JPH07165792A - 精製された蛋白質 - Google Patents

精製された蛋白質

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JPH07165792A
JPH07165792A JP6105210A JP10521094A JPH07165792A JP H07165792 A JPH07165792 A JP H07165792A JP 6105210 A JP6105210 A JP 6105210A JP 10521094 A JP10521094 A JP 10521094A JP H07165792 A JPH07165792 A JP H07165792A
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protein
met
methionine residue
interleukin
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JP6105210A
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Koichi Kato
光一 加藤
Takahisa Yamada
隆央 山田
Kenji Kawahara
賢治 河原
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】メチオニン残基が付加した蛋白質を実質的に含
有しない精製された蛋白質の提供。 【構成】メチオニン残基が付加した蛋白質を実質的に含
有しない遺伝子工学技術で製造された蛋白質。 【効果】本発明のメチオニン残基が付加した蛋白質を実
質的に含有しない遺伝子工学技術で製造された蛋白質は
医薬品等として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はメチオニン残基が付加し
た蛋白質を実質的に含有しない遺伝子工学技術で製造さ
れた蛋白質に関する。
【0002】
【従来の技術】サイトカインやペプチドホルモンなど種
々の生理活性蛋白質の存在が明らかにされ、また近年の
遺伝子工学技術の進歩は、これら生理活性蛋白質の大量
生産、臨床への適用の途を開きつつある。このような技
術は、すでにインターフェロン,インターロイキン−,B
細胞増殖因子(BGF),B細胞分化因子(BDF),マクロ
ファージ活性化因子(MAF),リンホトキシン(LT),腫
瘍壊死因子(TNF)などのサイトカイン;トランスホー
ミンググロースファクター(TGF−α);エリスロポエ
チン,上皮細胞増殖因子,インスリン,ヒト成長ホルモン
などペプチド蛋白質ホルモン; B型肝炎ウイルス抗原,
インフルエンザ抗原,口蹄疫ウイルス抗原,マラリア原虫
抗原などのワクチンの開発に有用な病原性微生物抗原蛋
白質; ペプチダーゼ(例、ティシュプラスミノーゲン
アクチベーター,ウロキナーゼ,セラチオペプチダーゼな
ど)やリゾチームなどの酵素;ヒト血清アルブミン(HS
A)などの血中蛋白成分など各種生理活性蛋白質の製造
に応用されている。しかし、これらの蛋白質は遺伝子工
学手法により製造されるため、しばしば混合物中の他の
物質から、最終的に必要な生産物を分離せねばならない
という問題が生じている。特に問題になるのは、必要な
蛋白質をコ−ドする遺伝子の発現により産生する遺伝子
産物が、しばしば必要な蛋白質とそのアミノ末端にメチ
オニンが付加した第二番目の蛋白質との混合物であるこ
とである。付加されたメチオニン(Met)は、所望の遺伝
子の発現の開始を指示する翻訳開始コドンATGの発現
と、発現産物から付加したMet基を除く宿主細胞の発現
系の不首尾に由来するものである。この問題は、原核性
宿主および真核性宿主の両者で生ずるが、とりわけ原核
性宿主における遺伝子の発現においてしばしば生ずる。
発現用宿主として大腸菌を用いた発現系において特に問
題となる。
【0003】真核細胞および原核細胞の両者における蛋
白質合成は、アミノ酸であるメチオニンをコ−ドするm
RNAのコドンAUGから開始するので、とりわけ発現
用宿主が大腸菌の場合、蛋白質の発現が必要とする蛋白
質をさらにアミノ末端にメチオニンが付加した類似体
(N−Met 類似体)との分子種の混合物であるかどうか
予想できない。事実、大腸菌のイニシェーション・ファ
クターIFー3においてアミノ末端にメチオニン残基を
持つ分子種と持たない分子種の両者が存在すること〔ホ
ッペ・ザイラーズ・ツァイシュリフト・フュア・フィジ
オリシェ・ヘミー(Hoppe Seyler's Z.Physiol.Chem.),
354,1415(1973)〕や、大腸菌においては、
その全蛋白のアミノ末端が主としてメチオニンであるこ
と(コーン・スタンプ,アウトラインズ・オブ・バイオケ
ミストリー (Outlines of Biochemistry)4版,ジョン
・ウィリー・アンド・サンズ,1976年)などが知られ
ている。組換えDNA技術を用いて製造された蛋白とし
ては、アミノ末端へのメチオニン残基の付加率がヒト成
長ホルモンにおいて約100%〔ネイチャー(Nature),
293,408(1981)〕にも達する例が知られてい
る。遺伝子工学技術によると、必要とする蛋白質に比べ
そのMet 類似体が高比率に産生するという問題が知ら
れている。ネイチャ−(Nature),293, 408(19
81)においては、ヒト成長ホルモンの製造において、
実際に必要とする蛋白質に比べてそのMet類似体が多量
に得られるということを示している。必要とする蛋白質
とそのN−Met類似体とが混合物として産生する場合、
二つの分子種の物理化学的性状における相違は、あると
しても非常に小さいものであるため、相互に分離するこ
とは、極めて困難なことである。メチオニン残基は分子
量約131で、中程度に疎水性を有し、かつ解離基を持
たないため電気的に中性のアミノ酸残基である。従って
蛋白質のようなそれ自体多数の解離基や疎水性基および
親水性基を有する巨大分子[例えば133個のアミノ酸
残基からなるインタ−ロイキン−2ポリペプチド(I;但
しXは水素原子)の分子量は約15,420である]のアミノ末
端にメチオニン残基が1残基付加しても蛋白質全体の物
理化学的性質には通常大きな影響を及ぼさないと予想さ
れ、アミノ末端にメチオニン残基が付加した分子種と付
加していない分子種とを相互に分離することはきわめて
困難であると考えられる。この難しい問題は、多くの蛋
白質において存在し、とりわけ発現用の宿主として大腸
菌を用いて発現する蛋白質、特に遺伝子工学技術により
製造されるインタ−ロイキン−2やインタ−フェロン
を、これらのN−Met類似体から分離する場合におい
て、厳しいものがある。インターロイキン−2は、マイ
トーゲンや抗原によって活性化されたT細胞によって産
生されるリンホカインの1つであり、細胞障害性T細胞
やナチュラルキラー細胞の増殖および分化に必須の因子
であってこれらの細胞を介した免疫反応系において重要
な働きをしている。また、インターフェロン−αは、ウ
イルスや核酸によって活性化された白血球によって産生
されるリンホカインの1つであり、細胞に作用してその
細胞を抗ウイルス状態にするという生物活性をもち、感
染防禦系や腫瘍免疫系において重要な働きをしている。
インターロイキン−2やインターフェロン−αはその生
物活性から各種免疫不全症,感染症,悪性腫瘍などの治療
薬として効果的に使用し得ることが期待されている。現
在までにヒト末梢血リンパ球やヒトT細胞白血病株(J
URKAT株)の培養上清から単離された天然型のイン
ターロイキン−2は、分子量的に異なる幾つかの分子種
から成るが、いずれもそのポリペプトド鎖に関しては互
いにきわめて良く似ており、アミノ末端は例外なくアラ
ニン残基から始まることが知られている〔特願昭59−
149248号(昭和59年7月19日出願)明細書(E
PC公開第0132359号公報に対応する);プロシー
