JPH08333394A - ラット肥満遺伝子、その遺伝子産物およびその製造法 - Google Patents

ラット肥満遺伝子、その遺伝子産物およびその製造法

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JPH08333394A
JPH08333394A JP8079916A JP7991696A JPH08333394A JP H08333394 A JPH08333394 A JP H08333394A JP 8079916 A JP8079916 A JP 8079916A JP 7991696 A JP7991696 A JP 7991696A JP H08333394 A JPH08333394 A JP H08333394A
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cdna
polypeptide
seq
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JP8079916A
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Ichikazu Nakao
一和 中尾
Yoshihiro Ogawa
佳宏 小川
Yukio Fujisawa
幸夫 藤沢
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 肥満メカニズムの解明および肥満治療に用い
ることができる、即ち、本発明のラットob遺伝子をプロ
ーブとして生体内に発現しているob遺伝子のmRNAの含量
を測定することにより、肥満要因の診断に用いることが
できるラットob遺伝子およびその遺伝子産物を提供す
る。 【解決手段】 ラットob遺伝子およびこれをコードする
ポリペプチド、該遺伝子を組み込んだプラスミド、該プ
ラスミドで形質転換せしめた形質転換体、および該形質
転換体を培地に培養する該ポリペプチドの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なラット肥満
遺伝子産物、該産物をコードする組換えDNA、該DNAを保
持する形質転換体、該産物の製造法および用途に関す
る。さらに詳しくは、ラット由来の肥満遺伝子を組換え
DNA技術を用いて作製し、該遺伝子を原核細胞および真
核細胞において発現させることによって実質的に純粋な
遺伝子産物を調製し、該遺伝子産物の抗体作製や受容体
探索に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】生体内での食物摂取とエネルギー消費の
平衡を維持する機構が、肥満や痩身を決定している。過
度の肥満は、II型(インスリン非依存性)糖尿病、高血
圧、高脂血症やある種のガンを悪化させることから、健
康上の重要な問題となっている。肥満表現型を呈するマ
ウスにおいては、5個の単一遺伝子変異がこれまでに知
られている[J. M FridmanとR. L. Leibel, セル(Cel
l), 第69巻, 第217頁(1992年)]。そのうちの肥満遺
伝子(ob遺伝子)は、エネルギー・バランスを調節する
分子の一つで、その変異は該エネルギー・バランス調節
機構を狂わせることにより、ヒトのII型糖尿病や重篤な
肥満に類似した症状を誘発する[J. M. Friedmanら,ジェ
ノミックス(Genomics), 第11巻, 第1054頁(1991
年)]。ob遺伝子変異マウスと野生型マウスとの間での
並体結合(parabiosis)実験から、ob遺伝子マウスは栄
養の摂取と代謝を調節している血液由来因子が欠損して
いることが示唆されていたが[D. L. Coleman, ダイアベ
トロジア(Diabetologia)、第14巻、第141頁(1978
年)]、この推定因子の性状の詳細は不明であった。最
近、J. M. Friedmanらのグループは、マウスob遺伝子を
ポジショナル・クローニング技術によって初めてクロー
ニングした[Y. Zhangら, ネイチャー(Nature), 第372
巻, 第425頁(1994年)]。その結果、マウスob遺伝子は
167アミノ酸残基のオープン・リーディング・フレーム
を持ち、そのmRNAは脂肪組織に特異的に発現しているこ
とが証明された。また、マウスob遺伝子によってコード
された産物はN末端に21アミノ酸残基からなるシグナル
配列を有し分泌蛋白質の性質を持っていると推定されて
いる[Y. Zhangら, Nature, 第372巻, 第425頁(1994
年)]。同時に、マウスob遺伝子に相当するヒトの遺伝
子もクローニングされ、その推定アミノ酸配列を比較し
た結果、ヒトとマウスの間にはアミノ酸レベルで84%の
相同性があることが報告されている。このob遺伝子にコ
ードされた蛋白質は、体脂肪量の調節に働く信号伝達メ
カニズムの中で重要な役割を果たしていると推定されて
いる。また、SP6ポリメラーゼを用いてヒトob遺伝子をR
NAに転写し、得られたRNAをミクロソーマル膜画分の存
在下でin vitroで翻訳させると、16Kのプロセスされた
産物と18Kの一次産物がほぼ等量認めれる。この翻訳産
物をプロテイナーゼKで処理すると、18Kの一次翻訳産
物は完全なプロテオリシスを受け、16Kのプロセスされ
た産物は影響を受けない。これは、翻訳産物がミクロソ
ーマル・ルーメンにトランスローケーションされたこと
を示している。この系にTriton X-100を添加し膜を透過
性にすると、16Kのプロセスされた産物はプロテアーゼ
感受性になる。これらの結果は、ob遺伝子産物が分泌蛋
白であることを示唆している。シグナル配列の分解後、
二つのシステイン残基は成熟蛋白質内に留まっていると
推定されることからも、ob遺伝子産物が他の分泌ポリペ
プチドと同様にジスルフィド結合を含んでいるかもしれ
ない。このob遺伝子産物はN末端シグナル配列以外に特
徴的な構造モチーフあるいはメンブレン・スパニング・
ドメインを有していない。また、N結合型グリコシレー
ションおよび蛋白質分解部位を示すジベイシック(diba
sic)アミノ酸配列のコンセンサス配列も認められてい
ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のようにマウスお
