JPH10505742A - 17q−連鎖乳癌および卵巣癌感受性遺伝子 - Google Patents

17q−連鎖乳癌および卵巣癌感受性遺伝子

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JPH10505742A JP8507508A JP50750896A JPH10505742A JP H10505742 A JPH10505742 A JP H10505742A JP 8507508 A JP8507508 A JP 8507508A JP 50750896 A JP50750896 A JP 50750896A JP H10505742 A JPH10505742 A JP H10505742A
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(57)【要約】 本発明は、一般的にヒト遺伝学の分野に関する。詳細には、本発明は、ヒト乳癌および卵巣癌に対する病気素因遺伝子(BRCA1)を単離し、かつ、検出するのに用いる方法および材料に関し、そのBRCA1のある種の突然変異は癌、特に乳癌および卵巣癌に対する感受性を引き起こす。より詳細には、本発明は、BRCA1遺伝子中の生殖細胞系突然変異、ならびに乳癌および卵巣癌に対する病気素因の診断におけるその使用に関する。本発明は、さらに、ヒト乳癌および卵巣癌におけるBRCA1遺伝子中の体細胞突然変異、ならびにヒト乳癌および卵巣癌の診断および予診におけるその使用に関する。加えて、本発明は、他のヒト癌におけるBRCA1遺伝子中の体細胞突然変異、ならびにヒト癌の診断および予診におけるその使用に関する。本発明は、また、遺伝子療法、蛋白質置換療法および蛋白質ミメティックスを包含する、BRCA1遺伝子中に突然変異を有するヒト癌の療法に関する。本発明は、さらに、癌療法用の薬剤のスクリーニングに関する。最後に、本発明は、突然変異についてのBRCA1遺伝子のスクリーニングに関し、これは、乳癌および卵巣癌に対する病気素因を診断するのに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 17q-連鎖乳癌および卵巣癌感受性遺伝子発明の分野 本発明は、一般的にヒト遺伝学の分野に関する。詳細には、本発明は、そのい くつかの突然変異対立遺伝子が、癌、特に乳癌および卵巣癌に感受性を引き起こ すヒト乳癌および卵巣癌病気素因遺伝子(BRCA1)を単離し、検出するのに用 いる方法および材料に関する。より詳細には、本発明は、BRCA1遺伝子にお ける生殖細胞系突然変異、ならびに乳癌および卵巣癌に対する病気素因の診断に おけるその使用に関する。本発明は、さらに、ヒト乳癌および卵巣癌におけるB RCA1遺伝子における体細胞突然変異、ならびにヒト乳癌および卵巣癌の診断 および予診におけるその使用に関する。加えて、本発明は、他のヒト癌における BRCA1遺伝子の体細胞突然変異、ならびにヒト癌の診断および予診における その使用に関する。また、本発明は、遺伝子療法、蛋白質置換療法および蛋白質 ミメティックスを包含する、BRCA1遺伝子中に突然変異を有するヒト癌の療 法にも関する。本発明は、さらに、癌療法用薬剤のスクリーニングにも関する。 最後に、本発明は、乳癌および卵巣癌の病気素因の診断に有用な、突然変異につ いてのBRCA1遺伝子のスクリーニングに関する。 本発明の背景、および特に、実施に関するさらなる詳細を提供する場合を明ら かにするために本明細書中で用いる刊行物および他の材料は、出典明示して本明 細書の一部とみなし、簡便のために、以下の明細書中の著者および日付けによっ て示し、添付する参照リスト中に各々グループ化する。発明の背景 トランスフォーム状態の優性で正の多くの調節遺伝子(オンコジーン)、ならび に劣性で負の多くの調節遺伝子(腫瘍サプレッサー遺伝子)を包含する癌の遺伝学 は複雑である。百を超えるオンコジーンが特徴付けられている。1ダースに満た ない腫瘍サプレッサー遺伝子しか同定されていないが、その数は50を超えて増 加すると予想される(Knudson,1993)。 そのように多数の遺伝子の関与は、細胞で作動して正常組織の完全性を維持す る増殖制御機構の複雑さを強調している。この複雑性は他の方法で明白である。 現在まで、単一の遺伝子がすべての、または大部分のヒト癌の成長に関与してい ることが示されたことはない。最も普遍的なオンコジーン突然変異はH-ras 遺伝子に存在し、全ての充実性腫瘍の10-15%に見出されている(Anderson ら,1992)。最も頻繁に突然変異する腫瘍サプレッサー遺伝子は、全腫瘍のほぼ 50%でホモ接合的に欠損したTP53遺伝子、および検査した腫瘍細胞系統の 46%でホモ接合的に欠損したCDKN2である(Kambら,1994)。すべてのト ランスフォーム細胞に共通する標的なしには、癌細胞を破壊または復帰させる一 方で害されていない正常組織を残し得る「魔法の弾丸」の夢はありそうにない。 特異的に標的化した抗癌剤の新たな創薬の望みは、細胞分裂の制御において一般 的な役割を演じている腫瘍サプレッサー遺伝子またはオンコジーンを同定する能 力に支えられ得る。 クローン化され特徴付けられた腫瘍サプレッサー遺伝子は、1)網膜芽細胞腫 (RB1);2)Wilms腫瘍(WT1);3)Li-Fraumeni症候群(TP53);4 )家族性腺腫性茸腫症(APC);5)神経線維腫症1型(NF1):6)神経線維 腫症2型(NF2);7)von Hippel-Lindau病(VHL);8)多発性内分泌腺 腫症2A型(MEN2A);および9)メラノーマ(CDKN2)に対する感受性に 影響する。 遺伝子的にマッピングされているが未だ単離されていない腫瘍サプレッサー遺 伝子座には:多発性内分泌腺腫症1型(MEN1);リンチ癌家族性症候群2型( LCFS2);神経芽細胞腫(NB);基底細胞母斑症候群(BCNS);Beckwith -Wiedemann症候群(BWS);腎細胞腫(RCC);結節性硬化症1型(TSC1) ;および結節性硬化症2型(TSC2)に関する遺伝子が包含される。今日までに 特徴付けられている腫瘍サプレッサー遺伝子は、DNA結合蛋白質(WT1)、補 助転写因子(RB1)、GTPアーゼ活性化蛋白質またはGAP(NF1)、細胞骨 格 因子(NF2)、膜結合受容体キナーゼ(MEN2A)、細胞サイクル調節因子(C DKN2)および公知の蛋白質に明白な同一性をなんら有しない他のもの(APC およびVHL)を包含する、種々のタイプの蛋白質と同類の産物をコードする。 多くの場合、遺伝的研究を通して元来同定された腫瘍サプレッサー遺伝子は、 ある種の散発性腫瘍においては欠失または突然変異していることが示されている 。この結果は、染色体異常の領域が、癌への遺伝的病気素因および散発性癌の両 方に関与する重要な腫瘍サプレッサー遺伝子の位置を知り得ることを示している 。 今日までに特徴付けられた数種の腫瘍サプレッサー遺伝子の顕著な特徴の1つ は、特定の腫瘍型においてそれが高率で欠失しているということである。該欠失 には、しばしば、単一対立遺伝子の欠失、いわゆるヘテロ接合体の欠失(LOH) が含まれるが、また、両方の対立遺伝子のホモ接合体欠失も含まれ得る。LOH に関しては、予め存在する突然変異のためか、二次的散発性突然変異のためかの いずれかによって、残りの対立遺伝子が非機能性になると予想される。 乳癌は、女性に影響する最も重要な疾病の1つである。最近の比率では、米国 女性は、95歳までに乳癌を発症する1/8の危険度を有する(American Cancer Society,1992)。後期ステージの乳癌の治療は、しばしば、無駄で、かつ醜く 、疾病の医療管理において早期の検出を高い優先としている。乳癌よりもより頻 繁ではないが、卵巣癌はしばしば迅速に死に至り、米国女性における癌致死率の 第4番目の最も普遍的原因である。乳癌発症率の疾病-規定比率に寄与する遺伝 的因子は全ケースの約5%と概算されるが、約25%のケースが40歳前に診断 されている(Clausら,1991)。乳癌は50歳付近の年齢-特異的発症率曲線の変曲 に基づき、2種のタイプ、すなわち、低齢発症および高齢発症に分けられる。1 つの遺伝子、すなわちBRCA1の突然変異が家族性乳癌の約45%の原因と考 えられるが、乳癌および卵巣癌の両方を有する家族の少なくとも80%の原因と 考えられる(Eastonら,1993)。 BRCA1遺伝子が1990年に最初にマッピングされてから、それを単離す る激しい努力がなされてきている(Hallら,1990;Narodら,1991)。第2の遺伝 子座、BRCA2は最近、染色体13qにマッピングされ(Woosterら,1994)、 BRCA1とほぼ同等な低齢-発症乳癌の比率と考えられるようであるが、卵巣 癌の低い危険性に寄与している。低齢-発症乳癌に対する残りの感受性は、家族 性癌の未だマッピングされていない遺伝子と、TP53のごとき珍しい生殖細胞 系突然変異との間に分けられる(Malkinら,1990)。また、血管拡張性失調症遺 伝子のヘテロ接合体キャリアーが、乳癌につき高危険性であることも示唆されて いる(Swiftら,1976;Swiftら,1991)。高齢-発症乳癌はしばしば家族性であ るが、血縁における危険度は低齢-発症乳癌ほど高くない(Cannon-Albrightら ,1994;Mettlinら,1990)。しかしながら、遺伝的感受性によるかかるケース のパーセンテージは知られていない。 乳癌は、部分的に、家族性疾病であると長い間認識されている(Anderson,1972) 。膨大な数の研究者が遺伝的受継の証拠を検査し、データは主要な感受性遺伝子 座または遺伝子座群の優性遺伝とほとんど一致すると結論している(Bishopおよ びGardner,1980;Goら,1983;WilliamsおよびAnderson,1984;Bishopら ,1988;Newmanら,1988;Clausら,1991)。最近の結果は、少なくとも3つの 遺伝子座が存在し、これらが乳癌ならびに他の癌に対する感受性を運んでいるこ とを証明している。これらの遺伝子座は染色体17p上のTP53遺伝子座(Ma lkinら,1990)、BRCA1として知られている17q-連鎖感受性遺伝子座(Ha llら,1990)、および未マッピングの残りのものに寄与する1または2以上の遺 伝子座である。Hallら(1990)は、低齢発症を有する家系において遺伝した乳癌 感受性が染色体17q21に連鎖していることを示したが;より適当な遺伝的モ デルを使用したこのグループによるつづく研究は、低齢発症乳癌への限定を部分 的に論駁された(Margaritteら,1992)。 17q-連鎖乳癌病気素因遺伝子(BRCA1)をクローン化する大部分の戦略 は正確な遺伝的位置決定研究を要する。BRCA1の機能的な役割に関する最も シンプルなモデルは、癌となる病気素因であるBRCA1の対立遺伝子が野生型 対立遺伝子に対して劣性であり;すなわち、少なくとも1つの野生型BRCA1 対立遺伝子を含む細胞は癌にかからないことを支持している。しかしながら、1 つの野生型BRCA1対立遺伝子および1つの病気素因対立遺伝子を含有する細 胞は、ランダム突然変異によってか、または細胞分裂の間の染色体欠失(非染色 体分離)によるかのいずれかで野生型対立遺伝子の欠失にしばしば遭遇し得る。 かかる突然変異細胞の子孫はすべて、BRCA1の野生型機能を欠いており、腫 瘍に発展し得る。このモデルによれば、BRCA1の病気素因対立遺伝子は劣性 で、癌に対する感受性を優性で受け継いでいても:1つの病気素因対立遺伝子( および1つの野生型対立遺伝子)を有する女性は癌を発症する危険性を有する。 なぜならば、彼女の乳房上皮細胞が、自然発生的に野生型BRCA1対立遺伝子 を欠失し得るからである。このモデルは、網膜芽細胞腫遺伝子および神経芽細胞 腫遺伝子を包含するクラスの遺伝子、腫瘍サプレッサーまたは抗オンコジーンと して知られている癌感受性対立遺伝子の群に適用する。推論により、このモデル は、最近示されているごとく(Smithら,1992)、BRCA1機能を説明すること もできる。 第2の可能性は、BRCA1病気素因対立遺伝子が実際に優性であり;すなわ ち、BRCA1の野生型対立遺伝子は病気素因対立遺伝子の腫瘍形成役割を克服 し得ないということである。したがって、野生型と突然変異対立遺伝子との両方 を運ぶ細胞は、悪性腫瘍細胞を生じる前にBRCA1の野生型コピーを欠失して いるとは限らない。その代わりに、病気素因個人における乳房細胞は、癌に通じ るある種の他の確率的変化(群)が起きているであろう。 BRCA1病気素因対立遺伝子が劣性である場合、該BRCA1遺伝子は正常 な乳房組織で発現するが、乳癌で機能的に発現しないと予想される。それとは反 対に、BRCA1病気素因対立遺伝子が優性である場合、野生型BRCA1遺伝 子は正常な乳房組織で発現し得るか、またはし得ない。しかしながら、該病気素 因対立遺伝子は、乳癌細胞で発現するようである。 BRCA1の17q連鎖は、乳癌と卵巣癌の両方を有する5人の家系のうちの 3人で独立して確認された(Narodら,1991)。これらの研究は、連鎖したマーカー pCMM86(D17S74)のいずれか側に対して15センチモルガン(cM)、または 約15Mbpの非常に広範な領域の中に該遺伝子が位置決定されると主張してい る。しかしながら、pCMMS6を取り囲むマーカーを用いた遺伝的研究によっ て該領域をさらに画定する試行は首尾よくいかないことが証明された。つづく研 究は、該遺伝子がかなり接近していて(Eastonら,1993)、元来の分析が欠陥で あったことを示している(Margaritteら,1992)。Hallら(1992)は、最近、BR CA1遺伝子を、基部側のMfd15(D17S250)および末端側のヒトGIP遺伝 子と境を接する約8cM(約8Mbp)の間隔に位置決定した。公的に入手可能な データに基づくBRCA1対立遺伝子についてのわずかに狭い間隔は、1992 年3月の「染色体17研究会」(Fain,1992)で合意に達した。これらの領域の サイズおよびそれと関連する不確実性は、BRCA1遺伝子を単離する物理的マ ッピングおよび/またはクローニング戦略の設計および器具を過剰に困難として いる。 乳癌感受性対立遺伝子の同定により、感受性個人を早期に検出することができ 、癌に通じる初期工程を理解する我々の能力を大きく増すであろう。感受性対立 遺伝子は腫瘍が進展する間にしばしば変化するため、これらの遺伝子のクローニ ングも、より良好な診断および予診産物の開発、ならびにより良好な癌療法にお いても重要となり得る。発明の概要 本発明は、一般的にヒト遺伝学の分野に関する。詳細には、本発明は、癌、特 に乳癌および卵巣癌に対する感受性を生じるある種の対立遺伝子である、ヒト乳 癌病気素因遺伝子(BRCA1)を単離し、かつ検出するのに用いる方法および材 料に関する。より詳細には、本発明は、BRCA1遺伝子における生殖細胞系突 然変異、ならびに乳癌および卵巣癌の病気素因の診断におけるその使用に関する 。本発明は、さらに、ヒト乳癌におけるBRCA1遺伝子の体細胞突然変異、な らびにヒト乳癌および卵巣癌の診断および予診におけるその使用に関する。加え て、本発明は、他のヒト癌におけるBRCA1遺伝子の体細胞突然変異、ならび にヒト癌の診断および予診におけるその使用に関する。本発明は、また、遺伝子 療法、蛋白質置換療法および蛋白質ミメティックスを包含する、BRCA1遺伝 子に突然変異を有するヒト癌の療法に関する。本発明は、さらに、癌療法用の薬 剤のス クリーニングに関する。最後に、本発明は、突然変異についてのBRCA1遺伝 子のスクリーニングに関し、それは乳癌および卵巣癌の病気素因を診断するのに 有用である。図面の簡単な説明 図1は、「染色体17研究会」によって決定されたBRCA1近辺の遺伝子座 の順序を示す図である。図1はFain,1992から再現した。 図2は、Mfd15-Mfd188領域部分を画定するYACの模式的地図である。 図3は、BRCA1領域中のSTS、P1およびBACの模式的地図である。 図4は、ヒト染色体17の模式的地図である。BRCA1を含む直接関係する 領域は、2つの以前に同定された遺伝子、CA125およびRNU2の相対的な 位置を示すために拡大されており、BRCA1はマーカーD17S855にわたって広 がっている。 図5は、Smith-Waterman配列に最もよく記録される3つの他の亜鉛-フィン ガードメインを有するBRCA1亜鉛-フィンガードメインの配列を示している 。RPT1は、マウスにおいてIL-2受容体の負の調節因子であるようである 蛋白質をコードしている。RIN1は、亜鉛-フィンガーに関連する環(RING)-フ ィンガーモチーフを含むDNA-結合蛋白質をコードしている。RFP1は、RE Tオンコジーン産物のN-末端ドメインである予想転写因子をコードしている。 下線部分は、亜鉛イオン結合ポケットを形成するシステインおよび1つのヒスチ ジンの位置を示すC3HC4共通亜鉛-フィンガー配列を含む。 図6は、別のスプライシングによって生成したイントロンの位置、およびBR CA1 mRNAの変形を示すBRCA1 mRNAの図である。イントロン位置 は▲によって示し、エキソンはcDNAを表す線の下側に番号付けしている。最 上段のcDNAは、BRCA1のペプチド配列を作製するのに用いる組成である 。cDNAクローンまたはハイブリッド選抜クローンとして同定した別の形態を 下側に示す。 図7はBRCA1の組織発現パターンを示している。ブロットはClontech社 から得、それは示した組織からのRNAを含む。ハイブリダイゼーション条件は 製造業者によって推奨されたもので、BRCA1のヌクレオチド位3631〜3 930よりなるプローブを使用している。乳房および卵巣の両方がヘテロ接合体 組織であり、関連する上皮細胞のパーセンテージが変動し得ることは注記してお く。分子量マーカーはkbである。 図8は、別のスプライシングによって生成したイントロンの位置およびBRC A1 mRNAの変形を示すBRCA1の5'非翻訳領域+翻訳領域の開始点の図 である。イントロンの位置を破線で示す。6つの別のスプライシング形態を示す 。 図9AはKindred2082におけるナンセンス突然変異を示している。Pとは、元 来スクリーニングした個人を示し、bおよびcはハロタイプキャリアーで、a、 d、e、fおよびgはBRCA1ハロタイプを運んでいない。CからTへの突然 変異は終止コドンを生じ、制限酵素AvrIIの部位を生成する。PCR増幅産物 はこの酵素で切断される。キャリアーは、該部位についてヘテロ接合体であり、 それ故、3つのバンドを示す。非-キャリアーは切断されないまま残る。 図9BはBRCA1家系における突然変異および共分離分析を示している。キ ャリアー個人は家系図中の●および■として示す。Kindred1910におけるフレー ムシフト突然変異。最初の3レーンは対照、非キャリアー試料である。1-3で 標識したレーンはキャリアー個人からの配列を含む。レーン4には、BRCA1 突然変異を運んでいない家系構成員からのDNAが含まれる。菱形を用いて家系 の同定を防いでいる。さらなるCから生じたフレームシフトは1、2および3で 標識したレーンで明らかである。 図9CはBRCA1家系における突然変異および共分離分析を示している。キ ャリアー個人は、家系図中の●および■として示す。推論する調節突然変異がK indred2035にある。2の異なる多形(PM1およびPM7)のキャリアーおよび非 キャリアーのASO分析を生殖細胞系におけるヘテロ接合性について検査し、リ ンパ球mRNAのヘテロ接合性と比較した。各パネルの最上段の2列はゲノムD NAから増幅したPCR産物を含み、下の2列はcDNAから増幅したPCR産 物を含んでいる。「A」および「G」はASOによって検出した2つの対立遺 伝子である。暗いスポットは、特定の対立遺伝子が試料中に存在することを示し ている。PM7の最初の3レーンは、一般集団の3種の遺伝子型を表している。 図10A-10Hは、BRCA1のゲノム配列を示している。より下のケース の文字はイントロン配列を示す一方、より上のケースの文字はエキソン配列を示 す。イントロン内の不明瞭な間隔は、vvvvvvvvvvvvvvで示した。 知られている多形部位は下線および肉付太字タイプとして示す。発明の詳細な説明 本発明は、一般的にヒト遺伝学の分野に関する。詳細には、本発明は、癌、特 に乳癌および卵巣癌に対して感受性を生じるある種の対立遺伝子である、ヒト乳 癌病気素因遺伝子(BRCA1)を単離し、かつ検出するのに用いる方法および材 料に関する。より詳細には、本発明は、BRCA1遺伝子における生殖細胞系突 然変異、ならびに乳癌および卵巣癌の病気素因の診断におけるその使用に関する 。本発明は、さらに、ヒト乳癌におけるBRCA1遺伝子における体細胞突然変 異、ならびにヒト乳癌および卵巣癌の診断および予診におけるその使用に関する 。加えて、本発明は、他のヒト癌におけるBRCA1遺伝子中の体細胞突然変異 、ならびにヒト癌の診断および予診におけるその使用に関する。また、本発明は 、遺伝子療法、蛋白質置換療法および蛋白質ミメティックスを包含する、BRC A1遺伝子中に突然変異を有するヒト癌の療法に関する。本発明は、さらに、癌 治療用の薬剤のスクリーニングに関する。最後に、本発明は、突然変異について のBRCA1遺伝子のスクリーニングに関し、それは乳癌および卵巣癌の病気素 因を診断するのに有用である。 本発明は、好ましくは少なくとも8塩基長〜約100kb長の、BRCA1遺 伝子座または突然変異BRCA1遺伝子座の全体または一部分よりなる単離ポリ ヌクレオチドを提供する。かかるポリヌクレオチドはアンチセンス・ポリヌクレ オチドとし得る。本発明は、また、かかる単離ポリヌクレオチドよりなる組換え 構築物、例えば、形質転換宿主細胞における発現に適した組換え構築物を提供す る。 また、本発明により、分析物中のBRCA1遺伝子座またはその発現産物の一 部分を含むポリヌクレオチドを検出する方法を提供する。かかる方法は、さらに BRCA1遺伝子座の一部分を増幅する工程を含んでよく、さらに、BRCA1 遺伝子座の該一部分を増幅するためのプライマーである1セットのポリヌクレオ チドを提供する工程を含んでよい。該方法は、癌に対する病気素因の診断、また は癌の診断もしくは予診のいずれかに有用である。 本発明は、また、BRCA1遺伝子座によってコードされる少なくとも5個の アミノ酸残基よりなる単離ポリペプチドに特異的に結合する単離抗体、好ましく はモノクローナル抗体も提供する。 本発明は、また、BRCA1遺伝子座の一部分よりなるポリヌクレオチドを分 析物中で検出するためのキットを提供し、該キットは適当な容器中に密閉したB RCA1遺伝子座の一部分に相補的なポリヌクレオチドおよびそれを使用するた めの指示書を含む。 本発明は、さらに、重合性ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを調製し、B RCA1遺伝子座の少なくとも8つの隣接したヌクレオチドよりなる配列を得る 方法;ならびに、重合性アミノ酸を含むポリペプチドを調製して、BRCA1遺 伝子座内にコードされる少なくとも5個のアミノ酸を含む配列を得る方法を提供 する。 本発明は、さらに、突然変異を同定するためにBRCA1遺伝子をスクリーニ ングする方法を提供する。かかる方法は、さらに、BRCA1遺伝子座の一部分 を増幅する工程をさらに含み得、かつ、BRCA1遺伝子座の該一部分を増幅す るためのプライマーである1セットのポリヌクレオチドを提供する工程を含み得 る。該方法は、癌に対する病気素因の診断または癌の診断もしくは予診のいずれ かで使用する突然変異の同定に有用である。 本発明は、さらに、BRCA1遺伝子中の突然変異を同定するための予想BR CA1突然変異対立遺伝子をスクリーニングする方法を提供する。 加えて、本発明は、BRCA1遺伝子産物機能を回復するのに適当な薬剤を同 定するために、癌療法用の薬剤をスクリーニングする方法を提供する。 最後に、本発明は、癌細胞に指向する遺伝子-ベースの療法の作成に必要な手 段を提供する。これらの療法剤は、BRCA1蛋白質の機能が再構成されるよう に適当なベクターに設置するか、または、より直接的な方法で標的細胞にデリバ リーするかのBRCA1遺伝子座の全体または一部分を含むポリヌクレオチドの 形態を採り得る。療法剤は、また、BRCA1の部分的または全体的な蛋白質配 列のいずれかに基づいたポリペプチドの形態も採り得る。これらは、イン・ビボ (in vivo)でBRCA1の活性を機能的に置換し得る。 個人が乳癌および卵巣癌に対する病気素因を作るBRCA1遺伝子は、BRC A1蛋白質をコードする遺伝子であり、この蛋白質が、公知の蛋白質またはDN A配列となんら意味深い相同性を有しないことが判明したことは本発明の知見で ある。この遺伝子は、本明細書中でBRCA1と命名する。生殖細胞系における BRCA1遺伝子座中の突然変異が、乳癌および卵巣癌に対する病気素因の指標 になるということは本発明の知見である。最後に、BRCA1遺伝子座における 体細胞突然変異も、乳癌、卵巣癌および他の癌と関連しており、このことが、こ れらの癌の指標、またはこれらの癌の病気素因を表していることが本発明の知見 である。BRCA1遺伝子座の突然変異事象には、コード配列および非-コード 配列内における欠失、挿入および点突然変異が含まれ得る。 ヒトゲノムのヒト染色体17の長腕上の領域から開始する17qは、約8Mb pと概算されるサイズ、遺伝子座を含む領域、BRCA1を有し、乳癌および卵 巣癌を含む癌に対して感受性を引き起こすことが突き止められている。 BRCA1遺伝子座を含む領域は、種々の遺伝的技術を用いて同定した。遺伝 子マッピング技術は、遺伝子マーカーでの組換えによりBRCA1領域を最初に 画定した。多重ケースの乳癌(およびある家系では卵巣癌ケース)を有する大きく 広がった家族(「家系」)の研究に基づいて、BRCA1遺伝子ならびにBRCA 1遺伝子座中の他の予想感受性対立遺伝子を含む染色体領域の正確な位置を示し た。2つの分裂中止点が、遺伝子マーカーと該疾病との間の組換体として、およ びBRCA1遺伝子座の基部側の1つの組換体として発現されるBRCA1遺伝 子座の末端側に発見された。したがって、BRCA1遺伝子座を含む領域はこれ らのマーカーと物理的に境を接する。 本発明により提供される遺伝子マーカーの使用は、ヒト酵母人工染色体(YAC )またはヒト細菌人工染色体(BAC)ライブラリーからの領域をカバーするクロ ーンの同定を許容する。また、この領域からのより簡便に操作したコスミド、P 1およびBACクローンの同定および調製、ならびにサブセットのクローンから のコンチグ(contig)の構築も許容する。これらのコスミド、P1、YACおよび BACは、BRCA1遺伝子座のクローニングの基礎を提供し、例えば、乳癌お よび/または卵巣癌の診断および治療に有効な試薬を開発する基礎を提供する。 BRCA1遺伝子および他の可能性のある感受性遺伝子はこの領域から単離した 。単離は、cDNAライブラリーをスクリーニングする領域において、コスミド 、P1およびBACからの全体または部分的cDNAインサートと共に、ソフト ウェア・トラッピング(連続的または非連続的ゲノムDNA配列から、コードエ キソンを含んでいそうな配列を同定するコンピュータ的方法)、ハイブリッド選 抜技術および直接的スクリーニングを用いて行った。これらの方法を用いて、乳 房および他の組織中に発現される遺伝子座の配列を得た。これらの候補遺伝子座 を分析して、癌感受性を供する配列を同定した。本発明者らは、BRCA1とし て知られている17q-連鎖癌感受性の原因となる家系において、BRCA1遺 伝子座のコード配列中に突然変異が存在することを発見した。この遺伝子がこの 領域中に存在することは知られていなかった。本発明は、特定の癌の早期検出を 容易にして患者の生存に活力を与えるのみならず、感受性の個人が癌を発症する 前に彼らを検出することもできる。母集団-源 広くよく記録されているユタ州の家系は、ヒト遺伝学研究の良好な入手源を提 供する点において特に重要である。各大きな家系は、独立して、BRCA1感受 性対立遺伝子がその家族中で分離しているか否かを決定する能力を提供する。B RCA1遺伝子座の位置決定および単離に関する組換え情報性は、感受性対立遺 伝子の存在を確認するのに十分に大きな家系からのみ得ることができた。大きな 兄弟姉妹は乳癌を研究する上で特に重要である。なぜならば、BRCA1感受性 対立遺伝子の浸透度が年齢および性別の両方によって減じられ、情報的兄弟姉妹 を発見することを困難としているためである。さらに、大きな兄弟姉妹はその接 近した血縁のハロタイプからの影響によって、死亡した個人のハロタイプを構築 するのに必須である。 他の母集団も有益な情報を提供し得るが、かかる研究には一般的により大きな 努力を要し、家族は通常遥かに小さく、それ故、あまり情報を得ることができな い。ユタ州の年齢を調整した乳癌発症率は20%で、平均米国の比率よりも低い 。ユタ州における低い発症率は、恐らく、大部分は、最初の妊娠の低年齢による もので、遺伝的病気素因を運ぶユタ州の家系にそのケースが見出される確率は上 昇する。遺伝子マッピング 情報的な家族の組が与えられれば、疾病を染色体の領域に連鎖するために遺伝 マーカーは必須である。