JP4510241B2 - ウェーハの収納装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェーハ搬送用のカセット(以下、「搬送用カセット」という)に、ウェーハを収納するウェーハの収納装置に関する。
さらに詳細には、ウェーハの収納装置とは、薄板状のワークであるウェーハを、複数の収容棚を有する搬送用カセット等の収納部へ自動的に収納する装置のことである。
このようなウェーハの収納装置を用いる工程の例としては、半導体チップの原料となるシリコンウェーハを研磨する場合が該当する。例えば、シリコンウェーハの表面を研磨した後、保持装置による保持が解除されたシリコンウェーハを収納する場合、或いはプレートに接着保持されていたシリコンウェーハを剥離した後に収納する場合などがある。
【0002】
なお、ウェーハを研磨する工程としては、ウェーハの平坦度を向上させるラッピング工程があり、また、ラッピングされたウェーハの表面を鏡面研磨するポリシング工程などがある。勿論、ウェーハの研磨工程以外の分野でも、搬送用カセットを介したウェーハの搬送が一般的になされているため、ウェーハを傷つけないで、効率的に搬送用カセットへ収納するウェーハの収納装置が必要となる。
【0003】
【従来の技術】
表面を研磨後のウェーハは、研磨剤や粉塵等が、乾燥付着しないように搬送用カセットに収納し、一時的に水中保管をする。
従来の収納方法には、ウォータースライダー方式がある。その方式では傾斜面に水を流し、その水流を利用して、傾斜面と平行に配設された搬送用カセットへウェーハを収納する。
【0004】
図3は、従来のウェーハの収納装置を示す説明図であり、図3(a)は側断面図、図3(b)は平面図である。
図3(a)に示すように、シュータ20は、その傾斜面22で、プレート12等による保持が解除されて移送されたウェーハ10を受け、そのウェーハ10の重力降下を案内してカセット30内へ収納させる。カセット30は、シュータ20に向かって開口した複数の収納棚(収納部32)を有し、シュータ20から落下してくるウェーハ10を収納する。また、このカセット30は、シュータ20に隣接して傾斜されており、下方に設けられた昇降装置40によって所定のピッチで上下動可能に保持されている。ウェーハ10が収納される際には、上側位置から順次下動され、ウェーハ10が進入する部位(収納棚)は下方から順次水没される。42は水槽(液体の貯留槽の一例)であり、50は水面(液面)を示している。
【0005】
ウェーハ10が、シュータの傾斜面22と略平行に傾斜した状態で落下されたり、図3に示すようにプレート12側からシュータの傾斜面22沿って供給されれば、ウェーハ10の全面がシュータの傾斜面22に好適に当接することができ、衝撃を緩和できる。
シュータの傾斜面22からは水52が噴出しており、ウェーハはその水の抵抗によっても衝撃なく、シュータの傾斜面22で受けられる。そして、そのシュータの傾斜面22及び両側のガイド側面28によって案内されて移動(図3矢印参照)し、水の抵抗によって衝撃なくカセット30内に収納される。すなわち、シュータ20上面から、水を噴出させ、その水の膜の上を滑らせて、ウェーハ10をカセット30の中に収納している。これにより、ウェーハ10が傷つくことを防止して収納できると同時に、ウェーハ10を洗浄できる利点がある。なお、60はセンサーであり、ウェーハ10が通過したか否かを確認するため、傾斜面22の下端23から所定の間隔Bを置いて取り付けられている。
【0006】
また、従来の他の収納方法としては、縦型多関節ロボットを使用する方式がある。その方式では、ウェーハを真空チャックし、搬送用カセットへウェーハを収納する。但し、この方式はウェーハへの接触によるキズの発生が懸念されるため、最終工程では使用されない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のウォータースライダー方式は、傾斜面22とウェーハ10の間に水52を流すことにより、水の表面張力で、ウェーハ10が傾斜面22に対して非接触の状態で水流により搬送される。この際、傾斜面22全体に均一に水が流れるように、その傾斜面22に複数の水52の吐出口を設けることで、ウェーハ10の搬送を好適に行うようにしている。
しかしながら、水量が少ないと、水の表面張力により傾斜面22上に筋状に水路が形成されることになり、水路が形成されていない傾斜面22の部分とウェーハ10の接触が生じ、ウェーハ表面のキズの原因となる。これに対し、水量を多くすると、図4に示すような傾斜面22に垂直な吐出口62により水が空中放射となり、周囲への飛散が多くなってしまう。また、水流が強くなるため、ウェーハ端面の左右壁(ガイド側面28)への衝突が多くなり、ウェーハ端面のキズの発生と共に、さらにはウェーハ10の欠けの原因となり得る。また、傾斜面22上部の水不足が生じ易くなり、ウェーハ表面のキズの発生原因となる。