よびヒト由来のob遺伝子がクローニングされたが、ラッ
ト由来のob遺伝子はこれまで得られていない。今後、該
遺伝子の肥満制御に及ぼす役割を解明していく上で、該
遺伝子産物の検出系の確立が重要であり、その検出に用
いる抗体を作製するためには、該遺伝子産物を大量に取
得できる発現系の確立が不可欠である。また、動物実験
を行う際の取り扱い易さの点から、ラットを用いた動物
実験系の確立が望ましく、そのためにはラット由来のob
遺伝子の取得が必要である。従って、ラット由来の該ob
遺伝子をクローニングし、その遺伝子が発現する形質転
換体を作製し、それを用いた該ob遺伝子産物を調製する
方法が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を進めた結果、ラット脂肪細胞cDNAライブラリーからマ
ウスob遺伝子cDNAと高い相同性を有する遺伝子のクロー
ニングを行い、これを用いて形質転換した細胞から該遺
伝子産物を調製することに成功した。
【0005】すなわち、本発明は、下記配列番号1また
は2で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドを
提供するものである。該ポリペプチドは、好ましくは、
ラット肥満cDNAをコードする遺伝子産物である。また、
本発明は、上記ポリペプチドをコードする組換えDNAを
も提供する。該組換えDNAは、好ましくは、配列番号3
または4で表されるDNA配列を含有する。さらに、本発
明は、上記組換えDNAを含有するベクターをも提供す
る。また、本発明は、上記組換えDNAで形質転換された
宿主細胞をも提供する。該宿主細胞は、好ましくは大腸
菌である。さらに、本発明は、上記宿主細胞を培地中で
培養し、培養物中に上記ポリペプチドを生成蓄積せし
め、これを採取することを特徴とする該ポリペプチドの
製造法をも提供する。また、本発明は、ラット肥満cDNA
をコードする遺伝子産物と反応する抗体をも提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、上記配列番号1
または2のポリペプチドは、それぞれ例えば、後述の実
施例で得られた配列番号3または4の塩基配列を含有す
るDNAなどによりコードされ、具体的にはラット由来の
肥満遺伝子obの翻訳産物である。ラット脂肪細胞cDNAラ
イブラリーから後述の実施例で得られた配列番号4の塩
基配列を含有するDNAは、その塩基配列解析の結果、既
報のマウスob遺伝子cDNAとDNAレベルで95.6%の相同性
が認められたことからラットob遺伝子であると考えら
れ、また、該ラットob遺伝子の塩基配列から翻訳される
アミノ酸配列よりなるポリペプチドはラットob遺伝子産
物である。本発明において、現時点でob遺伝子産物とし
ての活性を有するために必須領域と推測する配列番号1
で表されるアミノ酸配列よりなるポリペプチドは、その
前後に1〜50個程度のアミノ酸残基を有していてもよ
い。即ち、本発明におけるポリペプチドは、アミノ酸残
基数にして約140〜200程度のものが含まれる。ま
た、該ポリペプチドのN末端の前に10〜300個程度
のアミノ酸残基からなる別のポリペプチドをさらに結合
させた融合蛋白をつくり、これを用いることもできる。
また、配列番号1または2で表されるアミノ酸配列より
なるポリペプチドは、ob遺伝子産物としての活性(例え
ば、抗ob遺伝子産物抗体との親和活性など)を失わない
限り、その配列中にアミノ酸残基の置換や欠失を有して
いてもよい。本発明において得られる配列番号2のポリ
ペプチドは、既報のマウスob遺伝子cDNAの翻訳産物とし
て得られるとポリペプチドと、アミノ酸配列レベルで9
6.4%の相同性が認められた。しかし、両者で異なるア
ミノ酸残基は該ポリペプチド配列中で偏ることなく普遍
的に認められることから、両者は異質の性質を有するポ
リペプチドであると考えられる。
【0007】本発明の組換えDNAは、以下の手順でRNAを
調製し、そのcDNAを合成することにより得られる。本発
明で得られるマウス由来のob遺伝子をコードするRNA
は、ラット由来の脂肪組織から得ることができる。これ
らの材料からRNAを調製する方法としては、グアニジン
・チオシアネート法[J. M. Chirgwin ら, バイオケミス
トリー(Biochemistry),第18巻, 第5294頁 (1979年)]
などが挙げられる。このようにして得られたRNAにオリ
ゴdTプライマーもしくはランダムオリゴヌクレオチドを
添加した後、リバース・トランスクリプターゼを加えて
cDNAを合成することができる。このcDNA標品から既報の
マウスob遺伝子配列[Zhang, Y.ら,Nature, 第372巻, 第
425頁(1994年)]を基にしてラット由来ob遺伝子を増幅
するためのセンスプライマーとアンチセンスプライマー
を添加し、公知のPCR法(例えば、Cetus/Perkin-Elm
er社のキットの指示書を参照)に従って目的のラット由
来ob遺伝子cDNAを増幅することができる。増幅されたcD
NAは自体公知の方法、例えばアガロース電気泳動で分離
後、ゲルから回収し、公知の方法によりプラスミド・ベ
クターに導入し、組換え発現プラスミドを構築し、クロ
ーン化することができる。目的のこのcDNAの塩基配列
は、例えばジデオキシヌクレオチド合成鎖停止法[T. Me
ssing ら, ヌクレイック・アッシズ・リサーチ(Nucl.
Acids Res.), 第9巻, 第309頁 (1981年)]によって決
定することができる。
【0008】クローン化されたcDNAを有するプラスミド
はそのまま、あるいは所望により適当な制限酵素で切り
出して別のベクターに挿入して用いることができる。プ
ラスミド・ベクターとしては、宿主に対応して複製でき
るものであれば何でもよい。宿主がエシェリキア属菌
(Escherichia coli,大腸菌)の場合には、大腸菌由来
のプラスミド、例えばpBR322[F. Bolivar ら、ジーン
(Gene), 第2巻,第95頁(1979年)]、pBR325、pUC12、
pUC13などが挙げられる。宿主が酵母である場合には、
酵母由来プラスミド、例えばpSH19[S. Harashima ら,
モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol.