かかるマーカーには、制限断片長多形(RELP)(Bots teinら,1980)、変動する数の縦列反復を有するマーカー(VNTR)(Jeffreysら ,1985;Nakamuraら,1987)、および短縦列反復(STR)、特にCpAの反復( WeberおよびMay,1989;Littら,1989)に基づく豊富なクラスのDNA多形が 含まれる。遺伝子地図を作製するためには、潜在的な遺伝子マーカーを選抜し、 研究する家系構成員から抽出したDNAを用いてそれらを試験する。 疾病と関連する遺伝子座を探索するのに有用な遺伝子マーカーは、特異的染色 体を稠密にカバーするか、染色体の特異的領域の詳細な分析による特にこの問題 に基づいて選抜し得る。疾病と連鎖する遺伝マーカーを選抜する好ましい方法に は、家系の情報性の程度を評価して所与の程度の多形の遺伝子マーカーの間の理 想的な距離を決定し、ついで、最大の効率で理想的に離れた公知の遺伝子地図か らマーカーを選抜することが含まれる。家系の情報性は、該マーカーが無関係な 個人においてヘテロ接合体である確率によって測定する。また、PCRを用いた 標的核酸配列の増幅によって検出したSTRマーカーを用いることが最も効率的 であり;かかるマーカーは非常に情報性が高く、アッセイし易く(Weberおよび May,1989)、複合戦略を用いて同時にアッセイし得(SkolnickおよびWallace,1 988)、要する実験数を顕著に低減し得る。 連鎖性が確立されたら、疾病遺伝子座に隣接するマーカー、すなわち、該疾病 遺伝子座に近い1または2以上のマーカー、および該疾病遺伝子座に対し基部側 の1または2以上のマーカーを見付ける必要がある。可能ならば、公知の遺伝子 地図から候補マーカーを選抜し得る。知られているものがない場合には、実施例 で示すSTR技術によって新たなマーカーを同定し得る。 遺伝子マッピングは通常は反復的工程である。本発明においては、BRCA1 遺伝子座の周りの隣接遺伝子マーカーを画定し、ついで、これらの隣接マーカー をBRCA1遺伝子座に首尾よく近い他のマーカーに置き換えることによってそ れを開始する。最初の工程、組換え事象では、広範な家系によって画定して、特 異的な遺伝子マーカーから離れているか近いかとして、BRCA1遺伝子座を特 異的に位置決定することを補助する(Goldgarら,1994)。 本発明が開示されるまでは、BRCA1を囲む領域はよくマッピングされてお らず、マーカーもほとんどなかった。したがって、物理的にマッピングされたY ACからサブクローン化したコスミド上の短い反復配列を分析して、新たな遺伝 子マーカーを開発した。このアプローチを用いて、本発明の1つのマーカー、4 2D6が発見され、これは、BRCA1領域用の末端側隣接マーカーとしてpC MM86で置換した。42D6はpCMM86からほぼ14cMに存在するため 、それ故、BRCA1領域はほぼ14センチモルガン分減少された(Eastonら, 1993)。かくして、本発明は、BRCA1領域のより接近して連鎖した末端側隣 接マーカーを見出すことによって開始した。ついで、BRCA1は、遺伝子マー カーMfdl5に対して末端側に存在することを発見した。したがって、BRCA 1は、Mfdl5および42D6と境を接する6Mbp〜10Mbpの領域に存在 することが示された。つづいて、マーカーMfdl9lはMfdl5から末端側であっ て、BRCA1から基部側にあることを発見した。かくして、Mdfl5を、最も 基部側の遺伝子マーカーとしてMfdl9lで置換した。同様にして、遺伝子マーカー Mfdl88は、BRCA1遺伝子座を含む領域をほぼ1.5Mbまで狭める、遺伝 子マーカー42D6を置換し得ることを発見した。ついで、当該分野で知られて おり、かつ本明細書に記載した技術を用いて、マーカーMfdl9lを基部側マーカー としてのtdj1474で置換し、Mfdl88を末端側マーカーとしてのU5Rで置き換え て、BRCA1遺伝子座を単離し、特徴付けを得るに十分に小さい領域までBR CA1領域を狭めた(図3参照)。物理的マッピング 3つの異なる方法を用いて該領域を物理的にマッピングした。第一のものは、 tdj1474およびU5Rによって隣接して挟まれた領域をクローン化するた めの酵母人工染色体(YAC)の使用であった。第二のものは、BRCA1遺伝子 座を含む領域をカバーするP1、BACおよびコスミドクローンのセットの作製 であった。 酵母人工染色体(YAC) BRCA1遺伝子座を含む十分に小さな領域を同定 したら、該領域をカバーする重複YACのセットを同定することによって、該領 域中のDNAの物理的単離を続行した。有用なYACは、各々、広範に分布し、 ほぼ50,000のYACを含むSt.LouisおよびCEPH YACライブラリー のごとき公知のライブラリーから単離し得る。YACをこれらの公的にアクセス 可能なライブラリーから単離し、Michigan Genome Centerを含む多数の供給 源から得ることができる。明らかに、これらのYACにアクセスしたものは、本 発明を開示することなしに、本発明者らが選択した特異的YACの価値を理解し なかったであろう。なぜならば、彼らは、BRCA1遺伝子座を含む最小の領域 の中にどのYACが存在し、どのYACがその外側に存在するかということを理 解しなかったであろうからである。 コスミド、P1およびBACクローン 本発明においては、コスミド、P1お よびBACクローンにより続行してこの領域をカバーすることが有利である。Y ACインサートと比較してより小さなサイズのこれらのインサートは、特異的ハ イブリダイゼーションプローブとしてそれをより有用としている。さらに、酵母 細胞よりもむしろ細菌細胞中にクローン化DNAを有していれば、目的のDNA を操作し得る簡便性が大きく上昇し、ハイブリダイゼーション・アッセイのノイ ズに対する信号の比が改善される。YACのコスミドサブクローンについては、 該DNAを制限酵素Sau3Aで部分消化し、pWE15コスミドベクター(Stra tagene社,カタログ番号1251201)のBamHI部位にクローン化する。ヒト配列を 含むコスミドは、実施例に詳記するごとく、ヒト反復DNA(例えば、Gibco/B RL社、ヒトC0t-1 DNA、カタログ番号5279A)とのハイブリダイゼーショ ンによってスクリーニングし、ついで、種々の技術によってフィンガープリンティ ングする。 P1およびBACクローンは、前記のごとく単離した、YAC、コスミドまた はP1およびBAC由来の特異配列標識部位(STS)で全ヒトゲノムから構築し たライブラリーをスクリーニングすることによって得る。 これらのP1、BACおよびコスミドクローンは、散在反復配列(IRS)PC Rおよび/または制限酵素消化につづくゲル電気泳動、および得られたDNAフ ラグメントの比較(フィンガープリント)(Maniatisら,1982)によって比較し得る 。該クローンは、また、STSの存在によっても特徴付け得る。該フィンガープ リントを用いて、該領域をカバーするが冗長すぎないクローンの重複隣接セット (本明細書においては、「最小限タイル路(minimum tiling path)という」)を画 定する。かかる最小限タイル路は、つづく実験の基礎を形成し、BRCA1遺伝 子座由来となり得るcDNAを同定する。 P1およびBACクローンでのギャップの適用範囲 ゲノミッククローンを有 する同定コスミド間のBRCA1コンチグ(contig)中のいずれのギャップもカバ ーするために、P1用のコスミドよりもほぼ2倍大きく、BACについてはなお より大きなゲノミックDNAのインサートを含むBACベクターとP1中のク ローン(Sternberg,1990;Sternbergら,1990;Pierceら,1992;Shizuyaら ,1992)とを用いた。P1クローンは、スクリーニング用に本発明らによって提 供されるPCRプライマーを用いてGenome Sciences社によって単離した。B ACは、Dr.Mel Simon's laboratoryにおけるハイブリダイゼーション技術に よって得た。P1クローンを用いる戦略により、YAC由来でないクローンの独 立セットでゲノム領域をカバーすることも許容される。これは、検出されていな いYAC中の他の欠失の可能性に対して保護する。P1クローン由来のこれらの 新たな配列は、以下に記載するごとく、候補遺伝子をさらにスクリーニングする ための材料を提供する。遺伝子単離 単離しようと試行する遺伝子座のコード配列の候補となりそうな配列の存在に つきゲノミッククローンを試験する多くの技術が存在し、これには、限定するも のではないが: a.ズー・ブロット(zoo blot) b.HTF・アイランド(island)の同定 c.エキソントラッピング d.コスミドまたはYACへのcDNAのハイブリダイゼーション e.cDNAライブラリーのスクリーニング が含まれる。 (a)ズー・ブロット 第一の技術はコスミドをサザンブロットにハイブリダイ ズさせて進化の過程で保存され、従って、ヒトに対し種々の程度の関係を有する 種(サル、ウシ、ニワトリ、ブタ、マウスおよびラットのごとき)からのDNAと 陽性のハイブリダイゼーション信号を与えるDNA配列を同定する。種々の種か らのかかるDNAを含むサザンブロットは市販されている(Clonetech社,カタ ログ番号7753-1)。 (b)HTFアイランドの同定 第二の技術には、ヌクレオチドCおよびGに富 む領域を見出すことが含まれ、この領域はしばしばコード配列の付近またはその 中に生じる。かかる配列は、これらの領域において頻繁に切断されるCpG二量 体を含む部位に特異的な制限酵素として、HTF(HpaI小フラグメント)または CpGアイランドと呼称される(Lindsayら,1987)。 (c)エキソントラッピング 第三の技術は、スプライス結合部を含有し、した がって遺伝子のコード配列を含んでいそうなゲノミックDNA中の配列を同定す る方法、エキソントラッピングである。エキソン増幅(Bucklerら,1991)を用い て、前記したDNAクローンからエキソンを選抜し、増幅する。エキソン増幅は 、機能性5'および/または3'スプライス部位によって隣接して挟まれたRNA 配列の選抜に基づいている。さらなる研究用の処理可能な数の候補遺伝子を同定 するために、エキソン増幅の産物を用いて乳癌cDNAライブラリーをスクリー ニングする。エキソントラッピングは、コンピュータプログラムを用いた配列決 定DNAの小セグメントで、またはソフトウェア捕捉によっても行い得る。 (d)コスミド、P1、BACまたはYACに対してハイブリダイズする cDNA 第四の技術は、コスミド、P1、BACまたはYACに対するcDN Aのハイブリダイゼーションを利用し、転写された配列がクローン化ゲノムDN A中に同定され、かつ、それから回収されるのを可能とする選択的富化技術の修 飾法である(Kandpalら,1990)。本目的に修飾した選択的富化技術には、YAC 中に存在するBRCA1の領域からのDNAをカラムマトリックスに結合させ、 ついで該結合DNAとハイブリダイズする適当なライブラリーからcDNAを選 抜し、つづいて該結合DNAを増幅させて精製することが含まれ、クローン化ゲ ノムDNAによって代表される領域中のcDNAが非常に増大される。 (e)cDNAの同定 第五の技術は、BRCA1遺伝子座に対応するcDNA を同定することである。前記した技術のいずれかを用いて選抜した、予想コード 配列を含むハイブリダイゼーション・プローブを用いて、乳房組織cDNAライ ブラリー、卵巣cDNAライブラリーおよびいずれかの他の必要なライブラリー を包含する種々のライブラリーをスクリーニングする。 また、主題のcDNAの直接的選抜の他の変形を用いても、BRCA1の候補 遺伝子を見い出した(Lovettら,1991;Futreal,1993)。この方法は、コスミ ド、P1またはBAC DNAをプローブとして用いる。プローブDNAは、HaeII Iのごとき平滑切断制限酵素で消化する。ついで、二本鎖アダプターを該DNA に連結し、これはビオチン化プライマーを用いる続くPCR増幅反応においてプ ライマーの結合部位として作用する。標的cDNAは、第一鎖のランダム起点合 成またはオリゴ(dT)起点合成のいずれかの合成につづく第二鎖合成によって、 組織試料、例えば、乳房組織由来のmRNAから作製する。cDNA末端を平滑 にし、二本鎖アダプターに連結する。これらのアダプターは、PCR用の増幅部 位として作用する。標的およびプローブ配列を変性させ、ヒトC0t-1 DNA と混合して反復配列を遮断する。溶液ハイブリダイゼーションを高C0t-1/2 値として、稀な標的cDNA分子のハイブリダイゼーションを保証する。ついで 、アニーリングした材料をアビジンビーズ上に捕捉し、高ストリンジェンシーで 洗浄し、保持されたcDNAを溶出し、PCRによって増幅する。選抜したcD NAは、分析用のプラスミドベクターにクローニングする前に増大のさらなるラ ウンドに付す。候補性についてのcDNAの試験 cDNAが、異常BRCA1遺伝子産物または異常なレベルのBRCA1遺伝 子産物を生成する羅患された家系構成員から抽出したDNA中に配列を見出すこ とによって得られるBRCA1遺伝子座であることを立証する。かかるBRCA 1感受性対立遺伝子は、広範な家系中で該疾病に関し共-分離しているであろう 。それは、また、乳癌および卵巣癌を有する非-家系個人、ついで一般集団中の 個人において、より高頻度で存在するであろう。最後に、腫瘍は、他の例におい ては生殖細胞系で突然変異する遺伝子座でしばしば体細胞突然変異するため、本 発明者らは、腫瘍組織から抽出したDNA中のBRCA1感受性対立遺伝子と同 一または同様である配列に突然変異誘発した正常な生殖細胞系BRCA1対立遺 伝子を見出すことが期待される。腫瘍組織からのBRCA1配列を同一個人の生 殖細胞系からのBRCA1対立遺伝子と比較するか、癌ケースからの生殖細胞系 BRCA1対立遺伝子を非羅患個人からのものと比較するかのいずれにせよ、遺 伝 子産物の正常機能を明らかに破壊するに十分に重大である突然変異を見出すこと が鍵となる。これらの突然変異は多種の形態を採り得る。最も重大な形態はフレー ムシフト突然変異または広範な欠失であり、これらは、遺伝子に、異常蛋白質を コードさせるか、または重大に変化した蛋白質を発現させるであろう。より重大 でない破壊的突然変異には、小規模な枠内欠失および非保存性塩基対置換が含ま れ、これらは、システイン残基へのまたはシステイン残基からの変化、塩基性ア ミノ酸から酸性アミノ酸への変化またはその反対、疎水性アミノ酸から親水性ア ミノ酸への変化またはその反対、あるいは、蛋白質の二次、三次または四次の構 造に影響するであろう他の突然変異のごとき、産生蛋白質に重大な影響を及ぼす であろう。サイレント突然変異または保存性アミノ酸置換を生じるものは、一般 的に蛋白質機能を破壊するとは予想されない。 本発明の診断および予診によれば、野生型BRCA1遺伝子座の変化が検出さ れる。加えて、該方法は、野生型BRCA1遺伝子座を検出し、BRCA1遺伝 子座に癌の素因の欠失を確認することによって行い得る。「野生型遺伝子の変化 」とは、コード領域および非コード領域における欠失、挿入および点突然変異を 含むすべての形態の突然変異が包含される。欠失は、遺伝子全体のものであるか 、または遺伝子の一部分のみのものであり得る。点突然変異は終止コドン、フレ ームシフト突然変異またはアミノ酸置換を生じ得る。体細胞突然変異は、特定の 組織、例えば、腫瘍組織でのみ発生するものであり、生殖細胞系において遺伝さ れない。生殖細胞系突然変異は体のいずれの組織においても見出すことができ、 遺伝される。単一の対立遺伝子のみが体細胞的に突然変異した場合、初期新生生 物状態が示される。しかしながら、両方の対立遺伝子が体細胞的に突然変異した 場合、後期の新生生物状態が示される。かくして、BRCA1突然変異の知見は 、診断および予診の情報を両方提供する。欠失していないBRCA1対立遺伝子 (例えば、姉妹染色体からBRCA1欠失を運ぶ染色体の姉妹染色体で見出され た)は、挿入、小さな欠失および点突然変異のごとき他の突然変異につきスクリ ーニングし得る。腫瘍組織において見出された多くの突然変異はBRCA1遺伝 子産物の発現を低下に通じるものであろうと考えられる。しかしながら、非-機 能的 遺伝子産物に通じる突然変異も、癌にかかった状態に通じるであろう。点突然変 異事象は、遺伝子のプロモーターでのごとき、調節領域中で起こり得、mRNA の発現の欠失または減少に通じる。点突然変異も、また、適当なRNAプロセシ ングを破壊し得、BRCA1遺伝子産物の発現の欠失、あるいは、mRNA安定 性または翻訳効率の低下に通じる。 有用な診断技術には、限定するものではないが、さらに以下で詳細に論じる蛍 光イン・サイチュ(in situ)ハイブリダイゼーション(FISH)、直接DNA配 列決定、PFGE分析、サザンブロット分析、一本鎖構造解析(SSCA)、RN アーゼ保護アッセイ、対立遺伝子-特異的オリゴヌクレオチド(ASO)、ドット ブロット分析およびPCR-SSCPが包含される。 乳癌および卵巣癌および本明細書で同定した他の癌のごとき癌の素因は、BR CA1遺伝子の突然変異についてヒトのいずれかの組織を試験することによって 確認し得る。例えば、生殖細胞系BRCA1突然変異を遺伝した個人は、癌を発 症し易い傾向であろう。これは、該個人の体のいずれかの組織からのDNAを試 験することによって決定し得る。最も単純には、採血しその血液の細胞からDN Aを抽出する。加えて、BRCA1遺伝子の突然変異について、胎児細胞、胎盤 細胞または羊膜細胞を試験することによっても出生前診断を行い得る。点突然変 異または欠失のいずれによるにせよ、野生型BRCA1対立遺伝子の変化は、本 明細書で論じるいずれかの手段によって検出し得る。 DNA配列変動を検出するのに用い得る幾つかの方法が存在する。手動配列決 定または自動化蛍光配列決定のいずれかの直接DNA配列決定は、配列変動を検 出し得る。BRCA1ほど大きな遺伝子については、非常に激しい労働であるが 、最適条件下では遺伝子のコード配列における突然変異をめったに見失わない。 別のアプローチは、一本鎖構造多形性アッセイ(SSCA)(Oritaら,1989)であ る。この方法は、特にDNAフラグメントが200bpよりも大きな場合、すべ ての配列変化を検出しないが、最適化して大部分のDNA配列変動を検出するこ とができる。検出感度が低下することは不利であるが、SSCAで可能な処理量 の増加は、それを、研究ベースの突然変異検出用の直接配列決定の魅力的な、可 能な 別法としている。SSCAゲル上でシフトした移動度を有するフラグメントをつ いで配列決定して、正確なDNA配列変動の性質を決定する。2つの相補的DN A鎖の間の誤対合の検出に基づく他のアプローチには、締付変性電気泳動法(cla mped denaturing denaturing gel elctrophoresis)(CDGE)(Sheffieldら,1 991)、ヘテロ二重らせん分析(heteroduplex analysis)(HA)(Whiteら,1992) および化学的誤対合切断(chemical mismatch cleavage)(CMC)(Grompeら,19 89)が含まれる。前記した方法はいずれも大きな欠失、二本鎖形成または挿入を 検出せず、あるいは、蛋白質の転写または翻訳に影響する調節的突然変異を検出 しないであろう。蛋白質先端切断アッセイまたは非対称アッセイのごときこれら のクラスの突然変異を検出し得る他の方法は、特異的な型の突然変異のみを検出 し、ミスセンス突然変異は検出しないであろう。DNA配列変動を検出する最近 利用し得る方法の概説は、Grompe(1993)による最近の概説において見出すこと ができる。突然変異が判明したら、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(AS O)ハイブリダイゼーションのごとき対立遺伝子特異的検出アプローチを利用し て、同突然変異につき、膨大な数の他の試料を迅速にスクリーニングすることが できる。 組織中の野生型BRCA1遺伝子の変化を検出するためには、周囲の正常組織 から遊離した組織を単離することが有用である。腫瘍細胞の組織調製物を増やす 方法は当該分野で知られている。例えば、該組織は、パラフィンまたはクライオ スタット切片から単離し得る。癌細胞も、フローサイトメトリーによって正常細 胞から分離し得る。これらの技術、ならびに、正常細胞から腫瘍細胞を分離する 他の技術は当該分野でよく知られている。腫瘍組織が正常組織で非常に汚染され ている場合、突然変異の検出はより困難である。 DNA配列中の多形性を検出する迅速な予備分析は、1または2以上の制限酵 素、好ましくは多数の制限酵素で切断したDNAの一連のサザンブロット法で見 ることによって行い得る。各ブロットは一連の正常個人および一連の癌ケース、 腫瘍またはその両方を含む。(BRCA1遺伝子座付近か、またはそれを包含す る配列で釣り上げた場合に対照とは長さが異なる)ハイブリダイズしたフラグメ ントを示すサザンブロットは、可能性のある突然変異を示す。非常に大きな制限 断片を生成する制限酵素を用いる場合には、パルスフィールド電気泳動(PFG E)を用いる。 点突然変異の検出は、当該分野でよく知られている技術を用いて、BRCA1 対立遺伝子(群)を分子クローン化し、該対立遺伝子(群)を配列決定することによ ってなし得る。別法として、該遺伝子配列は、公知技術を用いて、腫瘍組織から のゲノムDNA調製物から直接増幅し得る。ついで、増幅した配列のDNA配列 を決定し得る。 感受性対立遺伝子の存在を確認するためのより完全で、いまだ間接的である試 験のよく知られた6種の方法が存在する:1)一本鎖形成構造分析(SSCA)( Oritaら,1989);2)変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Wartellら,1990;Sh effieldら,1989);3)RAアーゼ保護アッセイ(Finkelsteinら,1990;Kinsz lerら,1991);4)対立遺伝子-特異的オリゴヌクレオチド(AOS)(Connerら ,1983);5)イー・コリ(E.coli)mutS蛋白質のごときヌクレオチド誤対合を 認識する蛋白質の使用(Modrich,1991);ならびに6)対立遺伝子-特異的PC R(RanoおよびKidd,1989)。対立遺伝子-特異的PCRには、その3'末端で特 定のBRCA1突然変異にハイブリダイズするプライマーを使用する。特定のB RCA1突然変異が存在しない場合、増幅産物は認められない。欧州特許公開第 0332435号およびNewtonら,1989に開示された増幅耐性突然変異系(Amplificat ion Refractory Mutation System,ARMS)も用い得る。 遺伝子の挿入および欠失は、クローニング、配列決定および増幅によっても検 出し得る。加えて、遺伝子または周辺マーカー遺伝子の制限酵素断片長多形(R FLP)プローブを用いても、対立遺伝子の変化または多形フラグメント中の挿 入を記録し得る。かかる方法は、影響された個人において見出されたBRCA1 突然変異の存在につき、該個人の親類をスクリーニングするのに特に有用である 。当該分野で公知である挿入および欠失を検出する他の技術を用い得る。 最初の3種の方法(SSCA、DGGEおよびRAアーゼ保護アッセイ)におい ては、新たな電気泳動バンドが出現する。SSCAは、異なって移動するバンド を検出する。なぜならば、配列の変化が一本鎖、すなわち分子内塩基対合におい て差を生じるからである。RAアーゼ保護には、突然変異ポリヌクレオチドの2 または3以上のより小さなフラグメントへの切断が含まれる。DGGEは、変性 勾配ゲルを用いて、野生型配列と比較した突然変異配列の移動速度における差を 検出する。対立遺伝子-特異的オリゴヌクレオチドアッセイにおいては、特異的な 配列を検出するようにオリゴヌクレオチドが設計されており、ハイブリダイゼー ション信号の存在または不存在を検出することによって該アッセイを行う。 mutSアッセイにおいては、突然変異と野生型配列との間のヘテロ二重らせん 中にヌクレオチド誤対合を含む配列にのみ該蛋白質が結合する。 本発明による誤対合とは、2本の鎖が100%相補性でない場合のハイブリダ イズした核酸二重らせんである。全相補性の欠失は、欠失、挿入、逆位または置 換に起因し得る。誤対合検出を用いて、遺伝子中またはそのmRNA産物中の点 突然変異を検出し得る。これらの技術は配列決定よりも感度が低いが、それらは 、膨大な数の腫瘍試料で行うのにより単純である。誤対合切断技術の一例は、R Aアーゼ保護法である。本発明の実施においては、該方法は、ヒト野生型BRCA 1遺伝子コード配列に相補的な標識リボプローブの使用が含まれる。該リボプロ ーブと腫瘍組織から単離したmRNAまたはDNAのいずれかとは共にアニーリ ング(ハイブリダイズ)し、つづいて、二重らせんRNA構造中のある種の誤対合 を検出し得る酵素RNアーゼAで消化する。誤対合をRAアーゼAによって検出 する場合、それは誤対合の部位で切断する。かくして、アニーリングしたRNA 調製物を電気泳動ゲルマトリックス上で分離する場合に、もし誤対合をRNアー ゼAによって検出し切断したら、リボプローブおよびmRNAまたはDNAの完 全長二重らせんRNAよりも小さいRNA産物が示されるであろう。該リボプロ ーブは、完全長のBRCA1 mRNAまたは遺伝子である必要はないが、その いずれかのセグメントとし得る。リボプローブがBRCA1 mRNAまたは遺 伝子のセグメントのみを含む場合、多数のこれらのプローブを用いて、誤対合に つき全mRNA配列をスクリーニングすることが望ましいであろう。 同様にして、DNAプローブを用いて、酵素的または化学的切断を介して、誤 対合を検出し得る(例えば、Cottonら,1988;Shenkら,1975;Novackら,1986 参照)。別法として、対合二重らせんに対する誤対合二重らせんの電気泳動移動 度のシフトによって、誤対合を検出し得る(例えば、Cariello,1988参照)。リ ボプローブまたはDNAプローブのいずれを用いるにせよ、突然変異を含有し得 る細胞性mRNAまたはDNAは、ハイブリダイゼーション前にPCR(後記参 照)を用いて増幅し得る。BRCA1遺伝子のDNAにおける変化は、特に、欠 失および挿入のごとき、変化が全体の再配列の場合、サザン・ハイブリダイゼー ションを用いても検出し得る。 PCRを使用することによって増幅したBRCA1遺伝子のDNA配列は、対 立遺伝子-特異的プローブを用いてもスクリーニングし得る。これらのプローブ は核酸オリゴマーで、その各々は、公知の突然変異を隠し持つBRCA1遺伝子 配列の領域を含んでいる。例えば、1つのオリゴマーは、BRCA1遺伝子配列 の一部分に対応する、約30ヌクレオチド長とし得る。かかる一式の対立遺伝子 -特異的プローブを用いることにより、PCR増幅産物をスクリーニングして、 BRCA1遺伝子中に予め同定した突然変異の存在を同定し得る。増幅したBR CA1配列と対立遺伝子-特異的プローブとのハイブリダイゼーションは、例え ば、ナイロンフィルター上で行い得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーシ ョン条件下の特定のプローブに対するハイブリダイゼーションは、対立遺伝子- 特異的プローブ中のごとく腫瘍組織中に同突然変異が存在することを示している 。 候補遺伝子座中の突然変異についての最も明確な試験は、対照集団からのゲノ ムBRCA1配列と癌患者からのものとを直接比較することである。別法として 、例えばPCRによって、増幅した後にmRNAを配列決定し、それによって候 補遺伝子のエキソン構造を決定する必要を削除することもできる。 BRCA1のコード領域の外側に落ちる癌患者からの突然変異は、BRCA1 遺伝子の付近またはその中のイントロンおよび調節配列のごとき、非コード領域 を検査することによって検出し得る。非コード領域中の突然変異が重要であると いう初期の示唆は、対照個人と比較しての癌患者における異常なサイズの、また は豊富なmRNA分子を明らかにするノザンブロット実験から出て来得る。 BRCA1 mRNA発現の変化は、当該分野で公知のいずれかの技術によっ て検出し得る。これらには、ノザンブロット分析、PCR増幅およびRAアーゼ 保護が含まれる。mRNA発現の低下は、野生型BRCA1遺伝子の変化を示し ている。野生型BRCA1遺伝子の変化は、野生型BRCA1蛋白質の変化につ いてスクリーニングすることによっても検出し得る。例えば、BRCA1と免疫 反応性であるモノクローナル抗体を用いて組織をスクリーニングし得る。同起源 抗原を欠くことは、BRCA1突然変異を示しているであろう。突然変異対立遺 伝子の産物に特異的な抗体を用いて突然変異BRCA1遺伝子産物を検出するこ ともできる。かかる免疫学的アッセイは、当該分野で公知のいずれかの簡便な形 式で行い得る。これらには、ウェスタンブロット、免疫組織化学的アッセイおよ びELISAアッセイが含まれる。変化したBRCA1蛋白質を検出するいずれ かの手段を用いて、野生型BRCA1遺伝子の変化を検出し得る。蛋白質結合性 測定のごとき機能アッセイを用い得る。加えて、BRCA1生化学的機能を検出 するアッセイを用いることができる。突然変異BRCA1遺伝子産物の発見は、 野生型BRCA1遺伝子の変化を示している。 