【発明の詳細な説明】
ヒトソマトスタチン様受容体
発明の分野:
本発明は、新規ヒトソマトスタチン様受容体、該受容体をコードしている単離
核酸(isolated nucleic acid)、該受容体をコードしているDNAで形質転換
された組換え宿主細胞、ならびに薬物スクリーニングおよび薬物開発におけるお
よび治療的用途および診断的用途における該発現受容体および核酸配列の使用に
関する。
発明の背景:
ソマトスタチン(SST)は、脳、膵臓、胃腸管、下垂体、副腎および甲状腺
において多くの標的細胞に著しく作用する2つの生物活性ペプチドとして内生的
に産生されて、神経伝達、腺分泌、平滑筋収縮性および細胞増殖などの細胞プロ
セスを調節する(Reichlin,S.,N .Eng.J.Med.,309: 1495-1501および1556-
1563(1983))。したがって、ソマトスタチンは、神経伝達物質およびホルモンと
して機能することができる。そのホルモン効果としては、多くの脳下垂体ホルモ
ン、膵臓ホルモンおよび消化管ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモンの放出の抑
制が挙げられる。ソマトスタチンの細胞性作用は、細胞表面受容体(SSTR)
によって媒介され、これは、Gタンパク結合経路を介してその細胞内シグナルを
変換する。
ソマトスタチンは、構造的に関係するタンパクのファミリーに結合する。現在
、SSTR1−5と称される5つの公知のソマトスタチン受容体サブタイプがあ
る(Yamada et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.,89:251-255(1992)、Yamada et.a
l.,Biochem .Biophys.Rec.Comm.,195:844-852(1993)およびPatel et al.
,Biochem .Biophys.Res.Comm.,198:605-612(1994))。
したがって、本発明は、ヒトソマトスタチンサブタイプの新規受容体を提供す
るものである。本明細書に記載される特異的配列などの本発明のDNAは、それ
らがソマトスタチン受容体のこの新規クラスの発現に必要とされる遺伝子情報を
コードしている点で有用である。さらに、該配列は、該ファミリー、タイプおよ
び/またはサブタイプのさらなるメンバーを単離し同定するためにプローブとし
て用いられ、ソマトスタチン遺伝子の非定型発現によって特徴付けられる病状に
ついてのアンチセンス治療の基礎を形成する。該新規タンパクはそれ自体、治療
薬、診断薬(例えば、かかるタンパクに特異的に結合する抗体)として、および
、かかる受容体活性の拮抗薬または作動薬である薬物についてのスクリーニング
系における成分として有用である。本明細書に記載される試薬についてのこれら
およびさらなる使用は、本明細書から当業者に明らかになるであろう。
発明の概要:
本発明は、mRNA、DNA、cDNAならびにそのアンチセンス類似体および
その生物学的に活性であり診断的または治療的に有用なフラグメントを含む、ヒ
トソマトスタチン様受容体をコードしている単離核酸分子を提供するものである
。
本発明は、また、ヒトソマトスタチン様タンパクまたはペプチドの組換え生産
において試薬として有用なクローニングプラスミドおよび発現プラスミドなどの
組換えベクター、ならびにヒトソマトスタチン様核酸配列からなる組換え原核宿
主細胞および/または組換え真核宿主細胞を提供するものでもある。
本発明は、また、公知リガンドに関して同定しようとするリガンドの結合を測
定することによって、ヒトソマトスタチン様受容体への結合能を有するリガンド
の同定方法を提供するものでもある。
本発明は、また、ソマトスタチン受容体の発現を促進させる条件下、ヒトソマ
トスタチン様核酸配列を含有する組換え原核宿主細胞および/または組換え真核
宿主細胞を培養することからなるソマトスタチン受容体の製造方法を提供するも
のでもある。本発明の他の態様は、単離ヒトソマトスタチン受容体タンパクおよ
び本発明の受容体タンパクに向けられる(すなわち、結合する)抗体である。
本発明は、また、ヒトソマトスタチン様受容体と相互作用し、該受容体に結合
する薬物を同定するための薬物スクリーニング方法を提供するものでもある。該
受容体は、単離形(例えば、膜調製物として)であるか、または、組換え宿主細
胞の表面で発現されてもよい。該受容体の形態とは無関係に、薬物/受容体結合
複合体を形成するのに充分な条件下、多くの候補薬物を該受容体と接触させ、該
複合体を形成、増強または妨害する能力を有する薬物を検出する。
本発明は、また、ヒトソマトスタチン様配列に特異的にハイブリダイズするの
に充分な長さの核酸分子からなる核酸プローブを提供するものでもある。
本発明は、また、mRNAの翻訳を妨げるようなヒトソマトスタチン様受容体
をコードしているmRNAとの結合能を有する配列を有するアンチセンスオリゴ
ヌクレオチドを提供するものでもある。
本発明は、また、ヒトソマトスタチン様受容体をコードしている核酸分子から
なるトランスジェニック非ヒト動物を提供するものでもある。また、異なる受容
体発現、突然変異およびSAR評価のためのならびにリガンドおよび薬物スクリ
ーニングにおけるモデルとしてのトランスジェニック動物の使用方法を提供する
ものでもある。
本発明は、また、ヒトソマトスタチン様受容体を表面で発現する組換え宿主細
胞を準備し(該受容体は、化合物の該受容体への結合に応じて検出可能なシグナ
ルを提供する能力を有する第2成分と関連する);化合物を受容体に結合させる
のに充分な条件下、多くの候補化合物を宿主細胞と接触させ;第2成分によって
生産されたシグナルを検出することによって受容体結合能を有する化合物を同定
することからなるヒトソマトスタチン様受容体に結合する化合物を同定するため
の化合物スクリーニング方法を提供するものでもある。