なお、傾斜面22にあける吐出口64(図4参照)を、傾斜面22に垂直ではなく、できるだけ水平に近くなるようにあけることが考えられるが、技術的には非常に困難である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ウェーハを搬送用カセットへ安全に好適に収納することができると共に、水の使用量を低減することができるウェーハの収納装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
すなわち、本発明は、ウェーハを、シュータの上面である水が流された傾斜面に沿って降下させ、ウェーハ搬送用のカセットへ収納させるウェーハの収納装置において、前記傾斜面に水の吐出口が複数設けられた前記シュータの内部に、少ない流量の水が前記吐出口から前記傾斜面の広範囲に広がって吐出するよう、前記複数の吐出口に連通する水の流路が水の直進性を阻害するように多層構造に形成されており、該多層構造が、水が供給されるように前記シュータの裏面に設けられた供給ポートと、前記シュータの前記裏面側内部に前記傾斜面と平行の層状に設けられ、前記供給ポートから水が供給される第1流路層と、前記シュータの前記傾斜面側内部に前記傾斜面と平行の層状に設けられ、前記第1流路層から水が供給される第2流路層と、前記供給ポートからの水が直進しないようにずれた位置に穿設され、前記第1流路層と前記第2流路層とを連通する複数の連通路と、前記傾斜面を形成する表層部に、前記連通路からの水が直進しないようにずれた位置に穿設された複数の前記吐出口とを具備することを特徴とする。この構成により、水が供給される際の動圧を好適に緩和することができ、水を傾斜面から好適に吐出することができる。
【0011】
また、本発明は、ウェーハを、シュータの上面である水が流された傾斜面に沿って降下させ、ウェーハ搬送用のカセットへ収納させるウェーハの収納装置において、前記傾斜面を流れる水流とは逆方向へ水を吐出するように、前記傾斜面に対して斜め上方向へ穿設された吐出口が設けられたことを特徴とするウェーハの収納装置にもある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる好適な実施例を添付図面と共に詳細に説明する。
(第1実施例)
図1は本発明にかかるウェーハの収納装置の要部であるシュータの一実施例(第1実施例)を示す断面図である。この実施例は、研磨後のウェーハ10を、シュータ20の上面である水が流された傾斜面22に沿って降下させ、ウェーハ搬送用のカセット30(図3参照)へ収納させるものである。
なお、このウェーハの収納装置にかかる他の構成は、従来技術の構成と同等であり、説明を省略する。
【0013】
図1に示すように、第1実施例の構成によれば、傾斜面22に水52の吐出口24が複数設けられたシュータ20の内部に、少ない流量の水52が吐出口24から傾斜面22の広範囲に広がって吐出するよう、複数の吐出口24に連通する水の流路が水52の直進性を阻害するように多層構造に形成されている。
【0014】
さらに詳細には、多層構造が、水52が供給されるようにシュータ20の裏面に設けられた供給ポート25と、シュータ20の裏面側内部に傾斜面22と平行の層状に設けられ、供給ポート25から水52が供給される第1流路層26と、シュータ20の傾斜面側内部に傾斜面22と平行の層状に設けられ、第1流路層26から水52が供給される第2流路層36と、供給ポート25からの水52が直進しないようにずれた位置に穿設され、第1流路層26と第2流路層36とを連通する複数の連通路35と、傾斜面22を形成する表層部に、連通路35からの水52が直進しないようにずれた位置に穿設された複数の吐出口24とを具備する。これにより、水52が供給される際の動圧を好適に緩和することができ、水52を傾斜面22から好適に吐出することができる。
従って、ウェーハ10を搬送用カセット30へ安全に好適に収納することができると共に、水の使用量を低減することができる。
【0015】
また、供給ポート25には、清浄化された水52である純水等が、図示しない供給ポンプから供給される。ウェーハ10の水中保管は、ウェーハ10に関する一種の洗浄工程も兼ねており、使用される水は単なる純水に限定されず、適宜な成分が含有されていてもよいのは勿論である。
【0016】
また、第1実施例のシュータ20の構造は、前述した多層構造を構成するように、3層構造になっている。
37はベース層板部であり、下面側に供給ポート25が形成されていると共に、このベース層板部の上面に第1流路層26となる溝が形成されている。
