JP4504682B2 - 脂肪細胞分化関連遺伝子およびタンパク質 - Google Patents

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Description

本発明は、脂肪細胞分化の初期に発現するクローン24ポリヌクレオチド及びクローン24タンパク質に関し、さらには該クローン24タンパク質の抗体、アンタゴニスト、アゴニスト、およびこれらの製造、並びにこれらの物質を含有する医薬および診断薬に関する。
栄養過剰による肥満は、糖尿病・高血圧・動脈硬化などの深刻な生活習慣病の最大の要因となっている。今後の生命科学・健康科学を考えるうえで、肥満の分子機構を解明することは必須の課題といえる。肥満に直接関わるのは脂肪細胞であり、脂肪細胞生成過程が解明されれば肥満の治療に直結する。近年の分子生物学の発展に伴い、脂肪細胞分化の機構が解明されつつある。そこにはキーとなる遺伝子群が存在し、これらが巧妙に情報をやり取りするネットワークを形成していることが知られている。
脂肪細胞分化過程は複雑なステップより成り、脂肪芽細胞(Adipoblast)→前駆脂肪細胞(Preadipocyte)→脂肪細胞(Adipocyte)へ分化する。培養細胞や遺伝子改変個体を用いた系などにより脂肪細胞分化に密接に関与する転写因子が、近年、明らかになりつつある。
PPAR (Peroxisome Proliferator-Activated Receptor, ペルオキシソーム増殖剤応答性レセプター) 、C/EBP(CCAAT/Enhancer- Binding Protein)ファミリー、及びSREBP−1/ADD1 (Sterol Regulatory Element Binding Protein 1 または Adipocyte Determination and Differentiation-dependent Factor 1)は脂肪細胞の分化に最も重要な転写因子といわれている。
PPARは、ファミリーを形成していることが明らかにされ、その中でもPPARγは脂肪細胞分化に特に重要であることが明らかになっている。すなわち、脂肪芽細胞や前駆脂肪細胞において、PPARγを強制的に発現させると脂肪細胞に分化することが明らかになっている。この結果は、PPARγが脂肪細胞の分化に重要な役割を担っていることを証明していると言える。
C/EBPもPPARと同様にファミリーを形成しており、最近になって、C/EBPαがPPARγと同じように脂肪細胞分化のマスターレギュレーターとして機能していることが明らかにされている。また、C/EBPβとC/EBPδは分化の初期に発現し、C/EBPαとPPARγの発現を制御していると考えられている。
SREBP1/ADD1は、脂肪細胞の分化を促進することが知られている一方、脂肪細胞の分化過程においてPPARγのリガンド生成に関わっていることも明らかにされている。
前記3種類の転写因子群(PPAR、C/EBP、SREBP1/ADD1)が、クロストークすることにより分化過程が進行することが明らかになっている。
前記3種類の転写因子群は、脂肪細胞の分化の比較的初期から発現が上昇することが明らかにされており、複数の標的遺伝子の発現を制御するマスターレギュレーターと考えられている。これらの転写因子群を発現時期の面から見ると、C/EBPβとC/EBPδにおいて比較的初期に発現が増加することが知られている。しかし、前駆脂肪細胞より脂肪細胞へ分化する最も初期に、即ち、分化開始から半日(12時間)以内に、どのような遺伝子が活性化されているかについてはほとんど明らかにされていない。
前駆脂肪細胞より脂肪細胞へ分化する最も初期、即ち、分化開始12時間以内に活性化される遺伝子の発現の有無、その程度、遺伝子産物としてのタンパク質の有無、その量、発現している場所の特定、また、遺伝子の変異を分析することは、肥満のメカニズムを解明し、さらに肥満の進行状況を適切に把握し、肥満の予防あるいは治療に役立たせる上で極めて重要な要素となりうる。そのために、この遺伝子の特定ならびにこの遺伝子産物であるタンパク質を特定し、こうした遺伝子あるいはタンパク質を検出、あるいは測定することが望まれる。
そこで本発明は、前駆脂肪細胞より脂肪細胞へ分化開始12時間以内に活性化される遺伝子を見出し、該遺伝子を含むベクター、該ベクターを保持する形質転換体、該形質転換体から生産されるタンパク質、該タンパク質に特異的な抗体、該タンパク質の製造方法、これらの化合物を含む医薬、診断薬を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、前駆脂肪培養細胞株として周知のマウス3T3−L1細胞(ATCC No.CCL−92.1.)を用い、分化の最も初期の過程で遺伝子の発現の変動を解析するために、脂肪細胞分化誘導前と誘導3時間後においてサブトラクション法によるクローニングを行った。その結果、100近いクローンが、脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内に脂肪細胞分化を促進するタンパク質の発現が上昇し、脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内に活性化される遺伝子として得られたが、そのうち、特に発現が優れた遺伝子として配列番号1で表される塩基配列のポリヌクレオチドが得られた。配列番号1で表されるポリヌクレオチドの塩基配列は、マウスの脂肪細胞分化の初期、即ち、脂肪細胞分化誘導前と誘導3時間後に発現するcDNAにより決定された。該ポリヌクレオチドをマウスのクローン24ヌクレオチドと呼ぶ。
即ち、本発明のポリヌクレオチドは、脂肪細胞分化を促進する機能を有し且つ脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内に活性化される性質を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドである。
本明細書において、活性化とは、発現することあるいは発現が亢進することを意味する。
配列番号1で表される塩基配列と相同性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドをhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/において検索したところ、機能が全く記載されていないチャイニーズハムスター由来のmRNAの配列が該当し、アクセッション番号がAF371372で、2794bpの長さで登録されていることが分かった。配列番号1で表される塩基配列と該チャイニーズハムスター由来のmRNAの塩基配列との相同性は88.12 %であり、また、配列番号1で表される塩基配列における開始コドンから終始コドンまで(塩基配列の番号100から2520まで)と前記公知のチャイニーズハムスターのORFの配列の相同性は、91.72%である。
本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは、配列番号1で表される塩基配列と同一、もしくは少なくとも93%、95%または98%の同一性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドであって、脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内に活性化される脂肪細胞分化を促進するタンパク質をコードし、且つ、脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内に活性化されるポリヌクレオチドである。
また、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1で表される塩基配列の番号100から2520にわたり同一もしくは少なくとも93%、95%または98%の同一性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドであって、脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内に活性化し且つ脂肪細胞分化を促進する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドである。
配列番号1で表されるマウスのクローン24ポリヌクレオチドと配列番号9で表されるヒトのクローン24ポリヌクレオチドとの一致率は、2089/2444 (mouse vs human) 、即ち、85.47%となる。
前記チャイニーズハムスター由来のmRNAの配列と配列番号9で表される塩基配列のヒトポリヌクレオチドの相同性は87.36%であり、また、配列番号9で表される塩基配列のヒトポリヌクレオチドにおける開始コドンから終始コドンまで(塩基配列の番号26から2425まで)と前記公知のチャイニーズハムスターのORFの配列の相同性は、87.53%である。
本発明の上記各ポリヌクレオチドは、脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内、特に6時間前後のマウスの細胞から抽出することができる。また、ゲノムDNA、細胞・組織由来のcDNA、細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAの何れからでも本発明のポリヌクレオチドを得ることができる。本発明の「ポリヌクレオチド」には、DNAまたはRNAがある。
本明細書で単に「クローン」と呼ぶ場合には、クローン24ヌクレオチド又はクローン24ポリヌクレオチドを意味することがある。
本発明のタンパク質は、脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内、特に6時間前後に活性化されるタンパク質であって、脂肪細胞分化を促進するタンパク質である。
本発明のタンパク質は、好ましくは、下記配列番号2で表されるタンパク質のアミノ酸配列の全長にわたり少なくとも96%、98%または100%の相同性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質である。さらに好ましくは、本発明のタンパク質は、配列番号1で表されるポリヌクレオチドの塩基配列の番号100から2520にわたり少なくとも96%、98%または100%の相同性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドの遺伝子翻訳産物である。
