JP4505517B2 - 受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式で変調された信号を受信する受信装置に関し、特に、パイロットキャリアのモードを判別する受信装置に関する。
近年、移動体向けデジタル伝送や地上デジタル放送への応用に適した変調方式として、マルチパスフェージングやゴーストに強いという特徴のある直交周波数分割多重変調方式(OFDM変調方式)が注目を浴びている。
OFDM変調方式は、マルチキャリア変調方式の一種であり、互いに直交する複数であるn本(nは例えば数十〜数百)の搬送波(キャリア)にそれぞれデジタル変調を施す伝送方式である。
また、各キャリアのデジタル変調方式としては、16値直交振幅変調(16QAM:16 Quadrature Amplitude Modulation)や64QAMなどの多値変調方式がよく用いられている。
16QAMや64QAMの変調方式では、各キャリアの振幅及び位相に情報を持たせているため、復調時には受信キャリアの絶対振幅及び絶対位相を正確に再生する必要がある。このため、振幅と位相が一定であるパイロットキャリアを数キャリア毎に配置して、受信機ではパイロットキャリアに基づいて伝送路特性を推定して振幅及び位相の等化を行う方式が用いられている。
図2及び図3には、データキャリア及びパイロットキャリアの配置方式の例を示してある。なお、縦方向はシンボル(時間の流れ)を示しており、横方向はキャリア(周波数)を示している。
図2には、連続パイロット(CP:Continuous Pilot)と言われるキャリア配置の一例を示してあり、この配置では、パイロットキャリアが同一キャリアに時間連続的に配置される。図2の例では、1番目、9番目、17番目、・・・というように所定間隔毎のキャリアにパイロットキャリアが配置される。
図3には、散乱パイロット(Scattered Pilot)と言われるキャリア配置の一例を示してあり、この配置では、パイロットキャリアの配置がシンボル毎にずらされる。図3の例では、1番目、5番目、・・・のシンボルでは1番目、9番目、17番目、・・・のキャリアにパイロットキャリアが配置され、2番目、6番目、・・・のシンボルでは3番目、11番目、19番目、・・・のキャリアにパイロットキャリアが配置され、3番目、7番目、・・・のシンボルでは5番目、13番目、21番目、・・・のキャリアにパイロットキャリアが配置され、4番目、8番目、・・・のシンボルでは7番目、15番目、23番目、・・・のキャリアにパイロットキャリアが配置される。このように、1つのキャリアを見ると所定のシンボル間隔でパイロットキャリアが配置され、1つのシンボルを見ると所定のキャリア間隔でパイロットキャリアが配置される。
受信側では、パイロットキャリアを用いて等化処理を行う。
一般に、図2に示されるようなCPのパイロット配置では高速の移動伝送のように変動が激しい伝送路に適しており、一方、図3に示されるようなSPのパイロット配置では、時間応答性は低くなるが、等化可能なマルチパスの遅延時間が長くなるという特徴がある。
また、伝送性能を向上させるために、パイロットキャリアの振幅を通常のデータキャリアの振幅よりも大きめに設定することが多い。例えば、パイロットキャリアの振幅を、データキャリアと比較して、(4/3)倍の振幅比に設定する。
複数のキャリア(データキャリアやパイロットキャリア)は互いに直交関係を保つように加算され、これによりOFDMの時間軸波形が生成される。この加算処理は、各キャリアに対してIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)の処理を行うことにより実現される。IFFT処理後の時間軸波形である有効シンボルと、当該有効シンボルの一部を複写して当該有効シンボルの前に付加したガードインターバルとから、OFDMのシンボルが構成される。
このような処理により生成されたOFDM信号は、高周波数(RF:Radio Frequency)の信号へ周波数変換された後に、無線により送信される。
特開2004−134883号公報
上述のように、使用するパイロットキャリアの配置としては、移動伝送ではCPモードが適しており、長遅延マルチパス環境ではSPモードが適しており、対象とする伝送路の特性により最適なパイロットモードを選定するのが望ましい。また、選定することが可能な伝送モード(伝送方式)としては、パイロットモード以外に、変調方式や誤り訂正符号化方式などのような他の複数の伝送モードについても伝送路特性に基づいて選定することがある。このため、正しい伝送を行うためには、送信側と受信側との間でこれらの伝送モードが全て一致する必要があるが、例えば、操作者の設定誤り(設定ミス)を避けて、速やかに伝送を完了するためには、受信側で伝送モードを自動判別する機能を設けることが望ましい。
