JP3911017B2 - 腫瘍遺伝子Int6のヌクレオチド配列及び推定アミノ酸配列 - Google Patents

腫瘍遺伝子Int6のヌクレオチド配列及び推定アミノ酸配列 Download PDF

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Description

本出願は、1995年2月9日出願の米国特許出願第08/385,998号の一部継続出願である。
発明の分野
本発明は、癌の診断及び治療の分野に関する。より特定的には、本発明は、Int6遺伝子に関し、また、遺伝子療法、ワクチン、診断方法及び免疫療法におけるInt6遺伝子の核酸配列及び推定アミノ酸配列に由来の試薬の使用に関する。
発明の背景
マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)は、乳腫瘍のMMTV取込み部位に隣接した細胞性遺伝子の発現の調節異常を招く挿入性突然変異誘発物質として作用することが証明されたレトロウイルスである(Varmus,H.E.(1982)Cancer Surv.,1:309−320)。MMTV感染マウスでは腫瘍発現前の過形成性胞状結節(HAN)が高頻度で発達し(Daniel,C.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,61:53−60;DeOme,K.B.(1959)J.Natl.Cancer Inst.,78:751−757;Medina,D.(1973)Methods Cancer Res.,7:3−53;Smith,G.ら(1984)Cancer Res.,44:3426−3437)、同系マウスの清浄化された乳脂肪パッド中でこれらの結節を連続外殖(outgrowth)によって継代させると、これらのマウスにおいて確率的に乳腫瘍が発達するという結果がしばしば得られる。更に、乳腫瘍をもつ外殖(outgrowth)を有するマウスの肺に転移病巣が発見されることも珍しくはない。これらの理由から、腫瘍発達の種々の時期に関与すると考えられるMMTVに誘発された突然変異イベントを同定することは極めて重要である。
MMTVゲノムを分子標識として使用して、マウス乳腫瘍の共通のMMTV取込み部位(Int遺伝子座と命名)を表す5つの遺伝子座(Wnt−1/Int−1、Fgf−3/Int−2、Int−3、Wnt−3及びFgf−4/Hst/k−FGF)が同定された(Dickson,C.ら(1984)Cell,37:529−536;Gallahan,D.ら(1987)J.Virol.,61:218−220;Nusse,R.ら(1982)Cell.,31:99−109;Peters,G.ら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,,86:5678−5682)。MMTV LTRがWNT−1、Fgf−3、Int−3のいずれかの遺伝子に結合しているトランスジーンを用いたトランスジェニックマウスの研究は、これらの遺伝子の発現の活性化が乳房の腫瘍発生の一因であることを証明した(Jhappan,C.ら(1992)Genes & Develop.,6:345−355;Muller,W.J.ら(1990)Embo J.,9:907−913;Tsukamoto,A.S.ら(1988)Cell.,55:619−625)。
本発明は、Int6と命名された新規なInt遺伝子の単離を記載しており、また、診断方法、ワクチン、免疫療法及び遺伝子療法における該遺伝子及びその遺伝子産物並びに該遺伝子及びその遺伝子産物に由来の試薬の使用を記載するものである。
発明の概要
本発明はInt6遺伝子の単離に関する。本発明はまた、Int6遺伝子のコーディング配列を含むネズミ及びヒトのcDNAに関する。本発明は更に、Int6遺伝子及びInt6 cDNAに由来の核酸配列に関し、また、他の哺乳類のInt6遺伝子の相同体単離用プローブまたはInt6遺伝子の突然変異検出用プローブとしてこれらの核酸配列を使用することに関する。
組換えInt6タンパク質及び該タンパク質に由来のペプチドフラグメントの産生を指令し得る合成核酸配列並びに等価の天然核酸配列を提供することも本発明の目的の1つである。このような天然核酸配列は、Int6タンパク質の合成を指令し得る遺伝子が同定または単離できるcDNAまたはゲノムのライブラリーから単離され得る。本出願の目的となる核酸配列は、RNA、DNA、cDNAまたは任意のその合成変異体である。
本発明は更に、Int6タンパク質及び該タンパク質に由来のペプチドに関する。
本発明はまた、Int6タンパク質または該タンパク質に由来のペプチドに対する抗体に関する。
本発明はまた、Int6遺伝子の突然変異の検出方法を提供する。このような突然変異の検出は、被験者の異常増殖組織の存在または被験者の遺伝的癌素因の存在を判断するために有用である。
Int6遺伝子の突然変異を検出する第一の方法では、Int6遺伝子の突然変異を検出するために被験者のDNAを分析することを含む。
Int6遺伝子の突然変異を検出する第二の方法では、Int6mRNA発現の改変を検出するために被験者のRNAを分析することを含む。
Int6遺伝子の突然変異を検出するまた別の方法では、Int6タンパク質発現の改変を検出するために被験者のタンパク質を分析することを含む。
本発明はまた、被験者を癌に対して免疫感作するワクチンとして使用するため及び免疫治療方法で使用するための医薬組成物を提供する。このような医薬組成物の1つは、Int6タンパク質またはそのペプチドフラグメントの宿主生物合成を指令し得る核酸配列を含む一方、第二の医薬組成物はInt6タンパク質または該タンパク質に由来のペプチドを含む。
上記の医薬組成物はまた、癌患者を治療するために免疫治療方法で使用され得る。発明は更に、免疫療法で使用するためのInt6タンパク質または該タンパク質に由来のペプチドに対する抗体を含み、これらの抗体が毒素分子、放射性同位体または薬剤に結合している第三の医薬組成物を提供する。
従って本発明は、1種以上の上記医薬組成物を治療有効量で癌患者に投与することを含む癌患者に対する免疫療法の適用に関する。
本発明は更に、
(a)特異的T細胞応答を誘発すべく有効な量のInt6タンパク質をコードしている発現ベクターまたはInt6タンパク質自体によって患者を免疫し、
(b)免疫した患者からT細胞を単離し、
(c)免疫した患者または非免疫患者に治療有効量のT細胞を投与する;
ことを含む癌患者の治療方法に関する。
本発明はまた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってInt6の対立遺伝子のヌクレオチド配列を決定するための診断用キットを提供する。本発明のキットは、PCRプライマーとして有用な精製及び単離された核酸配列を含む。これらのPCRプライマーはまた、Int6遺伝子の突然変異を検出するための被験者のDNAまたはRNA分析にも有用である。
本発明は更に、Int6遺伝子の突然変異によってInt6タンパク質の発現が改変された細胞に野生型Int6遺伝子を供給する方法を提供する。この方法は、Int6タンパク質の発現が改変された細胞に野生型Int6遺伝子を導入し野生型遺伝子を細胞中で発現させることを含む。
図面の説明
図1A及び1Bは、サザンブロット分析の結果を示す。この分析では、10マイクログラムの細胞性DNAをEcoRIによって消化し、アガロースゲル電気泳動によって分離し、MMTV LTRプローブとハイブリダイズさせた。図1Aにおいて、分析されたDNAは、図1Aの上部に示すように、CZZ−1 HOGと命名された腫瘍発現前の過形成性外殖細胞系CZZ−1(レーン1)、及び、乳腫瘍22(レーン2)、1262(レーン3)、1263(レーン4)、20(レーン5)、19(レーン6)、23(レーン7)、21(レーン8)、24(レーン9)、8(レーン10)、9(レーン11)、12(レーン12)、13(レーン13)及び14(レーン14)に由来のCZZ−1から単離した。図1Bにおいて、分析されたDNAは、図1Bの上部に示すように、腫瘍4973(レーン1)に由来のCZZ−1、及び、腫瘍4973を保有するマウスの11個の独立の肺転移(レーン2−12)から単離した。
図2A−2Cは、EcoRIで消化し、アガロースゲル電気泳動で分離し、以下の手順でハイブリダイズさせた10マイクログラムの細胞性DNAのサザンブロット分析の結果を示す。図2A及び2Bのブロットのレーン1及び2は、宿主のフランキング配列に対応するプローブDとハイブリダイズした。図2A及び2Bのレーン2のブロットを引き続いてMMTV gag配列(MMTV GR−40に由来の2.0kbのPst−XhoIフラグメント;Gallahan and Callahan J.Virol.,61,66−74:(1987))とハイブリダイズさせ、その結果を図2A及び2Bのレーン3に示す。図2Cのレーン1及び2はプローブCとハイブリダイズさせた。レーン2を引き続いてMMTV env配列(MMTV(C3H)に由来の1.7kbのPstIフラグメント;Gallahan and Callahan J.Virol.,61:66−74;(1987))とハイブリダイズさせ、その結果を図2Cのレーン3に示す。分析したDNAは、腫瘍22に由来のCZZ−1 HOG(図2A、レーン2及び3)、独立の乳腫瘍1139(図2B、レーン2及び3)、独立の乳腫瘍3134(図2C、レーン2及び3)、及び、正常肝臓(図2A−2Cのレーン1)から単離した。図2A−2Cの矢印の存在は、MMTVに誘発されて転位した制限フラグメントの部位を示す。Int6遺伝子中のプローブC及びDの位置は図3に示されている。
図3は、ネズミのInt6遺伝子座の概略図である。図中、Int6遺伝子座(1−4で指定)にわたる4つのオーバーラップするラムダクローンの位置が、Int6遺伝子座中のEcoRI(E)、XbaI(X)、PstI(P)、BglII(BGL)、HindIII(H)及びBamHI(B)部位の部分的制限地図に対する相対位置で示されている。Int6エキソンの位置及びプローブA−Dとして使用される制限フラグメントの位置は夫々、制限地図の下方に夫々実線枠及び斜線枠で示されている。制限地図の目盛りは、図の下部では1目盛り1.0kbの増加を示し、腫瘍1139及び3144のInt6遺伝子の内部またはCZZ−1 HOGのInt6遺伝子の内部に取込まれたMMTVプロウイルスゲノムの位置及び転写方向は制限地図の上方の矢印の向きによって示されている。
図4は、Int6陰性腫瘍(腫瘍178)及びInt6陽性腫瘍(22及び1139)から単離された全RNAのノーザンブロット分析の結果を示す。RNAをホルムアルデヒドの存在下で変性させ、ホルムアルデヒドを含有する1%アガロースゲルで分離し、プローブAとハイブリダイズさせた。
図5は、ネズミの1.4kbのInt6 cDNAの完全ヌクレオチド配列を示す。イントロンの切れ目は次のエキソンの起点の上方の小矢印(▲)で示し、遺伝子産物の推定アミノ酸配列はヌクレオチド配列の下方に示す。サイフリックAMP/サイクリックGMP−依存性タンパク質キナーゼ(○)、タンパク質キナーゼC(△)、チロシンキナーゼ(−)、カゼインキナーゼII(▽)のリン酸化可能部位及びグリコシレーション部位(□)を推定アミノ酸配列中に示す。
アミノ酸残基の略号:A,Ala;C,Cys;D,Asp;E,Glu;F,Phe;G,Gly;H,His;I,Ile;K,Lys;M,Met;N,Asn;P,Pro;Q,Gln;R,Arg;S,Ser;T,Thr;V,Val;W,Trp;Y,Tyr.
