JP4505563B2 - 液処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハやLCD基板等の各種基板に対して所定の液処理や乾燥処理を施すために用いられる液処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体デバイスの製造工程においては、基板としての半導体ウエハ(ウエハ)を所定の薬液や純水等の洗浄液によって洗浄し、ウエハからパーティクル、有機汚染物、金属不純物等のコンタミネーションを除去するウエハ洗浄装置や、N2ガス等の不活性ガスや揮発性および親水性の高いIPA蒸気等によってウエハから液滴を取り除いてウエハを乾燥させるウエハ乾燥装置が使用されている。このような洗浄装置や乾燥装置としては、複数枚のウエハをウエハ洗浄室やウエハ乾燥室内に収納してバッチ式に処理するものや、1枚ずつウエハを処理する枚葉式が知られている。
【0003】
このうち枚葉式の洗浄装置としては、例えば、ウエハをその周縁部で保持して水平面内で回転させつつウエハの表裏面にそれぞれ処理液を吐出し、また、ブラシ等でウエハの表面を走査するスクラバーと呼ばれるものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなウエハを水平保持して洗浄処理を行った場合には、洗浄処理後にウエハを回転させてウエハに付着した処理液を振り切る際、液切れの状態が必ずしもよいものではないという問題があった。また、雰囲気制御のために密閉構造とした場合には、蓋体の開閉機構とウエハの搬送機構の制御等の制御系が複雑となり、また、一般的に排気量が多くなることから、使用する薬液の温度が下がりやすく、高温の薬液を用いることが困難であった。
【0005】
また、近年、半導体デバイスの微細高集積化や量産化に伴って、ウエハの大きさについては、200mmφから300mmφへの大口径化が進んでいる。従って、従来の洗浄装置の構造をそのまま300mmφの大口径ウエハの洗浄装置に適合させると、装置の大型化は免れないため、ウエハの搬送形態や処理形態を改善することによって処理装置の大型化を回避し、または大型化の程度を最小限に抑制することに対する要望は大きいものと考えられる。
【0006】
また、洗浄処理と乾燥処理とを同じ処理装置で行うことが可能であれば、より好ましいと考えられる。加えて、ウエハを水平に載置する場合には、数枚、例えば、2枚〜5枚といった複数枚のウエハを複数段に重ねて処理を行うことは困難であるが、ウエハを立設状態、例えば垂直状態に保持できれば、このような複数枚の処理も容易となり、処理スピードを上げることが可能となる。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、基板の洗浄等の液処理を効率的に行うことが可能であり、また、複数枚の基板の処理にも容易に対処可能であり、さらに、特に大口径の基板の液処理を行うために生ずる処理装置の大型化を抑制したコンパクトな液処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明によれば、基板に所定の処理液を供給して液処理を行う液処理装置であって、
基板を1枚または数枚保持する治具が配設されたテーブルおよび前記治具に保持された基板が面内回転するように前記テーブルを回転させるモータを有する回転機構と、
前記テーブルが、保持する基板が水平姿勢となる第1の状態と、保持する基板が垂直姿勢となる第2の状態とをとるように、前記回転機構を水平な回動軸まわりに回動させて基板の姿勢を変換する姿勢変換機構と、
前記テーブルが挿入される挿入口を有し、保持した基板が垂直姿勢の前記第2の状態にある前記テーブルを収容し、前記治具に保持された基板に処理液を供給しながら液処理を施す処理チャンバと、
前記処理チャンバから離隔した基板搬入出位置で前記第1の状態の前記テーブルに対し水平姿勢の基板を搬入出する基板搬送機構と、
前記基板搬送機構が前記テーブルに基板を搬入出する基板搬入出位置と、前記第2の状態をとる前記テーブルが前記処理チャンバに収容される位置との間で、前記姿勢変換機構の前記回動軸に直交する水平方向に前記回転機構と前記姿勢変換機構とを一体的にスライドさせる駆動機構と、
前記回転機構に取り付けられ、前記テーブルが前記処理チャンバに収容された際に前記処理チャンバを密閉するチャンバ密閉用部材と、
を具備し、
前記基板搬入出位置で、前記テーブルを前記第1の状態にして前記基板搬送機構により前記テーブルに基板を水平姿勢で搬入し、前記姿勢変換機構により前記回転機構を前記回動軸まわりに回動させて前記テーブルを前記第2の状態にすることにより前記テーブルに受け取られた基板を垂直姿勢に変換し、その状態で前記回転機構および前記姿勢変換機構を前記駆動機構により前記回動軸に直交する水平方向にスライドさせるのみで前記テーブルを前記処理チャンバに収容させるとともに前記チャンバ密閉用部材によりチャンバを密閉し、前記テーブルとともに基板を回転させつつ前記治具に保持された基板に処理液を供給しながら液処理を行うことを特徴とする液処理装置が提供される。
【0009】
上記本発明において、前記処理チャンバが、外側チャンバと内側チャンバとからなる二重構造を有してよい。また、複数の基板を収容するキャリアを載置するためのキャリアステージと、前記キャリアステージに載置されたキャリアと前記テーブルに設けられた治具との間で基板を水平状態で搬送する基板搬送機構とをさらに具備してもよい。さらに、前記基板搬送機構は、未処理の基板を搬送するための1個の搬送アームと、液処理済みの基板を搬送するための別の1個の搬送アームを有する構成であってもよい。この場合に、前記搬送アームおよび前記別の搬送アームが、それぞれ1枚の基板を搬送するようにしてもよい。また、前記処理チャンバを複数具備し、前記複数の処理チャンバのそれぞれに対して前記回転機構が配設され、前記基板搬送機構は前記複数の回転機構にアクセスできる構成を有してもよい。さらにまた、前記キャリアステージを複数具備し、前記基板搬送機構は前記複数のキャリアステージにそれぞれ載置されたキャリアにアクセスできる構成を有してもよい。