このため、地上デジタルテレビジョン放送方式(例えば、ARIB STD−B31参照。)や番組素材伝送用OFDM方式無線伝送システム(例えば、ARIB STD−B33参照。)では、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)と言われるキャリアに種々な伝送モード情報を割り当てて送信側から受信側へ送信し、受信側で受信したTMCCを解読して伝送モードの自動認識を行う。TMCCは、周波数選択性フェージングにより復調誤りが生じないように、ランダムに配置されている。
しかしながら、CPとSPを切り替えて運用するシステムでは、TMCCのキャリアの位置のランダム性を確保して、尚且つCPとSPのパイロットキャリア位置を避けた位置にTMCCのキャリアを配置させることは困難であるため、CPモードとSPモードでTMCCの配置を切り替える必要がある。このようなシステムでは、CP/SPのパイロットモード判別が完了しなければ、TMCCのキャリア位置が確定しないため、TMCCを解読することができない。このため、TMCCを解読せずにCP/SPのモード判別を行う必要がある。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、例えば、OFDM変調方式で変調された信号を受信するに際して、TMCCを解読せずに、パイロットキャリアのモードを判別することができる受信装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る受信装置では、パイロットキャリアを周波数方向(キャリアの方向)に分散的に時間方向(シンボルの方向)に連続的に配置するCPモードと、パイロットキャリアを周波数方向及び時間方向に分散的に配置するSPモードを含む2つ以上のモードのうちのいずれかのモードが使用されてOFDM変調方式により送信された信号を受信するに際して、次のような構成により、モードを判別する。
すなわち、第1の相関手段が、受信信号とその1シンボル時間差の信号との相関結果を取得する。Lを2以上の整数として、第2の相関手段が、前記受信信号とそのLシンボル時間差の信号との相関結果を取得する。判別手段が、前記第1の相関手段により取得された相関結果と前記第2の相関手段により取得された相関結果の両方が所定の閾値を超える(又は、所定の閾値以上である)場合には前記受信信号に使用されたモードがCPモードであると判別し、前記第2の相関手段により取得された相関結果のみが前記所定の閾値を超える(又は、前記所定の閾値以上である)場合には前記受信信号に使用されたモードがSPモードであると判別する。
従って、例えば、OFDM変調方式で変調された信号を受信するに際して、TMCCを解読せずに、パイロットキャリアのモード(CPモード、SPモード)を判別することができ、送信側で選択されているモードと同じモードを受信側で設定することができる。
ここで、CPモードとSPモードを含む2つ以上のモードとしては、例えば、CPモードとSPモードのみが切り替えられて使用される態様が用いられてもよく、或いは、CPモードとSPモード以外の他のモードが含まれてもよく、他のモードの判別が必要な場合には、任意の判別手法が用いられてもよい。
また、2つの信号の相関の演算としては、例えば、2つの信号を(複素)乗算して、当該乗算結果を時間的に平均化(積分でもよい)する演算が用いられる。
また、モードを判別するための所定の閾値としては、種々な値が用いられてもよく、例えば、受信信号の電力などのレベルに基づいて設定されてもよい。
本発明に係る受信装置では、パイロットキャリアを周波数方向に分散的に配置するとともに時間方向にm種類の時間間隔L(i=0〜m−1)で配置するm種類のパイロットモードのうちのいずれかのモードが使用されてOFDM変調方式により送信された信号を受信するに際して、次のような構成により、モードを判別する。
すなわち、相関手段が、各時間間隔L(i=0〜m−1)について、前記受信信号とそれぞれのLシンボル時間差の信号との相関結果を取得する。判別手段が、前記相関手段によりLシンボル時間差の信号から取得された相関結果が所定の閾値を超える(又は、所定の閾値以上である)相関結果の内、パイロットキャリアを最も小さな時間間隔Lで配置するパイロットモードであると判別する。
従って、例えば、OFDM変調方式で変調された信号を受信するに際して、TMCCを解読せずに、パイロットキャリアのモード(複数種類のパイロットモード)を判別することができ、送信側で選択されているモードと同じモードを受信側で設定することができる。
