以下に、本発明による飲料自動注出装置の一実施形態を図面を参照して説明する。本発明の飲料自動注出装置10は注出コック20からグラスやジョッキ(容器)にビール(飲料)を自動注出するものであり、特に、グラスやジョッキ内でビールが過剰に泡立つのを防ぐように注出するものである。この実施形態の飲料自動注出装置10は、注出コック20、コック操作装置30、容器受台装置40及び受台傾動装置50を含む自動注出ユニット12L,12Rを左右に2つ備えており、自動注出ユニット12L,12Rは左右同一のものであるので以後の説明では一方のみを説明する。
図1〜図3に示したように、本発明の飲料自動注出装置10は、装置本体11の前部に設けられて、弁機構部21aを内蔵した筒形の本体部21の上側に起立した位置から前後に傾動可能に支持された操作レバー22を有し、操作レバー22を前後に傾動させることで弁機構部21aを開閉操作してビールを注出する注出コック20と、注出コック20の上側にて装置本体11の前部に上下に移動可能に設けた筐体31内に注出コック20の操作レバー22を前後に傾動させる操作機構部32を有し、操作機構部32によって操作レバー22を前後に傾動させることで弁機構部21aを開閉操作させるコック操作装置30と、コック操作装置30の操作機構部32をグラスやジョッキの容量に応じて予め設定した作動時間で作動させてビールを自動注出させる自動注出操作ボタン71と、コック操作装置30の操作機構部32を操作時間に応じた作動時間で作動させてビールを注出させる泡・液注出ボタン(マニュアル注出操作ボタン)75,76とを有した操作パネル70と、操作パネル70の自動注出操作ボタン71と泡・液注出ボタンとの各入力に応じてコック操作装置30の操作機構部32の作動を制御する制御装置60とを備えている。
この飲料自動注出装置10は、コック操作装置30は注出コック20の操作レバー22を筐体31内に収容して操作パネル70の操作ボタン71,75,76の操作に応じて操作レバー22を操作機構部32により自動操作可能な自動操作位置と、自動操作位置から上側に移動させて操作レバー22を手動で操作可能な手動操作位置とで装置本体11に上下に移動可能に支持されている。この飲料自動注出装置10においては、制御装置60はマニュアル注出操作ボタン75,76の入力を受け付けずに自動注出操作ボタン71の入力を受け付けるマニュアル注出不可モードと、泡・液注出ボタン75,76の入力を受け付けるマニュアル注出可能モードとを有し、マニュアル注出不可モードとマニュアル注出可能モードとを切替可能とした。以下に、この飲料自動注出装置10について詳述する。
図3に示したように、飲料自動注出装置10は、装置本体11内の上部に冷却水槽13と、装置本体11の下部の機械室に冷却水槽13内の冷却水を冷却する冷凍装置14とを内蔵している。冷却水槽13内には飲料冷却管15が設けられており、飲料冷却管15の導入端部には装置本体11の外部に設けたビア樽が接続され、飲料冷却管15の導出端部15aには装置本体11の上部に設けた注出コック20が接続されている。なお、ビア樽にはガスボンベ(図示しない)が接続されており、ビア樽のビールはガスボンベの炭酸ガスの圧力によって飲料冷却管15に送られるようになっている。
図2及び図3に示したように、装置本体11の前部には注出コック20が取り付けられ、装置本体11の前部には取付板16を介してコック操作装置30と、容器受台装置40と、受台傾動装置50とが取り付けられている。また、装置本体11の前部には取付板16の前側にカバー17が設けられており、カバー17により受台傾動装置50が覆われている。
図3に示したように、注出コック20は、グラスにビールを注出するものであり、弁機構部21aを内蔵した筒状の本体部21の上部に操作レバー22と、下部に注出ノズル23(23a,23b)とを備えている。本体部21の弁機構部21aは開放状態とすることによって注出ノズル23にビールを導くものである。また、弁機構部21aは、液用開放状態とすることで液用の注出ノズル23bに液状態のビールを導き、泡用開放状態とすることで泡用の注出ノズル23aに泡状態のビールを導くようになっている。操作レバー22は弁機構部21aを閉止状態と開放状態との開閉操作を行うためのものである。操作レバー22は、垂直に起立した起立位置にあるときには弁機構部21aを閉止状態とし、前方に傾動(前傾)させると弁機構部21aを液用開放状態とし、後方に傾動(後傾)させると弁機構部21aを泡用開放状態とする。注出ノズル23は弁機構部21aを通過したビールをグラスに注出するものであり、本体部21の下部の前部にビールを泡状態で注出する泡用の注出ノズル23aと、本体部21の下部の後部にビールを液状態で注出する液用の注出ノズル23bとを備えている。