下記配列番号2で表されるタンパク質のアミノ酸配列と100%の相同性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質には、マウスの脂肪細胞分化の初期に活性化されるタンパク質が挙げられる。該タンパク質をマウスのクローン24タンパク質と呼ぶ。
本発明のポリヌクレオチドは、脂肪細胞分化誘導開始後12時間以降に発現するタンパク質であるPPARγ、C/EBPα, C/EBPδ、SREBP−1の発現に関係し、特に、PPARγの発現に密接に関係する。本発明のタンパク質は、PPARファミリーやC/EBPファミリー、SREBP−1/ADD1などの転写因子に直接的あるいは間接的に作用していると考えられるし、或いはこれ以外の経路を刺激している可能性も考えられる。
本発明のポリヌクレオチドあるいは、該ポリヌクレオチドの遺伝子翻訳産物として生産されるタンパク質またはペプチドは、肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病、動脈硬化による心臓病や脳卒中等から選ばれる生活習慣病の治療または診断に有用である。
配列の相同性
本発明における相同性に関する記載において、例えば、「塩基配列と同一もしくは少なくとも93%の同一性」とする理由は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/にアクセッション番号がAF371372で、2794bpの長さで登録されているチャイニーズハムスター由来のmRNAの配列と、配列番号1で表される塩基配列との相同性は88.12%であり、また、配列番号1で表される塩基配列における開始コドンから終始コドンまで(塩基配列の番号100から2520まで)と前記公知のチャイニーズハムスターのORFの配列の相同性は、91.72%であることから、該mRNAの配列を除外するためである。
本発明のポリヌクレオチドのクローニング
本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドのクローニングの手段としては、例えば、本発明のタンパク質の部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のタンパク質の一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning )2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989 )に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。クローン化されたタンパク質をコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
ポリヌクレオチドを発現させるベクター等
本発明のベクターは、配列番号1で表されるポリヌクレオチドと同一もしくは少なくとも93%の同一性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含有させた組み換えベクターであり、好ましくは、配列番号1で表される塩基配列の番号100から2520の塩基配列を含むポリヌクレオチドを含有させた組み換えベクターである。
本発明のポリヌクレオチド配列を有するベクターは既知の方法で構築することが可能である。こうした目的に適したベクターは、本発明のポリヌクレオチドの挿入部位の上流にプロモーター領域を有する。このプロモーターは既知のものを使用することが可能であり、宿主細胞により選択することが可能である。例えば、宿主を大腸菌などの細菌にした場合は、lacプロモータ、trpプロモータ、T7プロモータ、tacプロモータ、λPLプロモータなどを利用することが可能である。酵母を宿主とする場合には、GAPDHプロモータ、ADHプロモータ、PGKプロモータ、PH05プロモータなどが挙げられる。動物由来の細胞を宿主とした場合には、ヒトサイトメガロウイルスプロモータ、SV40ウイルス由来のプロモータ、EF−1αプロモータ、βアクチンプロモータ、メタロチオネインプロモータなどが挙げられる。本発明のポリヌクレオチドを発現するベクターにおける本発明のポリヌクレオチドの挿入部位下流には、転写終結シグナルがあることが望ましい。さらに、該ベクターには薬剤耐性マーカーなどの識別マーカーがあることが望ましい。
宿主
本発明で使用可能な宿主には、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などを用いることができる。
エシェリヒア属菌の具体例としては、Escherichia coli JM109〔ATCC53323、東洋紡株式会社製〕、JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309( 1981) 〕,K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. N. A. S.USA),60巻,160( 1968) 〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)〕,120巻,517( 1978) 〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459( 1969) 〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440( 1954) 〕などが挙げられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis )MI114〔ジーン,24巻,255( 1983) 〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry ),95巻,87( 1984) 〕などが挙げられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R- ,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe )NCYC1913,NCYC2036、サッカロマイセスピキアパストリス(Saccharomyces picjiapastoris)などが挙げられる。
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni の中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia ni の卵由来のHigh FiveTM 細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea 由来の細胞などが挙げられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N 細胞;BmN細胞)などが挙げられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィトロ(in Vitro),13, 213-217,(1977) )などが挙げられる。
昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが挙げられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592( 1985) 〕。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero ,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO〔略語:CHO(dhfr- )細胞〕,マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3などが用いられる。
形質転換体の製造
本発明の形質転換体は、前記組み換えベクターを前記宿主に保持させたものである。
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Nat. Acad. Sci. USA),69巻,2110( 1972) やジーン(Gene),17巻,107( 1982) などに記載の方法に従って行なうことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics ),168巻,111( 1979) などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology ),194巻,182−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.USA),75巻,1929( 1978)などに記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988) )などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8新細胞工学実験プロトコール.260−272(1994)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456( 1973) に記載の方法に従って行なうことができる。
形質転換体の培養
