JP2601199B2 - ヒトインターロイキン−2蛋白質 - Google Patents

ヒトインターロイキン−2蛋白質

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JP2601199B2
JP2601199B2 JP6156316A JP15631694A JP2601199B2 JP 2601199 B2 JP2601199 B2 JP 2601199B2 JP 6156316 A JP6156316 A JP 6156316A JP 15631694 A JP15631694 A JP 15631694A JP 2601199 B2 JP2601199 B2 JP 2601199B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、ヒトインターロイキン−2蛋白
質に関する。
【0002】インターロイキン−2〔以下IL−2と略
称することもある。なおIL−2は、T細胞増殖因子
(TCGF)とも呼ばれる。〕は、レクチンやアロ抗原
等で刺激されたT細胞によって生産されるリンホカイン
である〔サイエンス,第193巻,1007頁(197
6年);イムノロジカル・レビュー,第51巻,257
頁(1980年)〕。IL−2は、T細胞をインビトロ
でその機能を保持したまま増殖させ長期間の継代維持を
可能にするほかに、今までに胸腺細胞のマイトージエン
反応を促進したり(コステイミュレーター)、ヌードマ
ウス脾細胞のT細胞依存性抗原に対する抗体産生能を回
復させたり(T細胞リプレーシングファクター)、キラ
ー細胞の分化増殖を促進する(キラーヘルパーファクタ
ー)活性を有すると報告されている〔ザ・ジャーナル・
オブ・イムノロジー,第123巻,2928頁(197
9年),イムノロジカル・レビュー,第51巻,257
頁(1980年)〕。
【0003】IL−2を利用して、これまでにキラーT
細胞やヘルパーT細胞、さらにはナチュラルキラー細胞
などのクローンが多数得られている〔たとえば、ネイチ
ャー,第268巻,154頁(1977年);ザ・ジャ
ーナル・オブ・イムノロジー,第130巻,981頁
(1983年)〕。このようなT細胞やナチュラルキラ
ー細胞のクローン化という直接的用途のほかに、IL−
2を用いてある特殊な抗原、たとえば腫瘍抗原を認識し
破壊する抗原特異的なキラーT細胞をインビトロで選択
的に増殖させることができる。このようにして増殖させ
た腫瘍特異的キラーT細胞を動物に移入して腫瘍の増殖
を抑制阻止することが可能である〔ザ・ジャーナル・オ
ブ・イムノロジー,第125巻,1904頁(1980
年)〕。また、IL−2がインターフェロンγの産生を
誘導すること〔(ザ・ジャーナル・オブ・イムノロジ
ー,第130巻,1784頁(1983年)〕や、ナチ
ュラルキラー細胞を活性化すること〔ザ・ジャーナル・
オブ・イムノロジー,第130巻,1970頁(198
3年)〕が知られている。これらの実験事実はIL−2
が抗腫瘍剤として用いられる可能性を示すものである。
IL−2はまた、胸腺機能を欠如しているヌードマウス
のヘルパーT細胞機能を回復させること〔ヨーロピアン
・ジャーナル・オブ・イムノロジー,第10巻,719
頁(1980年)〕や、同種細胞に対するキラーT細胞
の誘導を回復させること〔ネイチャー,第284巻,2
78頁(1980年)〕が知られており、免疫機能低下
疾患への応用も期待できる。しかしながら、ヒトIL−
2は量産が困難であるために、現時点では臨床への応用
が不可能であり、純度の高いヒトIL−2を容易により
安価に大量生産できる技術の開発が望まれている。Tani
guchi らは、ヒトT白血病細胞株 Jurkat のIL−2 m
RNAを素材にヒトIL−2遺伝子をクローニングし、
それから推定されるヒトIL−2蛋白質のアミノ酸配列
を報告した〔ネイチャー,第302巻,305頁(19
83年)〕。その後、Devos らは、ヒト脾臓細胞由来の
IL−2遺伝子をクローニングして、大腸菌で発現した
ことを報告している〔ザ・ヌクレイック・アシッド・リ
サーチ,第11巻,4307頁(1983年)〕。しか
し、これまではTCGF活性を有することによりIL−
2様物質の存在が推定されていたのみで、現実にヒトI
L−2をコードするDNAを含有する形質転換体の産生
するヒトIL−2蛋白質を精製取得したとの報告はな
い。
【0004】本発明者らは、遺伝子操作技術を利用して
ヒトIL−2遺伝子をクローニングし、得られた組換え
DNA分子を宿主に移入してヒトIL−2遺伝子を発現
させ、目的とするIL−2遺伝子を得ることのできる技
術の開発研究を行った結果、実質的に純粋な非グリコシ
ル化ヒトIL−2蛋白質の製造法を確立し、本発明を完
成した。すなわち、本発明は、大腸菌形質転換体の培養
により得られ、ヒト末梢血リンパ球を5×10個/m
lとなるように10%FCS添加PRMI1640培地
に浮遊しコンカナバリン−A40μg/mlおよび12
−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート
15ng/mlを添加して37℃で5%COの存在下
に48時間培養した培養液の上清を1U/mlと定める
方法により測定される10U/mg以上の比活性を有
し、エンドトキシンおよび発熱性物質を実質的に含有し
ない、実質的に純粋な非グリコシル化ヒトインターロイ
キン−2蛋白質を提供するものである。本発明で用いら
れるヒトIL−2をコードするDNAは、例えば〔図
2〕中コドン1〜133で示される塩基配列のDNA
(I)があげられる。このDNA(I)は、その5’末
端にATGまたは〔図2〕中コドンS1〜S20で示さ
れるシグナルコドンを有していてもよく、3’末端にT
AA,TGAまたはTAGを有することが好ましく、と
りわけTGAが好ましい。DNA(I)はプロモーター
の下流に連結されていることが好ましく、これらプロモ
ーターとしてトリプトファン(trp)プロモーター,
レックA(recA)プロモーター,λPLプロモータ
ーなどが挙げられ、とりわけtrpプロモーターが好適
である。本発明においては、例えばコンカナバリンAな
どで剌激されたヒト末梢白血球の培養液からヒトIL−
2をコードするmRNAを分離し、逆転写酵素などを用
いて単鎖のcDNAを合成した後、二重鎖DNAを合成
する。ついで、プラスミドに導入して、例えば大腸菌や
枯草菌などを形質転換させ、これよりcDNA含有プラ
スミドを単離することによりヒトIL−2をコードする
二重鎖DNAを製造することができる。
【0005】本発明で用いられるヒトIL−2をコード
する mRNAは Hinuma らの方法〔バイオケミカル・ア
ンド・バイオフィジィカル・リサーチ・コミュニケイシ
ョンズ,第109巻,363頁(1982年)〕によっ
て得ることができる。得られたヒトIL−2 mRNAを
鋳型として、逆転写酵素を用い自体公知の方法で、cD
NA鎖を合成し、cDNAを二本鎖DNAへ変換する〔M
aniatis, T. ら、セル,第8巻,163頁(1976
年);Land, H. ら、ヌクレイック・アシッド・リサー
チ,第9巻,2251頁(1981年)〕。このDNA
を、例えばdG−dCホモポリマー結合法〔Nelson, T.