図3に示したように、コック操作装置30は注出コック20の弁機構部21aを開閉操作させるためのものである。コック操作装置30の筐体31内に注出コック20の操作レバー22を前後に傾動させる操作機構部32を有しており、操作機構部32によって操作レバー22を前後に傾動させることで弁機構部21aを開閉操作させるものである。操作機構部32はサーボモータ33と、前後に移動可能に支持されたスライダ34とを備え、サーボモータ33の駆動によって前後に移動するスライダ34によって操作レバー22を前後に傾動させて、弁機構部21aを開閉操作させるものである。
図2に示したように、取付板16の上部のコック操作装置30の筐体31と対向する位置には上下に延びる左右一対のレール16aが設けられており、図4に示したように、コック操作装置30の筐体31の後部に設けた係合部31aはレール16aに上下に移動可能に係合している。コック操作装置30は係合部31aがレール16aに上下に移動可能に係合することで、装置本体11の取付板16に上部に上下に移動可能に支持されている。コック操作装置30は、筐体31内に注出コック20の操作レバー22を収容して、操作機構部32により操作レバー22を自動操作可能な自動操作位置(図3に示した)と、自動操作可能位置から上側に移動させて、筐体31から操作レバー22を離脱させて、操作レバー22を手動で操作可能な手動操作位置(図5に示した)とで上下に移動可能に支持されている。
図4に示したように、コック操作装置30の筐体31の係合部31aの上下方向の中央部には後側に突出するカム部31bが設けられており、取付板16の上部にはマイクロスイッチよりなる位置検知器18が設けられている。位置検知器18はコック操作装置30が自動操作位置にあるときにカム部31bに対向する位置に設けられており、位置検知器18は自動操作位置にあるコック操作装置30のカム部31bにより押動されてオンするようになっている。なお、位置検知器18はマイクロスイッチ等の機械式スイッチに限られるものでなく、例えば、近接センサを用いたものであってもよい。この場合にはカム部31bに代えて磁石等の被検知部材を筐体31の後面に取り付ければよい。
図3に示したように、コック操作装置30の筐体31の下部にはコック操作装置30の高さ位置を位置決めするラッチ35が前後に移動可能に設けられており、ラッチ35の後端部の後端係合部35aは筐体31内に設けたコイルスプリング36によって筐体31の後面から突出するように付勢されている。図3及び図4に示したように、ラッチ35の後端係合部35aは装置本体11の取付板16の上部にて上下に高さを変えて設けた第1及び第2係合凹部16b,16cに係合可能となっており、コック操作装置30はラッチ35の後端係合部35aが第1または第2係合凹部16b,16cに係合して上下に高さを変えて位置決めされる。ラッチ35の後端係合部35aが下側の第1係合凹部16bに係合しているときには、コック操作装置30は自動操作位置に位置決めされ(図3及び図4(a)に示した)、ラッチ35の後端係合部35aが上側の第2係合凹部16cに係合しているときには、コック操作装置30は手動操作位置に位置決めされる(図5及び図4(b)に示した)。なお、ラッチ35の後端係合部35aを下側の第1係合凹部16bに係合させずに、コック操作装置30を自重だけで自動操作位置に下げるようにしてもよい。
図3に示したように、コック操作装置30の筐体31の前側下部にはラッチ35を前後に移動させる操作部35bが設けられており、操作部35bを前側に引くことでラッチ35の後端係合部35aをコイルスプリング36の付勢力に抗して前側に移動させることができる。