突然変異BRCA1遺伝子または遺伝子産物は、血清、便、尿および唾液のご とき、他のヒト身体試料中にも検出し得る。組織中の突然変異BRCA1遺伝子 または遺伝子産物を検出するための前記に論じた同技術は、他の身体試料にも適 用し得る。癌細胞は腫瘍から脱皮し、かかる身体試料中に出現する。加えて、B RCA1遺伝子産物それ自体は、細胞外空間に分泌され得、癌細胞が不存在でも これらの身体試料中に発見し得る。かかる身体試料をスクリーニングすることに よって、単純で早期の診断を多くのタイプの癌について達成し得る。加えて、突 然変異BRCA1遺伝子または遺伝子産物についてかかる身体試料を試験するこ とによって、化学療法または放射線療法の進展をより容易にモニターし得る。 本発明の診断方法は、BRCA1が腫瘍発生において役割を有するいずれの腫 瘍にも適用し得る。本発明の診断方法は臨床医に有用で、彼は、治療の適当な過 程で決定し得る。 本発明のプライマー対は、PCRを用いた特定のBRCA1対立遺伝子のヌク レオチド配列の決定に有用である。一本鎖DNAプライマーの対は、染色体17 q21上のBRCA1遺伝子の中か、または周辺の配列にアニーリングして、B RCA1遺伝子自体の増幅DNA合成を開始し得る。完全セットのこれらのプラ イマーにより、BRCA1遺伝子コード配列の全ヌクレオチド、すなわち、エキ ソンの合成が許容される。プライマーセットは、好ましくは、イントロンおよび エキソン配列の両方の合成を許容する。対立遺伝子-特異的プライマーも用い得 る。かかるプライマーは特定のBRCA1突然変異対立遺伝子にのみアニーリン グし、したがって、鋳型としての突然変異対立遺伝子存在下で産物を増幅するの みであろう。 増幅した配列のつづくクローニングを促進するために、プライマーはその5' 末端に付加した制限酵素部位配列を有し得る。かくして、プライマーの全ヌクレ オチドは、制限酵素部位を形成するに必要な幾つかのヌクレオチド以外は、BR CA1配列またはBRCA1付近の配列に由来する。該プライマーそれ自体は、 当該分野でよく知られている技術を用いて合成し得る。一般的に、該プライマー は、市販されているオリゴヌクレオチド合成器を用いて作製し得る。BRCA1 オープンリーディングフレームの配列を配列番号:1に示す。特定のプライマー の設計は、当業者の十分に範囲内である。 本発明により提供される核酸プローブは、多くの目的に有用である。それは、 ゲノムDNAに対するサザンハイブリダイゼーション、およびすでに前記で論じ た点突然変異を検出するRAアーゼ保護法に用い得る。該プローブを用いてPC R増幅産物を検出し得る。それを用いて、他の技術を用いたBRCA1遺伝子ま たはmRNAとの誤対合を検出することもできる。 野生型BRCA1遺伝子を有する個人はBRCA1対立遺伝子から生じた癌を 有さないことが発見された。しかしながら、BRCA1蛋白質の機能を妨害する 突然変異は癌の病理に関与している。したがって、機能を欠失したか、または変 化した機能を有する蛋白質を産生する変化(または突然変異)したBRCA1遺伝 子の存在は、癌の危険性の増加に直接関係する。BRCA1遺伝子突然変異を検 出するためには、生物試料を調製し、分析するBRCA1対立遺伝子の配列と野 生型BRCA1対立遺伝子の配列との間の相違を分析する。突然変異BRCA1 対立遺伝子は、前記したいずれかの技術によって最初同定し得る。ついで、突然 変異対立遺伝子を配列決定して、特定の突然変異対立遺伝子の特異的な突然変異 を同定する。別法として、突然変異BRCA1対立遺伝子は、慣用的な技術を用 いて、突然変異(変化)したBRCA1蛋白質を同定することによって最初に同定 し得る。ついで、該突然変異対立遺伝子を配列決定して、各対立遺伝子の特異的 突然変異を同定する。突然変異、特にBRCA1蛋白質の変化した機能に通じる ものを、ついで、本発明の診断方法および予診方法に用いる。定義 本発明は、以下の定義を用いる: 「ポリヌクレオチドの増幅」には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、連結増幅 (またはリガーゼ鎖反応(ligase chain reaction,LCR))およびQ-ベータレプ リカーゼの使用に基づく増幅法のごとき方法を用いる。これらの方法は、よく知 られており、当該分野で広く実施されている(例えば、米国特許第4,683,195号お よび第4,683,202号、ならびに(PCRについては)Innisら,1990;および(LC Rについては)Wuら,1989a参照)。PCRを行う試薬およびハードウェアは市販 されている。BRCA1領域からの配列を増幅するのに有用なプライマーは、好 ましくは、BRCA1領域中の配列、またはその中の標的領域に隣接する領域中 の配列に相補的であって、それに特異的にハイブリダイズする。増幅によって作 製したBRCA1配列は直接配列決定し得る。別法として、あまり望ましくはな いが、増幅した配列(群)は配列分析に先んじてクローン化し得る。酵素的に増幅 したゲノムセグメントの直接クローン化および配列分析は、Scharf,1986によ って記載されている。 「分析ポリヌクレオチド」および「分析鎖」とは、標的配列を含むと予想され 、生物試料を包含する種々のタイプの試料中に存在し得る一本鎖または二本鎖ポ リヌクレオチドをいう。 「抗体」;本発明は、また、ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗 体およびその断片、ならびにその免疫学的な結合同等物を提供し、これらは、B RCA1ポリペプチドおよびその断片、またはBRCA1領域からの、特にBR CA1遺伝子座またはその一部分からのポリヌクレオチド配列に特異的に結合し 得る。「抗体」なる語は、均一な分子基、または複数の異なる分子基より構成さ れる血清産物のごとき混合物をいうのに用法用いる。ポリペプチドは、ペプチド 合成器中で合成的に調製し、(例えば、鍵穴吸着性ヘモシアニンのような)キャリ アー分子にカップリングさせ、ウサギに数カ月にわたって注射し得る。ウサギ血 清は、BRCA1ポリペプチドまたは断片に対する免疫反応性につき試験する。 モノクローナル抗体は、蛋白質ポリペプチド、融合蛋白質またはそれらの断片で マウスを注射することにより作製し得る。モノクローナル抗体は、ELISAに よってスクリーンし、BRCA1ポリペプチドまたはその断片との特異的免疫反 応性について試験するであろう(HarlowおよびLane,1988参照)。これらの抗体 は、アッセイならびに医薬に有用であろう。 十分な量の所望のポリペプチドを得たら、種々の目的にそれを用いることがで きる。典型的な用途は、結合について特異的な抗体の産生である。これらの抗体 は、ポリクローナルまたはモノクローナルのいずれかであって、当該分野でよく 知られているイン・ビトロ(in vitro)またはイン・ビボ(in vivo)技術によって 作製し得る。ポリクローナル抗体の作製には、適当な標的免疫系、典型的にはマ ウスまたはウサギを選択する。実質的に純粋な抗原は、動物に適した方法によっ てか、または免疫学者によく知られている他の指標によって決定した様式で免疫 系に提示する。注射の典型的な部位は、筋肉内、腹膜内または皮膚内的なフット パッドである。勿論、他の種をマウスまたはウサギと代替し得る。ついで、当該 分野で公知の技術を用いてポリクローナル抗体を精製し、所望の特異性に調整す る。 免疫学的応答性は、通常、免疫アッセイでアッセイする。通常、かかる免疫ア ッセイには、例えば、抗原と同細胞かつ同様式によって作製した抗原源のある種 の精製が含まれる。種々の免疫アッセイ法が当該分野でよく知られている(例え ば、 HarlowおよびLane,1988またはGoding,1986参照)。 10-8-1、もしくは好ましくは10-9〜10-10-1またより強い親和性を 有するモノクローナル抗体は、典型的に、例えば、HarlowおよびLane,1988ま たはGoding,1986に記載されている標準的な方法によって作製するであろう。 簡単には、適当な動物を選抜し、所望の免疫化プロトコールに従う。適当な時間 の後に、かかる動物の脾臓を切除し、適当な選抜条件下にて個々の脾臓細胞を不 死化メラノーマ細胞に融合する。その後に、該細胞をクローン化的に分離し、各 クローンの上清を、抗原の所望の領域に特異的な適当な抗体のそれらの産生につ いて試験する。 他の適当な技術には、抗原ポリペプチドへか、または別法としてファージまた は同様なベクター中の抗体の選抜したライブラリーへのリンパ球のイン・ビトロ (in vitro)暴露が含まれる(Huseら,1989参照)。本発明のポリペプチドおよび 抗体は、修飾しても、しないでも用い得る。しばしば、ポリペプチドおよび抗体 は、共有的または非共有的のいずれかで、検出可能なシグナルを供する物質を結 合することによって標識されるであろう。広範な標識およびコンジュゲート技術 が知られており、科学文献および特許文献の両方において広範に報告されている 。適当な標識には、放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光剤、 化学発光剤、磁性粒子他が含まれる。かかる標識の使用を教示する特許には、米 国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,27 7,437号;4,275,149号および第4,366,241号が含まれる。また、組換え免疫グロ ブリンを作製することもできる(米国特許第4,816,567号参照)。 「結合パートナー」とは、例えば、抗原および抗原-特異的抗体または酵素お よびそのインヒビターのような、高い特異性でリガンド分子と結合する能力を有 する分子をいう。一般的に、該特異的結合パートナーは、単離条件下にて、十分 な親和性で結合して、分析物コピー/(ポリヌクレオチドハイブリダイゼーショ ンの場合には)相補鎖二重らせんを固定化しなければならない。特異的結合パー トナーは当該分野で公知であって、例えば、ビオチンおよびアビジンまたはスト レプトアビジン、IgGおよびプロテインA、膨大な公知の受容体-リガンドカ ッ プリング物および相補的ポリヌクレオチド鎖が包含される。相補的ポリヌクレオ チド結合パートナーの場合においては、該パートナーは、通常、少なくとも約1 5塩基長、少なくとも40塩基長とし得る。該ポリヌクレオチドは、DNA、R NAまたは合成ヌクレオチドアナログから構成され得る。 「生物試料」とは、個人からの分析物ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを 含むと予想される組織または流体の試料をいい、限定するものではないが、例え ば、血漿、血清、髄液、リンパ液、皮膚の外部切片、呼吸器、腸および尿生殖器 、涙、唾液、赤血球、腫瘍、器官、組織およびイン・ビトロ(in vitro)細胞培養 構成物の試料が含まれる。 本明細書で用いるごとき、新生生物の文脈で用いる「診断」または「予診」な る語は、処理の前、間およびその後の1)新生生物として病巣の分類、2)新生 生物の程度の測定、または3)疾病進展のモニターを示すのに用いる。 「コードする」;ポリペプチドを「コードする」というポリヌクレオチドは、 その天然状態または当業者によく知られている方法によって操作されている場合 、それは、mRNAおよび/または該ポリペプチドもしくはその断片に転写および /または翻訳され得る。アンチセンス鎖は、かかる核酸、および、それから予想 し得る配列コードの相補物である。 「単離した」または「実質的に純粋な」;「単離した」または「実質的に純粋 な」核酸(例えば、RNA、DNAまたは混合ポリマー)とは、天然のヒト配列ま たは蛋白質(例えば、リボソーム、ポリメラーゼ、多くの他のヒトゲノム配列お よび蛋白質)を自然に付随する他の細胞成分から実質的に単離されたものである 。該語には、核酸配列および蛋白質の自然に発生する環境から除去したそれらを 包含し、組換えまたはクローン化DNA単離物、および化学合成したアナログま たは外来系によって生物学的に合成したアナログが含まれる。 「BRCA1対立遺伝子」とは、BRCA1遺伝子座の正常対立遺伝子、なら びに素因個人に、例えば、乳房、卵巣、結腸直腸および前立腺癌を含む、多くの 部位の癌を発症させる変形を運んでいる対立遺伝子をいう。かかる素因対立遺伝 子は、「BRCA1感受性対立遺伝子」とも呼称する。 「BRCA1座」、「BRCA1遺伝子」、「BRCA1核酸」または「BR CA1ポリヌクレオチド」とは、各々、ポリヌクレオチドをいい、それら全部は BRCA1領域中に存在し、それらは、個人に乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌および 前立腺癌を発症する素因の特定の対立遺伝子を正常組織に発現するようである。 BRCA1における突然変異は、他のタイプの腫瘍の発生および/または進行に 関与し得る。遺伝子座は、素因個人に癌を発症させる突然変異によって部分的に 示される。これらの突然変異は下記するBRCA1領域内に入る。BRCA1座 は、コード配列、介在配列および転写および/または翻訳を制御する調節因子を 含むよう意図される。BRCA1座は、該DNA配列の全ての対立遺伝子変形を 含むよう意図される。 核酸に適用する場合、これらの語は、BRCA1ポリペプチド、断片、同等物 または変形をコードする核酸をいい、例えば、蛋白質融合物または欠失物が包含 される。本発明の核酸は、天然BRCA1-コード遺伝子、または天然BRCA 1-コード遺伝子またはその一部分と実質的に相同性を有するものに由来するか 、またはそれに実質的に同じものかのかのいずれかの配列を有するであろう。配 列番号:2に示すアミノ酸配列を有するBRCA1ポリペプチドのコード配列を 配列番号:1に示す。 本発明のポリヌクレオチド組成物には、当業者によって容易に理解されるであ ろう、センス鎖またはアンチセンス鎖の両方の、RNA、cDNA、ゲノムDN A、合成形態、および混合ポリマーが含まれ、化学的または生化学的に修飾され 得、あるいは非-天然または誘導化ヌクレオチド塩基を含み得る。かかる修飾物 には、例えば、標識物、メチル化物、1または2以上の天然に発生するヌクレオ チドのアナログでの置換物、(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル 、ホスホアミデート、カルバメート他のような)非帯電リンケージのごときヌク レオチド間修飾物、(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート他の ような)荷電リンケージ、(例えば、ポリペプチドのような)ペンダント型基、(ア クリジン、プソラレン他のような)インターカレター、キレート剤、アルキル化 剤および(例えば、アルファアノマー核酸他のような)修飾リンケージが含まれる 。 また、水素結合および他の化学的相互作用を介して指定した配列に結合する能力 のポリヌクレオチドをミメティックスする合成分子も包含される。かかる分子は 、当該分野で知られており、例えば、その中で分子骨格中のリン酸結合の代わり にペプチド結合を用いるものが含まれる。 本発明は、BRCA1領域の全体または一部分を含む組換え核酸を提供する。 該組換え構築物は、宿主細胞中で自律的に複製し得る。別法として、該組換え構 築物は、宿主細胞の染色体DNAに一体化するようになり得る。かかる組換えポ リヌクレオチドは、その起源または操作による、1)天然では結合するポリヌク レオチドの全体または一部分と結合せず;2)天然では結合するもの以外のポリ ペプチドに結合し;または3)天然には生じない、ゲノム、cDNA、半-合成 または合成起源のポリヌクレオチドを含む。 したがって、天然には生じない他の配列を含む組換え核酸が本発明によって提 供される。野生型配列を用いることができるが、それは、しばしば、例えば、欠 失、置換または挿入によって改変されているであろう。 種々のタイプのcDNAまたはゲノムライブラリーを、本発明の核酸の天然起 源としてスクリーンし得、あるいはかかる核酸は、ゲノムDNAまたは他の天然 起源に存在する配列の増幅によって(例えば、PCRによって)提供し得る。cD NAライブラリーの選択は、通常、所望の蛋白質のmRNAに富む組織起源に対 応する。ファージライブラリーが通常好ましいが、他のタイプのライブラリーを 用いることもできる。ライブラリーのクローンをプレートに拡げ、スクリーニン グ用基質に移し、変性し、所望の配列の存在につき釣上げる。 本発明で用いるDNA配列は、通常、少なくとも約5コドン(15ヌクレオチ ド)、より通常は少なくとも7-15コドン、最も好ましくは、少なくとも約35 コドンを含む。また、1または2以上のイントロンが存在し得る。このヌクレオ チド数は、通常、BRCA1-コード配列と特異的にハイブリダイズするであろ う首尾よいプローブに要するおよそ最小限の長さである。 核酸操作用の技術は、一般的に、例えば、Sambrookら,1989またはAusbelら ,1992に記載されている。制限酵素他のごときかかる技術に適用する試薬は当該 分 野で広く知られており、New England BioLabs社、Boehringer Mannheim社 、Amersham社、Promega Biotec社、U.S.Biochemicals社、New England Nuclear社および他の多くの供給源のごとき業者から市販されている。本発明の 融合蛋白質を作製するのに用いる組換え核酸配列は、天然または合成配列由来と し得る。適当なプローブを用いて、種々のcDNAまたはゲノムライブラリー( GenBank,National Institute of Health参照)から多くの天然遺伝子配列 を得ることができる。 「BRCA1領域」とは、マーカーtdj1474およびU5Rによって結合 されるヒト染色体17q21の部分をいう。この領域には、BRCA1遺伝子を 含むBRCA1座が含まれる。 本明細書で用いるごとく、「BRCA1座」、「BRCA対立遺伝子」および 「BRCA領域」は、すべて、遺伝子座、対立遺伝子または領域を含む二本鎖D NA、ならびに遺伝子座、対立遺伝子または領域を含むいずれかの一本鎖DNA をいう。 本明細書で用いるごとく、BRCA1座または領域もしくは対立遺伝子の「部 分」とは、少なくとも約8ヌクレオチド、または好ましくは約15ヌクレオチド 、またはより好ましくは少なくとも約25ヌクレオチドの最小限サイズを有する と規定され、および少なくとも約40ヌクレオチドの最小限サイズを有し得る。 「BRCA1蛋白質」または「BRCA1ポリペプチド」とは、BRCA1座 によってコードされる蛋白質またはポリペプチド、その変形または断片をいう。 「ポリペプチド」なる語は、アミノ酸ポリマーまたはその相当物をいい、特異的 な長さの生成物をいうのではなく;したがって、ペプチド、オリゴペプチドおよ び蛋白質がポリペプチドの定義の中に含まれる。この語は、また、例えば、グル コシル化、アセチル化、リン酸化他のポリペプチドの修飾物をいうのではなく、 または排除する。該定義の中に含まれるのは、天然および非天然に生じる(例え ば、非天然アミノ酸他を包含する)1または2以上のアナログのアミノ酸を含む ポリペプチド、置換結合を有するポリペプチド、ならびに当該分野で公知の他の 修飾物が含まれる。通常、かかるポリペプチドは、天然のBRCA1配列に少な くとも約50%相同で、好ましくは約90%を超えて、より好ましくは少なくと も約95%相同性である。また、高または低ストリンジェンシー条件下にてBR CA1-コード核酸にハイブリダイズし、BRCA1蛋白質(群)に対する抗血清 によって回収される酷似したポリペプチドまたは蛋白質も包含される。 相同性につき比較するポリペプチド配列の長さは、一般的に、少なくとも約1 6アミノ酸、通常、少なくとも約20残基、より通常は少なくとも約24残基で 、典型的には、少なくとも約28残基、好ましくは約35残基を超えるであろう 。 「作動可能に連結した」とは、かく記載した成分が、その意図した様式の機能 を許容する関係にある並列(juxtaposition)をいう。例えば、プロモーターがコ ード配列の転写または発現に影響する場合には、該プロモーターは該配列に作動 可能に連結されている。 「プローブ」;適当なストリンジェントハイブリダイゼーションおよび洗浄条 件下にて、標的配列のポリペプチドと安定なハイブリッドを形成するポリヌクレ オチドプローブとのハイブリダイゼーションによって検出し得る、特定の癌の素 因または大部分の癌に関連するBRCA1対立遺伝子に関連するポリヌクレオチ ド多形性をいう。プローブが標的配列に対して完全に相補的であると予想される 場合には、ストリンジェント条件を用いるであろう。例えば、変形が、プローブ は完全に相補的でない結果を有すると予想される場合のような幾つかの誤対合が 予想される場合、ハイブリダイゼーション・ストリンジェンシーを低下させ得る 。非特異的/偶然の結合を排除する、すなわち、ノイズを最小限化する条件を選 択する。かかる示唆は天然DNA多形性ならびに突然変異を同定し、これらの示 唆はさらに分析して、BRCA1感受性対立遺伝子の検出を立証する必要がある 。 BRCA1対立遺伝子のプローブは、BRCA1領域またはそのcDNAの配 列由来とし得る。該プローブは、BRCA1領域の全体または一部分に広がり、 かつBRCA1領域への特異的なハイブリダイゼーションを許容するいずれの適 当な長さともし得る。標的配列が該プローブと同一の配列を含む場合、該プロー ブは、例えば、約8-30塩基対の範囲に短くし得る。なぜならば、該ハイブリ ッドは、ストリンジェント条件下でさえ比較的安定であろうからである。プロー ブ とある程度の誤対合が予想される場合、すなわち、該プローブが種々の領域にハ イブリダイズすることが予想される場合、必要な特異性で標的配列にハイブリダ イズするより長いプローブを用い得る。 プローブには、標識またはレポーター分子に結合する単離ポリヌクレオチドが 含まれ、それを用いて、標準的な方法によって配列類似を有する他のポリヌクレ オチド配列を単離し得るであろう。プローブの調製および標識の技術としては、 例えば、Sambrookら,1989またはAusbelら,1992を参照せよ。他の同様なポリ ヌクレオチドは、相同ポリヌクレオチドを用いることによって選抜し得る。別法 として、これらまたは同様のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、遺 伝子コード中の重複を用いることによって合成または選抜し得る。例えば、サイ レント変化(それによって種々の制限部位を作製する)または特定の系を最適化す ることによって、種々のコドン置換を導入し得る。突然変異を導入して、ポリペ プチドの特性(恐らくは、リガンド-結合親和性、鎖間親和性の変化またはポリペ プチド分解または代謝回転速度の変化)を修飾することができる。 本発明の合成オリゴヌクレオチドまたは他のポリヌクレオチドを含むプローブ は、天然に発生するか、または組換えの一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチド、 あるいは化学合成由来とし得る。プローブは、ニック・トランスレーション、ク レノー酵素フィル-イン(fill-in)反応または当該分野で公知の他の方法によって も標識し得る。 BRCA1をコードするポリヌクレオチド配列からの、少なくとも約8ヌクレ オチド、通常少なくとも約15ヌクレオチドで、約6kbより短い、通常約1. 0kbより短いヌクレオチドを有するポリヌクレオチド配列の一部分が、プロー ブとして好ましい。また、該プローブを用いて、BRCA1をコードするmRN Aが細胞または組織中に存在するか否かを決定することもできる。 BRCA1ポリペプチドまたはその断片について本発明によって提供される「 蛋白質修飾物または断片」は、一次構造配列に実質的に相同性であるが、例えば 、イン・ビボ(in vivo)またはイン・ビトロ(in vitro)の化学的および生化学的 修飾または異常なアミノ酸を取り込んだものが含まれる。かかる修飾には、当 業者によって容易に理解されるであろう、例えば、アセチル化、カルボキシ化、 リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、(例えば、放射線核種での)標識、なら びに種々の酵素的修飾が含まれる。かかる目的に有用なポリペプチドを標識する 種々の方法およびその置換または標識は、当該分野でよく知られており、32Pの ごとき放射性同位体が含まれ、これは、標識リガンドの特異的結合対メンバーと して作用し得る標識抗リガンド(例えば、抗体)、蛍光団、化学発色剤、酵素およ び抗リガンドに結合する。標識の選択は、要する感度、プライマーとコンジュゲー ト容易性、安定性要件および入手可能な機器に依存する。ポリペプチドを標識す る方法は当該分野でよく知られている(例えば、Sambrookら,1989またはAusbe lら,1992参照)。 実質的に完全長のポリペプチドに加えて、本発明は、偽ポリペプチドの生物学 的に活性な断片を提供する。重要な生物学的活性には、BRCA1ポリペプチド のリガンド-結合性、免疫学的活性および他の生物学的活性特性が含まれる。免 疫学的活性には、標的免疫系の免疫源機能、ならびに結合用の免疫学的エピトー プを分け持っていること、BRCA1蛋白質のエピトープにつき競合または置換 抗原のいずれかとして作用することの両方が含まれる。本明細書で用いる「エピ トープ」とは、ポリペプチドの抗原決定基をいう。エピトープは、エピトープに ユニークな空間立体配置に3個のアミノ酸を含み得る。一般的に、エピトープは 、少なくとも5個のかかるアミノ酸、およびより通常は少なくとも8-10個の かかるアミノ酸よりなる。かかるアミノ酸の空間立体配置を決定する方法は当該 分野で知られている。 免疫学的目的には、直列反復ポリペプチド・セグメントを免疫原として用い、 それによって抗原蛋白質を高度に産生し得る。別法として、かかるポリペプチド は、特異的結合につき高効率の競合物としても作用するであろう。BRCA1ポ リペプチドまたはその断片に特異的な抗体の作製を以下に記載する。 また、本発明は、BRCA1ポリペプチドおよび断片を含む、融合ポリペプチ ドも提供する。ホモポリペプチドは、2または3以上のBRCA1ポリペプチド 配列の間の、またはBRCA1の配列と関連蛋白質との間の融合とし得る。同様 に、誘導蛋白質の特性または活性の組合せを示すであろうヘテロ融合物を構築し 得る。例えば、リガンド-結合または他のドメインは、異なる新たな融合ポリペ プチドまたは断片の間で「交換」し得る。かかるホモまたはヘテロ融合ポリペプ チドは、例えば、変化した強さまたは特異性の結合を示し得る。融合パートナー には、免疫グロブリン、細菌β-ガラクトシダーゼ、trpE、プロテインA、 β-ラクタマーゼ、α-アミラーゼ、アルコール・デヒドロゲナーゼおよび酵母ア ルファ接合因子が含まれる(例えば、Godowskiら,1988参照)。 融合蛋白質は、典型的には、以下に記載するごとき、いずれかの組換え核酸法 によって作製し得、あるいは化学合成法とし得る。ポリペプチドを合成する技術 は、例えば、Merrifield,1963に記載されている。 「蛋白質精製」とは、BRCA1をコードする組換え核酸で形質転換した細胞 からのごとき、他の生物材料からBRCA1ポリペプチドを単離するための種々 の方法、ならびに当該分野でよく知られている方法をいう。例えば、かかるポリ ペプチドは、例えば、本発明によって提供される抗体を用いる免疫アフィニティー ・クロマトグラフィーによって精製し得る。蛋白質精製の種々の方法は当該分野 でよく知られており、Deutscher,1990およびScopes,1982に記載されたもの が含まれる。 「単離した」、「実質的に純粋な」および「実質的に均一な」なる語は、天然 状態では蛋白質またはポリペプチドを付随する成分からそれらを分離することを 記載するために相互変換可能に用いる。少なくとも約60〜75%の試料が単一 のポリペプチド配列を示す場合、単量体蛋白質は実質的に純粋である。実質的に 純粋な蛋白質は、典型的には、約60%〜90%W/Wの蛋白質試料、より通常 には約95%、好ましくは約99%純粋を超える蛋白質試料を含むであろう。蛋 白質純度または均一性は、蛋白質試料のポリアクリルアミドゲル電気泳動につづ く該ゲルの染色の際の単一ポリペプチドバンドの視覚化のごとき、当該分野でよ く知られている多くの手段によって示し得る。特定の目的には、HPLCまたは 精製に利用する当該分野でよく知られた他の手段を用いることによって高解像度 を供し得る。 BRCA1蛋白質は、その天然状態でそれに付随する天然の汚染物からそれを 分離した場合、天然で関連する成分を実質的に含まない。かくして、化学的に合 成したか、またはそれが天然に起源する細胞とは異なる細胞系で合成したポリペ プチドは、その天然に付随する成分を実質的に含まないであろう。蛋白質は、当 該分野でよく知られた蛋白質精製技術を用いて単離することによって、天然に付 随する成分を実質的に含まないものとすることもできる。 単離および操作した遺伝子配列の発現産物として生成するポリペプチドは、ホ モ細胞型で発現される場合でさえ、本明細書で用いる「単離ポリペプチド」であ る。ヘテロ細胞によって発現される合成作製形態または分子は、本来、単離分子 である。 「組換え核酸」とは、天然に生じるものではない、または、配列の2の他の分 離したセグメントの人工的組合せによって作製した核酸である。