ここで、複数種類のパイロットモードを含む2つ以上のモードとしては、例えば、複数種類のSPモードのみが切り替えられて使用される態様が用いられてもよく、或いは、CPモードと複数種類のSPモードが切り替えられて使用される態様が用いられてもよく、或いは、CPモードとSPモード以外の他のモードが含まれてもよく、他のモードの判別が必要な場合には、任意の判別手法が用いられてもよい。
また、複数種類のSPモードの数としては、種々な数が用いられてもよい。
以上説明したように、本発明に係る受信装置によると、受信信号とその所定数のシンボル分の時間差信号との相関結果の大きさに基づいて、送信側で使用されているパイロットキャリアのモード(例えば、CPモード、1種類以上のSPモード)を判別することができ、送信側と同じモードを自動的に判別して設定することができる。
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
本発明の第1実施例を説明する。
図1には、本発明の一実施例に係るOFDM伝送装置を構成する受信装置の構成例を示してある。なお、OFDM伝送装置は、送信装置(OFDM送信装置)と受信装置(OFDM受信装置)から構成される。
本例の受信装置は、ミキサ1と、A/D(Analog to Digital)変換器2と、直交検波器3と、周波数制御部4と、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)5と、FFT(Fast Fourier Transform)部11と、復調部12と、4個のシンボル遅延器21、22、23、24と、複素共役器25と、シンボルタイミング検出器26と、受信電力検出部27と、2個の複素乗算器28、31と、2個の積分器29、32と、2個の絶対値器30、33と、比較器34を備えている。
本例のOFDM伝送装置(無線通信システム)では、送信装置がOFDM変調方式で変調した信号(OFDM変調信号)を伝送路へ無線送信し、受信装置が当該伝送路を介して当該信号を受信する。
また、パイロットキャリアのモードとして、図2に示されるようなCPモードと、図3に示されるようなSPモードが用いられる。送信装置では伝送路特性などに応じて使用するパイロットキャリアモードをCPモードとSPモードとで切り替え、受信装置では受信信号に基づいて送信装置で使用されているパイロットキャリアモードを判定する。
本例の受信装置において行われる動作の一例を示す。
アンテナにより受信された信号が無線周波数(RF)或いは中間周波数(IF:Intermediate Frequency)でミキサ1に入力される。
ミキサ1は、入力された受信信号とVCO5から入力された信号(ローカル信号)とを混合して、当該受信信号をベースバンド(BB:Base Band)信号へ変換してA/D変換器2へ出力する。
A/D変換器2は、ミキサ1から入力された受信信号をサンプリングして、アナログ信号からデジタル信号へ変換し、その結果を直交検波器3へ出力する。
直交検波器3は、A/D変換器2から入力された受信信号を直交検波して、I成分の信号(I信号)とQ成分の信号(Q信号)に分離し、その結果である受信サンプリング系列r(t)を周波数制御部4、FFT部11、シンボル遅延器21、複素共役器25、シンボルタイミング検出器26及び受信電力検出部27へ出力する。
なお、tは時刻を表す。
周波数制御部4は、入力信号に基づいて、VCO5により発振する信号の周波数を制御する。
VCO5は、発振する信号の周波数が可変であり、周波数制御部4により制御された周波数の信号を発振してミキサ1へ出力する。
FFT部11は、直交検波器3から出力された受信サンプリング系列r(t)に対してFFT処理を行い、その結果を復調部12へ出力する。
復調部12は、比較器34から入力された情報に基づいてパイロットキャリアのモードを判定し、判定したモードにおけるパイロットキャリアの位置の振幅及び位相を基準として、FFT部11から入力された各キャリア毎の信号(データキャリア)を等化(振幅及び位相を調整)し、等化後の信号に基づいて各キャリア毎のデータを判定して出力する。
1段目のシンボル遅延器21は、直交検波器3から出力された受信サンプリング系列r(t)に対して1シンボル期間長(時間Ts)の遅延を与え、その結果である1シンボル長遅延した信号r(t−Ts)を2段目のシンボル遅延器22及び複素乗算器28へ出力する。
2段目のシンボル遅延器22は、1段目のシンボル遅延器21から入力された信号r(t−Ts)に対して1シンボル期間長(時間Ts)の遅延を与え、その結果である総じて2シンボル長遅延した信号r(t−2Ts)を3段目のシンボル遅延器23へ出力する。