図4に示したように、装置本体11の取付板16の上部にはロック機構19が設けられている。ロック機構19は鍵(図示省略)により回動する錠19aを備え、錠19aをコック操作装置30の筐体31上部の係合凹部31cに係合させることにより、コック操作装置30を自動操作位置にある状態で固定している。なお、コック操作装置30の筐体31にロック機構の錠を回動可能に設け、錠を装置本体11の取付板16の上部に形成した係合凹部に係合させることで、コック操作装置30を自動操作位置にある状態で固定してもよい。
図3に示したように、容器受台装置40は、注出コック20から注出されるビールをグラスまたはジョッキ内にできるだけ泡立つことのないように注出することを目的としたものであり、グラスまたはジョッキを前後方向に傾斜させることを可能としたものである。容器受台装置40は、その上端部が装置本体11の取付板16に水平軸線回りに傾動可能に軸架された傾動基板41と、傾動基板41に取り付けた受台42(42a,42b)とを備えている。傾動基板41は後面が押動されると下端部が斜め前方に押し上げられて傾動する。受台42は傾動基板41の上下方向の中間部と下部とに上下2段に取り付けた受台42a,42bとからなる。上段の受台42aは主としてグラス等の小型の容器を載置するものであり、下段の受台42bは主としてグラスよりも容量の多いジョッキ等の大型の容器を載置するものである。
上段の受台42aは傾動基板41に対して水平軸線回りに回動可能に支持されており、下段の受台42bに容器を載置するときには、上段の受台42aを前方に突出した使用位置から傾動基板41に沿う退避位置まで退避させる。装置本体11の前部には上段または下段の受台42a,42bが使用状態であることを検知する検知器43が設けられており、検知器43はこの実施形態ではリードスイッチ等の近接スイッチを用いている。上段の受台42aの側部には検知器43より検知される被検知部材として磁石44が設けられており、磁石44は上段の受台42aが退避位置に退避したときに検知器43に近接するようになっている。具体的には、グラスを載置するときのように、上段の受台42aが傾動基板41から前方に突出した使用位置にあるときには、磁石44は検知器43から離間しており、検知器43は磁石44が離間していることでオフ信号を出力し、上段の受台42aが使用状態であることを検知する。これに対し、下段の受台42bにジョッキを載置するときのように、上段の受台42aが傾動基板41に沿う退避位置にあるときには、磁石44は検知器43に近接しており、検知器43は磁石44が近接していることでオン信号を出力し、下段の受台42bが使用状態であることを検知する。
図2及び図3に示したように、受台傾動装置50は、傾動基板41を起立姿勢から傾斜姿勢に傾動させ、傾斜姿勢から起立姿勢に復帰させるものである。受台傾動装置50は、サーボモータ51と、サーボモータ51の駆動によって前後に回動するアーム52とを有している。受台傾動装置50は、サーボモータ51によりアーム52を前方に延びるように回動させて、容器受台装置40の傾動基板41を前方に押し出して起立姿勢から傾斜姿勢に傾動させる。受台傾動装置50は、サーボモータ51によりアーム52を後方に退避させるように回動させて容器受台装置40の傾動基板41を後方に戻して、容器受台装置40の傾動基板41を傾斜姿勢から起立姿勢に復帰させる。
図3に示したように、飲料自動注出装置10は、グラス等の容器にビールを注出するのを制御する制御装置60を備えており、制御装置60は、位置検知器18、コック操作装置30(特にサーボモータ33)、検知器43及び受台傾動装置50(特にサーボモータ51)に接続されている(図3では接続関係についての記載を省略している)。制御装置60は内蔵するマイクロコンピュータによりメモリに記憶させた自動注出プログラムを実行すると、コック操作装置30の作動を制御して操作レバー22を一定時間傾動させることで弁機構部21aを開放させて、注出コック20の注出ノズル23からグラスまたはジョッキに所定量のビールを注出させる。また、この実施形態では、ビールを注出させるのに対応して、受台傾動装置50の作動を制御して、容器受台装置40の傾動基板41及び受台42に載置したグラスまたはジョッキの姿勢を制御している。