本発明は、また、天然リガンドのヒトソマトスタチン様受容体への結合を遮断
するのに有効である本発明の抗体(または本発明の拮抗薬)を含有する医薬組成
物を患者に投与し、これにより異常を緩和することからなる、過度のヒトソマト
スタチン様受容体活性に関係する異常の処置方法を提供するものでもある。逆に
言えば、本発明は、ヒトソマトスタチン様受容体に結合する本発明の作動薬を含
有する医薬組成物を患者に投与し、これにより症状を緩和することからなる、不
充分なヒトソマトスタチン様受容体活性に関係する症状の処置方法を提供するも
のでもある。
発明の詳細な説明:
本発明は、ヒトソマトスタチン様受容体を提供するものである。本明細書にお
ける配列番号1のヌクレオチド27〜1232として同定された特定の配列は、
当該クラスの1つのメンバーを表す。
本発明をさらに説明するにおいて、以下に示すように定義されるさらなる用語
を用いる。
「抗原」は、体液性および/または細胞性抗原特異的応答を作る宿主免疫系を
剌激する1つ以上のエピトープを含有する分子を表す。この用語は、本明細書で
は「免疫原」と互換性をもって用いられる。
「エピトープ」なる語は、特異的抗体分子が結合する抗原またはハプテン上の
部位を表す。この用語もまた、本明細書では、「抗原決定基」または「抗原決定
部位」と互換性をもって用いられる。
暗号配列は、RNAポリメラーゼが2つの暗号配列を単一のmRNAに転写し
、次いで、両方の暗号配列から誘導されるアミノ酸を有する単一のポリペプチド
に翻訳される場合、別の暗号配列に「操作可能に連結」される。暗号配列は、発
現配列が最後には所望のタンパクを生産するように処理される限りは、お互いに
隣接し合う必要はない。
「組換え」ポリペプチドは、組換えDNA技術によって生産された、すなわち
、所望のポリペプチドをコードしている外因性DNA構築物によって形質転換さ
れた細胞から生産されたポリペプチドを意味する。「合成」ポリペプチドは、化
学的合成によって製造されたものである。
「レプリコン」は、in vivoでDNA複製の自律性単位として機能する、すな
わち、それ自体の制御下で複製能を有する、遺伝的要素(例えば、プラスミド、
染色体、ウイルス)である。
「ベクター」は、別のDNAセグメントを付着させて、該付着セグメントの複
製を引き起こすプラスミド、ファージまたはコスミドなどのレプリコンである。
特定タンパクのDNA「暗号配列」または特定タンパクを「コードしているヌ
クレオチド配列」は、適切な調節配列の制御下に置かれた場合、転写され、ポリ
ペプチドに翻訳されるDNA配列である。
「プロモーター配列」は、細胞においてRNAポリメラーゼ結合能を有し、下
流(3'方向)の暗号配列の転写を開始する能力を有するDNA調節領域である
。本発明を定義するために、該プロモーター配列は、暗号配列の翻訳開始コドン
(例えば、ATG)によって3'末端で結合され、バックグランドを超えて検出
可能なレベルで転写を開始するのに必要な最低数の塩基または要素を含むように
上流(5'方向)に伸長する。プロモーター配列内には、転写開始部位(好都合
には、ヌクレアーゼS1を用いて地図作成することによって定義される)および
RNAポリメラーゼの結合の原因となるタンパク結合ドメイン(コンセンサス配
列)が見られる。真核プロモーターは、常にではないが、しばしば、「TATA
」ボックスおよび「CAT」ボックスを含有する。原核プロモーターは、−10
および−35コンセンサス配列に加えて、シャイン・ダルガーノ配列を含有する
。
DNA「制御配列」は、宿主細胞における暗号配列の発現(すなわち、転写お
よび翻訳)のために集合的に準備する、プロモーター配列、リボソーム結合部位
、ポリアデニル化シグナル、転写停止配列、上流調節ドメイン、エンハンサーな
どを集合的に表す。
制御配列は、RNAポリメラーゼがプロモーター配列を結合し、暗号配列をm
RNAに転写させると細胞中で暗号配列の「発現を指令し」、次いで、該暗号配
列によってコードされているポリペプチドに翻訳される。
「宿主細胞」は、形質転換されたかまたはトランスフェクトされた細胞である
か、あるいは、外因性DNA配列による形質転換能またはトランスフェクション
能を有する。
細胞は、外因性DNAが細胞膜の内側に導入されると、外因性DNAによって
「形質転換された」。外因性DNAは、細胞のゲノムを作る染色体DNA中に取
り込まれても取り込まれなくてもよい(共有結合される)。原核生物および酵母
において、例えば、外因性DNAは、プラスミドなどのエピソーム要素上に維持
される。真核細胞に関して、安定に形質転換されたかまたはトランスフェクトさ
れた細胞は、染色体中に外因性DNAを取り込んだものであり、その結果、染色
体複製を介して娘細胞によって受け継がれる。この安定性は、外因性DNAを含
有する娘細胞群からなる細胞系またはクローンを樹立する真核細胞の能力によっ
て示される。
「クローン」は、有糸分裂により単細胞または共通の祖先から誘導された細胞
群である。「細胞系」は、多くの世代について、in vitroで安定な増殖能を有す
る一次細胞のクローンである。
DNA構築物の「異種」領域は、自然には他のDNA分子に関連して認められ
ないもう1つのDNA分子内にあるかまたは該DNA分子に結合したDNAの同
一とみなしうるセグメントである。かくして、異種領域が受容体遺伝子をコード
している場合、該遺伝子は、通常、供給源動物のゲノムにおいて該遺伝子をフラ
ンクしないDNAによってフランクされるであろう。異種暗号配列のもう1つの
例は、該暗号配列自体が自然には見られない構築物である(例えば、天然遺伝子
とは異なるコドンを有する合成配列)。対立的変化または天然の突然変異事象は
、本明細書で用いる場合、DNAの異種領域を生じさせない。
本発明は、ヒトソマトスタチン様受容体をコードしている単離核酸分子および
実質的に類似している配列を提供するものである。単離核酸配列は、(i)それ