ジング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンス(Pro.Natl.Acad.Sci.USA), 81, 25
43(1984)〕。一方、現在までにヒト白血球の培養
上清から単離された天然型のインターフェロン−αは、
10数種のサブタイプからなるが、いずれもそのポリペ
プチド鎖に関しては、互いにきわめて良く似ており、ア
ミノ末端は例外なくシスティン残基から始まることが知
られている〔アチーフ・フュア・ビオヘミー・ウンド・
ビオフィジッシェ(Arch.Biochem.Biophys.),22
,1,(1983)〕。本発明者らは、ヒトリンパ球のイ
ンターロイキン−2遺伝子を組換えDNA技術を用いて
大腸菌内で発現させることにより非グリコシル化ヒトイ
ンターロイキン−2を製造することに成功した〔特願昭
58−225079号(昭和58年11月28日出願)明
細書参照;EPC公開第0145390号公報に対応す
る〕。該インターロイキン−2は図1に示すアミノ酸配
列(該図中、Xは水素原子またはメチオニン残基を示す)
からなるポリペプチド(I)を含有するものであ り、アミ
ノ末端アミノ酸としてヒト天然型と同じくアラニン残基
から始まる分子種(すなわち、Xは水素原子)とともに、
アミノ末端にメチオニン残基の付加したメチオニルーア
ラニン残基から始まる分子種(すなわち、Xはメチオニ
ン残基)を有する。また、すでに報告されているように
〔ジャーナル・オブ・インターフェロン・リサーチ
(J. Interferon Res.),,381(1981); ジ
ャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(J.Biol.Chem.),256,9750(1981)〕、
例えば、組換えDNA技術を用いて大腸菌内で発現させ
たインターフェロン−αAは図2に示すアミノ酸配列か
らなるポリペプチドを含有する。アミノ末端アミノ酸と
しては、ヒト天然型と同じくシスティン残基から始まる
分子種(すなわち、Xは水素原子)とともに、アミノ末端
にメチオニン残基の付加したメチオニル−システィン残
基から始まる分子種(すなわち、Xはメチオニン残基)を
有する。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】同じ蛋白質であって
もアミノ末端にメチオニン残基の付加した分子種とそう
でない分子種とは蛋白質の高次構造が相互に異なる可能
性があり、両者の間でin vivoおよびin vitroでの生物
活性や生物学的安定性に差のある可能性もある。また、
メチオニン残基のアミノ末端への付加が抗原性の増加あ
るいは減少をもたらす可能性もあり得よう。従って、生
理学上および産業利用上の観点からアミノ末端にメチオ
ニン残基の付加した分子種とそうでない分子種とを分離
して両者をそれぞれ実質的に純粋な形で取り出すことは
きわめて意義のあることである。アミノ末端へのメチオ
ニン残基の付加率は、培養条件や蛋白質の発現レベルに
よって左右される可能性がある〔ジャーナル・オブ・イ
ンターフェロン・リサーチ(J.Interferon Res.),,3
81 (1981)〕が、メチオニン残基の付加率を制御
し得た例は今までのところ報告されていない。さらに蛋
白質の精製過程においてもアミノ末端にメチオニン残基
が付加した分子種と付加していない分子種とを相互に分
離した例は今までのところ全く報告されていない。本発
明者らは(a)インターロイキン−2とさらにそのアミノ
末端にメチオニン残基を有するインターロイキンー2お
よび(b)インターフェロン−αAとさらにそのアミノ末
端にメチオニン残基を有するインターフェロン−αAと
の相互分離法として、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度の
差を利用する方法,透析法,限外ろ過法,ゲルろ過法およ
びSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主
として分子量の差を利用する方法,抗体との特異的親和
性を利用する方法,逆相高速液体クロマトグラフイーな
どの疎水性の差を利用する方法などを試みたが、それら
を相互に分離することは全く出来なかった。本発明は、
メチオニン残基が付加した蛋白質を実質的に含有しない
遺伝子工学技術で製造された蛋白質の提供を目的とす
る。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、蛋白質と
そのアミノ末端にさらにメチオニン残基を有する蛋白質
(N−Met 類似体)とを相互に分離することを目的とし
て鋭意研究を行った結果、 それらが意外にも相互に異な
る等電点を有する事実を発見した。メチオニンは電気的
に中性のアミノ酸であるため蛋白質のアミノ末端に付加
してもその蛋白質全体の電荷には全く影響を及ぼさない
と考えられ、従ってインターロイキンー2のような蛋白
質とそのアミノ末端にさらにメチオニン残基を有する蛋
白質とが異なる等電点を有することは全く予想外の発見
であった。この発見に基づき、蛋白質および該蛋白質に
メチオニン残基が付加し、該蛋白質と同様の生理活性を
有する蛋白質(Met−蛋白質)の混合物を等電点の差異
に基づく分離手段に付すことにより蛋白質と該蛋白質に
メチオニンが付加した蛋白質(Met−蛋白質)とを相互
分離できることを見いだした。すなわち、本発明はメチ
オニン残基が付加した蛋白質を実質的に含有しない遺伝
子工学技術で製造された蛋白質を提供するものである。
本願明細書において「蛋白質」とは、糖鎖を有するものも
しくは有さないもののいずれをも含み、また、例えば化
学反応もしくは酵素反応により、化学的または構造的に
修飾されたポリペプチドを包含する、アミノ酸の1次構
造からなる高分子物質を意味する。また「Met−蛋白質」
とは、上記「蛋白質」にさらにメチオニン基が付加したも
のを意味する。本発明は、とりわけ、所望の蛋白質およ
びそれと同一もしくは同様の生理活性を有するMet−蛋
白質に係るものである。本発明における好ましいMet−
蛋白質は、所望の蛋白質の生理活性を奏するに十分な、
該蛋白質とのアミノ酸配列上の類似性を有するものであ
る。本発明は、所望の蛋白質のそのアミノ末端にさらに
メチオニン残基を付加した蛋白質(N−Met類似体)を包
含するMet−蛋白質から蛋白質を分離する方法による生
産物に関するものである。とりわけ、本発明は、そのN
−Met類似体を実質的に含有しないインタ−ロイキン−
2蛋白質、およびそのN−Met類似体を実質的に含有し
ないインタ−フェロン−αに関するものである。
【0006】本願明細書において「生理活性」とは、生理
学的および免疫学的活性および効果を含むインビボもし
くはインビトロで生存していてもいなくてもよい細胞,
細胞の一部,細胞もしくは他の生理学的作用に基づく生
産物および生物学的物質を含む生体および(または)生理
物質への活性または効果を意味する。上記蛋白質および
それにメチオニン残基が付加した蛋白質(Met−蛋白質)
の混合物は、通常遺伝子組換え技術で製造でき、通常大
腸菌,枯草菌,酵母,動物細胞を用いて発現させることに
より製造できる。上記蛋白質としては、各種生理活性蛋
白質が挙げられ、例えば、インターフェロン(IFN;
例、IFN−α,IFN−β,IFN−γなど),インター
ロイキン(インターロイキン−1,インターロイキン−2
など),B細胞増殖因子(BGF),B細胞分化因子(BD
F),マクロファージ活性化因子(MAF),リンホトキシ
ン(LT),腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカイン;ト
ランスホーミンググロースファクター(TGF−α);エ
リスロポエチン,上皮細胞増殖因子,インスリン,ヒト成
長ホルモンなどペプチド蛋白質ホルモン;B型肝炎ウイ
ルス抗原,インフルエンザ抗原,口蹄疫ウイルス抗原,マ
ラリア原虫抗原などの病原性微生物抗原蛋白質;ペプチ
