JP4503832B2 - 遠心分離装置 - Google Patents
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Description
従来の技術
本発明は、請求項1及び2の上位概念部に記載の形式の、ケーシング内に回転可能に支承されたロータを有する遠心分離装置に関する。
【0002】
このような形式の遠心分離装置は公知であり、その構造は例えばヨーロッパ特許第728042号明細書に記載されている。この明細書には、通常自動車分野において使用されるオイル遠心分離装置が開示されている。このオイル遠心分離装置は、金属薄板構造形式で製造されていて、縁曲げによって互いに結合されている複数の金属薄板シェル1,7,11(図1参照)から成っている。さらに中央管2が設けられており、この中央管2には、受容部と一緒にケーシング内において滑り支承部を形成するブシュ3,4がプレス嵌めされる。滑り支承部は遠心分離されるオイルによって潤滑される。遠心分離装置の駆動は、遠心分離ロータの底部7に設けられた孔8を介して行われる。
【0003】
この遠心分離ロータは、安価な大量生産に向く部材である。製造時に経済性が考慮されることに基づいて、遠心分離ロータには、達成可能な最大回転数を種々様々な理由から制限する製作誤差が生じる。穿孔又は打抜きによって製造されかつ駆動ノズルを形成する開口8は、開口の不正確さに基づいて駆動装置としての効率が制限されている。滑り軸受にはある程度の摩擦が発生するが、この摩擦は特に、軸受ブシュが軸方向において完全に整合していないことによって生ぜしめられる。さらに滑り軸受においてはある程度の漏れが発生し、この漏れによって、潤滑オイルには遠心分離されない二次流が生じる。遠心分離ロータにおいて生じるアンバランスに基づいて、回転数はいずれにせよ制限されねばならない。それというのは、さもないと滑り軸受の負荷及び、ロータがケーシングに与える振動発生が、極めて強く上昇するからである。
【0004】
しかしながら遠心分離される材料を効果的に分離するためには、ロータの高い回転数が必要であり、かつそれと同時に、遠心分離される液体の装入量をわずかにすることが必要である。基本的には回転数は、より大きな開口8を設けることによって高めることができるが、しかしながらこれによって装入量は増大してしまい、その結果高いロータ速度にもかかわらず、遠心分離される粒子は、沈積面に固着するのに短い時間しか得ることができない。遠心分離結果を最適化するための別の可能性では、例えばドイツ連邦共和国特許第1012776号明細書に開示されているように、滑り軸受の代わりにころがり軸受が配置されている。これによって遠心分離ロータにおける軸受摩擦が減じられ、ひいてはより高いロータ回転数を得ることができる。この場合にはしかしながら次のような問題が発生する。すなわちこのような構成では、ロータ内室とロータ周囲(ケーシング内室)との間における高い圧力差によって、ころがり軸受を通って流れる漏れ流が発生してしまう。この漏れ流がころがり軸受の外レースと内レースとの間を通って妨げられずに流れると、オイル損失が増大するのみならず、付加的に軸受摩擦が大きくなってしまい、滑り軸受との比較における摩擦の利点が得られなくなってしまう。したがってこの場合、この間隙を付加的にシールする必要がある。しかしながら玉軸受のカプセル化は不可能である。それというのは、玉軸受は両軸受側における大きな圧力差に基づいて、軸受レースに極めて強く押し付けられ、その結果、滑り軸受の使用時に比べてより大きな摩擦が生じてしまうからである。
【0005】
したがってドイツ連邦共和国特許第1012776号明細書に開示されたころがり支承部は、滑り支承部と組み合わせられる。滑り支承部は漏れ流を減じるために働き、かつ隙間嵌めとして構成されていることができるので、漏れ流は同時に軸受を潤滑する。遠心分離装置の運転中にはしかしながらころがり軸受の軸受レースの間における中間室はオイルによって満たされて回転するので、これによって摩擦損失が再び不必要に上昇する。さらに摩擦損失は両方の隙間嵌めによっても高められるので、遠心分離ロータの回転抵抗は結果的にほとんど減じられ得ない。またこの公知の解決策は、遠心分離装置のコストを著しく高騰させる。なぜならば、滑り軸受のための相応な嵌合部を製作しなくてはならず、かつ付加的に、使用されるころがり軸受の構成成分費用が生じるからである。