3段目のシンボル遅延器23は、2段目のシンボル遅延器22から入力された信号r(t−2Ts)に対して1シンボル期間長(時間Ts)の遅延を与え、その結果である総じて3シンボル長遅延した信号r(t−3Ts)を4段目のシンボル遅延器24へ出力する。
4段目のシンボル遅延器24は、3段目のシンボル遅延器23から入力された信号r(t−3Ts)に対して1シンボル期間長(時間Ts)の遅延を与え、その結果である総じて4シンボル長遅延した信号r(t−4Ts)を複素乗算器31へ出力する。
複素共役器25は、直交検波器3から出力された受信サンプリング系列r(t)の複素共役信号r(t)を生成して2個の複素乗算器28、31へ出力する。
シンボルタイミング検出器26は、直交検波器3から出力された受信サンプリング系列r(t)に基づいて、OFDM変調信号におけるシンボルの遷移タイミングを検出し、その検出結果(シンボルタイミング)を2個の積分器29、32へ出力する。なお、シンボルの遷移タイミングを検出する方式としては、種々な方式が用いられてもよく、シンボルの遷移タイミングを検出するアルゴリズムの一例として、OFDM変調信号に含まれるガードインターバルの相関性を利用する方式を用いることができる。
ここで、図4には、各種の信号のタイミングの一例を示してある。なお、横軸は時刻tを表している。
図4において、(a)には受信サンプリング系列r(t)を示してあり、(b)には1段目のシンボル遅延器21からの出力信号r(t−Ts)を示してあり、(c)には2段目のシンボル遅延器22からの出力信号r(t−2Ts)を示してあり、(d)には3段目のシンボル遅延器23からの出力信号r(t−3Ts)を示してあり、(e)には4段目のシンボル遅延器24からの出力信号r(t−4Ts)を示してある。
また、図4(a)には、シンボルタイミング検出器26により検出されるシンボル遷移タイミングを矢印で示してある。これにより、受信サンプリング系列r(t)とシンボル遷移タイミングとの関係が把握される。
また、それぞれのOFDMシンボル波形の中に示した数字(+4、+3、+2、+1、0、−1など)は、シンボル番号である。1シンボルの期間は時間Tsである。
受信電力検出部27は、直交検波器3から出力された受信サンプリング系列r(t)に基づいてその電力Pを検出し、検出した電力Pに例えば予め設定された所定値αを乗算した結果を閾値THRとして取得し、当該閾値THRを比較器34へ出力する。
複素乗算器28は、複素共役器25から入力された複素共役信号r(t)と1段目のシンボル遅延器21から入力された信号r(t−Ts)との複素乗算を行い、その結果を積分器29へ出力する。
積分器29は、シンボルタイミング検出器26から入力されたシンボルタイミングに基づいて、複素乗算器28から入力された複素乗算結果の信号を積分期間長Nで積分し、当該積分結果を絶対値器30へ出力する。
絶対値器30は、積分器29から入力された複素数である積分結果(相関結果)の絶対値を演算し、その結果を相関信号C1として比較器34へ出力する。
複素乗算器31は、複素共役器25から入力された複素共役信号r(t)と4段目のシンボル遅延器24から入力された信号r(t−4Ts)との複素乗算を行い、その結果を積分器32へ出力する。
積分器32は、シンボルタイミング検出器26から入力されたシンボルタイミングに基づいて、複素乗算器31から入力された複素乗算結果の信号を積分期間長Nで積分し、当該積分結果を絶対値器33へ出力する。
絶対値器33は、積分器32から入力された複素数である積分結果(相関結果)の絶対値を演算し、その結果を相関信号C4として比較器34へ出力する。
ここで、本例では、複素乗算器28、31による複素乗算と積分器29、32による時間平均化(本例では、積分)により、相関演算が実現されている。なお、パイロットキャリアとデータキャリアとの相関結果やデータキャリア同士の相関結果は0(或いは、それに近い値)となり、パイロットキャリア同士の相関結果は比較的大きい値となる。
本例では、縦続接続された複素乗算器28と積分器29と絶対値器30により受信信号r(t)と1シンボル遅延信号r(t−Ts)との相関演算を行っており、縦続接続された複素乗算器31と積分器32と絶対値器33により受信信号r(t)と4シンボル遅延信号r(t−4Ts)との相関演算を行っている。
なお、本例では、図3に示されるSPモードにおけるパイロット信号の時間間隔が4シンボルであるため、4シンボル遅延信号との相関演算を行う構成としたが、パイロット信号の時間間隔がLシンボルである場合には、Lシンボル遅延信号との相関演算を行う構成とする。