ダーゼ(例、ティシュプラスミノーゲン アクチベータ
ー,ウロキナーゼ,セラチオペプチダーゼなど)やリゾチ
ームなどの酵素;ヒト血清アルブミン(HSA)などの血
中蛋白成分が挙げられる。これら蛋白質の中でも、分子
量約3,000〜50,000、とりわけ約5,000〜3
0,000のもの、 またアミノ酸数として約30〜50
0、 とりわけ約50〜300のものに対して、 本発明の
蛋白質の相互分離方法は有利に適用ができる。
【0007】また蛋白質の等電点が約4〜11とりわ
け、 約5〜8のものにおいて、有利に相互分離を行うこ
とができ、また蛋白質と該蛋白質にメチオニン残基を有
する蛋白質との等電点の差が、約0.01以上、好ましくは
約0.1以上とりわけ0.01〜0.2程度あることが好ましい。
とりわけ、遺伝子組換え技術で製造されたインターロイ
キン−2やインターフェロン−αに対して、有利に本発
明の相互分離方法が適用できる。ここでインターロイキ
ン−2とは天然のヒトインターロイキン−2と同様の生
物学的もしくは免疫学的活性例えばインターロイキン−
2レセプターや抗インターロイキン−2抗体との結合
能、を有するものであればいずれでもよく、具体的には
図1で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド(I;
但しXは水素原子)や、その生物学的もしくは免疫学的
活性に必要な一部分のアミノ酸配列からなるフラグメン
トでもよく、例えばポリペプチド(I)のアミノ末端から
1個のアミノ酸(EPC公開91539号公報)または4
個のアミノ酸を欠くフラグメント(特願昭58−235
638号,昭和58年12月13日出願,明細書参照、特
開昭60−126088号公報に対応)やカルボキシル
末端部分の数個のアミノ酸を欠くフラグメントなどが挙
げられ、さらに上記ポリペプチド(I)の構成アミノ酸の
一部が欠損しているか他のアミノ酸に置換されたもの、
例えば125位のシステイン残基がセリン残基に置換さ
れたもの(特開昭59−93093号公報)でもよい。こ
れらのポリペプチドは、非グリコシル化ポリペプチドで
あることが好ましく、とりわけ図1に示すアミノ酸配列
を有するIL−2が好ましい。以下の本願明細書におい
ては、これらのインターロイキン−2をIL−2と略記
し、それらのアミノ末端にさらにメチオニン残基を有す
るインターロイキン−2をMet−IL−2と略記するこ
とがある。ここでインターフェロン−αとは天然のヒト
インターフェロン−αと同様の生物学的もしくは免疫学
的活性例えばインターフェロンαレセプターや抗インタ
ーフェロンα抗体との結合能を有するものであればいず
れでもよく、例えば図2で示されるアミノ酸配列を有す
るポリペプチド(II;但しXは水素原子)が挙げられる。
さらにインターフェロン−αの生物学的もしくは免疫学
的活性に必要な一部分のアミノ酸配列からなるフラグメ
ントでもよく、たとえばポリペプチド(II)のアミノ末端
部分の数個のアミノ酸を欠くフラグメントやカルボキシ
ル末端部分の数個のアミノ酸を欠くフラグメントなどが
挙げられ、さらに上記ポリペプチド(II)の構成アミノ酸
の一部が欠損しているか他のアミノ酸に置換されたもの
でもよい。とりわけインターフェロン−αAが好まし
い。これらのポリペプチドは非グリコシル化ポリペプチ
ドであることが好ましい。以下の本願明細書において
は、これらのインターフェロン−αAをIFN−αAと
略記し、IFN−αAのアミノ末端にメチオニン残基を
有するIFN−αAをMet−IFN−αAと略記するこ
とがある。上記蛋白質とそのアミノ末端にさらにメチオ
ニン残基を有する蛋白質の混合物としては、混合蛋白質
として50%以上、好ましくは80%以上、とりわけ9
9%以上の純度を有するものが用いられる。
【0008】本発明においては、上記混合物を等電点の
差異に基づく分離手段に付すことによりこれらを相互分
離することができる。なお、実施例1記載の方法によれ
ば、IL−2およびMet−IL−2の等電点はそれぞれ
7.7および7.5と算出された。また、実施例6記載の方法
によれば、IFN−αAおよびMet−IFN−αAの等
電点は、それぞれ6.2および6.3と算出された。本発明に
おける等電点の差異に基づく分離手段としては、等電点
の差が0.01〜0.2程度である蛋白質を相互に分離する方
法であればどんなものでも適用でき、たとえばアンホラ
インを利用する密度勾配等電点電気泳動法,ゲル等電点
電気泳動法,等速度電気泳動法などの電場の中で蛋白質
を泳動させる方法やクロマトホーカシング法,FPLC
法(Fast Protein Liquid Chromatography),DEAE(d
iethylaminoethyl)−,CM(carboxymethyl)−またはS
P(スルホプロピル)−イオン交換カラムクロマトグラフ
法などの、溶出カラム等の荷電担体に付加した蛋白質
を、pH勾配または塩濃度勾配を作成して等電点の差異
をもたらす荷電の相異に従って担体から蛋白質を順に脱
離して溶出させる方法など自体公知の方法やこれらを組
合せた方法などが挙げられる。これらの分離法に用いら
れる試薬および器具類はいずれも市販されているもので
あり容易に入手可能である。たとえばアンホラインはL
KB社(スエ−デン)から、ゲル等電点分離法に用いるゲ
ルはセファデックスIEFとしてファルマシア社から、
またPAG(ポリアクリルアミドゲル)プレートとしてL
KB社から、クロマトホーカシング法の担体および溶出
緩衝液はポリバッファー交換体PBE94,同PBE 1
18やポリバッファー74,ポリバッファー96として
ファルマシア社(スエ−デン)から、FPLC法に用いる
たとえばモノPカラムやモノQカラムおよび溶出用緩衝
液はファルマシア社から、DEAE−イオン交換体はD
EAE−トヨパールとして東洋曹達工業(株)から、CM
−イオン交換体はCM−トヨパールとして東洋曹達工業
(株)から、SPイオン交換体はSP−5PWとして東洋
曹達工業(株)からあるいはSP−セファデックスとして
ファルマシア社から入手できる。〔メソッズ・イン・エ
ンザイモロジ−(Methods in Enzymology, ,3−27
(1962)〕。
【0009】市販のたとえばPAGプレート(245×110
×1mm,LKB社製)を用いるゲル等電点電気泳動分離法
ではPAGプレートとしてpH3.5.−9.5用プレート,pH
5.5−8.5用プレートなどを、陽極液として1Mリン酸,
0.4M HEPES緩衝液などを、陰極液として1M水酸
化ナトリウム,0.1M水酸化ナトリウムなどを使用する。
通常プレート1枚あたり10〜1000μgの蛋白質を
のせて、電力は1〜200W,好ましくは10〜50W
で、温度は0〜20℃,好ましくは2〜5℃で泳動を行
う。泳動時間は0.5〜50時間,通常は1.5〜5時間であ
る。また市販のたとえばモノPカラム(0.5×20cm,フ
ァルマシア社製)を用いるFPLC法では平衡化緩衝液
として、たとえば0.025Mジエタノールアミン−塩酸緩
衝液(pH9.5),0.075Mトリスー酢酸緩衝液(pH9.3)など
を用い、溶出緩衝液として1%(v/v)ファルマライト
(8−10.5)−5.2%(v/v)ポリバッファー96−塩酸緩
衝液(pH7.0〜 8.0),10%(v/v)ポリバッファー96
−塩酸緩衝液(pH6.0〜7.0)および10%(v/v)ポリバ
ッファー96−酢酸緩衝液(pH6.0〜7.0)などを用い
る。通常、0.1〜 10mgの蛋白質をのせて、1〜50ml
/hの、好ましくは10〜30ml/hの流速でFPLCを
行う。
【0010】クロマトホーカシング法ではゲルとして市
販のPBE118およびPBE94(ファルマシア社製)
などを用い、平衡化緩衝液として0.025Mトリエチルア
ミン−塩酸緩衝液(pH11.0),0.025Mジエタノールアミ
ン−塩酸緩衝液(pH9.4)および0.025Mジエタノールア
ミン−酢酸緩衝液(pH9.4)などを、溶出緩衝液として2.
