JP4507415B2 - 飲料ディスペンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、飲料ディスペンサに関し、詳細には、互いに容量が異なる2種類以上の飲用容器に選択的に飲料を注出する動作を改良した飲料ディスペンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、紙コップやグラス、ジョッキ等の飲用容器に、清涼飲料や炭酸飲料等の飲料を自動的に注ぐ飲料ディスペンサが知られている。この飲料ディスペンサは、飲料が供給される注出口に設けられた開閉バルブを開閉操作することによって、注出口の下方に配設された載置台上に載置された飲用容器に、所定量の飲料を分配供給するように構成されている。
【0003】
ところで、このような飲料ディスペンサは、飲用容器に注がれた飲料の量が所定量に達すると、自動的に注出を停止するように開閉バルブを閉鎖するように、制御手段によって制御されているが、用いられる飲用容器は1種類とは限らず、例えばビールディスペンサでは、大ジョッキ、中ジョッキ、小ジョッキ、というように、互いに容量が異なる2種類以上の容器が用いられるものもある。このように、容量の異なる飲用容器が用いられる飲料ディスペンサは、その容量に対応する適切な容量だけ飲料が注がれたとき、飲料の注出を停止する必要がある。
【0004】
そこで、載置台上に載置された飲用容器に飲料の注出を開始するための注出開始信号を入力する注出開始ボタンを、飲用容器の容量に対応して複数設け、制御手段は、飲用容器の容量に対応するものとして押下された注出開始ボタンに応じた量だけ注出した時点で、注出を停止するように制御している。
【0005】
例えば、上述したビールディスペンサでは、注出開始ボタンは、大ジョッキ用、中ジョッキ用および小ジョッキ用として3つ配設されており、制御手段は、これらの各注出開始ボタンから入力された注出開始信号に応じて、大容量、中容量または小容量のビールを注出した時点で、開閉バルブを閉鎖制御するように構成されている。したがって、載置台に大ジョッキが載置され、オペレータが大ジョッキ用の注出開始ボタンを押下したときは、制御手段は、この大ジョッキ用の注出開始ボタンから入力された大ジョッキ用注出開始信号に対応する大容量だけビールを注出した時点で、注出バルブを閉鎖制御し、載置台に中ジョッキが載置され、オペレータが中ジョッキ用の注出開始ボタンを押下したときは、制御手段は、この中ジョッキ用の注出開始ボタンから入力された中ジョッキ用注出開始信号に対応する中容量だけビールを注出した時点で、注出バルブを閉鎖制御し、載置台に小ジョッキが載置され、オペレータが小ジョッキ用の注出開始ボタンを押下したときは、制御手段は、この小ジョッキ用の注出開始ボタンから入力された小ジョッキ用注出開始信号に対応する小容量だけビールを注出した時点で、注出バルブを閉鎖制御する。これにより、載置台に載置されたジョッキには、その容量に適切な量のビールが注がれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の飲料ディスペンサは、載置した飲用容器の容量に対応する注出開始ボタンを、オペレータ自身が選択して押下するため、載置した飲用容器とは異なる容量に対応する注出開始ボタンを誤って押下してしまう場合もある。すなわち載置した容器が中ジョッキであるにも拘わらず、大ジョッキ用の注出開始ボタンを押したり、小ジョッキ用の注出開始ボタンを押してしまう場合がある。そして、本来押下すべき容量よりも大きな容量の飲用容器に対応した注出開始ボタンを押下したときは、飲用容器から飲料が溢れて、飲料が無駄になり、これとは反対に、小さな容量の飲用容器に対応した注出開始ボタンを押下したときは、注出量が足らずに、継ぎ足し操作を行わなければならない。
【0007】
また、このような飲用容器のサイズ間違いと同様に、飲用容器を載置台に載置していないにも拘わらず、勘違い等により、誤っていずれかの注出開始ボタンを押してしまい、飲料が無駄になるという問題もある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、飲用容器の容量間違いによるオペレータの操作ミスを防止して、飲料の無駄や、追加的な操作の発生を防止した飲料ディスペンサを得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の飲料ディスペンサは、互いに容量が異なる少なくとも2種類以上の飲用容器が選択的に載置される載置台と、飲料が供給される注出口に設けられた開閉バルブと、前記飲用容器の種類ごとにそれぞれ対応して、前記載置台上に載置された飲用容器に前記飲料の注出を開始するための注出開始信号を入力する2つ以上の注出開始入力手段と、前記2つ以上の注出開始入力手段のうち選択された注出開始入力手段からの注出開始信号の入力を受けて、該入力された注出開始信号に応じた量の飲料を注出するように開閉バルブを開閉制御する制御手段と、を備えた飲料ディスペンサにおいて、前記載置台上に載置された飲用容器の容量の差異を検出する容量差異検出手段と、前記2つ以上の注出開始入力手段のうち、いずれか1つを指示する入力指示手段とを備え、前記制御手段は、前記検出された容量の差異に基づいて、前記載置台上に載置された飲用容器の容量を求め、前記注出開始入力手段のうち、前記検出された飲用容器の容量に対応する1つの注出開始入力手段を指示するように、前記入力指示手段を制御することを特徴とする。
【0010】
ここで、上記飲用容器には、紙コップ、プラスチック製のコップ、グラス、カップ、ジョッキ等を含み、また、飲用に直接供するものではないが、ジョッキ等にさらに分配するためのピッチャーなども含む。また容量差異検出手段は、飲用容器の容量の差異を検出するものであれば足り、容量そのものを正確に検出するものである必要はなく、例えば、載置台上に載置された飲用容器の底面の大きさを検出するひずみゲージや、飲用容器の高さを検出する光センサ等を適用することができる。また警告手段は、警告音を発するものであってもよいし、警告用の光を発するものであってもよい。
【0011】
この発明に係る飲料ディスペンサによれば、制御手段が、検出された容量の差異に基づいて、載置台上に載置された飲用容器の容量を求め、複数の注出開始入力手段のうち、検出された飲用容器の容量に対応する1つの注出開始入力手段を特定し、オペレータが選択した注出開始入力手段から入力された注出開始信号に基づいて、オペレータが選択した注出開始入力手段を特定し、オペレータが選択した注出開始入力手段が、容量に対応する注出開始入力手段と異なる場合は、警告手段から警告を発するように制御するとともに、飲料の注出を行わないため、オペレータが他の注出開始入力手段を誤って選択しても、飲料が飲用容器から溢れて無駄になったり、飲料の不足を補うために追加的な操作を行う必要がない。