本発明の形質転換体の培養は以下の条件を考慮したタンパク質の生成に十分な条件下で、形質転換体を培養することができ、その結果、培地または形質転換体からタンパク質を回収することができる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Experiments in Molecular Genetics ),431−435,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.USA),77巻,4504( 1980) 〕や0. 5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.USA),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium (Grace, T.D.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science ),122巻,501( 1955) 〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,397( 1959) 〕,RPMI1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association )199巻,519( 1967) 〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・エキスペリメンタル・バイオロジー・アンド・メディスン(Proceedings of the Society for Experimental Biology and Medicine ),73巻,1( 1950) 〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。以上のようにして、形質転換体の細胞内に本発明のタンパク質を生成せしめることができる。
無細胞系によるタンパク質生成
上述した形質転換体を培養することによってタンパク質を生成させる以外に、インビトロテック社(http://www.invitrotech.co.jp/)の高効率無細胞タンパク質合成システムやRoche社のインビトロトランスレーション・トランスクリプションシステムなどを用いた無細胞培養システムを用いることによって、当該タンパク質を生成させることも可能である。
タンパク質の分離精製
上記培養物から本発明のタンパク質を分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100(登録商標、Union Carbide 社製)などの界面活性剤が含まれていてもよい。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的新和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
上記各方法で得られるタンパク質が遊離体で得られた場合には、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。なお、組換え体が産生するタンパク質を、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。かくして生成する本発明のタンパク質またはその塩の存在は、標識したリガンドとの結合実験および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
ヒトホモログのクローニング
脂肪細胞分化誘導開始12時間以内に活性化されるポリヌクレオチドであって、前記に決定した配列番号1で示されるマウスの全長DNA配列をNCBI Genome Sequencing(Human Genome Database)でホモロジーサーチすることによって相同性の高い配列を見出して、ヒトホモログの全長を予測することができる。ヒトホモログのクローニングにはRT−PCR法などが適用できる。このようにして予測し、実際にRT−PCR法により配列決定を行ったヒトホモログの全長は、配列番号9で示される塩基配列である。また、配列番号9で示されるヒトホモログの全長の塩基配列から、該塩基配列は800アミノ酸からなるタンパク質をコードする遺伝子であり、該タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号10であると予想される。
ポリヌクレオチドの検出方法;ポリヌクレオチドによる診断
診断対象者の本発明のタンパク質の活性化に関連した、診断対象者における疾病、またはかかる疾病に対する感受性の診断は次のように行うことができる。即ち、診断対象者のゲノム中の本発明のタンパク質をコードしている塩基配列中の変異の存在または不存在を決定すること;および/または該対象者由来の試料中の本発明のタンパク質の存在または量を分析することにより行う。
本発明のポリヌクレオチドを検出あるいは測定するには、本発明のポリヌクレオチドの塩基配列から連続する8塩基以上100塩基以下の配列を有するプライマーを合成し、細胞あるいは血液などからmRNAを抽出し、RT−PCR法によりmRNAをDNAに変換しながら増幅する、あるいはT7−based mRNA増幅法(Van Gelder R.N. et al.; Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:1663-1667,1990)により、目的ポリヌクレオチドを増幅し、増幅されたポリヌクレオチドを種々の電気泳動で検出することが可能である。また、Cy3−dUTPあるいは、Cy5−dUTPをポリヌクレオチド増幅時に添加して、増幅ポリヌクレオチドを蛍光標識し、DNAマイクロアレイ等(Brown, P.O.et al.:Nature Genet.,21 sup.:33-37,1999)により検出することも可能である。
また、抽出したmRNAの量を定量する方法としては、蛍光色素を用いた定量的PCR法が行われる(羊土社 non−RI実験の最新プロトコール 栗原ら編 1999 83−89)。この方法により、細胞中のmRNAがどの程度存在するかがわかる。この発現の程度によって、肥満の状況を把握することができる。
DNAマイクロアレイを用いて、複数のポリヌクレオチドを同時に検出、測定することも可能である。例えば、糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣病に関連する、本発明のポリヌクレオチドを含む複数のポリヌクレオチドを基盤上に結合させておき、上述したような方法で、検体から調製した標識ポリヌクレオチドを反応させてどのポリヌクレオチドが活性化しているのか、存在しているのかということを判定することが可能となる。この判定によって、生活習慣病の状況を把握し、治療に役立てることが可能になる。また、本発明のポリヌクレオチドを含む複数の肥満関連ポリヌクレオチドを基盤上に結合させておき、同様の手技により、肥満の状況、程度を把握することが可能となり、治療に役立てることが可能となる。
また、本発明のポリヌクレオチドを検出するにはアプライドバイオシステム社のABI PRISM310あるいはPRISM3100あるいはPRISM3700などを利用したキャピラリー電気泳動による検出も可能である。
ポリヌクレオチド中の特定の核酸塩基が他の塩基と置換されていることにより、遺伝子産物としてのタンパク質の活性が変化する、本発明のタンパク質のその受容体への結合能が変化する、或いは該タンパク質の薬剤に対しての反応性が変化する、或いは該タンパク質の安定性が変化する、或いは該タンパク質の合成が途中で停止してしまうなどの、遺伝子多型(single nucleotide polymorphisms 、以下SNPs)が、非常に重要であることがわかってきているが、本発明のポリヌクレオチドにおいても、このSNPsを検出する意義は非常に重要である。
本発明の脂肪細胞分化関連のポリヌクレオチドの高密度のSNPマーカーの遺伝子地図がつくられれば,糖尿病の原因遺伝子を特定できるSNPを用いて健康者と患者間の比較が容易にできる。高密度のSNPsマップを使えば家族と関連のない大規模なサンプルを用いて相関解析(Whole Genome Association Study)が可能となる。SNPsは、特に1塩基が置換することにより、対応するアミノ酸が変化し、この変化によって本来の蛋白質の物性の変化が生じる。例えば、酵素においては活性中心近傍のアミノ酸が変化することによる酵素活性の低下や亢進が挙げられ、受容体であれば受容中心近傍のアミノ酸が変化することによる結合力の低下や上昇が挙げられる。それぞれの人の遺伝子多型に応じて、薬剤の投与量を調整したり、異なる薬剤を選択することをテーラードメディシンなどと云われる。
本発明のポリヌクレオチドにおけるSNPsを検出する方法としては、例えば、アメリカNanogen 社(http://www.nanogen.com)のnanochipを用いる方法(Gillesら、Nature biotechnology 17, 365-370, 1999)、ポリヌクレオチド配列を決定する方法(http://www.pyrosequencing.com における"Principle of Pyrosequencing" )、DNAチップ又はDNAアレイを用いた方法、質量分析計を用いる方法(Leglerら、 Transfusion,36:426-431、1996 )、プライマーエクステンションを用いた方法、Luminex法(Iannone ら、Cytometry,39:131-140,2000 )などが適用可能である。
上記各ポリヌクレオチドの検出のために構成される診断薬は、配列番号1で表される塩基配列の同一もしくは少なくとも80%の相同性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチド或いは該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのうち、連続する少なくとも10個の塩基配列を有するポリヌクレオチドを含む診断薬が挙げられる。
また、配列番号1で表される塩基配列の番号100から2520にわたり同一もしくは少なくとも80%の相同性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのうち、連続する少なくとも10個の塩基配列を有するポリヌクレオチドを含む診断薬とすることができる。特に、ヒトのポリヌクレオチドの検出のために構成される診断薬は、配列番号9に表される塩基配列を含むポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのうち、連続する少なくとも10個の塩基配列を有するポリヌクレオチドを含む診断薬である。
さらに好ましいヒトのポリヌクレオチドの検出のために構成される診断薬は、配列番号9で表される塩基配列の番号26から2425の塩基配列を含むポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのうち、連続する少なくとも10個の塩基配列を有するポリヌクレオチドを含む診断薬である。
タンパク質またはペプチドの検出、およびタンパク質またはペプチドに対する抗体の検出、および診断への応用