らが適度なストリンジェント条件下で配列番号1のヌクレオチド27〜1232
にハイブリダイズすることができる場合に;または(ii)それらが配列番号1の
ヌクレオチド27〜1232に対して変性であるDNA配列をコードしている場
合に、実質的に類似している。変性DNA配列は、配列番号1のヌクレオチド2
7〜1232と同一のアミノ酸配列をコードしているが、該ヌクレオチド暗号配
列におけるバリエーションを有する。適度なストリンジェント条件下でのハイブ
リダイゼーションは、実施例1に概略記載する。別法としては、実質的に類似し
ている配列は、ヌクレオチドまたはアミノ酸の約66%(好ましくは、約80%
、より好ましくは、90%、最も好ましくは約95%)が該分子の所定の長さに
わたって適合する場合に実質的に同一である。本明細書で用いる場合、実質的に
類似しているとは、本発明の配列と類似の同一性を有する配列を表す。かくして
、実質的に同一であるヌクレオチド配列は、ハイブリダイゼーションによって、
ま
たは、配列比較によって、同定することができる。実質的に同一であるタンパク
配列は、1種類以上の以下の方法:タンパク分解性消化、ゲル電気泳動および/
または顕微配列決定(microsequencing)によって同定することができる。
ヒトソマトスタチン受容体をコードしている核酸分子を単離するための1つの
手段は、技術的に認識された方法を用いて天然プローブまたは人工的に設計され
たプローブでヒトゲノムまたはcDNAライブラリーをプローブすることである
(例えば、“Current Protocols in Molecular Biology”,Ausubel,F.M.,et
al.(eds.)Greene Publishing Assoc.and John Wiley Interscience,New Y
ork,1989,1992を参照)。配列番号1、または少なくとも15個の隣接するヌ
クレオチドからなるそのフラグメントが特に有用なプローブであることは、当業
者に明らかである。好ましくは、該プローブは、配列番号27〜1232に相補
的である。この目的のための別の特に有用なプローブは、配列番号3、またはそ
のハイブリダイズ可能なフラグメント(すなわち、少なくとも15個の隣接する
ヌクレオチドからなる)である。かかるプローブを該プローブの同定を容易する
たの分析的に検出可能な試薬で標識することができ、それが好ましいことも、当
業者に明らかである。有用な試薬としては、限定されないが、放射能、蛍光色素
、または検出可能な生成物の形成に触媒作用を及ぼすことができる酵素が挙げら
れる。かくして、該プローブは、ヒト、哺乳動物または他の動物供給源からゲノ
ムDNA、cDNAまたはRNAの相補的コピーを単離するのに、または、関連
配列(例えば、ファミリー、タイプおよび/またはサブタイプのさらなるメンバ
ー)についてかかる供給源をスクリーニングするのに有用であり、前記転写調節
および制御要素ならびに他の安定性、プロセシング、翻訳、および本明細書に記
載する暗号配列に関する5'および/または3'領域からの組織特異性決定領域を
含む。
本発明は、ヒトソマトスタチン様受容体である単離タンパクを提供するもので
もある。この受容体は、配列番号2に挙げられたアミノ酸配列を参照して定義さ
れ、同一の受容体結合活性を有する実質的に類似しているアミノ酸配列による変
異体を含む。本発明のタンパクは、好ましくは、組換え遺伝子工学技術によって
作られる。単離核酸、特に、DNAは、該DNAを遺伝子発現に必要な必須の発
現制御領域(例えば、調節領域)に操作的に連結させることによって発現ベクタ
ー中に導入することができる。該ベクターは、当該技術分野でよく知られている
方法(Ausubel et al.,supra)によって原核(例えば、細菌)細胞または真核
(例えば、酵母または哺乳動物)細胞などの適切な宿主細胞中に導入することが
できる。調製または単離された所望のタンパクについての暗号配列は、適切なベ
クターまたはレプリコン中にクローン化することができる。多くのクローニング
ベクターが当業者に知られており、適切なクローニングベクターの選択は、優れ
たことである。クローニングのための組換えDNAベクターおよび形質転換する
ことができる宿主細胞の例としては、限定されないが、バクテリオファージλ(
イー・コリ(E.coli))、pBR322(イー・コリ(E.coli))、pACY
C177(イー・コリ(E.coli))、pKT230(グラム陰性菌)、pGV1
106(グラム陰性菌)、pLAFR1(グラム陰性菌)、pME290(非イー
・コリ(E.coli)グラム陰性菌)、pHV14(イー・コリ(E.coli)およ
びバシラス・サチリス(Bacillus subtilis))、pBD9(バシラス(Bacill
us))、pIJ61(ストレプトマイセス(Streptomyces))、pUC6(スト
レプトマイセス(Streptomyces))、YIp5(サッカロミセス(Saccharomyc
es))、バキュロウイルス昆虫細胞系、ショウジョウバエ(Drosophila)昆虫
系、およびYCp19(サッカロミセス(Saccharomyces))が挙げられる。一
般的に、“DNA Cloning”: Vols.I & II,Glover et al.ed.IRL Press Oxfo
rd(1985)(1987)およびT.Maniatis et al.(“Molecular Cloning”Cold S
pring Harbor Laboratory(1982)を参照。
該遺伝子は、プロモーター、リボゾーム結合部位(細菌発現のため)および所
望によりオペレーター(本明細書では、集合的に「制御」要素と称する)の制御
下に置くことができ、その結果、所望のタンパクをコードしているDNA配列を
、この発現構造を含有するベクターによって形質転換された宿主細胞においてR