図6は、C.Elegans,ショウジョウバエ、ツメガエル、ニワトリ、マウス及びヒトから単離した細胞性DNA(各々10μg)をストリンジェンシーの高い条件下でInt6 cDNAとハイブリダイズさせた“Zoo”ブロットの結果を示す。
図7は、正常成人組織(上部パネル)及び発達中の胚(下部パネル)から単離した全RNA(各々10μg)のノーザンブロット分析の結果を示す。RNAをホルムアルデヒドの存在下で変性させ、ホルムアルデヒドを含有する1%アガロースゲルに流し、次いでナイロン膜に移し、β−アクチンプローブ(2.3kbのmRNA)及びネズミのInt6 cDNAプローブ(1.4kbのmRNA)に順次ハイブリダイズさせた。
図8は、MMTV LTRの反転配列中の潜在的転写終了シグナルの位置及びヌクレオチド配列(下線部分)を示す概略図である。図示の配列はLTRの3′端から数えて464から497までの塩基に対応する。斜線枠はInt6エキソンに対応し、白抜き枠はInt6に取込まれたMMTVプロウイルスゲノムのLTRに対応する。MMTV LTRのU5、R及びU3領域、並びに、MMTVゲノム及びInt6遺伝子の転写方向が示されている。
図9A及び9Bは、腫瘍1139(図9A)及び22(図9B)で検出されたキメラInt6−MMTV LTR RNA種のMMTV配列とInt6配列との結合部のヌクレオチド配列を示す。図9Aで、図示のヌクレオチド配列はエキソンの5′端を起点とし、小文字で示すヌクレオチド配列はイントロン5の配列に対応する。RNA種1のアミノ酸配列に等しいRNA種2のアミノ酸配列を付点で示し、スプライシングによって除去されたRNA種2のヌクレオチド配列をダッシュで示す。下線を引いたヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は取込まれたMMTVゲノムに由来の配列である。
図9B中、腫瘍22で検出されたキメラRNA種に関して図示したヌクレオチド配列は、エキソン9の5′端を起点とし、イントロン9の一部分を通ってMMTVゲノムの潜在的ポリA付加シグナルまで伸びている。イントロンのヌクレオチド配列を小文字で示し、MMTV配列を下線で示し、スプライシングによって除去されたイントロンのヌクレオチド配列をダッシュで示す。付点はRNA種2及び3によってコードされたアミノ酸残基に対応し、これらの残基はRNA種1によってコードされたアミノ酸残基に等しい。図9A及び9Bに示すアミノ酸の略号は図5の凡例で示した略号と同じである。
図10は、ヒトInt6遺伝子のゲノム地図を示す。マウスゲノムの場合と同様に、ヒトInt6遺伝子は13のエキソン(黒塗り枠)から成り、各エキソンのヌクレオチドの両端も図示されている。7番目のイントロンのCA反復配列の位置も図示されている。
図11は、ヒトInt6遺伝子のイントロン7のCA反復配列にフランキングする核酸配列(下線なし)に相補的なプライマーのヌクレオチド配列(下線付き)を示す。CA反復配列からプライマーまでの間隔は夫々40及び138塩基対であり、図示のCA反復配列の数(18)は野生型Int6遺伝子中に見出される数である。上部の核酸配列は5′から3′の方向で示されており、下部の核酸配列は読取りが左から右に向かって行われる3′から5′の方向で示されている。
図12は、ヒトDNA(レーン4)、ヒト染色体6(レーン1)またはヒト染色体8(レーン2)だけを含むチャイニーズハムスター−ヒト体細胞ハイブリットDNA、ヒト染色体3,7,8,15及び17を含むマウス−ヒト体細胞ハイブリットDNA(レーン3)を、HindIIIで消化し、ヒトInt6 cDNAとハイブリダイズさせたサザンブロットの結果を示す。
図13は、Int6遺伝子のイントロン7のCA反復配列にフランキングする標識プライマーを用いたヒト原発性乳腫瘍(T)及び適合性正常組織(L、Lはリンパ球を意味する)に由来のDNAのPCR増幅の結果を示す。各ブロットの上方の数字は、腫瘍サンプル及び適合性正常組織サンプルを提供した被験者を示す。各ブロットに近接の矢印は、適合性正常DNAに比べて対立遺伝子のシグナルが完全に消失しているかまたは有意に低下していることを示す。
図14は、13のヒトInt6エキソンのうちの12のエキソンの両端に隣接するヌクレオチド配列を示す。各エキソンの両端に隣接する核酸配列(下線なし)に相補的なプライマーの核酸配列(下線付き)を各エキソンの左右に示す。各エキソンの左右の上方に示す核酸配列は5′から3′の方向であり、各エキソンの左右の下方に示す配列は3′から5′の方向である。各エキソンの両端に隣接する配列がイントロン−エキソン結合点から始まるとき、この配列の長さは結合点を起点とする各エキソンの左右の塩基対の数で与えられる。
図15は、原発性乳腫瘍(T)及び適合性正常組織(N)から単離された全RNA(各々20μg)のノーザンブロットの結果を示す。RNAサンプルをホルムアルデヒドの存在下で変性させ、ホルムアルデヒドを含有する1%アガロースゲルに流し、次いでナイロン膜に移し、β−アクチンプローブ及びヒトInt6 cDNAプローブと順次ハイブリダイズさせた。
図16は、ヒト非小細胞肺癌(54T及び55T)及び適合性正常組織(55N)から単離した全RNA(各々20μg)のノーザンブロットの結果を示す。54Tに対する適合性正常組織についてもInt6 mRNA発現を観察したが、54Nのノーザンブロットは図示していない。図15の場合と同様にしてノーザンブロット分析を行った。
発明の説明
本発明は、腫瘍発生中の宿主細胞ゲノムへのMMTV取込みに関連する突然変異性イベントが、Int6と命名されたこれまでは知られなかった遺伝子中で生じることを開示している。この遺伝子はマウスの染色体15に局在する。より特定的には本発明は、Int6遺伝子及びその対応するcDNAに関する。Int6を保有するマウス染色体15の領域は、オーバーラップする4つのラムダクローン(図3に符号1−4で示す)中に提示され、完全Int6遺伝子を含んでいる。Int6遺伝子は野生型Int6遺伝子を表す。
本発明はまた、ネズミのInt6遺伝子に対応する全長cDNAを目的とする。このcDNA配列を配列1として以下に示す。
Figure 0003911017
ヌクレオチドに使用した略号は当業界で標準的に使用されている略号に準拠した。
ネズミのInt6 cDNAの推定アミノ酸配列を配列番号2として以下に示す。この配列は、配列番号1のヌクレオチド173を起点とし、1188ヌクレオチドの長さを有している。
Figure 0003911017
Figure 0003911017
本発明はまた、ヒトのInt6 cDNAと相同のヌクレオチド配列を開示している。ヒトのInt6 cDNA配列はマウスの配列に89%の相同性を有している。オーバーラップする2つの組換えクローン(HINT6AとHINT6B)は夫々、ヒトのInt6 cDNA配列の5′側の半鎖及び3′側の半鎖を表している。これらの2つのクローンはAmerican Type Culture Collection(ATCC),12301 Parklawn Drive,Parkville,MD 20852に1995年1月24日付けで寄託され、ATCC受託番号97029及び97030で受託された。ヒトのInt6 cDNA配列を配列番号3として以下に示す。
Figure 0003911017
ヒトのInt6 cDNAの推定アミノ酸配列を配列番号4として以下に示す。この配列は、配列番号3のヌクレオチド168を起点とし、1188ヌクレオチドの長さを有している。
Figure 0003911017
Figure 0003911017
ヒト及びマウスのInt6タンパク質のアミノ酸配列は等しい。
配列番号1及び3で示すcDNA配列中には、配列番号2及び4で夫々示すタンパク質の類似体の産生を指令し得るDNA配列を与える変異が存在してもよい。上記に示したDNA配列は本発明の好適例の1つを表すものであることに留意されたい。遺伝コードが縮重性なので、本発明のInt6タンパク質またはそれらの類似体の産生を指令し得るDNA配列を与える多数の代替可能なヌクレオチドが存在することは理解されよう。このことは、上記に示した配列に機能的に等価のDNA配列、または、上記に示したアミノ酸配列通りに産生されるInt6タンパク質の類似体の産生を指令する配列に機能的に等価のDNA配列が本発明の範囲内に包含されることを意味する。
類似体という用語は、本文中に特定的に示した配列に実質的に等しいアミノ酸残基配列を有しており1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が機能的に等しい残基によって保存的に置換されている任意のタンパク質またはポリペプチドを意味する。保存的置換の例としては、イソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンのような1つの非極性(即ち、疎水性)残基による他の残基の置換、アルギニンとリシンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、もしくは、グリシンとセリンとの間の置換のような1つの極性(即ち、親水性)残基による他の残基の置換、リシン、アルギニンもしくはヒスチジンのような1つの塩基性残基による他の残基の置換、または、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸のような1つの酸性残基による他の残基の置換がある。
保存的置換という表現はまた、非誘導体化残基の代わりに化学的に誘導体化された残基を使用することを意味する。
化学的誘導体という用語は、官能性側基の反応によって化学的に誘導体化された1つまたはそれ以上の残基を有するInt6タンパク質またはポリペプチドを意味する。このような誘導体化された分子の例としては、遊離アミノ基が誘導体化されて、例えばアミン塩酸塩、p−トルエンスルホニル基、カルボベンズオキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基またはホルミル基を形成している分子があるが、これらに限定されない。遊離カルボキシル基は誘導体化されて、塩、メチルエステル及びエチルエステルまたは他の種類のエステルまたはヒドラジドを形成し得る。遊離ヒドロキシル基は誘導体化されて、O−アシルまたはO−アルキル誘導体を形成し得る。ヒスチジンのイミダゾール窒素は誘導体化されて、N−im−ベンジルヒスチジンを形成し得る。また、20個の標準アミノ酸の天然産生アミノ酸誘導体を1つまたはそれ以上の数で含むタンパク質またはペプチドも化学的誘導体に包含される。例えば、4−ヒドロキシプロリンはプロリンに置換し得る。5−ヒドロキシリシンはヒスチジンに置換し得る。ホモセリンはセリンに置換し得る。オルニチンはリシンに置換し得る。
本発明によって提供される核酸配列は、プローブとして多くの目的に使用し得る。例えば、これらの核酸配列は、ゲノムDNAに対するサザンハイブリダイゼーションのプローブとして使用でき、また、点突然変異を検出するためにRNアーゼ保護方法でプローブとして使用できる。PCR増幅産物を検出するためにもプローブを使用できる。また、他の技術を用いてInt6遺伝子またはmRNAとのミスマッチを検出するためにプローブを使用してもよい。ミスマッチは、酵素(例えばS1ヌクレアーゼ)、化学薬品(例えば、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムとピペリジン)を用いて検出してもよく、または、完全に適合したハイブリッドと比較したときの不適正ハイブリッドの電気泳動移動度の変化を利用して検出してもよい。これらの技術は当業界で公知である。プローブはInt6遺伝子のコーディング配列に相補的であるが、イントロンに対するプローブも設計できる。野生型Int6遺伝子の改変を検出するキットを構成するために完全セットの核酸プローブを使用し得る。キットは完全Int6遺伝子にハイブリダイゼーションできるようになっている。プローブは互いにオーバーラップしてもよくまたは隣合って連続していてもよい。
mRNAとのミスマッチを検出するためにリボプローブを使用する場合、リボプローブはヒト野生型Int6遺伝子のmRNAに相補的である。従ってリボプローブは、センス鎖の反対の極性を有するのでInt6タンパク質をコードしないアンチセンスプローブである。一般にはリボプローブを、当業界で公知の任意の手段を用いて放射性物質、比色物質または蛍光物質によって標識し得る。DNAとのミスマッチを検出するためにリボプローブを使用する場合、リボプローブがセンスまたはアンチセンスのいずれの極性を有していてもよい。DNAプローブも同様にしてミスマッチを検出するために使用し得る。
核酸プローブはまた、Int6遺伝子の突然変異対立遺伝子に相補的であってもよい。これらの対立遺伝子特異的プローブは、ミスマッチではなくハイブリダイゼーションに基づいて他の被験者中の同様の突然変異を検出するために有用である。Int6プローブはまた上述のように、欠失及び挿入のような染色体の顕著な変化を検出するためにゲノムDNAとのサザンハイブリダイゼーションで使用できる。プローブはまた、腫瘍組織及び正常組織からInt6遺伝子のcDNAクローンを選択するために使用できる。更に、発現の改変が野生型Int6遺伝子の突然変異の結果であるか否かを判断すべく、プローブを組織中のInt6 mRNAを検出するために使用できる。Int6遺伝子及びInt6 cDNAの配列が配列番号1及び3に示す配列である限り、特定のプローブの設計は平均的な当業者の技術の範囲内である。
本発明はまた被験者のInt6遺伝子の突然変異を検出する方法に関する。
本発明において、被験者は哺乳動物を意味し、突然変異は、野生型Int6遺伝子の反転、転位、挿入、欠失または点突然変異を意味する。
腫瘍組織中に見出される多くの突然変異はInt6タンパク質の発現の改変に導く突然変異であると考えられている。しかしながら、非機能性遺伝子産物に導く突然変異もまた癌の原因となり得る。更に、点突然変異は、調節領域(例えばプロモーター)で発生するか、または、適正なRNAプロセッシングを混乱させ、その結果としてInt6 mRNAの発現の低下の原因またはInt6タンパク質の発現の消失の原因となると理解されている。
マウスの腫瘍発現前の乳房病巣で観察されるInt6遺伝子へのMMTVの取込みは、Int6の突然変異が癌の初期イベントに関与することを示唆する。従ってInt6遺伝子の突然変異の検出方法は診断及び予後に関する情報を提供し得る。例えば臨床医は、腫瘍中のInt6遺伝子の突然変異の検出に基づいて治療計画を選択し得る。本発明の方法はInt6の突然変異が発生するいかなる腫瘍にも適用できる。肺及び乳房の腫瘍ではInt6遺伝子の発現の消失が観察された。従ってこれらの腫瘍では、Int6が腫瘍発生に何らかの役割を果たしている。更に、Int6は、脳、心臓、腎臓、肝臓、卵巣、脾臓及び精巣などの試験したすべての組織中で発現されるので、Int6遺伝子の発現に不利な影響を及ぼす突然変異はこれらの組織中の異常増殖の一因ともなり得る。最後に、肺腫瘍及び乳腫瘍は上皮組織に由来するので、本発明方法は、非小細胞肺癌のような上皮細胞由来の癌の検出にも有用であろう。