【0012】
なお、容量差異検出手段が、載置台に飲用容器が載置されていないことをも検出するものであり、制御手段が、飲用容器が載置されていないとの検出結果を容量検出手段から受けたときも、警告を発して、飲料の注出を行わないように制御すればよい。
【0014】
ここで、入力指示手段は、指示された注出開始入力手段自体を発光させるものであってもよいし、指示された注出開始入力手段に隣接して設けられた発光手段を発光させるもの等、種々のものを適用することができる。
【0015】
この発明に係る飲料ディスペンサによれば、制御手段が、検出された容量の差異に基づいて、載置台上に載置された飲用容器の容量を求め、複数の注出開始入力手段のうち、検出された飲用容器の容量に対応する1つの注出開始入力手段を指示するように入力指示手段を制御するため、オペレータは、入力指示手段によって指示された注出開始入力手段に対して、注出開始信号を入力すればよく、オペレータが他の注出開始入力手段を誤って選択するのを防止することができ、オペレータによる操作ミスによって、飲料が飲用容器から溢れて無駄になったり、飲料の不足を補うために追加的な操作を行う必要がない。
【0016】
なお、容量差異検出手段が、載置台に飲用容器が載置されていないことをも検出するものであり、制御手段が、飲用容器が載置されていないとの検出結果を容量検出手段から受けたときは、いずれの注出開始入力手段をも指示しないように、入力指示手段を制御するようにすればよい。
【0017】
また、この発明は、上述の飲料ディスペンサにおいて、選択された注出開始入力手段が、前記入力指示手段によって指示された注出開始入力手段と異なるときは、警告を発する警告手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
この発明に係る飲料ディスペンサによれば、入力指示手段によって、適切な注出開始入力手段が指示されたにも拘わらず、オペレータがこの指示された注出開始入力手段とは異なる注出開始入力手段を選択して注出開始信号を入力した場合、警告手段が警告を発することにより、オペレータに対して、選択の誤りを報知することができる。なお、この警告が発せられた後に、オペレータが、指示された注出開始入力手段を選択したときは、警告を停止して、前述した制御を行い、この警告が発せられた後にさらにオペレータが、指示された注出開始入力手段とは異なる注出開始入力手段を選択したときは、その選択にしたがって、従来と同様の制御を行うようにすればよい。
【0019】
また、この発明は、上述の飲料ディスペンサにおいて、前記載置台上に負荷された重量を検出する重量検出手段を備え、前記載置台に載置される飲用容器は、その容量と一義的に対応する重量を有し、前記制御手段は、前記重量検出手段によって検出された載置台上に負荷する重量に基づいて該載置台上に載置された飲用容器の容量の差異を求めることによって、前記容量差異検出手段を兼ねることを特徴とする。
【0020】
ここで、重量検出手段としては、金属抵抗体式ひずみゲージを用いた重量センサや、半導体式ひずみゲージを用いた重量センサ等、公知の種々の重量センサを適用することができる。
【0021】
この発明に係る飲料ディスペンサによれば、載置台に載置される飲用容器が、その容量と一義的に対応する重量を有するものであるときは、制御手段が、重量検出手段によって検出された載置台上に負荷する重量に基づいて該載置台上に載置された飲用容器の容量の差異を求めることによって、制御手段が容量差異検出手段を兼ねることができ、構成要素を簡素化することができる。
【0022】
また、この発明は、上述の飲料ディスペンサにおいて、前記載置台上に載置された飲用容器を、略直立位置から所定角度位置まで傾けるように、該載置台を傾斜させる台傾斜手段を備え、前記制御手段は、前記検出された容量の差異および前記飲料の注出中に検出された重量に応じて、傾斜された前記飲用容器に注がれた前記飲料が該飲用容器から溢出しない範囲の傾斜角度となるように、前記台傾斜手段を制御することを特徴とする。
【0023】
ある種の飲料ディスペンサは、飲料注出中に飲用容器中の飲料が泡立つのを抑制するために、台傾斜手段によって載置台を略直立位置から所定角度位置まで傾けることにより、載置台上の飲用容器を傾斜させることが行われるが、このように傾斜させた飲用容器に飲料を注ぐ場合、飲用容器は傾斜させたままでは、十分な量の飲料を注ぐことができないため、ある程度飲料を注いだ時点で、傾斜を元に戻してさらに飲料を注出する必要があり、この発明の飲料ディスペンサによれば、制御手段が、飲用容器の容量の差異と飲用容器内に既に注がれた飲料の重量とに応じて、傾斜された前記飲用容器に注がれた前記飲料が該飲用容器から溢出しない範囲の傾斜角度となるように台傾斜手段を制御するため、飲用容器の容量に応じて、飲料の注出流量の変動等環境の変動に拘わらず、飲用容器の傾斜角度の変化タイミングを従来より精度よく管理することができる。
【0024】
なお、飲料が飲用容器から溢出しない範囲の傾斜角度は、飲用容器の容量ごとに、予め実験的または経験的に得られた角度であればよく、注出される飲料の種類等に応じて設定することもできる。
【0025】
また、この発明は、上述の飲料ディスペンサにおいて、前記重量検出手段は、前記載置台上に負荷する重量を前記台傾斜手段に負荷する分力として検出するように、該台傾斜手段に取り付けられていることを特徴とする。
【0026】
載置台上に負荷する重量を検出するには、載置台自体に重量検出手段を取り付けるのが、最も直接的であるため検出精度を高めるうえで好ましいが、載置台には、飲用容器に付着していた水分や、載置台から容器を取り上げる作業の際に容器からこぼれた飲料が垂れたり、また載置台を洗浄する際に洗浄液等がかかるため、載置台に取り付けられた重量検出手段は、これらの水分に晒されて故障し易くなるおそれがある。
【0027】
しかし、この発明に係る飲料ディスペンサによれば、重量検出手段は、載置台と比べて水分に晒される機会が少ない、台傾斜手段に取り付けられているため、故障する確率が低く、信頼性を向上させることができる。
【0028】
また、この発明は、上述の飲料ディスペンサにおいて、前記飲料が炭酸ガスを含有する発泡飲料であり、前記飲用容器に注がれた前記飲料の液面、該飲料から湧出した泡または追加的に供給された泡の上面、を検出する液面検出手段をさらに備え、前記制御手段による前記開閉バルブに対する閉鎖制御に先立って、前記液面検出手段による前記液面または前記泡の上面が所定位置に到達したことが検出されたときは、前記制御手段は前記開閉バルブを閉鎖制御することを特徴とする。
【0029】