また、積分器29、32において積分を行うタイミングは、シンボルタイミング検出器26からのタイミング信号に基づいて設定される。積分期間としては、シンボルをまたがないタイミングで設定されるのが望ましい。本例では、シンボル間の相関性に着目してパイロットキャリアモードを判定しており、例えば、シンボルをまたがったタイミングで相関演算を行うと相関度が低減するため、相関性の効果を最大限に得るために積分期間がシンボル内となるようにしている。従って、積分期間長Nを1<N<Ts(ここでは、単位はサンプリング時間)の範囲で設定する。なお、図4(a)には積分期間の一例を示してある。
比較器34は、受信電力検出部27から入力された信号の値THRを閾値として設定し、絶対値器30から入力された相関信号の値(相関値)C1と絶対値器33から入力された相関信号の値(相関値)C4について閾値THRとの大小比較を行う。そして、2個の相関値C1、C4が共に閾値THRを超えている場合には送信側で使用されているパイロットキャリアモードはCPモードであると判別し、相関値C4のみが閾値THRを超えている場合には送信側で使用されているパイロットキャリアモードはSPモードであると判別し、これらの判別結果(送信側で使用されているパイロットキャリアモードを識別する情報)を復調部12へ出力する。
ここで、受信サンプリング系列r(t)の相関性を説明するために、OFDM変調信号の構成について説明する。
データキャリア及びパイロットキャリアが含まれたOFDM変調信号s(t)は、(式1)に示されるように、パイロットキャリアのみを逆フーリエ変換(本例では、IFFT)した信号p(t)と、データキャリアのみを逆フーリエ変換(本例では、IFFT)した信号d(t)との重ね合わせで表される。
(数1)
s(t)=p(t)+d(t)
・・(式1)
(式2)に示されるように、受信信号r(t)は、このようなOFDM変調信号s(t)が伝送路を経由した信号に対して雑音n(t)が加算された信号となっている。ここで、h(t)は伝送路の特性を示している。
(数2)
r(t)=h(t)s(t)+n(t)
=h(t)p(t)+h(t)d(t)+n(t)
・・(式2)
(式2)に示される受信信号r(t)と1シンボル遅延信号r(t−Ts)との相関演算と、(式2)に示される受信信号r(t)と4シンボル遅延信号r(t−4Ts)との相関演算について、CPモードとSPモードの両モードについて検討する。
データ信号d(t)、雑音n(t)、パイロット信号p(t)はそれらの組み合わせの間での相関性は無く、相関値は0に近い値となる。
また、データ信号d(t)、雑音信号n(t)に関しても、1シンボル遅延信号と4シンボル遅延信号について共に相関性は無い。
一方、パイロット信号p(t)は相関性を有する成分である。
CPモードでは、毎シンボルについて同一のパイロット信号p(t)となるため、1シンボル遅延信号及び4シンボル遅延信号の両方について相関性を有する。
これに対して、SPモードでは、本例では4シンボル周期でパイロット信号が繰り返されるため、1シンボル遅延信号との間では相関性が無いが、4シンボル遅延信号との間では相関性を有する。
なお、パイロット信号p(t)の相関に関しては伝送路特性h(t)の相関性も関与するが、本例では、1シンボル或いは4シンボルの間における伝送路特性h(t)の変動は無視できる程に小さいとしている。
上記のことから、CPモードでは絶対値器30及び絶対値器33からの出力値C1、C4は両方とも比較的大きい値となり、SPモードでは絶対値器30からの出力値C1は0に近い値となり、絶対値器33からの出力値C4は比較的大きい値となる。従って、これらの絶対値器30、33からの出力結果の大小比較を行うことにより、パイロットキャリアモードを判別することができる。
また、受信電力検出部27により閾値THRを算出する方法について説明する。
閾値THRは、パイロット信号の相関性の有無を判別するためのものであり、雑音による擾乱成分で誤検出しないような値に設定する。
また、相関値C1、C4のレベルは受信サンプリング系列r(t)の2乗に比例するが、本例では、伝送路の変動により受信サンプリング系列r(t)のレベルに変動が生じても、その変動に応じて閾値THRを適応的に設定する構成としてあるため、パイロットキャリアモードを誤検出する可能性は極めて低くなる。
本例では、受信電力検出部27は、受信サンプリング系列r(t)の2乗演算を行い、当該2乗演算結果を積分期間Mで積分して、Mサンプル期間内における受信サンプリング系列r(t)の電力(平均電力の一例である積分電力)Pを算出する。また、相関値C1、C4と電力Pは伝送路特性h(t)の2乗に比例しているため、相関値C1、C4と電力Pとは受信信号のレベルに係わらずに一定比率を保っている。そして、算出された電力Pに対して所定の係数αを乗じた値を閾値THRとして設けることにより、受信電界が変動するような環境下においても、パイロットキャリアモードを正しく認識することができる。