更に、本発明で開示された検出方法が胎児の出生前スクリーニングまたは家族の病歴に基づいて癌の危険が予測される被験者の前兆スクリーニングにも使用できることが当業者に理解されよう。
本発明の1つの実施態様においては、Int6遺伝子の突然変異の検出方法は、野生型Int6遺伝子の突然変異を検出するために被験者のDNAを分析することを含む。DNA分析のためには、生物標本を被験者から採取する。本方法で使用するために採取される生物標本の例としては、組織生検及び血液があるが、これらに限定されない。組織調製物中の腫瘍細胞を富化する手段は当業界で公知である。例えば、パラフィン切片もしくはクリオスタット切片から組織を単離してもよい。また、フローサイトメトリーによって正常細胞から癌細胞を分離してもよい。正常細胞から腫瘍を分離するこれらの技術及びその他の技術は当業界で周知である。または、平均的な当業者に公知の方法を用いて腫瘍生検から一次細胞培養物を樹立してもよい。
Int6遺伝子の突然変異を検出するために、生物標本から単離したDNAを種々の方法で分析し得る。例えば、適当な制限酵素による消化後のサザンブロッティング(制限酵素断片長多型、RELP)(Botstein,D.Amer.J.Hum.Genet.(1980)69:201−205)、変性勾配電気泳動法(Myers,R.M.,Nature(1985)313:495−498)、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(Conner,R.ら,EMBO J.(1984)3:13321−1326)、プローブRNAと標的DNAとの間の二重鎖のRNアーゼ消化(Winter,E.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1985)82:7575−7579)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Saiki,P.K.ら,Science(1988)239:487−491;米国特許第4,683,195号及び第4,683,202号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(欧州特許出願第0,320,308号及び第0,439,182号)、並びに、PCR−一本鎖コンフォーメーション分析(PCR−SSCP)(Orita,M.ら,Genomics(1989)5:874−879;Dean,M.ら,Cell(1990)61:863−871)などの方法がある。
1つの好ましい実施態様では、腫瘍または血液のDNA中のInt6遺伝子の顕著な転位を観察するためにサザンブロット分析を使用できる。サザン分析によって分析すべきDNAを、1つまたはそれ以上の制限酵素によって消化する。制限消化後、得られたDNAフラグメントをゲル電気泳動によって分離し、標識した核酸プローブとのハイブリダイゼーションによってフラグメントを検出する(Southern,E.M.,J.Mol.Biol.(1975)98:503−517)。
サザン分析においてプローブとして使用される核酸配列は、一本鎖または二重鎖の形態で標識できる。核酸配列の標識は当業者に公知の技術によって行うことができる。このような標識技術では、ラジオラベル及び酵素を使用できる(Sambrook,J.ら(1989),“Molecular,Cloning,A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Press,Plainview,New York)。更に、化学的部分をピリミジン環及びプリン環に結合させる方法(Dale,R.N.K.ら(1973)Proc.Natl.Acad.Sci.,70:2238−2242;Heck,R.F.(1968)S.Am.Chem.Soc.,90:5518−5523)、化学発光によって検出する方法(Barton,S.K.ら(1992)J.Am.Chem.Soc.,114:8736−8740)、ビオチニル化した核酸プローブを使用する方法(Johnson,T.K.ら(1983)Anal.Biochem.133:126−131;Erickson,P.F.ら(1982)J.of Immunology Methods,51:241−249;Matthaei,F.S.ら(1986)Anal.Biochem.,157:123−128)及び市販製品を用いる蛍光検出方法のような非放射性のシグナル増幅技術も知られている。プローブの大きさは約200ヌクレオチドから約数キロ塩基の範囲に及ぶ。好ましいプローブの大きさは約500〜約2000ヌクレオチドである。プローブはInt6遺伝子のイントロンに由来してもよくまたはエキソンに由来してもよい。サザン分析でプローブとして使用される核酸配列の各々はネズミまたはヒトのInt6遺伝子の対応する部分、即ちこれらの遺伝子が夫々配列番号1または3で示すcDNA配列を有している部分に実質的に相同である。好ましい実施態様において、プローブは、配列番号3に示すInt6 cDNA配列を有するヒトInt6遺伝子に由来する。「実質的に相同な」という表現は、プローブとして使用される核酸配列とヒトまたはネズミのInt6遺伝子の対応する配列との間の相同性のレベルを意味する。相同性のレベルは、好ましくは70%以上、極めて好ましくは80%以上であり、特に好ましい核酸配列はマウスまたはヒトのInt6遺伝子の配列と90%以上の相同性を有している。
分離したDNAフラグメントと標識した核酸プローブとをハイブリダイズさせた後、オートラジオグラフィーによって制限消化パターンを可視化し、Int6遺伝子の突然変異に関連した制限断片長多型(RFLP)の有無を検査する。
別の好ましい実施態様においては、Int6遺伝子の突然変異を検出するために、ゲノムDNAをPCR−SSCPによって分析してもよい。この方法では、PCRで使用するために選択されたプライマー対の各々を、Int6遺伝子中の配列とハイブリダイズして増幅され、変性した増幅産物中の突然変異が非変性型ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって検出され得るように設計する。好ましい実施態様では、プライマー対がヒトInt6遺伝子に由来する。より好ましい実施態様では、プライマー対がヒトInt6遺伝子の所与のエキソンの5′端及び3′端に隣接するイントロン性配列に由来する。ヒトInt6遺伝子のエキソンの特異的増幅を可能にするプライマー対の例を以下に示すが、これらに限定されない:
Figure 0003911017
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配列番号5及び6はエキソン1の両端に隣接し、配列番号7及び8はエキソン2の両端に隣接し、配列番号9及び10はエキソン3の両端に隣接し、配列番号11及び12はエキソン4の両端に隣接し、配列番号13及び14はエキソン5の両端に隣接し、配列番号15及び16はエキソン6の両端に隣接し、配列番号17及び18はエキソン8の両端に隣接し、配列番号19及び20はエキソン9の両端に隣接し、配列番号21及び22はエキソン10の両端に隣接し、配列番号23及び24はエキソン11の両端に隣接し、配列番号25及び26はエキソン12の両端に隣接し、配列番号27及び28はエキソン13の両端に隣接する。Int6遺伝子配列に対して十分に特異的なハイブリダイゼーションを得るための増幅反応の最適化は当業者の知識の範囲内であり、好ましくはアニーリング温度の調整によって行う。
本発明のプライマーは公知のオリゴヌクレオチド合成方法のいずれかを用いて合成できる(例えば、Agarwalら(1972)Agnew.Chem.Int.Ed.Engl.11:451のホスホジエステル法、Hsiungら(1979)Nucleic Acids Res.6:1371のホスホトリエステル法、または、Beuacageら(1981)Tetrahedron Letters 22:1859−1862の全自動ジエチルホスホルアミダイド法)。または、これらのプライマーは天然産生DNAまたはクローン化したDNAの単離フラグメントであってもよい。更に、オリゴヌクレオチドを、種々の製造業者から販売されている全自動装置によって合成できること、または、業者に注文生産することができることが当業者には明らかであろう。1つの実施態様においては、プライマー延長産物を検出及び/または同定するために適当な検出可能ラベル(例えば、ビオチン、アビジンまたは放射性標識dNTP)を含むようにプライマーを誘導体化してもよく、または増幅産物の単離を容易にする物質(例えばビオチンまたはアビジン)によってプライマーを誘導体化してもよい。
別の実施態様においては、Int6疾病遺伝子の突然変異形態にハイブリダイズするようにプライマー対を選択し得る。選択されたプライマー対は、突然変異した遺伝子配列に十分に特異的にハイブリダイズし、従って、野生型Int6遺伝子配列に対する非特異的ハイブリダイゼーションが、突然変異遺伝子配列の増幅産物の同定を妨害することはない。Int6遺伝子配列中の突然変異にハイブリダイズするプライマー対は、生物サンプルのDNA中に存在する特異的突然変異遺伝子配列を増幅するために使用できる。
PCRの増幅産物は直接または間接に検出できる。増幅産物の直接検出はプライマー対の標識を介して行う。本発明のプライマーを標識するための好適なラベルは当業者に公知であり、例えば、放射性ラベル、ビオチン、アビジン、酵素及び蛍光分子がある。増幅反応を実施する前に所望のラベルをプライマーに組込むとよい。好ましい標識手順では、放射性標識したATP及びT4ポリヌクレオチドキナーゼを使用する(Sambrook,J.ら(1989),“Molecular Cloning,A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Press,Plainview,NY)。または、増幅反応中のプライマー延長産物に1つまたはそれ以上の標識dNTPの形態で所望のラベルを組込んでもよい。本発明においては、Int6遺伝子の突然変異を検出するための標識された増幅PCR産物の分析を、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PCR−SSCP)によってPCR産物を分離するかまたはPCR産物を直接配列決定することによって行う。
更に、別の実施態様においては、Int6疾病遺伝子中の突然変異を検出するための非標識増幅産物の分析を、サザンブロットまたはドットブロット中の放射性標識またはビオチン標識した核酸プローブとのハイブリダイゼーションによって行う。この実施態様に有用な核酸プローブは、サザン分析に関して前述した核酸プローブである。更に別の実施態様においては、配列番号1及び3に示したcDNA配列を用いて腫瘍組織中に存在する対立遺伝子を分子クローニングし、当業界で周知の技術を用いてこの対立遺伝子を配列決定することによって点突然変異を検出し得る。
第2の実施態様においては、Int6遺伝子の突然変異の検出方法は、Int6特異的mRNA発現の改変を検出するために被験者のRNAを分析することを含む。
この方法でRNAを分析するためには、被験者から得られた血液サンプルまたは腫瘍生検サンプルからRNAを単離できる。このような腫瘍の例は乳房及び肺の腫瘍であるが、これらに限定されない。
分析すべきRNAを血液サンプルまたは生検サンプルから全細胞RNAまたはポリ(A)+RNAとして単離できる。全細胞RNAは当業者に公知の方法によって単離できる。このような方法には、差別的沈降によるRNAの抽出(Birnbiom,H.C.(1988)Nucleic Acids Res.,16:1487−1497)、有機溶媒によるRNAの抽出(Chomczynski,P.ら(1987)Anal.Biochem.,162:156−159)、及び、強い変性剤によるRNAの抽出(Chirgwin,J.M.ら(1979)Biochemistry,18:5294−5299)がある。ポリ(A)+RNAはオリゴ−d(T)カラムにおけるアフィニティクロマトグラフィーによって全細胞RNAから選択できる(Aviv,H.ら(1972)Proc.Natl.Acad.Sci.,69:1408−1412)。RNAの好ましい単離方法は、酸−フェノールによる全細胞RNAの抽出である(Chomczynskiら,1987)。
Int6特異的mRNA発現のパターンまたはレベルの改変を検出するためにRNAを分析する方法としては、ノーザンブロッティング(Alwine,J.C.ら(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.,74:5350−5354)、ドット及びスロットハイブリダイゼーション(Kafatos,F.C.ら(1979)Nucleic Acids Res.,7:1541−1522)、フィルターハイブリダイゼーション(Hollander,M.C.ら(1990)Biotechniques;9:174−179)、RNアーゼ保護(Sambrook,J.ら(1989),“Molecular Cloning,A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Press,Plainview,NY)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)(Watson,J.D.ら(1992),“Recombinant DNA”,Second Edition,W.H.Freeman and Company,New York)、及び、RT−PCR−SSCPがある。好適な方法はノーザンブロッティングである。
Int6特異的mRNA発現を検出するプローブとして使用される核酸配列は配列番号1または3に実質的に相同である。「実質的に相同」という表現は、核酸配列と配列番号1または3のcDNA配列との間の相同性のレベルを意味する。相同性のレベルは、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、特に好ましい核酸配列は配列番号1または3に示すcDNA配列と90%以上の相同性を有している。
第二の好ましい実施態様においては、Int6遺伝子中の突然変異を検出するためにRNAをRT−PCR−SSCPによって分析する。逆転写酵素を用いて腫瘍の全RNAまたはポリA+富化RNAから一本鎖cDNAを調製する。この方法においては、得られる一本鎖cDNAのPCRに使用すべく選択されたプライマー対の各々は、増幅され、次いで変性した増幅産物中の突然変異が非変性型ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって検出されるべく適正な間隔(少なくとも約100〜300ヌクレオチド)を隔てて遺伝子中に存在するInt6 cDNA中の配列とハイブリダイズするように設計される。オーバーラップするInt6遺伝子配列に特異的にハイブリダイズし得るプライマー対は、Int6遺伝子配列に由来し得る。プライマー対は、上記に示した配列番号1及び3中のcDNA配列に由来し得る。好ましい実施態様において、プライマーは配列番号3に示すヒトInt6 cDNA配列に由来する。対を成すプライマーの各々は、二重鎖標的配列の一方の鎖の3′端の配列に相補的な約15〜20塩基の長さの一本鎖オリゴヌクレオチドである。各対が2つのこのようなプライマーを含み、一方のプライマーが相補的3′端であり、他方のプライマーが標的配列の他の3′端に相補的である。標的配列は一般的には約100〜約300塩基対の長さである。Int6 cDNAに対して十分に特異的なハイブリダイゼーションを得るための増幅反応の最適化は当業界でよく知られており、好ましくはアニーリング温度の調整によって行う。または、Int6遺伝子の突然変異を検出すべく変性RT−PCT産物を分析するために、RT−PCT産物を直接配列決定してもよい。