NAに転写される。暗号配列は、シグナルペプチドまたはリーダー配列を含有し
ていてもいなくてもよい。本発明のサブユニット抗原は、例えば、イー・コリ(
E.coli)tacプロモーターまたはタンパクA遺伝子(spa)プロモーターおよび
シグ
ナル配列を用いて発現させることができる。リーダー配列は、翻訳後プロセシン
グにおいて細菌宿主によって除去することができる。例えば、U.S.特許第4,431,
739号;第4,425,437号;第4,338,397号を参照。
制御配列に加えて、宿主細胞の増殖に関するタンパク配列の発現の調節を可能
にする調節配列を付加することが望ましい。調節配列は、当業者に知られており
、例えば、調節化合物の存在を含む化学的または物理的刺激に応じて遺伝子の発
現を生起させたり停止させたりするものが挙げられる。調節要素の他のタイプは
、ベクター、例えば、エンハンサー配列中に存在してもよい。
発現ベクターは、特定の暗号配列が適切な調節配列を有するベクター中に位置
するように構築される。ここで、制御配列に関する暗号配列の配置および方向は
、暗号配列が制御配列の「制御」下で転写されるようなものである(すなわち、
制御配列でDNA分子に結合するRNAポリメラーゼは、暗号配列を転写する)
。関心のある特定の抗原をコードしている配列の修飾が、この目的を達成するた
めに望まれる。例えば、いくつかの場合、適切な方向を有する制御配列に結合さ
れるように配列を修飾すること、すなわち、リーディングフレームを維持するこ
とが必要である。制御配列および他の調節配列は、前記のクローニングベクター
のようなベクターへの挿入の前に暗号配列に連結される。別法としては、暗号配
列を、制御配列および適切な制限部位を既に含有している発現ベクターに直接ク
ローン化することができる。
いくつかの場合、関心のある受容体の突然変異体または類似体を生産するのが
望ましい。突然変異体または類似体は、タンパクをコードしている配列の一部の
欠失によって、配列の挿入によって、および/または、配列内での1個以上のヌ
クレオチドの置換によって、作成される。部位特異的突然変異誘発などのヌクレ
オチド配列を修飾するための技術は、当業者によく知られている。例えば、T.Ma
niatis et al.,supra; DNA Cloning,Vols. I and II,supra; Nucleic Acid H ybridization
,supraを参照。
多くの原核発現ベクターが当該技術分野において知られている。例えば、U.S.
特許第4,578,355号;第4,440,859号;第4,436,815号;第4,431,740号;第4,431,
739号;第4,428,941号;第4,425,437号;第4,418,149号;第4,411,994号;第4,3
66,246号;第4,342,832号を参照;また、U.K.特許出願GB 2,121,054;GB 2,008,
123;GB 2,007,675;および欧州特許出願第103,395号も参照。酵母発現ベクター
もまた当該技術分野において知られている。例えば、U.S.特許第4,446,235号;
第4,443,539号;第4,430,428号を参照;また、欧州特許出願第103,409号;第100
,561号;第96,491号も参照。哺乳動物細胞中での発現を駆動させるSV40後期
プロモーターを用いるpSV2neo(J .Mol.Appl.Genet. 1:327-341に開示され
ている)、または発現を駆動させるCMVプロモーターを用いるpCDNA1か
ら誘導されたベクターpCDNA1neo(Mol .Cell Biol. 7:4125-29)。これら
の最後の2つのベクターは、両方とも、哺乳動物細胞における一過性のまたは安
定な(G418耐性を用いる)発現のために用いることができる。例えばショウ
ジョウバエ(Drosophila)のような昆虫細胞発現系も有用である。例えば、PCT
出願WO 90/06358およびWO 92/06212ならびにEP 290,261-B1を参照。
選択された発現系および宿主に依存して、本発明のタンパクは、関心のあるタ
ンパクが発現される条件下、前記発現ベクターによって形質転換された宿主細胞
を増殖させることによって生産される。発現系が増殖培地中に該タンパクを分泌
する場合、該タンパクは、該培地から直接精製することができる。タンパクが分
泌されない場合、細胞溶解物から単離されるか、または、細胞膜フラクションか
ら回収される。タンパクが細胞表面に位置する場合、全細胞または単離膜は、所
望の遺伝子生産物のアッセイ可能な供給源として用いることができる。適切な増
殖条件の選択および回収方法は、当該技術の範囲内である。
本発明のタンパクを同定するための別の方法は、遺伝子ライブラリーを構築し
、得られたクローンを用いてイー・コリ(E.coli))を形質転換させ、プール
し、所望の受容体に対するポリクローナル血清またはモノクローナル抗体を用い
て個々のコロニーをスクリーニングすることによる。
本発明のタンパクは、公知のアミノ酸配列または関心のある遺伝子のDNA配
列から誘導されたアミノ酸配列を用いて、固相ペプチド合成などの化学合成によ
って生産することもできる。かかる方法は、当業者に知られている。ペプチドの
化
学合成は、特に好ましいわけではない。
本発明のタンパクまたは少なくとも1つのエピトープからなるそのフラグメン
トを用いて、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両抗体を生産する
ことができる。ポリクローナル抗体が望ましい場合、選択された哺乳動物(例え
ば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマなど)を本発明の受容体またはそのフラグメン
トまたは突然変異受容体を用いて免疫化する。免疫動物由来の血清を回収し、公
知の方法に従って処理する。ポリクローナル抗体を含有する血清を用いる場合、