【0006】
ゆえに本発明の課題は、製造コストが安価で、しかも最適な分離効果を生ぜしめることができる遠心分離装置を提供することである。
【0007】
この課題は、請求項1及び2の特徴部に記載の構成によって解決される。
【0008】
発明の利点
本発明による遠心分離装置は、ケーシング内に支承されたロータを有している。ケーシングは、駆動ノズルを通って流出する遠心分離される液体から周囲を保護するという課題を担っている。この場合、遠心分離ロータのために特殊なケーシングベルを設ける必要はない。同様にまた、他の構成成分のために考えられたケーシング内にケーシングベルを一緒に挿入することも可能である。このような例としては、例えば内燃機関のクランクケーシング又はオイルフィルタモジュールを挙げることができ、このオイルフィルタモジュール内には、遠心分離ロータが二次流フィルタとして主流フィルタエレメントに付加的に配置されている。
【0009】
遠心分離ロータの軸受箇所のうちの1つは、同時に遠心分離される液体のための入口として構成されている。この軸受箇所は、滑り支承部と共働して同時に、ケーシング内室に対する液体供給部の十分なシールを提供する。他の支承手段は本発明によればころがり軸受によって形成される。ころがり軸受としては特に玉軸受が挙げられる。この場合、カバー面と底面との互いに向かい合っている両側に2つの軸受手段を設けると、発生する軸受力を最小にすることができ、有利である。
【0010】
ころがり軸受のためのカバー面における軸受受容部は、ロータの内部に向かってシールされている。このことは例えば次のことによって、すなわちロータのカバー面が閉鎖されて構成されていて、軸受受容部が一体的に成形されていることによって、達成することができる。いずれにせよ軸受受容部は次のように、すなわち遠心分離される液体がそこでロータ内室からケーシング室内に侵入することができないように、構成されていなくてはならない。このような構成には、ころがり軸受が遠心分離ロータにおける漏れ流にさらされない、という大きな利点がある。ころがり軸受の潤滑のためには、遠心分離ロータの駆動ノズルによって生ぜしめられる霧状オイルでまったく十分であり、このような霧状オイルによってそれどころか、最適な潤滑条件が得られる。ころがり軸受の摩擦はしたがって極めて小さい。
【0011】
付加的に、カプセル化されたころがり軸受を使用することも可能である。これによってころがり軸受を、遠心分離される液体における汚れから保護することができ、かつ耐用寿命にわたって運転開始前に潤滑することができる。しかしながら、滑るシール箇所が、カプセルに遠心分離装置内室において生じるオイル圧を供給することは許されない。それというのは、さもないと極めて大きな軸受摩擦が発生し、ロックが引き起こされるからである。つまり上述のように構成されたロータにおけるシールされた軸受受容部は、この構成においても必要である。
【0012】
軸受受容部は例えば閉鎖された軸端部から成っていることができ、この軸端部はカバー面から突出していて、ころがり軸受の内レースに挿入される。同様に、カバー面の同心的な凹設部も可能であり、このような凹設部にはころがり軸受がその外レースと共に挿入される。軸端部は、遠心分離ロータに対して作用する半径方向力を伝達する。ころがり軸受を相応に選択すると、例えば玉軸受を選択すると、このような軸受は、特にオイル圧によって滑り軸受において生じる軸方向力を受け止めることができる。
【0013】
上に述べた遠心分離装置における軸受問題のための択一的な解決策では、少なくとも1つの滑り軸受が設けられており、この場合この滑り軸受が軸受ブシュと滑りブシュとから成っている。軸受ブシュはケーシング内に固定される。このことはプレス嵌めによって有利に行うことができるが、しかしながらまた、接着又はねじ結合のような別の可能性をクランプのために使用することも可能である。滑りブシュは軸受ブシュに差し込まれ、ロータに設けられた軸受受容部と関係させられる。軸受受容部は同時に、遠心分離される液体のロータへの入口を形成している。軸受受容部は例えば、滑りブシュに差し込まれる中空管片から成っていることができる。しかしながらまた、滑りブシュを差し込むことができるロータにおける孔状の受容部も可能である。いずれの場合にも、滑りブシュは、入口通路系からロータにおける入口への遠心分離される液体の貫通案内を保証する。