更に別の好ましい分析方法はRNアーゼ保護方法であり、この方法は、Winterら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:p.7575(1985)及びMeyersら,Science,230:p.1242(1985)に詳細に記載されている。本発明の実施にあたっては、方法がヒト野生型遺伝子のコーディング配列に相補的な標識リボプローブの使用を含む。リボプローブと腫瘍組織から単離されたmRNAまたはDNAとを一緒にアニーリング(ハイブリダイズ)し、次いで二重鎖RNA構造中のミスマッチを検出できる酵素RNアーゼAによって消化する。RNアーゼAによりミスマッチが検出された場合、それはミスマッチの部位を開裂させる。リボプローブはRNAまたは遺伝子の全長を含む必要はなく、RNAまたは遺伝子のいずれか一方の一部分を含んでいればよい。リボプローブがInt6 RNAまたはInt6遺伝子の一部分だけを含む場合に、全mRNA配列をミスマッチのためにスクリーニングするためには、これらのプローブを複数で使用するのが望ましい。
本発明はまた、配列番号1及び3に示すcDNAに由来の組換えタンパク質を包含する。組換えInt6タンパク質は当業者に公知の組換えDNA方法によって産生できる。Int6タンパク質のアミノ酸配列がマウス(配列番号2)及びヒト(配列番号4)で等しいので、配列番号4に示すアミノ酸配列の全部または一部を含むタンパク質をコードし得る適当な核酸配列は、配列番号3または配列番号1に示された配列である。好ましい実施態様では、このような適当な核酸配列を、宿主生物に導入され宿主生物中で複製され得るベクターにクローニングできる。
本発明で使用するように設計されたベクターは、上記の核酸配列が任意の好適なまたは必要な作動要素と共に挿入され次いで宿主生物に導入され宿主生物中で複製され得るような任意のベクターである。好ましいベクターは、十分に解明された制限部位を有しており且つ核酸配列の転写に好適なまたは必要な作動要素を含んでいるベクターである。
本文中で使用された「作動要素」という用語は、少なくとも1つのプロモーターと、少なくとも1つのオペレーターと、少なくとも1つのリーダー配列と、少なくとも1つの終止コドンと、ベクター核酸の適正な転写及びその後の翻訳に必要なまたは好適な他の任意のDNA配列とを意味する。このようなベクターは特に、宿主生物によって認識される少なくとも1つの複製起点を、少なくとも1つの選択可能マーカーと核酸配列の転写を開始させ得る少なくとも1つのプロモーター配列と共に含むように設計されている。
本発明のクローニングベクターの構築においては、さらに、核酸配列及びそれに付帯する作動要素との多数コピーを各ベクターに挿入し得ることに注目するべきである。このような実施態様においては、宿主生物が産生するベクターあたりの所望Int6タンパク質の量が増加している。ベクターに挿入し得るDNA配列の多数コピーの数は、適当な宿主微生物に導入され複製及び転写されるベクターの能力のみによって限定され、この能力は得られるベクターの大きさに依存する。
別の実施態様では、Int6タンパク質のコーディング配列を含む制限消化フラグメントを、原核細胞または真核細胞中で機能する適当な発現ベクターに挿入し得る。「適当な」という用語は、ベクターがInt6タンパク質をコードする完全核酸配列を保有し発現し得ることを意味する。細菌のような原核細胞中で機能する発現ベクターの例は、T7プロモーターに基づくベクター及びtrpE及びlacZ融合物を産生するベクターであるが、これらに限定されない。好適な発現ベクターは、真核細胞中で機能するベクターである。このようなベクターの例は、ワクシニアウイルスベクター、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、バキュロウイルスまたは哺乳類のC型レトロウイルスのベクターであるが、これらに限定されない。
次に、選択された組換え発現ベクターを、組換えタンパク質を発現させる目的の適当な真核細胞系にトランスフェクトし得る。このような真核細胞系の例としては、ヒトMCF10AまたはマウスHC11乳房上皮細胞のような細胞系があるが、これらに限定されない。バキュロウイルスベクターと共に使用するための好ましい真核細胞系の一例は、spodoptera frugyerda由来のSF21卵巣細胞である。
発現された組換えタンパク質を、クーマシーブルー染色、及び、抗Int6抗体含有血清を用いるウエスタンブロッティングのような当業界で公知の方法によって検出し得る。
別の実施態様においては、発現された組換えタンパク質を粗溶解物として得ることができ、または当業界で公知の標準タンパク質精製手順によって精製することもできる。このような精製手順としては、分画(differential)沈殿、分子ふるいクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、等電点フォーカシング、ゲル電気泳動、アフィニティー及びイムノアフィニティークロマトグラフィー、などがある。イムノアフィニティークロマトグラフィーの場合、Int6タンパク質に特異的な抗体を結合させた樹脂を含むカラムに通すことによって組換えタンパク質を精製し得る。
更に別の実施態様においては、本発明は、配列番号2及び4に示すInt6アミノ酸配列に由来のペプチドに関する。本発明のペプチドまたはその類似体が、種々の製造業者によって販売されている全自動装置によって合成できること、業者に注文生産させることができること、または、適当な発現ベクターから上述のように発現させることができることは当業者に容易に理解されよう。「類似体」という用語は本発明のペプチドを説明するために本文中で既に説明したが、更に、分枝状または非直鎖状のペプチドも類似体に包含される。好ましいペプチドは約20〜約24アミノ酸の長さの免疫原性ペプチドである。本発明の実施例8で後述するように、Int6遺伝子の突然変異の結果として、発現されたInt6タンパク質は先端が切断されている。点突然変異したrasタンパク質が適正にプロセッシングされることによって特異的T細胞媒介細胞障害性の標的となり得ることは従来の研究(Tsang,K.Y.ら(1994)Vaccine Research,3:183−193;Takahashi,H.S.ら(1989)Science,246:118−121;Jung,S.ら(1991)J.Exp.Med.,173:273−276(1991);Peace,D.J.ら(1991)J.Immunol.,146:2059−2065;Fenton,R.G.ら(1993)J.Natl.Cancer Inst.,85:1294−1302;Gedde−Dahl,T.,IIIら(1992)Hum.Immunol.,33:266−274及びGedde−Dahl,T.,IIIら(1992)Int.Immunol.,4:1331−1337)で指摘されており、これらの研究に基づいて、突然変異したInt6タンパク質は、MHC装置を介して腫瘍細胞表面に提示されることによって特異的T細胞応答を誘発すると考えられる。
従って本発明は、ワクチン及び免疫治療方法で使用するためのInt6タンパクまたは該タンパク質に由来のペプチドを含む医薬組成物を提供する。哺乳類の癌を防御するワクチンとして使用される場合、医薬組成物は、組換え発現ベクターまたは発現タンパク質を含有する培養上清をトランスフェクトした細胞から得られた細胞溶解物を免疫原として含有し得る。または、免疫原が、部分的もしくは実質的に精製された組換えタンパク質または合成ペプチドであってもよい。
獣医薬及びヒト医薬の双方に使用される上記の組成物又は製剤は、上記のような免疫原を、1種またはそれ以上の適格な医薬用担体及び任意の他の治療用成分と共に含有する。(1種または複数の)担体は、製剤の他の成分と相溶性であり、そのレシピエントに有害でないという意味で「許容できる」ものでなければならない。製剤は単位量の剤形で提供されるのが好都合であり、製剤業界で周知の任意の方法によって調製できる。
すべての方法が、有効成分と1種またはそれ以上の補助成分を構成する担体とを会合させる段階を含む。一般には、有効成分を液体担体または微細分割した固体担体またはその双方と均一かつ均質に会合させ、次いで、必要に応じて製品を所望の製剤形態に形成することによって製剤を調製する。
静脈内筋肉内、皮下、または腹腔内投与に好適な調剤は便宜的には、受容者の血液と好ましくは等張である溶液を含む活性成分の滅菌水性溶液を含む。そのような調剤は、固体活性成分を塩化ナトリウム(例えば0.1〜2.0M)、グリシンなどのような生理学的に適合可能な物質を含み、水性溶液を製造するための生理学的条件と適合可能な緩衝化したpHを有する水に溶解し、そして上記溶液を滅菌することによって便宜的に調製することができる。これらは、単位または多数回投薬容器、例えば、シールしたアンプルまたはバイアル中に存在することができる。
本発明の調剤は安定剤を取り込むことができる。例示的な安定剤はポリエチレングリコール、タンパク質、多糖類、アミノ酸、無機酸、および有機酸であり、これらはそれらのみでも混合物としてでも使用することができる。これらの安定剤は、好ましくは、免疫原の1重量部当たり0.11〜10,000重量部の量で取り込まれる。2以上の安定剤を使用することを意図する場合、それらの総量は好ましくは上記で特定した範囲内である。これらの安定剤は好適な濃度およびpHにおいて水性溶液中で使用される。そのような水性溶液の特定の浸透圧は一般的には0.1〜3.0浸透圧モルの範囲内であり、好ましくは0.8〜1.2の範囲内である。水性溶液のpHは5.0〜9.0の範囲内、好ましくは6〜8の範囲内に調整される。本発明の免疫原を配合する際に、抗吸着剤を使用してもよい。
さらなる薬学的方法を使用して、作用の持続を調節することができる。調節された放出調製物をポリマーの使用を通じて達成し、本タンパク質またはその誘導体を複合化または吸収することができる。調節された運搬は、放出を調節することを目的として、好適な巨大分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはプロタミン硫酸塩)と、巨大分子の濃度と、配合の方法とを選択することによって達成することができる。調節された放出調製物による作用の持続を調節するためのもう一つ別の可能な方法は、タンパク質、タンパク質アナログまたはそれらの機能的誘導体を、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)またはエチレンビニルアセテートコポリマーなどのポリマー材料の粒子中に配合することである。あるいは、これらの試薬をポリマー粒子に配合する代わりに、これらの材料を、例えばコアセルベーション技術または界面重合によって調製したマイクロカプセル中に、例えば各々ヒドロキシ−メチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、あるいはコロイド薬剤運搬システム中に、例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル中に、あるいはマクロエマルジョン中に、入れることも可能である。
経口調製物を所望する場合、組成物を、ラクトース、スクロース、澱粉、タルクステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウムまたは中でもアラビアゴムなどの典型的な担体と組み合わせることができる。
本発明のタンパク質は、キットの形態、単独、または上記のような医薬組成物の形態で供給できる。
ワクチン化は慣用的方法により実施できる。例えば、免疫原は、食塩水または水などの好適な希釈剤、あるいは完全または不完全アジュバンド中において使用できる。さらに、免疫原は、タンパク質を免疫原性にするために担体に結合してもよいし、しなくてもよい。そのような担体分子の例には、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、破傷風トキソイドなどが挙げられるが、これらに限定されない。免疫原は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下などの抗体産生に適した任意の経路によって投与することができる。免疫原は、有意な力価の抗−Int6抗体が生産されるまで、一回または周期的間隔で投与することができる。抗体は以下に記載する免疫分析を使用して血清中に検出することができる。
さらに別の態様において、本発明は、Int6タンパク質またはInt6タンパク質配列から誘導されたペプチドの宿主生物合成を指令できる核酸配列を含む医薬組成物を提供する。そのような核酸配列は、当業者に既知の方法によって好適な発現ベクター中に挿入することができる。in vivoで高効率遺伝子移入を生み出すために好適な発現ベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルスおよびワクシニアウイルスのベクターが挙げられるが、これらに限定されない。そのような発現ベクターの作動要素は、本明細書中に以前に開示されており当業者に既知である。そのような発現ベクターは、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内または経口的に投与することができる。
免疫原が、Int6タンパク質、それから誘導されたペプチド、あるいはInt6タンパク質またはそれから誘導されたペプチドの宿主生物合成を指令できる核酸配列であるにせよ、免疫原は予防または治療目的の何れかのために投与することができる。予防的に付与される場合、免疫原は癌または癌に起因する任意の症状に先立って付与される。免疫原の予防的投与は、癌のいかなる次の発症を防止または衰退させるのに役立つ。治療的に付与される場合、免疫原は癌または癌に付随する任意の症状の発症時または発症直後に付与される。
免疫原が部分的または実質的に精製された組み換えInt6タンパク質またはInt6ペプチドである場合、Int6に対する抗体応答を引き出すのに有効な投与量は約10μgから約1500μgの範囲である。
Int6に対する抗体応答を引き出すのに有効な核酸配列をコードするInt6タンパク質の投与量は、約10から約1000μgの範囲である。
