JP4501262B2 - 自動販売機 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動販売機に関し、さらに詳しくは、吊り下げラックから払い出される商品の落下位置のばらつきを低減でき、バケットによる受容を確実にできる自動販売機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、商品の購入意欲をより喚起できることから、庫内を透視できる自動販売機が提供されている。かかる自動販売機は、商品を収納し搬送するためのラックを庫内に備えており、当該ラックの種類としては、その商品搬送形態によって、いわゆるスパイラルラックやコンベヤラック、プッシャ式ラックなどが知られている。
【０００３】
これらのラックは、いずれも同種の商品を所定ピッチで保持可能に構成され、上記スパイラルやコンベヤ、プッシャを販売指令に基づいて当該ピッチ分だけ送り出すことによって、商品を搬送できるように構成されている。
【０００４】
しかしながら、上記スパイラルラックやコンベヤラック、プッシャ式ラックは、形状や大きさが揃っている同種の商品を販売する場合には適しているものの、これらが異なる多種多様な商品の販売には適していないという問題点があった。そこで本願出願人は、たとえば、特願２０００−０３４２５３号において、多種多様な商品を販売できる自動販売機を提供するに至った。
【０００５】
この自動販売機を図８〜図１３に基づいて説明する。ここで、図８は、従来の自動販売機を模式的に示す正面図、図９は、自動販売機の外扉を開けた状態を示す斜視図、図１０は、商品を吊り下げた状態の吊り下げラックを示す斜視図、図１１は、吊り下げラックの要部を示す側面図、図１２は、吊り下げラックを示す側面図、図１３は、吊り下げラックを示す平面図である。
【０００６】
本体ケース１は、商品を収納保存し必要に応じてこれを搬出するものであり、透明板２ａを有した外扉２と、透明板３ａを有した内扉３とを開閉自在に備えている。また、本体ケース１は、上部内壁面１ａに吊り下げラック４を備えるとともに、その下方にスパイラルラック５およびコンベヤラック６を備えている。スパイラルラック５およびコンベヤラック６は、本体ケース１に設けられたラック支持板１ｂによって支持されており、設置位置を互いに変更できるように構成されている。なお、本体ケース１の庫内温度は、扱う商品に応じて所定温度（たとえば、常温、弱温、冷蔵の３温度モード）に保持できるようになっている。
【０００７】
内扉３の内側には、各ラック４，５，６の前面をＸＹ座標面とした、Ｘ−Ｙ搬送機構７が設けられている。このＸ−Ｙ搬送機構７は、各ラック４，５，６に対し水平方向に移動するＸ軸搬送部と、垂直方向に移動するＹ軸搬送部とから構成されている。Ｘ軸搬送部には、商品を受容するバケット８が設けられている。
【０００８】
また、外扉２の前面には、商品を選択するテンキーボタン１８、表示器１９、紙幣挿入口２０、硬貨投入口２１、硬貨返却レバー２２、硬貨返却口２３、購入希望商品を確認するために吊り下げラック４の商品を移動させる吊り下げラック回転ボタン２４、搬出扉１６と連通する商品取出口１７などが設けられている。一方、外扉２の裏面には、挿入された紙幣を識別し収納するビルバリデータ（図示せず）、硬貨を識別し収納する硬貨処理機構２５、硬貨回収用のキャッシュボックス２６、制御部（図示せず）への入力操作を行うキーボード２７などを備えている。
【０００９】
つぎに、吊り下げラック４について説明する。吊り下げラック４は、平面形状がほぼ長方形の本体３０と、本体３０の四隅に回転自在に配設されたスプロケット３２と、当該スプロケット３２によって本体３０の周囲に沿って回転する無端状のチェーン３４と、スプロケット３２に駆動力を与えてチェーン３４を正・逆回転させるチェーン駆動機構３６と、チェーン３４に対して所定ピッチで着脱自在かつ揺動自在に配設され、商品Ｇを吊り下げるためのフック３８と、当該フック３８を揺動させて商品Ｇを落下させるフック揺動機構４０とを備えている。
【００１０】
チェーン駆動機構３６は、モータ４１と、これに減速機構を介して設けられたプーリ４２と、一のスプロケット３２に同軸状に設けられたプーリ４３と、モータ４１の駆動力をプーリ４２からプーリ４３に伝達させるベルト４４とから構成されている。フック揺動機構４０は、シャフト４５を往復動させる駆動装置４６と、シャフト４５に後端部を連結されたスライド板４８とから構成されている。スライド板４８の先端部には、スライド板４８の動作時にフック３８の被押圧片３８ａを押圧可能に形成した押圧片４８ａを備えている。