【0014】
遠心分離される液体は同時に滑り軸受のための潤滑剤としても働く。この場合滑り軸受の滑り対偶の間においてはわずかな漏れ損失が生ぜしめられるが、実質的に滑り軸受は、供給通路と、遠心分離装置を取り囲むケーシング内室との間におけるシールを形成する。
【0015】
滑りブシュ及び軸受ブシュのためには、これらの部材の滑り支承特性に関して最適な結果を保証する材料対を選択することができる。軸受ブシュは例えば青銅から成っていることができ、それに対して滑りブシュは鋼から製造される。ロータの滑り支承部のためには滑りブシュと軸受ブシュとの間において相対運動が行われると有利であり、これに対して、ロータにおける軸受受容部と軸受ブシュとの間における結合部は、回動不能に構成されていることが望ましい。しかしながらこの場合、軸受受容部における滑りブシュの回転抵抗は、ブシュ対の間における回転抵抗よりもほんの少し大きいだけである。そしてこのことは既に、軸受ブシュに対するロータの簡単な差込みによって保証可能である。さらにまた、一般的に交換部分として構成されている遠心分離ロータの簡単な分解可能性が、利点として挙げられる。このようになっていると、滑りブシュを何回も使用することができ、有利である。
【0016】
滑り軸受の上に述べた構成は、遠心分離装置がプラスチックから構成されている場合、特にロータが完全にプラスチックから製造されている場合に、特別な利点をもたらす。このようなプラスチック製の遠心分離ロータの構造は、例えば国際公開第98/46361号明細書に開示されている(図3及びそれに対する記載参照)。プラスチックは、問題になる滑り対偶に対して不都合な相対的な熱膨張に基づいて、軸受ブシュにおける直接的な支承のためにはあまり適していない。したがって滑りブシュを介在させることによって、遠心分離支承部の持続運動特性は著しく改善される。それというのはこの場合、わずかな漏れオイル損失を伴う小さな軸受間隙を実現することができるからである。プラスチック製の遠心分離ロータにおける軸受受容部が中空管片から形成されていると、滑りブシュへの結合は、既に述べたように簡単な差込みによって行うことができる。中空管片と滑りブシュとの間における嵌合は、ここでも相対運動が可能であるように選択されることができ、そしてこの際に生じる摩擦は、ブシュ対の間における摩擦を上回っていることが望ましい。
【0017】
本発明の有利な構成では、滑りブシュが紛失防止部を備えている。この紛失防止部は例えばブシュの、ロータとは反対側の端部に設けられた段部から成っていることができる。この段部は、遠心分離ロータの交換時に軸受ブシュから滑りブシュが滑り落ちることを阻止する。そしてこのように構成されていることによって、既に述べた使用例における場合のように両ブシュの嵌合部よりも、大きな摩擦でロータと滑りブシュとの間の結合部が固着している場合でも、ロータを滑りブシュから引き出すことができる。交換ロータは次いで簡単に滑りブシュ内に挿入されることができ、この際に滑りブシュが紛失すること又は誤って組み込まれることはない。つまりこのように構成されていると、ロータの交換時におけるエラーの発生率が減じられる。運び出されたロータは、それが完全にプラスチックから製造された部材である場合には、問題なく熱によって廃棄物処理を行うことができる。
【0018】
本発明の別の有利な構成では、軸受手段のうちの少なくとも1つが、各軸受手段の軸受中心点に対して3つの回転自由度を有している。もちろん第1の回転自由度は遠心分離の回転に対応しており、いずれにせよ与えられていなくてはならない。他の2つの回転自由度は、ロータの回転軸線の揺動を可能にし、この場合揺動の中心は各軸受手段の軸受中心点である。この処置はしかしながら、遠心分離ロータを揺動させるために設けられているのではなく、遠心分離回転軸線の製作誤差に基づく角度ずれを力なしに補償できるようにするために設けられている。揺動運動は遠心分離装置におけるそれぞれ他方の軸受によって阻止される。
【0019】
