JP4498762B2 - 有機凝結剤および高分子凝集剤 - Google Patents

有機凝結剤および高分子凝集剤 Download PDF

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Description

本発明は下水またはし尿(以下、下水等と略記)および工場廃水等の有機性もしくは無機性の汚泥または廃水の処理に用いる有機凝結剤または高分子凝集剤、並びに高分子凝集剤を用いた汚泥又は廃水の処理方法に関する。
従来、下水等の有機性汚泥や工場廃水等の、無機性汚泥、懸濁水、着色水、製紙工場の用廃水およびその他の水溶液の凝結および脱色処理においては、無機凝結剤(例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄および消石灰)および有機凝結剤[例えば、エピハロヒドリンとアミンとの重縮合物(例えば、特許文献1参照)]が広く使用されている。
また、これらの有機性および無機性の汚泥または廃水の脱水処理に対しては、縮合系ポリアミンの有機凝結剤および両性高分子凝集剤を併用する方法(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
特公昭38−26794号公報(第1頁) 特開2000−225400号公報
しかしながら、現状用いられている無機凝結剤は上記懸濁水、着色水、その他の水溶液に対して莫大な添加量を必要とし、固液分離後のスラッジ量が増大する問題があった。また、製紙工場における用水のクローズド化による循環廃水COD(化学的酸素要求量)の上昇ならびに残存着色成分のコンタミが、濾水性、填料の歩留向上および紙力増強効果の悪化、および抄紙への着色要因となっていた。また、上記の有機凝結剤は、無機凝結剤に比べて低添加量で済み、スラッジ量は大幅に低減できるものの、凝結および脱色の効果が不十分であった。さらに近年の排水規制の強化に伴い放流水中のCOD成分を低減するニーズが高まってきており、特に有機凝結剤のより一層の性能向上が望まれている。
また、上記の汚泥または廃水の脱水処理においては、昨今の汚泥および廃水量の増加に伴う処理速度向上の観点から、より強いフロックを形成する性能、および脱水ケーキの焼却または埋め立て処分コストの観点から、脱水ケーキ中の含水率を大幅に低減する性能を有し、さらには脱水工程後の分離水の脱色およびCOD低減性能をも有する高分子凝集剤が望まれている。しかしながら、上記提案の高分子凝集剤では、これらの性能を満足することはできず、また、上記提案の有機凝結剤と高分子凝集剤を併用する方法によってもまだ十分とはいえなかった。
本発明の目的は、凝結、脱色効果に優れる有機凝結剤、並びに、フロックの粗大化、フロック強度の増大、脱水ケーキの低含水率化、およびろ液の脱色およびCOD低減等の特性に優れる高分子凝集剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、一般式(1)で表されるモノマー(a1)を必須構成単位とする水溶性(共)重合体(A)からなる有機凝結剤と、(A)を除く、一般式(2)で表されるモノマー(a21)を必須構成単位とする水溶性(共)重合体(B)を組み合わせてなることを特徴とする高分子凝集剤

CH=CR−CO−X−Q−N・Z (1)

CH =CR −CO−X−Q−N ・Z (2)

[式中、XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基;RはHまたはメチル基;Rは炭素数7〜30のアラルキルまたはアルキルアリール基、R、Rはそれぞれ独立にH、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキルまたはアルキルアリール基、 はHまたはメチル基;R 、R 、R はそれぞれ独立にHまたは炭素数1〜16のアルキル基;Zは対アニオンを表す。]
;該有機凝結剤を汚泥または廃水に添加、混合した後、さらに(B)を添加、混合してフロックを形成させ、固液分離を行うことを特徴とする該高分子凝集剤の使用方法;並びに、高分子凝集剤を汚泥または廃水に添加、混合してフロックを形成させ、固液分離を行う工程からなる汚泥または廃水の処理方法において、該高分子凝集剤を用いることを特徴とする汚泥または廃水の処理方法である。
本発明の有機凝結剤は、製紙工場廃水などのCOD含有廃水に添加、混合することにより優れた凝結性およびCOD低減効果を示し、着色成分を除去できるという効果を奏し、また、本発明の高分子凝集剤は、下記の効果を奏することから極めて有用である。
(1)汚泥または廃水に添加、混合することにより、強固かつ大粒径のフロックが形成さ れる。
(2)上記で一旦形成されたフロックは破壊、再分散されにくいことから、凝集または脱 水処理時の再汚染がなく、凝集または脱水処理の安定性と処理速度の著しい向上が 図れる。
(3)上記形成されたフロックが緻密で、脱水処理後のケーキ含水率が低いことから、発 生する廃棄物量および焼却処理コストを大幅に削減できる。
(4)上記形成されたフロックの脱水工程時に発生するろ液のCODを低減し着色成分を 除去できる。
本発明の有機凝結剤は、前記一般式(1)で表されるモノマー(a1)を必須構成単位とする水溶性(共)重合体(A)からなる。