この人工的な組 合せは、しばしば、いずれかの化学合成手段によってか、または核酸の単離セグ メントの人工操作によって、例えば、遺伝子工学技術によってなされる。かかる ものは、通常、同一または保存アミノ酸をコードする余分なコドンでコドンを置 換して行うが、典型的には、配列認識部位を導入するか、または除去する。別法 として、それを行って、所望の機能の核酸セグメントを一緒に結合し、所望の組 合せの機能を生成する。 「調節配列」とは、通常、遺伝子座のコード領域の100kb以内の配列をい うが、それはコード領域からさらに離れていることもあり、それは、(遺伝子の 転写、およびmRNAの翻訳、スプライシング、安定性などを含む)遺伝子の発 現に影響する。 「実質的に相同または同様な」;他の核酸(またはその相補鎖)と(適当なヌク レオチド挿入または欠失を有して)最適に並べた場合に、ヌクレオチド塩基の少 なくとも約60%、通常少なくとも約70%、より通常は少なくとも約80%、 好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95-98%のヌ クレオチド塩基のヌクレオチド配列同一性が存在する場合、核酸またはその断片 はもう1つのものに「実質的に相同性である」(「または実質的に同様である」) 。 別法として、鎖またはその相補鎖に対して選択的なハイブリダイゼーション条 件下で、他の核酸(またはその相補鎖)に、核酸またはその断片がハイブリダイズ する場合、実質的な相補性または(同一性)が存在する。特異性の全体的な欠乏よ りも実質的により選択的なハイブリダイゼーションが起こる場合に、ハイブリダ イゼーションの選択性が存在する。典型的には、選択的ハイブリダイゼーション は、少なくとも約14ヌクレオチド、好ましくは少なくとも65%、より好まし くは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%のストレッチにわ たって少なくとも約55%相同性が存在する場合に生じるであろう(Kanehisa, 1984参照)。記載した相同性比較の長さは、より長いストレッチとすることもで き、特定の具体例においては、しばしば、少なくとも約9ヌクレオチド、通常は 少なくとも約20ヌクレオチド、より通常は少なくとも約24ヌクレオチド、典 型的には少なくとも約28ヌクレオチド、より典型的には少なくとも約32ヌク レオチド、好ましくは少なくとも約36またはそれを超えるヌクレオチドのスト レッチにわたるであろう。 核酸ハイブリダイゼーションは、当業者によって容易に理解されるであろう、 塩基組成、相補鎖の長さ、およびハイブリダイズする核酸の間のヌクレオチド塩 基誤対合の数に加えて、塩濃度、温度、または有機溶媒のごとき条件によって影 響されるでろう。ストリンジェントな温度条件には、一般的に、30℃を超える 、典型的には37℃を超える、好ましくは45℃を超える温度が含まれるであろ う。ストインジェントな塩条件には、通常、1000mM未満、典型的には500 mM未満、好ましくは200mM未満であろう。しかしながら、指標の組合せは いずれの単一の指標の測定よりも遥かにより重要である(例えば、Wetmurおよび Davidson,1968参照)。 プローブ配列は、また、特定の条件下にて二重らせんDNAに特異的にハイブ リダイズして、三重らせんまたは他のより高次のDNA複合体を形成し得る。か かるプローブの調製および適当なハイブリダイゼーション条件は当該分野でよく 知られている。 「実質的相同性」または「実質的同一性」なる語は、ポリペプチドをいう場合 、 問題のポリペプチドまたは蛋白質が自然に発生する全体蛋白質またはその一部分 と少なくとも約30%同一性、通常少なくとも約70%同一性、好ましくは少な くとも約95%同一性を表すことを示す。 「実質的に同一の機能」とは、野生型BRCA1核酸または野生型BRCA1 ポリペプチドに関しての、修飾核酸または修飾蛋白質の機能をいう。修飾ポリペ プチドは野生型BRCA1ポリペプチドに実質的に相同性であって、同一の機能 を実質的に有するであろう。修飾ポリペプチドは、変化したアミノ酸配列を有し 、および/または修飾アミノ酸を含み得る。機能の同一性に加えて、修飾ポリペ プチドは、より長い半減期のごとき他の有用な特性を有し得る。修飾ポリペプチ ドの機能(活性)の同一性は、実質的に野生型BRCA1ポリペプチドの活性と同 一とし得る。別法として、修飾ポリペプチドの機能(活性)の同一性は、野生型B RCA1ポリペプチドの活性よりも高いものとし得る。修飾ポリペプチドは、慣 用的な技術を用いて合成し、あるいは、修飾した核酸によってコードされ、慣用 的な技術を用いて作製される。修飾核酸は慣用的な技術によって調製する。野生 型BRCA1遺伝子機能と実質的に同様の機能を有する核酸は、前記した修飾蛋 白質を産生する。 ポリペプチドの相同性は、典型的に、配列分析ソフトウェアを用いて測定する (例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Comput er Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,910 Univer sity Avenue,Madison,Wisconsin 53705参照)。蛋白質分析ソフトウェアは 、種々の置換、欠失および他の修飾を指定した相同性の測定を用いて、同様配列 を対合する。保存性置換には、典型的に、以下の群の中の置換が含まれる:グリ シン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミ ン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン; およびフェニルアラニン、チロシン。 ポリペプチド「断片」、「一部分」または「セグメント」とは、少なくとも約 5〜7個の隣接したアミノ酸、しばしば、少なくとも約7〜9個の隣接したアミ ノ酸、典型的には少なくとも約9〜13の隣接したアミノ酸、最も好ましくは少 なくとも約20〜30またはそれを超えて隣接したアミノ酸のアミノ酸残基のス トレッチである。 本発明のポリペプチドは、可溶性である場合、例えば、ニトロセルロース、ナ イロン、カラム充填材(例えば、Sepharose beads)、磁性ビーズ、ガラスウール 、プラスチック、金属、ポリマーゲル、細胞または他の基体のような固相支持体 にカップリングし得る。かかる支持体は、例えば、ビーズ、ウェル、計深棒また は膜のような形態を採り得る。 「標的領域」とは、増幅および/または検出する核酸の領域をいう。「標的配 列」なる語は、所望の条件下にて、それとプローブまたはプライマーとが安定な ハイブリッドを形成するであろう配列をいう。 本発明の実施は、特に指摘しない限り、化学、分子生物学、微生物学、組換え DNA、遺伝学および免疫学の慣用的な技術を用いる(例えば、Maniatisら,19 82;Sambrookら,1989;Ausubelら,1992;Glover,1985;Anand,1992;G uthrieおよびFink,1991参照)。ヒト染色体17qのマッピングを含むヒト遺伝 子マッピングの技術および材料の一般的な議論は、例えば、WhiteおよびLalou el,1988に記載されている。組換えまたは化学的に合成した核酸;ベクター、形質転換、宿主細胞の調製 本発明の大量のポリヌクレオチドは、適当な宿主細胞中の複製によって産生し 得る。所望の断片をコードする天然または合成ポリヌクレオチド断片は、原核生 物または真核生物細胞に導入し、複製する能力を有する、組換えポリヌクレオチ ド構築物、通常DNA構築物に導入する。通常、ポリヌクレオチド構築物は、酵 母または細菌のごとき単細胞宿主における複製に適しているであろうが、(ゲノ ム内に一体化されるか、またはされないで)培養した哺乳動物または植物あるい は他の真核生物細胞系統への導入を意図することもできる。本発明の方法によっ て作製した核酸の精製は、例えば、Sambrookら,1989またはAusubelら,1992 に記載されている。 本発明のポリヌクレオチドは、例えば、BeaucageおよびCarruthers,1981によ っ て記載されているホスホルアミダイト法、またはMatteucciおよびCaruthers,19 81によるトリエステル法による化学合成によって作製し得、市販の自動化オリゴ ヌクレオチド合成器で行うこともできる。二本鎖断片は、相補鎖を合成し、適当 な条件下にてそれらの鎖を一緒にアニーリングさせることによって、あるいは、 適当なプライマー配列と一緒にDNAポリメラーゼを用いて相補鎖を付加するこ とによって、化学合成の一本鎖から得ることができる。 原核生物または真核生物宿主へ導入するために調製するポリヌクレオチド構築 物は、所望のポリヌクレオチドをコードする目的のポリヌクレオチド断片を包含 する宿主によって認識される複製系を含み得、好ましくは該ポリヌクレオチドコ ードセグメントに作動可能に連結した転写および翻訳の開始の調節配列も含むで あろう。発現ベクターには、例えば、複製開始点または自律複製配列(ARS)、 ならびに、リボソーム-結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化 部位、転写ターミネーター配列およびmRNA安定化配列のごとき、発現制御配 列、プロモーター、エンハンサーおよび必須のプロセシング情報部位が含まれ得 る。分泌シグナルには、適当には、天然BRCA1蛋白質からか、または他の受 容体、あるいは同一または関連する種の分泌ポリペプチドからかのいずれかから のもので、蛋白質を細胞膜貫通および/または緊提させるもので、従って、その 機能トポロジーを達成する、あるいは細胞から分泌されるものが含まれ得る。か かるベクターは、当該分野でよく知られ、例えば、Sambrookら,1989またはAu sbelら,1992中で論じられている標準的な組換え技術によって調製し得る。 適当なプロモーターおよび他の必須のベクター配列は、宿主で機能するように 選択され、適当には、BRCA1遺伝子と天然で関連するものが含まれ得る。細 胞系統および発現ベクターの作動し得る組合せの例は、Sambrookら,1989また はAusubelら,1992に記載されており;また、例えば、Metzgerら,1988を参照 せよ。多くの有用なベクターが当該分野で公知であり、Stratagene社、New E ngland Biolabs社、Promega Biotech社他のごとき業者から入手し得る。tr p、lacおよびファージプロモーター、tRNAプロモーターおよび解糖酵素 プロモーターのごときプロモーターを原核生物宿主に用い得る。有用な酵母 プロモーターには、メタロチオネイン、3-ホスホグリセレート・キナーゼ、ま たは、エノラーゼもしくはグリセルアルデヒド-3-ホスフェート・デヒドロゲナ ーゼのごとき他の解糖酵素、マルトースおよびガラクトース利用に寄与する酵素 他のプロモーター領域が含まれる。酵母発現の使用に適したベクターおよびプロ モーターは、さらに、Hitzemanら,EP 73,675A号に記載されている。適当な非 天然哺乳動物プロモーターには、SV40からの初期および後期プロモーター( Fiersら,1978)またはマウスモロニー白血病ウイルス、マウス腫瘍ウイルス、 ニワトリ肉腫ウイルス、II型アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルスまたはポリオー マ由来のプロモーターが含まれ得る。加えて、該構築物は、複数コピーの遺伝子 を作製し得るように、増幅性遺伝子(例えば、DHFR)に連結し得る。適当なエ ンハンサーおよび他の発現制御配列に関しては、例えば、Enhancers and Euka ryotic Gene Expression,Cold Spring Harbor Press社,Cold Spring Harbor,New York(1983)を参照せよ。 かかる発現ベクターは自律的に複製し得るが、それらは、当該分野でよく知ら れている方法によって、宿主細胞のゲノムに挿入することによって複製すること もできる。 発現およびクローニングベクターは、ベクターで形質転換した宿主細胞の生存 または増殖に必須な蛋白質をコードする遺伝子である選択マーカーを含むようで ある。この遺伝子が存在することにより、該インサートを発現する宿主細胞のみ の増殖が保証される。典型的な選択遺伝子は、a)抗生物質または他の毒性物質 、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート他への抵抗性を付与 する;b)栄養要求性欠損を補う、またはc)複合培地から入手できない重要な 栄養を供給する(例えば、悍菌(Bacilli)にはD-アラニン・ラセマーゼをコード する遺伝子)蛋白質をコードしている。適当な選択マーカーの選択は宿主細胞に 依存し、種々の宿主に対する適当なマーカーは当該分野でよく知られている。 目的の核酸を含むベクターはイン・ビトロ(in vitro)で転写し得、よく知られ た方法(例えば、インジェクション(Kuboら,1988))によって、得られたRNA を宿主細胞に導入し得、あるいは、該ベクターは細胞宿主のタイプに依存して変 動する当該分野でよく知られている方法(エレクトロポレーション;塩化カルシ ウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の 物質を用いるトランスフェクション;マイクロプロジェクタイル衝撃;リポフェ クション感染(ベクターがレトロウイルスゲノムのごとき感染性因子である);な らびに他の方法)によって宿主細胞に直接導入し得る(一般的に、Sambrookら,1 989およびAusubelら,1992参照)。とりわけ前記したものを包含する当該分野で 公知のいずれかの方法による宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、本明細書 中で「形質転換」という。前記の核酸を導入した細胞は、かかる細胞の子孫も含 むことを意味する。 本発明の大量の核酸およびポリヌクレオチドは、BRCA1核酸またはその一 部分を原核生物または真核生物宿主細胞に和合性のベクターまたは他の発現ビヒ クルで発現させることによって調製し得る。最も通常用いる原核生物宿主はエシ ェリキア・コリ(Escherichia coli)であるが、バチルス・ズブチリス(Bacillu s subtilis)またはシュードモナス(Pseudomonas)のごとき他の原核生物も用い 得る。 哺乳類宿主細胞、あるいは、酵母、糸状菌、植物、昆虫、または両生類もしく は鳥類のごとき他の真核生物宿主細胞も、また、本発明の蛋白質の産生に有用と なり得る。培養における哺乳動物細胞の増殖は、それ自体よく知られている(Ja kobyおよびPastan,1979参照)。通常用いられる哺乳動物宿主細胞系統の例はV EROおよびHeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびに WI38、BHKおよびCOS細胞系統であるが、他の細胞系統も、例えば、よ り高い発現、望ましいグリコシル化パターン、または他の特徴を供するに適当と なり得ることは当業者によって理解されるであろう。 ベクター構築物の様式に依存するマーカーを用いることによって、クローンを 選抜し得る。マーカーは、同一または異なるDNA分子上とし得るが、好ましく は同一DNA分子上である。原核生物宿主においては、例えば、アンピシリン、 テトラサイクリンまたは他の抗生物質に対する抵抗性によって、形質転換体を選 抜し得る。温度感受性に基づく特定の産物の産生も、適当なマーカーとして作用 し得る。 本発明のポリヌクレオチドで形質転換した原核生物または真核生物細胞は、本 発明の核酸およびポリペプチドの産生のみならず、例えば、BRCA1ポリペプ チドの特性の研究においても有用であろう。 アンチセンス・ポリヌクレオチド配列は、当業者によって理解されるであろう ごとく、BRCA1座の発現を防ぐか、または減じるのに有用である。例えば、 BRCA1座またはBRCA1領域からの他の配列(特に、BRCA1座に隣接 するもの)の全体もしくは一部分を含有するポリヌクレオシドベクターは、アン チセンス方向でプロモーターの制御下に置き、細胞に導入することができる。細 胞内におけるかかるアンチセンス構築物の発現は、BRCA1転写および/また は翻訳および/または複製を妨害するであろう。 本明細書で開示したBRCA1遺伝子配列に基づくプローブおよびプライマー を用いて、他の種における相同性BRCA1遺伝子配列および蛋白質を同定する 。これらのBRCA1遺伝子配列および蛋白質は、それを単離した種についての 、本明細書に記載した診断/予測、治療および薬剤スクリーニング方法に用いる 。使用方法:核酸診断および診断キット 個人が癌になる素因であるBRCA1対立遺伝子の存在を検出するためには、 血液のごとき生物試料を調製し、BRCA1の感受性対立遺伝子の存在または不 存在について分析する。新生生物の存在を検出するためには、前駆体病斑の悪性 腫瘍に向けての進展、または、予測指標として、病斑の生物試料を調製し、BR CA1の突然変異対立遺伝子の存在または不存在について分析する。これらの試 験の結果および解釈情報は、試験した個人に対するコミュニケーションのために ヘルスケア・プロバイダーに戻す。かかる診断は、診断研究所によって行うか、 別法として、診断キットを製造し、ヘルスケア・プロバイダーまたは自己-診断 用にプライベートな個人に対して販売し得る。 最初に、スクリーニング法は適当なBRCA1配列の増幅が含まれる。本発明 のもう1つの好ましい具体例において、該スクリーニング方法は、非-PCRベ ースの戦略を含む。かかるスクリーニング法には、当該分野でよく知られている 2-段階標識増幅方法論が含まれる。PCRおよび非-PCRの両方のベースのス クリーニング戦略は、高レベルの感度で標的配列を検出し得る。 今日用いられている最もポピュラーな方法は、標的増幅である。ここにおいて は、標的核酸配列をポリメラーゼで増幅する。ポリメラーゼ作動増幅を用いる1 つの特に好ましい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。ポリメラーゼ 連鎖反応および他のポリメラーゼ-作動増幅アッセイにより、ポリメラーゼ-作動 増幅サイクルの使用を通して、コピー数にして百万倍を超える増加を達成し得る 。増幅したら、得られた核酸は配列決定し得るか、またはDNAプローブ用の基 質として用い得る。 プローブを用いて標的配列の存在を検出する(例えば、癌感受性についてのス クリーニングにおいて)場合、所望により、血液または血清のごとき分析すべき 生物試料を処理して核酸を抽出し得る。試料核酸を種々の方法で調製して、標的 配列の検出;例えば、変性、制限消化、電気泳動またはドット・ブロットを容易 ならしめることができる。分析核酸の標的化領域は、通常、少なくとも部分的に 一本鎖であって、プローブの標的配列とハイブリッドを形成しなければならない 。配列が天然に一本鎖である場合、変性は必要ないであろう。しかしながら、配 列が二本鎖である場合、該配列は恐らく変性させる必要がある。変性は、当該分 野で公知の種々の技術によって行い得る。 分析核酸およびプローブは、分析物中の予想標的化配列とプローブ中の標的配 列との安定なハイブリッド形成を促進する条件下にてインキュベートする。分析 物に結合させるのに用いるプローブの領域は、ヒト染色体17qの標的化領域に 完全に相補的とし得る。したがって、誤った陽性を防ぐためには、高ストリンジ ェンシー条件が望ましい。しかしながら、高ストリンジェンシー条件は、ゲノム 中にユニークである染色体領域にプローブが相補的である場合にのみ使用する。 ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーションの間 および洗浄工程の間の多数の因子によって決定され、これには、温度、イオン強 度、塩基組成、プローブ長およびホルムアミド濃度が含まれる。これらの因子は 、例 えば、Maniatisら,1982およびSambrookら,1989に概説されている。特定の環 境下においては、三重らせん、四重らせん他のごときより高次のハイブリッドを 形成させて、標的配列を検出する手段を提供することが望ましいこともあり得る 。 いずれにせよ、得られたハイブリッドの検出は、通常、標的プローブを用いる ことによってなされる。別法として、該プローブは非標識であってもよいが直接 または間接的に標識したリガンドとの特異的な結合によって検出し得る。適当な 標識、ならびにプローブおよびリガンドを標識する方法は当該分野で公知であっ て、これには、例えば、公知の方法(例えば、ニック・トランスレーション、ラ ンダム・プライミングまたはキナージング(kinasing))、ビオチン、蛍光基、化 学発光基(例えば、ジオキセタン、特に励起(triggered)ジオキセタン)、酵素、 抗体他によって取り込み得る放射能標識が含まれる。この基本スキームの変形は 当該分野で公知であって、外来物質から検出すべきハイブリッドの分離を容易な らしめる変形、および/または標識基からの信号を増幅する変形が含まれる。多 くのこれらの変形は、例えば、MatthewsおよびKricka,1988;Landegrenら, 1988;Mittlin,1989;米国特許第4,868,105号およびEPO公開第225,807号に 概説されている。 前記したごとく、非-PCR-ベースのスクリーニングアッセイも本発明で意図 される。例示的な非-PCRに基づく方法を実施例11に供する。この方法は、 核酸プローブ(または、ホスホン酸メチル骨格を正常なホスホジエステルと置換 えたごときアナログ)を低レベルのDNA標的にハイブリダイズする。このプロ ーブは、共有結合がハイブリダイゼーションの特異性を妨害しないように、当該 プローブに共有結合した酵素を有し得る。この酵素-プローブ-コンジュゲート- 標的核酸複合体は、ついで、遊離プローブ酵素コンジュゲートから単離し得、酵 素検出用に基質を添加する。酵素活性は、感度にして103-106の増加が得ら れる発色または発光出力における変化で観察認される。オリゴデオキシヌクレオ チド-アルカリホスファターゼ・コンジュゲートの調製およびハイブリダイゼー ション・プローブとしてのそれらの使用に関する一例としては、Jablonskiら, 1986を参照せよ。 二段階標識増幅方法論は、当該分野で公知である。これらのアッセイは、(ジ ゴキシゲニン、ビオチン他のごとき)小リガンドが、BRCA1に特異的に結合 し得る核酸プローブに結合するという原理で行う。例示的なプローブを本明細書 の表9に供し、これにはさらに、配列番号:1のヌクレオチド位3631〜39 30に対応する核酸プローブが含まれる。対立遺伝子特異的プローブもまた、こ の例の範囲内にあることが意図されており、例示的な対立遺伝子特異的プローブ には、本願明細書の表11および12中に要約した素因突然変異を包含するプロ ーブが含まれる。 一例において、核酸プローブに結合する小プローブは、抗体-酵素コンジュゲ ートによって特異的に認識される。この例の1つの具体例において、ジゴキシゲ ニンが核酸プローブに結合する。ハイブリダイゼーションは、化学発光基質にな る抗体-アルカリホスファターゼ・コンジュゲートによって検出する。この具体 例による核酸プローブを標識する方法については、Martinら,1990を参照せよ 。第二の実施例においては、第一リガンドに特異的にコンプレックスを形成し得 る第二リガンド-酵素コンジュゲートによって小リガンドを認識する。この例の よく知られた具体例は、ビオチン-アビジン型の相互作用である。核酸プローブ を標識する方法およびビオチン-アビジンに基づくアッセイにおけるそれらの使 用については、Rigbyら,1977およびNguyenら,1992を参照せよ。 本発明の核酸プローブアッセイがBRCA1を検出し得る核酸プローブのカク テルを用いるであろうことも、本発明の範囲内で意図されている。かくして、細 胞試料中のBRCA1の存在を検出する一例において、BRCA1に相補的な2 以上のプローブを用い、特に、多くの異なるプローブを、別法として、2、3ま たは5この異なる核酸プローブ配列を用いる。もう1つの例において、患者にお けるBRCA1遺伝子配列中の突然変異の存在を検出するためには、BRCA1 に相補的な2以上のプローブを用い、ここに、カクテルは、BRCA1中に変化 を有する患者の集団において同定された対立遺伝子-特異的突然変異に結合し得 るプローブを含む。この具体例においては、いずれの数のプローブを用いること ができるが、好ましくは、個人が乳癌になる素因として同定された主遺伝子突然 変異に対応するプローブを含むであろう。本発明の範囲内に意図される幾つかの 候補プローブには、表11および12に同定した対立遺伝子-特異的突然変異を 含むプローブ、ならびに、配列番号:1の5'および3'の両方の突然変異サイト に対応するBRCA1領域を有するプローブが含まれる。使用方法:ペプチド診断および診断キット 病斑の新生生物状態は、野生型BCA1ポリペプチドの変化に基づいても検出 し得る。かかる変化は、慣用的な技術による配列分析によって決定し得る。より 好ましくは、抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル抗体)を用いて、BRC A1ペプチド中の相違、または不存在を検出する。該抗体は、「抗体」なる標題 下で前に論じ、実施例12および13にさらに示すごとく調製し得る。抗体を生 起させて精製する他の技術は当該分野でよく知られており、いずれのかかる技術 を用いても、本発明に請求する調製物をなし得る。本発明の好ましい具体例にお いて、抗体は、溶液からBRCA1蛋白質を免疫沈降し、かつ、ポリアクリルア ミドゲルのウェスタンまたはイムノブロット上でBRCA1蛋白質と反応するで あろう。もう1つの好ましい具体例において、抗体は、免疫細胞化学的技術を用 いて、パラフィンまたは凍結組織切片中のBRCA1蛋白質を検出するであろう 。 BRCA1またはその突然変異を検出する方法に関する好ましい具体例には、 モノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体を用いたサンドウィッチ アッセイを含む、酵素結合免疫ソルベントアッセイ(ELISA)、ラジオイムノ アッセイ(RIA)、イムノラジオ分析アッセイ(IRMA)およびイムノ酵素アッ セイ(IEMA)が含まれる。例示的なサンドウィッチアッセイは、(出典明示し て本明細書の一部とみなし、実施例14で例示する)米国特許第4,376,110号およ び第4,486,530号においてDavidらによって記載されている。使用方法:薬剤スクリーニング 本発明は、いずれかの種々の薬剤スクリーニング技術においてBRCA1ポリ ペプチドまたはその結合フラグメントを使用することによって、化合物をスクリ ーニングするのに特に有用である。 かかる試験において使用するBRCA1ポリペプチドまたはフラグメントは、 溶液中で遊離させ得、固体支持体に固定化し得、あるいは細胞表面上に支持し得 る。薬剤スクリーニングの1つの方法は、好ましくは競合結合アッセイにおいて 、ポリペプチドまたはフラグメントを発現する組換えポリヌクレオチドで安定し て形質転換した真核生物または原核宿主生物細胞を使用する。生存能力を有する か、または固定形態のいずれかのかかる細胞は、標準結合アッセイに用いること ができる。例えば、BRCA1ポリペプチドまたはフラグメントと試験すべき剤 との間の複合体の形成について測定し得、または、BRCA1ポリペプチドまた はフラグメントと既知リガンドとの間の複合体の形成が試験すべき剤によって妨 害される程度を検査し得る。 かくして、本発明は、薬剤とBRCA1ポリペプチドまたはフラグメントとを 接触させ、当該分野でよく知られている方法によって、(i)該剤とBRCA1ポ リペプチドまたはフラグメントとの間の複合体の存在につき、または(ii)BR CA1ポリペプチドまたはそのフラグメントとリガンドとの間の複合体の存在に つきアッセイすることを特徴とする薬剤のスクリーニング方法を提供する。かか る競合結合アッセイにおいて、BRCA1ポリペプチドまたはフラグメントは、 典型的に標識されている。遊離BRCA1ポリペプチドまたはフラグメントは、 蛋白質:蛋白質複合体に存在するものから単離し、遊離(すなわち、非コンプレ ックス形成)標識の量は、各々、BRCA1に対して試験すべき剤の結合の測定 値、またはBRCA1:リガンド結合で妨害された値である。 薬剤スクリーニングのもう1つの技術は、BRCA1ポリペプチドに対して適 当な結合アフィニティーを有する化合物の高処理量スクリーニングを提供し、こ れは、Geysen,1984年9月13日に公開されたPCT国際公開WO84/03564号に詳 記されている。簡単に説明すると、多数の異なる小ペプチド試験化合物を、プラ スチックピンまたはある種の他の表面のごとき固体支持体上で合成する。ペプチ ド試験化合物をBRCA1ポリペプチドと反応させ、洗浄する。結合したBRC A1ポリペプチドを、ついで、当該分野でよく知られている方法によって検出す る。 精製したBRCA1は、前記した薬剤スクリーニング技術において使用するた めに、プレート上に直接コートし得る。