力なしの支承は、特に、滑り軸受を使用する場合に必要である。極めて小さな角度ずれでさえも、軸受摩擦を強く高め、ひいてはロータのロックを惹起することがある。つまり付加的な回転自由度は、遠心分離ロータに対してもケーシングに対しても大きな製作誤差範囲を可能にする。このことには、前記部材の製造の経済性に関して大きな利点がある。しかしながら、極めて小さな製作誤差しか許さない部材においても、本発明によるこの構成は、摩擦損失の増大を完全に阻止することができる。この効果によって、遠心分離ロータの達成可能な回転数はさらに高められる。同時に、遠心分離装置の所望の公称回転数を確実に得ることができる。それというのは、個々の遠心分離装置の軸受の摩擦値におけるばらつきが減じられるからである。
【0020】
軸受手段の付加的な回転自由度は、ケーシング内に固定されている軸受外レースの球欠状の構成によって達成することができる。この場合には軸受中心点は、湾曲された球欠面を含む球の中心点によって生ぜしめられる。滑り軸受のためにはしたがって、市販の軸受球欠体(Lagerkalotte)を軸受ブシュとして使用することが可能である。ころがり軸受を使用する場合には、ころがり軸受の外レースを球形に構成することや、ころがり軸受自体を同様に軸受球欠体内に収容することが可能であり、後者の場合軸受球欠体はケーシング壁と係合している。
【0021】
本発明の別の有利な構成では、支承部内においてロータが軸方向遊びを有している。このように構成されていると、温度変化によってロータがケーシングよりも強く膨張した場合に、ロータが軸受手段にクランプ力を加えることを、回避することができる。このことは特に、遠心分離装置の連続運転時に、ロータの申し分のない低摩擦の働きを保証する。遠心分離装置がその運転中に軸受遊びに基づいて移動することは、作用原理に基づいて阻止される。遠心分離装置の内部において発生するオイル圧によって、遠心分離装置は運転中に、入口とは反対側に位置する軸受手段に押し付けられる。つまりこの軸受手段は軸方向力をも受け止めなくてはならない。したがってこのような軸受手段としては玉軸受が特に適している。また軸方向遊びを制限するために、遠心分離ロータには軸方向ストッパを設けることが可能である。軸方向ストッパとしては、もちろんロータ本体自体を利用することができる。それというのは、ロータ本体は軸受受容部よりも大きな直径を有しているからである。
【0022】
遠心分離装置の達成可能な最高回転数を最大にするという課題を解決する別の構成では、ロータの底部がプラスチックから一体的に製造されており、支承手段のための軸受受容部の他に、少なくとも1つの駆動ノズルが底部に一体的に組み込まれている。このプラスチック構造形式はノズル開口の高い精度の構成を可能にし、しかもまたノズル開口のジオメトリを多様にすることができる。プラスチック部品は射出成形品として構成することができ、この場合ノズル開口は一緒に成形型に入れられている。したがってこのような部品もしくは部材の後処理は不要であり、これによって付加的にコストを節減することができる。択一的に、ノズル開口は穿孔によって製作することもでき、この場合には材料選択に基づいて高い精度を達成することができる。射出成形技術はさらに、ノズルジオメトリのための付加的な構成自由空間(Gestaltungsfreiraum)を可能にする。上に述べたような利点は、公知の金属薄板製底部では高い費用をかけてしか、例えば精密穿孔ドリルの使用によってしか実現することができず、このことは特に、自動車分野において遠心分離装置を使用する場合に不経済である。通常は孔は打抜きによって生ぜしめられるか、又はスタンダードドリルによって生ぜしめられる。
【0023】
本発明の有利な構成では、軸受受容部は、プラスチック底部に一体に注型された中空管片から成っている。この場合中空管片は同時にロータのための入口を形成していて、かつ既に述べたように滑り軸受と共働する。底部における異なった構成成分の機能をまとめることによって、製造及び組立てにかかる費用を著しく減じることができる。
【0024】
底部においてころがり軸受を使用したい場合には、底部における軸受受容部は既に述べた理由から次のように、すなわちロータ内室がこの箇所においてシール作用をもってケーシング内室から切り離されるように、構成されねばならない。
【0025】