ポリクローナル抗体は、イムノアフィニティークロマトグラフィーまたは他の公
知の方法によって精製することができる。
本発明のタンパクおよびそのフラグメントに対するモノクローナル抗体は、当
業者によって容易に生産することができる。ハイブリドーマ法を用いることによ
ってモノクローナル抗体を生産するための一般的な方法は、よく知られている。
不死化抗体産生性細胞系は、細胞融合によって、および癌細胞DNAによるBリ
ンパ球の直接形質転換またはエプスタイン−バーウイルスによるトランスフェク
ションなどの他の技術によっても、生産することができる。例えば、M.Schreie
r et al.,“Hybridoma Techniques”(1980); Hammerling et al.,“Monoclonal
Antibodies and T-cell Hybridomas”(1981); Kennett et al.,“Monoclonal
Antibodies”(1980)を参照;また、U.S.特許第4,341,761号;第4,399,121号;
第4,427,783号;第4,444,887号;第4,452,570号;第4,466,917号;第4,472,500
号;第4,491,632号;および第4,493,890号も参照。関心のある抗原に対して生じ
るモノクローナル抗体またはそのフラグメントのパネルは、種々の特性について
、すなわち、イソタイプ、エピトープ、アフィニティなどについてスクリーニン
グすることができる。モノクローナル抗体は、該抗体が向けられる個々の抗原の
イムノアフィニティー技術を用いる精製において有用である。別法としては、関
心のあるモノクローナル抗体をコードしている遺伝子は、当該技術分野で知られ
ているPCR法によるハイブリドーマから単離され、クローン化され、適切なベ
クターにおいて発現される。本発明の抗体は、ポリクローナルであろうとモノク
ローナルであろうと、それらがイムノアッセイ、RIA、ELISAなどにおい
て
試薬として用いられるという点でさらなる利用性を有する。本明細書で用いる場
合、「モノクローナル抗体」は、1つの種(例えば、ネズミ、ウサギ、ヤギ、ラ
ット、ヒトなど)から誘導した抗体および2つ(または、それ以上)の種から誘
導した抗体(例えば、キメラ抗体およびヒト化抗体)を含むと考えられる。
非ヒト可変部がヒト定常部に結合または融合されているキメラ抗体(例えば、
Liu et al.,Proc .Natl Acad.Sci.USA,84:3439(1987))は、アッセイにおい
てまたは治療的に用いることもできる。好ましくは、治療用モノクローナル抗体
は、以下の文献に開示されているように「ヒト化」されている:Jones et al.,Nature
,321:522(1986); Verhoeyen et al.,Science,239:1534(1988); Kabat
et al.,J .Immunol.,147:1709(1991); Queen et al.,Proc. Natl .Acad.Sci .USA
,86:10029(1989); Gorman et al.,Proc .Natl.Acad.Sci.USA,88:341
81(1991); およびHodgson et al.,Bio/Technology,9:421(1991)。
したがって、本発明は、また、ヒトソマトスタチン様受容体から本明細書に記
載されるアミノ酸配列に対応するエピトープに向けられたポリクローナル抗体ま
たはモノクローナル抗体(キメラおよび「ヒト化」を含む)を企図するものであ
る。免疫学的目的のために受容体の特に重要な領域は、受容体の細胞外ドメイン
に関連するこれらの親水性領域である。該領域に向けられた抗体は、受容体−リ
ガンド相互作用への影響のために、診断的用途および治療的用途において特に有
用である。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の生産方法は、よく知
られている。例えば、Chap.11 of Ausubel et al.(supra)を参照。
本発明は、受容体活性化に関連する病状を治療または改善するために天然リガ
ンドの受容体への結合をブロックするためにヒトソマトスタチン様受容体に対し
て向けられた抗体の有効量からなる医薬組成物を提供するものでもある。その診
断的具体例では、細胞表面上のヒトソマトスタチン様受容体は、受容体担持細胞
を本発明の抗体と接触させ、抗体/受容体複合体を測定することによって検出す
ることができる。抗体が、放射能、蛍光または酵素などの分析的に検出可能な試
薬で標識されている場合、該抗体を用いて、受容体の存在もしくは不在および/
またはその定量的レベルを検出することができる。
本発明は、ヒトソマトスタチン様受容体に結合すると予め同定されたリガンド
の結合のために充分な条件下、同定しようとするリガンドをヒトソマトスタチン
様受容体の暗号配列からなる細胞と接触させ、これを該細胞の表面上で発現させ
ることからなる、ヒトソマトスタチン様受容体に結合することが予め知られてい
ないリガンドが受容体に結合することができるかを決定するための方法を提供す
るものである。他の具体例では、受容体からなる細胞膜フラクションを用いて、
試験しようとするリガンドの結合を測定する。受容体の発現のために組換え細胞
を用いる場合、いかなる場合も結合が関心のある発現受容体の存在によるように
、あまり内因性受容体活性を有しない細胞を用いるのが好ましい。好ましい細胞
としては、ヒト胎児腎細胞、サル腎臓(HEK−293細胞)、線維芽細胞(C
OS)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、ショウジョウバエ(Dro
sophila)またはネズミL-細胞が挙げられる。受容体反応性第二メッセンジャー
系(すなわち、「検出可能なシグナルを提供する能力を有する第二成分」)が存