Cell. Biol.), 第4巻, 第771頁(1984年)],pSH19-1
(ヨーロッパ特許出願公開 EP-A-0235430)などが挙げ
られる。宿主が動物細胞の場合には、例えばpBR322にSV
40のoriの挿入されたpSV2-X[R. C. Mulligan and P. Be
rg, プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッ
ド・ステイッツ・オブ・アメリカ(Proc. Natl. Acad.
Sci. USA), 第78巻, 第2072頁(1981年)],pcD-X[H.
Okayama and P. Berg, Mol. Cell. Biol., 第3巻, 第28
0頁(1983年)]などが挙げられる。宿主が昆虫細胞の場
合には、例えばバキュロウイルス・トランスファーベク
ター(Baculovirus transfer vector)pVL1392、pVL139
3[製造業者(Invitrogen Corporation, CA, USA)のマ
ニュアル(MAXBACTM Baculovirus expression syste
m, Manual version 1.4)]などが挙げられる。
【0009】クローン化されたcDNAは5'末端に翻訳開始
コドン(ATG)を有し、また3'末端に翻訳終止コドン(T
AG, TGAあるいはTAA)を有していてもよい。更に該cDNA
を発現させるために、プロモーター配列を上流に接続し
てもよい。上記プロモーターとしては、遺伝子の発現に
用いる宿主中で適切に機能し得るプロモーターであれば
どのようなものでもよい。宿主が大腸菌である場合に
は、T7プロモーター、trpプロモーター、tacプロモータ
ー、lacプロモーター、λPLプロモーターなどが挙げら
れ、目的遺伝子の発現効率が良い点を考えると、とりわ
けT7プロモーターが好ましい。宿主が酵母である場合に
は、GAPDHプロモーター、PGKプロモーター、PHO5プロモ
ーター、ADHプロモーターなどが挙げられ、目的遺伝子
の発現効率が良い点を考えると、とりわけGAPDHプロモ
ーターが好ましい。宿主が動物細胞である場合には、SV
40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモータ
ー、ヒトサイトメガロウイルスのプロモーターなどが挙
げられる。宿主が昆虫細胞である場合、核多角体ウイル
スのポリヘドリン(polyhedrin)プロモーターなどが挙
げられる。プロモーターは対応する遺伝子固有のものを
そのまま利用することもできる。また、DNA合成機など
により化学合成したものを用いることもできる。シグナ
ル配列及びプレ−プロ配列は、ob遺伝子固有のものを用
いることが好ましいが、宿主で機能するものであれば何
でも良く、DNA合成機などで化学合成したものを用いる
こともできる。
【0010】このようにして構築された目的のDNAを含
有する組換え発現プラスミドを用いて、公知の方法によ
り宿主に導入して形質転換体を作製できる。宿主として
は、例えばエシェリキア属菌、酵母、動物細胞、昆虫細
胞などが挙げられる。エシェリキア属菌としては、エシ
ェリキア・コリK12 DH1[B. Low, Proc. Natl. Acad.Sc
i. USA, 第60巻, 第160頁(1968年)]、C600[R. K. App
leyard, ジェネティックス(Genetics), 第39巻, 第44
0頁(1954年)]、MM294[K. Backmanら, Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA, 第73巻, 第4174頁(1976年)]、N4830
[M. E. Gottesman ら、ジャーナル・オブ・モレキュラ
ー・バイオロジー(J. Mol. Biol.), 第140巻, 第57頁
(1980年)]などが挙げられる。酵母としては、例えば
サッカロマイセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevi
siae)AH22R-[A. Miyanoharaら, Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 第80巻, 第1頁(1983年)],NA87-11A, DKD-5
D, NA74-3A, NA74-3Aρ-[Y. Kaisho ら、イースト(Yea
st), 第5巻,第91頁(1989年)]やシゾサッカロマイセ
ス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)ATCC38399
(h− leu1-32),TH168(h90 ade6-M210 ura1 leu
1)[M. Kishida and C. Shimada, カレント・ジェネテ
ィクス(Current Genetics), 第10巻, 第443頁(1986
年)]などが挙げられる。動物細胞としては、例えば付
着細胞であるサルCOS-7細胞、サルVero細胞、チャイニ
ーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞、マウスL細胞、ヒ
トFL細胞、及び浮遊細胞であるマウスミエローマ細胞
(Sp2/0細胞など)、マウスYAC-1細胞、マウスMethA細
胞、マウスP388細胞、マウスEL-4細胞などが挙げられ
る。昆虫細胞としては、Sf9細胞などが挙げられる。
【0011】形質転換体の作製は公知の方法に従って行
えばよい。エシェリキア属菌を形質転換するには、例え
ば T. Maniatis ら[モレキュラー・クローニング(Mole
cular Cloning), コールド・スプリング・ハーバー研
究所(Cold Spring Harbor Laboratory), 第249頁(19
82年)]が記載した方法に従って行われる。酵母を形質
転換するには、例えば A. Hinnen ら[Proc. Natl.Acad.