図6に示したように、に示したように、コック操作装置30の筐体31の前面には飲料自動注出装置10の操作をするための操作パネル70が設けられている。操作パネル70には、各種操作ボタンとして、自動注出操作ボタン71と、注出停止ボタン72と、切替ボタン73と、設定ボタン74と、泡注出ボタン(マニュアル注出操作ボタン)75と、液注出ボタン(マニュアル注出操作ボタン)76と、注出条件等を表示する表示部77とが設けられている。また、操作パネル70にはカバー78が開閉自在に設けられており、カバー78は操作ボタン73〜76及び表示部77を開閉自在に覆っている。
制御装置60は、泡・液注出ボタン(マニュアル注出操作ボタン)75,76を含む操作ボタン73〜76の入力を受け付けずに自動注出操作ボタン71と注出停止ボタン72の入力を受け付けるマニュアル注出不可モードと、泡・液注出ボタン75,76の入力を含めて操作ボタン73〜76の入力を受け付けるマニュアル注出可能モードとを有している。また、マニュアル注出可能モードは、自動注出操作ボタン71以外の全ての操作ボタン72〜76の入力を受け付ける第1マニュアル注出可能モードと、全ての操作ボタン71〜77の入力を受け付ける第2マニュアル注出可能モードとからなる。
マニュアル注出不可モードは、主として、飲食店等でいつも使用している容量が一定のグラスやジョッキにビールを自動注出するためのモードであり、制御装置60はこのモードでは自動注出操作ボタン71と注出停止ボタン72の入力しか受け付けないように制御している。第1及び第2マニュアル注出可能モードは、泡・液注出ボタン75,76により種々の容量のグラスやジョッキに所望の容量で注出するときに用いるモードである。また、第2マニュアル注出可能モードは、飲料自動注出装置10を飲食店等に設置したときに、飲食店等で使用するグラスやジョッキに応じた注出条件となるように注出プログラムを設定するときに用いるモードでである。さらに、第1マニュアル注出可能モードは、自動注出操作ボタン71により自動注出できないモードであり、第2マニュアル注出可能モードは、自動注出操作ボタン71による自動注出もできるモードである。
制御装置60は、自動操作位置にあるコック操作装置30を手動操作位置に移動させ、手動操作位置に移動させたコック操作装置30を再び自動操作位置に戻すことで、マニュアル注出不可モードから第1マニュアル注出可能モードに遷移(移行)させることができる。具体的には、コック操作装置30はロック機構19を鍵により解錠しない限りは自動操作位置に固定されており、鍵によりロック機構19の錠19aを解錠させると、コック操作装置30が自動操作位置から手動操作位置に移動させることができる。コック操作装置30が自動操作位置にあるときには、コック操作装置30のカム部31bが位置検知器18を押動して、位置検知器18は制御装置60にオン信号を出力している。ロック機構19を解錠した状態で、コック操作装置30を手動操作位置に移動させると、コック操作装置30のカム部31bが位置検知器18から離間して、位置検知器18は制御装置60にオフ信号を出力する。コック操作装置30を再び自動操作位置に戻すと、コック操作装置30のカム部31bが位置検知器18を押動して、位置検知器18は制御装置60に再びオン信号を出力する。制御装置60に位置検知器18からオフ信号、オン信号の順に入力があると、制御装置60はマニュアル注出不可モードから第1マニュアル注出可能モードに遷移(移行)させる。
第1マニュアル注出可能モードにあるときに、自動注出操作ボタン71を押動すると、制御装置60は第1マニュアル注出可能モードをマニュアル注出不可モードに遷移させ、設定ボタン74を長押しすると、制御装置60は第1マニュアル注出可能モードを第2マニュアル注出可能モードに遷移させる。また、第2マニュアル注出可能モードにあるときに、設定ボタン74を長押しすると、制御装置60は第2マニュアル注出可能モードをマニュアル注出不可モードに遷移させる。なお、第1マニュアル注出可能モードからマニュアル注出不可モードへの遷移、第1マニュアル注出可能モードを第2マニュアル注出可能モードへの遷移、第2マニュアル注出可能モードをマニュアル注出不可モードへの遷移は、上述した操作ボタンの操作に限られるものでなく、他の各種操作ボタンを操作することでモードの遷移をさせてもよい。