在するものを宿主細胞として用いるのが好ましい。よく知られている第二メッセ
ンジャー系としては、限定されないが、ホスホイノシチド加水分解、アデニレー
トシクラーゼ、グアニレートシクラーゼ、または細胞外受容体ドメインに結合し
ているリガンドに応答するイオンチャネル活性の増加または減少が挙げられる。
さらなる具体例では、特異的に設計された受容体結合のインジケーターを構築す
ることができる。例えば、融合タンパクは、本発明の受容体を、受容体リガンド
結合に対して敏感であるタンパクドメインと融合することによって作成すること
ができる。インジケータードメインとして本明細書で引用されるかかるドメイン
は、それ自体、または、アクセサリー分子と関連して、受容体リガンド結合を示
す分析的に検出可能なシグナルを発生する能力を有する。
別法としては、トランスフェクトされたかまたは形質転換された細胞由来の細
胞膜調製物が用いられる。かかる場合、分析的に検出可能なリガンドの結合が測
定される。放射性標識されたリガンドの使用は、本発明の一例である。リガンド
同定に有用である前記技術の全ては、薬物スクリーニングおよび薬物開発プロト
コールにおいても有用である。
本発明の化合物スクリーニングの具体例では、ヒトソマトスタチン様受容体は
、膜フラクションにおいて、または、細胞結合形において単離され、これを、受
容体に結合し相互に作用する候補が選択される多くの候補分子と接触させる。候
補化合物は、好ましくは分析的に検出可能な試薬で、最も好ましくは放射能で標
識された公知のリガンドが試験しようとする薬物と一緒に導入され、標識リガン
ドの結合を阻害または増強する化合物の能力を測定する競合スクリーニングアッ
セイに付される。別法としては、結合または相互作用は、放射性標識した関心の
ある候補化合物を用いることによって、または、候補化合物の相互作用または結
合により得られる第二メッセンジャー効果によって、直接測定することができる
。化合物は、関心のある受容体クラスに対する増加したアフィニティおよび感度
についてスクリーニングされる。
本発明は、また、前記方法によって同定された化合物および医薬的に許容され
る担体からなる医薬組成物を提供するものでもある。本発明のタンパク様薬物の
医薬組成物は、非経口投与に、すなわち、皮下投与、筋肉内投与または静脈内投
与に特に有用である。非経口投与用組成物は、一般に、本発明の化合物の溶液、
または、許容される担体、好ましくは水性担体に溶解したそのカクテルからなる
。例えば、水、緩衝化水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどの種々の水
性担体を用いることができる。これらの溶液は、無菌であり、一般に、特定の物
質を含まない。これらの溶液は、慣用的なよく知られている滅菌方法によって滅
菌される。該組成物は、pH調整剤および緩衝化剤などの、ほぼ生理学的条件に
必要とされる医薬的に許容される補助剤を含有してもよい。かかる医薬組成物に
おける本発明の化合物の濃度は、広範囲に、すなわち、約0.5重量%未満から
、通常少なくとも約1重量%から15または20重量%まで変化し、選択された
投与の特定モードに従って主に液量、粘性などに基づいて選択されるであろう。
したがって、筋肉内投与用の本発明の医薬組成物は、無菌緩衝化水1mLおよ
び本発明化合物50mgを含有するように調製される。同様に、静脈内投与用の本
発明の医薬組成物は、無菌リンゲル溶液250mlおよび本発明化合物150mgを
含有するように調製される。非経口投与可能な組成物の実際の調製方法は、よく
知られているか、または、当業者に明らかであり、さらに詳細には Remington's Pharmaceutical Science
,15th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pen
nsylvania に開示されている。
本明細書に記載した化合物は、貯蔵のために凍結乾燥し、使用前に適切な担体
で再構成することができる。この技術は、慣用のタンパクについて有効であるこ
とが示されており、技術公知の凍結乾燥法および再構成法を用いることができる
。
同定された薬物が非タンパク様である場合、該薬物は、単独で、または、医薬
的に許容される担体と合わせて投与される。その割合は、該化合物の溶解性およ
び化学的性質、選択された投与経路および標準的な製薬プラクティスによって決
定される。例えば、それらは、デンプン、乳糖、ある種のクレーなどの賦形剤を
含有する錠剤またはカプセル剤の形態で非経口投与される。それらは、活性成分
をシュガーおよびコーンシロップ、フレーバーリング剤および色素と混合し、次
いで、固形への圧縮に適するように充分に脱水するトローチ剤またはロゼンジ剤
の形態で舌下投与される。それらは、非経口的に、すなわち、筋肉内、静脈内ま
たは皮下的に注射される溶液の形態で経口投与される。非経口投与については、
それらは、溶液を等張性にするのに充分な生理食塩水またはグルコースなどの他
の溶質を含有する無菌溶液の形態で用いられる。
医師は、最も適している本発明の治療薬の投与を決定するであろうし、それは
、投与の形態および選択された特定化合物により変化するであろうし、さらにま
た、それは、治療下の特定患者により変化するであろう。医師は、一般的に、化
合物の至適投与量よりも実質的に少ない少量の投与量で治療を開始し、環境下で
の至適効果が達成されるまで少量ずつ投与量を増加させたいと思うであろう。一
般的に、組成物を経口投与する場合、少量の非経口投与と同じ効果を生じるのに
多量の活性薬物を必要とすることが分かるであろう。該化合物は、他のセロトニ
ン作動薬と同様の方法で有用であり、投与量は、これらの他の治療薬について一
般的に用いられると同程度である。治療的投与量は、一般的に1日当たり1〜1
0mg以上であるが、いくつかの異なる投与単位で投与されてもよい。活性薬物0
