JPH0764871B2 - 蛋白質の相互分離方法 - Google Patents

蛋白質の相互分離方法

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JPH0764871B2
JPH0764871B2 JP62066940A JP6694087A JPH0764871B2 JP H0764871 B2 JPH0764871 B2 JP H0764871B2 JP 62066940 A JP62066940 A JP 62066940A JP 6694087 A JP6694087 A JP 6694087A JP H0764871 B2 JPH0764871 B2 JP H0764871B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は蛋白質の相互分離方法に関する。
従来の技術 サイトカインやペプチドホルモンなど種々の生理活性蛋
白質の存在が明らかにされ、また近年の遺伝子工学技術
の進歩は、これら生理活性蛋白質の大量生産、臨床への
適用の途を開きつつある。
しかし、これらの蛋白質は遺伝子工学手法により製造さ
れるため、しばしば混合物中の他の物質から、最終的に
必要な生産物を分離せねばならないという問題が生じて
いる。特に問題になるのは、必要な蛋白質をコードする
遺伝子の発現により産生する遺伝子産物が、しばしば必
要な蛋白質とそのアミノ末端にメチオニンが付加した第
二番目の蛋白質との混合物であることである。付加され
たメチオニン(Met)は、所望の遺伝子の発現の開始を
指示する翻訳開始コドンATGの発現と、発現産物から付
加したMet基を除く宿主細胞の発現系の不首尾に由来す
るものである。この問題は、原核性宿主および真核性宿
主の両者で生ずるが、とりわけ原核性宿主における遺伝
子の発現においてしばしば生ずる。
必要とする蛋白質とそのN-Met類似体とが混合物として
産生する場合、二つの分子種の物理化学的性状における
相違は、あるとしても非常に小さいものであるため、相
互に分離することは、極めて困難なことである。
メチオニン残基は分子量約131で、中程度に疎水性を有
し、かつ解離基を持たないため電気的に中性のアミノ酸
残基である。従って蛋白質のようなそれ自体多数の解離
基や疎水性基および親水性基を有する巨大分子のアミノ
末端にメチオニン残基が1残基付加しても蛋白質全体の
物理化学的性質には通常大きな影響を及ぼさないと予想
され、アミノ末端にメチオニン残基が付加した分子種と
付加していない分子種とを相互に分離することはきわめ
て困難であると考えられる。
この難しい問題は、多くの蛋白質において存在し、とり
わけ発現用の宿主として大腸菌を用いて発現する蛋白質
を、これらのN-Met類似体から分離する場合において、
厳しいものがある。
発明が解決しようとする問題点 同じ蛋白質であってもアミノ末端にメチオニン残基の付
加した分子種とそうでない分子種とは蛋白質の高次構造
が相互に異なる可能性があり、両者の間でin vivoおよ
びin vitroでの生物活性や生物学的安定性に差のある可
能性もある。また、メチオニン残基のアミノ末端への付
加が抗原性の増加あるいは減少をもたらす可能性もあり
得よう。従って、生理学上及び産業利用上の観点からア
ミノ末端にメチオニン残基の付加した分子種とそうでな
い分子種とを分離して両者をそれぞれ実質的に純粋な形
で取り出すことが望まれる。
問題を解決するための手段 本発明者らは、蛋白質とそのアミノ末端にさらにメチオ
ニン残基を有する蛋白質(N-Met蛋白質)とを相互に分
離することを目的として鋭意研究を行った結果、それら
が意外にもヒドロキシアパタイトに対して異なる吸着力
を有する事実を見い出した。本発明者らは、この知見に
基づきさらに研究した結果、本発明を完成した。
本発明は、蛋白質および該蛋白質にメチオニン残基が付