飲料がビールや発泡酒等の発泡飲料であるときは、液面の上部にある程度の自然発泡が生じたり、または意図的にクリーミーな泡を追加する場合があるが、このような泡については、液体である飲料とは異なり、重量と容量との関係が必ずしも精度よく対応しないために、重量による制御だけでは、液状の飲料自体は溢れ出なくとも、泡は溢れ出る場合がある。また、泡部分だけでなく、飲料自体の液面も激しく上下動するため、そのまま飲料の注出を続行すると、所定の重量に達する前に飲料が容器から溢れる場合もある。
【0030】
しかし、この発明に係る飲料ディスペンサによれば、このような場合であっても、制御手段による重量に応じた開閉バルブの閉鎖制御に先立って、液面検出手段によって検出された飲料の液面や泡の上面が所定位置に到達したときは、制御手段が開閉バルブを閉鎖制御するため、泡や飲料が飲用容器から溢れるのを、さらに適切に防止することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る飲料ディスペンサの実施の形態につき、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0032】
図1は、この発明に係る飲料ディスペンサの実施の形態であるビールディスペンサの要部を示す図、図2は、図1に示したビールディスペンサを含むビール供給システムの全体図、図3は、図1に示したビールディスペンサの制御装置の制御ブロック図、図4および5は、図3に示した制御装置の処理を示すフローチャートである。
【0033】
図1に示したビールディスペンサ1には、図2に示すように、飲料容器であるビール樽40が、外部導管によって接続されており、このビール樽40には、炭酸ガスを供給するガスボンベ30が接続されている。ガスボンベ30から供給された炭酸ガスによって、ビール樽40の内部は加圧され、この供給された炭酸ガスの一部は、ビール樽40内部に収容された飲料であるビール41に溶け込む。このとき、ガスボンベ30からビール樽40に供給される炭酸ガスの圧力は、ガスボンベ30に取り付けられた減圧弁によって、ビール樽40内のビール41の温度に応じて、適切に調整される。
【0034】
ビール樽40に収容されたビール41は、供給された炭酸ガスによって加圧されて、ビールディスペンサ1に供給される。このビールディスペンサ1に供給されたビール41は、このビールディスペンサ1の導管22の内部を通過して、ビールノズル6から注出され、ジョッキ支持台4上にセットされた飲用容器であるビールジョッキ50に注がれる。ビールディスペンサ1の導管22は、冷却ユニット24によって冷却された冷却水槽23内を、螺旋渦巻状に形成されて通過しており、導管22内を通過するビール41は、この冷却水槽23内を通過する間に、所定の温度まで冷却されるように構成されている。
【0035】
導管22の吐出端には、ビールノズル6、泡ノズル2および注出バルブ20からなる略逆V字状の注出タップが取り付けられており、この注出タップの下方に、ジョッキ支持台4が配設されている。注出タップのビールノズル6は、導管22を通過したビール41を注出するノズルであり、泡ノズル2は、導管22を通過したビール41を、内部に形成された細孔を通過させて所定の壁面に勢いよく衝突させることによって、ビール41を木目細かいクリーミーな泡状にして注出するノズルである。
【0036】
注出バルブ20は、ビールノズル6からのビール41の注出と停止、および泡ノズル2からの泡の注出と停止を、それぞれ切り換えるバルブであり、注出バルブ20の開閉切換えは、注出バルブ駆動部12から伝達される駆動力によって行われる。
【0037】
注出タップの下方に設けられたジョッキ支持台4は、ビールジョッキ50の底面を支持する略円板状の底板と、ビールジョッキ50の周面の一部を支持する平板状の突当て板と、後述する、ジョッキ支持台4を傾斜させるロッド15の先端受部19に係合されるフック板とからなり、大ジョッキ、中ジョッキおよび小ジョッキ、という容量の異なるビールジョッキ50を選択的に載置可能となっている。なお、これら容量の異なるビールジョッキ50は、大ジョッキが最も重い重量であり、次いで中ジョッキが重く、小ジョッキは最も軽い。
【0038】
またジョッキ支持台4は、図1に示すように断面略逆L字状に形成されており、この断面略逆L字の上端部(図1において、右上角部)Aを中心として、図面紙面内で、略直立位置(鉛直方向に対して角度α(0°≦α≦10°))と傾斜位置(鉛直方向に対して角度β(β≒60°))との角度範囲(α≦θ≦β)において、回動自在に、ビールディスペンサ1の本体ケースに軸支されている。なお、この上端部Aを軸支する本体ケース側の軸部は、図示右向き水平に移動可能に配設されている。
【0039】
また、このビールディスペンサ1には、ジョッキ支持台4を上述した角度範囲で回動させてビールジョッキ50を傾斜させる台傾斜手段として、支持台駆動部3が設けられている。この支持台駆動部3は、詳しくは、ジョッキ支持台4の突当て板を押圧してジョッキ支持台4を傾けるロッド15と、支持台駆動モータ14と、支持台駆動モータ14の駆動力をロッド15に伝達して、ロッド15を、その延在方向に移動させるリンク機構13とからなる。なおロッド15の先端部には、先端受け19が設けられている。
【0040】
ロッド15には、金属抵抗体式ひずみゲージを用いた重量センサ16が貼付され、ロッド15の延在方向に生じる歪みに基づいて、ロッド15の延在方向に負荷する荷重を算出している。なお、このロッド15の延在方向に負荷する荷重は、ジョッキ支持台4に負荷する重量(重力方向の荷重)についての、ロッド15の延在方向に関する分力であり、この分力を知ることによって、間接的に、ジョッキ支持台4に負荷する重量を算出することができる。
【0041】
さらに、ビールディスペンサ1には、制御装置7が備えられているが、この制御装置7は、図3に示す制御ブロック図に示すように、重量センサ16によって検出されたジョッキ支持台4上のビールジョッキ50の重量に基づいて、その重量に対応するビールジョッキ50のサイズ、すなわち大ジョッキ、中ジョッキまたは小ジョッキの別を求めて、そのビールジョッキ50に適したビール41の注出量とジョッキ支持台4の傾斜角度を変化させるタイミングを制御する。
【0042】
制御装置7によるジョッキ支持台4の傾斜角度を変化させる制御は、ビールノズル1からビール41の注出を開始させる信号を与える注出ボタン11a,11b,11cから入力された注出開始信号を受けて、支持台駆動部4をON状態に切り換え、ロッド15を実線位置から二点鎖線位置まで移動させ、ジョッキ支持台4を傾斜位置(θ=β)まで傾斜させるとともに、注出バルブ駆動部12をON状態に切り換え、注出バルブ20を開状態として、ビールノズル6からビール41の注出を開始させ、さらに、重量センサ16によって検出されたジョッキ支持台4に負荷する重量に応じて、ジョッキ支持台4を傾斜位置(傾斜角度θ=β)から、元の略直立位置(θ=α)に戻すように、支持台駆動部3を制御することによって行われ、この傾斜角度を変化させるときの重量は、最初に検出されたビールジョッキ50のサイズごとに、予め設定されている。