一般式(1)において、R1はHまたはメチル基を表し、(A)の凝結性能および脱色性能の観点から好ましいのはHである。
Qは、炭素数(以下、Cと略記)1〜4のアルキレン基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す。QのCが4を超えると(A)の水への溶解性が悪くなる。
QのうちC1〜4のアルキレン基には、メチレン、エチレン、n−およびi−プロピレン、1,2−、1,3−および2,3−ブチレン基およびテトラメチレン基が含まれ;C2〜4のヒドロキシアルキレン基には、ヒドロキシエチレン、1−および2−ヒドロキシプロピレン、1−ヒドロキシ−i−プロピレン、1−および2−ヒドロキシテトラメチレン、2−ヒドロキシメチルプロピレンおよび2−メチル−2−ヒドロキシプロピレン基が含まれる。
2はC7〜30のアラルキルまたはアルキルアリール基を表す。R2のCが7未満では(A)の凝結性能および脱色性能が悪くなり、30を超えると(A)の水への溶解性が悪くなる。
2のうちアラルキル基としては、例えばC7〜30の単環アリールアルキル基[例えばベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、7−フェニルヘプチル、8−フェニルオクチル、10−フェニルデシルおよび12−フェニルドデシル基]およびC11〜50の多環アリールアルキル基[例えばナフチルメチル、ナフチルエチル、ナフチルプロピル、アンスラニルメチルおよびアンスラニルエチル基]が挙げられる。
アルキルアリール基としては、例えばC7〜30の単環アルキルアリール基[例えばトルイル、キシリル、エチルフェニル、クミルおよびオクチルフェニル基]およびC11〜50の多環アルキルアリール基[例えば2−メチルナフチル、2−メチルアンスラニルおよびポリ(n=2〜4)スチレン化クミル基]などが挙げられる。
これらのR2のうち水溶性の観点から好ましいのは単環アリールアルキル基および単環アルキルアリール基、さらに好ましいのはベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、トルイルおよびキシリル基、とくに好ましいのはベンジルおよびフェネチル基、最も好ましいのはベンジル基である。
3、R4はそれぞれ独立にH、C1〜16のアルキル基、C7〜30のアラルキルまたはアルキルアリール基を表す。アルキル基のCが16を超えると(A)の水への溶解性が悪くなる。アラルキルまたはアルキルアリール基のCが7未満では(A)の凝結性能および脱色性能が悪くなり、30を超えると(A)の水への溶解性が悪くなる。
3またはR4のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−、sec−およびt−ブチル、n−、i−、sec−およびt−アミルおよびラウリル基が挙げられ、アラルキル基、アルキルアリール基としては、前記R2と同様のものが挙げられる。
-としては、下記のもののアニオンが挙げられる。
(1)無機酸、例えばハロゲン化水素(例えばHF、HCl、HBrおよびHI)、硫酸、硝酸およびリン酸
(2)硫酸エステル、例えばC1〜30の硫酸エステル[例えばアルキルもしくはアルケニル硫酸(例えばメチル硫酸、エチル硫酸、ラウリル硫酸、ミリスチル硫酸、パルミチル硫酸、ステアリル硫酸、オレイル硫酸、リノール硫酸およびセチル硫酸)および高級アルコール(C10〜20)のエチレンオキサイド(以下、EOと略記)1〜60モル付加物の硫酸エステル]
(3)スルホン酸、例えばC1〜30のスルホン酸〔例えばアルキル(C1〜10)スルホン酸(例えばメチルスルホン酸およびエチルスルホン酸)、アルキルアリール(C7〜30)スルホン酸[アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸およびアルキルナフタレンスルホン酸]、高級アルキル(C10〜30)スルホン酸、高級脂肪酸エステル(C10〜30)スルホン酸、高級アルコールエーテル(C10〜30)スルホン酸、スルホコハク酸エステル、高級脂肪酸アミド(C10〜30)のアルキルスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸およびアルキルベンズイミダゾールスルホン酸〕
(4)リン酸エステル、例えばモノ−およびジアルキル(C1〜30)リン酸エステル、モノ−およびジアルケニル(C1〜30)リン酸エステル、(ポリ)オキシアルキレン[EO1〜60モル付加および/またはプロピレンオキサイド(以下、POと略記)1〜60モル付加]アルキル(C1〜30)エーテルリン酸エステル、糖リン酸エステル(例えばグルコース−リン酸エステル、グルコースアミンリン酸エステル、マルトース−1−リン酸および蔗糖リン酸エステル)およびグリセリンリン酸(例えばホスファチジン酸)
(5)ホスホン酸、例えばC1〜30のホスホン酸〔例えばアルキル(C1〜10)ホスホン酸(例えばメチルホスホン酸およびエチルホスホン酸)、アルキルアリール(C7〜30)ホスホン酸(例えばアルキルベンゼンホスホン酸およびアルキルフェノールホスホン酸)、高級アルキル(C10〜30)ホスホン酸、高級脂肪酸エステル(C10〜30)のホスホン酸、高級アルコールエーテル(C10〜30)のホスホン酸、高級脂肪酸アミド(C10〜30)のアルキルホスホン酸、アルキルジフェニルエーテルホスホン酸およびアルキルベンズイミダゾールホスホン酸〕