加し該蛋白質と同様の生理活性を有する蛋白質(Met−
蛋白質)の混合物を、ヒドロキシアパタイトに対する両
者の親和性の差異を利用す分離手段に付すことを特徴と
する蛋白質と該蛋白質にメチオニン残基が付加した蛋白
質(Met−蛋白質)との相互分離方法である。
本願明細書において「蛋白質」とは、糖鎖を有するもの
もしくは有さないもののいずれをも含み、また、例えば
化学反応もしくは酵素反応により、化学的または構造的
に修飾されたポリペプチドを包含する、アミノ酸の1次
構造からなる高分子物質を意味する。
また「Met−蛋白質」とは、上記「蛋白質」にさらにメ
チオニン基が付加したものを意味する。本発明は、とり
わけ、所望の蛋白質およびそれと同一もしくは同様の生
理活性を有するMet−蛋白質に係るものである。本発明
における好ましいMet−蛋白質は、所望の蛋白質の生理
活性を奏するに十分な、該蛋白質とのアミノ酸配列上の
類似性を有するものである。
本願明細書において「生理活性」とは、生理学的および
免疫学的活性および効果を含むインビボもしくはインビ
トロで生存していてもいなくてもよい細胞,細胞の一
部,細胞もしくは他の生理学的作用に基づく生産物およ
び生物学的物質を含む生体および(または)生理物質へ
の活性または効果を意味する。
上記蛋白質およびそれにメチオニン残基が付加した蛋白
質(Met−蛋白質)の混合物は、通常遺伝子組換え技術
で製造でき、通常エシェリヒア(Escherichia)属菌,
バチルス(Bacillus)属菌,酵母,動物細胞を用いて発
現させることにより製造できる。
上記蛋白質としては、各種生理活性蛋白質が挙げられ、
例えば、インターロイキン(インターロイキン−1,イン
ターロイキン−2など),B細胞増殖因子(BGF),B細胞
分化因子(BDF),マクロファージ活性化因子(MAF),
リンホトキシン(LT),腫瘍壊死因子(TNF)などのサ
イトカイン;トランスホーミンググロースファクター
(TGF-α);エリスロポエチン,上皮細胞増殖因子,イ
ンスリン,ヒト成長ホルモンなどペプチド蛋白質ホルモ
ン;B型肝炎ウイルス抗原,インフルエンザ抗原,口蹄疫
ウイルス抗原,マラリア原虫抗原などの病原性微生物抗
原蛋白質;ペプチダーゼ(例、ティシュプラスミノーゲ
ン アクチベーター,ウロキナーゼ,セラペプターゼな
ど)やリゾチームなどの酵素;ヒト血清アルブミン(HS
A)などの血中蛋白成分が挙げられる。
これら蛋白質の中でも、分子量約3,000〜50,000、とり
わけ約5,000〜30,000のもの、またアミノ酸数として約3
0〜500、とりわけ約50〜300のものに対して、本発明の
蛋白質の相互分離方法は有利に適用ができる。
本発明の蛋白質としては、特に、インターロイキン−2
が好ましい。
ここでインターロイキン−2とは天然のヒトインターロ
イキン−2と同様の生物学的もしくは免疫学的活性例え
ばインターロイキン−2レセプターや抗インターロイキ
ン−2抗体との結合能、を有するものであればいずれで
もよく、具体的には第1図で示されるアミノ酸配列を有
するポリペプチド(I;但しXは水素原子)や、その生物
学的もしくは免疫学的活性に必要な一部分のアミノ酸配
列からなるフラグメントでもよく、例えばポリペプチド
(I)のアミノ末端から1個のアミノ酸(EPC公開91539
号公報)または4個のアミノ酸を欠くフラグメント(特
開昭60-126088号公報)やカルボキシル末端部分の数個
のアミノ酸を欠くフラグメントなどが挙げられ、さらに
上記ポリペプチド(I)の構成アミノ酸の一部が欠損し
ているか他のアミノ酸に置換されたもの、例えば125位
のシステイン残基がセリン残基に置換されたもの(特開
昭59-93093号公報)でもよい。これらのポリペプチド
は、非グリコシル化ポリペプチドであることが好まし
く、とりわけ第1図に示すアミノ酸配列を有するインタ