Int6タンパク質(単数または複数)の宿主生物合成を指令できる核酸配列を含む発現ベクターは、キットの形態、単独、または上記したような医薬組成物の形態で供給することができる。
本発明はさらに、薬学的に許容できる担体中に、Int6タンパク質あるいはInt6タンパク質の宿主生物合成を指令できる発現ベクターを含む癌に対して哺乳動物を免疫するためのワクチンに関する。
ワクチンとしての並びに免疫治療における使用に加えて、上記組成物はInt6タンパク質に対する抗体を調製するために使用することができる。抗体を調製するためには、宿主動物は、Int6タンパク質あるいはそれから誘導されたペプチドあるいはInt6タンパク質またはそれから誘導されたペプチドを発現することができる上記発現ベクターを使用して、免疫される。宿主の血清または血漿を適当な時間間隔後に回収し、ウイルス粒子と反応性を有する抗体を含む組成物が得られる。ガンマグロブリン画分またはIgG抗体を、例えば、飽和硫酸アンモニウムまたはDEAE Sephadex、または当業者に公知の他の技術を使用することによって得ることができる。抗体は、薬剤のような他の抗ウイルス剤に付随することがある多くの有害副作用を実質的には含まない。
抗体組成物は、潜在的な有害免疫系応答を最小化することによって、宿主系とより適合可能にすることができる。これは、外来種抗体のFc部分の全部または一部を除去することによって、または宿主動物と同一種の抗体を使用することによって、例えば、ヒト/ヒトハイブリドーマからの抗体の使用によって、達成することができる。ヒト化抗体(即ち、ヒトにおいては非免疫原性)は、例えば、抗体の免疫原性部分を、対応するが非免疫原性である部分で置き換えることによって作製することができる(即ち、キメラ抗体)。そのようなキメラ抗体は、1つの種からの抗体の反応性または抗原結合部位および異なる種からの抗体(非免疫原性)のFc部位を含むことができる。キメラ抗体の例としては、非ヒト哺乳動物−ヒトキメラ、げっ歯動物−ヒトキメラ、マウス−ヒトおよびラット−ヒトキメラが挙げられるが、これらに限定されない(Robinson et al., 国際特許出願184,187;Taniguchi M., 欧州特許出願171,496;Morrison et al., 欧州特許出願173,494;Neuberger et al., PCT出願WO86/01533;Cabilly et al., 1987 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439;Nishimura et al., 1987 Canc. Res. 47:999;Wood et al., 1985 Nature 314:446;Shaw et al., 1988 J. Natl. Cancer Inst.80:15553,これらは全て引用により本明細書中に取り込まれる)。
「ヒト化」キメラ抗体の一般的考察は、Morrison S., 1985 Science 229:1202およびOi et al., 1986 BioTechniques 4;214により提供される。
好適な「ヒト化」抗体はあるいはまたCDRまたはCEA置換によって作製することができる(Jones et al., 1986 Nature 321:552;Verhoeyan et al., 1988 Science 239:1534;Biedleret a1. 1988 J. Immunol. 141:4053,これらは全て引用により本明細書中に取り込まれる)。
抗体または抗原結合断片はまた遺伝子工学によって作製することができる。E. coli中における重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子の両方の発現のための技術は、PCT特許出願;公開番号WO901443、WO901443およびWO9014424およびHuse et al., 1989 Science 246:1275-1281の対象である。
あるいはまた、抗Int6抗体を免疫原として抗イディオタイプ抗体を投与することによって誘導することができる。便宜的には、上記で説明したように調製された精製した抗Int6抗体調製物を使用して、宿主動物中に抗イディオタイプ抗体を誘導する。本組成物は好適な希釈剤中で宿主動物に投与される。投与後に、通常は反復投与後に、宿主は抗イディオタイプ抗体を産生する。Fc領域に対する免疫原性応答を排除するために、宿主動物と同一種により産生された抗体を使用することができ、または投与された抗体のFC領域を除去することができる。宿主動物中に抗イディオタイプ抗体を誘導した後、血清または血漿を取り出し、抗体組成物が得られる。本組成物は抗−Int6抗体に関して上記説明したように、あるいは親和性マトリックスに結合した抗−Int6抗体を使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、精製することができる。産生した抗イディオタイプ抗体は真正なInt6抗原と立体配置が同様であり、Intタンパク質を使用するよりはむしろ、ワクチンを調製するために使用することができる。
動物中に抗−Int6抗体を誘導するための手段として使用する場合、抗体の注入方法はワクチン接種目的の場合と同一であり、即ち、アジュバンドと一緒にまたはそれなしに、生理学的に好適な希釈剤中において有効濃度において、筋肉内、腹腔内、皮下などに注入される。1以上の追加免疫注入が望ましい場合もある。
Int6タンパク質に対する抗体および抗イディオタイプ抗体の両方のin vivo使用のために、並びに診断用途のためには、モノクローナル抗体を使用することが好ましい場合がある。モノクローナル抗−Int6抗体または抗イディオタイプ抗体は当業者に既知の方法によって作製することができる(Goding, J. W. 1983. Monoclonal Antibodies:Principles and Practice, Pladermic Press, Inc., NY, NY, pp. 56-97)。ヒト−ヒトハイブリドーマを作製するために、ヒトリンパ球提供者が選択される。Int6抗原を有することが知られる提供者は好適なリンパ球提供者として役立つ場合がある。リンパ球は抹消血液試料から単離することができ、提供者が脾除去に付される場合は脾臓細胞を使用できる。エプスタイン−バーウイルス(EBV)を使用してヒトリンパ球を不死化することができ、またはヒト融合パートナーを使用してヒト−ヒトハイブリドーマを作製することができる。ペプチドによる1次in vitro免疫感作またヒトモノクローナル抗体の生成においても使用することができる。
不死化された細胞により分泌される抗体をスクリーニングして、所望の特異性を有する抗体を分泌するクローンを決定する。モノクローナル抗体については、抗体はInt6タンパク質またはペプチドに結合しなければならない。モノクローナル抗イディオタイプ抗体のためには、抗体は抗−Int6抗体に結合しなければならない。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞が選択される。
上記の抗体およびその抗原結合断片は、キット形態、単独またはin vivo用途用の医薬組成物において提供することができる。免疫治療において医薬組成物として使用する場合、本書中に記載した抗体またはキメラ抗体はまた、慣用的方法により毒素分子、ラジオアイソトープ、および薬剤に結合することができる(Vitetta et al.(1991)in「Biologic Therapy of Cancer」De Vita VT, Hellman S., Rosenberg, S.A. (編集)J. B. Lippincott Co. フィラデルフィア;Larson, S.M. et al. (1991)in「Biological Therapy of Cancer」De Vita V.T., Hellman S., Rosenberg, S.A. (編集)J.B. Lippincott Co., フィラデルフィア)。抗体を結合させることができる毒素の例としては、リシンおよびシュードモナスエンドトキシンであるが、これらに限定されない。薬剤または化学治療剤の例としては、アドリアマイシンが挙げられるが、これに限定されない。ラジオアイソトープの例としては、131Iが挙げられるが、これに限定されない。上記試薬に共有結合により結合した抗体は、癌の化学治療において使用することができる。抗体はまた、下記に説明するような免疫分析において治療用途そして診断用途のために、Int6タンパク質を精製するための免疫親和剤としても使用することができる。
従って、本発明は、Int6タンパク質発現における変化について被験体のタンパク質を分析することを含む、Int6遺伝子の突然変異を検出するための第3の方法に関する。
この方法によるタンパク質の分析のためには、タンパク質は腫瘍ビオプシー試料などのような生物学的試料から得られる。タンパク質は、粗製ライセートとして得ることができ、またはそれは当業者に既知の方法によってさらに精製することができる(Sambrook, J. et al. (1989)in「Molecular Cloning, A laboratory Manual」, Cold Spring Harbor press, Plainview, NY)。
粗製タンパク質ライセートは、抗−Int6抗体を使用する免疫分析によってInt6タンパク質について分析することができる。
本発明の免疫分析は、放射免疫分析、ウエスタンブロット分析、免疫蛍光分析、酵素免疫分析、化学発光分析、免疫組織化学分析などが挙げられる。ELISAについて当業者に既知の標準的技術は、Methods in Immunodiagnosis,第2版、RoseおよびBigazzi, eds., John WileyおよびSons, 1980およびCampbell et al., Methods of Immunology, W.A. Benjamin, Inc, 1964に記載されており、これらは共に引用により本明細書中に取り込まれる。このような分析は、技術文献に記載されているように直接、間接、競合、または非競合免疫分析でもよい(Oellerich, M. 1984. J. Clin. Chem. Clin.Biochem. 22:895-904)。
形成したInt6タンパク質抗Int6抗体複合体の検出は、複合体と標識抗ラビット抗体などの2次抗体との反応により達成することができる。標識は、好適な蛍光または発色試薬の存在中で複合体をインキュベートすることによって検出される酵素であればよい。他の検出可能な標識、例えば、放射標識または金コロイドなども使用できる。標識されたInt6タンパク質−抗Int6抗体複合体は次いで、オートラジオグラフィーによって視覚化される。
本発明はまた、Int6タンパク質、Int6タンパク質の宿主生物合成を指令できる核酸配列を含む発現ベクター、または抗−Int6抗体を、治療的に有効量において含む医薬組成物を投与することを含む、癌の治療方法を包含する。治療的に付与される場合、ラジオアイソトープ、毒素分子または薬剤に結合したInt6タンパク質、Int6タンパク質をコードする発現ベクター、または抗Int6抗体は、感染の発症時(またはその直後)、または癌に起因する感染または疾患の任意の症状の発症時に付与される。Int6タンパク質、Int6タンパク質をコードする発現ベクター、または抗Int6抗体の治療的投与は感染または疾患を減衰させるのに役立つ。
本発明はまた、癌を有する被験者を治療する別の方法であって、
(a)特異的T細胞応答を引き出すのに有効な量のInt6タンパク質またはInt6タンパク質の宿主生物合成を指令できる発現ベクターにより被験者を免疫し;
(b)上記T細胞を上記免疫された被験者から単離し;そして
(c)上記T細胞を上記免疫された被験者または非免疫被験者に治療的な有効な量において投与する、
ことを含む方法を包含する。
Int6タンパク質に対して反応性であるT細胞集団を、Int6タンパク質で免疫した提供者の抹消血液試料または脾臓細胞から単離することができる。エプスタインバーウイルス(EBV)を使用してヒトリンパ球を不死化することができ、ヒト融合パートナーを使用して、ヒト−ヒトハイブリドーマを作製することができる。Int6タンパク質による1次in vitro免疫感作もまた、Int6タンパク質に対して反応性であるT細胞の生成において使用することができる。
T細胞は約7日〜約90日まで培養し(Yanelli, J.R. J. Immunol. Methods 139:1-16(1991))、次いでスクリーニングして、T細胞応答性を分析する既知の方法を使用して免疫原性キメラタンパク質中に含まれる他のペプチドに対する所望の反応性を有するクローンを決定する;かくして、所望の応答性を産生するT細胞が選択される。
上記のT細胞は、T細胞を哺乳動物に静脈内、腹腔内、筋肉内または皮下投与することによって、癌に罹患した個人の治療としてin vivo使用のために使用することができる。好ましい投与経路は、静脈内または腹腔内である。
本発明はまた、野生型Int6遺伝子を表す核酸配列を含む発現ベクターをInt6遺伝子の突然変異を有する被験者に投与する、遺伝子治療方法に関する。野生型Int6遺伝子を表す核酸配列は、配列番号1および配列番号3に示されているものである。そのような核酸配列は当業者に既知の方法によって好適な発現ベクター中に挿入することができる。高効率遺伝子移入をin vivoで生み出すのに好適な発現ベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルスおよびワクシニアウイルスのベクターが挙げられる。
野生型Int6遺伝子を表す核酸配列を含む発現ベクターは、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内または経口的に投与することができる。好ましい投与経路は静脈内である。
本発明はまた、Int6遺伝子の突然変異を検出するための診断キットを提供する。この診断キットは、Int6疾患遺伝子の突然変異についてDNAまたはRNAを分析する際におけるPCRプライマーとして有用な精製かつ単離された核酸配列を含む。
本明細書中に引用された如何なる文献または特許は引用により取り込まれる。以下の実施例は本発明の多様な側面を例示するために提示されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでは決してない。
実施例
実施例1
MMTVゲノムの新規の挿入部位の同定