しかしながら、該ポリペプチドに対する 非-中和抗体を用いて抗体を捕捉し、該固相上にBRCA1ポリペプチドを固定 化し得る。 また、本発明は、競合薬剤スクリーニングアッセイの使用も意図しており、そ の中では、BRCA1ポリペプチドに特異的に結合し得る中和抗体を、BRCA ポリペプチドまたはそのフラグメントに対する結合について、試験化合物と競合 させる。このようにして、抗体を用いて、1または2以上のBRCA1ポリペプ チドの抗原決定基を有するいずれのペプチドの存在も検出し得る。 薬剤スクリーニングのさらなる技術には、非機能性BRCA1遺伝子を有する (前記したごとき)宿主真核生物細胞系統または細胞の使用が含まれる。これらの 宿主細胞系統または細胞は、BRCA1ポリペプチドレベルで欠失している。宿 主細胞系統または細胞は、薬剤化合物存在下で増殖する。宿主細胞の増殖速度を 測定して、該化合物がBRCA1欠失細胞の増殖を調節し得るか否かを判断する 。使用方法:合理的薬剤デザイン 合理的薬剤デザインの目標は、例えば、より活性な、または安定な形態のポリ ペプチド、またはイン・ビボ(in vivo)でポリペプチドの機能を向上する、また は妨害する薬剤を製造するために、目的の生物学的に活性なポリペプチド、また は、当該薬剤が相互作用する小分子(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、イ ンヒビター)の構造アナログを設計することである(例えば、Hodgson,1991参照 )。1つのアプローチにおいて、最初に目的の蛋白質(例えば、BRCA1ポリペ プチド)または、例えば、BRCA1-受容体もしくはリガンドコンプレックスの 三次元構造を、x-線結晶学、コンピュータ・モデリング、または最も典型的に は、組合せたアプローチによって決定する。あまり頻繁ではないが、相同蛋白質 の構造に基づくモデリングによって、ポリペプチドの構造に関する有用な情報を 得ることができる。合理的薬剤デザインの一例は、HIVプロテアーゼ・インヒ ビターの開発である(Ericksonら,1990)。加えて、ペプチド(例えば、BRCA 1ポリペプチド)をアラニン・スキャンによって分析する(Wells,1991)。この 技術においては、アミノ酸残基をAlaに置換し、ペプチド活性に対するその影響 を測定する。ペプチドの各アミノ酸残基をこのようにして分析して、ペプチドの 重要な領域を決定する。 また、機能アッセイによって選抜した標的-特異的抗体を単離し、ついで、そ の結晶構造を解明することもできる。原則として、このアプローチにより、続く 薬剤デザインに基づき得るファーマコア(pharmacore)が得られる。機能的な薬理 学的に活性な抗体に対する抗-イディオタイプ抗体(抗-ids)を生起することに よって、蛋白質結晶学を全く回避することができる。鏡像の鏡像のごとく、抗- idsの結合サイトは、元の受容体のアナログであると予想される。ついで、抗 -idsを用いて、ペプチドの化学的または生物学的に作成したバンクのバンク からペプチドを同定し、単離し得る。ついで、選抜したペプチドは、ファーマコ アとして作用するであろう。 かくして、例えば、改善されたBRCA1ポリペプチド活性または安定性を有 するか、または、例えば、BRCA1ポリペプチド活性のインヒビター、アゴニ スト、アンタゴニスト他として作用する薬剤をデザインすることができる。クロ ーン化BRCA1配列の有効性によって、十分な量のBRCA1ポリペプチドを 利用して、x線結晶学のごとき分析実験を行い得る。加えて、本明細書に供する BRCA1蛋白質配列の知見は、x-線結晶学の代わりに、またはそれに加えて 、コンピュータモデリング技術を利用するものに導くであろう。使用方法:遺伝子療法 本発明により、野生型BRCA1機能を突然変異BRCA対立遺伝子を運ぶ細 胞に供する方法が提供される。かかる機能の提供は、受容細胞の新生生物増殖を 抑制するにちがいない。野生型BRCA1遺伝子またはその遺伝子の一部分は、 遺伝子が染色体外に残るようベクターで細胞に導入し得る。かかる状態において は、遺伝子は、染色体外位置から細胞によって発現されるであろう。遺伝子フラ グメントを突然変異BRCA1対立遺伝子を運ぶ細胞に導入し発現させた場合、 該遺伝子フラグメントは、細胞の非-新生生物増殖に要するBRCA1蛋白質の 一部分をコードしているにちがいない。 より好ましくは、野生型BRCA1遺伝子またはその一部分を、細胞に存在す る内因性突然変異BRCA1遺伝子とそれが組換わるように、突然変異細胞に導 入する状況である。かかる組換えには、二重組換え事象が必要であり、これはB RCA1遺伝子突然変異の訂正を生じる。組換えおよび染色体外維持の両方の遺 伝子を導入するベクターは当該分野で公知であり、いずれかの適当なベクターを 用い得る。エレクトロポレーション、リン酸カルシウム共沈およびウイルス形質 導入のごとき細胞にDNAを導入する方法は当該分野で公知であり、方法の選択 は日常従事者の能力の範囲内にある。野生型BRCA1遺伝子で形質転換した細 胞をモデル系として使用し、癌の緩解およびかかる緩解を促進する薬剤処理を研 究し得る。 一般的に前に論じたごとく、BRCA1遺伝子またはフラグメントは、適用し 得る場合には、癌細胞中のかかる遺伝子の発現産物の量を増加させるために、遺 伝子療法に用いることができる。かかる遺伝子療法は、癌性および前-癌性細胞 の両方における使用に特に適しており、この療法においては、正常細胞に比して 、BRCA1ポリペプチドのレベルがなくなるかまたは減じられる。また、「正 常」レベルで突然変異遺伝子が発現しているが、該遺伝子産物は完全に機能的で ない腫瘍細胞中でさえ、所与のBRCA1遺伝子の発現レベルを増加させるにも 有用となり得る。 遺伝子療法は、(例えば、Friedman,1991によって記載されたごとき)一般的 に許容された方法によって行われるであろう。患者の腫瘍からの細胞は、まず、 前記した診断方法によって分析して、腫瘍細胞におけるBRCA1ポリペプチド の産生を確認するであろう。発現制御因子につなげたBRCA1遺伝子のコピー を含み、腫瘍細胞の内側で複製能力を有するウイルスまたはプラスミドベクター (以下のさらなる詳細参照)を調製する。米国特許第5,252,479号およびPCT国 際公開WO93/07282号に開示のごとき、適当なベクターは公知である。ついで、 腫瘍部位に局所的にか、または(他のサイトに転移し得るいずれかの腫瘍細胞に 達するために)全身的にかのいずれかでベクターを患者に注射する。トランスフ ェクト遺伝子が各標的化腫瘍細胞のゲノムに恒久的に取り込まれた場合、該処理 を定期的に反復し得る。 当該分野で公知である遺伝子移入系は、本発明の遺伝子療法の実施に有用とな り得る。これらには、ウイルスおよび非ウイルス移入法が含まれる。SV40( Madzakら,1992)、アデノウイルス(Berkner,1992;Berknerら,1988;Gorzi gliaおよびKapikian,1992;Quantinら,1992;Rosenfeldら,1992;Wilkin sonら,1992;Stratford-Perricaudetら,1990)、ワクシニアウイルス(Moss ,1992)、アデノ関連ウイルス(Muzyczka,1992;Ohiら,1992)を含むパポーバ ウイルス科、HSVおよびEBV(Margolskee,1992;Johnsonら,1992;Fin kら,1992;BreakfieldおよびGeller,1987;Freeseら,1990)を含むヘルペ スウイルス科、ならびにニワトリ(BrandyopadhyayおよびTemin,1984;Petro poulosら,1992)、ネズミ(Miller,1992;Milerら,1985;Sorgeら,1984; MannおよびBaltimore,1985;Millerら,1988)およびヒト起源(Shimadaら, 1991;Helsethら,1990;Pageら,1990;BuchschacherおよびPanganiban,1 992)のレトロウイルスを包含する、多数のウイルスが遺伝子移入ベクターとして 用いられている。大部分のヒト遺伝子療法プロトコールは、不活化ネズミレトロ ウイルスに基づいている。 当該分野で公知の非ウイルス遺伝子移入法には、リン酸カルシウム共沈(Grah amおよびvan der Eb,1973;Pellicerら,1980)のごとき化学的技術;例えば 、マイクロインジェクション(Andersonら,1980;Godonら,1980;Brinster ら,1981;ConstantiniおよびLacy,1981)のごとき機械的方法;リポソームを 介した膜融合-介在移入(Felgnerら,1987;WangおよびHaung,1989;Kaneda ら,1989;Stewartら,1992;Nabelら,1990;Limら,1992);ならびに直接D NA 取り込みおよび受容体-媒介DNA移入(Wolffら,1990;Wuら,1991;Zenke ら,1990;Wuら,1989b;Wolffら,1991;Wagnerら,1990;Wagnerら,1991 ;Cottenら,1990;Curielら,1991a;Curielら,1991b)が含まれる。ウイル ス-媒介遺伝子移入は、リポソームデリバリーを用いる直接イン・ビボ(in vivo) 遺伝子移入と組み合わせることにより、周囲の非分割細胞にではなく、腫瘍細胞 にウイルスベクターを指向することができる。別法として、レトロウイルスベク ター産生細胞系統を腫瘍に注射し得る(Culverら,1992)。ついで、産生細胞の 注射は、ベクター粒子の連続供給源を提供する。この技術は、手術不可能な脳腫 瘍を有するヒトにおいて使用することが認可されている。 生物および物理学的遺伝子移入法を組み合わせたアプローチにおいては、いず れかのサイズのプラスミドDNAを、アデノウイルス・ヘキソン蛋白質に特異的 なポリリジン-コンジュゲート抗体と組み合わせ、得られたコンプレックスをア デノウイルスベクターに結合する。ついで、三分子コンプレックスを用いて細胞 を感染する。アデノウイルスベクターは、カップル化DNAが損傷される前に、 エンドソームの効率的な結合、内在化および消化を許容する。 リポソーム/DNAコンプレックスは、直接イン・ビボ遺伝子移入を媒介し得 ることが示された。標準的なリポソーム調製物において遺伝子移入プロセスは非 特異的であるが、例えば、直接イン・サイチュ(in situ)投与後に、局在化イン ・ビボ(in vivo)取り込みおよび発現が腫瘍沈着において報告されている(Nabel ,1992)。 DNAを、乳房組織および卵巣組織(例えば、乳房または卵巣の上皮細胞)にD NAを直接標的化する遺伝子移入技術が好ましい。受容体-媒介遺伝子移入は、 例えば、ポリリジンを介して、蛋白質リガンドにDNA(通常、共有的に閉環し たスーパーコイル化プラスミドの形態)をコンジュゲートすることによってなす 。リガンドは、標的細胞/組織型の細胞表面上の対応するリガンド受容体の存在 に基づいて選択する。1つの適当な受容体/リガンド対には、エストロゲン受容 体およびそのリガンド、エストロゲン(およびエストロゲン・アナログ)が含まれ 得る。これらのリガンド-DNAコンジュゲートは、所望により、血液に直接注 射 することができ、受容体結合およびDNA-蛋白質コンプレックスの内在化が起 こる標的組織に指向し得る。DNAの細胞内破壊の問題を克服するため、アデノ ウイルスとの同時感染を関与させて、エンドソーム機能を崩壊し得る。 該療法には、単独または結合して行い得る二工程が含まれる。第一工程におい ては、BRCA1感受性対立遺伝子を運ぶ思春期前女性を、彼女達の乳管上皮前 駆細胞の幾つかまたは全部が機能正常BRCA1対立遺伝子の少なくとも1つの さらなるコピーを受けるように、遺伝子デリバリービヒクルで処理する。この工 程においては、処理した個人は、正常な対立遺伝子が存在することによって感受 性対立遺伝子の作用を押しとどめる程度まで低下した乳癌の危険性を有する。予 防的な療法の第二工程においては、予め処理した若年女性、特に、提起した遺伝 子療法治療を受けた女性をホルモン療法に付して、全期間妊娠の乳房に対する影 響を最小限とする。使用方法:ペプチド療法 BRCA1活性を有するペプチドを、突然変異または欠失したBRCA1対立 遺伝子を運ぶ細胞に提供し得る。BRCA1蛋白質の配列を開示する(配列番号 :2)。蛋白質は、例えば、公知の発現ベクターを用いて、細菌中でcDNA配 列を発現させることによって産生し得る。別法として、BRCA1ポリペプチド は、BRCA1産生-哺乳動物細胞から抽出することもできる。加えて、合成化 学の技術を用いて、BRCA1蛋白質を合成することもできる。いずれのかかる 技術も、BRCA1蛋白質を含む本発明の調製物を提供し得る。該調製物は、実 質的に他のヒト蛋白質を含んでいない。このことは、微生物またはイン・ビトロ (in vitro)の合成によって最も容易になされる。 活性BRCA1分子は、マイクロインジェクションによってか、または例えば 、リポソームを使用することによって細胞に導入し得る。別法として、能動的ま たは拡散によって、ある種の活性分子が細胞によって取り込まれ得る。BRCA 1遺伝子産物の細胞外適用は、腫瘍増殖に十分に影響し得る。BRCA1活性を 有する分子の適用は、新生生物状態の部分的逆転に通じるにちがいばい。BRC A 1活性を有する他の分子(例えば、ペプチド、薬剤または有機化合物)を用いても かかる逆転に影響し得る。実質的に同様の機能を有する修飾ペプチドも、ペプチ ド療法に用いられる。使用方法:形質転換宿主 同様にして、突然変異BRCA1対立遺伝子を運ぶ細胞および動物をモデル系 として用いて、治療剤としての潜在性を有する物質について実験および試験し得 る。細胞は、典型的には、培養上皮細胞である。これらは、体細胞または生殖系 列のいずれかのBRCA1突然変異を有する個人から単離し得る。別法として、 該細胞系統を設計して、前記したごとく、BRCA1対立遺伝子中に突然変異を 運ばせ得る。試験物質を該細胞に適用した後、該細胞の新生生物的に形質転換し た表現型を測定する。アンカレッジ・インディペンデント増殖、ヌードマウスに おける腫瘍形成性、細胞の非侵入性、および増殖因子依存性を包含する、新生生 物的に形質転換した細胞のいずれの特色も評価し得る。これらの各特色のアッセ イは、当該分野で知られている。 治療剤を試験する動物は、全体動物の突然変異誘発後または生殖系統細胞また は接合体の処理後に選択し得る。かかる処理には、通常は、第二動物種からの突 然変異BRCA1対立遺伝子の挿入、ならびに、破壊した相同遺伝子の挿入が含 まれる。別法として、動物の内在性BRCA1遺伝子(群)は、挿入または欠失突 然変異または従来技術を用いた他の遺伝的変化によって破壊し得る(Capecchi, 1989;ValanciusおよびSmithies,1991;Hastyら,1991;Shinkaiら,1992 ;Mombaertsら,1992;Philpottら,1992;Snouwaertら,1992;Donehower ら,1992)。試験物質を動物に投与した後に、腫瘍の増殖を評価しなければなら ない。試験物質が腫瘍の増殖を防ぐか、または抑制した場合には、該試験物質は 、本明細書にて同定した癌の治療の候補治療剤である。これらの動物モデルは、 潜在的な治療製品に極めて重要な試験ビヒクルを提供する。 本発明を以下の実施例に参照することにより記載するが、これは説明目的で供 するものであって、いかなる場合においても本発明を限定するものではない。当 該分野でよく知られている標準技術、または以下に特別に記載する技術を利用し た。 実施例1 17q−連鎖乳癌感受性遺伝子座を有するような確認家系および実験家系 広範な癌に罹り易い家系は、多くのケースの乳癌を持つ広範な家系および実 験に利用できる血縁者の大きな一組を供する、はっきりとした集団から確認した 。これらの大家系に存在する非常に多数の減数分裂は、BRCA1遺伝子座が分 離しつつあるの否かを検出する能力を供し、調査すべき小領域内に起こる情報的 組換え体についての機会を減少させた。これは、BRCA1領域への連鎖を確立 する機会を大いに改良し、BRCA1領域の取り扱い易いサイズへの縮小を容易 とし、BRCA1遺伝子座自体の同定を可能とする。 各家系を、すべての利用可能な関連血縁者を通じて、各発端者または癌ケース のすべての情報的一親等血縁者まで拡大した。これらの家系については、さらな る乳癌ケース、および該家系で現れた注目する他の部位(例えば、卵巣)に癌を 持つ個人を、腫瘍登録関連ファイルを通じて捜し当てた。ユタ州癌登録で確認さ れなかった家系で報告されているすべての乳癌を調査した。医学記録または死亡 証明書を、すべての癌の確認のために入手した。DNAを抽出した血液試料を供 することによって、各鍵となる個人およびすべての情報的個人を参加させた。ま た、我々は、故人ケースの遺伝子型がその血縁者の遺伝子型から推定できるよう に、故人ケースの配偶者および血縁者からサンプリングした。 推定できる遺伝子型を持つ3以上の癌ケースを有する10の家系を、増殖性乳 病および乳癌の研究用の関連データベータから元々は確認された29家系の組か らの17qマーカーに対する連鎖実験のために選択した(Skolnickら、1990)。 これらの家系の選択の基準は、乳癌を持つ2人の姉妹または母親および彼女の娘 の存在であった。さらに、1980年以来我々の乳癌連鎖研究の一部として研究 してきた2の家系(K1001、K9018)、乳癌および/または卵巣癌のク ラスターの存在についての関連データベースから確認した6の家系(K2019 、 K2073、K2079、K2080、K2039、K2082)および早期開 始乳癌を持つ自己推定家系(K2035)を含めた。これらの家系を調査し、前 記したように我々の臨床で拡大させた。表1は、引き続いての実施例の主題であ るこれらの19家系の特徴を示す。表1では、各家系につき、我々のデータベー スにおける個人の合計数、タイプ分けした個人の数、および乳房/卵巣癌の診断 時の最小、メジアンおよび最大年齢を報告する。乳癌の診断時のメジアン年齢が 増加する順に家系を分類する。卵巣および乳癌双方と診断された4人の婦人は両 方のカテゴリーに数える。 実施例2 染色体17qに連鎖した家系の選択およびインターバルMfd15−Mfd1 88へのBRCA1の位置決め これらの19の家系で収集した各試料につき、標準的な実験プロトコルを用い て、血液(2のケースでは、パラフィン包埋組織ブロック)からDNAを抽出し た。この実験における遺伝子型決定は、短い縦列反復(STR)マーカーに制限 した。というのは、一般に、これらは高ヘテロ接合性を有し、PCR法は非常に 少量のDNAを使用しつつ、迅速な回転を供するからである。この努力を助力す るために、CA陽性クローン用の染色体特異的コスミドライブラリーをスクリー ニングすることによって、染色体17上の4つのかかるSTRマーカーを開発し た。これらのマーカーのうち3つが長腕:(46E6.Eastonら、1993);(42D 6、Eastonら、1993);26C2(D17S514、Oliphantら、1991)に位置決 定され、他方、外のもの12G6(D17S513、Oliphantら、1991)は、p5 3腫瘍サプレッサー遺伝子座近くの短腕に位置決定された。これらのうち2つの 42D6および46E6を、全世界の研究者による乳癌家族のタイプ分けのため にBreast Cancer Linkage Consortiumに提出した。我々の研究所で開発したので はないマーカーについてのオリゴヌクレオチド配列は、発表された報告から、あ るいはBreast Cancer Linkage Consortiumの一部として、あるいは他の研究者か ら入手した。 すべての遺伝子型決定フィルムは、対立遺伝子の一貫したコード付けを維持す るのに使用される標準的なレーンマーカーで、盲検によりスコアを取った。ここ に示す4つの家系における鍵となる試料は、すべての関連マーカーにつき二連で タイプ分けした。すべての19の家系は、2の多形CA反復マーカー:42D6 (D17S588)、我々の研究所で単離されたCA反復、およびMdf15( D17S250)、J.Weber(Weberら、1990)によって供されたCA反復につき 、タイプ分けをした。いくつかの入手源からのプローブを用いて、染色体17上 、特に染色体17コスミド上に遺伝マーカーを創製し、Los Alamos National La boratories(van Dillaら、1986)による分類された染色体からラムダファージラ イ ブラリーを作製した。 これらの2つのマーカー(42D6、Mfd15)およびこれらの2のマーカ ーの間に概略位置決定された第3のマーカーMfd188(D17S579、Ha llら、1992)を持つ各家系についてのLODスコアは、組換え分率の2つの値0 .001および0.1につき計算した。(LODスコアの計算については、Oh,198 5参照)。尤度は、Clausら,1991によって導かれたモデルで計算したが、これは 、0.003の見積もった遺伝子頻度、約0.80の遺伝子キャリアにおける一生 の危険、および非遺伝子キャリアにおける乳癌についての集団ベースの年齢特異 的危険を推定するものである。LODスコア計算で用いる3つのマーカーについ ての対立遺伝子頻度は、CEPHパネル(WhiteおよびLalouel、1988)における非 血縁個人の我々自身の研究所でのタイプ分けから計算した。表2は、3つのマー カー42D6、Mfd188、およびMfd15を持つ各家系の対での連鎖分析 の結果を示す。 CASHモデル(Clausら、1991)下、少なくとも1つの遺伝子座につきLODス コア>1.0の17qの連鎖についての基準を用いると、19の家系のうち4つ が17qに連鎖しているようであった(K1901、K1925、K2035、 K2082)。多数のさらなる家系は、いくらかの連鎖の証拠を示したが、この 時点では連鎖カテゴリーに明確に帰属させることはできなかった。これらは、家 系K1911、K2073、K2039およびK2080を含むものであった。 17q−連鎖家系のうち3つはこの領域で情報的組換え体を有し、これらを後記 にて詳述する。 家系2082は、いくつかのグループによって現在報告されている最大の17 q連鎖乳癌家族である。該家系は20ケースの乳癌、および10ケースの卵巣癌 を持つ。2のケースは、卵巣癌および乳癌を持つ。この家族について17qへの 連鎖の証拠は圧倒的である:散在的であるような乳癌の3ケースの存在に拘わら ず、連鎖したハプロタイプを持つLODスコアは6.0を超える。すなわち、こ れらのケースは、Mfd15および42D6の間に連鎖したハプロタイプの一部 を共には有しない。これらの3つの散在ケースは、年齢46、47および54歳 にて乳癌を持つと診断された。より小さい家系では、このタイプの散在的癌は、 連鎖の分析および鍵となる組換え体の正しい同定を大いに混乱させる。2082 家系における鍵となる組換え体は、その母親および伯母が各々58歳および66 歳の年齢で卵巣癌となった45歳で卵巣癌を発病した婦人である。彼女は、Mf d15における非連鎖対立遺伝子を受け継ぎつつ、Mfd188および42D6 双方についてのハプロタイプの連鎖した一部を受け継いだ;この組換え事象によ り、はBRCA1はMfd15に対して末端側に位置決定された。 K1901は、早期開始乳癌家系の典型的なものである。該家系は10ケース の乳癌を持ち、43.5齢のメジアン断時年齢を持つ;4ケースは40歳前に診 断された。マーカー42D6でのこの家系についてのLODスコアは1.5であ り、その結果、0.96の17q−連鎖の事後確率である。この家系でハプロタ イプを調査すると、真性な男性キャリアおよび45歳で乳癌を持つと診断された 彼の罹患娘において組換えハプロタイプが同定された。マーカーMfd15につ いてのそれらの連鎖対立遺伝子は、(彼女の子供から完全には推定できなかった 1のケースを除き)該家系におけるすべての他のケースで見いだされるものとは 異なる。2つのハプロタイプはMfd188および42D6につき同一である。 従って、家系1901からのデータによってもBRCA1遺伝子座はMfd15 に対して末端側に位置決定される。 家系2035は、病気の表現型において、K1901と同様である。この家系 における乳癌の8ケースについてのメジアン診断年齢は37歳である。1のケー スは60歳で卵巣癌も有していた。この家族における乳癌ケースは、共に80歳 代におけるその死亡まで共に乳癌に罹らなかった2人の姉妹から受け継いだもの にある。各分家は4ケースの乳癌を持ち、顕著な早期開始を有する各分家には少 なくとも1のケースがあった。この家系はMfd15につき2.34のLODス コアを有する。2の分家において乳癌を分離しているハプロタイプはMfd15 において同一の対立遺伝子を共に有するが、末端側遺伝子座Mfd188および NM23(42D6に対して丁度末端側に位置する集団(consortium)の一部と してタイプ分けされたマーカー)については異なる。2のハプロタイプはマーカ ー42D6については一致するにも拘わらず、対立遺伝子は、血統によって同一 (共通の先祖に由来する)というよりも、状態によって同一に共有されたもので ある(同一の対立遺伝子であるが、異なる先祖に由来する)。というのは、共有 された対立遺伝子はこの遺伝子座で観察された第2の最も普通の対立遺伝子だか らである。対照的に、Mfd15で共有された連鎖対立遺伝子は0.04の頻度 を有する。これは、我々のデータベースでは鍵となる組換え体である。というの は、それは、BRCA1がハプロタイプの基部側で分離する唯一の組換えであり 、かくして、BRCA1領域と境界を接する末端を供するからである。この事象 については、鍵となる組換えではないことには、家系の両分家において乳癌につ き分離する稀なMfd15対立遺伝子も共に有する家系に嫁いだ妻に第2の突然 変異体BRCA1遺伝子が存在することを要する。この事象は1000分の1未 満の確率を有する。従って、この家系からの証拠により、Mfd188に対して BRCA1遺伝子座は基部側に位置決定された。 実施例3 微細構造地図の作成およびさらなるSTR多形を用いるMfd191−Mfd 188に対するおよびBRCA1領域の精密決定 我々の組換え体の特徴付けを改良し、フランキングマーカーを明確とするため には、染色体17q上のこの比較的小さな領域の密な地図が必要であった。染色 体17の研究により、遺伝的および物理的マッピング実験(Fain,1992)の組合せ に基づき、この領域のコンセンサス地図を作成した(図1)。この地図は、高度 に多形のSTR多形、および多数の多形的発現遺伝子を共に含有する。この地図 はこの順序についての証拠につき詳細を与えず、また隣接遺伝子座の順序におけ る逆転についての局所的支持のいずれの測定も与えなかったので、我々は、それ を、新しいマーカーの開発で使用すべき源およびBRCA1を含有する小領域の 我々の詳細な遺伝地図および物理的地図の作成を得るための粗いガイドとして総 括した。我々のアプローチは、他の研究者によって提供された現行STRマーカ ー、およびCEPH関連家族からのDNAを用いて同定された減数分裂の(遺伝 的)分裂中止点のパネルおよびこの領域につき構築された体細胞細胞ハイブリッ ド(物理的分裂中止点)のパネル双方に関し我々の研究所から新しく開発された すべてのマーカーを分析することであった。これらのマーカーは、Mfd15、 Mfd191(James Weberによって提供)、THRA1(Futrealら、1992a)、お よびDonald Black博士によって提供された3つの多形、NM23(Hallら、1992) 、SCG40(D17S181)、および6C1(D17S293)に対して基 部側にマップされる、我々の研究所で開発された26C2を含むものであった。 マーカーの遺伝子位置決定 注目する領域内の新しいマーカーを遺伝子的に位置決定するために、我々は、 CEPH文献パネルにおける、および我々の大きい乳癌家系(K2082)にお ける、領域内の多数の鍵となる減数分裂分裂中止点を同定した。もしこの領域に おいて小さな遺伝子距離があれば、それらは、この目的で使用できる比較的小さ い組の組換え体であるに過ぎないらしく、また、それらは、組にグループ分けで きるマーカーのようである。各組内におけるマーカーの順序は物理的マッピング によってのみ決定できる。しかしながら、新しいマーカーを位置決定するのに必 要な遺伝子型決定の数は最小化される。これらの分裂中止点は表3および4に示 す。このアプローチを用い、我々は、マーカーTHRA1、6C1、SCG40 およびMfd191を遺伝子的に順序付けることができた。表3および4から分 かるように、THRA1およびMfd191は共に、BRCA1遺伝子座を含有 すると我々が従前に確認したMfd15−Mfd188領域の内側をマップする 。表3および4において、M/Pは、母親または親の組換え体を示す。「1」は 、遺伝された対立遺伝子は祖父起源であって、他方、「0」は祖母起源であり、 「−」は該遺伝子座がタイプ分けされていないかまたは非情報的であることを示 す。 我々の組換え体家族におけるマーカーMfd15、Mfd188、Mfd19 1およびTHRA1の分析 Mfd15、Mfd188、Mfd191およびTHRA1を我々の組換え体 家族においてタイプ分けし、BRCA1遺伝子座を位置決定するためのさらなる 情報につき調べた。