Sci. USA, 第75巻, 第1929頁(1978年)]が記載した方
法に従って行われる。動物細胞を形質転換するには、例
えば M. Wigler ら, Cell, 第14巻, 第725頁(1978年)
に記載の方法に従って行われる。昆虫細胞を形質転換す
るには、製造業者(Invitrogen Corpotation)のマニュ
アル(MAXBACTM Baculovirus expression system, Ma
nual version 1.4)に従って行われる。
【0012】このようにして得られた形質転換体は、そ
れ自体公知の方法で培養できる。宿主がエシェリキア属
菌である形質転換体を培養する際、培地としては、例え
ばグルコース、カザミノ酸を含むM9培地[J. H. Miller,
エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティ
クス(Experiments in Molecular Genetics),第431
頁,Cold Spring Harbor Laboratory,(1972年)]が好
ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働か
せるために、例えばイソプロピルチオガラクトシド(IP
TG)やインドリル-3-アクリル酸のような薬剤を加える
ことができる。培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行
い、必要により、通気や撹はんを加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地として
は、例えばバークホールダー(Burkholder)最小培地
[K. L. Bostain ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 第7
7巻, 第4504頁(1980年)]などが挙げられる。培地のpH
は約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20〜35
℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹はんを加
えることもできる。宿主が動物細胞である形質転換体を
培養する際、培地としては、例えば約5〜20%の牛胎仔血
清を含むMEM培地[H. Eagle, サイエンス(Science),
第130巻, 第432頁(1959年)]、DMEM培地[R. Dulbecco
and G. Freeman, ヴィロロジー(Virology), 第8巻,
第396頁(1959年)]、RPMI-1640培地[G. E. More ら,
ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソ
シエーション(J. Am. Med.Assoc.), 第199巻, 第519
頁(1967年)]、199培地[J. F. Morgan ら, プロシージ
ング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・エクスペリメ
ンタル・バイオロジー・アンド・メディスン(Proc. So
c. Exp. Biol. Med.), 第73巻, 第1頁(1950年)]、AS
F104培地[味の素(株)]などが挙げられる。培養は通常
約30〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて通気や撹
はんを加えることもできる。宿主が昆虫細胞である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えばTNM-FH培地
[W. F. Hinkら, Nature, 第226巻, 第466頁(1990年)]
などが挙げられる。培養は通常約15〜30℃で約24〜72時
間行い、必要に応じて通気や撹はんを加えることもでき
る。
【0013】本発明において、上記培養物から発現産物
を単離するには、自体公知の分離・精製法を適切に組み
合わせて行うことができる。これらの公知の分離・精製
法としては、塩折や溶媒沈澱などの溶解度を利用する方
法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、及びSDS-ポリア
クリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)などの主とし
て分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラ
フィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティク
ロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、
逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利
用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用
する方法などが挙げられる。
【0014】
【作用】本発明で得られるラットob遺伝子を原核細胞や
真核細胞中で発現させ、得られるob遺伝子産物を用いて
ラットにおける肥満メカニズムの解明および肥満の診断
に用いることができる。本発明で得られる遺伝子をDNA
プローブとして用いることにより、生体内に発現してい
るob遺伝子のmRNAの含量を公知のノーザン・ブロッティ
ング法により測定することができる。本発明で得られる
ラットob遺伝子を、大腸菌、動物培養細胞、昆虫培養細
胞などを用いて発現させることにより、該遺伝子産物を
高純度かつ大量に製造することが可能となる。また、本
発明で得られるラットob遺伝子産物を用いて得られる抗
ob遺伝子産物抗体を用いて、生体内における該産物を蛍
光抗体法及びウエスタンブロッティング法により測定
し、肥満の診断に応用することができる。
【0015】なお、本願明細書や図面において、塩基や
アミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC-IUB生化学
命名委員会(CBN:Commision on Biochemical Nomencla
ture)による略号あるいは当該分野における慣用略号に
基づくものであり、その例を次に挙げる。またアミノ酸
に関して光学異性体があり得る場合は、特に明示しなけ
ればL体を示すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン SDS :ドデシル硫酸ナトリウム Gly :グリシン(G) Ala :アラニン(A) Val :バリン(V) Leu :ロイシン(L) Ile :イソロイシン(I) Ser :セリン(S) Thr :スレオニン(T) Cys :システイン(C) 1/2 Cys:ハーフシスチン Met :メチオニン(M) Glu :グルタミン酸(E) Asp :アスパラギン酸(D) Lys :リジン(K) Arg :アルギニン(R) His :ヒスチジン(H) Phe :フェニールアラニン(F) Tyr :チロシン(Y) Trp :トリプトファン(W) Pro :プロリン(P) Asn :アスパラギン(N) Gln :グルタミン(Q) Apr :アンピシリン耐性遺伝子 Tcr :テトラサイクリン耐性遺伝子
【0016】
【実施例】以下に参考例および実施例を示し、本発明を
更に詳しく説明するが、これらは単なる例であって本発
明を何ら限定するものではない。なお、後述の実施例1
で作製したプラスミドpBSK-robを保持する大腸菌、エシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)JM109/pBSK-rob
は、平成7年3月17日から財団法人発酵研究所(IF
O)に受託番号IFO 15809として、また、平成7年4月1
2日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に受託番号FERM B
P-5075として寄託されている。また、以下の参考例およ
び実施例において、DNAの塩基配列は公知のジデオキシ
ヌクレオチド合成鎖停止法[J. Messingら、Nucleic Aci
ds Res., 第9巻, 第309頁 (1981年)]によって決定し
た。
【0017】参考例1. マウス脂肪組織由来cDNAライ
ブラリーからの肥満遺伝子(ob)cDNAのクローニング PCR法によってob遺伝子 cDNAを増幅させるため、既報の
マウス脂肪組織由来ob遺伝子 cDNAの塩基配列[Y. Zhang
ら、Nature, 第372巻, 第425頁(1994年)]を参考にし
て以下に示す2種類のプライマーを合成した。センス・
プライマーNo.1: 5'-AATGTGCTGGAGACCCCTGT-3' (配列番号:5) アンチセンス・プライマーNo.2: 5'-CAGCATTCAGGGCTAACATC-3' (配列番号:6) マウスの精巣上体脂肪組織からmRNAを抽出し[Chomczyns
ki, P. and Sacchi, N, アナリティカル・バイオケミス
トリー(Anal. Biochem.), 第162巻, 第156頁(1987
年)]、Oligo(dT)プライマーを用いて1本鎖cDNA断片を
合成した。上記の2種類のプライマー(No.1およびNo.