遠心分離される液体のための入口は、この場合例えば別の軸受箇所に設けることが可能である。
【0026】
本発明の特に有利な構成では、カバーの底部にさらに通路が一体に組み込まれており、この通路はカバーの内側において通路カバーによって内室から切り離されている。液体は入口開口を通って通路に達し、そこからさらに駆動ノズルへと導かれる。この場合液体粒子の運動エネルギは、部分的にロータの回転運動へと変換される。これによって、遠心分離ロータのためにさらに回転数の上昇を達成することができる。通路の配置にはしかしながらさらなる利点がある。通路のための入口開口は遠心分離装置軸線の近くに設けられ、かつ底部において遠心分離装置内部の最下位の部分に位置している。
【0027】
これによって遠心分離装置の汚れ収容能力は最大に高められる。それというのはこの場合、分離された物質のために遠心分離ロータの収容容積を小さくしてしまう沈静室を、駆動ノズルの引込み領域に設ける必要がないからである。
【0028】
回転数を高める通路の効果は、この通路の湾曲経過が連続的になっていると、最適に利用することができる。すなわち通路の湾曲経過は、半径方向外側に向かって方向付けられた流れ方向から接線方向に方向付けられた流れ方向へ液体を連続的に導くことによって、回転運動への流れインパルスの変換を生ぜしめる。この作用はもちろん、例えば構造的な条件に基づいて通路において90°よりも小さな方向変化が行われる場合でも、利用することができる。また通路経過における不連続性は単に、上記効果を減じるだけである。
【0029】
通路カバーは底部と接着されても又は溶接されてもよい。入口開口の有利な構成は、入口開口が、遠心分離装置の内部において延在する中央管の周りにリング状に配置されていることによって、得られる。中央管は有利には同様に底部に組み込むことが可能である。この場合中央管は、遠心分離装置の内室に突入していて、遠心分離される液体をロータ内室の上側部分に案内するために働く。液体はそこから通路における入口開口に戻されるか、又は、通路が設けられていない場合には直接駆動ノズルへと流れる。つまり底部に中央管が組み込まれていることによって、構成部材をさらに統合することができ、これは提案された解決策の経済性を高めるのに役立つ。
【0030】
実施例の記載
図1には、自動車用のオイル遠心分離装置が示されている。このオイル遠心分離装置は、ケーシング支台10とケーシングベル11とから成るケーシング内に収容されている。両ケーシング部分は互いに螺合されていて、Oリング12によってシールされている。
【0031】
遠心分離装置ケーシングの内部には、ロータ13が回転可能に支承されている。ロータ13の片側には支承のために軸端部14が設けられている。この軸端部14は中空に構成されているが、しかしながら端部においては閉鎖されており、その結果ケーシング内室15に対する遠心分離装置内部の完全な閉鎖が保証されている。ころがり軸受16がケーシング受容部17aに挿入されており、この場合スナップノーズ18がケーシングベル材料の弾性度を利用しながら、玉軸受の固定を保証する。ロータの交換時には従って、玉軸受はケーシングベル内に残り、紛失を防止することができる。
【0032】
ロータの他方の端部にはロータ支承のために、中空管片19が設けられている。このロータ管片19は滑りブシュ20内に差し込まれており、この滑りブシュ20は軸受ブシュ21内において回転する。軸受ブシュ21は球欠形状に形成されていて、適合するケーシング受容部17b内に挿入されている。軸受ブシュ21を固定するために、ケーシング受容部17bに固定された固定リング22が設けられている。
【0033】
遠心分離されるオイルは、供給部23を通して滑り軸受20,21に達し、この滑り軸受20,21はケーシング内室15を供給部23に対してシールしている。流入するオイルは同時に滑り軸受を潤滑するためにも働く。滑り軸受からオイルは中空管片19の入口24を通して中央管25の内部に進入し、この中央管25の端部を通してロータの分離室26に導かれる。この分離室26内にはガイドリブ27が設けられており、これらのガイドリブ27の間には、ロータ内壁によって形成された沈積面(Ablagerungsflaeche)28が位置している。オイルはゆっくりとリング状の入口開口29に向かって流れ、この入口開口29は通路(Impulskanal)30に通じている。この経過の中で粒子は沈積面28に分離沈積され、この場合ガイドリブは遠心分離装置内部におけるオイルの回転を助成する。通路を通ってオイルは駆動ノズル31に達し、これらの駆動ノズル31によってケーシング内室15内に噴射される。ケーシング支台には、クリーニングされたオイルのための流出部32が設けられている。オイルの流れ方向は矢印で示されている。