なお、所定の係数αとしては、例えば、予め行われた測定などの結果に基づいて固定値を受信装置のメモリに記憶しておくことができる。
更に、本例の構成では、受信サンプリング系列r(t)の中心周波数が大きくずれているような場合においても正しく機能するといった効果もある。
例えば、パイロットキャリアモードを判別する方式として、受信サンプリング系列r(t)をフーリエ変換(本例では、FFT)した周波数領域の信号を処理して判別する方式も考えられるが、この場合には、キャリア間干渉が生じないようにフーリエ変換前に前もって周波数の同期を取っておくことが必要となる。これに対して、本例の構成では、時間領域での相関性を利用しているため、周波数同期が確立していない状態においても、周波数がずれた信号同士で相関性を有するため、パイロットキャリアモードの判別が可能となる。なお、具体的には、本例では、VCO5の発振周波数が最適な周波数でなくずれていても、パイロットキャリアモードを正しく判定することができる。
以上のように、本例の送信装置では、振幅及び位相が送信側と受信側とで既知であるパイロットキャリアを時間方向に連続的に配置するCPモードと、パイロットキャリアを時間方向にL(Lは整数)シンボル間隔で配置するSPモードを切り替える機能を有し、切り替えたパイロットキャリアモードを使用してOFDM変調方式で変調した信号を送信する。
本例の受信装置では、送信装置からの送信信号を受信する機能と、受信信号を1シンボル遅延する機能と、受信信号と1シンボル遅延信号との相関演算を行う機能と、受信信号をLシンボル遅延する機能と、受信信号とLシンボル遅延信号との相関演算を行う機能と、前記1シンボル遅延信号から得られた相関演算結果と前記Lシンボル遅延信号から得られた相関演算結果をそれぞれ閾値と比較する機能と、当該比較結果に基づいてパイロットキャリアモードを判別する機能を有する。具体的には、両方の相関値が閾値を超える場合にはCPモードであると判別し、Lシンボル遅延信号との相関値のみが閾値を超える場合にはSPモードであると判別する。また、閾値としては、受信電界変動に対応するように、受信レベルに応じた値を適応的に設定する。
従って、本例の受信装置では、受信サンプリング系列r(t)と1シンボル遅延信号との相関演算及び受信サンプリング系列r(t)とLシンボル遅延信号との相関演算をそれぞれ時間領域で行うことにより、受信側でCP/SPのパイロットキャリアモードを判別することができ、伝送モード(伝送方式)を送信側に合わせて自動的に設定することができる。
また、例えば、FFT部11の後段の信号を処理してパイロットキャリアモードを判定する構成では、ミキサ1での周波数変換に使用されるVCO5からの信号の周波数がずれると直交関係が崩れてキャリア間干渉が発生するために判定の精度が低くなる可能性があるが、本例では、FFT部11の前段の信号(時間波形の信号)を処理してパイロットキャリアモードを判定する構成であるため、VCO5からの信号の周波数がずれたような場合においても、判定の精度を維持することができる。
なお、本例の受信装置では、シンボル遅延器21や複素共役器25や複素乗算器28や積分器29や絶対値器30やシンボルタイミング検出器26により受信信号と1シンボル時間差の信号との相関結果C1を取得する機能により第1の相関手段が構成されており、4個のシンボル遅延器21〜24や複素共役器25や複素乗算器31や積分器32や絶対値器33やシンボルタイミング検出器26により受信信号とL(本例では、L=4)シンボル時間差の信号との相関結果C4を取得する機能により第2の相関手段が構成されており、相関結果C1、C4と受信電力検出部27により生成される閾値THRに基づいて比較器34がパイロットキャリアのモードを判別する機能により判別手段が構成されている。
本発明の第2実施例を説明する。
図5には、本発明の一実施例に係るOFDM伝送装置を構成する受信装置の構成例を示してある。
本例の受信装置は、ミキサ1と、A/D変換器2と、直交検波器3と、周波数制御部4と、電圧制御発振器(VCO)5と、FFT部11と、復調部12と、シンボル遅延器21と、複素共役器25と、シンボルタイミング検出器26と、受信電力検出部27と、(L−1)シンボル遅延器41と、(L−1)シンボル遅延器42と、3個の複素乗算器28、43、46と、3個の積分器29、44、47と、3個の絶対値器30、45、48と、比較器49を備えている。
ここで、図5では、第1実施例に係る図1に示されるのと同様な処理部については同一の符号を付してある。
本例では、第1実施例に係る図1に示される受信装置とは異なる処理部及び動作について、詳しく説明する。