【００１１】
フック３８は、樹脂（たとえば、ポリアセタール）にて形成され、被押圧片３８ａ、係合突起３８ｂ、当て板３８ｄ、フック部３８ｃ、突片３８ｅとから一体形成されている。係合突起３８ｂは、チェーン３４の係合凹部５２ａに着脱自在かつ揺動自在に係合するように形成されている。突片３８ｅは、フック３８が押圧片４８ａによって跳ね上げられたこと（商品売り切れ状態等）をセンサ５０に検出させるために突設したものである。
【００１２】
チェーン３４は、樹脂（たとえば、ポリアセタール）にて形成され、図９〜図１１に示すように、フック３８を吊り下げるための必要数のプッシャと、その他の多数のプッシャと、ホームポジション検出用の１つのプッシャとが互いに連結されて構成されている。プッシャの係合凹部５２ａは、フック３８の係合突起３８ｂが着脱自在かつ揺動自在に係合するように形成され、フック３８を跳ね上げた状態でその姿勢を保持するための板ばねを近傍に備えている。また、これらのプッシャは、フック３８の位置情報（アドレス）をセンサ５８に検出させるための突片や、チェーン３４の基準位置情報（ホームポジション）をセンサ６１に検出させるための突片を備えている。
【００１３】
チェーン３４に配設された各フック３８に絶対番地（アドレス）を割り当てるために、上記設置者等は、キーボード２７によって商品情報等を制御部（図示せず）に入力するとともに、チェーン３４を１周回転させることにより、センサ６１によるホームポジション検知と、センサ５８によるアドレス検知、センサ５０による商品有無の検知を行う。
【００１４】
商品購入希望者は、当該商品番号をテンキーボタン１８によって入力し、必要額を支払う。すると、その販売指令に基づいてチェーン３４が回転し、希望商品の吊り下がったフック３８が吊り下げラック４の前面に移動して停止するとともに、Ｘ−Ｙ搬送機構７の動作によりバケット８が当該フック３８の下方に移動する。
【００１５】
そして、フック揺動機構４０の動作により、当該フック３８が跳ね上げられて商品Ｇがフック部３８ｃから外れ、バケット８内に落下する。フック３８の跳ね上げ、すなわち商品Ｇの落下は、センサ５０によって検知され、その信号に基づいてバケット８がＸ−Ｙ搬送機構７により商品搬出位置に移動し、商品Ｇは搬出扉１６を介して商品取出口１７から搬出される。
【００１６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図１１に示すように、商品Ｇのフック部３８ｃからの払い出し動作は、係合突起３８ｂを回動中心として当該フック部３８ｃが前方に回動することによって行われるので、商品Ｇの重さ等によって落下位置にばらつきができ、バケット８による受容に支障を来す場合も起こり得るという課題があった。
【００１７】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、吊り下げラックから払い出される商品の落下位置のばらつきを低減でき、バケットによる受容を確実にできる自動販売機を提供することを目的とする。
【００１８】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明の請求項１にかかる自動販売機は、商品を吊り下げるフックを揺動自在に保持する無端状の搬送体と、前記搬送体を駆動する搬送体駆動装置と、前記搬送体に保持された任意のフックを当該フックの位置情報および姿勢情報に基づいて揺動させ、吊り下げられた商品を落下させるフック揺動装置と、を有した吊り下げラックを備えた自動販売機であって、前記搬送体は、前記フックを吊り下げるためのプッシャを有し、該プッシャには、商品を吊り下げる鉤状のフック部を備えるとともに前記フックが揺動可能に係合され、該フックは、平板状に形成された当て板を有し、該当て板に前記フック部を挿通するフック部挿通穴を備え、非揺動時に前記フック部挿通穴から突出したフック部に前記商品を吊り下げ、揺動時に前記当て板を跳ね上げて前記フック部挿通穴からフック部を後退させることで当該商品を落下させるようにしたものである。
【００１９】
商品番号が入力され、必要額が支払われると、その販売指令に基づいて搬送体が回転し、希望商品の吊り下がったフックが吊り下げラックの前面に移動して停止するとともに、Ｘ−Ｙ搬送機構の動作によりバケットが当該フックの下方に移動する。
【００２０】