【0043】
また、制御装置7は、ジョッキ支持台4が略直立位置(θ=α)まで戻された後に、重量センサ16によって検出されたジョッキ支持台4に負荷する重量に応じて、注出バルブ駆動部12をOFF状態にして、ビールノズル6からのビール41の注出を停止させるように、注出バルブ駆動部12を制御しているが、この注出を停止させるときの重量も、最初に検出されたビールジョッキ50のサイズごとに、予め設定されている。
【0044】
注出ボタン11aは大ジョッキ用の注出開始を入力するボタンであり、注出ボタン11bは中ジョッキ用の注出開始を入力するボタンであり、注出ボタン11cは小ジョッキ用の注出開始を入力するボタンであり、オペレータが、ジョッキ支持台4上に載置したビールジョッキ50のサイズに対応させて、選択的に押下操作するものである。そして、各注出ボタン11a,11b,11cからは、それぞれ大ジョッキ用注出開始信号、中ジョッキ用注出開始信号、小ジョッキ用注出開始信号が出力される。
【0045】
注出ボタン11cの下方には、警告ランプ21が設けられており、制御装置7による制御によって、ジョッキ支持台4上に載置されたビールジョッキ50のサイズと、オペレータによって選択された注出ボタン11a,11b,11cによるジョッキサイズとが一致しない場合に、点灯するものである。なお、点灯に代えて、点滅するようにしてもよく、また、通常は点灯しており、ジョッキサイズとが一致しない場合にのみ消灯するようにしてもよい。また、警告ランプ21に代えて、警告音を発するもの等を適用することもできる。
【0046】
次に、この実施の形態のビールディスペンサ1の作用について、図4および5に示したフローチャートを参照しつつ、説明する。まず、このビールディスペンサ1の導管22には、前述したビール樽40から圧送されて、冷却水槽23によって冷却されたビール41が満たされており、閉鎖されている注出バルブ20によって、供給が停止された状態となっている。
【0047】
ここで、オペレータは、初期状態である略直立位置(傾斜角度α)にセットされているジョッキ支持台4上に、大ジョッキ、中ジョッキまたは小ジョッキのうち、いずれかのサイズの空のビールジョッキ50を載置し、そのサイズに対応する注出ボタン11a,11b,11cを押す(ステップ1(S1)、ステップ1′(S1′)またはステップ1″(S1″))。この操作によって、選択された注出ボタン11a,11b,11cから、注出開始を表す信号が制御装置7に入力される。ここでは、例えば、ジョッキ支持台4上に、ビールジョッキとして大ジョッキが載置され、オペレータは、大ジョッキ用の注出ボタン11aを正しく選択押下したものとする(図4(A)において、ステップ1(S1))。
【0048】
次いで、重量センサ16が、ジョッキ支持台4に負荷した空のビールジョッキ50(大ジョッキ)の重量を検出し(S2)、略直立位置における初期重量として制御装置7に、この重量が入力される。
【0049】
制御装置7は、既に、大ジョッキ用の注出ボタン11aから大ジョッキ用の注出開始信号が入力されているため、図4(A)の処理となり、重量センサ16から入力された重量が、大ジョッキに対応する重量か否かを、予めビールジョッキ50のサイズごとに記憶されている重量と比較することによって、判定する(S3)。ここでは、重量センサ16から入力されたのは大ジョッキの重量であり、制御装置7は、重量に基づいて特定されたビールジョッキ50のサイズと注出ボタン11aから得られたビールジョッキ50のサイズは一致し、特定したビールジョッキ50のサイズ(大ジョッキ)に対応して、傾斜戻しのタイミングを規定する傾斜戻し重量W1とビール41の注出量を規定する注出停止重量W2とを設定して(S5)、以下、正常な注出処理を実行する。なお、これら傾斜戻し重量および注出停止重量は、ビールジョッキ50のサイズごとに予め対応付けられており、制御装置7はこの対応付けを読み込んで設定する。
【0050】
ここでは、ビールジョッキ50のサイズは大ジョッキであるため、傾斜戻し重量としてW1を設定し、注出停止重量としてW2を設定する(S5)が、ビールジョッキ50のサイズが中ジョッキであるときの傾斜戻し重量はW3、注出停止重量はW4(S5′)、ビールジョッキ50のサイズが小ジョッキであるときの傾斜戻し重量はW5、注出停止重量はW6である(S5″)。なお、W1>W3>W5,W2>W4>W6であり、傾斜戻し重量W1,W3,W5はそれぞれ、各サイズのビールジョッキ50が傾斜位置において、ビールジョッキ50から溢れることのない範囲の重量であり、注出停止重量W2,W4,W6はそれぞれ、各サイズのビールジョッキ50が略直立位置において、ビールジョッキ50から溢れることのない範囲の重量であり、これらはいずれも予め実験的に定められたものである。
【0051】
次に、制御装置7は、支持台駆動部3をON状態に切り換え(S6)(図5参照)、ON状態とされた支持台駆動部3は、支持台駆動モータ14が回転駆動し、この支持台駆動モータ14の回転がリンク機構13に伝達され、さらにロッド15に伝達されて、ロッド15は、図示の実線位置から二点鎖線の位置に直進移動される。この移動によって、ロッド15の先端に設けられた先端受け19が、略直立位置にあるジョッキ支持台4の突当て板の背面側を押圧し、ジョッキ支持台4は、上端部Aを回動中心として、ロッド15の移動後の位置(二点鎖線)に対応する傾斜位置(傾斜角度β;二点鎖線で示す)まで傾斜する。ここで、制御装置7には、重量センサ16から、傾斜位置における初期重量が入力される。
【0052】
次いで、制御装置7は、注出バルブ駆動部12をON状態とし(S7)、このON状態とされた注出バルブ駆動部12は、注出タップ内に設けられた注出バルブ20を開放状態に切り換える。この結果、注出タップのビールノズル6から、導管22内を圧送されたビール41が注出され、傾斜位置にあるビールジョッキ50に注がれる。このとき注がれたビール41は、ビールジョッキ50の内壁面に衝突し、この内壁面に沿って底部に流れていくが、ビールノズル6の開口端からビールジョッキ50の内壁面までの落差は、ビールジョッキ50が略直立位置にあるときのビールジョッキ50の底部までの落差よりも十分に小さいため、ビール41が注がれたときの衝撃力は小さくなり、ビール41に溶け込んだ炭酸ガスがビール41自体から遊離しにくく、このため、ビールジョッキ50内での自然発泡量が抑制される。
【0053】