2%(v/v)ファルマライト(8−10.5)−塩酸緩衝液(pH
7.0〜8.0), 10%(v/v)ポリバッファー96−塩酸緩
衝液 (pH7.0〜8.0)および10%(v/v)ポリバッファ
ー96−酢酸緩衝液(pH6.0〜7.0)などを用いる。カラ
ムのベッド容積としては蛋白質1gあたり 0.01〜0.1,
好ましくは100〜1000mlのものを用い、流速はS
V=0.01〜10,好ましくはSV=0.1〜1.0でクロマト
フォーカシングを行う。カラム温度は0〜30℃,好ま
しくは2〜5℃に保つのがよい。本発明の分離法によれ
ば、蛋白質とそれにメチオニン残基を付加した蛋白質
(Met−蛋白質)はその等電点の差異に従って、電場中で
泳動するかもしくはpH勾配をつけたカラム中の担体か
ら順に脱離して溶出されるかして互いに分離される。特
にpH勾配や塩濃度勾配をつけずに、イオン交換体を用
いるイソクラチック溶出法を適用しても分離しうる。所
望により上記の方法に従って分離した蛋白質のみを含む
画分およびそれにさらにメチオニン残基が付加した蛋白
質を含む画分から実質的に純粋な蛋白質およびそれにさ
らにメチオニン残基が付加した蛋白質(Met−蛋白質)を
それぞれ採取することができる。この目的のためには、
自体公知の塩折法,疎水クロマトグラフ法,ゲルろ過法,
イオン交換クロマトグラフ法や高速液体クロマトグラフ
法などの蛋白質の精製に一般的に用いられる方法を適宜
組み合わせて用いればよい。
【0011】本発明は、遺伝子工学技術で製造した蛋白
質を、そのN−Met類似体など対応するMet−蛋白質を
実質的に含まないよう分離することを初めて可能ならし
めたものである。本発明により製造される蛋白質は、対
応するMet−蛋白質を重量比で3%以下、好ましくは2
%以下、とりわけ1以下しか含まないのである。同様
に、本発明は遺伝子工学技術で製造した Met−蛋白質
を、その対応する蛋白質を実質的に含まないよう分離す
ることを初めて可能ならしめたものである。本発明によ
り製造される Met−蛋白質は、対応する蛋白質を重量
比で3%以下、好ましくは2%以下、とりわけ1%以下
しか含まないものである。これまでMet−IL−2およ
びMet−IFN−αAを蛋白質として分離したとの報告
はなく、本発明ははじめて高度に精製されたMet−IL
−2蛋白質およびMet−IFN−αA蛋白質をも提供す
るものである。本発明により製造される蛋白質およびそ
れにメチオニン残基が付加した蛋白質(Met−蛋白質)
は、いずれも天然の対応する蛋白質と同様の生物学的も
しくは免疫学的活性を有し、高純度に精製されており夾
雑蛋白質、発熱物質がきわめて少ないので注射剤原体等
として安全に使用される。本発明により得られるIL−
2およびMet−IL−2はいずれも正常なT細胞やナチ
ュラルキラー細胞をその機能を保持させたまま増殖させ
る活性を有する。したがって、本発明により得られるI
L−2およびMet−IL−2は、それぞれT細胞やナチ
ュラルキラー細胞をインビトロで長期にわたり増殖,継
代したりクローン化するのに使用できる。なお、この性
質を利用してヒトIL−2の活性を測定することができ
る。
【0012】さらに、本発明により得られるIL−2お
よびMet−IL−2は、たとえば腫瘍抗原を認識し、破
壊する抗原特異的なキラーT細胞や抗原感作の経験の有
無と無関係に腫瘍を殺す能力をもつところのナチュラル
キラー細胞をインビトロで選択的に増殖させることがで
き、またこのキラーT細胞を生体へ移入する際に、本発
明により得られるIL−2またはMet−IL−2を同時
に接種することにより、その抗腫瘍効果を増大させるこ
とから、温血動物(例、マウス,ラット,ウサギ,犬,ネコ,
ブタ,ウマ,ヒツジ,ウシ,人など)の腫瘍の予防,治療や免
疫機能低下疾患の治療のために用いることができる。本
発明により得られるIL−2およびMet−IL−2はそ
れぞれ夾雑蛋白質による抗原性がなく低毒性である。本
発明により得られるIL−2またはMet−IL−2を腫
瘍の予防,治療剤として用いるには、当該物質を自体公
知の担体と混合希釈して、たとえば注射剤,カプセル剤
などとして非経口的にまたは経口的に投与することがで
きる。さらに、前述したようにインビトロで増殖させた
キラーT細胞やナチュラルキラー細胞と共にまたは単独
で使用することができる。本発明のIL−2およびMet
−IL−2は、公知の天然から分離されたヒトIL−2
と実質的に同じ生物活性を有するのでこれと同様に使用
することができ、細胞のIL−2受容体との解離定数が
きわめて小さいことから、極く小量の投与で良い。T細
胞をインビトロで増殖させる目的に使用するためには、
本発明のIL−2またはMet−IL−2を約0.01〜
1ユニット/ml、好ましくは約0.1〜0.5ユニット
/mlの濃度で培地に添加して用いることができる。イン
タ−ロイキン−2の生物活性の測定は、インタ−ロイキ
ン−2依存性細胞を用いる方法〔バイオケミカル・アン
ド・バイオフィジカル・リサ−チ・コミュニケ−ション
ズ(Biochem. Biophys. Res. Commun.),109,363
(1982)〕により行なうことができる。
【0013】T細胞をインビトロで増殖させる目的に使
用する具体例としては、たとえば、20%ウシ胎児血清
を含むRPMI 1640培地にヒト末梢血より分離し
たT細胞(1×106個/ml)およびX線 (1500ラッ
ド)照射したB細胞トランスフォーマント(1×106
/ml)を加えて37℃,5% CO2存在下で3日間リンパ
球混合培養を行なって得られるアロ抗原感作T細胞を含
む細胞浮遊液に本発明のILー2またはMet−IL−2
を0.1〜0.5ユニット/mlの濃度で加え約一週間ご
とに培地交換しながら約1か月間培養を続ける方法など
が挙げられる。本発明により得られるIFN−αAおよ
びMet−IFN−αAはいずれも細胞に作用してその細
胞を抗ウイルス状態にする活性を有する。なお、この性
質を利用してヒトIFN−αAの活性を測定することが
できる。さらに、本発明により得られるIFN−αAお
よびMet−IFN−αAは、抗ウイルス作用だけでな
く、細胞増殖抑制作用,抗体産生抑制作用,ナチュラルキ
ラー活性の増強作用などを併せもっている。本発明によ
り得られるIFN−αAおよびMet−IFN−αAはそ
れぞれ夾雑蛋白質による抗原性がなく低毒性である。本
発明により得られるIFN−αAまたはMet−IFN−
αAを治療剤として用いるには、当該物質を自体公知の
担体と混合希釈して、たとえば、注射剤,カプセル剤な
どとして非経口的にまたは経口的に投与することができ
る。投与量は1日当たり1×106〜1×108ユニッ
ト,好ましくは5×107〜6×107ユニットである。
【0014】本願明細書,請求の範囲および図面におい
て、アミノ酸を略号で表示する場合、IUPAC−IU
B Commission on Biochemical Nomenclature によ
る略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくもの
であり、その例を次に挙げる。また、アミノ酸に関し光
学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL−体
を示すものとする。 Gly : グリシン Ala : アラニン Val : バリン Leu : ロイシン Ile : イソロイシン Ser : セリン Thr : スレオニン Cys : システイン 1/2Cys : ハーフシスチン mCys : カルボキシメチルシスティン Met : メチオニン Gly : グルタミン酸 Asp : アスパラギン酸 Lys : リジン Arg : アルギニン His : ヒスチジン Phe : フェニールアラニン Tyr : チロシン Trp : トリプトファン Pro : プロリン Asn : アスパラギン Gln : グルタミン Asp/Asn : アスパラギン酸およびアスパラギン Glu/Gln : グルタミン酸およびグルタミン
【0015】作用および実施例 以下の実施例および参考例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお参考例に開示した形質転換体、エシェリヒア・
コリ(Escherichia coli)DH1/pTF4は財団法人発
酵研究所(IFO)にIFO−14299として、また昭和5
9年4月6日から通商産業省工業技術院微生物工業技術
研究所(FRI)にFERM P−7578として寄託さ
れ、 該寄託がブタペスト条約に基づく寄託に切換えられ
て、 受託番号FERM BP−628として同研究所に
保管されている。また、形質転換体、エシェリヒア・コ
リN 4830/pTB285はIFOにIFO−14437とし
て、また昭和60年4月30日からFRIに FERM
P−8199として寄託され、該寄託がブタペスト条
約に基づく寄託に切換えられて受託番号FERM BP
−852として同研究所に保管されている。
【0016】実施例1 FPLCによるIL−2とMet
−IL−2との分離 参考例1(iv)で得られたIL−2およびMet−IL−2
の混合物である非グリコシル化ヒトインターロイキシン
−2を含む0.005M酢酸アンモニウム緩衝液(pH
5.0)(蛋白質濃度,1.18mg/ml)5ml(5.9mg)を0.
025Mジエタノールアミン−塩酸緩衝液(pH9.4)
で平衡化したFPLC用モノPカラム(0.5×20cm,
ファルマシア社製)にのせ、ついで 1%(v/v)ファルマ
ライト(8ー10.5)ー5.2%(v/v)ポリバッファー
96−塩酸緩衝液(pH8.0)を用いてモノPカラムに
吸着したタンパク質を溶出した。なおFPLCは室温
下、流速30ml/hで行った。その結果、図2に示すよ
うにpH8.0で溶出されるピーク1とpH7.9で溶出
されるピーク2とに分離された。そこで、これらを分取
後、FPLCで用いたポリバッファーを除去するため、
トリフルオロ酢酸−アセトニトリル系を溶出溶媒とする
高速液体クロマトグラフイーを行った。 カラム,ウルトラポアRPSC(1.0×25cm,アルテ
ックス社,アメリカ);カラム温度,30℃;溶出溶媒A,0.