ーロイキン−2が好ましい。
本明細書においては、第1図で示されるアミノ酸配列を
有するポリペプチドにおいてXが水素原子であるものを
IL-2と、Xがメチオニン残基であるものをMet-IL-2とそ
れぞれ略称することもある。
上記蛋白質とMet−蛋白質との混合物としては、混合比
率が任意のものでよく、該混合物は、約50%以上の純
度、さらに好ましくは、約80%以上の純度を有するもの
が用いられる。
本発明方法において用いられるヒドロキシアパタイト
は、リン酸カルシウムの一種であり、式Ca10(PO4)6(OH)
2で表わされる。
ヒドロキシアパタイトはクロマトグラフィー用,高速液
体クロマトグラフィー用のいずれかでもよく、クロマト
グラフィー用としてはバイオゲルHT,バイオゲルHTP(い
ずれもバイオラッド社製,U.S.A),ハイドロキシアパタ
イト(株式会社日本ケミカル製)などが、高速液体クロ
マトグラフィー用カラムとしてはヒドロキシアパタイト
カラム(三井東圧株式会社製),バイオゲルHPHTカラム
(バイオラッド社製),KBカラム(高研株式会社製)な
どが挙げられる。
本発明方法における分離手段としては、たとえば通常の
クロマトグラフィー,高速液体クロマトグラフィー用が
挙げられる。
クロマトグラフィーの条件としては、あらかじめ開始緩
衝液で平衡化したヒドロキシアパタイトカラムに蛋白質
を負荷して、溶出緩衝液を用いて蛋白質を分離溶出す
る。開始緩衝液としては、pH約5以上のリン酸緩衝液を
用い、最も一般的には約0.01M以下のリン酸緩衝液(pH
約6.8)を用いる。試料蛋白質の負荷量はヒドロキシア
パタイト1ml当たり約1〜5mgが適当である。溶出緩衝液
としては一般に開始緩衝液と同じpH値をもつ高濃度のリ
ン酸緩衝液を用いるが、酢酸イオン,シュウ酸イオン,
炭酸イオン,硫酸イオンを用いても溶出が可能である。
溶出法としては、段階的溶出法と濃度勾配法のどちらを
用いてもよい。
高速液体クロマトグラフィーの条件としては、上述のク
ロマトグラフィーの条件とほぼ同様である。具体的には
たとえば市販のヒドロキシアパタイトカラム(0.78×10
cm,三井東圧株式会社製)を用いる高速液体クロマトグ
ラフィーでは平衡化緩衝液としてpH約5.5〜10.5の、好
ましくはpH約6.5〜8の0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液を
用い、リン酸ナトリウム緩衝液の濃度を上昇させること
により溶出を行う。通常約0.1〜100mgの蛋白質をのせて
約0.1〜5ml/minの好ましくは約0.5〜1.5ml/minの流速で
高速液体クロマトグラフィーを行う。
所望により上記の方法に従って分離した蛋白質のみを含
む画分,該蛋白質にさらにメチオニン残基が付加した蛋
白質のみを含む画分から実質的に純粋な蛋白質,該蛋白
質にさらにメチオニン残基が付加した蛋白質(Met−蛋
白質)をそれぞれ採取することができる。この目的のた
めには、自体公知の塩折法,疎水クロマトグラフ法,ゲ
ルろ過法,イオン交換クロマトグラフ法や高速液体クロ
マトグラフ法などの蛋白質の精製に一般的に用いられる
方法を適宜組み合わせて行なわれる。
本発明は遺伝子工学技術で製造した蛋白質から、その対
するMet−蛋白質を実質的に含まないよう分離すること
ができる。本発明により製造される蛋白質は、対応する
Met−蛋白質を重量比で3%以下、好ましくは2%以
下、とりわけ1%以下しか含まないものである。また、
本発明により製造されるMet−蛋白質は、対応する蛋白
質を重量比で3%以下、好ましくは2%以下、とりわけ
1%以下しか含まないものである。
本発明により製造される蛋白質およびそれにメチオニン
残基が付加した蛋白質(Met−蛋白質)は、いずれも天
然の対応する蛋白質と同様の生物学的もしくは免疫学的
活性を有し、高純度に精製されており夾雑蛋白質、発熱