【0010】
本発明によれば、第1の状態にあるテーブルに基板を水平姿勢で搬送し、この状態から姿勢変換機構で回転機構を水平な回動軸まわりに回動させるだけでテーブルを第2の状態としてテーブルに保持された基板を水平姿勢から垂直姿勢に姿勢変換させ、その後そのままの状態で、回動軸に直交する水平方向に回転機構と姿勢変換機構とを一体的にスライドさせるだけでテーブルを直接に処理チャンバに収容するので、複数の機構間で基板を移し替える必要がなく、基板の姿勢変換と基板の液処理を1台の回転機構により行うことができ、液処理装置をコンパクトに構成することができる。また、テーブルが処理チャンバに収容された際にチャンバ密閉用部材により処理チャンバを簡単に密閉することができるので、雰囲気制御が容易であり、薬液やガスの流出を防止することができ、薬液特性を十分に引き出すことができる。さらに、基板を略垂直状態に保持して液処理するために、基板に付着した処理液の液切りが容易となり、しかも、基板の表裏面のいずれについても均一な液処理が可能になる。さらにまた、基板が収容されたキャリアから搬出した基板を直接にテーブルに設けられた治具に受け渡すことができるので、基板の移し替えの回数が少なく、パーティクル等の発生を抑制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について具体的に説明する。本発明の液処理装置は、各種基板を被処理体とする洗浄処理装置、乾燥処理装置等に適用できるが、本実施形態では、半導体ウエハ(ウエハ)の搬入、洗浄、乾燥、搬出を一貫して行うように構成された洗浄処理装置として用いた場合について説明する。
【0012】
図1は本実施形態に係る枚葉式の洗浄処理装置1の斜視図であり、図2はその側面図、図3はその平面図である。これら図1から図3に示されるように、洗浄処理装置1は、ウエハWを複数枚、例えば25枚ほど水平状態で収納可能なキャリア(収納容器)Cを載置するためのキャリアステージ2a・2bと、ウエハWに洗浄処理を施す洗浄処理ユニット3a〜3cと、キャリアステージ2a・2bと洗浄処理ユニット3a〜3cとの間に設けられ、ウエハWの搬送を行うウエハ搬送ユニット4、液処理のための薬液を貯蔵等する薬液貯蔵ユニット5a〜5cと、洗浄処理装置1内に配設された各種の電動駆動機構のための電源ユニット6と、から主に構成されている。
【0013】
キャリアステージ2a・2bはキャリアCを載置する場所であり、キャリアCは、そのウエハWを搬入出するための搬入出口がウエハ搬送ユニット4の壁部11に設けられた窓部12a(キャリアステージ2a側)・12b(キャリアステージ2b側)に対面するようにして、キャリアステージ2a・2b上に載置される。
【0014】
壁部11の内側(ウエハ搬送ユニット4側)には、窓部12a・12bを開閉するシャッターとキャリアCの搬入出口を開閉する蓋体の開閉を行う蓋体開閉機構とを有する開閉装置14a(キャリアステージ2a側)・14b(キャリアステージ2b側)が配設されており、キャリアCをキャリアステージ2a・2bに載置していない状態では、シャッターを閉じた状態とする。一方、ウエハWをキャリアCから搬出する際またはキャリアCへ搬入する際にはシャッターおよびキャリアCの蓋体が蓋体開閉機構により開かれた状態とされる。
【0015】
ウエハ搬送ユニット4内には、開閉装置14a・14bに隣接して、キャリアC内のウエハWの枚数を計測するための検出センサ機構13a(キャリアステージ2a側)・13b(キャリアステージ2b側)が配設されている。検出センサ機構13a・13bは、例えば、赤外線センサヘッドをZ方向にスキャンさせながら、ウエハWのY方向端の2箇所でウエハWの枚数を検査する。
【0016】
検出センサ機構13a・13bとしてはまた、ウエハWの枚数の検査と並行して、ウエハWの収納状態、例えば、キャリアC内にウエハWが所定のピッチで平行に1枚ずつ収納されているかどうか、ウエハWが段差ずれして斜めに収納されていないかどうか、ウエハWがキャリアC内の所定位置から飛び出していないか等を検出するセンサを具備したものを用いることが、より好ましい。さらに、ウエハWの収納状態を確認した後に、同センサを用いてウエハWの枚数を検出するようにしてもよい。なお、後述するウエハ搬送機構7に検出センサ機構を取り付けて、ウエハ搬送機構7とともに移動可能な構造とすれば、検出センサ機構は1箇所のみの配設で済ませることが可能である。
【0017】
ウエハ搬送ユニット4には、キャリアステージ2a・2bに載置されたキャリアCと後述するテーブル31に配設された保持治具33との間でウエハWを水平状態で搬送するウエハ搬送機構7が配設されている。ウエハ搬送機構7は、未処理のウエハWを搬送するための搬送アーム21aと、液処理済みのウエハWを搬送するための搬送アーム21bを有しており、各搬送アーム21a・21bは、それぞれ1枚のウエハWを搬送することが可能となっている。
【0018】
搬送アーム21a・21bを保持する搬送アーム保持部22は図示しないX軸駆動機構を内在し、テーブル23に設けられた溝部またはガイドレール等の案内機構24に沿って、X方向にスライド可能となっている。また、搬送アーム保持部22は、X−Y面内のθ方向に回転可能に構成されている。このθ方向回転を行う図示しないθ回転駆動機構は、搬送アーム保持部22に内在させることが可能であるが、後述するZ軸駆動機構99やテーブル23もともに回転する構造として設けることも可能である。