本発明のタンパク質を検出するには、免疫測定法が一般的に用いられる。例えば、配列番号2または配列番号10で示されるタンパク質、あるいはそれらの各配列に含まれる3個以上の連続したアミノ酸配列からなるペプチドを、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ニワトリなどに免疫して抗体を産生させることができる。この免疫を行う際に、通常、アジュバントといわれる物質を加えるのが一般的である。アジュバントとしては、フロイントのコンプリートアジュバント、インコンプリートアジュバント、明礬など種々の公知のアジュバントを用いることががきる。マウスを免疫した場合では、一定期間免疫を行った後、免疫したマウスの脾臓を取り出して、抗体産生細胞であるこの脾臓細胞とミエローマ細胞と融合させて、クローニングを行って配列番号2のタンパク質を特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマを調製する。
ハイブリドーマを培養することによって、産生する抗体を種々の方法で精製し、得られた抗体を固相に結合させる。これとは別に、該抗体を酵素、蛍光色素、金属コロイド、ラテックス、DNA、RNAなどで標識して標識化抗体を得る。前記固相化抗体と該標識化抗体を、細胞、血液あるいはその分画フラクションを検体として反応させ、固相に結合した標識物の有無、あるいは量を測定することにより、検体中の本発明のタンパク質の量を測定することができる。
本発明のタンパク質は、脂肪細胞内に特異的に見出されるために、その量を測定することによって肥満の程度、状況を把握することが可能となる。
検体中に含まれる本発明のタンパク質の量を測定するには、該タンパク質あるいは該タンパク質の一部となるペプチドを抗原として、家兎、ネズミ、ヒツジ、ヤギなどに免疫して抗体を調製する(この場合、特定の認識部位に結合することが出来るモノクローナル抗体を調製することも含まれる。)。ここで得られた抗体を、ポリスチレン、ラテックス、ニトロセルロースなどの材質のものに物理的に吸着させる、あるいは、抗体にビオチンを予め導入しておき、固相に予め結合させておいたストレプトアビジンまたはアビジンなどと反応させて固相を調製する、あるいは、固相上に存在するカルボキシル基、アミノ基、スルフヒドリル基などを介して、抗体を共有結合させることにより、抗体結合固相を調製する。ここで得られた抗体結合固相と、細胞、血液あるいはその分画フラクションを検体として反応させ、検体中に含まれる抗原を固相に結合させ、次いで、抗体結合固相に結合した抗原に、上述した工程によって調製した抗体に、放射性同位元素、酵素、蛍光色素、核酸、ビオチンなどの標識を結合させた標識抗体を反応させる。なお、抗体結合固相と検体と標識抗体を反応させる工程は、同時に行うこともできる。こうして固相に結合した標識物を、測定することによって検体中に含まれる該タンパク質を測定することが出来る。
抗体を検出する方法は、これとは別に以下のような方法でも可能である。すなわち、本発明のタンパク質あるいは該タンパク質の一部となるペプチドを抗原として固相化して抗原固定化固相とし、次いで、該抗原固定化固相に対して、抗原に標識した物質と、細胞、血液あるいはその分画フラクションを検体として反応させ、結合した標識物を、定量することによって、検体中に含まれる抗体量を測定することができる。したがって、本発明のタンパク質に対して免疫学的に特異的な抗体を検出する診断薬を構築できる。
以上、いずれも抗原あるいは抗体を直接固相化した反応系を説明したが、米国特許第5,789,165のように、固相にオリゴヌクレオチドを結合させておき、このオリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチドを結合させた抗原あるいは抗体を結合させた反応系も適用可能である。さらに、特開平10−253632号公報、EP0905517A1の記載にあるように、異なる項目を同時に検出あるいは測定することも可能となる。例えば、糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣病に関連するマーカーを同時に検出することにより、どのタンパク質がどの程度検出されるかによって生活習慣病がどの程度のレベルであるのかを判断することも可能になると考えられる。また、肥満関連のタンパク質あるいはペプチドなどのマーカーを同時に検出、測定することによって、肥満の状況を把握し治療に役立てることも可能になると考えられる。
本発明のタンパク質、あるいは該タンパク質に対する抗体を免疫学的に検出するためには上述した方法以外に、免疫凝集法による方法(特開平6−3358号公報)、Biacore International AB(スウェーデン)社(http://www.biacore.co.jp)のBIAcore などによる表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance =SPR )による方法、水晶発振子を用いた方法(特開平9−292397号公報)、などによる方法が挙げられる。
以上の本発明のタンパク質を検出するためのに構成される診断薬は、本発明のタンパク質またはその塩を含有している診断薬が挙げられる。また、好ましい態様の本発明の診断薬は、本発明のタンパク質またはその塩の連続する少なくとも5個のアミノ酸からなるタンパク質またはペプチドを含む診断薬が挙げられる。また、本発明のタンパク質を検出するための別の診断薬は、本発明のタンパク質に対する抗体を含有する診断薬が挙げられる。
治療目的の使用
本発明は、過剰または不十分な量の本発明のタンパク質あるいは該タンパク質の一部を構成するペプチドの活性に関連する、肥満症、高血圧症、高脂血症、糖尿病、腎臓疾患、インスリン耐性、脂肪異栄養、CNS疾患、並びに動脈硬化による心臓病又は脳卒中、等の生活習慣病のごとき異常な状態の治療方法を提供する。本発明のタンパク質あるいは該タンパク質の一部を構成するペプチドの活性が過剰な場合、いくつかの方法を用いることができる。
1つの手段は、有効量の上記阻害剤化合物(アンタゴニスト)を医薬上許容される担体と調合してなる医薬を治療対象者に投与して、本発明のタンパク質あるいはペプチドへのリガンドの結合をブロックすることあるいは第2のシグナルを阻害することにより活性化を阻害し、そのことにより異常な状態を改善することを特徴とする。
他の手段は、本発明のポリヌクレオチドを活性化する治療上有効量の化合物(すなわち、アゴニスト)を医薬上許容される担体と調合してなる医薬を投与し、そのことにより異常な状態を改善することを特徴とする。
もう1つのアプローチにおいて、本発明のタンパク質あるいはペプチドと競争してリガンドに結合する能力を有している可溶性形態の本発明のタンパク質あるいはペプチドまたはそれらの塩を投与してもよい。かかる競争物質の典型的な具体例は本発明のタンパク質あるいは該タンパク質の一部を構成するペプチドを含む。即ち、本発明の医薬は該タンパク質或いはその塩、または該タンパク質或いはその塩の連続する少なくとも5個のアミノ酸からなるペプチドを含む医薬とすることができる。
さらにもう1つの方法において、発現ブロック法を用いて本発明のポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを投与して、遺伝子の活性化を阻害してもよい。
このような本発明の医薬は、配列番号1で表されるクローン24ポリヌクレオチドの塩基配列と同一もしくは少なくとも80%の相同性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含有する医薬である。好ましくは、配列番号1で表される塩基配列と同一もしくは少なくとも80%の相同性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのうち、連続する少なくとも10個の塩基配列を有するポリヌクレオチドを含む医薬であり、さらに好ましくは、配列番号1で表される100から2520番目にわたり同一もしくは少なくとも80%の相同性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドあるいは該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのうち、連続する少なくとも10個の塩基配列を有するポリヌクレオチドを含む医薬である。
これらの医薬は、ATGの前後の配列のアンチセンスを治療薬に利用するものである。これらの医薬には公知の方法で、細胞内で生成した、あるいは別個に投与された、アンチセンス配列を用いることができる。例えば、Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton, FL(1988) 中、Okano, J.Neurochem Vol.56, p560(1991) 。別法として、遺伝子とともに三重らせんを形成するオリゴヌクレオチドを提供してもよい。例えば、Lee et al.,Nucleic Acids Res(1979)6:3073; Cooney et al., Science(1988)241:456; Dervan et al.,Science(1991)251:1360。これらのオリゴマーはそれ自体投与することができ、あるいは関連オリゴマーをインビボで活性化させることもできる。
別法として、遺伝子治療を用いて、治療対象者中の細胞による本発明のポリヌクレオチドの細胞内での生成を有効ならしめてもよい。例えば、上記のごとく本発明のポリヌクレオチドを処理加工して複製欠損レトロウイルスベクターに入れて活性化するようにしてもよい。次いで、レトロウイルス発現構築物を単離し、本発明のタンパク質をコードしているRNAを含むレトロウイルスプラスミドベクターでトランスダクションしたパッケージング細胞中に導入して、次いでパッケージング細胞が目的のポリヌクレオチドを含む感染性ウイルス粒子を生成するようにしてもよい。これらのプロデューサー細胞を治療対象者に投与して細胞をインビボで処理加工して、インビボでタンパク質を活性化するようにしてもよい。遺伝子治療の方法には、Human Molecular Genetics,T.Strachan and A.P.Read,BIOS Scientific Publishers Ltd(1996) 中、第20章、Gene Therapy and other Molecular Genetic-based Therapeutic Approaches (およびその中の引用文献)が適用可能である。