【0034】
ロータ13は組み込まれた位置で、回転軸線の方向に軸方向遊びを有しており、この軸方向遊びは両支承部によって保証される。軸端部14には軸方向ストッパ33が設けられており、この軸方向ストッパ33は上方に向かってのロータの軸方向遊びを制限する。滑り軸受において軸方向遊びは滑りブシュ20の形状によって保証される。この滑りブシュ20は、軸受ブシュよりも長く構成されているので、その結果ロータの軸方向運動が可能になる。ストッパとしては紛失防止部34が働き、この紛失防止部34は滑りブシュの一端において段部として構成されている。紛失防止部34は滑りブシュの軸方向運動を制限し、この場合紛失防止部34は一方では供給部23にかつ他方では軸受ブシュ21に当接する。このように構成されていることによって、滑りブシュが軸受ブシュから滑り落ちたり、紛失することも回避される。ロータ13は、休止状態において占める軸方向位置で示されている。運転中にロータは軸方向ストッパ33でころがり軸受16に押し付けられ、このころがり軸受16は同時にこの際に生じる軸方向力を受け止める。
【0035】
図2には、ケーシング受容部17cにおいて軸端部14を支承するために、球形の外レースを備えた玉軸受35を使用する実施例が示されている。この構成は、軸端部による曲げモーメントの伝達を阻止する。これは、ケーシング受容部17c内におけるカルダン継手状の緊張を達成される。ケーシング受容部において玉軸受35を固定するためには、図1におけるようにスナップノーズ18が設けられている。
【0036】
図3に示された支承形式は作用原理的には、図2に示された支承形式に相当している。図3に示された実施例は、ころがり軸受16のカルダン継手状の支承を軸受球欠体36の使用によって達成する可能性を示している。この軸受球欠体36は玉軸受35の球形の外レースに相当する。
【0037】
図1に示された滑り軸受に対する択一的な構成が、図4に示されている。この構成では滑りブシュ20は、遠心分離装置軸線の曲げモーメントを伝達する。青銅製の軸受ブシュ21は、供給部23にプレス嵌めされている。図1に示された実施例におけるよりも長く構成された鋼製の滑りブシュ20は、中央管25の内部にプレス嵌めされている。オイルの供給は、図1に対する記載のように行われる。
【0038】
図5には、通路30の構成に関する1実施例が示されている。この図5はロータの底部37を示す平面図であり、この場合流れ方向は内側から外側に向かって案内されている。中央には、中央管25の内部に通じる入口24が配置されている。通路30は底部37に設けられていて、徐々に湾曲しながら半径方向外側に向けられた流れ方向aから接線方向の流れ方向bへと延びており、この流れ方向bは同時に駆動ノズル31の噴射方向を定める。通路30は、部分的に開けられて示されている通路カバー38によって閉鎖されている(図1も参照)。通路カバーは振動溶接によって通路30に装着されている。そのために通路30の縁部には溶接段部39が設けられている。入口開口29は、中央管25の外壁40と通路カバー38の高く引き上げられたリング縁部40との間の間隙によって形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスチック製のロータと、ころがり軸受及び滑り軸受によって支承されていて別体のケーシングに組み込まれた通路とを備えた本発明によるオイル遠心分離装置を示す縦断面図である。
【図2】 図1の範囲Xにおけるころがり軸受の別の実施例を示す断面図である。
【図3】 図1の範囲Xにおけるころがり軸受のさらに別の実施例を示す断面図である。
【図4】 図1の範囲Yにおける滑り軸受の別の実施例を示す断面図である。
【図5】 ロータ底部の内部を示す平面図である。
Claims (9)
- 遠心分離装置であって、