【0019】
このようなX軸駆動機構やθ回転駆動機構を用いれば、例えば、X軸駆動機構を用いて搬送アーム21aをキャリアC内へ挿入し、キャリアC内のウエハWを搬出した後、θ回転駆動機構を用いて搬送アーム21aの向きを180°回転させてウエハWを洗浄処理ユニット3a側へ向け、洗浄処理ユニット3aに配設されたテーブル31上の保持治具33にウエハWが保持されるように再びX軸駆動機構を用いて搬送アーム21aを挿入し、その後に搬送アーム21aを元の位置に戻すことによって、ウエハWをテーブル31上に搬送することや、その逆の動作が可能となる。なお、X軸駆動機構に代えて、またはX軸駆動機構とともに、搬送アーム21a・21bが、多関節アーム等の伸縮自在な形態を有していることにより、ウエハWをキャリアCとテーブル31との間で搬送することが可能な形態とすることも好ましい。
【0020】
搬送アーム21a・21bおよび搬送アーム保持部22ならびにテーブル23は、Z軸駆動機構99によりZ方向(垂直方向)に移動可能となっている。キャリアC内では、ウエハWは異なる高さ位置に収納されていることから、このZ軸駆動機構99を用いて搬送アーム21aの高さを所定のウエハWの高さ位置に合わせる。例えば、キャリアCから所定位置のウエハWを搬出する際には、所定のウエハWの下側に搬送アーム21aを挿入することができるように搬送アーム21aの高さをZ軸駆動機構99を用いて合わせた後、X軸駆動機構を動作させて搬送アーム21aをキャリアC内に挿入し、その後にZ軸駆動機構99により搬送アーム21aを所定高さほど上昇させて搬送アーム21a上にウエハWを保持し、その状態でX軸駆動機構により搬送アーム21aを元の位置まで退却させることにより、キャリアCから所定のウエハWを搬出することができる。
【0021】
搬送アーム21a・21bおよび搬送アーム保持部22ならびにテーブル23はまた、Y軸駆動機構98によりガイドレール97に沿ってY方向に移動可能となっており、ウエハ搬送機構7は、キャリアステージ2a・2bに載置されたキャリアCにいずれにもアクセス可能となっている。また、ウエハ搬送機構7は、洗浄処理ユニット3a〜3cに配設されているテーブル31のいずれにもアクセス可能となっている。
【0022】
ウエハ搬送ユニット4の天井部分には、フィルタファンユニット28aが配設されており、ウエハ搬送ユニット4内にパーティクルを除去した空気等が送風されるようになっている。また、ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3a〜3cとの境界を形成する壁部25には、ウエハWをウエハ搬送機構7と洗浄処理ユニット3a〜3cの各テーブル31との間でのウエハWの搬送を可能とするために、開閉可能な窓部26a〜26cが形成されている。なお、窓部26a〜26cには、窓部26a〜26cの開閉を行うシャッター27a〜27cがウエハ搬送ユニット4側に配設されており、ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3a〜3cの雰囲気が分離できるようになっている。シャッター27a〜27cは洗浄処理ユニット3a〜3c側に設けることもできる。
【0023】
洗浄処理ユニット3a〜3cは、それぞれが隔壁で隔てられた構造となっており、洗浄処理ユニット3a〜3c間の雰囲気が互いに拡散することのない構造となっている。これにより、各洗浄処理ユニット3a〜3c毎に異なる処理液を用いて、所定の液処理を行うことが可能である。以下、洗浄処理ユニット3a〜3cは全て同じ構成を有することから、洗浄処理ユニット3aを例にその構成について説明する。
【0024】
洗浄処理ユニット3aの天井部分にも、フィルタファンユニット28bが配設されており、洗浄処理ユニット3a内にパーティクルを除去した空気等が送風されるようになっている。洗浄処理ユニット3aは、テーブル31にテーブル31を回転させるモータ(駆動機構)32が軸部材37を介して取り付けられてなるテーブル回転機構8を有する。テーブル31の表面にはウエハWを保持するための保持治具33が配設されており、ウエハWはその表裏面がテーブル31の表面と平行となるようにテーブル31上空に、つまりテーブル31の表面から浮いた状態で保持治具33に保持される。
【0025】
保持治具33は、ウエハWを周縁部で保持できる構造のものであればよく、例えば、ウエハWを保持するための溝が形成されたピンを挙げることができる。図3ではピン状の保持治具33を4箇所に配設した場合を示しており、この場合には、ウエハWの搬入出を可能とすべく、保持治具33の窓部26a側の1箇所については、例えば、ウエハWの搬入出の際にはウエハWの移動に支障が生じないように転倒させる機構を有し、かつ、ウエハWを保持している間はロックが掛かってウエハWが保持治具33から飛び出すことを防止する構造のもの等を用いることができる。
【0026】
テーブル31とモータ32を連結する軸部材37は、テーブル31の下側に配置された円盤38の中心部を貫通している。円盤38は、後述するように、テーブル31を処理チャンバ51へ挿入したときに、処理チャンバ51のテーブル挿入口54を閉塞するための部材であり、回転することはない。従って、軸部材37が円盤38を貫通する部分は、軸部材37が回転可能ではあるが、処理チャンバ51からの処理液の漏出が起こらないようにシール構造が採られる。
【0027】
円盤38には、円盤38とテーブル回転機構8をX−Z面内で回動させるために、脚部34と回動軸35ならびに円盤保持部材36を有する姿勢変換機構9が取り付けられており、この姿勢変換機構9により、ウエハWを水平状態と、立設状態例えば垂直状態(ウエハWの表面と水平方向とのなす角が90°の場合)との間の任意の状態で保持することができるようになっている。