そして、フック揺動装置の動作によりフックが跳ね上げられると、搬送体のフック部から商品が外れ、上記バケット内に落下する。このとき、商品の前方への移動距離は、フックのフック部挿通穴から突出しているフック部の長さ程度であるので、商品の落下位置のばらつきを低減でき、バケットによる受容を確実にできる。なお、フックの跳ね上げ、すなわち商品の落下は、フックの姿勢情報によって検知され、その信号に基づいてバケットがＸ−Ｙ搬送機構より商品搬出位置に移動し、商品は商品取出口から搬出される。
【００２１】
したがって、商品の落下位置のばらつきを低減でき、バケットによる受容を確実にできるので、販売トラブルを防止できる。
【００２２】
また、この発明の請求項２にかかる自動販売機は、フックは、商品情報を表示した銘板を着脱自在に保持する係止部を備えたものである。これにより、表示したい商品情報を容易に変更できる。
【００２３】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる自動販売機の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【００２４】
図１は、この発明の実施の形態にかかる吊り下げラックの要部を示す側面図、図２は、フックを示す正面図、図３は、フックを示す側面図、図４は、フック部を示す側面図、図５は、フック部を示す正面図、図６は、銘板を設けたフックを示す正面図、図７は、銘板を示す斜視図である。なお、以下の説明において、特に明示しない限り、すでに説明した部材と同一もしくは相当する部材には、同一の符号を付して重複説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【００２５】
フック３８は、樹脂（たとえば、ポリアセタール）にて形成され、図２および図３に示すように、被押圧片３８ａ、係合突起３８ｂ、フック部挿通穴３８ｃ、当て板３８ｄ、突片３８ｅとから一体形成されている。係合突起３８ｂは、後述するプッシャ５２の係合凹部５２ａに着脱自在かつ揺動自在に係合するように形成されている。フック部挿通穴３８ｃは、フック３８が係合突起３８ｂを回動中心として跳ね上がったときに、プッシャ５２のフック部５２ｃが当接しないように形成されている。
【００２６】
また、商品番号や商品名称等の商品情報が前面に表示された当て板３８ｄは、販売可能商品の幅とほぼ同寸法に形成され、フック部５２ｃに吊り下げられた商品の上部に当接してその姿勢を安定させるとともに、商品を吊り下げる者が、販売可能な商品の寸法を容易に認識できるように形成したものである。すなわち、フック３８の取付ピッチ以下の幅寸法を有した商品のみを容易に吊り下げられるようにしたものである。突片３８ｅは、フック３８が押圧片４８ａによって跳ね上げられたこと（商品売り切れ状態等）をセンサ５０に検出させるために突設したものである。
【００２７】
チェーン３４は、樹脂（たとえば、ポリアセタール）にて形成され、フック３８を吊り下げるための必要数のプッシャ５２（図４および図５参照）と、その他の多数のプッシャ（図示せず）と、ホームポジション検出用の１つのプッシャ（図示せず）とが互いに連結されて構成されている。
【００２８】
図４および図５に示すように、プッシャ５２の係合凹部５２ａは、フック３８の係合突起３８ｂが着脱自在かつ揺動自在に係合するように形成されている。凹部５２ｂには、フック３８を跳ね上げた状態でその姿勢を保持するための板ばね６０（図１参照）を設けてある。フック部５２ｃは、フック３８のフック部挿通穴３８ｃに挿通され、商品を吊り下げるためのものである。突片５２ｄは、フック３８の位置情報（アドレス）をセンサ５８に検出させるために突設したものである。
【００２９】
なお、図６に示すように、フック３８に係止部３８ｆを設け、銘板９０を着脱自在に係止できるようにしてもよい。この銘板９０は、図７に示すように、複数の情報（たとえば、商品の値段）が表示され、折り畳み自在に形成されている。したがって、表示したい任意の情報が前面になるように銘板９０を折り畳み、これをフック３８の係止部３８ｆに係止することで、表示したい商品情報を容易に変更できる。
【００３０】
つぎに、商品の販売動作について説明する。商品購入希望者は、当該商品番号をテンキーボタン１８によって入力し、必要額を支払う。すると、その販売指令に基づいてチェーン３４が回転し、希望商品の吊り下がったフック３８が吊り下げラック４の前面に移動して停止するとともに、Ｘ−Ｙ搬送機構７の動作によりバケット８が当該フック３８の下方に移動する。