38は中間層板部であり、上面に第2流路層36となる溝が形成されていると共に、この中間層板部38の下面と上面とを貫通する孔である連通路35が形成されている。すなわち、第1実施例では、第2流路層36が、中間層板部38の上面の全面に形成されているものではなく、複数の枝に分かれたような形状に形成されている。別言すれば、千鳥状等の好適な配置に複数の連通路35を設けることができるように、限定された所定の部分が凹部(溝)となって、第2流路層36が形成されている。
【0017】
また、39は表層板部であり、前述したように複数の吐出口24が形成されている表層部である。複数の吐出口24は、中間層板部38の連通路35の位置と揃わないように設けられると共に、均一に水52を吐出できるように、千鳥状等の適宜の配列に設けられるとよい。
この表層板部39は、第2流路層36が形成されていない部分の中間層板部38の上面によって受けられ、好適に支持されている。
また、この表層板部39は、例えば、テフロン(商標)製のシート状の部材等で形成できる。テフロン製であることで、より滑り性が向上し、ウェーハ10を好適に収納できるようになる。
以上のように、第1実施例では、流路層が2層設けられた場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3層以上にしてもよい。
【0018】
(第2実施例)
次に、図2は本発明にかかるウェーハの収納装置の要部であるシュータ20の第2実施例を示す断面図である。
第2実施例は、ウェーハ10を、シュータ20の上面である水が流された傾斜面22に沿って降下させ、ウェーハ搬送用のカセット30(図3参照)へ収納させるウェーハの収納装置において、傾斜面22を流れる水流とは逆方向へ重力に逆らって水を吐出するように、傾斜面22に対して斜め上方向へ穿設された吐出口34が設けられたことを特徴とする。
【0019】
このように、傾斜面22に対して水流方向を逆にすることにより、ウェーハ10の自重による自然落下が好適になされ、スムーズな搬送ができる。
すなわち、噴出した水52が重力によって戻され、傾斜面22を好適に覆うことができる。このため、飛散してしまう水の量を低減できると共に、傾斜面22の上部から全面的に少ない水52で好適に覆うことが可能となる。つまり、ウェーハ10を搬送用カセット30へ安全に好適に収納することができると共に、水の使用量を低減することができる。
【0020】
以上、本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、ウェーハをシュータ表面に接触することなく搬送用カセットへ安全に好適に収納し、水中保管を好適にすることができると共に、周囲への水の飛散を低減し、水の使用量を低減することができるという著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるウェーハの収納装置の要部であるシュータの一実施例を説明する断面図である。
【図2】本発明にかかるウェーハの収納装置の要部であるシュータの他の実施例を説明する断面図である。
【図3】従来の技術を説明する説明図である。
【図4】従来の技術を説明する断面図である。
【符号の説明】
10 ウェーハ
20 シュータ
22 傾斜面
24 吐出口
25 供給ポート
26 第1流路層
30 搬送用カセット
32 収納部
34 吐出口
35 連通路
36 第2流路層
40 昇降装置
42 貯留糟
Claims (2)
- ウェーハを、シュータの上面である水が流された傾斜面に沿って降下させ、ウェーハ搬送用のカセットへ収納させるウェーハの収納装置において、
前記傾斜面に水の吐出口が複数設けられた前記シュータの内部に、少ない流量の水が前記吐出口から前記傾斜面の広範囲に広がって吐出するよう、前記複数の吐出口に連通する水の流路が水の直進性を阻害するように多層構造に形成されており、
該多層構造が、
水が供給されるように前記シュータの裏面に設けられた供給ポートと、
前記シュータの前記裏面側内部に前記傾斜面と平行の層状に設けられ、前記供給ポートから水が供給される第1流路層と、
前記シュータの前記傾斜面側内部に前記傾斜面と平行の層状に設けられ、前記第1流路層から水が供給される第2流路層と、
前記供給ポートからの水が直進しないようにずれた位置に穿設され、前記第1流路層と前記第2流路層とを連通する複数の連通路と、
前記傾斜面を形成する表層部に、前記連通路からの水が直進しないようにずれた位置に穿設された複数の前記吐出口とを具備することを特徴とするウェーハの収納装置。 - ウェーハを、シュータの上面である水が流された傾斜面に沿って降下させ、ウェーハ搬送用のカセットへ収納させるウェーハの収納装置において、
前記傾斜面を流れる水流とは逆方向へ水を吐出するように、前記傾斜面に対して斜め上方向へ穿設された吐出口が設けられたことを特徴とするウェーハの収納装置。
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