高率のガンの表現型による選択的な同型交配によって偏向していない、乳癌DNAにおける新規Int遺伝子座を同定するため、チェコスロバキアで捕獲されたM. musculus(CZECH II)(Gallahan, D. and Callahan, R.(1987)J. Virol., 61:66-74)の単一家系のつがい由来の野生のマウス株を利用した。高発現率の同型交配マウス株とは異なり、CZECH IIマウスは内因性のMMTVゲノムを欠いているが、乳を通して先天的に受け継がれるMMTVの感染性の株を保持する(Callahan, R. et al.(1982)Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 79:4113-4117)。CZECH IIマウスにおいては、腫瘍形成に先立って、安定で、クローン優性で、時には肺に転移するフォーカス乳癌を形成する過増殖外殖ライン(HOG)が発達していた。HOGまたはHOG由来の腫瘍、またはHOG由来の腫瘍をもつマウスの肺転移における、ゲノムDNAへのMMTVプロウイルスゲノムの挿入を検出するために、CZZ1と呼称するCZECH II HOGライン、またはCZZ−1由来の悪性腫瘍または肺転移から細胞DNAを単離して、以下のようにサザンブロットにより解析した。10μgの細胞DNAをEcoRIで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動し、ナイロン膜に吸着させ、Gallahan, D. and Callahan, R.(J. Virol.(1987)61:66−74)に記載されているように、MMTV LTRプローブでハイブリダイゼーションを行った。簡略には、ハイブリダイゼーションの前に、フィルターを37℃で4から24時間、3×SSPE(1×SSPEは180mMのNaCl、10mMのNaH2PO4[pH7.4]、および1mMのEDTAからなる)、5×デンハルト溶液(0.02%ファイコール、0.02%ポリビニルピロリドン、および0.02%牛血清アルブミン)、2.5%デキストラン硫酸、および50%ホルムアミドを含むプレハイブリダイゼーション溶液中に浸した。40%ホルムアミドを含む以外はプレハイブリダイゼーション溶液と同様の溶液に、変性させたプローブを加えた。この混合液をプレハイブリダイゼーションしたフィルターを含むプラスチックバッグに加え、37℃で24時間保温した。フィルターを、65℃で0.1×SSC(1×SSCは0.15MのNaClと0.015Mのクエン酸ナトリウムからなる)と0.5%ドデシル硫酸ナトリウムを3回取り替え(20から30分の洗浄ごとに取り替えた)、ストリンジェント条件下で洗浄した。フィルターは、コダックXAR−5 C線フィルムに一晩から数日間露光した。これらのサザンブロットの結果を図1Aおよび1Bに示す。図1Aに示す結果は、3個のMMTVプロウイルスゲノム(6個のEcoRI制限酵素断片)を有する、一つのCZZ−1 HOGラインのDNAが細胞DNAへ挿入されていることと、これらのプロウイルスゲノムがまた、HOG内で独立に発生した原発腫瘍中にも存在することを示す。この結果はさらに、これらの6個のMMTV関連断片がもともとの外殖物中やそれぞれの継代移植世代中にも再現性良く認められるため、CZZ−1が腫瘍形成に先立つ細胞中でクローン優性集団であることを示す。実際、CZZ−1 HOGのクローン優性な性質は、4.8および2.8kbのEcoRI制限酵素断片に相当する一つの完全なプロウイルスゲノムを欠いた、腫瘍1262(図1Aレーン3)により明らかにされている。図1Aで解析された13の腫瘍DNAのうち5つ、および腫瘍4973をもつマウスの肺の11の独立な転移部位のうち5つ(図1B)が付加的な挿入MMTVゲノムを有するという観察は、付加的挿入が付加的な細胞遺伝子を活性化(または不活性化)することによって腫瘍の進行に寄与していることを示唆する。しかし、既知の共通の挿入部位(Wnt−1、Fgf−3、Int3、Wnt−3およびFgf−4)はいずれもCZZ−1 HOG中でMMTVにより組換えられていないので、それぞれのCZZ−1 HOGのEcoRI宿主−MMTV結合制限酵素断片の組換え体クローンを得て、宿主配列のサブクローンをMMTV誘導DNA組換えの証拠として、独立のMMTV誘導乳癌DNAのサザンブロットをスクリーニングするためのプローブとして用いた。
この手法を利用して、CZZ−1 HOGの一つのMMTVプロウイルスの近傍の宿主配列(すなわち、図1Aに示す3.0kb断片)からなるプローブを、CZZ−1 HOG由来の腫瘍22(図2A、レーン2および3)、および独立の乳癌1139(図2B,レーン2および3)および3144(図2C、レーン2および3)のInt6共通挿入部位を同定するのに用いた。簡略には、腫瘍DNAおよび正常な肝臓DNA(各パネルのレーン1)由来の細胞DNA(10μg)をEcoRIで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動し、ナイロン膜上にブロットした。図2Aおよび2Bのブロットのレーン1および2は、宿主近傍配列に相当するプローブDでハイブリダイゼーションした。その後、図2Aおよび2Bのレーン2を、MMTV gag配列(Gallahan and Callahan(1987)J. Virol.61:66−74)を用いてハイブリダイゼーションし、その結果を図2Aおよび2Bのレーン3に示す。図2Cのレーン1および2はプローブCでハイブリダイゼーションした。その後、レーン2はMMTVenv配列(GallahanおよびCallahan(1987)J. Viro1.61:66−74)を用いてハイブリダイゼーションし、その結果を図2Cのレーン3に示す。最初のプローブでのそれぞれのブロットのハイブリダイゼーションはこの実施例の前述の記載(GallahanおよびCallahan(1987)J. Virol.61:66−74)に従い実施した。その後ブロットを第二のプローブでハイブリダイゼーションする場合、ブロットをGallahanおよびCa11ahan((1987)J. Virol.61:66−74)に従い、以下のように再びプローブを加えた。簡略には、フィルターを100mlの0.4NのNaOH中に浸し、室温で20分間保温することによってジェネトランフィルターからプローブDNAを除去した。この溶液を捨て、0.1MのTris(pH7.5)−0.1×SSC−0.5%ドデシル硫酸ナトリウム溶液に取り替えてフィルターを中和した。フィルターを室温で15分間保温した後、中和溶液を取り替えて保温をさらに15分間続けた。その後、この実施例で以前に記載したようにフィルターをプレハイブリダイゼーションし、ハイブリダイゼーションした。この方法で処理したジェネトランフィルターはDNAが顕著に失われるまで、少なくとも5回は再使用し得る。
結果は、MMTV誘導再構成(図2Aから2Cにおいて矢印で示す)が二つの独立のMMTV誘導乳癌DNA(図2Bおよび2Cのレーン2と3)で検出されたことを表す。興味深いことに、MMTV誘導型再構成が検出されたそれぞれの場合、再構成した制限酵素断片はMMTVgag又はenv配列を含む断片と一緒に泳動されていた。これらの結果は、各腫瘍におけるウイルスゲノムの転写の向きが同じ方向であることを表す。すなわち、挿入されたMMTVゲノムに近接した宿主配列は、Int6と名付けられた、MMTVの新しい共通の挿入部位を示す。
実施例2
ネズミInt6遺伝子の単離
Int6遺伝子座の組換えゲノムクローンを得るため、宿主近傍配列を含む3.0kbのEcoRI断片(図1Aに示す)のサブクローン(すなわち、プローブD、図3)を、マウス株129/sv由来のゲノムDNAのラムダファージライブラリー(Stratagene, LaJolla, CA)をプローブ探査するのに用いた。このゲノムDNAは、ヌクレオチド配列解析によって決定されたように野生型Int6DNAを含む。Int6遺伝子座の47kbを覆うような重なりあうラムダクローンがさらに3つ、プローブA−C(図3)を用いて得られた。これらの4つの重複するラムダクローンは、図3に示すようにネズミInt6遺伝子を覆う。遺伝子はマウスの15番染色体上のmycガン原遺伝子の動原体部位に位置する。Int6遺伝子座のゲノムクローンのさらなるヌクレオチド配列解析から、この遺伝子は図3に示すようにゲノムDNAの34kbにおよぶ13のエキソンをもつことが示された。
実施例3
CZECH II乳ガンにおけるInt6遺伝子の発現
CZECH II乳ガンにおけるInt6遺伝子の発現を研究するため、Int6陰性腫瘍(腫瘍178)および、Int6上にウィルスの挿入されたInt6陽性腫瘍(22および1139)から調製された総RNA(20μg)をホルムアルデヒド存在下で変性させ、ホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲルで泳動した。RNAをナイロン膜に吸着させ、Gallahan, D.およびCallahan, R.(1987)J. Virol., 61:66−74に記載されたようにプローブAとハイブリダイゼーションを行った(図3)。ノーザンブロット解析の結果を図4に示す。簡略には、3つの腫瘍の各々において、プローブAでのハイブリダイゼーションによって1.4kbの型のRNAが検出され、腫瘍1139にはさらにプローブAの配列に関係する0.9kbの型のRNAが含まれた。ウィルスによるInt6の再構成を伴わない腫瘍178(図4)、およびMMTVによって誘導されるいくつかの他の乳ガンでは、プローブAによって検出される1.4kbの型のRNAを発現したという観察結果から、腫瘍22および1139におけるInt6遺伝子の発現レベルはこの遺伝子座へのウィルスの挿入による重要な結果ではないことが示唆される。
実施例4
野生型ネズミInt6のcDNAの単離
野生型1.4kbのInt6RNAに対応するcDNAを単離するため、MMTVによるInt6の再構成を伴わない、MMTVによって誘導された乳ガンのネズミcDNAライブラリーを、標準的な方法(Sambrook et al(1989)”Molecular Cloning,A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Press, Plainview NY)を用いて調製し、プローブAを用いてプローブ探査した(プローブAは図3に示したXbaI断片である)。ネズミInt6 cDNAのヌクレオチド配列を決定し、これを図5に示す。1.4kbの型のInt6RNAの翻訳から、43.5キロダルトンのタンパク質をコードするオープンリーディングフレームが発見された。図5に示すように、このタンパク質には2つのN−グリコシル化され得る部位(Chem., 260:12492−12499)、チロシンキナーゼ(Hunter, T.およびCooper, J.A.(1985)Ann.Rev.Biochem, 54:897−930)、およびカゼインキナーゼII(Pinna, L.A.(1990)Biochem Biophys Acta, 1054:267−284)が含まれる。
実施例5
種間に渡るInt6cDNAの保存
ネズミの乳ガンにおいて、MMTVの挿入によって発現が影響されまたは変化する全ての遺伝子は進化を通じて高度に保存されている(Dickson,C. and Peters,G.(1987)Nature 326:883;Rijsewizk,K.F. et al(1987)Cell, 50:649−657:Robbins, J. et al(1992)J. Virol, 66:2594−2599)ため、異種間のゲノムDNAにおけるInt6遺伝子の保存性をサザンブロット解析によって研究した。線虫C.elegans,ショウジョウバエ,アフリカツメガエル,ニワトリ、ネズミ、およびヒト由来の細胞DNA(各10μg)をBamHIで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動し、ナイロン膜に吸着させ、3×SSPE(1×SSPEは180mMのNaCl,10mMのNaH2PO4(pH7.4),lmMのEDTA)、5×Denhardt液(0.02%Ficoll,0.02%ポリビニルピロリドン,0.02%ウシ血清アルブミン)、5%デキストラン硫酸、2%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)中でInt6cDNAと65℃で一晩ハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、膜をストリンジェント条件下で0.5×SSC(1×SSCは0.15MのNaCl,0.015Mのクエン酸ナトリウム)プラス0.5%SDSで3回(洗液は20から30分の洗浄ごとに換えた)65℃で洗浄した。Kodak XAR−5フィルムに3日間感光させた。図6に示すように、Int6に関連する配列が、検査した全ての真核生物種において検出された。また、Int6関連配列を含む酵母DNAの制限酵素消化断片がサザンブロット解析によって検出された(データは示さない)。
さらに、ショウジョウバエのInt6相同遺伝子のcDNAクローンのヌクレオチド配列を決定し(データは示さない)、ショウジョウバエのInt6タンパク質の推定アミノ酸配列はヒト/ネズミの推定アミノ酸配列と60%同一であった。併せて考えると、これらの結果によって、Int6遺伝子の幅広い進化的保存性が証明され、Int6が基本的な生命機能を果たすことが示唆される。
実施例6
標的組織におけるInt6特異的なmRNAの発現の検出
MMTVによる遺伝子の再構成を伴わない腫瘍中のInt6の1.4kbの型のRNAを検出した(すなわち図4の腫瘍178)ため、正常な成体の組織および発生の各段階の胚のInt6 RNAの発現を以下のようにノザンブロット解析によって調査した。各組織から総RNA(各10μg)を調製した。RNAをホルムアルデヒド存在下で変性させ、ホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲルで泳動した。このRNA試料をナイロン膜に吸着させ、最初にβ−アクチンプローブと、続いてInt6 cDNAプローブと、GallahanおよびCallahan(J. Virol., 61:66−74(1987))に記載された条件でハイブリダイゼーションした。図7に示すように、Int6 RNAは乳腺を含む成体の調査した全ての組織で発現しており、胚におけるInt6 RNAの発現は発生の8日目にすでに検出された。
実施例7
標的組織におけるInt6特異的なmRNAの発現の検出
Int6特異的なmRNAの発現を検出するために、種々の組織由来の総RNAを用いてランダムプライミングしたcDNAを調製する。Int6ネズミcDNAの700bp断片を、配列番号29 TGTCCACATATTCTACGCTAおよび配列番号30 TGTATGTCATCCTTTATACAとして示すプライマーを用いてPCRによって増幅する。PCRの条件は:変性94℃1分、アニーリング55℃1分、伸長72℃2分を30サイクルである。最後のサイクルの後、2分の伸長反応を追加する。PCR産物を1.0%アガロースゲルで泳動する。エチジウムブロミド染色の後、ゲルの写真撮影によってRT−PCR産物を検出する。
実施例8
MMTVによるInt6の再構成が乳癌において新種のInt6RNAの発現をもたらす