物質がきわめて少ないので注射剤原体等として安全に使
用される。
たとえば、本発明により得られるIL-2およびMet-IL-2は
いずれも正常なT細胞やナチュラルキラー細胞をその機
能を保持させたまま増殖させる活性を有する。したがっ
て、本発明により得られるIL-2およびMet-IL-2は、それ
ぞれT細胞やナチュラルキラー細胞をインビトロで長期
にわたり増殖,継代したりクローン化するのに使用でき
る。なお、この性質を利用してヒトインターロイキン−
2の活性を測定することができる。
さらに、本発明により得られるIL-2およびMet-IL-2は、
たとえば腫瘍抗原を認識し、破壊する抗原特異的なキラ
ーT細胞や抗原感作の経験の有無と無関係に腫瘍を殺す
能力をもつところのナチュラルキラー細胞をインビトロ
で選択的に増殖させることができ、またこのキラーT細
胞を生体へ移入する際に、本発明により得られるIL-2ま
たはMet-IL-2を同時に接種することにより、その抗腫瘍
効果を増大させることから、温血動物(例、マウス,ラ
ット,ウサギ,犬,ネコ,ブタ,ウマ,ヒツジ,ウシ,
人など)の腫瘍の予防,治療や免疫機能低下疾患の治療
のために用いることができる。
本発明により得られるIL-2およびMet-IL-2はそれぞれ夾
雑蛋白質による抗原性がなく低毒性である。
本発明により得られるIL-2またはMet-IL-2を腫瘍の予
防,治療剤として用いるには、当該物質を自体公知の担
体,賦形剤,希釈剤と混合希釈して、たとえば注射剤,
カプセル剤などとして非経口的にまたは経口的に投与す
ることができる。さらに、前述したようにインビトロで
増殖させたキラーT細胞やナチュラルキラー細胞と共に
または単独で使用することができる。
本発明のIL-2およびMet-IL-2は、公知の天然から分離さ
れたヒトインターロイキン−2と実質的に同じ生物活性
を有するのでこれと同様に使用することができ、細胞の
インターロイキン−2受容体との解離定数がきわめて小
さいことから、極く小量の投与で良い。
T細胞をインビトロで増殖させる目的に使用するために
は、本発明のIL-2またはMet-IL-2を約0.01〜1ユニット
/ml、好ましくは約0.1〜0.5ユニット/mlの濃度で培地に
添加して用いることができる。
インターロイキン−2の生物活性の測定は、インターロ
イキン−2依存性細胞を用いる方法[バイオケミカル・
アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケ−シ
ョンズ(Biochem. Biophys. Res. Commun.),109,363
(1982)]により行なうことができる。
T細胞をインビトロで増殖させる目的に使用する具体的
としては、たとえば、20%ウシ胎児血清を含むRPMI 164
0培地にヒト末梢血より分離したT細胞(1×106個/m
l)およびX線(1500ラッド)照射したB細胞トランス
ホフォーマント(1×106個/ml)を加えて37℃,5%CO2
存在下で3日間リンパ球混合培養を行なって得られるア
ロ抗原感作T細胞を含む細胞浮遊液に本発明のIL-2また
はMet-IL-2を0.1〜0.5ユニット/mlの濃度で加え約一週
間ごとに培地交換しながら約1か月間培養を続ける方法
などが挙げられる。
本願明細書および図面において、アミノ酸を略号で表示
する場合、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nome
nclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号
に基づくものであり、その例を次に挙げる。また、アミ
ノ酸に関し光学異性体がありうる場合は、特に明示しな
ければL−体を示すものとする。