【0028】
姿勢変換機構9の駆動は、モータやアクチュエータ等の駆動装置を用いて行うことができる。円盤保持部材36は、軸部材37のカバーとしての役割も果たしており、例えば軸部材37とモータ32全体を取り囲むような形態とすると、モータ32で発生するパーティクル等が洗浄処理ユニット3a内の雰囲気を悪化させることを抑制することができる。
【0029】
姿勢変換機構9の脚部34は、ガイドレール39上をX方向に移動可能なX軸駆動機構10上に配設されており、これによりテーブル回転機構8と姿勢変換機構9は、洗浄処理ユニット3a内をX方向に移動可能となっている。このX軸駆動機構10を用いて、ウエハWが立設状態で保持されるように姿勢変換されたテーブル回転機構8のテーブル31の部分を処理チャンバ51に挿入することができる。
【0030】
なお、ガイドレール39の下部箱体20aには、例えば、テーブル回転機構8、姿勢変換機構9、X軸駆動機構10等の制御装置を収納することができる。また、図1から図3には示していないが、ガイドレール39が配設されたスペースと処理チャンバ51が配設されたスペースとの間に開閉可能なシャッターを設けて、処理チャンバ51内の雰囲気が洗浄処理ユニット3全体に拡散しないような構造とすることができる。
【0031】
洗浄処理ユニット3aには、テーブル31上に保持されたウエハWの洗浄処理を行うための処理チャンバ51が配設されている。図4および図5は、テーブル31を処理チャンバ51に挿入した状態の一形態を示す断面図である。ここで、図4および図5においては、姿勢変換機構9やX軸駆動機構10の記載を省略しており、処理チャンバ51については、断面略台形の筒形の形態を有している外側チャンバ52aと、X方向にスライド可能な内側チャンバ52bとからなる二重構造を有するものを示している。
【0032】
図4は内側チャンバ52bを図中右側へ待避させ、外側チャンバ52aを用いて液処理を行う際の状態を示しており、図5は内側チャンバ52bを外側チャンバ52a内に収納して、内側チャンバ52bによる液処理を行う状態を示している。なお、外側チャンバ52aはメンテナンス等の際に、図4に示される内側チャンバ52bの位置へ待避させることができるようになっている。
【0033】
図4に示すように、外側チャンバ52aにおける洗浄処理は、垂直壁53aと、テーブル挿入口54が形成された垂直壁53bと、テーブル挿入口54を閉塞するテーブル回転機構8の円盤38とにより形成される処理空間95において行われる。垂直壁53bの上部には、排気バルブ65と排気管67からなる排気経路が設けられており、処理空間95の雰囲気の調整が可能となっている。また、垂直壁53bの下部には、ドレインバルブ61とドレイン管63からなるドレイン(排液経路)が形成されており、処理空間95から使用された洗浄液が排出されるようになっている。
【0034】
ここで、外側チャンバ52aは、垂直壁53b側が長径側に設定され、また、外側チャンバ52aの胴部下側面に、垂直壁53b側が下方となるような勾配が形成されるように固定されているので、使用された洗浄液は容易にドレインバルブ61からドレイン管63を通して排出される。
【0035】
外側チャンバ52a内の上端近傍部分には、複数の吐出口55を有する吐出ノズル56が、吐出口55が水平方向に並ぶようにして垂直壁53bに取り付けられている。吐出ノズル56からは、薬液貯蔵ユニット5a内の供給源から供給された純水、IPA等の各種薬液や、N2ガス等の乾燥ガスが吐出可能となっている。また、垂直壁53bには、テーブル31の裏面を洗浄するための吐出ノズル74aが配設されている。このような吐出ノズル74aは主に種々の薬液処理後に純水でテーブル31の裏面の洗浄を行う際に使用される。なお、吐出ノズル56は、図4および図5中には1本しか示されていないが、複数本設けることが可能である。
【0036】
内側チャンバ52bは、外側チャンバ52aよりも径が小さい断面略台形の筒状の形態を有し、図4に示す位置と図5に示す位置との間でX方向に平行移動(スライド)可能に構成されている。内側チャンバ52bは、その短径側の端面にリング部材59bを、長径側の端面にリング部材59aを有しており、内側チャンバ52bが外側チャンバ52a内に配置されたときには、リング部材59aが垂直壁53aに密着し、また、リング部材59bが垂直壁53bに密着することで処理空間96が形成される。なお、リング部材59aと垂直壁53aの接離部分およびリング部材59bと垂直壁53bの接離部分に、図示しないシール部材等を配設すると、密着性がより向上する。
【0037】
なお、内側チャンバ52bを外側チャンバ52aから待避させたときには、リング部材59bが垂直壁53aに密着するとともにリング部材59aが垂直壁53cに密着することによって、外側チャンバ52aによって形成される処理空間95の雰囲気は、内側チャンバ52b内の雰囲気と隔離される。
【0038】
内側チャンバ52b内の上部には、複数の吐出口57を有する吐出ノズル58が、吐出口57が水平方向に並ぶようにして取り付けられている。吐出ノズル58からは、薬液貯蔵ユニット5a内の供給源から供給された各種薬液、純水、IPA等が吐出される。また、内側チャンバ52bの上部内壁には、テーブル31の表面を洗浄するための処理液の吐出ノズル74bが配設されており、純水等の洗浄液を吐出可能となっている。なお、これら各種の吐出ノズル56・58・74a・74bからは、超音波が印加された処理液を供給してもよい。
【0039】