図3に示したようなネズミのInt6遺伝子のマッピングデータの検査によって、全てのウイルスの挿入がInt6遺伝子のイントロン中で起こること、および、取り込まれたウイルスゲノムの転写方向はInt6遺伝子のそれと反対方向であることが明らかである。Int6遺伝子座でのMMTVの果たす役割について少なくとも4つの可能な仮説がある。第一の仮説では、Int6遺伝子は実際はMMTVが作用する標的遺伝子ではない。Wnt1、Fgf−3、およびFgf−4遺伝子座(Dickson, C., et al.(1984)Cell. 37:529-536;Nusse, R., et al.(1982)Cell, 31:99−109;Peters, G.,et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci. USA. 86:5678−5682)において、MMTV挿入部位は標的遺伝子の周囲に規則的様式で集まり、標的遺伝子の5’側に挿入されたウイルスゲノムの転写方向は標的遺伝子のそれと反対方向であるが、標的遺伝子の3’側に挿入されたものは同じ転写方向である。さらに、公表された報告に基づくと、MMTV挿入部位は特定の標的遺伝子から15kb以内にある。しかしInt6遺伝子の3’側13kbまでの配列に対応するRNAの発現の活性化の証拠が発見されていないため、推定上の標的遺伝子の位置は挿入されたMMTVゲノムから、CZZ−1 HOGの場合は24kb以上、腫瘍1139の場合は30kb以上離れていなければならず(図3参照)、従ってこの可能性は非常に少ない。
Int6遺伝子へのMMTVの挿入に起因し得る二番目の結果は、挿入されたウイルスゲノムの3’LTRから開始する、Int6の新たなキメラRNA転写物の発現の活性化である。Int6の場合以外では、類似した状況がMMTVによって誘導されるInt−3の再構成の場合に起き(Robbins,J.,et a1.(1992)J. Vorol., 66:2594−2599)、ウイルスゲノムの転写方向がInt6の転写方向と反対であるため、Int6アンチセンスRNAの発現を引き起こすと考えられる。このような結果は、対立遺伝子の両者の発現を不活性化するトランス優性な突然変異を表すと考えられる。しかし、種々の方法を用いたが、MMTVによって誘導されるInt6アンチセンスRNAの発現は検出されなかった。
三番目の可能性によると、Int6遺伝子はInt遺伝子座内のMMTVの挿入の標的であると仮定される。この場合ウイルスの挿入は一つの対立遺伝子の発現を阻害し、もう一方の対立遺伝子に劣性の自発的な突然変異が存在することが明らかになると考えられる。この可能性を調べるために、腫瘍22および腫瘍1139内の再構成されていないInt6の対立遺伝子に対応するcDNAヌクレオチド配列が決定され、どちらの場合も突然変異は見つからなかった。
4番目のよりあり得る仮説は、Int6遺伝子へのMMTVの挿入が、乳上皮細胞の増殖の正常な制御を失わせるような、生物学的に活性化された遺伝子産物(Int3のような(Robbins,J.,et al.(1992)J.Virol., 66:2594−2599))または優性ネガティブ遺伝子産物の発現を引き起こし、影響を受けた乳上皮細胞の過形成をもたらすというものである。これによって、乳ガンの発達を引き起こし得る前悪性の上皮細胞集団が発生する。
MMTVのInt6遺伝子への挿入によって、変化したRNA種が発生するかどうかを調べるために、腫瘍1139および腫瘍22からのInt6 RNAのcDNAクローンのヌクレオチド配列が決定された。それぞれの場合において再構成された対立遺伝子の転写によって、MMTV LTRの逆転したU3部位中の隠れた転写終止シグナルで終止したキメラRNA種の発現が起こった(図8)。興味深いことに類似した隠れた終止シグナルが、MMTVによって誘導されるFgf−3のいくつかの再構成において活性であることが以前に示されている(Clausse, N.,(1993)Virology, 194:157−165)。
図9Aおよび9Bは、腫瘍1139(図9A)および22(図9B)中に検出されたInt6−MMTV LTR RNA種のヌクレオチド配列を示す。図9Aにおいては再構成された対立遺伝子由来の二つのRNA種(図A、900bpおよび965bp)が検出された。900bpのRNA種に対応するRNA種が図4においてノザンブロット解析によって検出された。一つのRNA種においては、エキソン5はMMTV LTRのU5部位の末端にスプライシングされ、もう一つの種においてはイントロン5中の隠れたスプライシング受容部位においてスプライシングが起こった。同様に図9、CZZ−1ではエキソン9がイントロン9中の隠れた三つの異なるスプライシング受容部位のうちの一つにスプライシングされた三つのキメラRNA種が存在した。キメラ腫瘍RNA種の大きさは正常なInt6RNAのそれに類似しているため、図4の腫瘍22RNAのノザンブロット解析では検出されなかった。
再構成したInt6 RNAの仮想されるタンパク質への翻訳によって、すべての5つの種からの産物は、Int6のイントロンおよび/または逆転したMMTV LTRヌクレオチド配列によってコードされる新規のアミノ酸配列にInt6アミノ酸配列が連結された短縮型のキメラであることが明らかになった。965bpのRNA種が腫瘍1139中に存在することはInt6遺伝子産物の短縮がMMTVの挿入の重要な結果であることを示唆する。
実施例9
ヒトInt6遺伝子の単離
マウスInt6cDNAをラムダファージ中のヒト肺RNAのcDNAライブラリー(Clontech Inc.)をプローブ探査するために用い、ヒト肺cDNAライブラリーからクローン化したヒトInt6 cDNAに特異的なプライマー(配列番号3)を用いて、ヒトゲノムDNAのP1ファージライブラリーを、Genome Systems Inc.(St.Louis,MO)によってInt6関連クローンについてPCRによってスクリーニングした。この方法を用いて50kb以上のヒトゲノムDNAを含むひとつのP1ファージクローンおよび二つのラムダクローンが得られた。これらのクローンのヌクレオチド配列解析によって、ヒトInt6遺伝子が図10に示されたような構成であることが明らかになった。マウスゲノム中と同様にヒトInt6遺伝子は13のエキソンから構成される。ヒトInt6遺伝子はまた、七番目のイントロン中にCA反復配列を含む(図10)。
実施例10
イントロン7に含まれるCA反復配列の大きさの多型
ヒトInt6遺伝子のイントロン7中のCA反復配列の周辺の核酸配列に相補的で(図1)、配列番号31 GTGAAAATGACATGAAATTTCAGおよび配列番号32 TGCAGTGTGACAATATGGGCを有するプライマーが、ヒトゲノムDNA中のCA反復配列を含むInt6遺伝子の部位をPCR増幅するために用いられた。PCRの条件は、94℃1分間の変性、55℃1分間のアニーリング、72℃2分間の伸長を30サイクル行った。最後のサイクルの後、2分間の伸長時間を加えた。非変性6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるPCR産物の分離によって、解析された84の個々のDNAのうち46が異なる大きさの(情報を含む)対立遺伝子のヘテロ接合体であることを明らかにした。
実施例11
ヒトInt6遺伝子の染色体上の局在
ヒトInt6遺伝子の染色体上の局在を決定するために、ヒトDNAおよび個々のヒト染色体を含む齧歯類−ヒト体細胞融合細胞から単離したDNAのサザンブロット解析が行われた。簡略には、齧歯類−ヒト体細胞融合細胞DNAまたはヒトDNAをHindIIIによって消化し、3xSSPE、5xDenhardt溶液、2.5%デキストラン硫酸および40%ホルムアミド中でヒトInt6cDNAと37℃で24時間ハイブリダイゼーションした。ブロットを65℃3回の0.1xSSC、0.5%SDSの液交換を含む(それぞれの液交換は20から30分毎に行われた)ストリンジェント条件下で洗浄した。このサザンブロットの結果を図12に示す。レーン1およびレーン2はヒト6番染色体(レーン1)または8番染色体(レーン2)を含むチャイニーズハムスター−ヒト体細胞ハイブリッドDNAを含み、レーン3はヒト3、7、8、15および17番染色体を含むマウス−ヒト体細胞ハイブリッドからのDNAを含み、レーン4はヒトゲノムDNAを含む。レーン4に見られる23kb断片はInt6関連偽遺伝子を含み、Int6遺伝子をコードする配列はレーン4に見られた4.5、3.5および3.0kb断片により特定される。この結果から、23kb断片がレーン1(ヒト6番染色体を含むハイブリッド)だけにしか検出されない一方、4.5kbおよび3.5kb断片はレーン2(ヒト8番染色体を含むハイブリッド)に検出されたことがわかる。さらに、3.0kbヒト断片(レーン4参照)はまた、レーン1およびレーン2の両方に検出された。しかし、マウスDNAはInt6関連3.0kbHind III断片を含まないことが示されているため、レーン3において3.0kb断片が検出されたことから、3.0kb断片が、チャイニーズハムスターの配列ではなくヒトInt6関連配列を有することが示された。これらの結果は、ヒトInt6遺伝子が8番染色体上に位置することを示す。この染色体上の局在は実施例10に記載されたCA反復配列多型をもちいた連鎖解析によって確認され、さらに精密には8番染色体q22−q24にあることが示された。
実施例12
ヘテロ接合性の欠失を引き起こすヒト胸部腫瘍DNAのInt6遺伝子中の突然変異の検出
以前に示されたMMTV誘導型マウス乳癌の結果に基づき、Int6遺伝子がヒト胸部腫瘍の悪性腫瘍化の間の変異の標的となるかどうかを決定するために、ヒト胸部腫瘍の生体採取試料由来のDNAを解析した。簡略には、原発ヒト胸部腫瘍由来および、Int6のCA繰返し配列が既知である40人の対応する正常組織由来のDNAを、実施例10で使用したPCR法により腫瘍DNA中にヘテロ接合性の欠失(LOH)の存在について解析した。これらの腫瘍のうち11について(25%)完全な欠失または対応した正常DNAと比較して、有意な遺伝子座のシグナルの減少が認められた。これら11中の5つの腫瘍DNA(T)とそれらに対応した正常試料(L)を図13に示す。これらの結果はヒト胸部腫瘍の悪性化の進行のあいだInt6遺伝子が変異の標的となることを示す。さらに、Int6遺伝子の発現がすべての解析を行った組織で検出されるため(図7参照)、Int6遺伝子の突然変異は他の組織に見られるガンの進行のあいだに引き起こされるのだと考えられる。
実施例13
Int6遺伝子のエキソンに結合する配列に由来するプライマーの組を用いたPCR−SSCPによるヒトInt6遺伝子の突然変異の解析
13のヒトInt6エキソン(図14)うち12に結合する核酸配列に相補的なプライマーの組をSEQ ID NO:5−28に示す。SEQ ID NO:5−28から選択されたプライマーの組を用いて、エキソン7以外のInt6遺伝子の各エキソンを、Int6遺伝子にヘテロ接合性の欠失を有する11の原発胸部腫瘍DNA(実施例12参照)、および対応する正常組織試料のDNAからPCRにより増幅し、PCR産物を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により1本鎖構造多型(SSCP)について解析を行った。エキソン7は、ヒトInt6のcDNAのエキソン7に一致する部分を用いたハイブリッドミスマッチ法により解析を行った。Int6遺伝子にヘテロ接合性の欠失を有する原発胸部腫瘍DNAの、1本鎖構造多型解析(SSCP)とハイブリッドミスマッチ法の両方の解析においては、残りの遺伝子座に点変異は一つも検出されなかった(データは示さない)。しかし、残りの遺伝子座におけるプロモーターおよびイントロン領域の突然変異に関する解析は行わなかった。Int6遺伝子のプロモーター、イントロンおよび/またはコード領域の変異が腫瘍試料中に検出された場合には当然、これらの突然変異は腫瘍および対応する正常組織DNA中の変異遺伝子座の塩基配列解析により確かめることが可能である。
実施例14
ヒト胸部および肺腫瘍試料におけるInt6のmRNAの発現の欠失
36人の悪性ヒト胸部腫瘍と2人の新生物発生前障害(高度形成異常症)、および対応する正常組織から単離した全RNAを、Int6mRNAの発現に関して、β−アクチンおよびヒトInt6のcDNAプローブでGallahanおよびCallahan(J. Virol.61:66−74)に記載された条件で行った連続ハイブリダイゼーションを用いたノーザンブロット解析により解析した。これら38試料中14(37%)はInt6mRNAの発現について、対応する正常組織試料と比較して有意な減少または検出不能を示した。
これら14の場合のうち、8は浸潤性導管ガン(IDC)で、2はコメド癌(広い導管内成分を有するIDC)、2は小葉ガン、2つは新生物発生前障害であった。図15にノーザンブロットの結果をしめす。
別の研究において、47つの非小細胞肺ガン(NSCLC)および対応する正常組織におけるInt6 mRNAの発現を、本実施例中で上記のように10μgの総RNAのノーザン解析により測定した。ノーザンブロットの表示を図16に、47つのNSCLC試料のノーザン解析の結果は表1にまとめた。
Figure 0003911017
興味深いことに、47NSCLC中14がInt6mRNAの発現の欠失を示し、Int6mRNAの発現の欠失は特異的組織学的サブタイプと非常に有意な関係(P=0.003)が見られた。(表1、NSCLCのアデノカルシノーマ)
本実施例で示した結果は、Int6の発現の欠失はヒト胸部ガンの初期の現象であり、肺ガンのような他の腫瘍形成に寄与する要素であるという結論に一致する。
実施例15
ネズミInt6タンパク質の特性
Int6遺伝子は50KDaのタンパク質をコードし、3つの翻訳開始点と考えられ得る部位(マウスの配列の27bp,174bpおよび189bp)を有する。これらの各々のポリペプチドは、ウサギの網赤血球システムにおけるInt6RNAのin vitro翻訳の産物として検出された。マウスのInt6の57−71(ペプチド47)残基および、262−281(ペプチド20)残基のアミノ酸に一致する合成ペプチドに対するウサギのポリクローン血清を調製し、Int6のin vitro翻訳産物の免疫沈降に用いた。この免疫沈降は対応するペプチドにより競合される。大人のマウス組織(脳、肺、腎臓、筋肉、心臓及び乳腺)のタンパク質抽出液のペプチド20(rAB20)に対する抗体を用いたウェスタンブロット解析で、80kDのポリペプチドの3量体同様に主要な40kDaポリペプチドが検出された。これらのポリペプチドとの反応はペプチド20により競合される。興味深いことに、唾液線抽出液のウェスタンブロットで30KDのInt6関連ポリペプチドの発現もまた観察された。40KDポリペプチドは50KDa前駆体の切断産物であり、80KDの交差反応したポリペプチドは40KDのペプチドの2量体であると考えられる。
さらに、細胞画分研究および上記のペプチドに対する抗体を用いた免疫蛍光の研究で、Int6は主に細胞質に局在する事が示された。さらにマウス胚の免疫蛍光研究で、Int6タンパク質はゴルジ体に局在する事が示された。
最後にタンパク質キナーゼC(PKC)リン酸化部位の3つの候補を含むInt6タンパク質を、QUIA Express Type 4ベクター(Quiagen, Chatsworth CA)をもちいて細菌中で発現し、精製し、PKCによりリン酸化されることが示された(データは示さない)。