S., メソッズ・イン・エンジモロジー,第68巻,41
頁(1979年)〕によりたとえばプラスミド pBR3
22のPstI制限エンドヌクレアーゼ切断部位に組み込
ませる。さらに、例えばヒトIL−2の一部のアミノ酸
配列に対応する塩基配列をもつオリゴヌクレオタイドを
化学合成した後、32Pでラベルしてプローブとなし自体
公知の方法でコロニーハイブリダイゼイション法〔Grun
stein, M., Hogness, D. S., プロシーディングス・オ
ブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・US
A,第72巻,3961頁(1975年)〕;Alwine,
J. C. ら、メソッズ・イン・エンジモロジー,第68
巻,220頁(1979年)〕により、テトラサイクリ
ン耐性あるいはアンピシリン感受性のトランスフォーマ
ントの中から求めるクローンを選出する。上記ハイブリ
ダイゼイション法で陽性を示したクローンのDNAの塩
基配列をMaxam−Gilbert法〔Maxam, A. M. ら、プロシ
ーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンス・USA,第74巻,560頁(197
7年)〕あるいはファージM13を用いたジヌクレオチ
ド合成鎖停止の方法〔Messing, J. ら、ヌクレイック・
アシッド・リサーチ,第9巻,309頁(1981
年)〕により決定し、ヒトIL−2遺伝子の存在を確認
する。次に、得られたクローンからヒトIL−2遺伝子
の全部あるいは一部を切り出し、プラスミド中の適当な
プロモーター,SD(シャイン・アンド・ダルガーノ)
塩基配列の下流につないで適当な宿主に導入することが
できる。
【0006】プロモーターとしては trp プロモーター
などが、宿主としては大腸菌(294株,DH 1株な
ど)などが有利に用いられる。なお大腸菌294株〔Be
ckman ら、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス・USA,第73巻,
4174頁(1976年)〕およびDH 1株〔Selson,
M. E. ら、ネイチャー,第217巻,1110頁(1
968年)〕はいずれも公知の菌株である。DNAによ
る宿主の形質転換は公知の方法〔Cohen, S. N. ら、プ
ロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンス・USA,第69巻,2110頁
(1972年)〕により実施することができる。このよ
うにして得られた宿主はそれ自体公知の培地、例えばグ
ルコース,カザミノ酸を含むM9培地〔Miller, J., エ
クスペリメンツ・モレキュラー・ジェネテックス,43
1頁−433頁(コールド・スプリング・ハーバー・ラ
ボラトリー,ニューヨーク,1972年)〕中で培養さ
れる。trp プロモーターを使用する場合は、それを効率
よく働かせるために、例えば3−β−インドリルアクリ
ル酸のような薬剤を加えることができる。培養は通常1
5〜43℃で3〜24時間行ない必要に応じて通気ある
いは撹拌することもできる。かくして生成されるヒトI
L−2の測定にはIL−2依存性細胞株を用いることが
できるが、ヒトIL−2はヒト以外にラットおよびマウ
スなどのIL−2依存性細胞の増殖をも促進することが
知られている〔イムノロジカル・レビュー,第51巻,
257頁(1980年)〕ので、IL−2依存性ヒト細
胞株のみならずラットまたはマウスのIL−2依存性細
胞株を用いることもできる〔ジャーナル・オブ・イムノ
ロジー,第130巻,981頁および988頁(198
3年)〕。特にマウスのIL−2依存性細胞株は、長期
間安定に継代維持され得るので再現性の高い測定結果が
得られる。
【0007】本発明のヒトIL−2を培養菌体から抽出
するに際しては、培養後、公知の方法で菌体を集め、菌
体を塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤を含む緩衝液に
懸濁し、冷所で撹拌したのち、遠心分離によりIL−2
を含む上澄液を得る方法、あるいは緩衝液に懸濁し、超
音波処理,リゾチームおよび(または)凍結融解によっ
て菌体を破壊したのち、遠心分離によりIL−2を含む
上澄液を得る方法などが適宜用い得る。上記上澄液から
IL−2を分離,精製するには、自体公知の分離,精製
法を適切に組み合わせて行うことができる。これらの公
知の分離,精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶
解度を利用する方法,透析法,限外濾過法,ゲル濾過法
およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法など
の主として分子量の差を利用する方法,イオン交換クロ
マトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法,アフィ
ニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用
する方法,逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水
性の差を利用する方法,等電点電気泳動法などの等電点
の差を利用する方法などが挙げられる。特に、ヒトIL
−2蛋白質は高い疎水性を有しているので、疎水性カラ
ムクロマトグラフィーとりわけ逆相系カラムを用いる高
速液体クロマトグラフィーは該蛋白質の精製に極めて有
効である。したがって、本発明の精製工程においては、
逆相高速液体クロマトグラフィーを用いる工程が採用さ
れる。
【0008】例えば、ヒトIL−2をコードする遺伝子
を含有する大腸菌を培養して得られる菌体を塩酸グアニ
ジン(好ましくは2M〜8Mの濃度で用いる)などの蛋
白質変性剤に懸濁させ、撹拌後遠心分離により上澄液を
集める。上澄液をそのままあるいは限外濾過装置などに
より濃縮して透析し、生じた沈澱を遠心分離により除
き、得られる上澄液を、たとえばジエチルアミノエチル
セルロース〔DE52セルロース(ワットマン社製,ア
メリカ)カラムなど〕を用いて陰イオン交換クロマトグ
ラフィーを行い活性画分を集める。次いで、活性画分を
限外濾過装置を用いて濃縮したあと、たとえばN,N′
−メチレンビスアクリルアミド架橋アリルデキストラン
たとえばセファクリルS−200(ファルマシア社製,
スエーデン)カラム等を用いるゲル濾過を行う。活性画
分を集め、ついで前記した高速液体クロマトグラフィー
を行う。このような方法により、本発明の非グリコシル
化ヒトIL−2を取得することができる。なお、ここで
高速液体クロマトグラフィーに用いる逆相系カラムとし
ては、例えばアルキル化(C1-18程度)ケイ素のものが
挙げられる。溶出溶媒としては、C1-6の低級アルカノ
ール(エタノール,プロパノールなど)やアセトニトリ
ルが有利に使用でき、pH1.5〜4のものが好ましい。
溶出速度は0.1〜100ml/min が好ましい。ここで
得られるヒトIL−2蛋白質溶液は必要によりこれを凍
結乾燥により粉末とすることができる。凍結乾燥に際し
ては、ソルビトール,マンニトール,デキストロース,
マルトース,グリセロール,ヒト血清アルブミン(HS
A)などの安定剤を加えることができる。
【0009】本発明で得られるヒトIL−2蛋白質はI
L−2依存性マウス細胞を用いて放射性チミジンの取込
みを指標とするIL−2活性測定において、1×104
U/mg 以上の比活性を示すものである。本発明によれ
ば、2×104U/mg 以上、3×104U/mg にも達す
る比活性を示す高純度の非グリコシル化ヒトIL−2蛋
白質を得ることができる。なお、ここでIL−2の活性
としての単位(U)の算出方法は以下のようにして行っ
た。すなわち、IL−2濃度に依存して増殖するマウス
細胞株を浮遊した培地にIL−2を含む検体を加えて培
養し、該細胞株の増殖をトリチウムチミジンの取込を指
標として求めた。目的とする検体中のユニット(U)算出
のためには、常に標準IL−2(1U/ml)を並べてア
ッセイを実施して、その比率からユニットを算出した。