入口(22)と出口としての少なくとも1つの駆動ノズル(31)とロータ内部における沈積面(28)とを備えたロータ(13)が設けられており、
周囲に対してロータを遮蔽するためのケーシング(10,11)が設けられており、
さらにケーシング(10,11)内においてロータ(13)を回転可能に支承するための支承手段が設けられており、この場合支承手段のうちの1つが、滑り軸受(20,21)から成っていて、該滑り軸受が同時に入口(22)を形成している形式のものにおいて、
他の支承手段がころがり軸受(16)から成っており、このころがり軸受(16)が、該ころがり軸受のためにロータに、該ロータの内部に向かってシールされた軸受受容部である閉鎖された軸端部(14)が設けられていることによって、軸受摩擦に関して最適化されており、支承手段のうちの少なくとも1つが、支承手段の軸受中心点を中心にしたロータの回転軸線の揺動を可能にすることを特徴とする遠心分離装置。 - 遠心分離装置であって、
入口(22)と出口としての少なくとも1つの駆動ノズル(31)とロータ内部における沈積面(28)とを備えたロータ(13)が設けられており、
周囲に対してロータを遮蔽するためのケーシング(10,11)が設けられており、
さらにケーシング(10,11)内においてロータ(13)を回転可能に支承するための支承手段が設けられており、この場合支承手段のうちの1つが、滑り軸受から成っていて、該滑り軸受が同時に入口(22)を形成している形式のものにおいて、
滑り軸受(21,22)が軸受ブシュ(21)と滑りブシュ(20)とを有しており、
軸受ブシュがケーシング内に固定されており、
滑りブシュが軸受ブシュに差し込まれていて、軸受ブシュと滑りブシュとのために、最適化された滑り支承特性を備えた材料対が選択されており、
ロータ(13)の入口(22)を形成する軸受受容部である中空管片(19)が、滑りブシュと結合されており、支承手段のうちの少なくとも1つが、支承手段の軸受中心点を中心にしたロータの回転軸線の揺動を可能にすることを特徴とする遠心分離装置。 - 滑りブシュ(20)が、軸受ブシュからの滑り落ちを阻止するための紛失防止部(34)を有している、請求項2記載の遠心分離装置。
- ロータ(13)が支承手段内に回転軸線に沿って、軸方向ストッパ(33)によって制限された軸方向遊びを有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の遠心分離装置。
- ロータ(13)が、完全に一体的に製造されたプラスチック製の底部(37)を有していて、該底部が、支承手段のうちの1つのための軸受受容部と、少なくとも1つの駆動ノズル(31)とを有しており、少なくとも1つの駆動ノズル(31)が、通路(30)を介してロータ(13)の内室と接続されており、通路(30)がカバーの内側に一体に組み込まれていて、入口開口(29)を除いて通路カバー(38)によって前記内室から切り離されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の遠心分離装置。
- 底部(37)における軸受受容部が中空管片(19)から成っており、該中空管片が同時に入口(22)を形成していて、かつ滑り軸受(21,22)と係合している、請求項5記載の遠心分離装置。
- 軸受受容部が閉鎖されて構成されており、その結果この箇所においてロータ(13)の分離室(26)が完全にケーシング内室(15)から切り離されており、しかも軸受受容部がころがり軸受と係合している、請求項5記載の遠心分離装置。
- 通路(30)が、ロータ(13)の回転軸線に対して垂直な平面に投影して見た場合に、45°よりも大きな角度範囲で、連続的に湾曲する経過を有しており、この角度範囲が、半径方向外側に向けられた流れ方向と回転軸線に対して接線方向に方向付けられた流れ方向とが成す範囲内に位置している、請求項5から7までのいずれか1項記載の遠心分離装置。
- 底部(37)に中央管(25)が配置されており、該中央管の内室に入口(22)が開口していて、中央管(25)がその上端部でロータ(13)の内部に突入している、請求項5から8までのいずれか1項記載の遠心分離装置。
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