家系1901において、Mfd15組換え体はTHRA1に ついての組換え体であるが、Mfd191については非情報的であり、かくして 、BRCA1をTHRA1に対して末端側に位置決定する。K2082において 、Mfd15に関する組換え体はMfd191に関する組換え体でもあり、かく して、BRCA1遺伝子座をMfd191に対して末端側に位置決定する(Goodg arら、1994)。家系K2035におけるTHRA1およびMfd191の調査から は、さらなる位置決定情報は得られなかった。というのは、2の分家は両マーカ ーにつき一致したからである。しかしながら、SCG40および6C1は共にM fd188と同一のパターンを呈し、かくして、この家族におけるMfd188 組換え体によって提供された位置決定情報における我々の信頼性を増大させる。 BRCA1遺伝子座、または少なくともその一部は、従って、基部側のMfd1 91および末端側のMfd188と境界を接するインターバル内にある。 実施例4 注目する領域における遺伝子的および物理的源の開発 Mfd191−Mfd188領域における高度に多形の遺伝子座の数を増加さ せるために、我々は、該領域に物理的にマップされるコスミドおよびYACから 、我々の研究所で多数のSTRマーカーを開発した。これらのマーカーにより我 々は該領域をさらに精密決定できた。 STR、はこれらの遺伝子座を含有し、次いでこれを用いて、コスミドP1ま たはBACにおいてサブクローンを同定するYACを同定するための所望の領域 にあることが知られている遺伝子から同定した。次いで、これらのサブクローン を、(CA)nオリゴヌクレオチド(Pharmacia)を用いてCA縦列反復の存在につ きスクリーニングした。強力なシグナルを持つクローンを優先的に選択した。 というのは、それらは、非常に多数の反復および/または(CA)nパターンに 対するほとんど完全な正確さを有するCA−反復を表すようだからである。これ らの特徴は、共に、多形の確率を高めることが知られている(Weber,1990)。 これらのクローンをベクターから直接的に配列決定して、該反復の位置を決定し た。我々は、(GT)10TのごときCA−反復の末端に相補的な可能なプライマ ーの組のうち1つを用いることによって、CA−反復の一方側のユニークな配列 を得た。このユニーク配列に基づき、プライマーを、他の方向において反復を逆 に横切る配列を作成し、CA−反復に隣接する第2のプライマーの設計用のユニ ーク配列を得た。次いで、STRを、無関係個人の小群についての多形につきス クリーニングし、ハイブリッドパネルに対してテストして、それの物理的位置を 確認した。これらの基準を満たす新しいマーカーを、ユタ州およびCEPH家族 からの40の無関係個人の組においてタイプ分けして、実験集団に適する対立遺 伝子頻度を得た。本研究で報告する他のマーカーの多くを、CEPH無関係個人 の小群でテストして、同様に適する対立遺伝子頻度を得た。 前記手法を用い、合計8の多形STRがこれらのYACSから見い出された。 このようにして同一の遺伝子座のうち、4つが、共に多形であってBRCA1領 域に対して位置決定された。4つのマーカーは染色体17に位置決定されず、使 用したYACのキメラ的性質を反映する。該領域にあった4つのマーカーをAA 1、ED2、4−7およびYM29と命名した。AA1およびED2はRNU2 遺伝子につき陽性のYACから開発し、4−7はEPB3 YACから、YM2 9はハイブリッドパネルによって該領域に位置決定されたコスミドから開発した 。乳癌家系で分析した対立遺伝子の数、ヘテロ接合性およびこれらの4つのおよ びすべての他のSTR多形の源の記載を表5に後記する。 物理的に該領域にマップされた4つのSTR多形(4−7、ED2、AA1、 YM29)を減数分裂で分析し、分裂中止点パネルを表3および4に示した。表 6および7は、これらの4つのマーカーの位置決定についての関連するCEPH データおよび家系2082データを含む。表において、M/Pは母系または父系 組換え体を示す。「1」は、引き継がれた対立遺伝子が祖父系起源のものである ことを示し、他方、「0」は祖母系起源を示し、「−」は該遺伝子座がタイプ分 けされていないか、または非情報的であることを示す。 CEPH1333−04から、我々は、AA1およびYM29がMfd191 に対して末端側に位置するに違いないと見る。13292より、AA1およびE D2は共に4−7、YM29およびMfd188に対して基部側であると推定で きる。K2082で見い出された組換え体はいくつかのさらなる順序付けの情報 を提供する。3つの独立した観察(個人番号22、40および63)には、AA 1、ED2、4−7、およびYM29、およびMf188はMfd191に対し て末端側に位置決定され、他方、ID125により、4−7、YM29、および Mfd188はSGC40に対して基部側に位置決定される。マーカーAA1/ ED2および4−7/YM29/Mfd188の2つのクラスター内における相 対的順序付けについての遺伝的情報は遺伝子組み換え分析からは得られなかった 。インタースティシャル・ヒトDNAの小片が失われているらしい「ホール」を 含有することが知られているハイブリッドに関する遺伝子座の順序付けは疑わし いが、ハイブリッドパターンは4−7がYM29およびMfd188の上方に存 在することを示す。 実施例5 マーカーAA1、4−7、ED2およびYM29での乳癌家系の遺伝的分析 前記にて議論した鍵となる組換え体を含有する3つの家系以外に、家系203 9は、新しく開発されたSTRマーカーの分析を通じて、当該領域に連鎖し、有 用な組換え体を含有することが示された。 表8は、各遺伝子座における特異的マーカー対立遺伝子およびその各頻度によ って家系のハプロタイプ(コドン形で示す)を明らかにする。表8では、対立遺 伝子は頻度が低下する順序でリストし;各遺伝子座についての対立遺伝子1−5 の頻度を表5に示す。HをコードするハプロタイプはBRCA1関連ハプロタイ プであり、Pは部分的Hハプロタイプを示し、Rは観測可能な組換えハプロタイ プを示す。表8で明らかなごとく、すべての家系がすべてのマーカーにつきタイ プ分けされたのではなく、特に家系K2082において、家系のうちすべての個 人が同一組のマーカーにつきタイプ分けされたのではない。1の例外があるが、 罹 患したまたは危険な家系構成員から受け継がれたハプロタイプのみを示し;該家 系と結婚した配偶者からのハプロタイプは記載しない。かくして、与えられた兄 弟姉妹では、ハプロタイプXおよびYの様子は、罹患した/危険な個人からの両 ハプロタイプが観察され、いずれも乳癌関連ハプロタイプではなかった。 家系K1901において、新しいマーカーは乳癌感受性を持つ観察可能な組換 え体を示さず、これは、この家系における組換え事象がTHRA1およびED2 間で最も起こるらしいことを示す。かくして、この家系で4つの新しいマーカー を調べたことに基づいて、新しいBRCA1位置決定情報は得られなかった。家 系2082において、鍵となる組換え体個人はED2、4−7、AA1、および YM29につき連鎖した対立遺伝子を引き継ぎ、これはtdj1474について の組換え体であり、これは、組換え事象がtdj1474およびED2/AA1 の間でこの個人で起こったことを示す。 表8に示す家系K2035、H1、H2およびR2には注目する3つのハプロ タイプがある。H1は4ケースおよび個人17からの1の真性な男性キャリア承 継者に存在し、他方、H2は2ケースおよび個人10の承継者における2の真性 な男性キャリアに存在する。R2はMfd15およびSCG40の間のおよびそ れを含めた遺伝子座につきH2と同一であるが、SCG40と42D6との間で 組換え体を有する。我々は、BRCA1が42D6に対して基部側にあることを 確立したので、このH2/R2差異はさらなる位置決め情報を付加しない。H1 およびR2はMfd15、THRA1、AA1およびED2において同一の対立 遺伝子を共に有するが、ED2に対して末端側と推定される遺伝子座、すなわち 4−7、Mfd188、SCG40および6C1につき異なる。2のハプロタイ プはマーカーYM29(4−7およびMfd188の間に物理的にマップされる マーカー)にて第5番目の対立遺伝子につき一致するにも拘わらず、該対立遺伝 子は血統により同一に保有されているというよりも状態により同一に保有されて いるようである。というのは、この対立遺伝子はこの遺伝子座で最も普通の対立 遺伝子であり、CEPH親における推定頻度は0.42だからである。対照的に 、Mfd15およびED2遺伝子座で共に保有された連鎖対立遺伝子は各々0. 04および0.09の頻度を有する。また、それらは、Mfd191において( 頻度=0.52)、THRA1、およびAA1(頻度=0.28)においてより普 通の対立遺伝子を保有する。これは該組における鍵となる組換え体である。とい うのは、それは乳癌がハプロタイプの基部の部分に関して分離している唯一の組 換 え体であり、かくして、末端側境界を決めるからである。従って、この家系から の証拠により、BRCA1遺伝子座は4−7の基部側に位置決定される。 BRCA1をtdj1474の末端側に位置決めする家系2082における組 換え事象は、直接的に推定できる記載した4つの事象のうちの1つだけである; すなわち、罹患母親の遺伝子型は彼女の配偶者および子孫から推定でき、組換え ハプロタイプは彼女の罹患娘で観察できる。この家族において、BRCA1感受 性対立遺伝子を担う罹患個人に有利な可能性は極めて高い;データの唯一の可能 な解釈は、BRCA1がMfd191の末端側にあるというものであり、あるい は表明された組換え体が44歳の卵巣癌の散在ケースであるというものである。 直接的に観察可能なまたは推定された組換え体というよりも、家系2033の解 釈は、該家系の異なったかつ時々は遠い関連分家で分離する、区別される17q −ハプロタイプの観察に依存する。これらのハプロタイプの一部はいくつかのマ ーカーにつき共通する対立遺伝子を有し、他方、それらは、他のマーカーにおい て、共有された領域にBRCA1遺伝子座を位置決めする。この位置決めの信頼 性は、いくつかの因子;各ハプロタイプを担う個人間の関係、共有された対立遺 伝子の頻度、ハプロタイプがBRCA1遺伝子座に関して分離することが示され た確実性、およびハプロタイプを決定する領域におけるマーカーの密度に依存す る。家系2035の場合では、2つの分家が密接に関係しており、各分家は各ハ プロタイプを担う多数の早期開始ケースを有する。共有された対立遺伝子のうち 2つは共通である(Mfd191、THRA1)一方、Mfd15、AA1、お よびED2における共有された対立遺伝子の推定頻度は各々0.04、0.28お よび0.09である。従って、これらの対立遺伝子は、状態によって同一である (同一対立遺伝子であるが一般的集団に由来)というよりも、血統によって同一 である(共通の先祖に由来)。 実施例6 精密な物理的マッピング研究は、tdj1474およびU5Rが挟み隣接する 領域にBRCA1を位置付ける。 1990年における染色体17qへの最初の位置決定(Hallら、1990)以来、効 果的な位置クローニング戦略の手段を可能として当該遺伝子を単離するのに十分 な位小さな領域にBRCA1遺伝子を位置決めするのに多大の努力がなされてき た。世界的に収集した214家族よりなる共同性Breast Cancer Linkage Consor tiumデータベースにおいて、多点連鎖分析(multipoint Iinkage analysis)(Ea stonら、1993)によって、まずBRCA1遺伝子座がインターバルMfd15(D 17S250)−42D6(D17S588)に位置決定された。引き続いての 精密な位置決めは、特定の家族における個人の組換え事象に基づくものであった 。領域THRA1−D17S183はBowcockら、1993によって明確化され;領 域THRA1−D17S28はSimardら、1993によって明確化された。 我々は、さらに、BRCA1遺伝子座はマーカーMfd191(D17S77 6)に対して末端側に存在しなければならないことを示した(Goldgarら、1994) 。このマーカーはTHRA1およびRARAに対して末端側に存在することが知 られている。BRCA1遺伝子座についての最小の公表されている領域は、かく して、D17S776とD17S78との間にある。この領域は、約150万塩 基のDNAを依然含有し、該領域におけるすべての遺伝子の単離およびテストを 非常に困難な仕事としている。我々は、従って、該領域の物理的な地図を構築し 、該領域に位置する多形STRマーカーの組を単離し、情報的家族の組における これらの新しいマーカーを分析する仕事を行って、取り扱えるインターバルへの BRCA1遺伝子の位置決めの精度を上げた。 4つの家族が、位置クローニング戦略の適用のための十分に小さな領域へのB RCA1の位置決めについての重要な情報的遺伝的証拠を提供する。2つの家族 (K2082、K1901)は、BRCA1についての基部側境界に関するデー タを提供し、他の2つ(K2035、K1813)は末端側境界を定める。これ らの家族を後記にて詳述する。PCRによってアッセイできる合計15の短鎖縦 列反復マーカーを用いて、研究した家族におけるこの位置決定の精度を上げた。 これらのマーカーはDS17S7654、DS17S975、tgj1474お よびtgj1239を含む。これらのマーカー用のプライマー配列は配列番号3 に、DS17S754については配列番号4に、DS17S975については配 列番号5および配列番号6に、tgj1474については配列番号7および配列 番号8に、tgj1239については配列番号9および配列番号10に供する。 家系2082 家系2082は現在までに研究された最大のBRCA1−連鎖乳癌/卵巣癌家 族である。それは、8.6のLODスコアを有し、17q連鎖についての明白な 証拠を提供する。この家族は従前に記載されており、BRCA1をMFD191 (D17S776)の末端側に位置決めする臨界的組換え体を含有することが示 されている。この組換え体は、その母親が63歳で卵巣癌を有した45歳で卵巣 癌と診断された婦人で起こった。罹患した母親は他界し;しかしながら、彼女の 子供から、彼女はMfd15およびMfd188の間の領域において家族の30 の他のケースに存在する連鎖ハプロタイプを有すると推定できた。彼女の罹患し た娘は遺伝子座ED2,4−7およびMfd188において連鎖対立遺伝子を受 け継いだが、Mfd15およびMfd191における非−BRCA1染色体上の 対立遺伝子を受け継いだ。この組換え分裂中止点をさらに位置付けするために、 我々は物理的マッピング源に由来する以下のマーカーにつき、その家族の鍵とな る構成員をテストした:tdj1474、tdj1239、CF4、D17S8 55。マーカーtdj1474およびCF4については、罹患娘は連鎖対立遺伝 子を受け継がなかった。しかしながら、STR遺伝子座tdj1239について は、該母親は情報的であって、彼女の娘はBRCA1関連対立遺伝子を受け継い だと推定できた。D17S855はこの家族では情報的でなかった。この分析に 基づき、順序は17q動原体−Mfd191−17HSD−CF4−tdj14 74−tdj1239−D17S855−ED2−4−7−Mfd188−17 qテロメアである。従って、前記した組換え体はBRCA1をtdj1474に 対して末端側に位置付け、分裂中止点はtdj1475とtdj1239との間 のインターバルに位置付けた。tdj1474に対して末端側に位置付けられる BRCA1のもの以外のこの家族におけるデータについての唯一の別の説明は、 組換え体個人に存在する卵巣癌はBRCA1遺伝子とは独立した理由によって引 き起こされるというものである。50歳前に診断される卵巣癌が稀だとしたら、 この別の解釈は全くありそうにもない。 家系1901 家系1901は、7ケースが50歳前に乳癌と診断され、そのうち4ケースが 40歳前に診断された早期開始乳癌家族である。さらに、50歳および70歳の 間に乳癌と診断された3ケースがあった。乳癌の1ケースは、61歳における卵 巣癌も有していた。この家族は、現在、D17S855につき1.5のLODス コアを有する。この連鎖証拠および少なくとも1つの卵巣眼ケースの存在が与え られれば、この家族は0.99を超えるBRDA1による事後確率を有する。こ の家族では、組換えは、それから他のケースの大部分に遺伝した卵巣癌ケースの 兄弟である個人が該家族における他のケースと共分離するハプロタイプの一部を 共に有するという事実に由来する。しかしながら、彼はこの部分的ハプロタイプ を彼の娘に渡し、彼女は44歳で乳癌を発病した。もしこのケースがBRDA1 遺伝子によるものならば、この兄弟および彼の姉妹の間で共有されたハプロタイ プの一部のみがBRDA1遺伝子を含有できる。この種の情報の解釈の困難性は 、共有されていないマーカー、従って、組換え体を確認することはできるが、一 致するマーカーは、それらが非組換え体であるゆえに、あるいはそれらの親がホ モ接合体であったゆえに共有されているであろうということである。親の遺伝子 型データがなければ、これらの別解釈を区別できない。K1901におけるハプ ロタイプに鑑みると、彼はMfd15(D17S250)、THRA1、CF4 (S17S1320)、およびtdj1474(17S1321)において連鎖 対立遺伝子を共に有していないことが示される。彼はMfd191(D17S7 76)、ED2(S17S1327)、tdj1239(D17S1328)お よびMfd188(D17S579)において連鎖対立遺伝子を共に有している 。Mfd191で共有された対立遺伝子は比較的稀(0.07)であるにも拘わ らず、我々は、該親は、それらがいずれか側の近くに位置付けされるマーカーに て組換 え体であるのでホモ接合体であり、この領域における二重組換え事象は極端にあ りそうにもないと推定する。かくして、この家族における証拠はtdj1474 に対してBRCA1遺伝子座を末端側に位置決定する。しかしながら、この分裂 中止点のより低い限界は親の遺伝子型情報なくしては決定するのが不可能である 。この家族で鍵となる組換え分裂中止点は家系2082における結果を確認させ ることは当惑させるものである。前と同じように、この家族における位置決め情 報は、もし乳癌がBRCA1遺伝子によるものならば意味のあるものにすぎない 。しかしながら、診断における彼女の比較的早期年齢(44)はこれを非常にあ りそうなものとする。というのは、一般的集団では45歳前の乳癌の危険は低い からである(ほぼ1%)。 家系2035 この家族は、臨界的組換え事象についての情報が直接的には観察されないが、 観察から、当該家族の2の分家における早期開始乳癌に関し共分離する2つのハ プロタイプが17qBRCA1領域の基部側部分に位置決めされたマーカーにつ き同一であるが、より末端側の遺伝子座では異なるようであると推定される点で K1901と同様である。これらの2のハプロタイプの各々は早期開始のまたは 両側乳癌の少なくとも4ケースで起こる。この家族におけるED2での総じての LODスコアは2.2であり、該家族に乳癌のケースがあり(これは、80%の BRCA1連鎖の事前確率を示す)、この家族がBRCA1に連鎖しているとい う得られた事後確率は0.998である。ハプロタイプは、マーカーMfd15 、THRA1、Mfd191、ED2、AA1、D17S858およびD17S 902につき同一である。Mfd15およびED2における共通の対立遺伝子は 共にかなり稀であり、これは、このハプロタイプは子孫によって同一に共有され ていることを示す。しかしながら、該ハプロタイプはCA375、4−7、およ びMfd188、ならびにいくつかのより末端側マーカーにつき一致しない。こ れは、BRCA1遺伝子座がマーカーCA375上方に存在するにちがいないこ とを示す。このマーカーはD17S78よりも50kb下方に位置し、従って、 そ れはSimardら(1993)に報告されているように、一義的には、この従 前の低い境界のさらなる確認として働く。 家系1813 家系1813は、その母親が45歳で乳癌と診断され61歳で卵巣癌診断され た40歳前に乳癌と診断された4ケースを持つ小さな家族である。この状況は、 該4ケースは3人の異なる父親を有し、それのうち1人のみが遺伝子型が決定さ れているという事実によって幾分複雑化している。しかしながら、BRCA1領 域における多数の異なるマーカーならびにゲノムにおける他の場所の高度に多形 のマーカーをタイプ分けすることによって、該家族におけるすべての子供の父親 が誰であるかは、かなりの確実性をもって決定された。この家族は、17qマー カーに関し0.60の最大多点LODスコアを生じ、もし少なくとも1ケースの 卵巣癌があれば、その結果、0.93のBRCA1連鎖家族であるという事後確 率となる。この家族は、34歳で乳癌を発病した個人18において直接的に観察 可能な組換え事象を含有する(Simardら,Human Mol.Gene t.2:1193−1199(1993)における図5参照)。関連17q遺伝 子座における罹患母親の遺伝子型は、彼女の遺伝子型、彼女の罹患姉妹の遺伝子 型、および3人の他の非罹患兄弟姉妹の遺伝子型から推定できる。個人18は以 下の遺伝子座:Mfd15、THRA1、D17S800、D17S855、A A1、およびD17S931につきBRCA1連鎖対立遺伝子を受け継ぐ。しか しながら、D17S931の下方のマーカー、すなわち、U5R、vrs31、 D17S858およびD17S579については、彼女は病気を担わない染色体 上に位置する対立遺伝子を受け継いだ。この家族からの証拠は、従って、BRC A1遺伝子座をマーカーUS5に対して基部側に位置付ける。彼女の診断の早期 年齢(34)のため、組換え個人の癌はこの家族における乳癌/卵巣癌の他のケ ースの原因となる遺伝子によるものではないということは極めてありそうにもな く:この家族における不確実性は、この家族における乳癌は第2の、まだマップ されていない、乳癌感受性遺伝子座よりむしろBRCA1によるものであるとい う我々の幾分少ない証拠に由来する。 BRCA1を含有する領域のサイズ 前記で詳述した遺伝データに基くと、BRCA1遺伝子座は、共に我々の研究 所で単離されたマーカーtdj474およびU5R間のインターバルに存在する にちがいない。図2および3に示す物理的地図に基づき、我々はこれらの2つの 遺伝子座の間の物理的距離を見積もろうと試みることができる。それは、この領 域にわたる約80kbの平均インサートサイズの約14 P1クローンとするる 。しかしながら、いくつかの未知の程度のこれらのすべてのP1重複のため、該 物理的領域は80kbの14倍よりも、どもうかなり小さいらしい。該領域をカ バーするクローンの制限地図に基づき、我々はBRCA1を含有する領域のサイ ズはほぼ650bpであると見積もる。 実施例7 Contig領域のゲノム分析によるBRCA1遺伝子座についての候補cD NAクローンの同定 可能な領域の完全なスクリーニング 候補cDNAを同定する最初の方法は、かなり労力が必要だが、公知の技術を 用いた。該方法は、該contigにおけるコスミドならびにP1およびBAC クローンをスクリーニングして推定暗号配列を同定することよりなるものであっ た。次いで、推定暗号配列を含有するクローンをcDNAライブラリーのフィル ター上のプロープとして使用して将来の分析用の候補cDNAクローンを同定し た。該クローンを2つの方法のうちいずれかによって推定暗号配列につきスクリ ーニングした。 ズー(zoo)ブロット 推定暗号配列を同定するための第1の方法は、いくつかの種にわたって進化を 通じて保存された配列についてコスミドおよびP1クローンをスクリーニングす ることによるものであった。この技術を「ズーブロット分析」といい、Mona co,1986によって記載されている。特に、ウシ、ニワトリ、ブタ、マウス およびラットからのDNAを制限酵素EcoRIおよびHinDIIIで消化し た(酵素当たりDNA8μg)。消化したDNAを20ボルトにて16時間0. 7%ゲル上で一晩分離し(14cmゲル)、標準的なサザーンブロット技術を用 いてDNAをナイロン膜に移した。例えば、65℃にて、0.1×SSC、0.5 %SDSおよび0.2M トリス、pH8.0中で30分間処理し、次いで、42 ℃にて、5×SSC、10%PEG8000、20mM NaPO4、pH6.8 、100μg/ml サケ精子DNA、1×Denhardt’s、50%ホル ムアミド、0.1%SDSおよび2μg/ml C0t−1DNA中でブロックし た。 分析すべきコスミドおよびP1クローンを制限酵素で消化して、ヒトDNAを ベクターDNAから遊離させた。該DNAを20ボルトにて16時間14cmの 0.5%アガロースゲル泳動にて一晩分離した。ヒトDNAバンドをゲルから切 り出し、0.5×トリス酢酸緩衝液中、100ボルトにて、ゲルウェッジから少 なくとも2時間で電気溶出させた(Maniatisら,1982)。次いで、 溶出したNot I消化DNA(〜15kbないし25kb)をEcoRI制限 酵素で消化して小さな断片(〜0.5kbないし5.0kb)が得られ、次いで、 これは放射性ヌクレオチドでのDNAの標識の次工程にため容易に溶融した。該 DNA断片を、ヘキサマーランダムプライミング標識方法(Boehringe r−Mannhein,カタログ番号1004760)によって標識した。標識 したDNAをスペルミン沈殿させて(100μl TE、5μl 0.1Mスペ ルミン、および5μl 10mg/mlサケ精子DNA添加)、取り込まれなか った放射性ヌクレオチドを除去した。次いで、標識したDNAを65℃の100 μl TE、0.5M NaClに5分間で再懸濁し、次いで、製造業者の指示 のごとくに(Gibco/BRL、カタログ番号5279SA)、ヒトC0t− 1DNAで2−4時間でブロックした。該C0t−1ブロックトプローブをブロ ッキング溶液中、42℃で、ズーブロットフィルター上でインキュベートした。 該フィルターを室温にて2×SSC、0.1%SDS中で30分間洗浄し、次い で、55℃にて同一緩衝液中で30分間洗浄した。次いで、該フィルターを、− 70 ℃にて、増感剤を含むKodak XAR−5フィルムに1ないし3日間暴露し た。かくして、ズーブロットを当該インサートからのEco−R1断片のプール と、または各断片と個々にハイブリダイズさせた。 HTFアイランド(island)分析 cDNAライブラリーについてのプローブとして使用するためのコスミドを同 定する第2の方法はHTFアイランド分析であった。パルス場地図はHTFアイ ランドを明らかとできるので、これらのHTFアイランド領域にマップされるコ スミドを優先的に分析した。HTFアイランドはDNAのセグメントであって、 これは非常に高頻度の非メチル化CpGジヌクレオチドを含有し(Tonoli oら、1990)、その認識配列がCpGジヌクレオチドを含む酵素の制限部位 のクラスターリングによって明らかにされる。HTF−アイランド分析で有用で あることが知られている酵素はAscI、NotI、BssHII、EagI、 ScaII、NaeI、NarI、SmaIおよびM1uIである(Anand ,1992)。酵素NotI、NruI、EagI、SacIIおよびSalI を用いてパルス場地図を作成し、2つのHTFアイランドが見い出された。これ らのアイランドは当該領域の末端に位置し、1つはGP2B遺伝子座の末端側で あり、他のものは同遺伝子座よりも基部側であり、共にBRCA1領域の外部に ある。これらの2つの位置をカバーするTACに由来するコスミドを分析して、 これらの制限部位、かくしてHTFアイランドを含有するものを同定した。 cDNAスクリーニング HTFアイランドを含有するか、あるいはヒト以外の他の種のDNAに対して ハイブリダイゼーションを示すクローンは暗号配列を含有するようである。これ らのクローンからのヒトDNAを全インサートとしてまたはEcoRI断片とし て単離し、前記したごとくに標識した。標識したDNAを用いて、cDNAフィ ルターが65℃で0.1×SSC、0.1%SDSのよりストリンジェントな洗液 を30分間2回受けた以外は、ズーブロットと同一条件下で種々のcDNAライ ブラリーのフィルターをスクリーニングした。 我々の実験で現在まで使用したcDNAライブラリーのほとんどは(正常乳房 組織、妊娠8カ月で乳房悪性の婦人からの乳房組織からのライブラリー)Clo netech,Inc.から調製した。8カ月妊婦の乳房組織から作成したcD NAライブラリーはラムダgt−10ベクター中にてClonetech(カタ ログ番号HL1037a)から入手でき、これを、C600Hfl細菌宿主細胞 中で増殖させる。正常乳房組織および悪性乳房組織試料を37歳の白人女性から 単離し、1グラムの各組織をmRNAプロセッシングおよびcDNAライブラリ ー構築のためにClonetechに送った。後者の2のライブラリーは、ラン ダムおよびオリゴ−dTプライミング双方を用いて作成し、最終産物のサイズを 選択し、これを次いでラムダZapIIベクターにクローン化し、製造業者によ って記載されているごとくに細菌のXL1−ブルー株で増殖させた。