具体的には、ヒトIL−2を含有するコンディションド
メジウムを含む20%FCS加RPMI 1640培地
中で、37℃で5%CO2の存在下に継代維持されたI
L−2依存性マウス細胞株(NKC3),Hinuma ら、
バイオケミカル・バイオフイジカル・リサーチ・コミュ
ニケイションズ,第109巻,363頁(1982
年)〕を無血清RPMI 1640培地を用いて2回洗
浄し、20%FCS加RPMI 1640培地に6×1
5個/mlになるように再浮遊する。IL−2を含む資
料50μl を96穴平底マイクロタイタープレート(ヌ
ンク社,デンマーク)の第1列目の穴に入れ、50μl
ずつの20%FCS加RPMI 1640培地を用いて
第12列目まで順次2倍段階希釈系列を作成後、上記N
KC3細胞浮遊液を50μl ずつ各穴に分注し、37
℃で5%CO2の存在下に24時間培養する。培養20
時間目に、各穴に1μCi ずつトリチウムチミジン(ア
マルシャム社,イギリス)を添加してさらに4時間培養
を継続後、セルハーベスター(フロー社,アメリカ)を
使用して細胞をガラスフィルター上に回収し、液体シン
チレーションカウンターを用いてトリチウムチミジンの
取込を測定する。測定に際しては標準IL−2標品につ
いて資料と同一の操作を行い、トリチウムチミジンの取
込を測定する。
【0010】ユニット(U)の計算はジャーナル・オブ・
イムノロジー,第120巻,2027頁(1978年)
に準じてプロビット変換法により行う。すなわち、標準
IL−2標品(ヒト末梢血リンパ球を5×106個/ml
となるように10%FCS加RPMI 1640培地に
浮遊し、コンカナバリン−A40μg および12−O−
テトラデカノイルホルボール−13−アセテート15ng
/mlを添加して、37℃で5%CO2の存在下に48時
間培養した培養液の遠心上清を1U/mlと定める)の希
釈系列のうち最大値の取込を100%として、各希釈段
階の取込値の割合(%)を計算する。得られた数値を正規
確率紙にプロットし、50%の取込を示す希釈倍数を作
図から求める。同様にしてIL−2を含む各資料につい
ても50%の取込を示す希釈倍数を求める。資料のIL
−2濃度(U/ml)は次式に従って計算される:
【数1】 なお、本定量法によって求めたヒト末梢血から得られた
天然のIL−2比活性は、20,000〜70,000U
/mgであり、本発明の非グリコシル化ヒトIL−2蛋白
質とほぼ同等の比活性を示した。
【0011】本発明の非グリコシル化ヒトIL−2蛋白
質は、好ましくは〔図3〕(配列表:配列番号2)に示
すアミノ酸配列〔該図中、XはMet または水素を示
す〕からなるポリペプチド(II)を含有するものである。
本発明により製造されるヒトIL−2蛋白質は下記の性
状を有する。 1) SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で均一で
あり、本法による分子量測定値は15,000±100
0ダルトンである。 2) アミノ末端アミノ酸としてはアラニンまたはメチオ
ニンを有する。 3) カルボキシ末端アミノ酸としてスレオニンを有す
る。 4) 正常なT細胞やナチュラルキラー細胞をその機能を
保持させたまま増殖させる活性を有する。
【0012】本発明により製造されるヒトIL−2蛋白
質は、リムラス試験〔ヘモスターシス,第7巻,183
頁(1978年)〕陰性であり、夾雑蛋白質、発熱物質
がきわめて少ないので注射剤原体等として安全に使用さ
れる。本発明により得られる非グリコシル化ヒトIL−
2蛋白質は、低毒性で、正常なT細胞やナチュラルキラ
ー細胞をその機能を保持させたまま増殖させる活性を有
する。したがって、本発明のIL−2蛋白質は、T細胞
やナチュラルキラー細胞をインビトロで長期にわたり増
殖,継代したりクローン化するのに使用できる。なお、
この性質を利用してヒトIL−2の活性を測定すること
ができる。さらに、本発明のヒトIL−2蛋白質は、た
とえば腫瘍抗原を認識し、破壊する抗原特異的なキラー
T細胞や抗原感作の経験の有無と無関係に腫瘍を殺す能
力をもつところのナチュラルキラー細胞をインビトロで
選択的に増殖させることができ、またこのキラーT細胞
を生体へ移入する際に、本発明のヒトIL−2を同時に
接種することにより、その抗腫瘍効果を増大させること
から、温血動物(例、マウス,ラット,ウサギ,犬,ネ
コ,ブタ,ウマ,ヒツジ,ウシ,人など)の腫瘍の予
防,治療や免疫機能低下疾患の治療のために用いること
ができる。本発明のヒトIL−2蛋白質は高純度に精製
されているので抗原性がなく低毒性である。本発明のヒ
トIL−2蛋白質を腫瘍の予防,治療剤として用いるに
は、当該蛋白質を自体公知の担体と混合希釈して、たと
えば注射剤,カプセル剤などとして非経口的にまたは経
口的に投与することができる。さらに、前述したように
インビトロで増殖させたキラーT細胞やナチュラルキラ
ー細胞と共にまたは単独で使用することができる。
【0013】本発明のヒトIL−2蛋白質は、公知の天
然から分離されたヒトIL−2と実質的に同じ生物活性
を有するのでこれと同様に使用することができ、細胞の
IL−2受容体との解離定数がきわめて小さいことか
ら、極く小量の投与で良い。T細胞をインビトロで増殖
させる目的に使用するためには、本発明のヒトIL−2
を約0.01〜1ユニット/ml、好ましくは約0.1〜
0.5ユニット/mlの濃度で培地に添加して用いること
ができる。T細胞をインビトロで増殖させる目的に使用
する具体例としては、たとえば、20%ウシ胎児血清を
含むRPMI 1640培地にヒト末梢血より分離した
T細胞(1×106個/ml)およびX線(1500ラッ
ド)照射したB細胞トランスフォーマント(1×106
個/ml)を加えて37℃,5%CO2 存在下で3日間リ
ンパ球混合培養を行なって得られるアロ抗原感作T細胞
を含む細胞浮遊液に本発明のIL−2蛋白質を0.1〜
0.5ユニット/mlの濃度で約一週間ごとに培地交換し
ながら約1か月間培養を続ける方法などが挙げられる。
下記実施例に開示している形質転換体,大腸菌 E. coli
DH 1/pTF4は財団法人発酵研究所(Institute f
or Fermentation, Osaka)にIFO−14299として
寄託されており、また本形質転換体は、通商産業省工業
技術院微生物工業技術研究所(FRI)に受託番号FE
RM P−7578として寄託され、該寄託はブダペス
ト条約に基づく寄託に切換えられて、受託番号FERM
BP−628として同研究所(FRI)に保管されて
いる。なお、本願明細書および図面において、塩基やア
ミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略
号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を〔表1〕に挙げる。また、アミノ酸に関し
光学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL−
体を示すものとする。
【表1】
【0014】実施例1 (i) ヒトIL−2をコードする mRNAの分離 ヒト末梢血より調製したリンパ球を12−O−テトラデ
カノイルホルボール−13−アセテート(TPA)(1
5ng/ml)とコンカナバリンA(40μg/ml)を含むR
PMI 1640培地(10%の牛胎児血清を含む)
中、37℃で培養し、IL−2を誘導させた。24時間
後、この誘導した1×1010個のヒトリンパ球を5Mグ
アニジンチオシアネート、5%メルカプトエタノール、
50mM Tris・HCl pH7.6,10mM EDTA溶
液中でテフロンホモゲナイザーによって破壊変性した後
N−ラウロイリルザルコシン酸ナトリウムを4%になる
ように加え、均質化した混合物を5.7M塩化セシウム
溶液(5.7M塩化セシウム,0.1M EDTA)6ml上
に重層し、ベックマンSW28のローターを用いて15
℃で24000rpm 48時間遠心処理を行い、RNA沈
澱を得た。このRNA沈澱を0.25%N−ラウロイル
ザルコシン酸ナトリウム溶液にとかした後、エタノール
で沈澱させ、10mgのRNAを得た。このRNAを高塩
溶液〔0.5MNaCl,10mM Tris・HCl pH7.