1%トリフルオロ酢酸−99.9%水;溶出溶媒B,0.1
%トリフルオロ酢酸−99.9%アセトニトリル;溶出
プログラム,0分(55%A+45%B)−4分(55%A
+45%B)−28分(42%A+58%B)ー38分(3
4%A+ 66%B)−43分(20%A+80%B)−
44分(55%A+45%B);溶出速度3.0ml/min。
このクロマトグラフイーによって得られた溶液をそれぞ
れ凍結乾燥に付し、白色粉末を得た。FPLCにおける
ピーク1およびピーク2から得られたものを、それぞれ
P1およびP2となずけた。P1の収量は1.12mg
(19.0%), P2の収量は3.01mg(51.0%)で
あった。次に得られたP1およびP2について蛋白化学
的分析を行った。P1およびP2それぞれ 45μg(3n
mol)を用い、気相プロテインシークエンサー(アプライ
ド・バイオシステムズ社製470A型)を用いる自動エ
ンドマン分解法によりP1およびP2のアミノ末端アミ
ノ酸配列を決定した。フェニルチオヒダントインアミノ
酸(PTH−アミノ酸)はミクロパックSP−C18カラ
ム(バリアン社製)を用いる高速液体クロマトグラフイー
により同定した。各ステップで検出されたPTH−アミ
ノ酸を〔表1〕に示す。
【表1】 カルボキシル末端アミノ酸の分析は次のようにして行っ
た。すなわちP1およびP2をヒドラジン分解用ガラス
管にとり、無水ヒドラジンを加えて減圧下に封管したの
ち100℃で6時間加熱した。得られたヒドラジン分解
物をベンズアルデヒド処理したのち、遊離アミノ酸を日
立製835型アミノ酸分析計により測定した。その結
果、P1およびP2ともにスレオニンのみが検出され、
回収率はそれぞれ34.8%および34.0%であっ
た。このことからP1およびP2のカルボキシル末端ア
ミノ酸はスレオニンと同定された。アミノ酸組成分析は
4%チオグリコール酸を含む定沸点塩酸を加えて減圧下
に封管後、110℃で24,48,72時間、加水分解
し、日立製835型アミノ酸分析計により実施した。シ
スチンおよびシステインは過ギ酸酸化したのち、減圧下
定沸点塩酸中で24時間加水分解してアミノ酸分析計に
よりシステイン酸として定量した。アミノ酸分析値は2
4,48および72時間の加水分解で得られた値を平均
して求めた。ただし、セリンおよびスレオニンの値は加
水分解時間を0時間に外挿して求めた。その結果を〔表
2〕に示す。アミノ末端アミノ酸配列分析およびアミノ
酸組成分析の結果から、P1は図1中X=水素原子で示
される分子種(IL−2)を、P2は図1中X=メチオニ
ン残基で示される分子種(Met−IL−2)をそれぞれ9
8%および99%以上の純度で含んでいることが確認さ
れた。
【表2】 組 成 比 アミノ酸 P1 P2 cDNA塩基配列より予想される値 Asp/Asn 11.8 11.8 12 Thr 12.6 12.6 13 Ser 7.5 7.5 8 Glu/Gle 18.6 18.7 18 Pro 5.3 5.3 5 Gly 2.2 2.2 2 Ala 4.9 0 5 1/2Cys 2.6 2.8 3 Val 4.1 4.1 4 Met 4.1 5.1 4 Ile 8.6 8.6 9 Leu 21.8 21.9 22 Tyr 3.1 3.2 3 Phe 6.0 6.1 6 Lys 11.9 11.9 11 His 3.0 3.0 3 Arg 4.2 4.2 4 Trp 1.1 1.1 1 次にアンフォラインPAGプレート(LKB社製)を用い
てP1およびP2の等電点を測定した結果を図3に示
す。原料として用いたIL−2およびMetIL−2の混
合物である非グリコシル化ヒトインターロイキン−2は
等電点電気泳動では2本のバンドを示すのに対し、本実
施例で得られたP1およびP2は、それぞれ互いに泳動
距離の異なる1本のバンドとして泳動された。また、泳
動後のPAGプレート断片のpHを測定することによ
り、P1(IL−2)の等電点は7.7、P2(MetIL
−2)の等電点は7.5と算出された。さらに、得られ
たP2に関して以下のようにしてトリプシン消化を行い
ペプチドマップを得た。すなわち、50μgのP2を含
む0.02M炭酸水素ナトリウム溶液(pH8.0)10
0μlに、1.25μgのTPCK−トリプシン(ワシン
トン社製,アメリカ)を加えて37℃で28時間反応させ
た。反応液に1%(v/v)トリフルオロ酢酸400μlを
加えて反応を停止させた。得られた消化液について下記
の条件下で高速液体クロマトグラフイーを行い図4に示
すマップを得た。 高速液体クロマトグラフ:バリアン社(アメリカ)504
0型 カラム:ヌクレオシル5C18(マヘレーナーゲル社製,
西ドイツ) カラム温度:30℃ 溶出溶媒:A液,0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%
水(v/v) B液,0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%アセトニ
トリル(v/v) 溶出プログラム:0分(85%A+15%B)−15分(7
2%A+28%B)−16分(64%A+36%B)−8
0分(40%A+60%B)−85分(15%A+85%
B) 〔直線勾配〕 溶出速度:3.0ml/分 検出法:オルトフタールアルデヒド法〔Anal., Chem.,
,880(1971)〕によるポストラベル法
【0017】実施例2 クロマトホーカシングによるI
L−2とMet−IL−2との分離 参考例1(iv)で得られたIL−2およびMet−IL−2
の混合物である非グリコシル化ヒトインターロイキン−
2を含む0.005M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.
0)(蛋白質濃度,1.09mg/ml)500ml(545mg)を
0.025Mジエタノールアミン−塩酸緩衝液(pH9.4)で
平衡化したPBE94(ファルマシア社製)カラム(2.7
×87cm)にのせ、ついで溶出液として1%(v/v)ファ
ルマライト(8−10.5)−5.2%(v/v)ポリバッフ
ァー96−塩酸緩衝液(pH8.0)を用いてクロマトホ
ーカシングを行った。なお、この操作は4℃,流速200
ml/hで行った。その結果、図5に示すように、pH8.
5で溶出されるピーク1とpH8.3で溶出されるピーク2
とに分離された。実施例1で示した同様の方法でポリバ
ッアーを除去した後のタンパクの収量はピーク1で9
4.8mg(17.4%),ピーク2で336mg (61.6
%)であった。また、アミノ末端アミノ酸分析をダンシ
ル化反応後、塩酸加水分解し、生じたダンシルアミノ酸
をミクロパックSPカラムを用いる高速液体クロマトグ
ラフイーで検出する方法で行った結果、ピーク1はIL
−2を99.6%以上の純度でピーク2はMet−IL−
2を99.5%以上の純度で含んでいることが確認され
た。
【0018】実施例3 DEAE−トヨパールイオン交
換クロマトグラフイーによるIL−2とMet−IL−2
との分離 参考例1(iv)で得られたIL−2およびMet−IL−2
の混合物である非グリコシル化ヒトインターロイキン−
2を含む0.005M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.
0)(蛋白質濃度1.03mg/ml)10ml(10.3mg)に
等容の10mMトリス−塩酸緩衝液(pH9.0)を加えて
pHを8.5に調整したのち、10mMトリス−塩酸緩衝
液(pH8.5)で平衡化したDEAE−トヨパール650
M(東洋曹達工業(株)製)カラム(1.0×64cm)にの
せ、10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)1Lと10m
Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)1Lを用いるpH勾配
法で溶出を行った。なお、この操作は4℃,流速100m
l/hで行った。その結果、分離能はFPLCやクロマトフ
ォーカシングに比べて劣っていたが、2つのピーク(ピ
ーク1とピーク2)が検出された。それぞれのピークが
重なり合わないように、ピーク1は前半分をピーク2は
後半分を分取した。収量はピーク1で0.82mg(8.