本発明のクローン24タンパク質を構成するアミノ酸配列の一部からなるペプチドに対する抗体を含有させて医薬とすることができる。このような抗体を投与した場合には、脂肪細胞分化活性を減弱させることが期待できる。
処方および投与
本発明のタンパク質の増強された活性化を必要とする治療対象者の治療方法においては、可溶性形態の配列番号2で表される本発明のタンパク質の全長にわたり同一もしくは少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質、または該タンパク質の一部を構成するペプチド、またはそれらの塩、ならびに該タンパク質または該タンパク質の一部を構成するペプチドに対する抗体またはそれらの小型分子の治療上有効量を医薬として治療対象者に投与してもよい。
かかる処方は、治療上有効量の前記物質、またはそれらの塩、および医薬上許容される担体または賦形剤を含んでなる。かかる担体としては、セイライン、緩衝化セイライン、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限らない。処方は投与経路に適したものとすべきであり、当業者によく知られている。さらに本発明は、上記本発明成分の1種またはそれ以上を充填した、1個またはそれ以上の容器を含んでなる医薬パックおよびキットにも関する。
本発明のタンパク質および他の化合物を単独で使用してもよく、あるいは治療化合物のごとき他の化合物と一緒に使用してもよい。医薬組成物の全身投与の好ましい形態は、注射、典型的には静脈注射を包含する。皮下、筋肉内または腹腔内のごとき他の注射経路を用いることもできる。全身投与のための別の手段は、胆汁酸塩またはフシジン酸または他の界面活性剤のごとき浸透剤を用いる経粘膜または経皮投与を包含する。さらに、腸溶処方またはカプセル処方がうまく処方されるならば、経口投与も可能である。これらの化合物の投与は局所的なものであってもよく、膏薬、パスタ、ゲル等の形態であってもよい。
必要な用量範囲は、ペプチド、投与経路、処方の性質、治療対象者の症状の性質、および担当医師の判断による。適当な用量は治療対象者の体重1kgあたり0.1ないし100μgの範囲である。しかしながら、種々の使用化合物および種々の投与経路のさまざまな有効性を考慮すれば、必要な用量は広範囲なものと思われる。例えば、経口投与には静脈注射よりも多い用量が必要であると考えられる。当該分野においてよく理解された最適化のための標準的な常套的実験を用いてこれらの用量の変更を行うことができる。
しばしば「遺伝子治療」と称される上記治療方法において、治療に使用する本発明のタンパク質を治療対象者中において生成させることもできる。よって、例えば、レトロウイルスプラスミドベクターを用いることにより、タンパク質をコードしているDNAまたはRNAのごときポリヌクレオチドを用いて治療対象者由来の細胞をエクスビボで処理加工してもよい。次いで、処理された細胞を治療対象者に導入する。
脂肪細胞への分化の確認
脂肪細胞に分化することが可能なマウス3T3−L1細胞(ATCC No.CCL−92.1.)を、基本培地(DMEM, 40μg/ml KM, 10% Calf Serum )を用いて5% CO2 、37℃においてcollagen type I dish (FALCON社製) 中で培養した。細胞がコンフレントに達してから2日間おき、細胞が休止期に入った後、培地を分化誘導培地(DMEM, 40μg/ml KM, 10% FBS, 0.5mM 1−メチル−3−イソブチルキサンチン(以下、Mix と呼ぶ)、10μg/ml インシュリン、1μM Dexamethasone(以下、Dex と呼ぶ)に変えこの分化条件において48時間培養し、培地を分化促進培地(DMEM, 40μg/ml KM,10% FBS, 5μg/ml insulin)に変えた。2日おきに分化促進培地で培地交換を行った。マウス3T3−L1細胞(ATCC No.CCL−92.1.)は、4日目頃から小さな脂肪滴を含み始め、一週間後には成熟した脂肪細胞へ分化することを確認した。
mRNAの調製
脂肪細胞分化誘導前と分化誘導開始3時間後のマウス3T3−L1細胞(ATCC No.CCL−92.1.)からTRIzol(GIBCO BRL 社製)を用いて、TRIzol(GIBCO BRL 社製)に添付されている取扱説明書に従い、各々のマウス3T3−L1細胞起源の全量RNAを調製した。これらの各全量RNAからOligotex-dT 30( 第一化学薬品社製) を用いて、添付されている取扱説明書に従って、脂肪細胞分化誘導前のmRNAと、脂肪細胞分化誘導3時間後のmRNAを調製した。
PCR-select cDNA Subtraction 法による脂肪細胞分化誘導後3時間目の活性化の測定
公知のPCR selectcDNA subtraction kit (CLONTECH Laboratories 社製) に従って以下のi)−vii)工程を行った。
i)テスターcDNA、ドライバーcDNAの合成
前記実施例2で調製したマウス3T3−L1細胞(ATCC No.CCL−92.1.)由来の脂肪細胞分化誘導前のmRNAをドライバーmRNAとし、前記実施例2で調製した脂肪細胞分化誘導3時間後のmRNAをテスターmRNAとした。これらのドライバーmRNAおよびテスターmRNAから1本鎖cDNAを合成し、次いで、2本鎖のドライバーcDNA、テスターcDNAを合成した。
ii) 制限酵素RsaIによる2本鎖cDNAの切断
前記工程i)で得られた2本鎖のドライバーcDNAとテスターcDNAの各々を制限酵素RsaIで切断し、平滑末端(blunt end)の断片を作った。
iii)アダプターのライゲーション
前記工程 ii)で得られた切断されたテスターcDNAを二つのグループに分け、一方にアダプター1をライゲーションし、他方にアダプター2をライゲーションした。
iv)ファーストハイブリダイゼーション
前記工程iii)で得られたアダプターをライゲーションした2種類のテスターcDNAと過剰量のドライバーcDNAとの間で別々にハイブリダイゼーションを行った。
v)セカンドハイブリダイゼーション
さらに過剰量のドライバーcDNAと、前記 iv)工程で得られたドライバーcDNAをハイブリダイズしてなる2種類のテスターcDNAを合わせ、ハイブリダイゼーションを行った。
vi) ファーストPCR
前記 iv)工程で得られたハイブリダイズされたテスターcDNAを2種類のアダプター部位間で共通なプライマーを用いてPCR法を行ってDNAを増幅させた。
vii)セカンドPCR
最後に2種類のアダプター部位に特異的な2種類のプライマーを用いてPCR法を行いDNAを増幅させた。
ドライバーcDNAとハイブリダイズしてなるテスターcDNAは増幅されなかった。一方、テスター特異的、つまり分化誘導3時間後に活性化が増加しているポリヌクレオチド(遺伝子)のみ増幅された。
PCR産物のサブクローニング及びクローン24のプラスミド
図1にクローン24マウスcDNAの略図を示す。前記実施例3のサブトラクション法で得られたセカンドPCR法を行った後の増幅されたポリヌクレオチドを含む反応液をフェノール抽出、CIAA抽出後、EtOH沈殿を行い、DNAのペレットを滅菌水17μl に溶解し、10units のRsaIで10mM Tris−HCl(pH 7.5), 10mM MgCl2 , 1mMDTT条件下、37℃一晩反応させアダプターを切断した。0.7%アガロースゲルで電気泳動後、DE81(Whatman 社製)を用いて精製して、DNA断片Su(図1参照)を得た。
該DNA断片Suの情報を元にプライマーを設計し、5’−RACEを行った結果、約2Kのバンドが得られたので、これを回収してヌクレオチドR−5’と呼んだ(図1参照)。該ヌクレオチドR−5’をTベクター(pBluescript KS +) にサブクローニングして、DSQ−1000(島津製作所社製)により、塩基配列を決定した。一方、クローン24の3’側の配列を用いてデータベースに対して検索すると一致する塩基配列がESTに登録されており、この塩基配列を参考にプライマーを設計しRT−PCRを行った。その結果、約700bpのバンドが得られたので、これを回収してヌクレオチドRTと呼んだ(図1参照)。該、ヌクレオチドRTをT ベクター(pBluescript KS +) にサブクローニングして、DSQ−1000(島津製作所社製)により、塩基配列を決定した。このようにして、マウス3T3−L1細胞(ATCC No.CCL−92.1.)由来のクローン24のcDNA全長である2782bpのクローンポリヌクレオチドを得た。該ポリヌクレオチドをクローン24ポリヌクレオチドと呼ぶ。
翻訳開始コドンは100塩基目のATGを翻訳開始コドンと仮定した。その結果クローン24ポリヌクレオチドは807アミノ酸をコードする遺伝子であると予想された。決定したクローン24ポリヌクレオチドの塩基配列と、該塩基配列から予想したアミノ酸配列に対してデータベースを用いたホモロジー検索をhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/において検索したところ、機能が全く記載されていないチャイニーズハムスター由来のmRNAの配列が該当し、アクセッション番号がAF371372で、2794bpの長さで登録されていることが分かった。配列番号1で表される塩基配列と該チャイニーズハムスター由来のmRNAの塩基配列との相同性は88.12%であり、また、配列番号1で表される塩基配列における開始コドンから終始コドンまで(塩基配列の番号100から2520まで)と前記公知のチャイニーズハムスター由来のORFの配列の相同性は、91.72%であるから、クローン24ポリヌクレオチドは新規の遺伝子であると考えられる。
5’末端を脱リン酸化したpBluescript KS+/EcoRV ベクター50ngとDNA断片150ngをそれぞれライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液1.2μl をコンピテントセルとしてEscherichia coli JM109〔ATCC53323、東洋紡株式会社製〕にheat shock法によりトランスフォームして、サブクローニングされたクローン24のプラスミドを得た。本実施例4で製造された形質転換体は、国際寄託当局である独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM BP−7803として寄託されている。該形質転換体は、該国際寄託当局に2000年11月29日(原寄託日)にFERM P−18131号として原寄託され、そして、該原寄託より2001年11月16日にブダペスト条約に基づく寄託へ移管された。