Gly:グリシン Ala:アラニン Val:バリン Leu:ロイシン Ile:イソロイシン Ser:セリン Thr:スレオニン Cys:システイン 1/2Cys:ハーフシスチン Met:メチオニン Glu:グルタミン酸 Asp:アスパラギン酸 Lys:リジン Arg:アルギニン His:ヒスチジン Phe:フェニルアラニン Tyr:チロシン Trp:トリプトファン Pro:プロリン Asn:アスパラギン Gln:グルタミン Asp/Asn:アスパラギン酸およびアスパラギン Glu/Gln:グルタミン酸およびグルタミン 後述の参考例1で得られた形質転換体エシェリヒア・コ
リ(Escherichia coli)N4830/pTB285は、財団法人発酵
研究所(IFO)に昭和60年(1985年)4月25日から受託
番号IFO 14437として寄託され、また本形質転換体は、
昭和60年(1985年)4月30日から通商産業省工業技術院
微生物工業技術研究所(FRI)に受託番号FERM P-8199と
して寄託され、該寄託はブタベスト条約に基づく寄託に
切換られて受託番号FERM BP-852として同研究所(FRI)
に保管されている。
実施例 以下の実施例および参考例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
なお、生物活性の測定はインターロイキン−2依存性細
胞を用いるBiochem.Biophys.Res.Commun.,109,363(198
2)に記載の方法に従って行った。
実施例1 ヒドロキシアパタイトカラムを用いる高速液
体クロマトグラフィーによるIL-2とMet-IL-2との分離: 参考例1(vi)で得られたIL-2およびMet-IL-2の混合物
である非グリコシル化ヒトインターロイキン2を含む0.
005M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)(蛋白質濃度1.0
3mg/ml)2ml(2.06mg)を高速液体クロマトグラフィー
用ヒドロキシアパタイトカラム(0.78×10cm,4.8ml,三
井東圧株式会社製)にのせ、以下の条件下で蛋白質を溶
出した。カラム温度,25℃;溶出溶媒A,0.01Mリン酸ナト
リウム緩衝液(pH7.5);溶出溶媒B,0.25Mリン酸ナトリ
ウム緩衝液(pH7.5);溶出プログラム,0分(95%A+
5%B)−45分(87%A+13%B)−65分(87%A+13
%B);流速,0.6ml/min;検出波長,280nm、本条件下に
おいて、非グリコシル化インターロイキン2は保持時間
43分で溶出されるピーク1と保持時間54分で溶出される
ピーク2とに分離された。そこで、これらを分取後、高
速液体クロマトグラフィーで用いたリン酸ナトリウムを
除去するため、トリフルオロ酢酸−アセトニトリル系を
溶出溶媒とする高速液体クロマトグラフイーを行った。
カラム,ウルトラポアRPSC(1.0×25cm,アルテックス
社,アメリカ);カラム温度,30℃;溶出溶媒A,0.1%ト
リフルオロ酢酸−99.9%水;溶出溶媒B,0.1%トリフル
オロ酢酸−99.9%アセトニトリル;溶出プログラム,0分
(55%A+45%B)−4分(55%A+45%B)−28分
(42%A+58%B)−38分(34%A+66%B)−43分
(20%A+80%B)−44分(55%A+45%B);溶出速
度3.0ml/min。このクロマトグラフイーによって得られ
た溶液をそれぞれ凍結乾燥に付し、白色粉末を得た。ヒ
ドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィーにおける
ピーク1およびピーク2から得られたものを、それぞれ
P1およびP2となずけた。P1の収量は0.80mg(38.8%),P
2の収量は0.46mg(22.3%)であった。
次に得られたP1およびP2について蛋白化学的分析を行っ
た。P1およびP2それぞれ45μg(3nmol)を用い、気相