6,1mM EDTA,0.3% SDS〕中でオリゴ(d
T)セルロースカラムに吸着させ、ポリ(A)を含む mR
NAを低塩溶液〔10mM Tris−HCl・pH7.6,1
mM EDTA,0.3% SDS〕で溶出させることによ
り、ポリ(A)を含む mRNA300μgを分取した。こ
の mRNAを更にエタノールで沈澱させ、0.2mlの溶
液(10mM Tris・HCl pH7.6,2mM EDT
A,0.3% SDS)に溶かし、65℃で2分間処理し
て10〜35%ショ糖密度勾配遠心処理(ベックマンS
W28のローターを用いて20℃,25000rpm で2
1時間遠心分離)することにより分画して22分画を得
た。この各分画につきRNAの一部ずつを、アフリカツ
メガエルの卵母細胞に注入し、合成される蛋白質中のI
L−2活性を測定し、分画11〜15(沈降定数8S〜
15S)にIL−2の活性を検出した。この分画のIL
−2mRNAは約25μg であった。
【0015】(ii) 単鎖DNAの合成 上記で得た mRNAおよび逆転写酵素を用い、100μ
l の反応液(5μgのmRNA,50μgオリゴ(dT),
100ユニットの逆転写酵素,1mMずつの dATP.dCT
P,dGTPおよび dTTP,8mM MgCl2,50mM
KCl,10mMジチオスレイトール,50mM Tris−
HCl pH8.3)中で42℃,1時間インキュベートし
た後に、フェノールで除蛋白し、0.1NのNaOHで7
0℃,20分処理してRNAを分解除去した。 (iii) 二重鎖DNAの合成 ここで合成された単鎖の相補DNAを50μl の反応液
(mRNAとオリゴdTを含まない以外は上記と同じ反応
液)中で42℃2時間反応させることにより二重鎖DN
Aを合成した。 (iv) dCテイルの付加 この二重鎖DNAにヌクレアーゼS1を50μl の反応
液(二重鎖DNA 0.1M酢酸ナトリウム pH4.5,
0.25M NaCl,1.5mM ZnSO4,60ユニット
のS1ヌクレアーゼ)中で室温30分間作用させ、フェ
ノールで除蛋白し、エタノールでDNAを沈澱させた
後、これにターミナルトランスフェラーゼを50μl の
反応液(二重鎖DNA,0.14Mカコジル酸カリ,0.
3M Tris(塩基)pH7.6,2mMジチオスレイトー
ル,1mM CoCl2,0.15mM dCTP,30ユニッ
トターミナルトランスフェラーゼ)中で3分間37℃で
作用させ二重鎖DNAの3′両端に約15個のデオキシ
シチジン鎖を伸長させた。これらの一連の反応で約30
0ngのデオキシシチジン鎖をもった二重鎖DNAを得
た。 (v) 大腸菌プラスミドの開裂ならびにdGテイルの付
加 一方、10μg の大腸菌プラスミド pBR322DNA
に制限酵素PstIを50μl の反応液(10μg DN
A,50mM NaCl,6mM Tris・HCl・pH7.4,
6mM MgCl2,6mM 2−メルカプトエタノール,1
00μg/ml 牛血清アルブミン,20ユニットのPst
I)中で3時間37℃で作用させて pBR322DNA
中に1ケ所存在するPstI認識部位を切断し、フェノー
ルで除蛋白した後、ターミナルトランスフェラーゼを5
0μl の反応液(DNA 10μg,0.14Mカコジル酸
カリ,0.3M Tris・塩基 pH7.6,2mMジチオス
レイトール,1mM CoCl2,0.15mM GTP,30
ユニットターミナルトランスフェラーゼ)中で3分間3
7℃で作用させ上記プラスミド pBR322DNAの
3′両端に約17個のデオキシグアニン鎖を延長させ
た。
【0016】(vi) cDNAの会合ならびに大腸菌の形
質変換 このようにして得られた合成二重鎖DNA 0.1μg と
上記プラスミド pBR322,0.5μg を0.1M Na
Cl,50mM Tris・HCl pH7.6,1mMEDTA
よりなる溶液中で65℃2分間、45℃2時間加熱しそ
の後除冷して会合させ Enaa らの方法〔J. Mol. Biol.,
96,495(1975)〕に従って大腸菌MM29
4を形質転換させた。 (vii) cDNA含有プラスミドの単離 このようにして約20,000個のテトラサイクリン耐
性株が単離され、これら各々のDNAをニトロセルロー
スフィルターの上に固定した。次いで Taniguchiらの報
告〔Nature, 302,305(1983年)〕したIL
−2のアミノ酸配列をもとにしてアミノ酸 No. 74〜
78(Lys74−His−Leu−Gln−Cys)およびアミノ
酸 No. 122〜126(Thr122−Phe−Met−Cys−
Glu)に対応する塩基配列(5’AAA CAT CT
T CAG TGT3’および5’ACA TTC A
TG TGT GAA3’にそれぞれ相補するオリゴヌ
クレオチド)をトリエステル法〔Crsa, R. ら Proc, Na
tl. Acad. Sci. USA, ,5765(197
8)〕により化学合成した。このオリゴヌクレオチドに
対してT4ポリヌクレオチドカイネースを用いて50μ
l の反応液(オリゴヌクレオチド0.20μg,50mM
Tris・HCl pH8.0,10mM MgCl2, 10mMメ
ルカプトエタノール,50μCiγ−32PATP,3ユ
ニットT4ポリヌクレオチドカイネース)中で1時間3
7℃で反応させ、5′末端を32Pで標識した。この標識
されたオリゴヌクレオチドをプローブとして Lawn らの
方法〔Nucleic Acids Res., ,6103(198
1)〕に従って上記のニトロセルロースフィルター上に
固定したDNAに会合させ、オートラジオグラフィーに
よって上記二種類のオリゴヌクレオチドプローブに反応
する菌株を4個単離した。これらの菌株の各々の菌体か
らプラスミドDNAをアルカリ法〔Birncoim H. C. &
Doly, J. Nucleic Acids Res., ,1513(197
9)〕によって単離した。次にプラスミドDNAの挿入
部を制限酵素PstIにより切り出し、分離したプラスミ
ドのうちでその挿入部の長さの最も長い断片を含むもの
をえらび、このプラスミドをpILOT 135−8と名
づけた。このプラスミドの制限酵素地図を〔図1〕に示
す。次にこのpILOT−135−8プラスミドに挿入
されたcDNAの配列の一次構造(塩基配列)をジデオ
キシヌクレオチド法と Maxma−Gilbert 法によって決定
した。その一次構造は〔図2〕(配列表:配列番号1)
に示した。この塩基配列により規定されるペプチドはそ
の合成開始信号(No. 64〜66のATG)から始まっ
て153個のアミノ酸から成る。この中N末端から20
個のアミノ酸はシグナルペプチドと考えられる。上記の
一次構造から、このプラスミドはヒトIL−2蛋白質を
コードする塩基配列を全部持っていることが判明した。
この事実によってプラスミドに組み込まれた遺伝子を他
の発現用プラスミドに組み込むことによりIL−2蛋白
質の任意のポリペプチドを生産することができる。
【0017】実施例2 実施例1で得たプラスミドpILOT 135−8を制限
酵素HgiA1で切断し、1294bpのIL−2遺伝子を
含むDNA断片を得た。このDNA断片をT4ポリメラ
ーゼで処理した後、アラニンのコドンGCAとメチオニ
ンのコドンATGを有するClaIのリンカー,CGAT
A ATGGCAを結合させClaI,PstI処理した
後、ptrp 771のClaI,PstI siteに組み込み、得
られた発現用プラスミドをpTF4と命名した(〔図
4〕)。
【0018】実施例3 実施例2で得たプラスミド pTF4を用いて Cohen ら
の方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69,21
10(1972)〕に準じて大腸菌DH 1を形質転換
させ、当該プラスミドを含む形質転換体(Escherichia
coli DH 1/pTF4)を得た。
【0019】実施例4 実施例3で得た E. coli DH 1/pTF4を250ml
容三角フラスコ内のバクト・トリプトン(ディフコ・ラ
ボラトリーズ,アメリカ)1%,バクト・イーストエキ
ス(ディフコ・ラボラトリーズ,アメリカ)0.5%,
食塩0.5%およびテトラサイクリン7μg/mlを含む液
体培地(pH7.0)50mlに接種して37℃で1晩回転
振盪培養した。この培養液をカザミノ酸0.5%,グル
コース0.5%およびテトラサイクリン7μg/mlを含む
M9培地2.5リットルの入った5リットル容ジャーフ
ァーメンターに移し37℃で4時間、ついで3−β−イ
ンドリルアクリル酸(25μg/ml)を添加して、さら
に4時間通気撹拌培養して培養液2.5リットルを得
た。この培養液を遠心分離し、菌体を集め、−80℃で
凍結して保存した。
【0020】実施例5 実施例4で得た凍結保存菌体12.1gを7M塩酸グア
ニジン,0.1M Tris・HCl を含む抽出液(pH7.