さらなる組 織−特異的cDNAライブラリーは、ヒト胎児脳(Stratagene,カタ ログ番号936206)、ヒト精巣(Clonetech,カタログHL302 4)、ヒト胸腺(Clonetech,カタログHL1127n)、ヒト脳(C lonetech,カタログHL11810)、ヒト胎盤(Clonetech ,カタログ1075b)、およびヒト骨格筋(Clonetech,カタログH L1124b)を含む。 該cDNAライブラリーをNZCYMプレート上でその宿主細胞と共に平板培 養し、フィルターリフトをManiatisら(1982)におけるごとくに各 プレートから二連にて作成する。候補ゲノムクローンからのインサート(ヒト) DNAを精製し、高比活性まで放射能標識した。次いで、放射能DNAを該cD NAフィルターにハイブリダイズさせて、候補コスミドクローン内に位置する遺 伝子に対応するcDNAを同定した。この方法によって同定されたcDNAを拾 い、再度平板培養し、標識クローンインサートまたはそに由来するEcoRI断 片DNAで再度スクリーニングして、それらの陽性状態を確認した。第2ラウン ドのスクリーニング後に陽性であったクローンを次いで増殖させ、サザーンブロ ット分析および配列決定のためにそれらのDNAを精製した。製造業者からのプ ロトコルに記載されてごとくに、ラムダファージベクターからのプラスミドのイ ン・ビボ切出を通じて、クローンをプラスミドとして精製するか、あるいはクロ ーン を制限断片としてラムダファージから単離し、プラスミドベクターにサブクロー ン化した。 サザーンブロット分析を二連で行い、1つは、元のゲノムインサートDNAを プローブとして用いて、cDNAインサーがハイブリダイズする配列を含有する ことを確認した。第2のブロットを最大cDNAインサートからのcDNAイン サートDNAとハイブリダイズさせて、いずれのクローンが同一遺伝子を表すか を確認した。ゲノムクローンとハイブリダイズし、かつユニークであるすべての cDNAを配列決定し、DNA分析を行って、該配列が公知またはユニークな遺 伝子を表すか否かを判断した。ユニークであるらしいすべてのcDNAクローン をさらに候補BRCA1遺伝子座として分析した。具体的には、該クローンをノ ーザーンブロットにハイブリダイズさせて、乳房特異的発現および正常−乳房腫 瘍RNAにおける異なる発現を探す。また、それらをBRCA1領域におけるク ローンについてPCRによって分析してそれらの位置を確認した。遺伝子座の広 がりをマップするために、全長cDNAを単離し、YACならびに元の同一クロ ーンの回りのおよびそれを含むクローンに対するPCRプローブとしてそれらの 配列を使用する。次いで、イントロン−エキソン境界をさらに配列分析により明 確とした。 我々は、当該領域におけるコスミドBACおよびP1クローンからのズーブロ ット陽性EcoRI断片で、正常乳房、妊娠8ケ月の乳房および胎児脳cDNA ライブラリーをスクリーニングした。潜在的BRCA1 cDNAクローンを3 つのライブラリー間で同定した。クローンを拾い、再度平板培養し、元のプロー ブで再度スクリーニングして、それらが陽性であることを確認した。 ハイブリッド−選択cDNAの分析 直接選択から得られたcDNA断片を、プローブDNAに対するサザーンブロ ットハイブリダイゼーションによってチェックして、それらがcontigに由 来することを確認した。このテストをパスしたものをその全体について配列決定 した。次いで、このようにした得られたDNA配列のセットを相互に対してチェ ッ クして、重複する独立したクローンを見いだした。例えば、クローン694−6 5、1240−1および1240−33が独立して得られ、引き続いて、EST :489:1と命名された同一の近接cDNA配列に由来することが示された。 候補クローンの分析 前記からの候補遺伝子の1以上を配列決定し、当該情報を各発現された遺伝子 の同定および分類に使用した。DNA配列を、ヌクレオチド配列比較によって、 およびすべてのフレームにおける翻訳、続いての公知のアミノ酸配列との比較に よって、公知の遺伝子と比較した。これは、局所および遠隔配列データバンク( 例えば、GenBank)双方に対する配列比較のため、クライアント/サーバ ーソフトウェアパッケージ(例えば、BLASTN 1.3.13MP)のGen etic Data Environment(GDE)バージョン2.2ソフ トウェアおよびBasic Local Alignment Search Tool(Blast)シリーズを用い、Sun SPARCワークステーショ ンで作動させて達成された。コスミドおよびP1で同定されたcDNAクローン のクレクションから再度構築した配列が得られた。新しい配列を表すすべて候補 遺伝子をさらに分析して、推定BRCA1遺伝子座につきそれらの候補をテスト した。 突然変異スクリーニング 罹患血統における突然変異をスクリーニングするために、2の異なるアプロー チを行った。まず、BRCA1の感受性対立遺伝子を担うことが知られている家 族構成員から単離したゲノムDNAをPCRによる候補遺伝子配列の増幅用鋳型 として使用した。もしPCRプライマーがイントロン/エキソン境界に隣接しま たはそれと重複すると、増幅した断片はcDNA配列から予測されるものよりも 大きいか、あるいは増幅混合物には存在しないであろう。かかる増幅実験および 設計したプライマーを用いたP1、BACまたはコスミドクローンの配列決定を 組み合わせることによって、イントロン/エキソン構造を確立し、最終的には該 血統からのゲノムDNAのDNA配列を得ることができる。 もし候補遺伝子のイントロン/エキソン構造が複雑であると、かなりより迅速 である第2のアプーチは、血統リンパ球cDNAから増幅した断片の配列決定を 含む。血統血液から抽出したリンパ球mRNAから合成したcDNAを、設計し たプライマーのセットを用いるPCR増幅の基質として用いた。もし候補遺伝子 がリンパ球で有意な程度発現されたならば、かかる実験は通常増幅された断片を 生じ、これはイントロン/エキソン結合の知識なくして直接的に配列決定できる 。 かかる配列決定反応の産物をゲル電気泳動によって分析して、失欠または挿入 のごとき突然変異、あるいはアミノ酸変化または他の有害効果を引き起こす塩基 対置換いずれかを含有する配列における位置を決定した。 乳房で発現されるBRCA1領域内のいずれの配列もBRCA1についての候 補遺伝子であると考えられる。所与の候補遺伝子がBRCA1に対応するという 強力な証拠は、血統家族が候補の欠陥対立遺伝子を含有するという証拠に由来す る。 実施例8 BRCA1の同定 BRCA1の同定 いくつかの戦略を用い、D17S1321およびD17S1324間の17q 21の600kb領域につき、転写体の詳細なマップを開発した。候補を発現す る配列は:1)乳房、胎児脳、またはリンパ球cDNAライブラリーの直接的ス クリーニング、2)乳房、リンパ球または卵巣cDNAのハイブリッド選択、ま たは3)ゲノムDNAのランダム配列決定およびXPOUND(Thomasお よびSkolnick,1994)によるコーディングエキソンの産生、から得 られたDNA配列として定義された。多くの場合におけるこれらの発現された配 列を、いくつかの独立して同定された配列からなるcontigに組み立てた。 候補遺伝子はこれらの候補発現配列のうちの1を超えるものからなってよい。こ の領域内の65の候補発現配列を、ハイブリッド選択によって、cDNAライブ ラリーの直接的スクリーニングによって、およびP1サブクローンのランダム配 列決定によって同定した。転写体サイズ、DNA配列、データベース比較、発現 パターン、ゲノム構造、および最も重要には、17q−連鎖乳房および卵巣癌感 受性を分離する家系からの個人におけるDNA配列分析によって発現配列を特徴 付けた。 発現配列、1141:1(649bp)、694:5(213bp)および7 54:2(1079bp)の3つの独立contigを単離し、結局、BRCA 1の一部を表すことが示された。これらのcontigについてのESTをノー ザン分析用のハイブリダイゼーションプローブとして用いた場合、ほぼ7.8k bの単一転写体が正常乳房mRNAで観察され、これは、それらが単一遺伝子の 異なる部分をコードすることを示唆する。乳房、胎児脳、胸腺、精巣、リンパ球 および胎盤cDNAのスクリーニングおよび乳房mRNAでのPCR実験は、1 141:1、694:5および754:2contigを連鎖させた。胸腺、精 巣および乳房mRNAでの5’RACE実験はcontigを推定5’末端まで 延長し、複合全長配列が得られた。PCRおよびP1の直接配列決定および当該 領域におけるBACを用いて、イントロンの位置を突き止め、スプライスドナー およびアクセプター部位の決定を可能とした。これらの3つの発現配列を単一の 転写転移単位に併合し、これは最終分析でBTCA1であることが判明した。こ の転写単位は600kb領域の中心におけるD17S855に隣接して位置決定 された(図4)。 cDNAクローンから得られた配列、ハイブリッド選択配列、および増幅され たPCR産物の組合せにより、複合全長BTCA1 cDNAの構築が可能とな った(配列番号:1)。BRCA1 cDNAの配列(停止コドンまで)もまた GenBankに寄託し、受託番号U−14680が与えられた。この寄託配列 を参照して一体化させる。3’方向に最も遠くに伸びるcDNAクローンは、ポ リアデニル化シグナルに先行されるポリ(A)トラクトを含有する。cDNAの 概念的翻訳により、Kozakコンセンサス配列(Kozak,1987)に似 た配列に囲まれ隣接された潜在的開始コドンと共に208キロダルトン(アミノ 酸 配列、配列番号2)の単一の長いオープンリーディングフレームが明らかとされ た。Smith−Waterman(SmithおよびWaterman,19 81)およびBLAST(Altschylら、1990)のサーチは、亜鉛− フィンガードメインに対してかなりの相同性を持つアミノ末端に近い配列を同定 した(図5)。この配列は、コンセンサスC3HC4亜鉛−フィンガーモチーフに 存在するシステインおよびヒスチジン残基を含有し、データベースにおける亜鉛 −フィンガー蛋白質に関する多数の他の残基を共に有する。BRCA1遺伝子は ゲノムDNAの100kbを超えて配置された23コーディングエキソンからな る(図6)。BRCA1 cDNAの断片をプローブとして用いるノーザンブロ ットは、最も豊富には乳房、胸腺および精巣に存在し、また卵巣にも存在する約 7.8kbの単一転写体を同定した(図7)。4つの別にスプライスされた産物 が独立したcDNAクローンで検出され;これらのうちの3つが乳房、2つが卵 巣mRNAで観察された(図6)。組織cDNAからのPCR概観により、この 遺伝子からの転写体の5’末端近くにかなりのヘテロ接合性があるという考えが さらに支持され;該ヘテロ結合性についての分子的ベースは、最初のスプライス ドナー部位の異なる選択を含み、検出された変化はすべて同定された開始コドン よりも5’側の領域における転写体を改変する。我々は、この5’非翻訳領域で 6つの潜在的別のスプライスドナーを検出し、最長の失欠は1,155bpであ る。乳房および卵巣におけるBRCA1蛋白質の支配的形態はエキソン4を欠く 。BRCA1エキソン4のヌクレオチド配列を配列番号11に示し、予測される アミノ酸配列を配列番号12に示す。 BRCA1ゲノムDNAのさらなる5’配列を配列番号13に示す。1位のG は精巣における潜在的開始部位を表す。140位のAは体細胞組織における潜在 的開始部位を表す。図8に示す5’配列の6つの別のスプライス形態がある。3 56位のGは公認された最初のスプライスドナー部位を表す。444位のGは2 のクローンにおける最初のスプライスドナー部位を表す(精巣1および精巣2) 。889位におけるGは胸腺3における最初のスプライスドナー部位を表す。第 4のスプライスドナー部位は1230位におけるGである。1513位における T は前記スプライスドナーのすべてについてのスプライスアクセプター部位を表す 。第5の別のスプライス形態は591位における最初のアクセプター部位と共に 349位における最初のスプライスドナー部位ならぴに889位における第2の スプライスドナー部位および1513位における第2のアクセプター部位を有す る。6つの別の形態がこの5’領域においてスプライスされない。1532位に おけるAは公認された開始部位であり、これは配列番号1の120位に出現する 。BRCA1について決定された部分的ゲノムDNA配列は図10A−10Hお よび配列番号14−34に示す。下方のケース文字(図10A−10H)はイン トロン配列を表し、他方、上方のケース文字はエキソン配列を表す。図10A− 10Hにおいてイントロン内の不明確なインターバルはvvvvvvvvで示す 。イントロン/エキソン結合は表9に示す。エキソン8および14の5’末端で 見い出されたCAGはいくつかのcDNAで見い出されたが、他のものでは見い 出されなかった。公知の多形部位は、図10A−10Hにおいて肉太活字で示し 、下線を施す。 発散した系統発生的バックグラウンドの生物からのゲノムDNAを亜鉛−フィ ンガー領域を欠くBRCA1配列でプローブする低ストリンジェンシィブロット により、ヒト、サル、ヒツジおよびブタで強力にハイブリダイズする断片が明ら かにされ、齧歯類では非常に弱いハイブリダイゼーションシグナルが明らかとさ れた。この結果は、亜鉛−フィンガードメトンは別として、BRCA1は進化を 通じて中レベルにてのみ保存されていることを示す。 17q−連鎖家系における生殖細胞系BRCA1の突然変異 BRCA1候補遺伝子についての最も厳格なテストは、乳癌および卵巣癌に対 する17q−連鎖感受性を分離する家系からのキャリア個人における潜在的に破 壊的な突然変異について調べることである。かかる個人は野生型配列とは異なる BRCA1対立遺伝子を含有しなければならない。この分析で使用したDNA試 料の組は8の異なるBRCA1家系を表す個人からのDNAよりなるものであっ た(表10)。 これらの家系における可能性(LOD)スコアの対数値は17q21における マーカーの組につき9.49ないし−0.44の範囲である。4の家族は連鎖につ き納得のいくLODスコアを有し、4は低い正または負のLODスコアを有する 。後者の家系は含めた。何故ならば、それらは少なくとも3人の罹患構成員につ き染色体17q21にて共有するハプロタイプを示すからである。さらに、該組 に おけるすべての家系は乳癌開始の早期年齢を示し、家系の4つは卵巣癌の少なく とも1ケースを含み、両者はBRCA1家系の特徴である。1の家系2082は ほとんど同等の乳癌および卵巣癌の度合いを有し、これは集団における卵巣癌が 相対的に稀であることを仮定すれば異常な出現である。2つを除きすべての家系 はユタ州で確認された。K2035は中西部からのものである。K2099は南 米からのアフリカン−アメリカン−家系である。 BRCA1における病気素因たる突然変異についての最初のスクリーニングに おいて、各家系における病気素因たるハプロタイプを担う1の個人からのDNA をテストした。23のコーディングエキソンおよび関連スプライス結合をゲノム DNA試料から、またはリンパ球mRNAから調製したcDNAから増幅した。 増幅したDNA配列をDNA配列を野生型配列と比較すると、8の家系試料のう ち4つが配列変異体を含有することが判明した(表11)。 すべての4つの配列変異体はヘテロ接合であり、各々は家系のうち1つでのみ 出現する。家系2082はエキソン11にナンセンス突然変異を含有する(図9 A)。家系1910はエキソン20に単一のヌクレオチド挿入を含有する(図9 B)。家系2099はエキソン21にミスセンス突然変異を含有し、その結果、 Met→Arg置換となる。フレームシフトおよびナンセンス突然変異はBRC A1産物の機能にとって破壊的となるようである。家系1910におけるフレー ムシフト対立遺伝子によってコードされたペプチドは、野生型C−末端から10 8残基で始まる改変されたアミノ酸配列を含有する。家系1901におけるフレ ームシフト対立遺伝子によってコードされたペプチドは、野生型N−末端から2 4番目の残基で始まるアミノ酸配列を含有する。家系2082における突然変異 対立遺伝子はC−末端から551残基失う蛋白質をコードする。家系2099で 観察されたミスセンス置換は、それが小さな疎水性アミノ酸(Met)を大きな 荷電残基(Arg)によって置き換えるので、潜在的に破壊的である。また、1 1の共通の多形も同定され、これは暗号配列に8つ、およびイントロンに3つで ある。 家系2035で研究した個人は明らかにBRCA1で調節突然変異を含有する 。彼女のcDNAでは、多形部位(塩基3667においてA→G)はヘテロ接合 を出現し、他方、彼女のゲノムDNAはこの部位においてヘテロ接合性を明らか とした(図9C)。この観察についての可能な説明は、彼女の突然変異したBR CA1対立遺伝子からのmRNAは、その産生または安定性に影響する突然変異 のため存在しないということである。この可能性をさらにBRCA1暗号領域に おける5つの多形部位を調べることによって調べ、これはBRCA1転写体にお ける3.5kbもの多くによって分離されている。彼女のゲノムDNAが多形に つきヘテロ接合性を表す場合において、cDNAはヘテロ接合性である。他の家 系からのおよび家系2035における非ハプロタイプキャリアにえける個人にお いて、これらの多形部位はcDNAにおけるヘテロ接合性として観察され、これ は、cDNAからの増幅が1の対立遺伝子に有利に片寄らなかったことを示す。 この分析は、家系2035におけるBRCA1突然変異は転写を妨げ、またはB RCA1転写体の不安定性または異常なスプライシングを引き起こすことを示す 。BRCA1ハプロタイプを持つBRCA1突然変異の共分離および集団頻度分析 蛋白質機能を潜在的に破壊する以外、2つの基準が候補病気素因突然変異とし ての資格を有する配列変異体で満たされなければならない。変異体は、1)病気 素因BRCA1ハプロタイプを担う家系からの個人において存在し、家系の他の 構成員では存在せず、2)一般的集団では稀であるということに合致しなければ ならない。 各突然変異をBRCA1に関する共分離につきテストした。家系1910にお けるフレームシフト突然変異については、2の他のハプロタイプキャリアおよび 1の非−キャリアを配列決定した(図9B)。キャリアのみがフレームシフト突 然変異を呈した。家系2082におけるCからTへの変化は新しいAvrII制 限部位を創製した。家系における他のキャリアおよび非−キャリアを制限部位の 存在についてテストした(図9A)。対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(A SO)を、家系2099における配列変異体の存在を検出するために設計した。 該家系からのいくつかの個人、病気素因対立遺伝子に関連するハプロタイプを担 うことが知られているいくらか、および関連ハプロタイプを担わないことが知ら れている他のものを、該家系で従前に検出されている突然変異につき、ASOに よってスクリーニングした。各家系において、対応する突然変異対立遺伝子がB RCA1−関連ハプロタイプを担う個人で検出され、非キャリアでは検出されな かった。家系2035からの個人で観察された潜在的調節突然変異の場合におい て、該家系におけるキャリアからのcDNAおよびゲノムDNAを、多形部位に おけるヘテロ接合性につき比較した。いずれの場合においても、cDNA試料に おける区別された対立遺伝子は、BRCA1病気素因対立遺伝子を担う染色体上 に存在することが示された(図9C)。 突然変異は集団における単に共通の多形であるという可能性を排除するために 、各突然変異についてのASOを用いて、正常DNA試料の組をスクリーニング した。白人における遺伝子頻度見積もりはユタ州集団からのランダム試料に基づ くものであった。アフリカン−アメリカンにおける遺伝子頻度見積もりは、彼女 の 連鎖研究で用いたアフリカン−アメリカンおよび20人の新しく生まれたユタ州 のアフリカン−アメリカンに由来するM.Peracek−Vanceによって 提供された39試料に基づくものであった。4の潜在的病気素因突然変異のいず れも適当な対照集団で見いだされず、これは、それらが一般的な集団で稀である ことを示す。かくして、BRCA1感受性対立遺伝子についての2の重要な要件 は候補病気素因突然変異によって満たされた:1)病気を持つ突然変異対立遺伝 子の共分離、および2)対照における突然変異対立遺伝子の不存在(これは、一 般的集団における低遺伝子頻度を示す) BRCA1突然変異の表現型発現 BRCA1蛋白質に対する該突然変異の効果はBRCA1家系における観察さ れた表現型発現における差異と相関した。ほとんどのBRCA1家系は、乳癌に ついてのものと比較して(Eastonら、1993)、中程度に増大した卵巣 癌危険を有し、より小さなサブセットは卵巣癌の高い危険を有する。BRCA1 突然変異が検出された4つの家系のうち3つが前者のカテゴリーに入り、他方、 4番目(K2082)が高い卵巣癌危険群に入る。K2082で見い出されたB RCA1ナンセンス突然変異は検出された他の突然変異よりもアミノ末端に近く 位置するので、それは異なる表現型を有すると予測される。事実、家系K208 2突然変異は高い卵巣癌可能性を有し、他の家系よりも乳癌ケースのより遅い平 均診断年齢を有する(Goldgarら、1994)。開始年齢におけるこの差 異は、より小さく、より高度に浸透性の(penetrant)家族における確実性の偏り によりものであるか、またはそれはBRCA1突然変異の挙動における組織−特 異的差異を反映しているものであろう。公知のBRCA1突然変異を分離する他 の3つの家系は、平均して、乳癌毎10ケースにつき1の卵巣癌を有するが、そ の20代後半または30代前半において診断された乳癌ケースの高集団を有する 。フレームシフト突然変異を有する家系1910は注目するに値する。何故なら ば、4人の罹患固人のうち3人が両側乳癌を有し、各ケースにおいて、第2の腫 瘍が最初の出現から1人以内に診断されたからである。潜在的調節BRCA1突 然変 異を分離する家系2035は劇的な表現型を有することが予測されよう。この家 系における乳癌ケースの80%が50歳前に起こる。この数字は当該セットにお けるいずれとも同程度に高く、これは高い浸透性のBRCA1突然変異対立遺伝 子を示唆する(表10)。 前記突然変異は明らかに有害で、非常に若い年齢の婦人において乳癌を引き起 こすが、突然変異を持つ4の家系の各々は、悪性を発病することなく80歳まで 生きた少なくとも1人の突然変異担持婦人を含む。BRCA1突然変異の効果を 軽減し得る他の遺伝的または環境的因子を続いて突き止めるのは、該研究で最高 に重要であろう。 8の推定BRCA1−連鎖家系のうち4つにおいて、潜在的病気素因突然変異 は見いだされなかった。これらの4つのうち3つは0.55未満のBRCA1− 連鎖マーカーについてのLODスコアを有する。かくして、これらの家系は、実 際は、BRCA1病気素因対立遺伝子を分離しないようである。あるいは、これ らの4の家系における突然変異は、例えば、転写体のレベルに影響し、従って、 検出を遠ざけるBRCA1の領域に存在するらしい。 癌におけるBRCA1の役割 現在同定されているほとんどの腫瘍サプレッサー遺伝子は、存在しない、非機 能的または機能が低下した蛋白質産物を生じる。TP53突然変異の大部分はミ スセンスであり;これらのうちいくつかは、野生型産物の機能に干渉する異常p 53分子を生産することが示されている(Shaulianら、1992;Srivastavaら,1993) 。同様の優性な陰性の作用メカニズムが、切形分子を生産するいくつかの腺腫ポ リーブ症コリ(coli)(APC)対立遺伝子につき(Suら、1993)、 および蛋白質のDNA結合を改変するWilmsの腫瘍遺伝子(WT1)におけ る点突然変異につき(Littleら、1993)提案されている。BRCA1 暗号配列で観察された突然変異の性質は優性陰性蛋白質または非機能的蛋白質の 生産に一致する。家系2035で推定された調節突然変異は優性陰性ではありえ ない;むしろ、この突然変異は影響された対立遺伝子からのBRCA1発現の低 下または完全な喪失を引き起こすようである。 BRCA1蛋白質は、多数のDNA結合蛋白質で見い出された、核酸への亜鉛 −依存性結合と深く結び付いたものと類似の、C3HC4亜鉛−フィンガードメイ ンを含有する。BRCA1の最初の180アミノ酸は酸性残基よりも5個多い塩 基性残基を含有する。対照的に、分子の残りは非常に酸性で、70個の酸性残基 が正味に過剰である。過剰の負電荷はC−末端近くに特に集中している。かくし て、1の可能性は、BRCA1がN−末端DNA結合ドメインおよびC−末端ト ランス活性化「酸性ブロブ(blob)」ドメインと共に転写因子をコードする ということである。興味深いことには、もう1つの家族性腫瘍サプレッサー遺伝 子、WT1、も亜鉛−フィンガーモチーフを含有する(Haberら、1990 )。WT1における多くの癌病気素因突然変異は亜鉛−フィンガードメインを改 変する(Littleら、1993;Haberら、1990;Littleら 、1992)。WT1は、転写因子、およびWT1のDNA結合特性を改変する 亜鉛−フィンガードメインの一部をコードするエキソンの別のスプライシングを コードする(Bickmoreら、1992)。WT1 mRNAの別にスプラ イスされたいくつかの形態は転写リプレッサーとして作用する分子を創製する( Drummondら、1994)。いくつかのBRCA1スプライシング変異体 は亜鉛−フィンガーモチーフを改変し、WT1で起こるのに類似の調節メカニズ ムがBRCA1に適用できるという可能性を生じる。 実施例9 BRCA1突然変異についての腫瘍の分析 最もBRCA1突然変異を含有するらしい腫瘍についての分析に焦点を当てる ため、初代乳癌および卵巣癌をBRCA1領域におけるLOHにつきタイプ分け した。3つの高度に多形の単純縦列反復マーカーを用いてLOH:D17S13 23およびD17S855(これは、BRCA1の遺伝子内である)、およびD 17S1327(これは、BRCA1に対してほぼ100kb末端側にある)を アクセスした。情報的ケース(すなわち、生殖細胞系がヘテロ接合性である)に おける合計したLOH頻度は乳癌につき32/72(44%)、卵巣癌につき1 2/21(57%)であり、当該領域におけるLOHの従前の測定に一致する( Futrealら、1992b;Jacobsら、1993;Satoら、19 9O;Ecclesら、1990;Croppら、1994)。かくして、分析 により、混血人種の32の乳房腫瘍および12の卵巣腫瘍のパネルおよびBRC A突然変異につき調べるべき開始年齢が定義された。一本鎖コンフォメーション 分析(SSCA)および直接配列決定の組合せによって、該遺伝子の完全な5, 589bp暗号領域およびイントロン/エキソン境界配列をこの腫瘍セットでス クリーニングした。 合計6の突然変異(そのうち2つが同一)が見い出され、1つが卵巣腫瘍にお けるもの、4つが乳房腫瘍におけるもの、1つが男性の非罹患ハプロタイプキャ リアにおけるものであった(表12)。1の突然変異Glu1541Terは、 323個のアミノ酸を失った切形蛋白質を生じるであろう停止コドンをカルボキ シル末端に導入した。加えて、2のミスセンス突然変異が同定された。これらは Ala1708GluおよびMet1775Argであって、荷電残基による小 さな疎水性残基の置換を含む。患者17764および19964は同一家族から のものである。患者OV24において、ヌクレオチド2575は失欠され、患者 17764および19964においてヌクレオチド2993−2996は失欠さ れている。 いくつかの系の証拠は、すべての5の突然変異はBRCA1感受性対立遺伝子 を表すことを示唆する。 (i)すべての突然変異は生殖細胞系に存在する; (ii)すべては、適当な対照集団に不存在で、それらは共通の多形ではないこ とを示唆する; (iii)BRCA1感受性対立遺伝子を分離する家系に属する患者からの腫瘍 にも当てはまるが(Smithら、1992;Kelsellら、1993)( もし突然変異が中性多形を表すと、それらはケースの50%でのみ保持されるべ きである)、各突然変異対立遺伝子は腫瘍で保有される; (iv)突然変異を持つ4つの乳癌ケースにおける開始年齢は24歳と42歳の 間で変化し、BRCA1を持つ個人における乳癌の早期開始年齢と合致する;同 様に、卵巣癌ケースは44歳で診断され、これはすべての卵巣癌の最も若い13 %に入る;および最後に、 (v)腫瘍の組はこの基準に関して選択されなかったにも拘わらず、5ケース のうち3つは、過去にさかのぼるとそれらの医学記録で見いだされる乳癌および 卵巣癌の陽性家族歴史を有する。 BT106は24歳で乳癌と診断された。彼女の母親は卵巣癌を有し、彼女の 父親は黒色腫を有し、彼女の父方祖母もまた乳癌を有した。患者MC44(アフ リカン−アメリカン)は42歳で両側乳癌を有した。この患者は34歳で乳癌で 死亡した姉妹、リンパ腫で死亡したもう1人の姉妹、および肺癌で死亡した兄弟 を有した。彼女の突然変異(Met1775Arg)は以前家系2099(BR CA1感受性対立遺伝子を分離し、アフリカン−アメリカンおよび白人対照では 不存在であるアフリカン−アメリカン)で検出されている。我々の知識では、患 者MC44は家系2099に関連しない。