本例のOFDM伝送装置では、図3に示されるようなSPキャリアの配置において、パイロットキャリアが配置される時間方向の間隔がL、Lとなる複数のパイロットキャリアモードを有しており、送信装置はCPモード或いは複数のSPモードのうちのいずれかのパイロットキャリアモードを使用するように切り替える。
ここで、パイロットキャリアの時間方向の間隔は時間方向の追従性能に係わり、パイロットキャリアの周波数方向の間隔は等化可能な遅延時間長に係わる。本例では、様々な伝搬路に対応するために複数のSPモードを有している。
本例の受信装置において行われる動作の一例を示す。
シンボル遅延器21から出力される1シンボル長遅延した信号r(t−Ts)が(L−1)シンボル遅延器41、(L−1)シンボル遅延器42及び複素乗算器28に入力される。
複素共役器25から出力される複素共役信号r(t)が3個の複素乗算器28、43、46に入力される。
シンボルタイミング検出器26から出力されるシンボルタイミングは、3個の積分器29、44、47に入力される。
受信電力検出部27から出力される閾値THRが比較器49に入力される。
(L−1)シンボル遅延器41は、入力された1シンボル遅延信号r(t−Ts)に対して(L−1)シンボル期間長の遅延を与え、その結果であるLシンボル長遅延した信号r(t−LTs)を複素乗算器43へ出力する。
(L−1)シンボル遅延器42は、入力された1シンボル遅延信号r(t−Ts)に対して(L−1)シンボル期間長の遅延を与え、その結果であるLシンボル長遅延した信号r(t−LTs)を複素乗算器46へ出力する。
複素乗算器43は、複素共役器25から入力された複素共役信号r(t)と(L−1)シンボル遅延器41から入力された信号r(t−LTs)との複素乗算を行い、その結果を積分器44へ出力する。
積分器44は、シンボルタイミング検出器26から入力されたシンボルタイミングに基づいて、複素乗算器43から入力された複素乗算結果の信号を積分期間長Nで積分し、当該積分結果を絶対値器45へ出力する。
絶対値器45は、積分器44から入力された複素数である積分結果(相関結果)の絶対値を演算し、その結果を相関信号CLとして比較器49へ出力する。
複素乗算器46は、複素共役器25から入力された複素共役信号r(t)と(L−1)シンボル遅延器42から入力された信号r(t−LTs)との複素乗算を行い、その結果を積分器47へ出力する。
積分器47は、シンボルタイミング検出器26から入力されたシンボルタイミングに基づいて、複素乗算器46から入力された複素乗算結果の信号を積分期間長Nで積分し、当該積分結果を絶対値器48へ出力する。
絶対値器48は、積分器47から入力された複素数である積分結果(相関結果)の絶対値を演算し、その結果を相関信号CLとして比較器49へ出力する。
本例では、縦続接続された複素乗算器28と積分器29と絶対値器30により受信信号r(t)と1シンボル遅延信号r(t−Ts)との相関演算を行っており、縦続接続された複素乗算器43と積分器44と絶対値器45により受信信号r(t)とLシンボル遅延信号r(t−LTs)との相関演算を行っており、縦続接続された複素乗算器46と積分器47と絶対値器48により受信信号r(t)とLシンボル遅延信号r(t−LTs)との相関演算を行っている。
比較器49は、受信電力検出部27から入力された信号の値THRを閾値として設定し、絶対値器30から入力された相関信号の値(相関値)C1と絶対値器45から入力された相関信号の値(相関値)CLと絶対値器48から入力された相関信号の値(相関値)CLについて閾値THRとの大小比較を行う。そして、全ての相関値C1、CL、CLが閾値THRを超えている場合には送信側で使用されているパイロットキャリアモードはCPモードであると判別し、相関値CLのみが閾値THRを超えている場合には送信側で使用されているパイロットキャリアモードは時間間隔がLであるSPモードであると判別し、相関値CLのみが閾値THRを超えている場合には送信側で使用されているパイロットキャリアモードは時間間隔がLであるSPモードであると判別し、これらの判別結果(送信側で使用されているパイロットキャリアモードを識別する情報)を復調部12へ出力する。
以上のように、本例の送信装置では、振幅及び位相が送信側と受信側とで既知であるパイロットキャリアを時間方向に連続的に配置するCPモードと、パイロットキャリアを時間方向にL(Lは整数)シンボル間隔で配置するSPモードを切り替える機能を有し、SPモードにおける時間間隔Lが複数であるk種類の値L、L、・・・、Lk−1(L、L、・・・、Lk−1は自然数)存在し、切り替えたパイロットキャリアモードを使用してOFDM変調方式で変調した信号を送信する。