リング部材59aの上端部には排気口66が形成されており、排気管68を通じて、処理空間96内の雰囲気調整または退避位置での内側チャンバ52b内の雰囲気調整を行うことが可能となっている。また、リング部材59aの下端部には処理液排出口46が形成されており、この処理液排出口46と連通するようにドレイン誘導部材47が配設されている。
【0040】
内側チャンバ52bは、モータ32側を短径側とし、また下側面に勾配が形成されるようにして配設されている。つまり、処理液排出口46は内側チャンバ52bの下側面に形成された勾配の下方側に形成されていることから、内側チャンバ52bで使用された処理液は、容易に処理液排出口46からドレイン誘導部材47へ流れ込む。
【0041】
ドレイン誘導部材47は下方に伸び、その先端部48は水平方向を向くように構成されている。一方、垂直壁53aの下方には別体としてドレイン管49が配置されており、ドレイン管49の先端には先端部としてのキャップ部50が形成されている。
【0042】
内側チャンバ52bが退避位置にあるときは、ドレイン誘導部材47の先端部48とキャップ部50とは隔離された状態にあるが、内側チャンバ52bをウエハWの洗浄処理等のために外側チャンバ52a内に収容されるようにスライドさせると、先端部48がキャップ部50に嵌合されて気密にシールされ、これにより、ドレイン誘導部材47とドレイン管49とが連通し、処理液の排液が可能となる構造となっている。他方、ウエハWの液処理が終了して、内側チャンバ52bを外側チャンバ52aから退避させる際には、先端部48とキャップ部50とは離隔される。
【0043】
このような外側チャンバ52aと内側チャンバ52bのX方向の長さ、つまり胴体の長さは、テーブル31とウエハWとの距離に応じた長さに設定することができることから、洗浄処理ユニット3a〜3cでは小型化が容易である。この場合には、処理雰囲気の制御も容易となり、排気量を低減できるので、高温の薬液を用いた場合でもその温度低下が小さく、従って使用することができる薬液の種類の範囲が広がる利点がある。また、処理液は吐出ノズル55・57から直接にウエハWの表面に向けて吐出され、ブラシ等を用いないことからチャンバ内の構造が簡単である。
【0044】
次に、キャリアCに収納されたウエハWの洗浄工程について、キャリアステージ2aに載置されたキャリアC内のウエハWを、洗浄処理ユニット3a〜3cで処理する場合を例として説明する。先ず、複数枚のウエハWが所定の間隔で平行に収納されたキャリアCを、キャリアCにおいてウエハWの出し入れを行う搬入出口が窓部12と対面するようにキャリアステージ2aに載置する。
【0045】
キャリアC内の所定のウエハWを搬送するために、開閉装置14aを用いて窓部12aを閉じているシャッターを開き、また、キャリアCの搬入出口を閉塞している蓋体を開いて、キャリアCの内部とウエハ搬送ユニット4の内部が連通する状態とする。その後に、検出センサ機構13aをZ方向にスキャンさせて、キャリアC内のウエハWの枚数および収納状態を確認する。ここで、異常が検出された場合には処理を中断し、例えば、キャリアステージ2bに別のキャリアCが載置されていた場合には、その別のキャリアCから同様の処理を開始する。
【0046】
キャリアC内のウエハWに異常が検出されなかった場合には、搬送アーム21aが搬出する所定のウエハWの下側に位置するようにZ軸駆動機構99を動作させて搬送アーム21aの高さを合わせた後、ウエハ搬送機構7の有するX軸駆動機構を動作させて、搬送アーム21aをキャリアC内に挿入し、Z軸駆動機構99を所定高さほど上昇させて搬送アーム21aに所定の1枚のウエハWを保持させ、再びX軸駆動機構を動作させて搬送アーム21aを元の位置へ戻す。その後、次にウエハWの搬入出まで、開閉装置14aを動作させて窓部12aおよびキャリアCの蓋体を閉めておく。
【0047】
続いて、搬送アーム21aに保持されたウエハWが、ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3aとの境界をなす壁部25に形成された窓部26aに対面するように、ウエハ搬送機構7の有するθ回転駆動機構を180°回転させる。そして、窓部26aを閉じていたシャッター27aを開き、ウエハ搬送機構7のX軸駆動機構を動作させて、洗浄処理ユニット3aにおいて窓部26aに対面する位置に待機させていたテーブル31上の保持治具33にウエハWが保持されるように搬送アーム21aを挿入する。
【0048】
このとき、ウエハWの搬入出が可能なように、テーブル31上に配設されたウエハWを保持するための保持治具33のうち窓部26a側のものは待避させた状態にある。また、搬送アーム21aの高さはウエハ搬送ユニット4のZ軸駆動機構99によりウエハWが保持治具33に収納されるように調節されている。
【0049】
ウエハWが保持治具33に保持されたら、ウエハ搬送機構7が有するZ軸駆動機構99を動作させて搬送アーム21aの位置を下げ、さらにX軸駆動機構を動作させて搬送アーム21aを元の位置に戻し、シャッター27aを閉じる。テーブル31においては、保持治具33を所定の状態として、ウエハWをその周縁部で確実に保持した状態とする。
【0050】
こうして洗浄処理ユニット3aでのウエハWの洗浄処理を開始することができるが、引き続き、ウエハ搬送ユニット4においては、キャリアC内の別のウエハWを先にキャリアCから洗浄処理ユニット3aに搬送した方法と同様の方法を用いて洗浄処理ユニット3bに搬送し、その後にさらにキャリアC内の所定のウエハWを洗浄処理ユニット3cに搬送し、逐次、洗浄処理ユニット3b・3cでの洗浄処理を、後述する洗浄処理ユニット3aにおける洗浄方法と同様にして開始する。なお、ウエハWの洗浄処理ユニット3b・3cへの搬送には、ウエハ搬送機構7が有するY軸駆動機構98を用いる。