【００３１】
そして、フック揺動機構４０の動作により、当該フック３８が跳ね上げられて商品がフック部５２ｃから外れ、バケット８内に落下する。このとき、商品の前方への移動距離は、当て板から突出しているフック部の長さ程度であるので、商品の落下位置のばらつきを低減でき、バケットによる受容を確実にできる。なお、フック３８の跳ね上げ、すなわち商品の落下は、突片３８ｅとセンサ５０によって検知され、その信号に基づいてバケット８がＸ−Ｙ搬送機構７により商品搬出位置に移動し、商品は搬出扉１６を介して商品取出口１７から搬出される。
【００３２】
以上のように、この実施の形態にかかる自動販売機によれば、商品の落下位置のばらつきを低減でき、バケット８による受容を確実にできるので、販売トラブルを防止できる。
【００３３】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかる自動販売機（請求項１）によれば、商品を吊り下げるフックを揺動自在に保持する無端状の搬送体と、前記搬送体を駆動する搬送体駆動装置と、前記搬送体に保持された任意のフックを当該フックの位置情報および姿勢情報に基づいて揺動させ、吊り下げられた商品を落下させるフック揺動装置と、を有した吊り下げラックを備えた自動販売機であって、前記搬送体は、前記フックを吊り下げるためのプッシャを有し、該プッシャには、商品を吊り下げる鉤状のフック部を備えるとともに前記フックが揺動可能に係合され、該フックは、平板状に形成された当て板を有し、該当て板に前記フック部を挿通するフック部挿通穴を備え、非揺動時に前記フック部挿通穴から突出したフック部に前記商品を吊り下げ、揺動時に前記当て板を跳ね上げて前記フック部挿通穴からフック部を後退させることで当該商品を落下させるようにしたので、商品の落下位置のばらつきを低減でき、バケットによる受容を確実にできるので、販売トラブルを防止できる。
【００３４】
また、この発明にかかる自動販売機（請求項２）によれば、フックは、商品情報を表示した銘板を着脱自在に保持する係止部を備えたので、表示したい商品情報を容易に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の実施の形態にかかる吊り下げラックの要部を示す側面図である。
【図２】フックを示す正面図である。
【図３】フックを示す側面図である。
【図４】フック部を示す側面図である。
【図５】フック部を示す正面図である。
【図６】銘板を設けたフックを示す正面図である。
【図７】銘板を示す斜視図である。
【図８】従来の自動販売機を模式的に示す正面図である。
【図９】自動販売機の外扉を開けた状態を示す斜視図である。
【図１０】商品を吊り下げた状態の吊り下げラックを示す斜視図である。
【図１１】吊り下げラックの要部を示す側面図である。
【図１２】吊り下げラックを示す側面図である。
【図１３】吊り下げラックを示す平面図である。
【符号の説明】
４ 吊り下げラック
３０ 本体
３２ スプロケット
３４ チェーン
３６ チェーン駆動機構
３８ フック
３８ａ 被押圧片
３８ｂ 係合突起
３８ｃ フック部挿通穴
３８ｄ 当て板
３８ｅ 突片
３８ｆ 係止部
４０ フック揺動機構
４６ 駆動装置
５０、５８、６１ センサ
５２ｃ フック部
９０ 銘板

Claims (2)

1. 商品を吊り下げるフックを揺動自在に保持する無端状の搬送体と、
   前記搬送体を駆動する搬送体駆動装置と、
   前記搬送体に保持された任意のフックを当該フックの位置情報および姿勢情報に基づいて揺動させ、吊り下げられた商品を落下させるフック揺動装置と、
   を有した吊り下げラックを備えた自動販売機において、
   前記搬送体は、前記フックを吊り下げるためのプッシャを有し、該プッシャには、商品を吊り下げる鉤状のフック部を備えるとともに前記フックが揺動可能に係合され、
   該フックは、平板状に形成された当て板を有し、該当て板に前記フック部を挿通するフック部挿通穴を備え、
   非揺動時に前記フック部挿通穴から突出したフック部に前記商品を吊り下げ、揺動時に前記当て板を跳ね上げて前記フック部挿通穴からフック部を後退させることで当該商品を落下させるようにしたことを特徴とする自動販売機。
2. フックは、商品情報を表示した銘板を着脱自在に保持する係止部を備えたことを特徴とする請求項１に記載の自動販売機。

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