塩基配列およびアミノ酸配列の決定
クローン24ポリヌクレオチドの塩基配列の決定は、ABI PRISM 310 (Perkin-Elmer社製)およびDSQ 1000(島津製作所社製)を用いて行った。得られたクローン24ポリヌクレオチドの塩基配列を、配列番号1に示す。クローン24ポリヌクレオチドは2782塩基から構成されていることが分かった。また、クローン24ポリヌクレオチドのコドン配列からアミノ酸配列を推定すると、該ポリヌクレオチドはアミノ酸が807個のクローン24タンパク質をコードすることが分かる。クローン24タンパク質のアミノ酸配列を配列番号2に示す。
既存塩基配列、アミノ酸配列との比較
クローン24ポリヌクレオチドの塩基配列およびクローン24タンパク質のアミノ酸配列について、Genbank 、EMBL、EST 、Swiss Protの各々のデータベースでホモロジー検索を行った。FASTA およびBLASTNを行った結果、クローン24ポリヌクレオチドの塩基配列については登録されている機能が既知のポリヌクレオチドとは相同性が無く、前駆脂肪細胞が脂肪細胞に分化する際に特異的に活性化されるポリヌクレオチドとして新規の物質であることが分かった。
また、BLASTNP を行った結果、クローン24タンパク質のアミノ酸配列についても登録されている機能が既知のタンパク質とは相同性が無く、前駆脂肪細胞が脂肪細胞に分化する際に特異的に活性化されるタンパク質として新規の物質であることが分かった。
インサートの回収およびプローブの作成
前記実施例4で得られたサブクローニングされたクローン24のプラスミドをMolecular Cloning に記載の方法に従いアルカリSDS法により調製し、このプラスミドを制限酵素XbaI, HindIII で切断後、1.0%アガロースゲルで電気泳動し、インサートに相当するバンドをDE81(Whatman 社製)を用いて回収した。50〜100ngのDNA断片をBcaBEST TM Labeling kit (TaKaRa社製)を用いて[α- 32P ]dCTP(Amersham pharmacia biotech社製)で標識し、標識プローブを得た。得られた標識プローブをSephadex G-50 (Amersham pharmacia biotech社製)を用いたカラムに通し、32P標識プローブを調製した。
ノザンブロット解析
脂肪細胞分化誘導開始前(0時間)と分化誘導開始0.5、1、3、6、12、24時間後のマウス3T3−L1細胞(ATCC No.CCL−92.1.)からそれぞれ調製した総RNA25μg を1%変性ゲル(2%formaldehyde,1×Mops, 1%アガロース)で電気泳動した。ゲルを50mM NaOH 25分(アルカリ変性)、200mM NaOAc(pH4.0)、40分 (中和) 処理後、RNA をHybondN+(Amersham pharmacia biotech社製)にトランスファーした。トランスファーは12時間以上行い、バッファーは20×SSC を用いた。トランスファーしたフィルターを50mM NaOH ,5分間処理後、2×SSC で洗浄し、80℃、2時間乾燥させた。その後、UV照射を行い固定した。
ハイブリダイゼーションバッファー (5× SSPE,50%formaldehyde, 5×Denhardt's, 0.1% SDS, 20μg/ml salmon sperm DNA) で42℃一晩、プレハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションバッファーを新しく変えた後、熱変性したプローブを加え42℃一晩、ハイブリダイゼーションを行った。その後、フィルターを一次洗浄液(2× SSPE 0.1% SDS)を用いて室温で10分間、さらに一次洗浄液を用いて55〜65℃で15分間、二次洗浄液(1× SSPE 0.1% SDS)を用いて65℃で15分間、三次洗浄液(0.5× SSPE 0.1% SDS)を用いて65℃で10分間の条件で洗浄し、オートラジオグラフィーを行った。得られた結果を、図2に示す。
図2のオートラジオグラムによれば、クローン24ポリヌクレオチドより調製した標識プローブは、脂肪細胞分化誘導開始前(0時間)の細胞から調製したmRNAとは反応しないが、分化誘導開始6時間目をピークとして、3時間目から12時間目の細胞から調製したmRNAは反応することが分かった。このことから、クローン24ポリヌクレオチドにクローニングされている配列は、脂肪細胞分化に特異的に活性化されている配列であることが分かった。
mRNAの局在部位の特定
i)プラスミドの構築
配列番号1で示されるクローン24のポリヌクレオチドの全長をRT−PCRにより増幅し、回収精製後、GFP発現ベクターである、pEGFP (Clontech社製)にサブクローニングした。
ii)プラスミドの精製
前記のサブクローニングしたプラスミドを、Triton lysis法により、塩化セシムを用いて2回超遠心分離を行い、スーパーコイルプラスミドDNAを精製した。
iii )トランスフェクション
lipofectamine (GIBCO BRL社製) 法を用い、前記工程で得られたスーパーコイルプラスミドDNAを、脂肪細胞に分化する機能が失われたマウスNIH/3T3 clone 5611細胞(JCRB 0615)にトランスフェクションした。トランスフェクトされた細胞を2日後にPBS(-)で3回洗浄した。次いで、径6cmのシャーレに収容されている4%パラホルムアルデヒドを含むPBS(−)3mlで30分間処理して細胞を固定した。次いで、細胞をPBSで二回洗浄し、洗浄後蛍光顕微鏡(BX-50 、OLYMPUS 社製)でGFPの発現を観察した。図3(c)は、上記工程により細胞内に発現したGFPを示す顕微鏡写真である。図3(a)は対照として細胞全体を写した顕微鏡写真である。図3(b)はDAPI法により細胞質内の核のみを染色した顕微鏡写真である。
図3(a)〜(c)の写真を比較すると、クローン24タンパク質をコードするmRNAは核内のみに存在することが明らかである。クローン24ポリヌクレオチドから推定さるクローン24タンパク質のアミノ酸配列がロイシンジッパー構造を形成するかどうかについて、他のロイシンジッパー構造を持つタンパク質であるc−fos、C/EBPα、CREB、Jun Bとを比較すると、何れのタンパク質も、その配列においてロイシンとロイシンの間隔が 7個又は14個で共通するために、クローン24タンパク質もロイシンジッパー構造を持つと推定される。また、クローン24タンパク質をコードするmRNAが核内のみに存在することは、該ロイシンジッパー構造を介してダイマーを形成し、核内で転写因子として機能しているためと推定される。図4はクローン24ポリペプチドの模式図であり、該配列中において、ロイシンジッパー構造と考えられる配列部位を特に示す。
クローン24過剰発現NIH/3T3細胞株の作製
i)プラスミドの構築
クローン24の塩基配列87bpから2636bpを下記の配列番号11で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドを上層プライマーとし、下記の配列番号12で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドを下層プライマーとしてAmpli−Taq Gold(Perkin−Elmer社製)を用いてRT−PCRにより増幅した。0.8%アガロースで電気泳動し、DE81(Whatman社製)で回収精製後、Tベクター(pBluescript SK+)にサブクローニングした。トランスフォームには大腸菌DH5αを用いた。塩基配列をDSQ−1000(島津製作所社製)により確認後、制限酵素BamHI、Xho Iで切断しフラグメントを回収精製し、pDON−AI(TaKaRa社製)のBamHI、Sal I部位にサブクローニングした。
配列番号11
CGC AGG CCT AAG GAT GAA GGC G
配列番号12
CAG GGT CTT CTG TGG CCC TGC TCC
ii)プラスミドの調製
CONCERT (GIBCO BRL 社の登録商標) High purity Plasmid Midiprep Systems(GIBCO BRL 社製)を用いてその取扱説明書に従って行った。
iii)PT67パッケージング細胞の培養
10%FBSを含む高グルコースダルベッコ変法イーグル培地(GIBCO BRL 社製)中、5%CO2 下、37℃で培養した。
iv)トランスフェクション及びウイルス液の回収
トランスフェクションを行う前日に、PT−67細胞を10cm plateあたり7.0×105 個まいた。トランスフェクション当日にクローン24の全長配列を挿入したpDON−AI(TaKaRa社製)あるいはインサートを含まないpDON−AI 14μgをリン酸カルシウム法によってトランスフェクションした。トランスフェクション後72時間の細胞培養上清をウィルス液として回収した。
v)標的細胞NIH/3T3の培養
10%calf serumを含むダルベッコ変法イーグル培地(日水製薬株式会社製)中、5%CO2 下、37℃で培養した。
vi)ウィルスの感染及び単一細胞株のクローニング
感染前日に標的細胞NIH/3T3を10cm plateあたり5.0×105 個まいた。感染当日8μg/mlポリブレン(SIGMA社製)と共に作製したウィルス液5mlを含む培養液を標的細胞NIH/3T3に加えた。感染24時間後に細胞を1/4、1/10、1/100、1/1000へと段階希釈し、0.5mg/mlのG418(ナカライテスク社製)を含む培地中で10日間程度培養し、G418耐性の細胞株、すなわち目的遺伝子が染色体中に組み込まれた細胞、即ち、クローン24過剰発現NIH/3T3細胞株を得た。
作製した細胞のクローン24発現の確認
i)総RNAの回収
前記実施例10で得られたクローン24過剰発現NIH/3T3細胞、及び空ベクターをトランスフェクションしたコントロールNIH/3T3細胞の双方からTRIzol(GIBCO BRL社製)に添付されている取扱説明書に従い総RNAを回収した。