【0051】
次に、姿勢変換機構9を用いて、テーブル31が処理チャンバ51側を向くように、例えば、テーブル回転機構8を、例えば90°ほど倒し、テーブル回転機構8を水平状態に保持する。こうしてウエハWは略垂直状態に保持されることとなる。そして、X軸駆動機構10を用いて、テーブル31が外側チャンバ52aに収容され、また、円盤38により外側チャンバ52aのテーブル挿入口54が閉塞されるように、テーブル回転機構8および姿勢変換機構9をスライドさせる。
【0052】
処理チャンバ51において、例えば、内側チャンバ52bでは薬液を用いたポリマー除去等の処理を、外側チャンバ52aでは純水を用いた処理とその後の乾燥処理を行うとすると、最初は内側チャンバ52bを外側チャンバ52a内に配置した状態として、モータ32によりテーブル31を所定の回転数で回転させながら、吐出ノズル58を用いて所定の薬液をウエハWの表裏面に向かって吐出する。そして、薬液を用いた処理が終了した後に吐出ノズル74bから純水を吐出させて、テーブル31の表面を洗浄する。
【0053】
次に、内側チャンバ52bを外側チャンバ52aから待避させた状態として、テーブル31を所定の回転数で回転させながら、吐出ノズル56を用いて純水を吐出してウエハWの洗浄を行い、しかる後に吐出ノズル74aから純水を吐出して、テーブル31の裏面の洗浄を行う。その後、処理液の吐出を行わずに、所定の回転数でテーブル31を回転させて、テーブル31やウエハWに付着した純水を振り切り、必要に応じて、IPAやN2ガス等をウエハWに噴射して乾燥処理を行う。
【0054】
液処理および乾燥処理が終了した後には、X軸駆動機構10を用いて、テーブル31を処理チャンバ51から搬出するために、テーブル回転機構8を処理チャンバ51から離れるようにスライドさせ、続いて姿勢変換機構9を動作させてテーブル回転機構8を垂直状態に立て直し、テーブル31を窓部26aと対面する位置へ戻す。ウエハWを保持している保持治具33の位置をウエハWの搬出が行うことができる適切な位置に合わせ、保持治具33の中の可動なもののロックを解除して待避させる。
【0055】
保持治具33からのウエハWの搬出には搬送アーム21bを用いる。搬送アーム21bが洗浄処理済みのウエハWを搬出することができるように、ウエハ搬送機構7のZ軸駆動機構99を動作させて搬送アーム21bの高さ位置を調節し、シャッター27aを開いてX軸駆動機構により搬送アーム21bをテーブル31とウエハWとの間に挿入し、Z軸駆動機構99を動作させて搬送アーム21bによりウエハWを軽く持ち上げ、さらにX軸駆動機構により搬送アーム21bを元の位置に戻すことで、ウエハWをテーブル31上の保持治具33から搬出することができる。
【0056】
シャッター27aを閉じた後に、搬送アーム21bがキャリアステージ2a側を向くようにウエハ搬送機構7のθ回転駆動機構を駆動させ、開閉装置14aを用いて窓部12aを開くとともにキャリアCの蓋体を開いて、キャリアCの内部とウエハ搬送ユニット4が連通した状態とし、ウエハWを戻すべき所定の高さにZ軸駆動機構99を用いて搬送アーム21bの高さを調節した後、X軸駆動機構を用いて搬送アーム21bをキャリアC内に挿入し、ウエハWを搬入して搬送アーム21bを元の位置に戻す。このように、洗浄処理前のウエハWを搬送アーム21aで、洗浄処理後のウエハWを搬送アーム21bで、それぞれ搬送することにより、搬送アーム21bは洗浄処理前のウエハWを保持しないことから、洗浄処理後のウエハWを汚すことがない。
【0057】
続いて、キャリアC内に未処理のウエハWがあり、その洗浄処理を行う場合には、ウエハ搬送機構7のθ回転駆動機構を動作させて搬送アーム21aを窓部26aに対面させた後、前述した方法により所定のウエハWの搬出、テーブル31への搬送、洗浄処理、キャリアCへの搬送、といった一連の作業を繰り返す。このような作業は、洗浄処理ユニット3b・3cでの処理についても同様に行うことができる。また、キャリアステージ2bにキャリアCを載置しておけば、キャリアステージ2aに載置したキャリアC内のウエハWの処理に引き続いて、キャリアステージ2bに載置されたキャリアC内のウエハWの処理を開始することができる。
【0058】
上述した洗浄処理方法は、3箇所に配設された洗浄処理ユニット3a〜3cで全て同じ洗浄処理を行った場合であるが、洗浄処理装置1を用いた洗浄処理方法は、このような方法に限定されるものではない。例えば、キャリアステージ2aに載置されたキャリアC内のウエハWについては、所定の薬液を使用して洗浄処理ユニット3aのみを用いて行い、一方、キャリアステージ2bに載置されたキャリアC内のウエハWについては、別の薬液を使用して洗浄処理ユニット3b・3cを用いて行うというように、洗浄処理ユニット3a〜3cを使用する薬液別に使い分け、または処理内容の違いによって使い分けることも可能である。
【0059】
ところで、洗浄処理装置1では、ウエハWを保持するためにテーブル31上に配設された保持治具33には、1枚のウエハWのみが保持可能であったが、保持治具33の形態を数枚、例えば、2枚〜5枚程度を保持可能とすることにより、処理時間の短縮を図ることができる。図6は2枚のウエハWを保持する保持治具33aをテーブル31上に配設した例を示す断面図および平面図である。
【0060】
ウエハ搬送機構7の搬送アーム21aは1枚のウエハWを搬送することが可能であるから、搬送アーム21aをテーブル31とキャリアCとの間で2往復させることにより、2枚のウエハWを保持治具33aに収納することができ、逆に、搬送アーム21bを2往復させて保持治具33aからキャリアCに戻すことができる。このような複数枚のウエハWの搬送時間よりも通常、処理チャンバ51内での1回の洗浄処理時間の方が長いことから、1度に複数枚の洗浄処理を行うことにより、処理時間の短縮が図られる。なお、搬送アーム21a・21bを、それぞれテーブル31に保持されるウエハWの枚数に合わせて複数配設すると、1往復の搬送で済ませることができ、処理時間の短縮が図られる。