.5〜10mgを含有する錠剤が特に有用である。
患者の状態に依存して、本発明の医薬組成物は、予防的処置および/または治
療的処置のために投与することができる。治療的用途においては、組成物は、既
に疾患に罹患している患者には該疾患およびその合併症を治療するかまたは少な
くとも部分的に阻止するのに充分な量で投与される。予防的用途においては、本
発明化合物またはそのカクテルを含有する組成物は、まだ疾患状態にない患者に
投与されて患者の耐性を増強させる。
医薬組成物の単投与および多投与は、投与量およびパターンが処置する医師に
よって選択されつつ行うことができる。如何なる場合も、本発明の医薬組成物は
、患者を有効に処置するのに充分な量の本発明化合物を提供すべきである。
したがって、本発明の他の態様は、天然リガンドのソマトスタチン受容体への
結合をブロックするようなヒトソマトスタチン様受容体拮抗薬である本発明の方
法によって同定された化合物を含有する医薬組成物の有効量を投与することによ
って過剰のヒトソマトスタチン様受容体活性に関係する異常を処置するための方
法である。逆に、ソマトスタチン様受容体作動薬である本発明の方法によって同
定された化合物は、ソマトスタチン様受容体に結合させ、これにより症状を緩和
することによって、不充分なヒトソマトスタチン受容体活性に関係する症状の治
療に用いることができる。
本発明は、また、例えば、受容体遺伝子発現の増加または減少などの異常によ
って特徴付けられる病状の診断的評価において受容体をコードしているプローブ
を用いることを企図する。別法としては、該プローブを用いて、受容体をコード
している遺伝子における染色体または分子突然変異を有する個体を同定すること
ができる。適切なハイブリダイゼーション条件を定義することは、当該技術の範
囲内である。例えば、“Current Protocols in Mol.Biol.”Vol.I & II Wiley
Interscience.Ausbel et al.(ed.)(1992)を参照。プロービング技術は、当
該技術分野においてよく知られており、該プローブの大きさは、広範囲に変化す
ることができるが、該プローブの長さは、少なくとも15ヌクレオチドであると
思われる。かかるプローブは、プローブの同定を容易にするための分析的に検出
可能な試薬で標識されていてよく、好ましくは該試薬で標識されている。有用な
試
薬としては、限定されないが、検出可能な生成物の形成に触媒作用を及ぼすこと
ができる放射能、蛍光色素または酵素が挙げられる。したがって、当業者によっ
て用いられる条件に依存して、該プローブを用いて、他の細胞タイプおよび個体
由来のさらなるこの受容体を同定し回収することができる。概して、ハイブリダ
イゼーション条件がよりストリンジェントであるほど、より密接に関係した遺伝
子が回収される。
ソマトスタチン様受容体について本明細書に記載した配列により断定されるア
ンチセンスオリゴヌクレオチドも本発明の範囲内である。合成オリゴヌクレオチ
ドまたは関連アンチセンス化学構造類似体は、受容体遺伝子をコードしている標
的核酸に認識され、特異的に結合し、遺伝子発現、例えば標的核酸がmRNAで
ある場合の遺伝子の翻訳を阻害するように設計される。アンチセンス薬物の作用
のメカニズムについて特定の理論に結びつけようと思わないが、かかる薬物は、
以下のメカニズムの1つ以上によって作用することができる:mRNAに結合し
、RNase Iなどの内因性ヌクレアーゼによる分解を誘発すること、または、生
産的タンパク合成に必要な調節要素またはリボソーム成分に結合することにより
mRNAの翻訳を阻害すること。さらに、アンチセンス配列は、配列がリボザイ
ム配列または反応性化学的基と組み合わされ、これを用いて関心のあるmRNA
を特異的に標的とし、該mRNAを分解または化学的に修飾する複雑な巨大分子
アレイの成分として用いられる。アンチセンス技術の一般的な分野は、以下の文
献によって説明されている(バックグランドのために、出典明示により本明細書
の一部とする)(Cohen,J.S.,Trends in Pharm.Sci.,10:435(1989)およびW
eintraub,H.M.Scientific American,Jan.(1990)at page 40)。
トランスジェニック非ヒト動物は、ヒトソマトスタチン様受容体をコードして
いる核酸を用いて宿主の適切な受精卵または胎児をトランスフェクトさせること
によって得られる。例えば、U.S.特許第4,736,866号;第5,175,385号;第5,175,
384号および第5,175,386号を参照。得られたトランスジェニック動物は、受容体
リガンド相互作用の研究用のモデルとして用いられる。特に、有用なトランスジ
ェニック動物は、受容体の発現に関連する検出可能な表現型を示すものである。
次
いで、薬物を、関連表現型を逆転するかまたは再燃させる能力についてスクリー
ニングする。本発明は、また、受容体をコードしている遺伝子を、種々の温度ま
たは代謝条件に別々に反応する調節要素に操作的に連結させ、これにより、これ
らの条件に応答して表現型発現を有効に生起されたり停止されたりすることも企
図する。
必ずしも本発明を限定するものではないが、以下のいくつかの実験データによ
り本発明を説明する。
実施例I
ヒトソマトスタチン様受容体遺伝子の単離
脳の前頭皮質から誘導したヒトcDNAライブラリー(ストラータジーン・イ
ンコーポレイション(Stratagene Inc.)、Cat.No.936212)を、ア
ンギオテンシンII受容体タイプ1(AT1)遺伝子(配列番号3)の暗号領域を
用いて以下に記載のとおりスクリーニングした。ライブラリーをプレート当たり
約20,000pfuで平板培養し、実質的にSambrook,J et al.,In: Molecular
Cloning: A Laboratory Manual,Vol 1 2.108-2.116(1989)の記載に従って、
