしてもよい。
前記被覆層15を形成する収縮酸化ケイ素膜は、第1実施形態と同様、未収縮酸化ケイ素膜を形成し(この工程を第2未収縮酸化ケイ素膜形成工程という。)、これを熱収縮させて収縮酸化ケイ素膜とする(この工程を第2加熱収縮工程という。)ことにより形成することができる。これにより、メンブレンベース部材1の平坦性の低下を防止あるいは向上させることができる。前記被覆層15を形成した場合、凹部4と共に電極パッド部6Cの上部をエッチングにより除去し、電極パッド部6Cを露出させるようにする。前記第2加熱収縮工程においても、第1加熱収縮工程と同様、400〜800℃程度、好ましくは500〜700℃程度で30〜100分程度加熱保持されるが、前記金属配線6は酸化アルミを主体とする絶縁密着層14の上に形成されているので、両者の間で成分の拡散は生じず、金属配線の密着性が損なわれたり、金属線材の材質が変質することもなく、配線材としての機能が劣化するおそれもない。
前記被覆層15を設ける場合、被覆層15もメンブレンベース部材と同様、強度メンバーとなるので、メンブレンベース部材の全体厚さを被覆層厚さ分だけ薄くすることができる。また、被覆層15を未収縮酸化ケイ素膜を熱収縮させた収縮酸化ケイ素膜で形成する場合、メンブレンベース部材と被覆層との合計厚さの80%以上を収縮酸化ケイ素膜で形成することにより、圧縮応力が残留する他の層を設けても、平坦性を確保することができる。
図8は、第2実施形態のメンブレン構造素子の変形例を示しており、この例では絶縁密着層14、その上に形成された金属配線6および被覆層15からなる一組の検出構造体が、二組設けられたものである。下段の被覆層15は段間絶縁層としても機能している。各組の電極パッド部6Cは、その表面がそれぞれ外部に露出するようにその上に存在する被覆層が除去されている。このように検出構造体を複数組設けることにより、複数の物理的特性を同時に検出することができるメンブレン構造素子を提供することができる。
本発明の基礎となる参考形態である第1実施形態に係るメンブレン構造素子の断面図(図2のA−A線断面)である。 第1実施形態に係るメンブレン構造素子の平面図である。 第1実施形態に係るメンブレン構造素子の製造工程を示す断面説明図である。 プラズマCVDの投入電力と酸化ケイ素膜の応力との関係を示すグラフ図である。 プラズマCVDにより成膜した酸化ケイ素膜の加熱温度と膜応力との関係を示すグラフ図である。 加熱処理前及び加熱処理後における酸化ケイ素膜の赤外吸収スペクトルである。 本発明の発明形態である第2実施形態に係るメンブレン構造素子の断面図である。 第2実施形態の変形例に係るメンブレン構造素子の断面図である。
符号の説明
1 メンブレンベース部材
2 基板
6 金属配線
13 収縮酸化ケイ素膜
13A 未収縮酸化ケイ素膜
14 絶縁密着層
15 被覆層

Claims (7)

  1. メンブレンベース部材と、前記メンブレンベース部材の周辺の一部を支持することによって前記メンブレンベース部材を中空状態で支持する基板とを備え、前記メンブレンベース部材にPt、Auおよびこれらを主成分とする合金で形成された金属配線が形成されたメンブレン構造素子であって、
    前記メンブレンベース部材は酸化ケイ素膜を主体とし、表面側に酸化アルミを主成分とする酸化化合物で形成され、厚さが10nm〜50nmの絶縁密着層を備え、前記絶縁密着層は前記メンブレンベース部材の表面側に全面に、あるいは前記メンブレンベース部材と前記金属配線との間にのみ局所的に形成され、前記絶縁密着層に前記金属配線が形成され
    前記メンブレンベース部材の上に配置された前記金属配線を覆うように酸化ケイ素膜で形成された被覆層が設けられ、
    前記メンブレンベース部材および前記被覆層を形成する酸化ケイ素膜は、加熱により熱収縮する未収縮酸化ケイ素膜を成膜後に熱収縮させた収縮酸化ケイ素膜であり、その熱収縮により前記メンブレンベース部材が平坦状に支持されている、メンブレン構造素子。
  2. 前記メンブレンベース部材は、常温における基板表面に対する膜厚方向の最大変位が前記メンブレンベース部材の最大幅の2%以下である、請求項に記載したメンブレン構造素子。
  3. メンブレンベース部材と、前記メンブレンベース部材の周辺の一部を支持することによってメンブレンベース部材を中空状態で支持する基板とを備え、前記メンブレンベース部材に金属配線が形成されたメンブレン構造素子の製造方法であって、
    酸化ケイ素よりも熱膨張係数が大きい材料で形成された基板の表面側に、熱収縮可能な酸化ケイ素膜である未収縮酸化ケイ素膜を形成する第1未収縮酸化ケイ素膜形成工程と、
    前記未収縮酸化ケイ素膜を加熱して、熱収縮させた収縮酸化ケイ素膜を形成する第1加熱収縮工程と、
    前記収縮酸化ケイ素膜の上に全面的あるいは局所的に酸化アルミを主成分とする酸化化合物で形成された、厚さが10nm〜50nmの絶縁密着層を形成する絶縁密着層形成工程と、
    前記絶縁密着層の上にPt、Auおよびこれらを主成分とする合金で形成された金属配線を形成する金属配線形成工程と、
    前記金属配線形成工程によって前記絶縁密着層の上に形成された金属配線を覆うように未収縮酸化ケイ素膜を形成する第2未収縮酸化ケイ素膜形成工程と、
    前記第2未収縮酸化ケイ素膜形成工程によって形成された未収縮酸化ケイ素膜を加熱して熱収縮させた収縮酸化ケイ素膜からなる被覆層を形成する第2加熱収縮工程と、
    前記絶縁密着層および金属配線を備えた収縮酸化ケイ素膜の、前記メンブレンベース部材に対応する対応部分を前記基板に対して中空状態で支持されるように前記基板の一部を凹状に除去して前記メンブレンベース部材を形成する除去工程を備えた、メンブレン構造素子の製造方法。
  4. 前記未収縮酸化ケイ素膜はプラズマCVD法で形成された、請求項に記載したメンブレン構造素子の製造方法。
  5. 前記プラズマCVD法における成膜条件は、成膜原料ガスとしてシランガスを用い、成膜時における基板温度を200℃以下とし、投入電力を0.21W/cm2 以下とする、請求項に記載したメンブレン構造素子の製造方法。
  6. 前記未収縮酸化ケイ素膜を400℃以上の温度で加熱して熱収縮させた、請求項からのいずれか1項に記載したメンブレン構造素子の製造方法。
  7. 前記基板は単結晶シリコンからなり、前記除去工程において、シリコン異方性エッチングにより前記基板の一部を除去する、請求項からのいずれか1項に記載したメンブレン構造素子の製造方法。
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