プロテインシークエンサー(アプライド・バイオシステ
ムズ社製470A型)を用いる自動エンドマン分解法により
P1およびP2のアミノ末端アミノ酸配列を決定した。フェ
ニルチオヒダントインアミノ酸(PTH−アミノ酸)はミ
クロパックSP-C18カラム(バリアン社製)を用いる高速
液体クロマトグラフイーにより同定した。ステップ1〜
4で検出されたPTH−アミノ酸を第1表に示す。
カルボキシル末端アミノ酸の分析は次のようにして行っ
た。すなわちP1およびP2をヒドラジン分解用ガラス管に
とり、無水ヒドラジンを加えて減圧下に封管したのち10
0℃で6時間加熱した。得られたヒドラジン分解物をベ
ンズアルデヒド処理したのち、遊離アミノ酸を日立製83
5型アミノ酸分析計により測定した。その結果、P1およ
びP2ともにスレオニンのみが検出され、回収率はそれぞ
れ30.3%および28.5%であった。このことからP1および
P2のカルボキシル末端アミノ酸はスレオニンと同定され
た。アミノ酸組成分析は4%チオグリコール酸を含む定
沸点塩酸を加えて減圧下に封管後、110℃で24,48,72時
間、加水分解し、日立製835型アミノ酸分析計により実
施した。シスチンおよびシステインは過ギ酸酸化したの
ち、減圧下定沸点塩酸中で24時間加水分解してアミノ酸
分析計によりシステイン酸として定量した。アミノ酸分
析値は24,48および72時間の加水分解で得られた値を平
均して求めた。ただし、セリンおよびスレオニンの値は
加水分解時間を0時間に外挿して求めた。その結果を第
2表に示す。アミノ末端アミノ酸配列分析およびアミノ
酸組成分析の結果から、P1は第1図中X=メチオニン残
基で示される分子種((Met-IL-2)を、P2は第1図中X
=水素原子で示される分子種(IL-2)をそれぞれ97%お
よび95%以上の純度で含んでいることが確認された。
参考例1 非グリコシル化ヒトインターロイキン−2の
製造 (i)発現用プラスミドの構築 ヒトインターロイキン−2遺伝子を有するプラスミドpI
LOT 135-8[特開昭60-115528号公報]を制限酵素HgiAI
で切断した。得られた1294bpDNA断片をT4DNAポリメラー
ゼで平滑末端とし、T4DNAリガーゼを用いて、EcoRIリン
カーdTGCCATGAATTCATGGCAを結合させた。得られたDNAを
EcoRIで消化し、翻訳開示コドンATGおよびヒトインター
ロイキン−2遺伝子を有するDNA断片を得た。
このDNA断片を、あらかじめ、EcoRI-PstI部位を消化し
たptrp781[ヌクレイック・アシズ・リサーチ(Nucleic
Acids Research),第11巻,3077頁(1983)]にT4DNA
リガーゼを用いて挿入した。かくして得られた発現用プ
ラスミドpTF1はtrpプロモーターの下流に翻訳開示コド
ンとヒトインターロイキン−2遺伝子を有する。
プラスミドpTF1を制限酵素StuIで切断し、BamHIリンカ
ーと結合させた。このプラスミドDNAを制限酵素Bam HI
およびEcoRIで処理し、ついでEcoRI−Bam HI部位にλPL
プロモーターを有するプラスミドpTB281に挿入した。か
くして得た発現用プラスミドをpTB285と命名した。
(ii)形質転換体の製造 上記で得たプラスミドpTB285でエシェリヒアコリ(Esch
erichia coli)N4830をコーエンらの方法[プロシージ
ングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンス(Pro.Natl.Acad.Sci.USA),第69巻,2110頁(197
2)]に従い形質転換し、上記プラスミドを含有する形
質転換体エシェリヒア コリN4830/pTB285(IFO 14437,
FERM BP-852)を得た。
(iii)形質転換体の培養 形質転換体エシェリヒア・コリN4830/pTB285(IFO 1443