0%),ピーク2で1.98mg (19.2%)であった。
また、ダンシル法によるアミノ末端アミノ酸分析の結
果、ピーク1はIL−2を 90%以上,ピーク2はMet
−IL−2を95%以上含んでいることが確認された。
【0019】実施例4 FPLCによるIL−2とMet
−IL−2との分離: 参考例1(iii)で得られたIL−2およびMet−IL−
2を含む非グリコシル化ヒトインターロイキン−2部分
精製標品5mlを、0.025Mジエタノールアミン−塩
酸緩衝液(pH9.4)で平衡化したFPLC用モノPカ
ラム(0.5×20cm,ファルマシア社製)にのせ、つい
で1%(v/v)ファルマライト(8〜10.5)ー5.2%
(v/v)ポリバッファー96−塩酸緩衝液(pH8.0)を
用いてモノPカラムに吸着した蛋白質を溶出した。溶出
速度:25ml/h,カラム温度:室温。その結果、IL−2
を含む画分(ピーク1)とMet−IL−2を含む画分(ピ
ーク2)とに分離された。ピーク1の活性回収率は25
%,ピーク2の活性回収率は54%であった。
【0020】実施例5 SP−5PWカラムによるIL
−2とMet−IL−2との分離 参考例2で得られたIL−2およびMet−IL−2の混
合物である非グリコシル化ヒトインターロイキン−2を
含む0.005M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0,蛋白質濃
度1.03mg/ml)0.5mlを0.025Mリン酸緩衝液(pH7.4)で平
衡化した高速液体クロマトグラフィー用SP−5 PW
カラム(0.75×7.5cm;東洋曹達社製)にのせ0.025Mリン
酸緩衝液(pH7.4)を用いて蛋白質を溶出した。 カラム温
度は35℃に、緩衝液の流速は0.5ml/minに設定した。
クロマトグラフシステムはバリアン社製 5500型液
体クロマトグラフを用いた。その結果図7に示すよう
に、非グリコシル化インターロイキン−2は2つのピー
ク(ピークAおよびピークB)として溶出された。それぞ
れのピークを分取し(図中太実線で示す)アミノ末端アミ
ノ酸の分析を行った結果、ピークAはMet−IL−2
を、ピークBはIL−2をそれぞれ99.5%以上の純度で
含んでいることが確認された。
【0021】実施例6 FPLCによるIFN−αAと
Met−IFN−αAとの分離 参考例3記載の方法によって得られたIFN−αAおよ
びMet−IFN−αAの混合物である非グリコシル化ヒ
トインターフェロンαAを含む 0.12M塩化ナトリウム
−0.025M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)(蛋白質濃
度,2.96mg/ ml)1.0ml(2.96mg)を0.025Mイミダゾール−
塩酸緩衝液(pH6.7)で平衡化したPD−10カラム(1.5×
5cm,ファルマシア社製)にのせ脱塩を行った。 このよう
にして得られた非グリコシル化ヒトインターフェロンα
Aを含む溶出液(蛋白質濃度,1.58mg/ml)1.5ml(2.37mg)を
0.025Mイミダゾール−塩酸緩衝液 (pH6.7)で平衡化し
たFPLC用モノPカラム (0.5×20cm,ファルマシア社
製)にのせ、 ついで 10%(V/V)ポリバッファー74−塩酸
緩衝液(pH5.5)を用いてモノPカラムに吸着した蛋白質
を溶出した。なおFPLCは室温下、流速30ml/hで行っ
た。 その結果、 図8に示すようにpH5.6で溶出されるピ
ークIとpH5.4で溶出されるピークIIとして分離された。
そこで、 これらを分取後、 FPLCで用いたポリバッフ
ァーを除去するため、トリフルオロ酢酸−アセトニトリ
ル系を溶出溶媒とする高速液体クロマトグラフィーを行
った。カラム,ウルトラポアRPSC(1.0×25cm,アルテ
ックス社製); カラム温度,30℃; 溶出溶媒A, 0.1%ト
リフルオロ酢酸−99.9%水; 溶出溶媒B,0.1%トリフル
オロ酢酸−99.9%アセトニトリル;溶出プログラム,0分
(60%A+40%B)−45分 (45%A+55%B)−46分(60%
A+40%B); 溶出速度3.0ml/min。 このクロマトグラフ
ィーによって得られた溶液をそれぞれ凍結乾燥に付し、
白色粉末を得た。 FPLCにおけるピークIおよびピー
クIIから得られたものを、それぞれPIおよびPIIとな
ずけた。PIの収量は0.723mg(24.4%),PIIの収量は0.
945mg(31.9%)であった。 次に得られたPIおよびPIIについて蛋白化学的分析を
行った。PIおよびPIIを還元カルボキシメチル化した
のち、それぞれ40μg(2.1nmol)を用い、 気相プロティン
シークエンサー(アプライド・バイオシステムズ社製 47
0A型)を用いる自動エドマン分解法によりPIおよびPI
Iのアミノ末端アミノ酸配列を決定した。 フェニルチオヒダントインアミノ酸(PTH−アミノ酸)
はミクロ パックSP−C18カラム(バリアン社製)を用
いる高速液体クロマトグラフィーにより同定した。 各ステップで検出されたPTH−アミノ酸を〔表3〕
に示す。
【表3】 カルボキシル末端アミノ酸の分析を実施例1と同様にし
て行った結果、PIおよびPIIともにグルタミン酸のみ
が検出され回収率はそれぞれ12.5%および14.3%であっ
た。 アミノ酸組成分析を実施例1と同様にして行った結果を
〔表4〕に示す。アミノ末端アミノ酸配列分析およびア
ミノ酸組成分析の結果から、PIは図2中X=メチオニ
ン残基で示される分子種 (Met−IFN−αA)を、PI
Iは図2中X=水素原子で示される分子種(IFN−α
A)をそれぞれ98%以上の純度で含んでいることが確
認された
【表4】 組 成 比 アミノ酸 PI P II cDNA塩基配列 予想される値 Asp/Asn 12.0 12.0 12 Thr 9.7 9.7 10 Ser 12.9 12.5 14 Glu/Gln 26.1 26.0 26 Pro 5.0 4.9 5 Gly 4.9 4.9 5 Ala 8.1 8.1 8 1/2Cys 3.8 3.9 4 Val 7.2 7.1 7 Met 6.1 5.1 5 Ile 7.9 7.8 8 Leu 20.8 20.6 21 Tyr 5.2 5.1 5 Phe 9.9 9.8 10 Lys 11.0 11.1 11 His 3.5 3.4 3 Arg 8.8 8.8 9 Trp 2.2 2.1 2 また、アンフォラインPAGプレート(LKB社製)を用
いてPIおよびPIIの等電点を測定した結果、PI(Met
−IFN−αA)の等電点は 6.3, PII(IFN−αA)
の等電点は6.2と算出された。
【0022】実施例7 IL−2注射用製剤:実施例1
で得られたIL−2含有溶液を、0.025M酢酸アン
モニウム緩衝液(pH5.0)で平衡化したCMトヨパー
ル(東洋曹達工業(株))カラムに無菌条件下で吸着させ、
0.15MのNaClを含む上記緩衝液で溶出させる。溶
出液に0.15MNaClを適宜加えて希釈し、HSAを
0.5%になるように添加してメンブランフイルター
(孔径0.22μm)を用いてろ過後、得られたろ液を無
菌的に1mlずつバイアル瓶に分注して凍結乾燥し、注射
用IL−2を調製する。本注射用製剤は、用時注射用蒸
留水1mlに溶解する。
【0023】実施例8 IFN−αA注射用製剤:実施
例6で得られたIFN−αA含有溶液を、0.025M
酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)で平衡化したCMトヨ
パール(東洋曹達工業(株))カラムに無菌条件下で吸着さ
せ、0.15MのNaClを含む上記緩衝液で溶出させる。溶
出液に0.15MNaClを適宜加えて希釈し、HSAを0.5
%になるように添加してメンブランフィルター(孔径0.2
2μm)を用いてろ過後、得られたろ液を無菌的に1mlずつ
バイアル瓶に分注して凍結乾燥し、注射用IFN−αA
を調製する。本注射用製剤は、用時注射用蒸留水1mlに
溶解する。上記注射用製剤は、それぞれ上記精製IL−
2およびIFN−αAを、精製Met−IL−2およびM
et−IFN−αAに置き換えることにより、Met−IL
−2およびMet−IFN−αAの注射用製剤とすること
ができる。
【0024】参考例1 非グリコシル化ヒトインターロ
イキン−2の製造 I (i) 形質転換体の培養 形質転換体E.coli DH1/pTF4〔特願昭58ー
225079号(昭和58年11月28日出願)明細書参
照;該出願は特開昭60−115528号公報に対応す