上記のように構成した飲料自動注出装置10の自動注出プログラムの作動について説明する。飲料自動注出装置10を飲食店等で通常の使用するときには、容量が一定のグラスやジョッキにビールを自動注出するだけでよいので、泡・液注出ボタン75,76による誤操作を防ぐためにマニュアル注出不可モードに設定しておく。装置本体11内の冷却水槽13内の冷却水は冷凍装置14により冷却されている。グラスにビールを注出するときには、上段の受台42aを使用位置にして、上段の受台42aにグラスを載置し、ジョッキにビールを注出するときには、上段の受台42aを退避位置にして下段の受台42bにジョッキを載置する。上段の受台42aが傾動基板41から前方に突出しているときには、上段の受台42aの側部の磁石44が検知器43から離間しており、検知器43は上段の受台42aが使用状態であることの検知であるオフ信号を制御装置60に出力している。これに対し、上段の受台42aが傾動基板41に沿って退避しているときには、上段の受台42aの側部の磁石44が検知器43に近接しており、検知器43は下段の受台42bが使用状態であることの検知であるオン信号を制御装置60に出力している。
操作パネル70の自動注出操作ボタン71をオン操作すると、制御装置60は自動注出プログラムを実行する。制御装置60は、受台傾動装置50により容器受台装置40の傾動基板41の後面を押動させると、傾動基板41は前方に押し出されて傾斜姿勢になり、受台42a,42bに載置したグラスまたはジョッキは傾動基板41とともに傾斜して傾斜姿勢となる。制御装置60は、検知器43による検知に基づいてコック操作装置30によりグラスまたはジョッキに対応した時間で操作レバー22を前方に傾動させると、注出コック20の弁機構部21aはグラスまたはジョッキに対応した時間で液用に開放され、液用の注出ノズル23bから傾斜させたグラスまたはジョッキに液状態のビールが注出される。
液状態のビールを注出すると、制御装置60は、コック操作装置30により操作レバー22を起立位置に戻し、弁機構部21aを閉止状態とすることで、注出コック20からビールの注出を停止させるとともに、受台傾動装置50による傾動基板41の傾斜姿勢を起立姿勢に戻すことで、受台42a,42bに載置したグラスまたはジョッキを起立姿勢に戻す。次に、制御装置60は、検知器43による検知に基づいてコック操作装置30によりグラスまたはジョッキに対応した時間で操作レバー22を後方に傾動させる。注出コック20の弁機構部21aはグラスまたはジョッキに対応した時間で泡用に開放され、泡用の注出ノズル23aからグラスまたはジョッキに泡状態のビールが注出される。グラスまたはジョッキに対応した時間での泡状態のビールの注出が終了すると、制御装置60は、コック操作装置30により操作レバ−22を位置に戻し、注出コック20の弁機構部21aを再び閉止状態とする。上記の自動注出プログラムはあくまでも一例であり、液状態のビールを注出しながら受台42a,42bを傾斜姿勢から起立姿勢に戻してもよいし、傾斜姿勢の状態から泡状態のビールを注出したり、傾斜姿勢の状態から起立姿勢に戻しながら泡状態のビールを注出したりしてもよい。
上述したようにマニュアル注出不可モードに設定されているときには、操作パネル70の泡・液注出ボタン75,76をオン操作しても、制御装置60はこれらのオン操作を受け付けずにコック操作装置30の操作機構部32を作動させないに制御している。泡・液注出ボタン75,76をオン操作してコック操作装置30の操作機構部32による操作で液状態のビールまたは泡状体のビールを注出させるときには、鍵によりロック機構19の錠19aを解錠したうえで、コック操作装置30を自動操作位置から手動操作位置に移動させ、手動操作位置に移動させたコック操作装置30を再び自動操作位置に戻す。このとき、制御装置60には位置検知器18からオン信号が継続して入力された状態から、第1マニュアル注出可能モードに遷移させるためのオフ信号、オン信号の順に各信号が入力され、制御装置60は位置検知器18からの信号に基づいてマニュアル注出不可モードを第1マニュアル注出可能モードに遷移させる。また、第1マニュアル注出可能モードにあるときに設定ボタン74を長押しすると、制御装置60は第1マニュアル注出可能モードを第2マニュアル注出可能モードに遷移させる。第1及び第2マニュアル注出可能モードでは、制御装置60は泡・液注出ボタン75,76のオン操作の入力が受け付けられ、制御装置60は泡・液注出ボタン75,76のオン操作した操作時間に応じてコック操作装置30により操作レバー22を後傾または前傾させ、注出ノズル23a,23bから泡状態または液状態のビールを注出させる。