2)と逆転写酵素(Superscript Moloneymurine leukem
ia virus reverse transcriptase, Bethesda Reseach L
aboratories Inc., Gaithersburg, MD, USA)を用いてc
DNAを合成し、PCR法の鋳型とした。これに、上記2種類
のプライマー(No.1およびNo.2;各50pmol)を加え、
Ampli Taq DNAポリメラーゼ[宝酒造(株)]を用いて、9
4℃、1分間、55℃、2分間、72℃、1分間のPCR法による
反応を50回繰り返した。PCR産物を1.2%アガロースゲル
電気泳動で分離したところ、マウス脂肪組織由来ob遺伝
子 cDNA塩基配列から予想される大きさ(505bp)に相当
する位置に、増幅されたDNA断片を確認した。このDNA断
片をゲルから回収し、プラスミドベクター pGEMR-Tベク
ター(Promega Inc., WI, USA)にサブクローニングし
た。得られたcDNA部分の塩基配列をジデオキシヌクレオ
チド合成鎖停止法によって決定し、既報の配列と同一の
ものであることを確認した。このcDNA断片を含むプラス
ミドをpGEM-mobと命名した。
【0018】参考例2. マウスob遺伝子 cDNAの[α-
32P] dCTP標識プローブの調製 参考例1のマウスob遺伝子 cDNAのPCR産物を鋳型とし、
ランダムプライマー法[J. Sambrookら、Molecular Clon
ing: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Labor
atory, 第10章, 第13頁(1989年)]によって[α-32P]-dC
TP(3,000Ci/mmol, Amersham International Buckingha
mshire, UK)で標識したプローブを調製した。その放射
比活性は約1x10cpm/μgであった。
【0019】実施例1. ラットob遺伝子 cDNAのクロ
ーニング ラット脂肪細胞cDNAライブラリーλgt11(CLONTECH Lab
oratories, Inc.)を大腸菌(Y1090r-)に感染させ、直
径90mmのシャーレ10枚にまいた。37℃で7時間培養した
後、ナイロンフィルター(Hybond-N+, Amersham Intern
ational Buckinghamshire, UK)にファージを転写し、
レプリカを作製した。参考例2で調製したプローブを用
いて、68℃でハイブリダイゼーションを行った[J. Samb
rookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第
2章, 第108頁, Cold Spring Harbor Laboratory, New
York(1989年)]ところ、陽性クローンが4個得られた。
それぞれについて塩基配列を解析した結果、目的とする
ラットob遺伝子 cDNAのオープン・リーディング・フレ
ーム(ORF)を全てコードするものはなかった。そこ
で、5'-AmpliFINDERTM RACEキット(CLONTECH Laborato
ries, Inc.)に従い、不完全部分のcDNAをPCR法によっ
て取得した。即ち、まず上記cDNAの塩基配列結果に基づ
いて、下記の2種類のアンチセンスプライマーを合成し
た。 アンチセンス・プライマーNo.3: 5'-ATCCTGGTGACAATGGTC-3' (配列番号:7) アンチセンス・プライマーNo.4: 5'-CTGTTGATAGACTGCCAG-3' (配列番号:8) 次に、SD(Sprague-Dawley)ラット(12週齢、雌)の精巣
上体の脂肪組織からmRNAを抽出し[P. Chomczynski and
N. Sacchi, アナリティカル・バイオケミストリー(Ana
l. Biochem.), 第162巻, 第156頁(1987年)]、アンチ
センス・プライマーNo.3を用いて1本鎖cDNA断片を合
成した。これにAmpliFINDERアンカーをT4 RNAリガーゼ
を用いて結合させたものを鋳型とし、AmpliFINDERアン
カー・プライマーとアンチセンス・プライマーNo.4を
用いてPCRを行った。PCRの反応条件は参考例1に従っ
た。その結果、184bpのラットob遺伝子 cDNAをコードす
る領域を含むcDNA断片が得られた。この断片部分の塩基
配列を解析したところ、マウスob遺伝子 cDNAと95%のホ
モロジーが確認された。次に、ラットob遺伝子のORF
を全てコードするラットob遺伝子 cDNAを得るため、
ここで得られたcDNA断片の塩基配列に基づいて、まず下
記の4種類のプライマーを合成した。
【0020】センス・プライマーNo.5: 5'-TGCTCCAGCAGCTGCAAGGT-3' (配列番号:9) センス・プライマーNo.6: 5'-CAAGAGGAATTCCCCAGCGAGGAAA-3' (配列番号:10) アンチセンス・プライマーNo.7: 5'-TGAGGATACCTGGGAGCCAA-3' (配列番号:11) アンチセンス・プライマーNo.8: 5'-GGGAATTCCCTCAACATGATCCTCG-3' (配列番号:12) 次に、SD(Sprague-Dawley)ラット(12週齢、雌)の精巣
上体の脂肪組織からmRNAを抽出し[P. Chomczynski and
N. Sacchi, アナリティカル・バイオケミストリー(Ana
l. Biochem.), 第162巻, 第156頁(1987年)]、10μg
の総RNAからOligo(dT)プライマーと逆転写酵素(Supe
rscript Moloney murine leukemia virus reverse tran
scriptase, Bethesda Reseach Laboratories Inc., Gai
thersburg, MD, USA)を用いてcDNAを合成し、PCRの鋳
型とした。1st PCRで2種類のプライマー(上記No.5お
よびNo.7;各50pmol)を加え、VentR DNAポリメラーゼ
(New England Biolabs, Inc., MA, USA)を用いて、94
℃、1分間、55℃、2分間、72℃、1分間の反応を50回繰
り返した。さらに、その反応液に別の2種類のプライマ
ー(上記No.6およびNo.8;各50pmol)を加え、同様に
反応を行った。PCR産物を1.2%アガロースゲル電気泳動