る〕を250ml容三角フラスコ内のバクト・トリプトン
(デイフコ・ラボラトリーズ,アメリカ)1%,バクト・イ
ーストエキス(デイフコ・ラボラトリーズ,アメリカ)
0.5%,食塩 0.5%およびテトラサイクリン7μg
/mlを含む液体培地(pH7.0)50mlに接種して37
℃で1晩回転振盪培養した。この培養液をカザミノ酸
0.5%,グルコース0.5%およびテトラサイクリン
7μg/mlを含むM9培地2.5Lの入った5L容ジャー
ファーメンターに移し37℃で4時間、ついで3ーβイ
ンドリルアクリル酸(25μg/ml)を添加して、さらに
4時間通気撹拌培養して培養液2.5L得た。この培養
液を遠心分離し、菌体を集め、−80℃で凍結して保存
した。 (ii) 抽出 上記で得た凍結保存菌体12.1gを7M塩酸グアニジ
ン,0.1M Tris・HClを含む抽出液(pH7.0)1
00mlに均一に懸濁し、4℃で1時間撹拌した。この溶
菌液を28,000×gで20分間遠心分離して上清93
mlを得た。 (iii) インターロイキンー2蛋白質の部分精製 上記で得た上清を0.01MTris・HCl緩衝液(pH
8.5)に対して透析後19,000×gで10分間遠心
分離して透析上清94mlを得た。この透析上清を0.0
1MTris−HCl緩衝液(pH8.5)で平衡化したDE
52(DEAE−セルロース,ワットマン社製,イギリス)
カラム(50ml容)に通して蛋白を吸着後、NaCl濃度直
線勾配(0〜0.15MNaCl,1l)を作成してIL−2
を溶出させ、活性画分53mlを得た。 (iv) インターロイキンー2蛋白質の精製 上記の活性画分53mlをYM−5メンブラン(アミコン
社製,アメリカ)を用いて4.8mlに濃縮し、0.1MT
ris・HCl(pH8.0)ー1MNaCl緩衝液で平衡化し
たセファクリルS−200(ファルマシア社製,スエーデ
ン)カラム(500ml容)を用いてゲルろ過を行った。活
性画分28mlをYM−5メンブランで2.5mlに濃縮し
た。得られた濃縮液をウルトラポアRPSC(アルテッ
クス社製,アメリカ)カラムに吸着させ、トリフルオロ酢
酸ーアセトニトリル系を溶出溶媒とする高速液体クロマ
トグラフイーを行った。カラム,ウルトラポアRPSC
(4.6×75mm);カラム温度,30℃;溶出溶媒A,0.
1%トリフルオロ酢酸−99.9%水;溶出溶媒B,0.
1%トリフルオロ酢酸−99.9%アセトニトリル;溶
出プログラム,0分(68%A+32%B)−25分(55
%A+45%B)−35分(45%A+55%B)−45
分(30%A+70%B)−48分(100%B);溶出速
度,0.8ml/min;検出波長,230nm。本条件下で保持
時間約39分の活性画分を集め、非グリコシル化ヒトイ
ンターロイキン−2蛋白質0.53mg〔比活性,30,0
00U/mg,出発材料からの活性回収率,30.6%;蛋
白質の純度,99%(デンシトメトリーによる)〕を含む
溶液10mlを得た。なお上記溶液の凍結乾燥品(白色粉
末)の比活性は26,000U/mgであった。
【0025】参考例2 非グリコシル化ヒトインターロ
イキン−2の製造II (i) 発現用プラスミドの構築 ヒトIL−2遺伝子を有するプラスミドpILOT 135-8
〔特願昭58-225079号(昭和58年11月28日出願)明細書(特
開昭60−115528号公報に対応)実施例1(vii)参
照〕を制限酵素HgiAIで切断した。 得られた1294bpDNA断
片をT4DNAポリメラーゼで平滑末端とし、T4DN
Aリガーゼを用いて、EcoRIリンカーdTGCCATGAATTCATGG
CAを結合させた。 得られたDNAをEcoRIで消化し、翻訳
開示コドンATG およびヒトIL−2遺伝子を有するDN
A断片を得た。このDNA断片を、あらかじめEcoRI-Ps
tI 部位を消化したptrp781〔ヌクレイック・アシズ・リ
サーチ,第11巻, 3077頁(1983)〕にT4DNAリガーゼ
を用いて挿入した。かくして得られた発現用プラスミド
pTF1はtrpプロモーターの下流に翻訳開示コドンとヒト
IL−2遺伝子を有する(図9)。プラスミドpTF1を制限
酵素StuIで切断し、 Bam HIリンカーと結合させた。 この
プラスミドDNAを制限酵素Bam HIおよびEcoRIで処理
し、 ついでEcoRI−Bam HI部位にλPLプロモーターを有
するプラスミドpTB281に挿入した。 かくして得た発現用
プラスミドをpTB285と命名した(図10)。 (ii) 形質転換体の製造 上記で得たプラスミドpTB285でエシェリヒア コリN483
0をコーエンらの方法〔プロシージングス・オブ・ナシ
ョナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Pro.Natl. Aca
d. Sci.USA), 第69巻, 2110頁(1972)〕に従い形質転換
し、 上記プラスミドを含有する形質転換体エシェリヒア
コリN4830/pTB285を得た。 (iii) 形質転換体の培養 形質転換体E. Coli N4830/pTB285を250ml容フラスコ内
のバクト・トリプトン(ディフコ・ラボラトリーズ,アメ
リカ)1%,バクト・イーストエキス(ディフコ・ラボラ
トリーズ,アメリカ)0.5%,食塩0.5%およびアンピシリ
ン50μg/mlを含む液体培地(pH 7.0)50mlに接種して37℃
で一晩回転振盪培養した。この培養液をカザミノ酸0.5
%,グルコース0.5%およびアンピシリン50μg/mlを含む
M9培地2.5Lの入った5L容ジャーファーメンターに移し
35℃で6時間、ついで42℃でさらに3時間通気撹拌培養
して培養液2.5Lを得た。 この培養液を遠心分離し、 菌体
を集め、 −80℃で凍結して保存した。 (iv) 抽出 凍結菌体20gを7M塩酸グアニジン0.1M Tris-HClを含
む抽出(pH 7.0)100mlに均一に懸濁し、 4℃で1時間撹
拌した後、28,000×gで20分間遠心分離し上清を得た。 (v) インターロイキン−2蛋白質の部分精製 得られた上清を0.01M Tris-HCl緩衝液(pH 8.5)に対し
て透析後19,000×gで10分間遠心分離して得た上清を0.0
1M Tris-HCl緩衝液(pH 8.5)で平衡化したDE52(DEAE−
セルロース,ワットマン社製,イギリス)カラム(50ml容)
に通して蛋白を吸着後、 NaCl濃度直線勾配(0〜0.15M
NaCl,1L)を作成して、 IL−2を溶出させ、活性画分
を得た。 (vi) インターロイキン−2蛋白質の精製 上記で得られた活性画分をYM−5メンブラン(アミコン
社製,アメリカ)を用いて、5mlに濃縮し、0.1M Tris-H
Cl(pH 8.0)−1M NaCl緩衝液で平衡化したセファクリ
ルS−200(ファルマシア製,スウエーデン)カラム(500ml
容)を用いてゲルろ過を行った。 活性画分40mlをYM−5
メンブランで3mlに濃縮した。得られた濃縮液を、ウル
トラポア RPSC(アルテックス社製,アメリカ)カラムに
吸着させ、トリフルオロ酢酸−アセトニトリル系を溶出
溶媒とする高速液体クロマトグラフィーを行った。カラ
ム,ウルトラポアRPSC(4.6×75mm);カラム温度, 30℃:
溶出溶媒A, 0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%水; 溶出溶
媒B, 0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%アセトニトリル;
溶出プログラム, 0分(68%A+32%B)−25分(55%A+45
%B)−35分 (45%A+55%B)−45分(30%A+70%B)−48
分(100%B); 溶出速度, 0.8ml/min; 検出波長, 230nm。 本条件下で保持時間約39分の活性画分,Ala−IL−2
およびMet−Ala−IL−2の混合物10mlを集めた。
【0026】参考例3 非グリコシル化ヒトIFN−α
Aの製造 (i) 形質転換体の培養 図2に示すアミノ酸配列をコードするヒトIFN−αA
遺伝子を組入れた発現プラスミドを持つエシェリヒア
コリ294(ATCC 31446)/pLeIFAtrp25[EPC公開第43980号公
報実施例I参照]を、M−9培地にグルコース25g/L, L
−グルタミン酸ナトリウム4g/L, FeCl3・6H2O 27mg/L,
CuSO4・5H2O 8mg/L, ZnSO4・7H2O 8mg/L, ビタミンB
1塩酸塩70mg/L, 塩酸テトラサイクリン5mg/L, L−プ