ii)プローブの作製
pBluescript SK+クローン24を制限酵素、Pst I で切断し、0.8%アガロース電気泳動後、クローン24cDNA断片に相当する1.2kbpのバンドを精製した。60ngに相当するDNA断片をBcaBEST(TaKaRa社の登録商標)Labeling kit(TaKaRa社製)を用いて[ α−32P ]dCTP(Amersham pharmacia biotch 社製)で標識しプローブを調製した。
iii)ノザンブロット解析
回収した総RNA10μgを1%変性ゲル(2%formaldehyde、1×MOPS、1%アガロース)で電気泳動した。ゲルを50mM NaOH 25分(アルカリ変性)、200mM NaOAc(pH4.0)40分(中和処理)した後に、RNAをHybondN+(商品名、Amersham pharmacia biotch 社製)にトランスファーした。トランスファーは12時間以上行い、バッファーは20×SSCを用いた。トランスファーしたフィルターを50mM NaOHで5分間処理後、2×SSCで洗浄し、80℃2時間乾燥後、UV照射を行い固定した。
ハイブリダイゼーションバッファー(5×SSPE、50%formamide、5×Denhardt's、0.1%SDS、20μg/ml salmon sperm DNA)で42℃一晩、プレハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションバッファーを新しく替えた後、熱変性したプローブ加え42℃一晩、ハイブリダイゼーションを行った。その後、フィルターを1次洗浄液(2×SSPE、0.1%SDS)を用いた42℃15分間、更に洗浄液を替えて65℃15分間洗浄し、オートラジオグラフィーを行った。得られたオートラジオグラムを図5に示す。
この結果から、実施例10において調製したクローン24過剰発現NIH/3T3細胞株中で、実施例10i)において構築したプラスミドに由来するクローン24のmRNAが発現していることがわかった。
クローン24過剰発現NIH/3T3細胞の脂肪細胞分化
i)分化誘導
前記実施例10で得られたクローン24過剰発現NIH/3T3細胞を10%calf serumを含むダルベッコ変法イーグル培地(日水製薬株式会社製)中、5%CO2 下、37℃でcollagen type I dish(FALCON社製)中で培養した。細胞がコンフレントに達してから2日後に細胞が休止期に入った後、培地を分化誘導培地〔DMEM、10%FBS、0.5mM 1−メチル−3−イソブチルキサンチン(以下、MIXと呼ぶ)、10μg/mlインシュリン、1μM Dexamethasone(以下、DEXと呼ぶ)、BRL49653(Smithkline Beecham Pharmaceutical 社製)〕に変え、この条件で48時間培養し、培地を分化促進培地(DMEM、10%FBS、5μg/mlインシュリン、BRL49653)に変えた。2日おきに分化促進培地で培地交換を行い、8日後まで培養を継続した。
ii)Oil−Red−O染色
分化誘導後8日目の細胞の培養液を除かずに氷冷した4%paraformaldehyde/PBS(−)5mlを加え、室温で20分間放置した。培地を除き氷冷した4%paraformaldehyde/PBS(−)5mlを加え、室温で1時間放置した。蒸留水で3回洗浄し、Oil−Red−O染色液(0.5%Oil−Red−O、60%2−プロパノール)を5ml加え室温に1時間放置した。蒸留水で3回洗浄後、風乾した。染色したプレートを図7に示す。顕微鏡で観察したところコントロール細胞では脂肪滴は確認されなかったがクローン24過剰発現NIH/3T3細胞では脂肪滴の蓄積が確認された。すなわち、脂肪細胞に分化したことが確認された。
ヒトホモログのクローニング
i)NCBI Genome Sequencing(Human Genome Database )を用いたヒトホモログの配列の予想
前記実施例7で決定したクローン24マウスポリヌクレオチドの全長配列をNCBI Genome SequencingのBLAST the Human genome(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/seq/ )でホモロジーサーチすることによって相同性の高い配列を10番染色体上に見出した。ファーストメチオニンを含むエキソンを第1エキソンとしたとき、該配列は計21個のエキソンにより構成されていた。全てのエキソン、イントロン間にはgt-ag ルールが保存されていたことからヒトホモログの全長配列を予想することが出来た。
ii) Hela細胞の培養
ヒトホモログのクローニングはRT-PCRにより行った。テンプレートにはHela細胞を用いた。Hela細胞の培養にはMEM (商品名、日水製薬株式会社製)、10%FBS (商品名、大日本製薬株式会社製)を用いた。
iii)総RNAの回収
コンフレントに培養したHela細胞からTRIzol(GIBCO BRL 社製)を用いて、その取扱説明書に従い、総RNAを回収した。
iv)Reverse Transcriptase Coupled Polymerase Chain Reaction (RT-PCR)によるヒトホモログのクローニング
前記工程i)で予想された全長配列をもとに下記の配列番号3〜8で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドをプライマーとして組み合わせて用い、下記組成のRT−PCR反応組成でRT−PCRを行った。cDNAテンプレートには前記工程 ii )及びiii)で作製したHela細胞の総RNAからReverTra Dash (TOYOBO社製)を用いてその取扱説明書に従って作製した。
配列番号3(upper layer ): 5'-GCC GGC ATT CAT TTA AGG CC-3 '
配列番号4(lower layer ): 5'-CTT CGC ATG AAC AGG CTC AC-3 '
配列番号5(upper layer ): 5'-CAG ATC CCA AGC TTT CGC-3'
配列番号6(lower layer ): 5'-AGC AAA CTT GGC AAG ACC-3'
配列番号7(upper layer ): 5'-AAG AAG GCC CAG AGG TCA-3'
配列番号8(lower layer ): 5'-GTC CAC TGA CTT CAT TCC-3'
RT−PCR反応組成:
2 μl 10×PCR buffer for KOD-Plus-
2 μl 2mM dNTPs
0.8 μl 25mM MgSO4
2 μl cDNAテンプレート
1.2 μl 上層及び下層プライマー(各10mM)
11.6μl sterile H2
0.4 μl KOD-Plus-DNA Polymerase(1.0U/μl)
上記プライマーの組み合わせは、配列番号3/配列番号4、配列番号5/配列番号6、配列番号7/配列番号8とし、RT−PCRの反応条件は、1 cycle : 94℃2分、30 cycles : 94℃15秒、60℃30秒、68℃2分とした。
v)RT−PCR断片の精製及び塩基配列の決定
PCRの反応生成物を0.7%アガロースゲル電気泳動により分離後、DE81(Whatman 社製)を用いて回収精製した。DNA 断片をpBluescript KS+ にサブクローニングし、DSQ-1000(島津製作所社製)により、塩基配列を決定した。また、配列番号3/配列番号4より得られた反応性生物はサブクローニングせずにGene Rapid(Amersham pharmacia biotech社製)により、塩基配列を決定した。
vi)クローン24ヒトホモログの全長配列の決定
図6にクローン24ヒトホモログcDNAの略図を示す。配列番号3/配列番号4の組み合わせによりRT−PCRを行い、検出した394bpのバンドについて配列を決定し、該バンドをRT−1と称した。この領域における配列は前記工程i)により予想した配列と100%同一であることが明らかとなった。
配列番号5/配列番号6の組み合わせによりRT−PCRを行い、検出した1554bpのバンドについて配列を決定し、該バンドをRT−2と称した。予想した配列との一致率は、1553/1554で、99.94%であった。
配列番号7/配列番号8の組み合わせによりRT−PCRを行い、検出した907bpのバンドについて配列を決定し、該バンドをRT−3と称した。この領域における配列は前記工程i)により予想した配列と100%同一であることが明らかとなった。
上記のようにしてクローニングされたクローン24ヒトホモログポリヌクレオチドの全長の核酸配列は、配列番号9に示される。
また、配列番号2に示したマウスのクローン24ポリヌクレオチドと配列番号9に示したヒトホモログとの一致率は、2089/2444=85.47%であった。
クローン24ヒトホモログポリヌクレオチドにおいて、マウスクローン24においてファーストメチオニンと定めたアミノ酸に対応する26塩基目のATGを翻訳開始コドンと仮定した。その結果、クローン24ヒトホモログポリヌクレオチドは800アミノ酸からなるタンパク質をコードする遺伝子であると予想され、該タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号10であると予想される。
クローン24に対する抗体の確認
i)マレイミド基導入KLHの調製
Keyhole limpet hemocyanin(商品名、Calbiochem社製、以下、KLHと称す。)5mgを含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.0とEMCS(商品名、同仁化学社製)1mgを37℃1時間反応させた後、0.1Mリン酸緩衝液pH6.0で平衡化したPD10(商品名、アマシャムファルマシアバイオテク社製)で未反応のEMCSを除去し、マレイミド基導入KLHを得た。
ii) PEPTIDE4導入KLHの調製
前記工程i)で得られたマレイミド基導入KLH 2mgと、配列番号2のマウスのクローン24タンパク質における、266番目から282番目までの17個のアミノ酸からなる配列である、Lys Asp Ile Thr Pro Ser Tyr Lys Ile Arg Pro Leu Thr Glu Ala Glu Lys (配列番号13、以下、PEPTIDE4と称す。)なる配列の末端に、Cys を導入した、Cys Lys Asp Ile Thr Pro Ser Tyr Lys Ile Arg Pro Leu Thr Glu Ala Glu Lys (配列番号14)1mgとを、37℃1時間反応させた後、未反応のペプチドを透析により除去し、PEPTIDE4導入KLHを得た。