上記のように構成した飲料自動注出装置10においては制御装置60は泡・液注出ボタン(マニュアル注出操作ボタン)75,76の入力を受け付けずに自動注出操作ボタン71の入力を受け付けるマニュアル注出不可モードと、泡・液注出ボタン(マニュアル注出操作ボタン)75,76の入力を受け付けるマニュアル注出可能モードとを有し、マニュアル注出不可モードとマニュアル注出可能モードとを切替可能としている。飲料自動注出装置10を設置した飲食店等で、容量が一定のグラスまたはジョッキにビールを注出するだけであれば、マニュアル注出不可モードとしておくことで、泡・液注出ボタン75,76を誤ってオン操作することを防ぎつつ、自動注出操作ボタン71によりビールを自動注出させることができるようになった。また、容量が一定でない多種類のグラスまたはジョッキにビールを注出するときには、マニュアル注出可能モードとしておくことで、泡・液注出ボタン75,76のオン操作した操作時間に応じてコック操作装置30により操作レバー22を前傾または後傾させ、注出コック20から液状態または泡状態のビールをグラスまたはジョッキの容量に合わせて注出させることができた。
また、コック操作装置30には、コック操作装置30が自動操作位置にある状態を固定するロック機構19と、コック操作装置30が自動操作位置であるか否かを検知する位置検知器18とを設け、ロック機構19を解除した状態にて位置検知器18によりコック操作装置30が自動操作位置でないことを検知したときにマニュアル注出不可モードをマニュアル注出可能モードに切り替え可能となるように制御した。具体的には、ロック機構19の錠19aを鍵により解錠(解除)した状態にし、コック操作装置30を自動操作位置から手動操作位置に移動させ、手動操作位置に移動させたコック操作装置30を再び自動操作位置に戻す。制御装置60には位置検知器18からオン信号が継続して入力された状態から、第1マニュアル注出可能モードに遷移させるためのオフ信号、オン信号の順に各信号が入力され、制御装置60は位置検知器18からの信号に基づいてマニュアル注出不可モードを第1マニュアル注出可能モードに遷移させる。このように、マニュアル注出不可モードをマニュアル注出可能モードに切り替えることができるのは、ロック機構19の鍵を所持した人に限定することができ、鍵を所持した人以外がマニュアル注出可能モードに切り替えて、泡・液注出ボタン75,76を用いて注出コック20からビールを注出できないようにすることができた。また、操作パネル70の各種操作ボタン71〜76を特別な操作をすることでモードの切替をするのでないので、各種操作ボタン71〜76の特別な操作の方法が漏洩することがなく、モードの切替をできる人を鍵を所持した人に確実に限定することができた。
上記のように構成した飲料自動注出装置10においては、飲料としてビールを注出するもので説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、発泡酒、酎ハイ、炭酸飲料、ソフトドリンク等の他の飲料に適用できるものであり、これらの飲料を注出するものであっても上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
上記のように構成した飲料自動注出装置10においては、注出ノズル23は泡用の注出ノズル23aと液用の注出ノズル23bとからなるが、本発明はこれに限られるものでなく、1つの注出ノズル23から液状態及び泡状態の発泡性飲料を注出するようにしたものであってもよく、このようにしたときにも上述したのと同様の作用効果を得ることができる。また、ソフトドリンクのように発泡性のない飲料を注出するときであれば、注出ノズル23の弁機構部21aを液用にのみ開放させるようするのが好ましい。
上記のように構成した飲料自動注出装置10においては、受台傾動装置50により容器受台装置40の傾動基板41を起立姿勢から傾斜姿勢とすることで、受台42に載置した容器を起立姿勢から傾斜姿勢に傾斜させて、注出コック20から飲料を自動注出するようにしたが、本発明はこれに限られるものでなく、受台42に載置した容器を傾斜姿勢に傾斜させることなく、注出コック20から飲料を自動注出するようにしたものであってもよい。