配列表
(1)一般情報:
(i)出願人:健康国民サービス省長官により代表されるアメリカ合衆国政府;ガラハン、ロバート;マルセティ、アントニオ;ブッチッタ、フィアンマ;スミス、ギルバートH.
(ii)発明の名称:新規腫瘍遺伝子、Int6のヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列、並びに診断分析、ワクチン、免疫治療および遺伝子治療におけるこれらの配列から誘導された試薬の使用
(iii)配列の数:32
(iv)通信先:
(A)宛て名:モルガン&フィンネガン、L.L.P.
(B)通り:345 パーク アベニュー
(C)都市:ニューヨーク
(D)州:ニューヨーク
(E)国:USA
(F)ZIP:10154
(v)コンピューター読取り形式:
(A)媒体型:フロッピーデスク
(B)コンピューター:IBM PCコンパチブル
(C)オペレーティングシステム:PC−DOS/MS−DOS
(D)ソフトウエア:ワードパーフェクト5.1
(vi)本出願のデータ
(A)出願番号:
(B)出願日:1996年2月9日
(C)分類:
(vii)先の出願のデータ
(A)出願番号:08/385,998
(B)出願日:1995年2月9日
(C)分類:
(viii)弁護士/代理人情報
(A)氏名:ウイリアム S.フェイラー
(B)登録番号:26,728
(C)参照/ドケット番号:2026−4179PCT
(ix)通信情報:
(A)電話:(212)758−4800
(B)テレファックス:(212)751−6849
(C)テレックス:421792
(2) 配列番号1の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:1504塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号1
Figure 0003911017
(2) 配列番号2の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:396アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖:未知
(D)トポロジー:未知
(xi)配列記載:配列番号2
Figure 0003911017
Figure 0003911017
(2) 配列番号3の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:1500塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号3
Figure 0003911017
Figure 0003911017
(2) 配列番号4の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:396アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖:未知
(D)トポロジー:未知
(xi)配列記載:配列番号4
Figure 0003911017
Figure 0003911017
(2) 配列番号5の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:25塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号5
Figure 0003911017
(2) 配列番号6の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号6
Figure 0003911017
(2) 配列番号7の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号7
Figure 0003911017
(2) 配列番号8の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:22塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号8
Figure 0003911017
(2) 配列番号9の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号9
Figure 0003911017
(2) 配列番号10の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号10
Figure 0003911017
(2) 配列番号11の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号11
Figure 0003911017
(2) 配列番号12の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号12
Figure 0003911017
(2) 配列番号13の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号13
Figure 0003911017
(2) 配列番号14の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号14
Figure 0003911017
(2) 配列番号15の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号15
Figure 0003911017
(2) 配列番号16の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号16
Figure 0003911017
(2) 配列番号17の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号17
Figure 0003911017
(2) 配列番号18の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:21塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号18
Figure 0003911017
(2) 配列番号19の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号19
Figure 0003911017
(2) 配列番号20の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号20
Figure 0003911017
(2) 配列番号21の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:21塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号21
Figure 0003911017
(2) 配列番号22の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:21塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号22
Figure 0003911017
(2) 配列番号23の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号23
Figure 0003911017
(2) 配列番号24の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号24
Figure 0003911017
(2) 配列番号25の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号25
Figure 0003911017
(2) 配列番号26の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:21塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号26
Figure 0003911017
(2) 配列番号27の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:22塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号27
Figure 0003911017
(2) 配列番号28の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:22塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号28
Figure 0003911017
(2) 配列番号29の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号29
Figure 0003911017
(2) 配列番号30の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号30
Figure 0003911017
(2) 配列番号31の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:23塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号31
Figure 0003911017
(2) 配列番号32の情報
(i)配列の特徴
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖
(xi)配列記載:配列番号32
Figure 0003911017

Claims (32)

  1. (a)配列番号:1若しくは配列番号:3に記載の核酸配列;または
    (b)配列番号:2若しくは配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるInt6タンパク質をコードする核酸配列;
    からなる、精製かつ単離された遺伝子。
  2. 配列番号:1に記載の核酸配列からなる請求項1の精製かつ単離された遺伝子。
  3. 配列番号:4に記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列からなる請求項1の精製かつ単離された遺伝子。
  4. 配列番号:3に記載の核酸配列からなるcDNA。
  5. 上記cDNAがATCC受託番号97029および97030を有する、請求項4に記載のcDNA。
  6. 試料を配列番号:1,配列番号:3,配列番号:5から配列番号:28,配列番号:31又は配列番号:32のヌクレオチド配列からなる少なくとも1個の核酸と接触させることを含む、請求項1の遺伝子を検出するための試料の分析方法。
  7. 上記分析の工程がサザンブロット分析におけるプローブとして上記ヌクレオチド配列を使用することを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 上記配列がcDNAである、請求項に記載の方法。
  9. 上記cDNAが配列番号:3に記載のヌクレオチド配列からなる、請求項に記載の方法。
  10. 上記分析の工程がノザンブロット分析におけるプローブとして上記ヌクレオチド配列を使用することを含む、請求項6に記載の方法。
  11. 上記プローブが配列番号:3に記載のヌクレオチド配列からなる、請求項10に記載の方法。
  12. 上記分析の工程がPCRプライマーとして上記ヌクレオチド配列を使用することを含む、請求項6に記載の方法。
  13. 上記プライマーが配列番号:5から配列番号:28、配列番号:31および配列番号:32から選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 上記分析の工程がPCR−SSCP分析における上記プライマーを使用することを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 上記分析の工程がRT−PCR分析において上記プライマーを使用することを含む、請求項12に記載の方法。
  16. 上記分析の工程がRT−PCR−SSCP分析において上記プライマーを使用することを含む、請求項12に記載の方法。
  17. 配列番号:5から配列番号:28、配列番号:31および配列番号:32に記載の配列を有している、精製かつ単離されたプライマー。
  18. 請求項1の遺伝子を検出するための試料分析に有用な診断キットであって、配列番号:5から配列番号:28および配列番号:31および配列番号:32から成る群から選択される核酸配列を有するプライマーを含み、当該プライマーが請求項1の遺伝子に特異的にハイブリダイズすることができる、上記のキット。
  19. 上記遺伝子がcDNAであって、配列番号:3に記載のヌクレオチド配列を有する、請求項17に記載のプライマー。
  20. 請求項1の遺伝子を検出するための試料分析に有用な診断キットであって、前記キットは配列番号:1,配列番号:3,配列番号:5から配列番号:28、配列番号:31および配列番号:32の核酸配列からなる少なくとも1個の核酸配列を含み、上記核酸配列が請求項1の遺伝子に特異的にハイブリダイズすることができる上記のキット。
  21. 配列番号:4に記載のタンパク質に対してまたはそれから誘導されたペプチド断片に対して指向した抗体を試料と接触させること;およびタンパク質またはそのペプチド断片と形成した抗体複合体の存在を検出し、それにより試料中のタンパク質の存在を検出することを含む、請求項1の遺伝子によってコードされたタンパク質を検出するための試料の分析方法。
  22. 上記分析の工程が免疫組織化学分析、放射免疫分析、ウエスタンブロット分析、免疫蛍光分析、酵素免疫分析または化学発光分析を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなる組み換えタンパク質。
  24. 請求項1の遺伝子を含む組み換え発現ベクター。
  25. 作動要素を含む、請求項24に記載の組み換え発現ベクター。
  26. 上記遺伝子が配列番号:3に記載の核酸配列からなる、請求項25に記載の組み換え発現ベクター。
  27. 請求項1の核酸によってコードされたInt6タンパク質に対する特異的結合親和性を有する抗体。
  28. 上記抗体がモノクローナル抗体である、請求項27に記載の抗体。
  29. 毒素、放射ヌクレオチドまたは医薬に結合した請求項27に記載の抗体を含む医薬組成物。
  30. 請求項25に記載の組み換えベクターで形質転換またはトランスフェクトした宿主細胞。
  31. 上記細胞が原核細胞である、請求項30に記載の宿主細胞。
  32. 上記細胞が真核細胞である、請求項30に記載の宿主細胞。
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