0)100mlに均一に懸濁し、4℃で1時間撹拌した。
この溶菌液を28,000×gで20分間遠心分離して
上清93mlを得た。
【0021】実施例6 実施例5で得た上清を0.01M Tris/HCl 緩衝液
(pH8.5)に対して透析後19,000×gで10分
間遠心分離して透析上清94mlを得た。この透析上清を
0.01M Tris−HCl緩衝液(pH8.5)で平衡化し
たDE 52(DEAE−セルロース,ワットマン社
製,イギリス)カラム(50ml容)に通して蛋白を吸着
させ、NaCl 濃度直線勾配(0〜0.15M NaCl,
1リットル) を作成してIL−2を溶出させた。活性
画分53mlをYM−5メンブラン(アミコン社製,アメ
リカ)を用いて4.8mlに濃縮し、0.1M Tris・HC
l(pH8.0)−1M NaCl 緩衝液で平衡化したセフ
ァクリルS−200(ファルマシ ア社製,スエーデ
ン)カラム(500ml容)を用いてゲル濾過を行った。
活性画分28mlをYM−5メンブランで2.5mlに濃縮
した。得られた濃縮液をウルト ラポアRPSC(アル
テックス社製,アメリカ)カラムに吸着させ、トリフル
オロ酢酸−アセトニトリル系を溶出溶媒とする高速液体
クロマトグラフィーを行った。カラム,ウルトラポアR
PSC(4.6×75mm);カラム温度,30℃;溶出
溶媒A,0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%水;溶出
溶媒B,0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%アセトニ
トリル;溶出プログラム,0分(68%A+32%B)
−25分(55%A+45%B)−35分(45%A+
55%B)−45分(30%A+70%B)−48分
(100%B);溶出速度,0.8ml/min;検出波長,
230nm。本条件下で保持時間約39分の活性画分を集
め、非グリコシル化ヒトIL−2蛋白質0.53mg〔比
活性,30,000U/mg,出発材料からの活性回収
率,30.6%;蛋白質の純度,99%(デンシトメト
リーによる)〕を含む溶液10mlを得た。上記溶液を凍
結乾燥に付し、白色粉末を得た。本粉末の比活性は2
6,000U/mgであった。
【0022】実施例7 実施例6で得たヒトIL−2蛋白質について以下の諸性
質を調べた。 (1) 単一性:ラエムリの方法〔Nature, 227,68
0(1970)〕に準じてSDS−ポリアクリルアミド
スラブゲル電気泳動を行ったあとクマジーブリリアント
ブルーで染色した結果、該ヒトIL−2蛋白質は単一の
バンドを示した(〔図5〕参照)。バンドの位置は還元
条件下でも非還元条件下でも変わらなかった。 (2) 分子量:該ヒトIL−2蛋白質の分子量は、SD
S−ポリアクリルアミドスラブゲル電気泳動から約1
5,000ダルトンと算出された(〔図5〕参照)。上
記(1)項および(2)項の結果から、実施例6で得たヒト
IL−2蛋白質はオリゴマーを実質的に含んでいないこ
とが明らかである。
【0023】(3) アミノ酸組成:該ヒトIL−2蛋白
質20μg をガラス製加水分解用試験管にとり、4%チ
オグリコール酸を含む定沸点塩酸を加えて、減圧下に封
管したのち、110℃で24,48,72時間加水分解
した。加水分解後、開管し、減圧下に塩酸を除去し、残
渣を0.02N塩酸に溶解して日立製835型アミノ酸
分析計によりアミノ酸分析を実施した。シスチンおよび
システインはハーフの方法〔Methods in Enzymol.,
,197(1967)〕に従い、該ヒトIL−2蛋白
質を過ギ酸酸化したのち、減圧下、定沸点塩酸中で24
時間加水分解して、アミノ酸分析計によりシスティン酸
として定量した。アミノ酸分析値は、24,48および
72時間の加水分解で得られた値を平均して求めた。但
し、セリンおよびスレオニンの値は加水分解時間を0時
間に外挿して求めた。その結果を〔表2〕に示す。
【表2】
【0024】(4) N末端アミノ酸配列:該ヒトIL−
2蛋白質34μg に気相プロテインシークエネーター
(アプライド・バイオシステムズ社製470A型、アメ
リカ)を用いる自動エドマン分解法を適用して、N末端
アミノ酸配列を分析した。フェニルチオヒダントインア
ミノ酸(PTH−アミノ酸)はミクロパックSP−OD
Sカラム(バリアン社製,アメリカ)を用いる高速液体
クロマトグラフィーにより同定した。各ステップで検出
されたPTH−アミノ酸を〔表3〕に示す。
【表3】 表中Yについては未決定である。
【0025】(5) C末端アミノ酸:該ヒトIL−2蛋
白質30μg をガラス製ヒドラジン分解用試験管にと
り、無水ヒドラジン0.05mlを加えて減圧下に封管し
たのち、100℃で6時間加熱した。得られたヒドラジ
ン分解物を凍結乾燥したのち、蒸留水に溶解した。この
溶液にベンズアルデヒドを添加し、室温で1時間撹拌
し、遠心分離を行なったのち、上清を得た。この上清を
凍結乾燥し、日立製835型アミノ酸分析計によりアミ
ノ酸分析を実施した。その結果、スレオニンのみが検出
された。 (6) トリプシン消化のペプチドマップ:該IL−2標
品15μg をTPCK(L−1−トシルアミド−2−フ
ェニルエチルクロルメチルケトン)トリプシン(ワシン
トン社製,アメリカ)0.4μgと0.02M炭酸水素ナ
トリウム120μl 中、37℃,18時間反応させた。
反応液に2−メルカプトエタノール5μl を添加してさ
らに37℃で2時間反応したのち、反応液に1%トリフ
ルオロ酢酸75μl を加え反応を停止させた。得られた
反応液を下記の条件下での高速液体クロマトグラフィー
により分析して、〔図6〕に示すマップを得た。 カラム:ウルトラスフェアーオクチル(5μm,4.6×
250mm;アルテックス社製,アメリカ)。 カラム温度:30℃ 移動相:A液,0.02%トリフルオロ酢酸−99.98
%水 B液,0.02%トリフルオロ酢酸−99.98%アセト
ニトリル 0分(95%A液+5%B液)−40分(30%A液+
70%B液)。 溶出速度:1.0ml/分。 検出法:フロレスカミン(ロッシュ社製,アメリカ)を
用いる螢光法〔Analytical Biochem., 67,438
(1975)〕。
【0026】(7) IL−2依存性細胞株に対する活
性:Biochem. Biophys. Res. Commun., 109,363
(1982)に記載の方法に準じて、本発明の非グリコ
シル化ヒトIL−2蛋白質の活性を測定した結果、該I
L−2蛋白質はIL−2依存性マウス細胞株(NKC
3,〔図7〕参照)およびヒト細胞株(〔図8〕参照)
のいずれに対してもトリチウムチミジンの取込を促進さ
せる活性を有していた。また、該IL−2蛋白質を0.