iii)PEPTIDE8導入KLHの調製
マレイミド基導入KLH 2mgと、配列番号2のマウスのクローン24タンパク質における、426番目から446番目までの21個のアミノ酸からなる配列である、Leu Arg Ile Lys Glu Val Glu Val Lys Lys Asp Thr Glu Asp Ile Asn Lys Pro Lys Arg Phe (配列番号15、以下、PEPTIDE8と称す。)なる配列の末端に、Cys を導入した、Cys Leu Arg Ile Lys Glu Val Glu Val Lys Lys Asp Thr Glu Asp Ile Asn Lys Pro Lys Arg Phe (配列番号16)1mgとを、37℃1時間反応させた後、未反応のペプチドを透析により除去し、PEPTIDE8導入KLHを得た。
iv) PEPTIDE10導入KLHの調製
マレイミド基導入KLH 2mgと、配列番号2のマウスのクローン24タンパク質における、750番目から765番目までの16個のアミノ酸からなる配列である、Glu Ser Ser His Ser Lys Arg Lys Asp Lys Phe Leu Pro Gly Asp Ser (配列番号17、以下PEPTIDE10と称す。)なる配列の末端に、Cys を導入した、Cys Glu Ser Ser His Ser Lys Arg Lys Asp Lys Phe Leu Pro Gly Asp Ser (配列番号18)1mgとを、37℃1時間反応させた後、未反応のペプチドを透析により除去し、PEPTIDE10導入KLHを得た。
v)家兎に対する免疫
前記工程ii)、iii )、iv)により調製した、PEPTIDE4導入KLH、PEPTIDE8導入KLH、PEPTIDE10導入KLH、それぞれ50μgをフロイント・コンプリート・アジュバントと混合してエマルジョンを作製し、これをそれぞれ家兎背部皮下に免疫した。さらに、この免疫1ヶ月後に同エマルジョンを用いて追加免疫を行い、この1週間後に各々の家兎について採血を行った。
vi )ブロッキング済みペプチド固相化モジュールの調製
前記クローン24タンパク質由来のPEPTIDE4,PEPEIDE8およびPEPTIDE10、並びに、クローン24タンパク質由来ではない、マウス由来の14個のアミノ酸からなるPEPTIDE2(配列番号19)および13個のアミノ酸からなるPEPTIDE5(配列番号20)をそれぞれPBS(日水製薬社製)で希釈して、10μg/mlになるように各ペプチド溶液を調製した。各ペプチド溶液を、それぞれ、96穴タイタープレートモジュール(Nalge Nunc International社製)に50μlずつ分注し、37℃1時間インキュベートして、それぞれのペプチドを固相化した。この後、モジュールをPBSで洗浄後、0.5%の牛血清アルブミンを含むPBSを200μlずつ分注し、37℃1時間インキュベートして、ブロッキングを行った。
vii) 前記工程v)で調製した各家兎抗ペプチド血清をPBSで1000倍希釈したものを、前記工程vi)で調製した、ブロッキング済みペプチド固相化モジュールに、それぞれ50μl分注し、37℃1時間反応させた。モジュールをPBSで洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗家兎イムノグロブリン(Biosource International 社製)をPBSで1500倍希釈したものを50μl分注し、37℃1時間反応させた。モジュールを洗浄後、ABTS peroxidase substrate (KPL 社製)を加え、室温10分間反応後、ABTS peroxidase stop solution (KPL 社製)を加え、405nmにおける吸光度を測定した。この成績を図8に示した。この成績から、PEPTIDE4導入KLHを免疫した抗体はPEPTIDE4を固定したモジュールに、PEPTIDE8導入KLHを免疫した抗体はPEPTIDE8を固相化したモジュールに、PEPTIDE10導入KLHを免疫した抗体はPEPTIDE10を固相化したモジュールに反応し、他のペプチドを固相化したモジュールには反応しないことがわかった。
本実施例の結果から、本発明のマウスのクローン24タンパク質のタンパク質の一部を家兎に免疫することによって、抗体が得られることが確認できた。この抗体を用いると、免疫した抗原あるいは免疫した抗原から構成されるタンパク質を測定する免疫検出系を構築可能であることが分かる。
本発明のポリヌクレオチド及びタンパク質は、脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内、特に6時間前後の細胞から抽出されるポリヌクレオチド並びにタンパク質であり、脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内に活性化されるポリヌクレオチド及びタンパク質としては新規なものである。これらのポリヌクレオチドおよびタンパク質は、肥満のメカニズムを解明し、さらに肥満の進行状況を適切に把握し、肥満の予防あるいは治療に役立たせる上で極めて有用な物質である。
本発明のポリヌクレオチド、並びにポリヌクレオチドから推定されるタンパク質またはペプチド、およびこれらのペプチドに対する、抗体、アンタゴニストまたはアゴニストは、肥満を含む糖尿病・高血圧・動脈硬化などの生活習慣病の治療、および診断に有用である。
クローン24マウスcDNAの略図、及びサブトラクション法で得られたDNA断片Suの情報を元にした、クローン24の塩基配列の決定のサブクローニングを示す。 クローン24より調製した標識プローブは、分化誘導開始6時間目をピークとして、3時間目から12時間目の細胞から調製したmRNAは反応することを示すオートラジオグラムである。 図3(c)は、細胞内に発現したクローン24のGFPを示す顕微鏡写真である。図3(a)は対照しとて細胞全体を写した顕微鏡写真である。図3(b)はDAPI法により細胞質内の核のみを染色した顕微鏡写真である。 クローン24ポリペプチドの模式図であり、該配列中において、ロイシンジッパー構造と考えられる配列部位を特に示す。 クローン24過剰発現NIH/3T3細胞のオートラジオグラフィーを示す。 クローン24ヒトホモログcDNAの略図を示す。 分化誘導後8日目のクローン24過剰発現NIH/3T3細胞及びコントロール細胞のOil−Red−O染色の結果を示す。 クローン24に対する抗体を確認するために、クローン24タンパク質を構成する一部のペプチドであるPEPTIDE4、PEPTIDE8、PEPTIDE8を各々免疫して得た各抗体は、各ペプチドを固相化したモジュールに反応することを示すグラフである。

Claims (16)

  1. 脂肪細胞分化を促進する機能を有し且つ脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内に活性化される性質を有するタンパク質をエンコードするポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは配列番号1に示す塩基配列と同一又は少なくとも93%の同一性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチド。
  2. 該ポリヌクレオチドは配列番号1に示す塩基配列に対して少なくとも95%の同一性を有する塩基配列を含む請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. 該ポリヌクレオチドは配列番号1に示す塩基配列に対して少なくとも98%の同一性を有する塩基配列を含む請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  4. 配列番号1で表される塩基配列の番号100から2520に対して同一もしくは少なくとも93%の同一性を有する塩基配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは、脂肪細胞分化を促進する機能を有し且つ脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内に活性化される性質を有するタンパク質をエンコードするポリヌクレオチド。
  5. 該ポリヌクレオチドは配列番号1で表される塩基配列の番号100から2520に対して少なくとも95%の同一性を有する塩基配列を含む請求項4に記載のポリヌクレオチド。
  6. 該ポリヌクレオチドは配列番号1で表される塩基配列の番号100から2520に対して少なくとも98%の同一性を有する塩基配列を含む請求項4に記載のポリヌクレオチド。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載のポリヌクレオチドがDNAまたはRNAであるポリヌクレオチド。
  8. 脂肪細胞分化を促進する機能を有するタンパク質であり、該タンパク質は脂肪細胞分化誘導開始後12時間以内に活性化されるタンパク質であって、配列番号2で表されるタンパク質の全長にわたり同一もしくは少なくとも96%の同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質。
  9. 請求項1乃至7の何れか1項に記載のポリヌクレオチドを含有する組み換えベクター。
  10. 請求項9に記載の組み換えベクターを収容する形質転換体。
  11. 請求項8に記載のタンパク質に免疫学的に特異的な抗体。
  12. 請求項8に記載のタンパク質の生成に十分な条件下で、請求項10に記載の形質転換体を培養し、培地または形質転換体からタンパク質を回収することを含むタンパク質の製造方法。
  13. 請求項8に記載のタンパク質又はその塩を含む医薬組成物。
  14. 請求項8に記載のタンパク質又はその塩を含む診断薬組成物。
  15. 請求項11に記載の抗体を含む医薬組成物。
  16. 請求項11に記載の抗体を含む診断薬組成物。
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