ビール41の注出が継続されることにより、ビールジョッキ50内に注がれたビール41の量が次第に増大していくが、この間、重量センサ16は、ジョッキ支持台4に負荷する重量を検出し続け(S8)、検出した重量は、継続して制御装置7に入力されている。制御装置7は、重量センサ16から入力された重量が傾斜戻し重量W1に到達するのを待ち(S9)、この傾斜戻し重量W1に到達したときは、支持台駆動部3をOFF状態に切り換える(S10)。
【0054】
ここで、制御装置7は、重量センサ16から入力される重量から、傾斜位置における初期重量を減算して、ビールジョッキ50に注がれたビール41の重量を算出している。
【0055】
OFF状態に切り換えられた支持台駆動部3は、支持台駆動モータ14を最初とは逆方向に回転し、この逆回転動作はリンク機構13に伝達され、さらにこのリンク機構13からロッド15に伝達されて、ロッド15は初期位置である実線位置まで移動する。このとき、ロッド15の先端受け19が、ジョッキ支持台4のフック18に係合するため、ジョッキ支持台4は、ロッド15に引っ張られて、傾斜位置から元の略直立位置まで戻される。
【0056】
ビールノズル6からは、さらに継続してビール41が注がれ、この略直立位置においては、新たに注がれるビール41はビールジョッキ50内に既に注がれたビール41の液面に直接衝突するが、このときのビールノズル6の開口端からビール41の液面までの落差は、空のビールジョッキ50の底部までの落差よりも十分に小さいため、ビール41が注がれたときに衝撃は小さく、自然発泡が抑制される。
【0057】
ジョッキ支持台4が略直立位置に戻された後も、重量センサ16は、ジョッキ支持台4に負荷する重量を検出し続け(S11)、検出した重量は、継続して制御装置7に入力されている。制御装置7は、重量センサ16から入力された重量が注出停止重量W2に到達するのを待ち(S12)、注出停止重量W2に到達したときは、注出バルブ駆動部12をOFF状態に切り換える(S13)。ここで、制御装置7は、重量センサ16から入力される重量から、略直立位置における初期重量を減算して、ビールジョッキ50に注がれたビール41の重量を算出している。
【0058】
なお、注出停止重量W2は、前述したように、このサイズのビールジョッキ50(大ジョッキ)に注ぐ規定量の重量として予め設定されたものであるが、後に泡ノズル2から追加的に所定量注出されたクリーミーな泡が、ビールジョッキ50から溢れ出ないように、ビール41の液面高さに相当する重量である。すなわち、具体的には、ビール41と泡とが、ビールジョッキ50の高さを7対3〜8対2程度に分けるように、ビール41の液面位置が設定されており、その液面位置までビール41を注いだときのビール41の重量が、上記注出停止重量となる。
【0059】
以上の説明は、ジョッキ支持台4上に載置されたビールジョッキ50が大ジョッキであり、オペレータが正しく大ジョッキ用の注出ボタン11aを選択押下した場合を説明したが、例えば、オペレータが誤って、中ジョッキ用の注出ボタン11bを選択押下した場合について、以下に、説明する。
【0060】
この場合、制御装置7には、既に中ジョッキ用の注出開始信号が入力されているため、図4(B)の処理となり、重量センサ16から入力された重量が、中ジョッキに対応する重量か否かを、予めビールジョッキ50のサイズごとに記憶されている重量と比較することによって、判定する(S3′)。ここでは、重量センサ16から入力されたのは大ジョッキの重量であり、重量に基づいて特定されたビールジョッキのサイズと注出ボタン11bから得られたビールジョッキ50のサイズは一致しないため、制御装置7は、警告ランプ21を点灯させて(S4)、処理を終了する。
【0061】
このため、ビールジョッキ50にはビール41の注出が開始されず、オペレータは、実際にビール41が溢れたり、不足したりすることを経験する前に、誤った注出ボタン11bまたは11cを押下したことを認識することができ、ビール41の注出過不足を事前に回避することができる。
【0062】
なお、ジョッキ支持台4上に載置されたビールジョッキ50が大ジョッキまたは中ジョッキであり、オペレータが誤って小ジョッキ用の注出ボタン11cを選択押下した場合は、図4(C)の処理となり、ジョッキ支持台4上に載置されたビールジョッキ50が中ジョッキまたは小ジョッキであり、オペレータが誤って大ジョッキ用の注出ボタン11aを選択押下した場合は、図4(A)の処理となって、いずれの場合もサイズ不一致(S3″またはS3)の判定により、警告ランプ21が点灯して(S4)、処理は終了する。
【0063】
以上のように、この実施の形態のビールディスペンサ1によれば、ジョッキ支持台4に載置されたビールジョッキ50のサイズに応じて、注出開始を制御するため、オペレータが、ビールジョッキ50のサイズと対応しない注出ボタンを選択した場合にも、その誤操作によって生じるビール41の溢れ出しや、ビール41の継ぎ足し作業を事前に回避することができる。
【0064】
また、この実施の形態のビールディスペンサ1によれば、重量センサ16によって検出された、ジョッキ支持台4に負荷する重量に応じたタイミングにより、制御装置7がジョッキ支持台4を傾斜位置から略直立位置に戻すように支持台駆動部3を制御するため、傾斜位置にあるビールジョッキ50に注がれたビール41がビールジョッキ50から溢れ出る前に、元の略直立位置に戻すことができ、この傾斜角度を変化させるタイミングの基準として、ビールジョッキ50に注がれたビール41の容積と極めて相関の高い重量を用いているため、ビールジョッキ50の傾斜角度を変化させるのに最適なタイミングを、環境の変化に拘わらず、常に略一定に保つことができ、気温等の変化によって、このタイミングを変更する必要がなく、操作性および信頼性の向上を図ることができる。
【0065】
また、この実施の形態のビールディスペンサ1によれば、重量センサ16によって検出された、ジョッキ支持台4に負荷する重量に応じたタイミングにより、制御装置7が注出バルブ20を閉じるように注出バルブ駆動部12を制御するため、略直立位置にあるビールジョッキ50に注がれたビール41がビールジョッキ50から溢れ出る前に、ビール41の注出を停止することができ、この注出を停止させるタイミングの基準として、ビールジョッキ50に注がれたビール41の容積と極めて相関の高い重量を用いているため、ビール41の注出を停止させるのに最適なタイミングを、環境の変化に拘わらず、常に略一定に保つことができ、気温等の変化によって、このタイミングを変更する必要がなく、操作性および信頼性の向上を図ることができる。
【0066】
また、重量センサ16が、ジョッキ支持台4自体ではなく、ジョッキ支持台4よりも、ビール41や洗浄のための水分等に晒される機会が少ない支持台駆動部3のロッド15に取り付けられているため、ジョッキ支持台4に取り付けられている場合に比べて、故障する確率が低く、信頼性が高いものとなっている。