7,FERM BP-852)を250ml容フラスコ内のバクト・トリプ
トン(ディフコ・ラボラトリーズ,アメリカ)1%,バ
クト・イーストエキス(ディフコ・ラボラトリーズ,ア
メリカ)0.5%,食塩0.5%およびアンピシリン50μg/ml
を含む液体培地(pH7.0)50mlに接種して37℃で一晩回
転振盪培養した。この培養液をカザミノ酸0.5%,グル
コース0.5%およびアンピシリン50μg/mlを含むM9培地
2.5lの入った5l容ジャーファーメンターに移し35℃で6
時間、ついで42℃でさらに3時間通気攪拌培養して培養
液2.5lを得た。この培養液を遠心分離し、菌体を集め、
−80℃で凍結して保存した。
(iv)抽出 凍結菌体20gを7M塩酸グアニジン0.1M Tris-HClを含む抽
出(pH7.0)100mlに均一に懸濁し、4℃で1時間攪拌し
た後、28,000×gで20分間遠心分離し上清を得た。
(v)インターロイキン−2蛋白質の部分精製 得られた上清を0.01M Tris-HC1緩衝液(pH8.5)に対し
て透析後19,000×gで10分間遠心分離して得た上清を0.
01M Tris-HCl緩衝液(pH8.5)で平衡化したDE52(DEAE
−セルロース,ワットマン社製,イギリス)カラム(50
ml容)に通して蛋白を吸着後、NaCl濃度直線勾配(0〜
0.15M NaCl,1)を作成して、IL−2を溶出させ、活性
画分を得た。
(iv)インターロイキン−2蛋白質の精製 上記で得られた活性画分をYM−5メンブラン(アミコン
社製,アメリカ)を用いて、5mlに濃縮し、0.1M Tris-H
Cl(pH8.0)−1M NaCl緩衝液で平衡化したセファクリル
S−200(ファルマシア製,スウエーデン)カラム(500
ml容)を用いてゲルろ過を行った。活性画分40mlをYM−
5メンブランで3mlに濃縮した。得られた濃縮液を、ウ
ルトラポアRPSC(アルテックス社製,アメリカ)カラム
に吸着させ、トリフルオロ酢酸−アセトニトリル系を溶
出溶媒とする高速液体クロマトグラフィーを行った。カ
ラム,ウルトラポアRPSC(4.6×75mm);カラム温度,30
℃:溶出溶媒A,0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%水;溶
出溶媒B,0.1%トリフルオロ酢酸−99.9%アセトニトリ
ル;溶出プログラム,0分(68%A+32%B)−25分(55
%A+45%B)−35分(45%A+55%B)−45分(30%
A+70%B)−48分(100%B);溶出速度,08.ml/min;
検出波長,230nm。
本条件下で保持時間約39分の活性画分,IL-2およびMet-I
L-2の混合物10mlを集めた。
発明の効果 本発明により蛋白質と該蛋白質にさらにメチオニン残基
が付加した蛋白質との相互分離ができるので、該分離方
法によりえられる蛋白質は、それぞれ医薬品等として有
利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、IL-2のアミノ酸配列(図中、X=水素原子)
およびMet-IL-2のアミノ酸配列(図中、X=メチオニン
残基)をそれぞれ示す。 第2図は、実施例1における高速液体クロマトグラフィ
ーの結果を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛋白質およびそのアミノ末端にさらにメチ
    オニン残基を有する蛋白質の混合物を、ヒドロキシアパ
    タイトに対する両者の親和性の差異を利用する分離手段
    に付すことを特徴とする蛋白質とそのアミノ末端にさら
    にメチオニン残基を有する蛋白質との相互分離方法。
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