プラークリフトを行った。すなわち、該プレートを32℃で一晩インキュベート
し、次いで、プラークの上にニトロセルロースフィルターを置き、次いで、「リ
フトオフ」し、該プラークを変性させ、中和させ、真空オーブン(80℃)中で
2時間加熱した。6X SSPE、5Xデンハート(Denhardt)溶液(溶液1リ
ットル当たりフィコール(Ficoll)10g、BSA 10gおよびポリビニルピロ
リドン10g)、0.05%SDSおよびtRNA 100mgを含有する溶液中、ニ
トロセルロースフィルターを65℃でプレハイブリダイズした。Bios TAG−
I
ルターを前記と同じプレハイブリダイゼーション混合物中で硫酸デキストラン(
10%)および熱変性した放射性標識DNAプローブによりハイブリダイズした
。65℃で18時間(すなわち、適度にストリンジェントな条件)、該ハイブリ
ダイゼーションを行った。次いで、フィルターを、2X SSCおよび0.5%S
DSの溶液中、室温で15分間洗浄した(1回繰り返す)。次いで、フィルタ
ーを58℃で風乾させ、増強用スクリーンを用いて−70℃で一晩X線フィルム
に暴露させた。オートラジオグラフィーに付した後、正のシグナルに対応するプ
ラークを選び取り、数回、プラーク精製に付した。サザンブロット法により組換
えファージクローンを分析し、自動シークェンサー(アプライド・バイオシステ
ムズ・モデル(Applied Biosystems Model)373A)を用いて配列決定す
るために小さなハイブリダイジングフラグメントをサブクローン化した。このス
クリーニングで単離されたクローンのうち、クローン11CBは、以下のように
特徴付けられた。
受容体遺伝子の分析
分析により、文献公知のソマトスタチン受容体配列(Yamada et al.,Proc .Nat 'l.Acad.Sci.
,89:251-255(1992)、Yamada et al.,Biochem .Biophy.Res.C omm.
,195 844-852(1993))とのホモロジーを有するG−タンパク結合受容体ス
ーパーファミリーに属する新規遺伝子であることが判明した。
11CBのオープンリーディングフレームは、402個のアミノ酸のタンパク
を明記し、停止コドンを含む(配列番号1のヌクレオチド27−1235)。
11CBの断定されたアミノ酸配列と他のG−タンパク結合受容体のものとの
比較により、ヒトソマトスタチン受容体との最強のホモロジーを有することが判
明する(アミノ酸配列同一性33%およびヌクレオチド配列(DNA)同一性5
5%)。
異種発現:
暗号配列を含有する1.3kbフラグメントを、他のタンパクに融合している(
例えば、5'末端で操作的に連結している)かまたは融合していない発現ベクタ
ーにサブクローン化して、トランスフェクト細胞中で高レベルの発現を生じるこ
とができる。所望により、発現ベクターは、G418において増殖する能力に基
づいてトランスフェクタントについて選択するためのネオマイシン耐性遺伝子お
よびDHFR-細胞におけるトランスフェクト遺伝子の増幅を制限するジヒドロ
フォレートレダクターゼ遺伝子をコードしていてもよい。次いで、血漿を、宿
主細胞系、例えば、CHO ACC98、無血清培地中で増殖するように適合さ
せた非付着DHFR-細胞系に導入することができ、非ヒト胎児腎臓293細胞
(ATCC CRL 1573)およびトランスフェクト細胞系をG418耐性に
よって選択することができる。成功した細胞系は、細胞当たり5×104−105
を発現するであろう。
化合物スクリーニング
新規の有効なヒトソマトスタチン受容体作動薬を同定するために、本発明の組
換え受容体を発現する細胞系から単離した全細胞、細胞ホモジネートまたは細胞
膜について化合物スクリーニングを行う。化合物の活性は、受容体は、この第二
メッセンジャー系にあまり結合しないと思われるので、アデニルシクラーゼアッ
セイを用いて評価してよく、あるいは、ホスホリパーゼCアッセイを用いて評価
してもよい(Martin et al.,J.Biol.Chem.,258,14816-14822(1983)(出典
明示により本明細書の一部とする))。作動性および内在性は、全細胞または膜
における化合物のフォルスコリン誘発アデニルシクラーゼ活性を阻害する能力に
よって測定される。次いで、治療的適応症の動物モデルにおいて候補化合物を試
験する(例えば、真性糖尿病の管理におけるインスリン治療または腫瘍細胞に対
する抗増殖効果に対する補助薬として(Schally,A.V.,Cancer Res.,48:6977
-6985(1988)を参照))。
前記説明および実施例は、好ましい具体例を含む本発明を充分に説明している
。当業者は、慣用的な実験を用いるだけで、本明細書の特定の具体例と等価な多
くのものを認識するであろうし、あるいは、確かめることができるであろう。か
かる等価なものは、以下の請求の範囲の範囲内であることを意図される。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12N 5/10 C12N 5/00 B
15/09 ZNA A61K 37/43 ADD
C12P 21/02 AEE
//(C12N 15/09 ZNA
C12R 1:91)
(C12P 21/02
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AM,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CN,CZ,EE,FI,GE,HU,IS,J
P,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LT
,LV,MD,MG,MN,MX,NO,NZ,PL,
PT,RO,RU,SD,SG,SI,SK,TJ,T
T,UA,US,UZ,VN