【0067】
なお、この実施の形態のビールディスペンサ1は、ビール41の注出を停止した後に、制御装置7が注出バルブ駆動部12を制御して、泡ノズル2からクリーミーな泡を追加して注出するように、注出バルブ20を駆動させている。このとき、ジョッキ支持台4を上端部Aにおいて軸支している本体ケース側の軸部が、図示しない機構によって図示右向き水平方向に移動され、さらにこの動きと連動して、支持台駆動部3のリンク機構13が、ジョッキ支持台4の略直立位置における傾斜角度を保持するように移動し、この結果、ジョッキ支持台4は、その傾斜角度を維持して、図示右方向に平行シフトされ、ジョッキ支持台4上に載置されたビールジョッキ50が、泡ノズル2の直下に配置され、所定重量だけ注がれたビール41の液面上に、クリーミーな泡が追加される。なお、これらの泡の注出や停止および軸部等の作動も、制御装置7によって制御されているが、詳細な説明は省略する。
【0068】
また、ジョッキ支持台4上に載置されるビールジョッキ50が、例えば小ジョッキのように、その高さが低いものであって、傾斜位置において、その上部開口が、ビールノズル6の直下に位置されないものであるときは、上述した泡ノズル2からクリーミーな泡を注出する場合と同様に、制御装置7が、ジョッキ支持台4を上端部Aにおいて軸支している本体ケース側の軸部を、図示しない機構によって図示右向き水平方向に移動させ、さらにこの動きと連動して、支持台駆動部3のリンク機構13を、ジョッキ支持台4の傾斜位置における傾斜角度を保持するように移動させて、ジョッキ支持台4の傾斜角度を維持したままで、図示右方向に平行シフトさせ、ビールジョッキ50の上部開口が、ビールノズル6の直下に配置されるように、制御するものとしてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態においては、ジョッキ支持台4上に負荷する重量のうち、空のビールジョッキ50の重量を差し引いたビール41自体の重量に応じて、傾斜戻しや注出停止の制御を行っているが、ビールジョッキ50とビール41との総重量に応じて制御するようにしてもよい。
【0070】
また、この実施の形態においては、ジョッキ支持台4が静止する角度位置は傾斜位置と略直立位置という2つの位置のみであるが、この発明の飲料ディスペンサは、この形態に限るものではなく、上記実施の形態における傾斜位置と略直立位置との間で、さらに一つ以上の静止する傾斜角度位置を設定して、各傾斜角度位置ごとに、重量に応じて傾斜角度を変化させる制御を行うようにしてもよい。
【0071】
このように複数の傾斜位置ごとに、重量に応じて傾斜角度を変化させる場合は、傾斜角度とその傾斜角度において傾斜角度を変化させるタイミングを表す重量とを予め対応付けたルックアップテーブル(LUT)を、ビールジョッキ50のサイズごとに設定しておき、制御装置7は、LUTを逐次参照して、傾斜角度を変更するようにしてもよい。このようにLUTを用いて制御する場合は、LUTの内容を書き換えるだけで、傾斜角度位置や対応する重量、あるいは、静止させる回数等を簡単に変更することができる。
【0072】
図6は、図1に示したビールディスペンサ1の注出タップ近傍に、ビールジョッキ50内に注がれたビール41の液面およびこの液面上に生じた泡の上面を検出する液面センサをさらに設けた構成の実施形態における、制御装置7の処理フローの一部を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、図5に示したフローチャートにおける処理ステップ11(S11)から処理ステップ13(S13)の範囲だけを示すものであり、他の処理ステップは、図5に示した処理と同様である。
【0073】
この実施の形態においては、制御装置7は、略直立位置に戻されたビールジョッキ50に注がれたビール41の重量が注出停止重量W2に到達(S12)する以前に、液面センサによって検出されたビール41の液面または泡の上面が所定位置まで到達(S11′)したときは、注出バルブ駆動部3をOFF状態に切り換えるように制御する。このように、液面や泡の上面が所定位置に達したときは、検出された重量が所定重量に達する前であっても、注出バルブ20を閉鎖する(S13)ことによって、ビール41が波打ってビールジョッキ50から溢れたり、重量変化に対して容積変化の大きい泡が、ビールジョッキ50から溢れるのを、適切に防止することができる。
【0074】
なお、上述した各実施の形態においては、制御装置7が、重量センサ16によって検出された重量に基づいて、ジョッキ支持台4上に載置されたビールジョッキ50のサイズを求めるものであるが、このように、重量に基づいて間接的にビールジョッキ50のサイズを求めるのに代えて、ビールジョッキ50のサイズを直接的に検出する容量差異検出手段を別途設けて、この容量差異検出手段によって検出された容量の差異に基づいて、ビールジョッキ50のサイズを求めるようにしてもよい。このような容量差異検出手段としては、ジョッキ支持台4上に載置されたビールジョッキのサイズを検出する、ジョッキ支持台4上の底板や突当て板に分布的に設けた圧力センサや、ビールディスペンサ1の本体に配設された光センサ等を用いることができる。
【0075】
ビールジョッキ50のサイズが異なれば、このビールジョッキ50の底面の直径や高さが異なるため、これらの直径や高さを分布的に設けた圧力センサや光センサによって検出することにより、ビールジョッキ50のサイズを特定することができる。
【0076】
上記実施の形態のビールディスペンサ1は、注出ボタン11a,11bまたは11cをON状態に操作したことを処理開始のトリガとしたが、重量センサ16が、空のビールジョッキ50がジョッキ支持台4上に載置されたことを検出したことを、処理開始のトリガとしてもよい。
【0077】
図7は、この発明に係る飲料ディスペンサの他の実施の形態であるビールディスペンサの要部を示す図、図8は、図7に示したビールディスペンサの制御装置の制御ブロック図、図9は、図8に示した制御装置の処理を示すフローチャートである。
【0078】
このビールディスペンサ1は、図1に示したビールディスペンサ1に対して、各注出ボタン11a,11b,11cの内部に、これらの注出ボタン11a,11b,11cを各別に点灯させる入力指示ランプ25a,25b,25cが埋設されている点と、制御装置7の制御処理内容の一部が異なる以外、他の構成は、図1に示したビールディスペンサ1と同一である。
【0079】