【0061】
図7の断面図は、保持治具33aを用いた場合の外側チャンバ52aと内側チャンバ52bの形態を図4と同様にして示したものである。図4と比較して、図7では、保持治具33aが保持するウエハWの枚数に応じて吐出ノズル56・58に形成される吐出口55・57の数を増やして吐出ノズル56・58のX方向長さを長くし、また、外側チャンバ52aと内側チャンバ52bは、吐出ノズル56・58を内部に配設できるようにX方向に胴長な形状とされている。但し、ウエハWの保持間隔が狭い場合には、吐出口55・57の数を増やすことは必要であるが、吐出ノズル56・58のX方向長さを長くすることは必ずしも必要ではなく、また、外側チャンバ52aと内側チャンバ52bのX方向長さについても、必ずしも長くする必要はない。
【0062】
保持治具33aのように保持するウエハWの枚数が増えると、モータ32にはより大きな負荷が掛かるようになることから、モータ32の大型化が必要となる場合が考えられる。このようなモータ32の大型化や処理チャンバ51(外側チャンバ52aと内側チャンバ52b)の大型化等は、実際の処理にあたって要求されるウエハWの処理効率と対比させながら、好適な条件に設定すればよい。
【0063】
上述した本発明の洗浄処理装置1は、洗浄処理装置単体として用いる場合以外に、例えば、図8の平面図に示すように、真空処理部90と組み合わせて1つのウエハ処理装置100として用いることも可能である。真空処理部90は、例えば、第1ロードロック室91、第2ロードロック室92、エッチング処理室93、アッシング処理室94を有しており、ウエハ搬送機構7が第1ロードロック室91にアクセス可能な構造となっている。
【0064】
第1ロードロック室91と第2ロードロック室92との間、第2ロードロック室92とエッチング処理室93との間、第2ロードロック室92とアッシング処理室94との間には、それぞれこれらの間を気密にシールしかつ開閉可能に構成された図示しないゲートバルブが介装され、エッチング処理室93とアッシング処理室94では、それぞれ所定のエッチング処理やアッシング処理が行われる。
【0065】
こうして、例えば、キャリアC内のウエハWを、先ず、ウエハ搬送機構7を用いて真空処理部90へ搬送し、エッチング処理室93において所定のエッチング処理を行った後、ウエハWを洗浄処理ユニット3a〜3cのいずれかへ搬送して所定の洗浄処理を行い、その後にキャリアCへ戻すといった処理が可能となり、逆に、ウエハWについて洗浄処理ユニット3a〜3cのいずれかで、洗浄、乾燥処理を行った後に、ウエハWを真空処理部90へ搬送して、所定のエッチング処理やアッシング処理を行うこともできる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明が上記実施の形態に限定されるものでないことはいうまでもなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、処理チャンバ51として外側チャンバ52aおよび内側チャンバ52bからなる二重構造のものを用いて処理を行う場合について説明したが、チャンバは3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。また、外側チャンバ52aおよび内側チャンバ52bは、例えば、一方を洗浄に他方を乾燥のみに用いても構わず、洗浄と乾燥の両方を連続して行う用途にも用いることができる。
【0067】
さらに、上記実施の形態では、テーブル31およびウエハWを処理チャンバ51内に収容するために、テーブル回転機構8と姿勢変換機構9をX方向にスライドさせたが、処理チャンバ51をX方向にスライドさせることによって、テーブル31とウエハWが処理チャンバ51に収容されるように構成してもよい。
【0068】
さらにまた、上記実施の形態では、ウエハWを立設状態に保持する形態としてウエハWを垂直状態に保持する形態を示したが、ウエハWを立設状態に保持することには、ウエハWの表面と水平方向とのなす角が、例えば45°〜90°の範囲の任意の角度となるように、ウエハWを傾斜させた状態として保持することが含まれる。つまり、姿勢変換機構の傾き角度を任意に設定して、ウエハWを処理チャンバ51内に収容し、液処理を行うことが可能である。この場合には、例えば、処理チャンバ51の配設状態やテーブル挿入口54の形状をウエハWの傾斜角度に合わせて傾斜させたり、テーブル31と軸部材37との結合部分に傾斜化機能を持たせたり、または、上記実施の形態では軸部材37は円盤38を垂直に貫通しているが、軸部材37が円盤38を貫通する角度を変化させる等、適宜、装置部材の形状や配設の形態を変更すればよい。
【0069】