(6)カルボン酸、例えば脂肪族[C1〜30のモノ−およびジカルボン酸、例えばギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸およびアジピン酸];脂環式[C4〜30のモノ−およびジカルボン酸、例えばシクロペンタン(ジ)カルボン酸およびシクロヘキサン(ジ)カルボン酸];および芳香族[C7〜30のモノ−およびジカルボン酸、例えば安息香酸およびフタル酸]
これらのZ-の内、(A)の凝結性能および脱色性能の観点から好ましいのはスルホン酸のアニオン、およびさらに好ましいのは硫酸、ハロゲン(例えばCl-およびBr-)および硫酸エステル(例えばアルキルおよびアルケニル硫酸エステル)のアニオン、特に好ましいのは硫酸、Cl-、メチル硫酸およびエチル硫酸のアニオン、最も好ましいのはCl-である。
(a1)としては例えば以下のもの、およびこれらの混合物が挙げられる。
(a11)(メタ)アクリレート系[一般式(1)におけるXがOの場合]のアミン塩
2級アミノ基含有(メタ)アクリレート[C10〜33、例えばベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ベンジルアミノプロピル(メタ)アクリレートおよびトルイルアミノエチル(メタ)アクリレート]および3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[C11〜34、例えばメチルベンジルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびエチルベンジルアミノプロピル(メタ)アクリレート]の、無機酸(前記のもの)塩、有機酸(前記のもの)塩およびこれらのアミン(塩)を4級化剤(例えば塩化メチル、ジメチル硫酸および塩化ベンジル)で4級化してなる第4級アンモニウム塩
(a12)(メタ)アクリルアミド系[一般式(3)におけるXがNの場合]のアミン塩
2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド[例えばベンジルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびベンジルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド]および3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド[例えばメチルベンジルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびエチルベンジルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド]の無機酸塩(前記のもの)、有機酸塩(前記のもの)および上記アミンを4級化剤(前記のもの)で4級化してなる第4級アンモニウム塩
これらのうち、工業的に製造しやすいとの観点から好ましいのは、XがOである(メタ)アクリレート系アミン塩、さらに好ましいのはR2がベンジル、R3がCH3、R4がHおよびZがClまたは1/2SO4であるメチルベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート塩酸塩またはメチルベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート硫酸塩、並びにR3およびR4がCH3であるアミン(塩)を塩化ベンジルで4級化してなる第4級アンモニウム塩である。
(A)は、(a1)とさらに下記の一般式(2)で表されるモノマー(a21)、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる1種以上のモノマー(a2)を共重合させたものであってもよい。

CH2=CR5−CO−X−Q−N+678・Z- (2)

[式中、XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基;R5はHまたはメチル基;R6、R7、R8はそれぞれ独立にHまたは炭素数1〜16のアルキル基;Z-は対アニオンを表す。]
一般式(2)において、Q、Z-は前記一般式(1)と同様のものが挙げられる。
6、R7またはR8のC1〜16のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−、sec−およびt−ブチル、n−、i−、sec−およびt−アミルおよびラウリル基が挙げられる。
(a21)としては例えば以下のもの、およびこれらの混合物が挙げられる。
(a211)(メタ)アクリレート系[一般式(2)におけるXがOの場合]のアミン塩
1級アミノ基含有(メタ)アクリレート[C5〜20、例えばアミノエチル(メタ)アクリレートおよびアミノプロピル(メタ)アクリレート]、2級アミノ基含有(メタ)アクリレート[C6〜20、例えばメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルアミノプロピル(メタ)アクリレートおよびアミノエチル(メタ)アクリレート]および3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[C7〜20、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート]の、無機酸(前記のもの)塩、有機酸(前記のもの)塩およびこれらのアミン(塩)を4級化剤(前記のもの)で4級化してなる第4級アンモニウム塩