ロリン50mg/LおよびL−ロイシン50mg/Lを添加した培地
(合成培地)夫々2.5Lを仕込んだ5L容ジャーファーメン
ターへ接種し、 通気2.5L/分,撹拌1000r.p.m.,37℃で培
養を開始し、 途中OD 3000KU で33℃, 5000KU で29℃,
7000KU で25℃に温度を下げて48時間培養を続けた。 培
養中溶存酵素濃度は5%以上に保たれた。途中培養液中
のグルコース濃度が1%以下に低下した時、25g/Lの割
合でグルコースを添加した。 (ii) 抽出 (i)で得られた培養液2を遠心分離して菌体を集め、 こ
れを100mlの10%シュクロース,0.2M NaCl, 10mMエチ
レンジアミンテトラアセテート(EDTA), 10mMスペルミジ
ン,2mM フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMS
F), 0.2mg/mlリゾチームを含む50mM Tris−HCl(pH 7.6)
に懸濁し、 4℃で1時間撹拌したのち、37℃で5分間保
温し、これをさらに超音波破砕器(アルテック社製,米
国)で、0℃40秒処理した。 この溶菌液を11,300×gで1
時間遠心分離して上清95mlを集めた。 (iii) IFN−αA蛋白質の精製 この上清95mlを1mM EDTA, 0.15M NaClを含む 20mM Tri
s−HCl(pH 7.6)(TEN)で300mlに希釈したのち、 抗IF−
αA抗体カラム(20ml)にかけた。TENで十分洗浄した
のち、さらに0.1%トゥイーン20(和光純薬工業株式会社
製)を含む0.2M酢酸でIF−αAを溶出し活性画分を集
め、pH 4.5に調整したのちCMセルロースカラムに吸
着させ、十分洗浄後、0.15M NaClを含む0.025M酢酸アン
モニウム緩衝液(pH 5.0)にて溶出した。 再び活性画分を
集めて凍結乾燥に付し320mgのヒト白血球IF−αA粉
末を得た。このもののSDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動法による分子量は、19000±1000であった。 ま
た、 ここで得られた最終のヒト白血球IF蛋白質の比活
性は 2×108U/mg であった。 また、 その他の理化学的
性状, アミノ酸組成,ペプチドマッピングにおいて、 従
来の培地で生産される遺伝子組換えヒト白血球IFと全
く同一の挙動を示した。
【0027】
【発明の効果】本発明により蛋白質と該蛋白質にさらに
メチオ ニン残基が付加した蛋白質との相互分離が可能
である。該分離方法により得られる蛋白質は、それぞれ
医薬品等として有用である。
【0028】
【配列番号:1】 配列の長さ:133−134 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク 配列の特徴:Xは水素原子またはメチオニン残基を示す 配列 X-Ala Pro Thr Ser Ser Ser Thr Lys Lys Thr Gln Leu Gln Leu Glu 5 10 15 His Leu Leu Leu Asp Leu Gln Met Ile Leu Asn Gly Ile Asn Asn Tyr 20 25 30 Lys Asn Pro Lys Leu Thr Arg Met Leu Thr Phe Lys Phe Tyr Met Pro 35 40 45 Lys Lys Ala Thr Glu Leu Lys His Leu Gln Cys Leu Glu Glu Glu Leu 50 55 60 Lys Pro Leu Glu Glu Val Leu Asn Leu Ala Gln Ser Lys Asn Phe His 65 70 75 80 Leu Arg Pro Arg Asp Leu Ile Ser Asn Ile Asn Val Ile Val Leu Glu 85 90 95 Leu Lys Gly Ser Glu Thr Thr Phe Met Cys Glu Tyr Ala Asp Glu Thr 100 105 110 Ala Thr Ile Val Glu Phe Leu Asn Arg Trp Ile Thr Phe Cys Gln Ser 115 120 125 Ile Ile Ser Thr Leu Thr 130
【0029】
【配列番号:2】 配列の長さ:165−166 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク 配列の特徴:Xは水素原子またはメチオニン残基を示す 配列 X-Cys Asp Leu Pro Gln Thr His Ser Leu Gly Ser Arg Arg Thr Leu 5 10 15 Met Leu Leu Ala Gln Met Arg Lys Ile Ser Leu Phe Ser Cys Leu Lys 20 25 30 Asp Arg His Asp Phe Gly Phe Pro Gln Glu Glu Phe Gly Asn Gln Phe 35 40 45 Gln Lys Ala Glu Thr Ile Pro Val Leu His Glu Met Ile Gln Gln Ile 50 55 60 Phe Asn Leu Phe Ser Thr Lys Asp Ser Ser Ala Ala Trp Asp Glu Thr 65 70 75 80 Leu Leu Asp Lys Phe Tyr Thr Glu Leu Tyr Gln Gln Leu Asn Asp Leu 85 90 95 Glu Ala Cys Val Ile Gln Gly Val Gly Val Thr Glu Thr Pro Leu Met 100 105 110 Lys Glu Asp Ser Ile Leu Ala Val Arg Lys Tyr Phe Gln Arg Ile Thr 115 120 125 Leu Tyr Leu Lys Glu Lys Lys Tyr Ser Pro Cys Ala Trp Glu Val Val 130 135 140 Arg Ala Glu Ile Met Arg Ser Phe Ser Leu Ser Thr Asn Leu Gln Glu 145 150 155 160 Ser Leu Arg Ser Lys Glu 165
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得られた非グルコシル化ヒトインタ
ーロイキシン−2蛋白質のアミノ酸配列(図中Xは、水
素原子またはメチオニン残基を表わす)
【図2】参考例3で得られた非グリコシル化ヒトインタ
ーフェロン−αA蛋白質のアミノ酸配列(図中Xは、水
素原子またはメチオニン残基を表わす)
【図3】実施例1におけるFPLCの結果
【図4】実施例1における等電点電気泳動の結果
【図5】実施例1におけるトリプシン消化ペプチドマッ
ピングの結果
【図6】実施例2におけるクロマトホーカシングの結果
【図7】実施例5におけるSP−5PWイオン交換クロ
マトグラフィーの結果
【図8】実施例6におけるFPLCの結果
【図9】参考例3におけるプラスミドpTF1の構築図
【図10】参考例3におけるpTB285の構築図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/09 C12P 21/02 ZNA F 9282−4B // A61K 38/00 38/21 (C12P 21/02 C12R 1:19) A61K 37/66 F

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メチオニン残基が付加した蛋白質を実質的
    に含有しない遺伝子工学技術で製造された蛋白質。
  2. 【請求項2】アミノ末端にメチオニン残基が付加したイ
    ンタ−ロイキン−2を実質的に含有しないインタ−ロイ
    キン−2である請求項1記載の蛋白質。
  3. 【請求項3】アミノ末端にメチオニン残基を有するイン
    タ−フェロン−αを実質的に含有しないインタ−フェロ
    ン−αである請求項1記載の蛋白質。
  4. 【請求項4】メチオニン残基が付加した蛋白質の含有率
    が3%以下である請求項1記載の蛋白質。
  5. 【請求項5】メチオニン残基が付加した蛋白質がアミノ
    末端にメチオニン残基が付加した蛋白質である請求項4
    記載の蛋白質。
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