稀な突然変異対立遺伝子の検出(BR CA1家系で1回および明らかに無関係の早期開始乳癌ケースで1回)は、Me t1775Arg変化はアフリカン−アメリカンで共通の病気素因であろうこと を示唆する。総合すると、これらの観察は腫瘍におけるすべての4つのBRCA 1突然変異は感受性対立遺伝子を表し;体細胞突然変異は分析した試料で検出さ れなかった。 体細胞BRCA1突然変異の数の少なさは、17qについてのLOHの頻度お よび癌進行における腫瘍サプレッサーとしての感受性遺伝子の通常の役割を仮定 すれば、予測されるものではなかった。この結果については3つの可能な説明が ある:(i)我々のスクリーニング手法によると暗号配列においていくつかのB RCA1突然変異が失われていた;(ii)BRCA1体細胞突然変異は主として コーディングエキソンの外側にある;および(iii)17qにおけるLOH事象 はBRCA1体細胞突然変異を反映しない。 もし体細胞BRCA1突然変異が乳癌および卵巣癌で真に稀であれば、これは BRCA1の生物学について強力な密接関係を有するであろう。体細胞BRCA 1突然変異の明らかな欠如は、一般的な集団における腫瘍と比較して、遺伝的に 病気素因のBRCA1キャリアにおる腫瘍の発生においていくつかの基本的差異 があるであろうことを含蓄する。例えば、BRCA1における突然変異は乳癌お よび卵巣発病における特定の早期段階において腫瘍形成に対してのみ効果を有し 得る。この確率は閉経期前乳癌におけるBRCA1についての主要機能と一致す る。乳癌および卵巣癌におけるBRCA1の役割についてのかかるモデルは、生 殖ホルモンとBRCA1機能との間の相互作用を予測させる。しかしながら、家 族性−散発性の乳癌および卵巣癌の臨床的もしくは病理学的差異(開始年齢以外 )は記載されていない(Lynchら、1990)。他方、乳癌の家族履歴を持つ患者から の乳癌における増大したTP53突然変異および微小付随体の不安定性の最近の 知見(Glebovら、1994)は病気素因個人で遺伝的に生気する腫瘍のい くつらかの差異を反映するであろう。今や、この現象におけるBRCA1の関与 は直接的に扱える。あるいは、体細胞BRCA1突然変異の欠如は、BRCA1 と同一の腫瘍抑制経路で機能するが、総合すると散発性腫瘍における突然変異に ついてのより都合よい標的を表す多数の遺伝子の存在に由来するであろう。遺伝 経路における単一要素の突然変異は一般に該経路を破壊するのに十分であるので 、BRCA1は他の要素の突然変異速度の合計よりもかなり低い速度で突然変異 するであろう。 実施例10 BRCA1遺伝子の分析 BRCA1遺伝子の構造および機能は以下の方法によって測定される。 生物学的研究 BRCA1 cDNAを含有する哺乳動物発現ベクターを構築し、該遺伝子中 に損傷を持つ適当な乳癌細胞にトランスフェクトする。野生型BRCA1 cD NAならびに改変したBRCA1 cDNAを用いる。該改変したBRCA1c DNAは改変したBRCA1対立遺伝子から得ることができるか、あるいは後記 するごとくに産生できる。培養における表現型復帰(例えば、細胞形態、倍加時 間、足場依存性増殖)および動物における表現型復帰(例えば、腫瘍形成性)を 調べる。研究では当該遺伝子の野生型および突然変異体形(セクションB)を共 に使用する。 分子遺伝学研究 イン・ビトロ突然変異誘発を行って、(個人コドンにおける単一塩基対置換お よびクラスター電荷→アラニン走査突然変異誘発によって)失欠突然変異体およ びミスセンス突然変異体を構築する。該突然変異体を生物学的、生物化学的およ び生物物理学的研究で用いる。 メカニズム研究 BRCA1蛋白質が公知および未公知DNA配列に結合する能力を調べる。プ ロモーターをトランス活性化するその能力は、哺乳動物細胞における一時的レポ ーター発現系によって分析する。粒子−捕獲および酵母の2−ハイブリッド系の ごとき通常の手法を用いていずれの機能的パートナーも見つけ同定する。該パー トナーの性質および機能を特徴付ける。これらのパートナーは薬物発見用の標的 である。 構造研究 組換え蛋白質をイー・コリ(E.coli)、酵母、昆虫および/または哺乳 動物細胞で産生させ、結晶学およびNMR実験で使用する。蛋白質の分子作成も 使用する。これらの研究は構造から導かれる薬物設計を容易とする。 実施例11 試料中におけるBRCA1の存在を検出するための2工程アッセイ Antonarakisら(1985)によって開示されている方法に従って 患者試料を加工し、1%アガロースゲルを通して分離し、サザーンブロット分析 用にナイロン膜に移す。GS Geneリンカー(Bio−Rad)を用い、膜 を150mJでUV架橋させる。配列番号1のヌクレオチド3631−3930 位に対応するBRCA1プローブをpTZ18Uにサブクローンする。M13K 07ヘルパーファージ(Bio−Rad,Richmond,CA)で感染させ たイー・コリ(E.coli)MV1190にファゲミド(phagemide )を形質転換する。一本鎖DNAを標準的な手法(Sambrookら、198 9参照)により単離する。 0.5M NaPO4中の7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中、65℃ にて、ブロットを14−30分間プレハイブリダイズさせる。該方法はNguy enら、1992に記載されているものに従う。該ブロットを、25−50mg /ml−本鎖プローブDNAを含む7%SDS、0.5M NaPO4中、65 ℃で一晩ハイブリダイズさせる。ポスト−ハイブリダイゼーション洗液は65℃ における5%SDS、40mM NaPO4中の2回の30分間洗液であり、続 いて65℃における2回の30分間の1%SDS、40mM NaPO4洗液よ りなる。 次いで、該ブロットを室温にてリン酸緩衝生理食塩水(pH6.8)で5分間 すすぎ、室温にてPBS中の0.2%カゼインと共に30−60分間インキュベ ートし、PBS中で5分間すすぐ。次いで、該ブロットを、6M尿素、0.3M NaClおよび5×Denhardt’s溶液(Sambrookら、198 9参照)よりなるハイブリダイゼーション緩衝液と共に、45℃にて、震盪する 水浴中で5−10分間プレインキュベートする。緩衝液を除去し、50−75μ l/cm2の新鮮なハイブリダイゼーション緩衝液+共有結合架橋したオリゴヌ クレオチド−アルカリ性フォスファターゼの、ユニバートルプライマー部位(U P−AP、Bio−Rad)と相補的なヌクレオチド配列とのコンジュゲートの 2.5 nMで置き換える。該ブロットを45℃で20−30分間ハイブリダイ ズさせ、ポストハイブリダイゼーション洗液を、45℃にて、2回の6M尿素中 10分間洗液、1×標準クエン加生理食塩水(SSC)、0.1%SDSおよび 1×SSC、0.1%トリトンX−100中の1回洗液としてインキョベートす る。該ブロットを室温で1×SSCと共に10分間すすぐ。 0.1Mジエタノールアミン、1mM MgCl2、0.02%アジ化ナトリウ ム、pH10.0からなる基質緩衝液中で震盪しつつ、ブロットを室温で10分 間インキョベートする。基質緩衝液および0.2mM AMPPD(3−(2’ −スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’−ホスホリルオキシ)フェ ニル−1,2−ジオキセタン、二ナトリウム塩、Bio−Rad)と共に個々の ブロットをヒートシール可能なバッグに入れる。震盪しつつの室温での20分の インキュベーション後、過剰のAMPPD溶液を除去する。該ブロットをX−線 に一晩暴露する。陽性バンドはBRCA1の存在を示す。 実施例12 BRCA1に対するポリクローナル抗体の作製 BRCA1暗号配列のセグメントをイー・コリ中の融合蛋白質として発現させ た。過剰に生産された蛋白質をゲル溶出によって精製し、これを用いて、Har lowおよびLane、1988によって記載されているものと同様の手法を用 い、ウサギおよびマウスを免疫化した。この手法は種々の他の蛋白質に対してA bsを生じることが示されている(例えば、Kraemerら、1993)。 略言すれば、BRCA1暗号配列のストレッチをプラスミドPET5A(No vagen,Inc.,Madison,WI)中の融合蛋白質としてクローン 化した。BRCA1を組み込んだ配列は配列番号2の#1361−1554に対 応するアミノ酸を含む。IPTGでの誘導の後、予測される分子量を持つ融合蛋 白質の過剰生産を、SDS/PAGEによって確認した。融合蛋白質は電気溶出 によってゲルから精製した。BRCA1融合産物としての蛋白質の同定は、N− 末端における蛋白質配列決定によって確認した。次いで、該精製した蛋白質をウ キザにおける免疫原として使用した。ウサギをフロイントの完全なアジュバント 中の100μg蛋白質で免疫化し、3週間隔で2回(最初、フロイントの不完全 アジュバント中の免疫原100μgで、続いてPBS中の免疫原100μg)追 加免疫した。しかる後、血清を含有する抗体を2週間収集する。 この手法を反復して、BRCA1遺伝子の突然変異体形に対する抗体を得る。 野生型BRCA1に対する抗体と組み合わせて、これらの抗体を用いて種々の組 織および生物学的流体中の突然変異体形の存在および相対的レベルを検出する。 実施例13 BRCA1に特異的なモノクローナル抗体の作製 以下のプロトコルに従ってモノクローナル抗体を作製する。よく知られている ごとく、グルタルアルデヒドまたはEDCを用い、キーホールリンペットヘモシ アニンにコンジュゲートした無傷BRCA1またはBRCA1ペプチド(野生型 または突然変異体)からなる免疫原でマウスを免疫化する。 該免疫原をアジュバントと混合する。各マウスに免疫原10ないし100μg の4回の注射を摂取させ、第4回目の注射の後、血液試料をマウスから採取して 、該血清が免疫原に対する抗体を含有するか否かを判断する。血清力価をELI SAまたはRIAによって測定する。免疫原に対する抗体の存在を示す血清を持 つマウスをハイブリドーマ作製のために選択する。 免疫マウスから脾臓を摘出し、単細胞懸濁液を調製する(Harlowおよび Lane、1988参照)。細胞融合は実質的にKohlerおよびMilst ein、1975によって記載されているごとくに行う。略言すれば、Harl oweおよびLane、1988によって記載されているようにポリエチレング リコールを用い、P3.65.3骨髄腫細胞(American Type Cu lture Collection,Rockville,MD)を免疫脾臓細 胞と融合させる。細胞を96ウェル組織培養プレート中、2×105細胞/ウェ ルの密度で平板培養する。個々のウェルを増殖につき調べ、増殖したウェルの上 清を、野生型または突然変異体BRCA1標的蛋白質を用い、ELISAまたは RIAによって、BRCA1特異的抗体の存在につきテストする。陽性ウェル中 の細胞を増殖させ、サブクローンしてモノクローナル抗体を確立し確認する。 所望の特異性を持つクローンを増殖させ、マウスまたは中空繊維中で腹水とし て増殖させて、特徴付けおよびアッセイ開発のために十分量の抗体を得る。 実施例14 BRCA1についてのサンドイッチアッセイ モノクローナル抗体をプレート、チューブ、ビーズ、または粒子のごとき固体 表面に結合させる。好ましくは、抗体を96−ウェルELISAプレートのウェ ル表面に結合させる。BRCA1ペプチド/蛋白質(野生型または突然変異体) を含有する100μl試料(例えば、血清、尿、組織サイトゾル)を固相抗体に 結合させる。試料を室温で2時間インキュベートする。次いで、試料流体をデカ ントし、該固相を緩衝液で洗浄した、未結合物質を除去する。100μlの第2 モノクローナル抗体(BRCA1ペプチド/蛋白質上の異なる抗原決定基に対す るもの)を該固相に添加する。この抗体を検出器分子(例えば、125I、酵素、 蛍光体、または発色団)で標識し、第2抗体と共に固相を室温で2時間インキュ ベートする。第2抗体をデカントし、固相を緩衝液で洗浄して未結合物質を除去 する。 結合した標識の量(これは、試料に存在するBRCA1ペプチド/蛋白質の量 に比例する)を定量する。野生型BRCA1につき特異的なモノクローナル抗体 ならびにBRCA1で同定された突然変異体の各々に特異的なモノクローナル抗 体を用い、別々のアッセイを行う。 産業上の利用性 前記したごとく、本発明は、個人のBRCA1対立遺伝子をテストするのに用 いる物質および方法ならびに該対立遺伝子の正常または病気素因性質の解釈を供 する。正常の危険より高い個人はそのライフスタイルを適当に修飾するであろう 。BRCA1の場合、最も有意な非−遺伝的危険因子は若年の全妊娠期間の保護 効果である。従って、危険な婦人は早くに子供を作ることを考えるか、若年の全 期間妊娠のホルモン効果を刺激するように設計した療法を考えることができよう 。高い危険の婦人もまた早期検出に努力し、乳房の自己診断を学び実践する絶好 の動機付けとなろう。かかる婦人は、一般の集団よりも早い年齢で始めて、規則 的な乳房X線像を取るよう動機付けされるであろう。卵巣スクリーニングも、よ り高い頻度でなされるであろう。BRCA1遺伝子座の配列分析に基づく診断方 法も腫瘍検出および分類に適用できろであろう。配列分析を用いて前駆体病巣を 診断できるであろう。該方法の進歩およびBRCA1および他の原因的遺伝子座 についての情報の蓄積と共に、癌を良性および悪性に分けることが可能となろう 。 乳癌を持つ婦人は、もしそれが病気素因でないというよりも、もしそれが病気 素因であり、従ってさらに癌を有するであろうときは、異なる外科方法に従うで あろう。ペプチドまたは小さい分子(合理的薬剤デザイン)いずれかを用いる他 の療法が開発されるであろう。ペプチドはミッシング遺伝子産物それ自体または ミッシング遺伝子産物の一部であろう。別法として、治療剤は有害な遺伝子機能 を模倣するもう1つの分子、受け継いだ遺伝子座の有害効果を妨げることが求め られるペプチドまたは非ペプチド分子であろう。また、療法は正常なBRCA1 対立遺伝子を個人に導入して、有害対立遺伝子の効果を妨げるであろう蛋白質を 作製することを通じる、遺伝子ベースであり得る。これらの遺伝子療法は多くの 形態を取ることができ、腫瘍が形成されるのを妨げる、一旦生じた癌を治癒する 、または癌が転移するのを停止させることに向けられるであろう。 本発明の方法およぴ組成物は種々の具体例の形態で具体化でき、そのうちの少 しのみを本明細書で開示したことは認識されるであろう。本発明の精神を逸脱す ることなく他の具体例が存在することは当業者に明らかである。かくして、記載 した具体化は例示的であって、制限的なものであると解釈されるべきではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 21/02 C12P 21/02 C 21/08 21/08 C12Q 1/68 C12Q 1/68 A G01N 33/15 G01N 33/15 Z 33/574 33/574 A // A01K 67/027 A01K 67/027 (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (31)優先権主張番号 08/308,104 (32)優先日 1994年9月16日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/348,824 (32)優先日 1994年11月29日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/409,305 (32)優先日 1995年3月24日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/483,554 (32)優先日 1995年6月7日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/487,002 (32)優先日 1995年6月7日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 OA(BF,BJ,CF,CG, CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,T D,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),A M,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CZ ,EE,FI,GE,HU,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SD ,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN (71)出願人 アメリカ合衆国 アメリカ合衆国20852メリーランド州ロッ クビル、エグゼクティブ・ブールバード 6011番 スイート325、オフィス・オブ・ テクノロジー・トランスファー (72)発明者 スコルニック,マーク・エイチ アメリカ合衆国84103ユタ州ソルト・レイ ク・シティ、ノースマウント・ウェイ460 番 (72)発明者 ゴールドガー,デイビッド・イー アメリカ合衆国84117ユタ州ソルト・レイ ク・シティ、イースト・ケリー・レイン 2707番 (72)発明者 三木 義男 アメリカ合衆国84102ユタ州ソルト・レイ ク・シティ、サウス・900・イースト40番 (72)発明者 スウェンソン,ジェフ アメリカ合衆国84117ユタ州ソルト・レイ ク・シティ、ウエスト・クリーク・ベン ド・ナンバー2807、745番 (72)発明者 カム,アレキサンダー アメリカ合衆国84102ユタ州ソルト・レイ ク・シティ、イースト・600・サウス1103 番 (72)発明者 ハーシュマン,キース・ディ アメリカ合衆国84103ユタ州ソルト・レイ ク・シティ、ノース・エフ・ストリート 159番 (72)発明者 シャタック−エイデンズ,ドナ・エム アメリカ合衆国84108ユタ州ソルト・レイ ク・シティ、テキサス・ストリート1874番 (72)発明者 タブティジアン,シィーン・ブイ アメリカ合衆国84103ユタ州ソルト・レイ ク・シティ、イースト・ファースト・アベ ニュー・ナンバー3、557番 (72)発明者 ワイズマン,ロジャー・ダブリュー アメリカ合衆国27713ノースキャロライナ 州ダーラム、ウッドウインズ・ドライブ 515番 (72)発明者 ファトリール,アンドリュー・ピー アメリカ合衆国27701ノースキャロライナ 州ダーラム、イースト・マーカム・アベニ ュー220番 【要約の続き】 れは、乳癌および卵巣癌に対する病気素因を診断するの に有用である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号:2記載のアミノ酸配列を有するBRCA1ポリペプチド、ある いは、機能的に同等か、または乳癌もしくは卵巣癌に対する病気素因に関連する 該ポリペプチドの修飾形態をコードする単離DNA。 2.配列番号:1記載のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする請求項1記 載の単離DNA、または対応するRNA。 3.配列番号:1記載のヌクレオチド配列の対立遺伝子変形を含むDNAであ る請求項1記載の単離DNA、または対応するRNA。 4.乳癌または卵巣癌に対する病気素因に関連した配列番号:1記載のヌクレ オチド配列の突然変異体形を含むDNAである請求項1記載の単離核酸、または 対応するRNA。 5.突然変異が欠失突然変異である請求項4記載の単離核酸。 6.突然変異がナンセンス突然変異である請求項4記載の単離核酸。 7.突然変異が挿入突然変異である請求項4記載の単離核酸。 8.突然変異がミスセンス突然変異である請求項4記載の単離核酸。 9.(a)ヌクレオチド4056位にTを有する配列番号:1; (b)ヌクレオチド5385位に余分のCを有する配列番号:1; (c)ヌクレオチド5443位にGを有する配列番号:1;および (d)ヌクレオチド189-199位の11塩基対が欠失している配列番号:1 よりなる群から選択される請求項4記載の単離DNA。 10.BRCA1遺伝子調節配列を含むDNAであることを特徴とする請求項 1〜9いずれか1項記載の単離核酸。 11.配列番号:1記載のヌクレオチド配列またはその対立遺伝子変異体が、 BRCA1ポリペプチドの発現をイン・ビボ(in vivo)で阻害するか、または妨 害する突然変異を有するBRCA1遺伝子調節配列に作動可能に連結されている ことを特徴とする請求項2または3の1項記載の単離DNA。 12.試料;(i)配列番号:1記載のヌクレオチド配列、その対立遺伝子変異 体および乳癌または卵巣癌に対する病気素因と関連するその突然変異体から選択 されるヌクレオチド配列を有するDNA、または(ii)該DNAに対応するRN A、中で検出するためのハイブリダイゼーション・プローブとしての請求項1〜 9いずれか1項記載のDNAのヌクレオチド配列の一部分を有する単離DNAの 使用。 13.核酸プローブのヌクレオチド配列が、ヌクレオチド3631〜3930 位の配列番号:1記載のDNA配列、もしくは表9記載のDNAプローブ配列ま たはそれに対応するRNAを含むことを特徴とする請求項12記載の使用に適し た該核酸プローブ。 14.核酸プローブのDNA配列が、配列番号:1記載のヌクレオチド配列と 比較して突然変異を含む請求項4〜9いずれか1項記載の核酸の一部分であるこ とを特徴とする請求項12記載の使用に適した該核酸プローブ。 15.請求項4〜9いずれか1項記載のDNAの少なくとも15個の隣接した ヌクレオチドを有し、かつ配列番号:1記載のヌクレオチド配列と比較して突然 変異を含む単離核酸。 16.請求項1〜11および13〜15いずれか1項記載の単離DNAと、複 製性クローニングベクター用の宿主細胞で作動可能な複製開始点とを含むことを 特徴とする複製性クローニングベクター。 17.BRCA1ポリペプチドのコード配列またはその修飾形態が、発現ベク ター用の宿主細胞において該コード配列を発現させ得るプロモーター配列に作動 可能に連結されている請求項1〜9いずれか1項記載の単離DNAを含む発現ベ クター。 18.請求項16または17いずれか1項記載のベクターで形質転換した宿主 細胞。 19.(i)請求項1記載の配列番号:2記載のアミノ酸配列を有するBRCA 1ポリペプチドまたは該ポリペプチドの修飾形態であるポリペプチドの産生に適 した条件下にて、該ポリペプチドをコードする発現ベクターを含む請求項18記 載の宿主細胞を培養し、ついで(ii)該ポリペプチドを回収することを特徴とす る該ポリペプチドの産生方法。 20.さらに、回収したポリペプチドを標識することを特徴とする請求項19 記載の方法。 21.他のヒト蛋白質を実質的に含まず、かつ、配列番号:2記載のアミノ酸 配列を有するヒトBRCA1ポリペプチドの調製物。 22.他のヒト蛋白質を実質的に含まず、アミノ酸配列が配列番号:2記載の アミノ酸配列を有する野生型BRCA1ポリペプチドと実質的な配列相同性を有 し、かつ、野生型BRCA1ポリペプチドと実質的に同様な機能を有する、BR CA1ポリペプチドの調製物。 23.他の蛋白質を実質的に含まず、かつ、乳癌または卵巣癌に対する病気素 因を有するヒトに関連した配列番号:1記載のヌクレオチド配列の突然変異体形 を発現させることによって得ることができる突然変異ヒトBRCA1ポリペプチ ドの調製物。 24.該ポリペプチドが標識されていることを特徴とする請求項21〜23い ずれか1項記載の調製物。 25.請求項21〜23いずれか1項記載の1また2以上のポリペプチドに特 異的に結合し得る抗体。 26.モノクローナル抗体であることを特徴とする請求項25記載の抗体。 27.実質的に他の蛋白質を含まず、かつ、請求項25記載の抗体を得る免疫 原として使用するに適した請求項21〜23いずれか1項記載のポリペプチドの 抗原性断片であるポリペプチドの調製物。 28.融合蛋白質形態であることを特徴とする請求項21〜23および27い ずれか1項記載のポリペプチド。 29.抗体産生用の免疫原としての請求項21〜23、27および28いずれ か1項記載のポリペプチドの使用。 30.1または2以上の産生抗体が、次いで固体支持体に標識されているか、 または結合されていることを特徴とする請求項29記載の使用。 31.核酸増幅反応によってBRCA1遺伝子のヌクレオチド配列を決定する ための一本鎖オリゴヌクレオチド・プライマー対であって、該プライマーの配列 がヒト染色体17qに由来し、かつ、そのプライマーを核酸増幅反応で使用して BRCA1遺伝子の全体または一部分に対応するDNAおよび/またはRNAを 合成することを特徴とする該一本鎖オリゴヌクレオチド・プライマー対。 32.配列番号:1記載のヌクレオチド配列を有するBRCA1遺伝子配列の 全体または一部分および/または乳癌または卵巣癌に対する病気素因を有するヒ トに関連したその突然変異体形を決定するための請求項31記載のプライマー対 。 33.予想突然変異BRCA1対立遺伝子と、野生型BRCA1ヌクレオチド 配列とを比較し、ここに、予想突然変異と野生型配列との間の相異により突然変 異BRCA1ヌクレオチド配列を同定することを特徴とする、該予想突然変異B RCA1対立遺伝子中の突然変異BRCA1ヌクレオチド配列を同定する方法。 34.BRCA1遺伝子突然変異に特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオ チドプライマーと、BRCA1遺伝子における突然変異の検出に関する指示書と を含むことを特徴とする、乳癌および卵巣癌に対する感受性を生じる該BRCA 1遺伝子中の突然変異を検出するキット。 35.BRCA1遺伝子突然変異についての少なくとも1つの対立遺伝子-特 異的オリゴヌクレオチド・プローブと、BRCA1遺伝子中の突然変異の検出に 関する指示書とを含むことを特徴とする乳癌および卵巣癌に対する感受性を生じ る該BRCA1遺伝子中の突然変異を検出するキット。 36.遺伝子療法に使用して、野生型BRCA1遺伝子機能または野生型と実 質的に同様のBRCA1機能を、BRCA1遺伝子中の突然変異によって該遺伝 子機能を欠失したか、または遺伝子機能が変化した細胞に供するための、野生型 BRCA1遺伝子核酸、該野生型BRCA1遺伝子核酸に実質的に相同性で、か つそれと実質的に同様の機能を有する核酸、ならびにそれらの機能的同等部分よ りなる群から選択される核酸。 37.BRCA1遺伝子調節配列を含むことを特徴とする請求項36記載の核 酸。 38.該細胞のゲノムに取り込まれ、かつ、遺伝子療法に使用する請求項36 または37いずれか1項記載の核酸。 39.ペプチド療法に使用して、野生型BRCA1遺伝子機能または野生型と 実質的に同様のBRCA1機能を、BRCA1遺伝子中の突然変異によって該遺 伝子機能を欠失したか、または遺伝子機能が変化した細胞に供するための、野生 型BRCA1ポリペプチド、該野生型BRCA1ポリペプチドに実質的に相同性 で、かつそれと実質的に同様の機能を有するポリペプチド、それらの機能性部分 、ならびに、該野生型BRCA1ポリペプチドの機能を模倣する分子よりなる群 から選択される分子。 40.(i)BRCA1ポリペプチド結合パートナー、(ii)配列番号:2記載 のアミノ酸配列を有するポリペプチドおよび該結合パートナーに結合するアミノ 酸配列の一部分を有するポリペプチドよりなる群から選択されるBRCA1ポリ ペプチド、ならびに(iii)癌療法になると予想される化合物を合わせ、ついで 、BRCA1ポリペプチドがその結合パートナーに結合する量を測定することを 特徴とする潜在的癌療法のスクリーニング法。 41.BRCA1ポリペプチド結合パートナーと、癌療法になると予想される 化合物とを合わせ、ついで、結合パートナーの生物活性を測定することを特徴と する潜在的癌療法のスクリーニング法。 42.癌療法になると予想される化合物存在下にて、癌に対する病気素因に関 連した変化したBRCA1遺伝子を含む形質転換真核生物宿主細胞を増殖させ、 ついで、該宿主細胞の増殖速度を測定することを特徴とする潜在的癌療法のスク リーニング法。 43.癌療法になると予想される化合物を、第二動物からの癌に対する病気素 因に関連した変化したBRCA1遺伝子をゲノム中に運ぶトランスジェニック動 物に投与し、ついで、癌病巣の進展または増殖を測定することを特徴とする潜在 的癌療法のスクリーニング法。 44.改変したBRCA1対立遺伝子を運ぶことを特徴とするトランスジェニ ック動物。 45.改変したBRCA1対立遺伝子が欠失を含むことを特徴とする請求項4 4記載のトランスジェニック動物。 46.改変したBRCA1対立遺伝子がナンセンス突然変異を含むことを特徴 とする請求項44記載のトランスジェニック動物。 47.改変したBRCA1対立遺伝子がフレームシフト突然変異を含むことを 特徴とする請求項44記載のトランスジェニック動物。 48.改変したBRCA1対立遺伝子がミスセンス突然変異を含むことを特徴 とする請求項44記載のトランスジェニック動物。 49.改変したBRCA1対立遺伝子が破壊された対立遺伝子であることを特 徴とする請求項44記載のトランスジェニック動物。
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