本例の受信装置では、送信装置からの送信信号を受信する機能と、受信信号を1シンボル遅延する機能と、受信信号と1シンボル遅延信号との相関演算を行う機能と、受信信号をk種類の値L、L、・・・、Lk−1のそれぞれのシンボル分だけ遅延する機能と、受信信号と各値L、L、・・・、Lk−1のシンボル遅延信号との相関演算を行う機能と、前記1シンボル遅延信号から得られた相関演算結果と前記k種類のシンボル遅延信号から得られた相関演算結果をそれぞれ閾値と比較する機能と、当該比較結果に基づいてパイロットキャリアモードを判別する機能を有する。具体的には、全ての相関値が閾値を超える場合にはCPモードであると判別し、L(i=0、1、・・・、k−1)シンボル遅延信号との相関値のみが閾値を超える場合には時間間隔がLであるSPモードであると判別する。
言い換えれば、閾値を超えた相関値の内、最も小さな時間間隔Lであるパイロットモードであると判別する。
従って、本例の受信装置では、CPモード及び複数のSPモードのうちで送信側で選択されているパイロットキャリアモードを判別して自動的に設定することができる。
なお、本例の受信装置では、シンボル遅延器21及び(L−1)シンボル遅延器41や複素共役器25や複素乗算器43や積分器44や絶対値器45やシンボルタイミング検出器26により受信信号とLシンボル時間差の信号との相関結果CLを取得する機能やシンボル遅延器21及び(L−1)シンボル遅延器42や複素共役器25や複素乗算器46や積分器47や絶対値器48やシンボルタイミング検出器26により受信信号とLシンボル時間差の信号との相関結果CLを取得する機能によりk(本例では、k=2)種類のSPモードの相関手段が構成されており、相関結果CL、CL(及び、本例では、C1)と受信電力検出部27により生成される閾値THRに基づいて比較器49がパイロットキャリアのモードを判別する機能により判別手段が構成されている。
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
本発明の第1実施例に係るOFDM伝送装置の受信装置の構成例を示す図である。 連続パイロット(CP)のキャリア配置の一例を示す図である。 散乱パイロット(SP)のキャリア配置の一例を示す図である。 信号のタイミングの一例を示す図である。 本発明の第2実施例に係るOFDM伝送装置の受信装置の構成例を示す図である。
符号の説明
1・・ミキサ、 2・・A/D変換器、 3・・直交検波器、 4・・周波数制御部、 5・・電圧制御発振器、 11・・FFT部、 12・・復調部、 21〜24、41、42・・シンボル遅延器、 25・・複素共役器、 26・・シンボルタイミング検出器、 27・・受信電力検出部、 28、31、43、46・・複素乗算器、 29、32、44、47・・積分器、 30、33、45、48・・絶対値器、 34、49・・比較器、

Claims (2)

  1. パイロットキャリアを周波数方向に分散的に時間方向に連続的に配置するCPモードと、パイロットキャリアを周波数方向及び時間方向に分散的に配置するSPモードを含む2つ以上のモードのうちのいずれかのモードが使用されてOFDM変調方式により送信された信号を受信する受信装置において、
    受信信号とその1シンボル時間差の信号とのシンボル内の期間における相関結果を取得する第1の相関手段と、
    Lを2以上の整数として、前記受信信号とそのLシンボル時間差の信号とのシンボル内の期間における相関結果を取得する第2の相関手段と、
    前記第1の相関手段により取得された相関結果と前記第2の相関手段により取得された相関結果の両方が所定の閾値を超える又は所定の閾値以上である場合には前記受信信号に使用されたモードがCPモードであると判別し、前記第2の相関手段により取得された相関結果のみが前記所定の閾値を超える又は前記所定の閾値以上である場合には前記受信信号に使用されたモードがSPモードであると判別する判別手段と、
    を備えたことを特徴とする受信装置。
  2. パイロットキャリアを周波数方向に分散的に配置するとともに時間方向に複数であるm種類の時間間隔Li(i=0〜m−1)で配置するm種類のパイロットモードのうちのいずれかのモードが使用されてOFDM変調方式により送信された信号を受信する受信装置において、
    各時間間隔Li(i=0〜m−1)について、前記受信信号とそれぞれのLiシンボル時間差の信号とのシンボル内の期間における相関結果を取得する相関手段と、
    前記相関手段によりLiシンボル時間差の信号から取得された相関結果が所定の閾値を超える又は所定の閾値以上である相関結果の内、パイロットキャリアを最も小さな時間間隔Liで配置するパイロットモードであると判別する判別手段と、
    を備えたことを特徴とする受信装置。
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