5U/mlになるように20%FCS加RPMI−164
0培地中に溶解したものに、NKC3株を2×105
/mlになるように浮遊してリンブロマルチディッシュ
(フロー社,アメリカ)内で37℃,5%CO2 存在下
に継代培養した。培養2〜3日毎に生細胞数を計測し
て、新たに新鮮な上記培養液に再浮遊することを繰り返
した結果、〔図9〕に示すように該IL−2蛋白質はN
KC3株の増殖を長期にわたって維持し得る活性を有し
ていた。
【0027】実施例8 注射用製剤:実施例6で得られ
た非グリコシル化ヒトIL−2蛋白質含有溶液を、0.
025M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)で平衡化
したCMトヨパール(東洋曹達社)カラムに無菌条件下
で吸着させ、0.15MのNaCl を含む上記緩衝液で溶
出させる。溶出液に0.15M NaCl を適宜加えて希
釈し、HSAを0.5%になるように添加してメンブラ
ンフィルター(口径0.22μm)を用いて濾過後、得ら
れた濾液を無菌的に1mlずつバイアル瓶に分注して凍結
乾燥し、注射用ヒトIL−2を調製する。本注射用製剤
は、用時注射用蒸留水1mlに溶解する。
【0028】実験例1 実施例6で得たヒトIL−2蛋白質につき、そのチオー
ル基の定量とチオール基の位置決定を行った。 (1)まず、チオール基の定量については、DTNB法に
よる Ellman の方法〔アルカイブズ・オブ・バイオケミ
ストリー・アンド・バイオフィジクス(Archivesof Bio
chemistry and Biophysics)第32巻70頁(1959
年)〕に従って行なった。すなわち、実施例6で得たヒ
トIL−2蛋白質0.4mg(26.7n mol)を含む6M塩
酸グアニジン−10mMエチレンジアミンテトラ酢酸・
2ナトリウム-75mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)1.9
8mlに10mM DTNB[5,5′−ジチオビス(2−
ニトロ安息香酸)]メタノール溶液0.02mlを添加
し、室温で30分間反応を行わせた。定量は反応液の黄
色の呈色を412nmの吸光度で測定し、標準物質として
既知濃度のシステイン塩酸塩を用いることにより行っ
た。その結果、ヒトIL−2蛋白質1モルあたり0.8
5モルのチオール基が検出され、従って、ヒトIL−2
蛋白質が有するシステイン3残基のうち、遊離のチオー
ル基を有するのは1残基のみで、他の2残基は互いにジ
スルフィド結合を形成していることが判明した。 (2)次にチオール基の位置決定を Egorov らによって報
告された方法[プロシーディングス・オブ・ザ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・USA,第7
2巻第3029−3033頁(1975年)]に基づい
て行った。すなわち、実施例6で得たヒトIL−2蛋白
質6.3mgを含む6M塩酸グアニジン−0.1M塩化ナト
リウム−25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)
3mlを同緩衝液で平衡化されたチオプロピルセファロー
ス6B(ファルマシア社,スウェーデン)カラム(1.
0cmφ×5.1cm,4ml)に流速5ml/h で負荷したの
ち、上記緩衝液10ml,0.1M塩化ナトリウム−25m
M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)10mlおよび0.
2M酢酸(pH3.0)10mlを用いてカラムの洗浄を行
った。
【0029】次にこのチオプロピルセファロース6Bゲ
ル4mlをカラムから取り出し、0.2M酢酸(pH3.
0)6mlを添加し、ペプシン(シグマ社,USA)0.
1mgを用いて37℃,15時間撹拌しながら、加水分解
反応を行わせた。反応後、再びこのゲルをカラムに詰
め、0.2M酢酸(pH3.0)10mlおよび25mM酢酸
アンモニウム緩衝液(pH4.5)10mlで洗浄したの
ち、20mM 2−メルカプトメタノール−25mM酢酸
アンモニウム(pH4.5)30mlを用いてゲル中の未反
応基を2−チオピリドンとして溶出した。ひき続いて、
25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.5)10mlお
よび25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH8.0)10m
lでカラムを洗浄したのち、20mM 2−メルカプトエ
タノール−25mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH8.
0)を用いて流速5ml/h で溶出を行い、遊離のチオー
ル基を有するヒトIL−2蛋白質由来のペプチドフラグ
メントを含む画分10mlを取得した。さらに、この画
分をサーバンドを用いて濃縮乾固したのち、0.1%ト
リフルオロ酢酸溶液0.5mlに溶解させ、下記の条件で
逆相高速液体クロマトグラフィーを行った。 カラム:ヌクレオシル5C18(0.8cmφ×30cm,
ナーゲル社,西ドイツ) カラム温度:30℃ 溶出溶媒A :0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%水 溶出溶媒B :0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%ア
セトニトリル 溶出プログラム :0分(95%A+5%B)−60分
(70%A+30%B)−75分(50%A+50%
B)−85分(40%A+60%B)−95分(25%
A+75%B)−98分(15%A+85%B) 溶出速度 :3ml/min 検出波長 :230nm その結果、〔図10〕に示すように4つのピークが検出
されたので、これらを、分取後、サーバントで濃縮乾固
し、それぞれについてアミノ酸組成分析を行った。結果
を〔表4〕に示す。
【表4】 上記の結果からピーク1はCys125−Ser130, ピ
ーク2はCys125−Thr131, ピーク3はCys12
5−Ile129, ピーク4はCys125−Thr131と
容易に同定され、4つのピークすべてがCys125を含
むフラグメントであることがわかった。また、チオプロ
ピルセファロースカラムクロマトグラフィー,プロテア
ーゼ反応,逆相高速液体クロマトグラフィーの全過程を
通じての回収率は32.6%であった。従って、実施例
6で得た精製ヒトIL−2蛋白質は、ヒトIL−2蛋白
質が有するシステイン3残基のうち、遊離のチオール基
を有するのはCys125であり、Cys58とCys105
とがジスルフィド結合を形成しており、チオール基の結
合様式の異なるアイソマーは含まれていないことが判明
した。
【0030】実験例2 実施例6で得たヒトIL−2蛋白質につき、そのエンド
トキシンの定量を行った。定量法は、岩永らの方法[ヘ
モスターシス(Haemostasis)第7巻183−188頁
(1978年)]に従って行った。 (1)まず、エヒェリヒア・コリ0111−B4から得ら
れた標準エンドトキシン(エンドトキシン検出試薬プレ
ゲル(帝国臓器製薬製)に添付したもの)の10-2ng/
ml,10-1ng/ml,3×10-1ng/ml,1ng/mlおよび
3ng/mlの濃度の水溶液を調製した。LAL(Limulus
Amebocyte Lysate, カブトガニ血球抽出成分,帝国臓器
製薬製)25μl,合成基質 Boc−Leu−Gly−Arg
−pNA(生化学工業製,Boc:ブトキシカルボニル,p
NA:パラニトロアニド)(1.6mg/ml)25μlおよ
び上記標準エンドトキシンの水溶液50μl を混合し、
37℃60分反応させた後、12.5%酢酸を添加し、
405nmの吸光度をそれぞれ2回測定し、次の結果を得
た。
【表5】 上記の結果をプロットし、〔図11〕を作成した。
【0031】(2)次に、実施例6で得たヒトIL−2蛋