(a212)(メタ)アクリルアミド系[一般式(2)におけるXがNの場合]のアミン塩
1級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド[例えばアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびアミノプロピル(メタ)アクリルアミド]、2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド[例えばメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド]および3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド[例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド]の無機酸塩(前記のもの)、有機酸塩(前記のもの)および上記アミンを4級化剤(前記のもの)で4級化してなる第4級アンモニウム塩
これらのうち、工業的に製造しやすいとの観点から好ましいのは、XがOである(メタ)アクリレート系アミン塩、さらに好ましいのはR6およびR7がいずれもCH3、R8がH、ZがClまたは1/2SO4であるジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩酸塩またはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート硫酸塩、並びにこれらのアミン(塩)を4級化剤(前記のもの)で4級化してなる第4級アンモニウム塩である。
(A)を構成するモノマーには、さらにその他の水溶性不飽和モノマー(b)を併用してもよい。
(b)には、下記(b1)〜(b3)、およびこれらの混合物が含まれる。
(b1)ノニオン性モノマー
下記のもの、およびこれらの混合物
(b11)(メタ)アクリレート誘導体
分子量40〜数平均分子量[以下、Mnと略記、測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による]3,000、例えば水酸基含有(メタ)アクリレート[例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度3〜50)モノ(メタ)アクリレートおよびポリグリセロール(重合度1〜10)モノ(メタ)アクリレート]および2−シアノエチル(メタ)アクリレート
(b12)(メタ)アクリルアミド誘導体
C4〜30、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドおよびN−メチロール(メタ)アクリルアミド
(b13)上記以外の窒素原子含有ビニルモノマー
C3〜30、例えばアクリロニトリル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルイミダゾール、N−ビニルスクシンイミドおよびN−ビニルカルバゾール
(b2)カチオン性モノマー
下記のもの、これらの塩(例えば、前記無機酸または有機酸の塩および4級アンモニウム塩)およびこれらの混合物
(b21)アミノ基を有するビニル化合物
C2〜30、例えばビニルアミン、ビニルアニリン、(メタ)アリルアミン、ジ(メタ)アリルアミン、p−アミノスチレン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピペリジン、ビニルピラジンおよびビニルモルホリン
(b22)アミンイミド基を有する化合物
C4〜30、例えば1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミドおよび1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド
(b3)アニオン性モノマー
下記の酸、これらの塩[例えばアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばマグネシウムおよびカルシウム)塩、アンモニウム塩およびアミン(C1〜20、例えばメチルアミン、エチルアミンおよびエタノールアミン)塩]、およびこれらの混合物
(b31)不飽和カルボン酸
モノカルボン酸[C3〜30、例えばビニル安息香酸およびアリル酢酸]およびポリ(2〜4)カルボン酸[C4〜30、例えば(無水)マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸]
(b32)不飽和スルホン酸