で分離したところ、ラット精巣上体の脂肪組織由来ob遺
伝子 cDNAの配列から予想される578bpの増幅されたDNA
断片を確認した。公知の方法により、このDNA断片をゲ
ルから回収し、プラスミド・ベクターpBluescriptR II
SK+(STRATAGENE, CA, USA)に挿入し、これをエシェリ
ヒア・コリ(Escherichia coli)JM109 に導入し、形質
転換体を得た。これを用いて、該DNA断片の塩基配列
(配列番号:4)を決定した。その結果、前述の184bp
のラットob遺伝子 cDNAをコードする領域を含むcDNA断
片の配列と同一であることが確認された。このcDNA断片
を含むプラスミドをpBSK-rob、また、このプラスミドを
導入して得られた形質転換体をエシェリヒア・コリ(Es
cherichia coli)JM109/pBSK-robと命名した。得られた
ラットob遺伝子 cDNAの塩基配列(配列番号:4)よ
り、その遺伝子産物である167アミノ酸残基からなるポ
リペプチド(配列番号:2)が推測された。
【0021】実施例2. ラットob遺伝子 cDNAの大腸
菌MM294(DE3)での発現 実施例1のプラスミドpBSK-robを鋳型とし、5'末にBamH
I部位及びNdeI部位を付加したプライマーを用いてob遺
伝子を増幅するため、以下の3種類のプライマーを合成
した。 センス・プライマーNo.9: 5'-pTCATATGGTGCCTATCCACAAAGTC-3' (配列番号:13) センス・プライマーNo.10: 5'-pCGGATCCACAAAGTCCAGGATGACA-3' (配列番号:14) アンチセンス・プライマーNo.11: 5'-pTTGGATCCCTCAACATGATCCTCGG-3' (配列番号:15) プラスミドpBSK-robを鋳型とし、上記プライマーNo.9
とNo.11の組み合わせで成熟体のコード領域の増幅を、N
o.10とNo.11の組み合わせで成熟体のN末端2アミノ酸
残基欠失体のコード領域の増幅を行った。増幅したそれ
ぞれのDNA断片を大腸菌発現用プラスミドベクター pET-
3cおよびpET-3xc[メソッズ・イン・エンザイモロジー(M
ethods in Enzymology, ed. by D. V. Goeddel), 第185
巻, 第68頁(1990年)、アカデミック・プレス(Academ
ic Press)]に挿入し、構築したプラスミドをそれぞれpE
T-robm、pET-robfxと命名した。大腸菌MM294(DE3)をpET
-robm、pET-robfxでそれぞれ形質転換し、T7プロモータ
ーの支配下でob遺伝子の発現を行った[Methods in Enzy
mology, 第185巻, 第60頁(1990年)]。形質転換した大
腸菌を公知の方法で培養し、得られた菌体の超音波破砕
したものを遠心分離し、沈殿をSDSポリアクリルアミド
ゲル電気泳動(SDS-PAGE)に供したところ、約15kDal付近
にob遺伝子の成熟体蛋白(以下、rOBmと称することもあ
る)の発現を、約43kDal付近にob遺伝子融合蛋白(以
下、rOBfxと称することもある)の発現を、それぞれCBB
染色によって特異的なバンドとして検出した。また、そ
れぞれの発現した産物(rOBmおよびrOBfx)はインクル
ージョン・ボディを形成したので、形質転換体の超音波
破砕物の沈澱画分から発現産物をそれぞれ回収した。成
熟体蛋白の沈殿を4M 尿素で懸濁し、4℃で一晩振盪して
可溶化した後、20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)に対して
透析し、尿素を除去した。この液を20mM Tris-HCl緩衝
液(pH7.5)で平衡化したHiLoadTM 16/60 Superdex 200
カラム[PharmaciaBiotech AB, Uppsala, Sweden]に供し
発現産物を回収した。ゲルろ過に供したrOBmは約35kDal
の位置に溶出された。この標品をSDS-PAGEに供したとこ
ろ、還元条件下では約15kDalのバンドとして、非還元条
件下で約30kDalのバンドとして、CBB染色で検出され
た。
【0022】実施例3. rOBfxに対する抗血清の作製 実施例2に記載した粗精製のrOBfxを等量の完全フロイ
ントアジュバントと混合し、その約1ml(抗原として25
0μg)をウサギの背部皮下に接種した。その後、粗精製
rOBfxと等量の不完全フロイント・アジュバントとを混
合したものを2週間おきに3回、背部皮下び接種し、最
後の接種後の7日目に採血した。得られた血液を37℃で
30分間、続いて4℃で一晩静置した後、遠心分離法によ
ってrOBfx抗血清を調製した。得られた抗血清を用いて
ウェスタンブロッティング法で分析したところ〔図1〕
に示すように、この抗血清は、実施例2記載の約43kDal
の融合蛋白rOBfx(レーン2参照)、約30kDalと約15kDa
lの成熟体蛋白rOBm(レーン3および4参照)をいずれ
も認識することが確認された。
【0023】実施例4. ラットob遺伝子 cDNAのCOS-7
細胞での発現 ラットob遺伝子 cDNAのクローニング・プラスミドpBSK-
robをEcoRI[宝酒造(株)]で消化し、0.58kbpのDNA断片
を得た。このDNA断片をKlenow fragment[宝酒造(株)]
を用いて平滑化し、クローニング・ベクターpUC19[宝酒
造(株)]のSmaI部位にサブクローニングしたプラスミ
ドp19-robを作製した。このプラスミドをEcoRIとXbaI
[宝酒造(株)]で消化して得られた、0.61kbpのDNA断片
を、動物細胞発現用ベクターpME18S[新生化学実験講座,
第2巻, 核酸III, 第95頁, 日本生化学編(1992年)]
のEcoRI-XbaI部位に挿入し、ラットob遺伝子 cDNAの動
物細胞発現用プラスミドpROB201を作製した。このプラ
スミドをCsCl密度勾配平衡遠心法[モレキュラー・クロ
ーニング(Molecular Cloning), 第1巻, 第1.42頁(1
989年)、 コールド・スプリング・ハーバーラ・ボラト
リー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Pres
s)]で精製し、COS-7細胞にDEAEデキストラン法[実験医
学,第5巻, 第1019頁(1987年)]によってトランスフェ
クションし、3日後に培養上清液を得た。この上清液を