白質を、1.10mg/ml,1.16mg/mlとなるようにそ
れぞれ水に溶解し、水溶液とした。これらを、上記(1)
項と同様の反応に付し、405nmの吸光度を測定した。
得られた吸光度から、〔図11〕に基づいて、該水溶液
のエンドトキシン濃度を計算し、これより、実施例6で
得たヒトIL−2蛋白質の1mgタンパクあたりのエンド
トキシン量を算出した。結果を次の〔表6〕に示す。
【表6】
【0032】実験例3 (1)粗抽出液の製造 (i)発現用プラスミドの構築 上述の実施例1(vii)で得られたヒトIL−2遺伝子を
有するプラスミドpILOT 135−8を制限酵素Hgi
AIで切断した。得られた1294bpDNA断片をT4
DNAポリメラーゼで平滑末端とし、T4DNAリガー
ゼを用いて、EcoRIリンカーdTGCCATGAATTCATGGCA を
結合させた。得られたDNAをEcoRIで消化し、翻訳
開始コドンATGおよびヒトIL−2遺伝子を有するD
NA断片を得た。このDNA断片を、あらかじめEco
I−PstI部位を消化したptrp781[ヌクレイック・
アシズ・リサーチ,第11巻,3077頁(1983)]
にT4DNAリガーゼを用いて挿入した。かくして得ら
れた発現用プラスミドpTF1はtrpプロモーターの下流
に翻訳開始コドンとヒトIL−2遺伝子を有する。プラ
スミドpTF1を制限酵素StuIで切断し、BamHIリ
ンカーと結合させた。このプラスミドDNAを制限酵素
BamHIおよびEcoRIで処理し、ついでEcoRI−
amHI部位にλPLプロモーターを有するプラスミドp
TB281に挿入した。かくして得た発現用プラスミド
をpTB285と命名した。 (ii)形質転換体の製造 上記で得たプラスミドpTB285でエシェリヒアコリ
N4830をコーエンらの方法[プロシージングス・オ
ブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Pr
o. Natl. Acad. Sci USA),第
69巻,2110頁(1972)]に従い形質転換し、上
記プラスミドを含有する形質転換体エシェリヒアコリN
4830/pTB285を得た。 (iii)形質転換体の培養,抽出 前記で得た形質転換体エシェリヒアコリN4830/p
TB285を、実施例4と同様の方法で培養した。この
ようにして得られた大腸菌形質転換体(8g)を、20mM
トリス−塩酸(pH7.5,30mM NaClを含む。)で
洗浄し、同じ組成の緩衝液(40ml)に懸濁し、これをソ
ニック処理(0℃,2分間)に付した。さらに、分解物を
リゾチーム(1μg/ml)消化(0℃,20分)し、ついで
凍結融解を 3回行ない、全体を遠心分離(28000×
g,30分)した。このようにして得られた2つの粗抽
出液をロット01およびロット02と称する。
【0033】(2)、形質転換体の培養,抽出および精製 上記で得られた形質転換体エシェリヒアコリN4830
/pTB285を、実施例4と同様の方法で培養し、実
施例5および6の方法と同様の方法で抽出および精製を
行なった。このようにして得られたリコンビナントヒト
インターロイキン−2(以下、rIL−2と略称するこ
ともある。)の2つの精製品を、ロット51およびロッ
ト52と称する。 (3)、IL−2活性 前記(iii)および(iv)で得られた粗抽出液および精製品
の蛋白濃度およびIL−2活性を測定した。ユニット
は、前記方法と同様の方法で測定した。結果を〔表7〕
に示す。
【表7】
【0034】実験例4 (1)rIL−2製剤中のエンドトキシン含量の測定 (イ)材料:rIL−2製品(粗抽出液ロット01および0
2ならびに精製品ロット51および52)を使用した。 (ロ)方法および結果:上記製品中のエンドトキシンの定
量を、T. サカタらの方法〔Journal of Parenteral Sci
ence and Technology, 39,197(1985)〕に従
って実施した。まずエシェリヒア・コリ055:B5由
来の標準エンドトキシンControl 7D─4089〔ディ
フコ・ラボラトリーズ〕を水に溶解し、エンドトキシン
濃度3. 1×10-3ng/ml、6.3×10-3ng/ml、1.2
5×10-2ng/ml、2.5×10-2ng/mlおよび5.0×1
-2ng/mlの水溶液を調製した。トキシノメーターET
− 201を用いてのアッセイを、10mm径ガラス管中
の100μl のLAL〔Limulus amebocytelysate(カ
ブトガニアメーバ様細胞溶解産物)、カブトガニ(Limulu
s polyphemus)血液細胞抽出物;アソシエーツ・オブ・
ケイプコッド、インコーポレイテッド〕溶液100μl
に試験液100μl を加えることによって、行った。
ヴォルテックスミキサーで数秒間反応液を混合したの
ち、試験管をトキシノメーターET−201の光学ユニ
ットに挿入し、濁度測定を開始した。各試料の反応時間
を個々に、ゲル化が確認されるまで計測した。結果を次
の〔表8〕に示す。
【表8】 上記の結果をプロットして、エンドトキシンの用量依存
性標準曲線としてグラフAを得た。 logC=−3.07×log T(G)+2.389 γ=−0.997 *トキシノメーターET−201は、LAL/エンドト
キシン溶液のゲル化時の濁度変化を波長 660nmで測
定し、試料のゲル化時間を自動的に記録する。この装置
は、連続的に変化する光量の初期光量に対する比R(t)
を同時に64サンプルまで12秒ごとに測定する。試料
を37±0.5℃の一定温度で静置状態でインキュベー
トするとき、試料の振動からくる妨害なしに、ゲル化を
客観的に検出できる。R(t)の5%低下を得るのに必要
な反応時間として定義されるゲル化時間T(G)は、表示
装置に表示され、印字されるか、外部コンピューターに
送られて、エンドトキシン濃度の計算に使われる。
【0035】
【表9】 つぎに、rIL−2製品を水に溶解し、水溶液とした。
これらの溶液を上記と同じ操作に付し、ゲル化時間を測
定した。こうして得られたゲル化時間を〔表9〕に示し
た曲線と比較して、該水溶液中のエンドトキシン濃度を
算出し、rIL−2蛋白質1mg当りのエンドトキシン量
に換算した。こうして得られた結果を下記の〔表10〕
に示す。
【表10】
【0036】(ハ)エンドトキシン含量 上記(ロ)の〔表10〕から明らかなように、精製品のエ
ンドトキシン含量は極めて少量で0.017および0.0
14ng/mg蛋白である。これに対し、粗抽出液のエンド
トキシン含量は、2×103および2.9×103ng/mg蛋
白で、精製品のそれの約1.6×105倍である。粗抽出
液は、試料中に大量のエンドトキシンを有するので、粗
抽出物は臨床用に使用することができない。一方、精製
品のエンドトキシン含量は極めて少量であるので、精製
品はそのままで臨床に用いることができる。 (2)rIL−2製品中の発熱物質の測定 (イ)材料:rIL−2製品(粗抽出物ロット01および0
2ならびに精製品ロット51および52)を使用した。
ウサギは市川屋(東京)から購入した。 (ロ)方法および結果:発熱物質試験は「生物学的製剤基
準、厚生省薬務局監修、社団法人細菌製剤協会発行、1
985年」223〜224ページに記載の方法に従って
実施した。結果を次の〔表11〕に示す。
【表11】 緩衝液は、発熱物質を含まないものを使用した。 (ハ)結 論 生物学的製剤基準の発熱試験法の判定基準に従えば、精
製品は、発熱物質を含んでいない。しかし、粗抽出物
は、ヒトへの臨床量投与条件下で発熱性であることが明
らかである。さらに詳しくは、本実験は、予定臨床用量
1×103U/人(20U/kg体重;ヒトの平均体重を5
0kgとした)に基き、粗抽出液および精製品とも、その
10倍量の200U/kgを投与して発熱性試験を行っ
た。しかし、用量決定実験で、粗抽出液を投与したウサ
ギは、体温上昇のため死に至った。それゆえ、粗抽出液
群では、用量を20U/kgに低減した。上記〔表11〕
に示されているように、精製品の発熱性は検出されなか