ここで、制御装置7の異なる制御処理内容について説明する。制御装置7は、重量センサ16によって検出された、ジョッキ支持台4上に載置されたビールジョッキ50の重量に基づいて、その重量に対応するビールジョッキ50のサイズ、すなわち大ジョッキ、中ジョッキまたは小ジョッキの別を特定し、この特定したサイズに対応する注出ボタン11a,11bまたは11cの指示ランプ25a,25b,25cを点灯させるとともに、その点灯させた指示ランプ25a,25bまたは25cの注出ボタン11a,11bまたは11cが選択押下されたときは、正常にビール41の注出処理を実行し、点灯させた指示ランプ25a,25bまたは25cの注出ボタン11a,11bまたは11cとは異なる注出ボタン11a,11bまたは11cが選択押下されたときは、警告ランプ21を点灯させて、処理を終了する制御を行うものである。
【0080】
以下、この実施の形態のビールディスペンサ1の作用について、図9に示したフローチャートを参照しつつ、説明する。
【0081】
まず、オペレータは、初期状態である略直立位置(傾斜角度α)にセットされているジョッキ支持台4上に、大ジョッキ、中ジョッキまたは小ジョッキのうち、いずれかのサイズの空のビールジョッキ50を載置する。ここで、重量センサ16が、ジョッキ支持台4に負荷した空のビールジョッキ50の重量を検出し(S21)、略直立位置における初期重量として制御装置7に、この重量が入力される。
【0082】
制御装置7は、入力された重量が、どのサイズのビールジョッキ50であるかを判定する(S22,S25,S28)。ジョッキ支持台4に、いずれのサイズのビールジョッキ50も載置されていないときは、いずれかのサイズのビールジョッキ50が載置されるまで、この判定処理を繰り返す。
【0083】
判定処理の結果、大ジョッキであると判定した(S22)ときは、大ジョッキ用の注出ボタン11aに内蔵された指示ランプ25aをON状態として点灯させる(S23)とともに、この大ジョッキに対応する傾斜戻し重量W1および注出停止重量W2を設定し(S24)、いずれかの注出ボタン11a,11b,11cが選択押下されるのを待つ(S31)。
【0084】
同様に、中ジョッキであると判定した(S22,S25)ときは、中ジョッキ用の注出ボタン11bに内蔵された指示ランプ25bをON状態として点灯させる(S26)とともに、この中ジョッキに対応する傾斜戻し重量W3および注出停止重量W4を設定し(S27)、いずれかの注出ボタン11a,11b,11cが選択押下されるのを待ち(S31)、小ジョッキであると判定した(S22,S25,S28)ときは、小ジョッキ用の注出ボタン11cに内蔵された指示ランプ25cをON状態として点灯させる(S29)とともに、この小ジョッキに対応する傾斜戻し重量W5および注出停止重量W6を設定し(S30)、いずれかの注出ボタン11a,11b,11cが選択押下されるのを待つ(S31)。
【0085】
ここで、オペレータは、内蔵された指示ランプ(25a,25bまたは25c)が点灯している注出ボタン(11a,11bまたは11c)を選択押下すれば、重量に基づいて特定されたビールジョッキ50のサイズと注出ボタン(11a,11bまたは11c)から得られたビールジョッキ50のサイズは一致し(S32)、制御装置7は、以下、図5に示した処理(S6〜S13)と同一の処理を実行し、正常な注出処理が行われる。
【0086】
一方、オペレータが、内蔵された指示ランプ(25a,25bまたは25c)が点灯している注出ボタン(11a,11bまたは11c)とは異なる注出ボタン(11a,11bまたは11c)を選択押下すれば、重量に基づいて特定されたビールジョッキ50のサイズと注出ボタン(11a,11bまたは11c)から得られたビールジョッキ50のサイズは一致しない(S32)ため、制御装置7は、警告ランプ21をON状態として、これを点灯させ(S33)、処理を終了する。
【0087】
このため、ビールジョッキ50にはビール41の注出が開始されず、オペレータは、実際にビール41が溢れたり、不足したりすることを経験する前に、誤った注出ボタン(11a,11bまたは11c)を選択押下したことを認識することができ、ビール41の注出過不足を事前に回避することができる。
【0088】
このように、この実施の形態のビールディスペンサ1によれば、ジョッキ支持台4に載置されたビールジョッキ50のサイズに応じた注出ボタン11a,11bまたは11cが、指示ランプ25a,25bまたは25cによって指示され、オペレータはその指示ランプ25a,25bまたは25cにしたがって、選択押下すべき注出ボタン11a,11bまたは11cを誤ることなく選択することができ、また誤って選択した場合にもビール41の注出は行われないため、オペレータの誤操作によって生じるビール41の溢れ出しや、ビール41の継ぎ足し作業を事前に回避することができる。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る飲料ディスペンサによれば、制御手段が、検出された容量の差異に基づいて、載置台上に載置された飲用容器の容量を求め、複数の注出開始入力手段のうち、検出された飲用容器の容量に対応する1つの注出開始入力手段を特定し、オペレータが選択した注出開始入力手段から入力された注出開始信号に基づいて、オペレータが選択した注出開始入力手段を特定し、オペレータが選択した注出開始入力手段が、容量に対応する注出開始入力手段と異なる場合は、警告手段から警告を発するように制御するとともに、飲料の注出を行わないため、オペレータが他の注出開始入力手段を誤って選択しても、飲料が飲用容器から溢れて無駄になったり、飲料の不足を補うために追加的な操作を行う必要がない。
【0090】
また、容量差異検出手段が、載置台に飲用容器が載置されていないことをも検出するものであり、制御手段が、飲用容器が載置されていないとの検出結果を容量検出手段から受けたときも、警告を発して、飲料の注出を行わないように制御することにより、載置台に飲用容器を載置していない場合に、オペレータが誤って注出開始入力手段に注出開始信号を入力しても、飲料の注出が行われず、飲料の無駄を抑制することができる。
【0091】
また、この発明に係る飲料ディスペンサによれば、制御手段が、検出された容量の差異に基づいて、載置台上に載置された飲用容器の容量を求め、複数の注出開始入力手段のうち、検出された飲用容器の容量に対応する1つの注出開始入力手段を指示するように入力指示手段を制御するため、オペレータは、入力指示手段によって指示された注出開始入力手段に対して、注出開始信号を入力すればよく、オペレータが他の注出開始入力手段を誤って選択するのを防止することができ、オペレータによる操作ミスによって、飲料が飲用容器から溢れて無駄になったり、飲料の不足を補うために追加的な操作を行う必要がない。
【0092】
なお、容量差異検出手段が、載置台に飲用容器が載置されていないことをも検出するものであり、制御手段が、飲用容器が載置されていないとの検出結果を容量検出手段から受けたときは、いずれの注出開始入力手段をも指示しないように、入力指示手段を制御することによって、載置台に飲用容器を載置していない場合に、オペレータが誤って注出開始入力手段に注出開始信号を入力するの抑制することができ、飲料の無駄を抑制することができる。