モルカット[日本ミリポアリミテッド(NIHON MILLIPORE
LTD.)]で濃縮し、その濃縮液をSDS-PAGEに供した後、
実施例3のrOBfx抗血清を用いてウエスタンブロッティ
ング法で分析を行ったところ〔図2〕に示すように、還
元条件下では予想される約15kDalの産物(レーン3参
照)が、また非還元条件下では予想される約15kDalの産
物の他に一部、二量体と思われる約30kDalの産物も検出
された(レーン5参照)。
【0024】
【発明の効果】本発明で得られるラットob遺伝子および
その遺伝子産物は、肥満メカニズムの解明および肥満の
診断に用いることができる。例えば、本発明で得られる
ラットob遺伝子は、これをDNAプローブとして用い、公
知のノーザン・ブロッティング法により、生体内に発現
しているob遺伝子のmRNAの含量を測定することができ、
肥満要因の診断に用いることができる。また、該ob遺伝
子は、原核細胞または真核細胞に導入して得られる形質
転換体を用いて、その遺伝子産物を遺伝子工学的に発現
させることにより、該ob遺伝子産物を高純度かつ大量に
製造することが可能となる。本発明で得られるラットob
遺伝子産物を用いて作製される抗ob遺伝子産物抗体を用
いて、生体内における該ob遺伝子産物を蛍光抗体法また
はウエスタンブロッティング法により検出・測定するこ
とができ、ob遺伝子の異常に関連する肥満要因の診断に
用いることができる。
【0025】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:139 配列の型:アミノ酸 鎖の数:1本 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: His Lys Val Gln Asp Asp Thr Lys Thr Leu Ile Lys Thr Ile Val Thr 1 5 10 15 Arg Ile Asn Asp Ile Ser His Thr Gln Ser Val Ser Ala Arg Gln Arg 20 25 30 Val Thr Gly Leu Asp Phe Ile Pro Gly Leu His Pro Ile Leu Ser Leu 35 40 45 Ser Lys Met Asp Gln Thr Leu Ala Val Tyr Gln Gln Ile Leu Thr Ser 50 55 60 Leu Pro Ser Gln Asn Val Leu Gln Ile Ala His Asp Leu Glu Asn Leu 65 70 75 80 Arg Asp Leu Leu His Leu Leu Ala Phe Ser Lys Ser Cys Ser Leu Pro 85 90 95 Gln Thr Arg Gly Leu Gln Lys Pro Glu Ser Leu Asp Gly Val Leu Glu 100 105 110 Ala Ser Leu Tyr Ser Thr Glu Val Val Ala Leu Ser Arg Leu Gln Gly 115 120 125 Ser Leu Gln Asp Ile Leu Gln Gln Leu Asp Leu 130 135
【0026】配列番号:2 配列の長さ:167 配列の型:アミノ酸 鎖の数:1本 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: X Cys Trp Arg Pro Leu Cys Arg Phe Leu Trp Leu Trp Ser Tyr Leu 1 5 10 15 Ser Tyr Val Gln Ala Val Pro Ile His Lys Val Gln Asp Asp Thr Lys 20 25 30 Thr Leu Ile Lys Thr Ile Val Thr Arg Ile Asn Asp Ile Ser His Thr 35 40 45 Gln Ser Val Ser Ala Arg Gln Arg Val Thr Gly Leu Asp Phe Ile Pro 50 55 60 Gly Leu His Pro Ile Leu Ser Leu Ser Lys Met Asp Gln Thr Leu Ala 65 70 75 80 Val Tyr Gln Gln Ile Leu Thr Ser Leu Pro Ser Gln Asn Val Leu Gln 85 90 95 Ile Ala His Asp Leu Glu Asn Leu Arg Asp Leu Leu His Leu Leu Ala 100 105 110 Phe Ser Lys Ser Cys Ser Leu Pro Gln Thr Arg Gly Leu Gln Lys Pro 115 120 125 Glu Ser Leu Asp Gly Val Leu Glu Ala Ser Leu Tyr Ser Thr Glu Val 130 135 140 Val Ala Leu Ser Arg Leu Gln Gly Ser Leu Gln Asp Ile Leu Gln Gln 145 150 155 160 Leu Asp Leu Ser Pro Glu Cys 165 [配列表中、XはMetまたは水素を示す]
【0027】配列番号:3 配列の長さ:417 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ラット オルガネラ名:脂肪組織 配列: CACAAAGTCC AGGATGACAC CAAAACCCTC ATCAAGACCA TTGTCACCAG GATCAATGAC 60 ATTTCACACA CGCAGTCGGT ATCCGCCAGG CAGAGGGTCA CCGGTTTGGA CTTCATTCCC 120 GGGCTTCACC CCATTCTGAG TTTGTCCAAG ATGGACCAGA CCCTGGCAGT CTATCAACAG 180 ATCCTCACCA GCTTGCCTTC CCAAAACGTG CTGCAGATAG CTCATGACCT GGAGAACCTG 240 CGAGACCTCC TCCATCTGCT GGCCTTCTCC AAGAGCTGCT CCCTGCCGCA GACCCGTGGC 300 CTGCAGAAGC CAGAGAGCCT GGATGGCGTC CTGGAAGCCT CGCTCTACTC CACAGAGGTG 360 GTGGCTCTGA GCAGGCTGCA GGGCTCTCTG CAGGACATTC TTCAACAGTT GGACCTT 417