ったが、粗抽出液では、精製品よりも少量のrIL−2
の投与によっても、発熱性が検出された。それゆえ、粗
抽出液は、その発熱性のため、臨床に用いることはでき
ない。一方、精製品は、発熱性を有しないために、臨床
に用いることができる。
【0037】
【発明の効果】本発明のヒトインターロイキンー2蛋白
質は、高度に精製されており、夾雑蛋白質,発熱物質が
きわめて少ないので、注射剤原体として安全に使用する
ことができる。
【0038】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:604 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 生物名:ヒト 株名:組織 配列: GGGGGGGGGG GGGGGGGATC ACTCTCTTTA ATCACTACTC ACAGTAACCT CAACTCCTGC 60 CACAATGTAC AGGATGCAAC TCCTGTCTTG CATTGCACTA AGTCTTGCAC TTGTCACAAA 120 CAGTGCACCT ACTTCAAGTT CTACAAAGAA AACACAGCTA CAACTGGAGC ATTTACTGCT 180 GGATTTACAG ATGATTTTGA ATGGAATTAA TAATTACAAG AATCCCAAAC TCACCAGGAT 240 GCTCACATTT AAGTTTTACA TGCCCAAGAA GGCCACAGAA CTGAAACATC TTCAGTGTCT 300 AGAAGAAGAA CTCAAACCTC TGGAGGAAGT GCTAAATTTA GCTCAAAGCA AAAACTTTCA 360 CTTAAGACCC AGGGACTTAA TCAGCAATAT CAACGTAATA GTTCTGGAAC TAAAGGGATC 420 TGAAACAACA TTCATGTGTG AATATGCTGA TGAGACAGCA ACCATTGTAG AATTTCTGAA 480 CAGATGGATT ACCTTTTGTC AAAGCATCAT CTCAACACTG ACTTGATAAT TAAGTGCTTC 540 CCACTTAAAA CATATCAGGC CTTCTATTTA TTTAAATATT TAAATTTTAC CCCCCCCCCC 600 CCCC 604
【0039】配列番号:2 配列の長さ:133 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: X-Ala Pro Thr Ser Ser Ser Thr Lys Lys Thr Gln Leu Gln Leu Glu 5 10 15 His Leu Leu Leu Asp Leu Gln Met Ile Leu Asn Gly Ile Asn Asn Tyr 20 25 30 Lys Asn Pro Lys Leu Thr Arg Met Leu Thr Phe Lys Phe Tyr Met Pro 35 40 45 Lys Lys Ala Thr Glu Leu Lys His Leu Gln Cys Leu Glu Glu Glu Leu 50 55 60 Lys Pro Leu Glu Glu Val Leu Asn Leu Ala Gln Ser Lys Asn Phe His 65 70 75 Leu Arg Pro Arg Asp Leu Ile Ser Asn Ile Asn Val Ile Val Leu Glu 80 85 90 95 Leu Lys Gly Ser Glu Thr Thr Phe Met Cys Glu Tyr Ala Asp Glu Thr 100 105 110 Ala Thr Ile Val Glu Phe Leu Asn Arg Trp Ile Thr Phe Cys Gln Ser 115 120 125 Ile Ile Ser Thr Leu Thr 130
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例1(vii)で得たプラスミドpIL
OT 135−8の制
【数2】 をコードする部分を表わす)および一次構造(塩基配
列)をそれぞれ示す。
【図2】は実施例1(vii)で得たプラスミドpILOT
135−8の制
【数3】 をコードする部分を表わす)および一次構造(塩基配
列)をそれぞれ示す。
【図3】は本発明の非グリコシル化ヒトIL−2蛋白質
のアミノ酸配列(図中Xは、Metまたは水素を表わす)
を示す。
【図4】は実施例2における発現用プラスミドpTF4
構築図を示す。
【図5】は実施例7(1),(2)のSDS−ポリアクリル
アミドスラブゲル電気泳動の結果を示す。
【図6】は実施例7(6)のトリプシン消化ペプチドマッ
プを示す。
【図7】は実施例7(7)のNKC3細胞株およびヒト細
胞株のトリチウムチミジンの取込に及ぼす本発明のヒト
IL−2蛋白質の影響を示す。
【図8】は実施例7(7)のNKC3細胞株およびヒト細
胞株のトリチウムチミジンの取込に及ぼす本発明のヒト
IL−2蛋白質の影響を示す。
【図9】は実施例7(7)のNKC3細胞株に対する長期
継代培養の結果を示す。
【図10】は、実験例1で得られた逆相高速液体クロマ
トグラフィーの結果を示す。
【図11】は、実験例2における標準エンドトキシンの
濃度と405nmの吸光度の関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 15/09 ZNA C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (56)参考文献 欧州特許91539(EP,B) PROGRAMME AND ABS TRACTS 3RD INTERNA TIONAL SYMPOSIUM O N HPLC OF PROTEIN S,PEPTIDES AND POL YNULEOTIDES,NOVEMB ER 14−19,1983 MONAKO,P OSTER SESSIONS PRE PARATIVE ISOLATION OF BIOMOLECULES207

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大腸菌形質転換体の培養により得られ、ヒ
    ト末梢血リンパ球を5×10個/mlとなるように1
    0%FCS添加PRMI1640培地に浮遊しコンカナ
    バリン−A40μg/mlおよび12−O−テトラデカ
    ノイルホルボール−13−アセテート15ng/mlを
    添加して37℃で5%COの存在下に48時間培養し
    た培養液の上清を1U/mlと定める方法により測定さ
    れる10U/mg以上の比活性を有し、エンドトキシ
    ンおよび発熱性物質を実質的に含有しない、実質的に純
    粋な非グリコシル化ヒトインターロイキン−2蛋白質。
JP6156316A 1994-07-08 1994-07-08 ヒトインターロイキン−2蛋白質 Expired - Lifetime JP2601199B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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PROGRAMME AND ABSTRACTS 3RD INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON HPLC OF PROTEINS,PEPTIDES AND POLYNULEOTIDES,NOVEMBER 14−19,1983 MONAKO,POSTER SESSIONS PREPARATIVE ISOLATION OF BIOMOLECULES207

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