【0093】
また、この発明に係る飲料ディスペンサによれば、入力指示手段によって、適切な注出開始入力手段が指示されたにも拘わらず、オペレータがこの指示された注出開始入力手段とは異なる注出開始入力手段を選択して注出開始信号を入力した場合、警告手段が警告を発することにより、オペレータに対して、選択の誤りを報知することができる。
【0094】
また、この発明の飲料ディスペンサによれば、載置台に載置される飲用容器が、その容量と一義的に対応する重量を有するものであるときは、制御手段が、重量検出手段によって検出された載置台上に負荷する重量に基づいて該載置台上に載置された飲用容器の容量の差異を求めることによって、制御手段が容量差異検出手段を兼ねることができ、構成要素を簡素化することができる。
【0095】
また、この発明の飲料ディスペンサによれば、制御手段が、飲用容器の容量の差異と飲用容器内に既に注がれた飲料の重量とに応じて、傾斜された前記飲用容器に注がれた前記飲料が該飲用容器から溢出しない範囲の傾斜角度となるように台傾斜手段を制御するため、飲用容器の容量に応じて、飲料の注出流量の変動等環境の変動に拘わらず、飲用容器の傾斜角度の変化タイミングを従来より精度よく管理することができる。
【0096】
また、この発明の飲料ディスペンサによれば、重量検出手段は、載置台と比べて水分に晒される機会が少ない、台傾斜手段に取り付けられているため、故障する確率が低く、信頼性を向上させることができる。
【0097】
また、この発明の飲料ディスペンサによれば、制御手段による重量に応じた開閉バルブの閉鎖制御に先立って、液面検出手段によって検出された飲料の液面や泡の上面が所定位置に到達したときは、制御手段が開閉バルブを閉鎖制御するため、泡や飲料が飲用容器から溢れるのを、さらに適切に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るビールディスペンサの要部を示す図である。
【図2】図1に示したビールディスペンサを含むビール供給システムを示す図である。
【図3】図1に示したビールディスペンサの制御装置の制御ブロック図である。
【図4】図3に示した制御装置の処理を示すフローチャート(その1)である。
【図5】図3に示した制御装置の処理を示すフローチャート(その2)である。
【図6】液面検出手段を付加した構成の実施の形態における制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図7】この発明の他の実施の形態に係るビールディスペンサの要部を示す図である。
【図8】図7に示したビールディスペンサの制御装置の制御ブロック図である。
【図9】図8に示した制御装置の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ビールディスペンサ(飲料ディスペンサ)
3 支持台駆動部(台傾斜手段)
4 ジョッキ支持台(載置台)
7 制御装置(制御手段)
11a,11b,11c 注出ボタン
12 注出バルブ駆動部
16 重量センサ(重量検出手段)
20 注出バルブ(開閉バルブ)
21 警告ランプ
25a,25b,25c 指示ランプ
41 ビール(飲料)
50 ジョッキ(飲用容器)
α 略直立位置における傾斜角度
β 傾斜位置における傾斜角度
Claims (6)
- 互いに容量が異なる少なくとも2種類以上の飲用容器が選択的に載置される載置台と、飲料が供給される注出口に設けられた開閉バルブと、前記飲用容器の種類ごとにそれぞれ対応して、前記載置台上に載置された飲用容器に前記飲料の注出を開始するための注出開始信号を入力する2つ以上の注出開始入力手段と、前記2つ以上の注出開始入力手段のうち選択された注出開始入力手段からの注出開始信号の入力を受けて、該入力された注出開始信号に応じた量の飲料を注出するように開閉バルブを開閉制御する制御手段と、を備えた飲料ディスペンサにおいて、
前記載置台上に載置された飲用容器の容量の差異を検出する容量差異検出手段と、前記2つ以上の注出開始入力手段のうち、いずれか1つを指示する入力指示手段とを備え、
前記制御手段は、前記検出された容量の差異に基づいて、前記載置台上に載置された飲用容器の容量を求め、前記注出開始入力手段のうち、前記検出された飲用容器の容量に対応する1つの注出開始入力手段を指示するように、前記入力指示手段を制御することを特徴とする飲料ディスペンサ。 - 選択された注出開始入力手段が、前記入力指示手段によって指示された注出開始入力手段と異なるときは、警告を発する警告手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の飲料ディスペンサ。
- 前記載置台上に負荷された重量を検出する重量検出手段を備え、
前記載置台に載置される飲用容器は、その容量と一義的に対応する重量を有し、前記制御手段は、前記重量検出手段によって検出された載置台上に負荷する重量に基づいて該載置台上に載置された飲用容器の容量の差異を求めることによって、前記容量差異検出手段を兼ねることを特徴とする請求項1または2に記載の飲料ディスペンサ。 - 前記載置台上に載置された飲用容器を、略直立位置から所定角度位置まで傾けるように、該載置台を傾斜させる台傾斜手段を備え、前記制御手段は、前記検出された容量の差異および前記飲料の注出中に検出された重量に応じて、傾斜された前記飲用容器に注がれた前記飲料が該飲用容器から溢出しない範囲の傾斜角度となるように、前記台傾斜手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の飲料ディスペンサ。
- 前記重量検出手段は、前記載置台上に負荷する重量を前記台傾斜手段に負荷する分力として検出するように、該台傾斜手段に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の飲料ディスペンサ。
- 前記飲料が炭酸ガスを含有する発泡飲料であり、前記飲用容器に注がれた前記飲料の液面、該飲料から湧出した泡または追加的に供給された泡の上面、を検出する液面検出手段をさらに備え、
前記制御手段による前記開閉バルブに対する閉鎖制御に先立って、前記液面検出手段による前記液面または前記泡の上面が所定位置に到達したことが検出されたときは、前記制御手段は前記開閉バルブを閉鎖制御することを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の飲料ディスペンサ。
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