【0028】配列番号:4 配列の長さ:501 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ラット オルガネラ名:脂肪組織 配列: ATGTGCTGGA GACCCCTGTG CCGGTTCCTG TGGCTTTGGT CCTATCTGTC CTATGTTCAA 60 GCTGTGCCTA TCCACAAAGT CCAGGATGAC ACCAAAACCC TCATCAAGAC CATTGTCACC 120 AGGATCAATG ACATTTCACA CACGCAGTCG GTATCCGCCA GGCAGAGGGT CACCGGTTTG 180 GACTTCATTC CCGGGCTTCA CCCCATTCTG AGTTTGTCCA AGATGGACCA GACCCTGGCA 240 GTCTATCAAC AGATCCTCAC CAGCTTGCCT TCCCAAAACG TGCTGCAGAT AGCTCATGAC 300 CTGGAGAACC TGCGAGACCT CCTCCATCTG CTGGCCTTCT CCAAGAGCTG CTCCCTGCCG 360 CAGACCCGTG GCCTGCAGAA GCCAGAGAGC CTGGATGGCG TCCTGGAAGC CTCGCTCTAC 420 TCCACAGAGG TGGTGGCTCT GAGCAGGCTG CAGGGCTCTC TGCAGGACAT TCTTCAACAG 480 TTGGACCTTA GCCCTGAATG C 501
【0029】配列番号:5 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:センス 配列: AATGTGCTGG AGACCCCTGT 20
【0030】配列番号:6 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:アンチセンス 配列: CAGCATTCAG GGCTAACATC 20
【0031】配列番号:7 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:アンチセンス 配列: ATCCTGGTGA CAATGGTC 18
【0032】配列番号:8 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:アンチセンス 配列: CTGTTGATAG ACTGCCAG 18
【0033】配列番号:9 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:センス 配列: TGCTCCAGCA GCTGCAAGGT 20
【0034】配列番号:10 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:センス 配列: CAAGAGGAAT TCCCCAGCGA GGAAA
25
【0035】配列番号:11 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:アンチセンス 配列: TGAGGATACC TGGGAGCCAA 20
【0036】配列番号:12 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:アンチセンス 配列: GGGAATTCCC TCAACATGAT CCTCG 25
【0037】配列番号:13 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:センス 配列: TCATATGGTG CCTATCCACA AAGTC 25
【0038】配列番号:14 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:センス 配列: CGGATCCACA AAGTCCAGGA TGACA 25
【0039】配列番号:15 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:アンチセンス 配列: TTGGATCCCT CAACATGATC CTCGG 25
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3におけるウエスタンブロッティング
分析の結果を示した図である。
【図2】 実施例4におけるウエスタンブロッティング
分析の結果を示した図である。
【符号の説明】 M:分子量マーカー KDal:キロダルトン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 39/395 9162−4B C12N 15/00 ZNAA (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を含
    有するポリペプチド。
  2. 【請求項2】 配列番号2で表されるアミノ酸配列を含
    有するポリペプチド。
  3. 【請求項3】 ラット肥満cDNAをコードする遺伝子産物
    である請求項1または2記載のポリペプチド。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のポリペプチドを
    コードする組換えDNA。
  5. 【請求項5】 配列番号3で表されるDNA配列を含有す
    る請求項4記載の組換えDNA。
  6. 【請求項6】 配列番号4で表されるDNA配列を含有す
    る請求項4記載の組換えDNA。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の組換えDNAを含有するベ
    クター。
  8. 【請求項8】 請求項4記載の組換えDNAで形質転換さ
    れた宿主細胞。
  9. 【請求項9】 大腸菌である請求項8記載の宿主細胞。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の宿主細胞を培地中で培
    養し、培養物中に請求項1または2記載のポリペプチド
    を生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする該
    ポリペプチドの製造法。
  11. 【請求項11】 ラット肥満cDNAをコードする遺伝子産
    物と反応する抗体。
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