さらに、上記実施の形態では本発明を洗浄処理に適用した場合について示したが、これに限らず、所定の塗布液を塗布する塗布処理やエッチング処理等に適用することも可能である。さらにまた、半導体ウエハに適用した場合について示したが、これに限らず、液晶表示装置(LCD)用基板等、他の基板の処理にも適用することができる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の液処理装置は、基板が収容されるキャリアと液処理を行うために基板を保持するテーブルとの間の搬送経路が短く、装置が小型化されるという効果を奏する。また、テーブルを方向転換させてテーブルとその上の保持治具に保持された基板を直接に処理チャンバに収容して液処理する構造を採用することによっても装置がコンパクト化されている。さらに基板の移し替えの回数が少ないことから、基板の移し替えによるパーティクルの発生が抑制されて基板の汚れ発生が防止されるという利点を有する。さらにまた、複数の液処理ユニットが配設されていることから、液処理ユニット毎に異なる薬液を用いることが可能であり、多目的な液処理装置として用いることも可能である。なお、本発明の液処理装置では、液処理チャンバの小型化が容易であることから、液処理チャンバ内の雰囲気調整が容易であり、高温の薬液を用いてもその温度の低下が起こり難く、所定の薬液特性を得ることが容易となる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液処理装置の一実施形態に係る洗浄処理装置を示す斜視図。
【図2】図1記載の洗浄処理装置の側面図。
【図3】図1記載の洗浄処理装置の平面図。
【図4】図1記載の洗浄処理装置に配設される洗浄処理ユニットの一実施形態を示す断面図。
【図5】図4に示した洗浄処理ユニットを構成する内側チャンバを外側チャンバ内に配置した状態を示す断面図。
【図6】本発明の液処理装置における基板保持形態の一例を示す断面図および平面図。
【図7】図6記載の基板保持形態を用いた場合において、基板を処理チャンバに収容した状態を示す断面図。
【図8】図1記載の洗浄処理装置と真空処理装置と連結させた処理装置の一実施形態を示す平面図。
【符号の説明】
1;洗浄処理装置
2a・2b;キャリアステージ
3a〜3c;洗浄処理ユニット
4;ウエハ搬送ユニット
5a〜5c;薬液貯蔵ユニット
6;電源ユニット
7;ウエハ搬送機構
8;テーブル回転機構
9;姿勢変換機構
10;X軸駆動機構
21a・21b;搬送アーム
22;搬送アーム保持部
23;テーブル
26a〜26c;窓部
31;テーブル
32;モータ(回転機構)
33;保持治具
51;処理チャンバ
52a;外側チャンバ
52b;内側チャンバ
90;真空処理部
98;Y軸駆動機構
99;Z軸駆動機構
100;ウエハ処理装置
W;半導体ウエハ(基板)
Claims (6)
- 基板に所定の処理液を供給して液処理を行う液処理装置であって、
基板を1枚または数枚保持する治具が配設されたテーブルおよび前記治具に保持された基板が面内回転するように前記テーブルを回転させるモータを有する回転機構と、
前記テーブルが、保持する基板が水平姿勢となる第1の状態と、保持する基板が垂直姿勢となる第2の状態とをとるように、前記回転機構を水平な回動軸まわりに回動させて基板の姿勢を変換する姿勢変換機構と、
前記テーブルが挿入される挿入口を有し、保持した基板が垂直姿勢の前記第2の状態にある前記テーブルを収容し、前記治具に保持された基板に処理液を供給しながら液処理を施す処理チャンバと、
前記処理チャンバから離隔した基板搬入出位置で前記第1の状態の前記テーブルに対し水平姿勢の基板を搬入出する基板搬送機構と、
前記基板搬送機構が前記テーブルに基板を搬入出する基板搬入出位置と、前記第2の状態をとる前記テーブルが前記処理チャンバに収容される位置との間で、前記姿勢変換機構の前記回動軸に直交する水平方向に前記回転機構と前記姿勢変換機構とを一体的にスライドさせる駆動機構と、
前記回転機構に取り付けられ、前記テーブルが前記処理チャンバに収容された際に前記処理チャンバを密閉するチャンバ密閉用部材と、
を具備し、
前記基板搬入出位置で、前記テーブルを前記第1の状態にして前記基板搬送機構により前記テーブルに基板を水平姿勢で搬入し、前記姿勢変換機構により前記回転機構を前記回動軸まわりに回動させて前記テーブルを前記第2の状態にすることにより前記テーブルに受け取られた基板を垂直姿勢に変換し、その状態で前記回転機構および前記姿勢変換機構を前記駆動機構により前記回動軸に直交する水平方向にスライドさせるのみで前記テーブルを前記処理チャンバに収容させるとともに前記チャンバ密閉用部材によりチャンバを密閉し、前記テーブルとともに基板を回転させつつ前記治具に保持された基板に処理液を供給しながら液処理を行うことを特徴とする液処理装置。 - 前記処理チャンバが、外側チャンバと内側チャンバとからなる二重構造を有することを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
- 複数の基板を収容するキャリアを載置するためのキャリアステージをさらに具備し、前記基板搬送機構は、前記キャリアステージに載置されたキャリアと前記テーブルに設けられた治具との間で基板を水平状態で搬送し、
前記基板搬送機構は、未処理の基板を搬送するための1個の搬送アームと、液処理済みの基板を搬送するための別の1個の搬送アームを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液処理装置。 - 前記搬送アームおよび前記別の搬送アームが、それぞれ1枚の基板を搬送することを特徴とする請求項3に記載の液処理装置。
- 前記処理チャンバを複数具備し、前記複数の処理チャンバのそれぞれに対して前記回転機構が配設され、前記基板搬送機構は前記複数の回転機構にアクセスできる構成を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載の液処理装置。
- 前記キャリアステージを複数具備し、前記基板搬送機構は前記複数のキャリアステージにそれぞれ載置されたキャリアにアクセスできる構成を有することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の液処理装置。
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