アルケンスルホン酸[C2〜20、例えばビニルスルホン酸および(メタ)アリルスルホン酸]、不飽和芳香族スルホン酸[C6〜20、例えばスチレンスルホン酸およびα−メチルスチレンスルホン酸]、スルホカルボン酸(例えばα−スルホアルカン酸およびスルホコハク酸)のアルケニルおよびアルキル(C1〜18)アルケニルエステル[C3〜20、例えばメチルビニル、プロピル(メタ)アリルおよびステアリル(メタ)アリルスルホサクシネート、および(メタ)アリルスルホラウレート]、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート〔C4〜30、例えばスルホアルキル(C2〜20)(メタ)アクリレート[例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸およびp−(メタ)アクリロイルオキシメチルベンゼンスルホン酸]〕、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド[C4〜30、例えば2−(メタ)アクリロイルアミノエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸およびp−(メタ)アクリロイルアミノメチルベンゼンスルホン酸]およびアルキル(C1〜20)(メタ)アリルスルホコハク酸エステル[例えばメチル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル]
(b33)(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(C1〜6)硫酸エステル 例えば(メタ)アクリロイルポリオキシエチレン(重合度2〜50)硫酸エステル
(b)のうち(A)の凝結性能の観点から好ましいのは、(b11)、(b22)、およびさらに好ましいのは(b12)、(b13)、(b31)、(b32)、とくに好ましいのは、アクリロニトリル、N−ビニルホルムアミド、(無水)マレイン酸(塩)、イタコン酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸(塩)、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸(塩)、最も好ましいのは(無水)マレイン酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸(塩)である。ここにおける塩はアルカリ金属(前記に同じ)塩を指す。
(A)を構成するモノマーには、上記(a1)、(a2)および(b)の他に、さらに必要により本発明の効果を阻害しない範囲で水不溶性モノマー(c)を併用してもよい。
(c)には、下記(c1)〜(c6)、およびこれらの混合物が含まれる。
(c1) C4〜23の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート〔C1〜20の脂肪族および脂環式アルコールの(メタ)アクリレート[例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレート]
(c2) C4〜20のエポキシ基含有(メタ)アクリレート[例えばグリシジル(メタ)アクリレート]〕
(c3) ポリ(重合度2〜50)プロピレングリコール[モノアルキル(C1〜20)−、モノシクロアルキル(C3〜12)−もしくはモノフェニルエーテル]不飽和カルボン酸モノエステル〔例えばC1〜20のモノオールのPO付加物の(メタ)アクリル酸エステル[例えばω−メトキシ−、ω−エトキシ−、ω−プロポキシ−、ω−ブトキシ−、ω−シクロヘキソキシ−およびω−フェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート]およびジオールのPO付加物の(メタ)アクリル酸エステル[例えばω−ヒドロキシエチル(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート]〕
(c4) C2〜30の不飽和炭化水素モノマー[例えばエチレン、ノネン、スチレンおよび1−メチルスチレン]
(c5) 不飽和アルコール[C2〜8、例えばビニルアルコールおよび(メタ)アリルアルコール]のカルボン酸(C2〜20、例えば酢酸、オクチル酸およびラウリル酸)エステル(例えば酢酸ビニル、オクチル酸ビニルおよびラウリル酸ビニル)
(c6) ハロゲン含有モノマー(C2〜8、例えば塩化ビニル)
(A)を構成する全モノマー中の(a1)の割合は、凝結性能の観点から好ましい下限は1モル%、さらに好ましくは10モル%、とくに好ましくは20モル%、(A)の水への溶解性の観点から好ましい上限は100モル%、さらに好ましくは99モル%、とくに好ましくは95モル%;(a2)の割合は、凝結性能の観点から好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下、とくに好ましくは0〜70モル%;(b)の割合は、凝結性能の観点から好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、とくに好ましくは0〜20モル%;並びに、(c)の割合は、(A)の水への溶解性の観点から好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、とくに好ましくは0〜10モル%である。
(A)の製造方法としては、特に限定はなく、公知のラジカル重合法、例えば水溶液重合、逆相懸濁重合、光重合、沈澱重合および逆相乳化重合が採用できる。これらのうち工業的観点から好ましいのは、逆相懸濁重合および逆相乳化重合、およびさらに好ましいのは水溶液重合および光重合である。
水溶液重合としては公知の方法、例えばモノマーの水溶液を外部からの熱の出入りがない容器中に入れ、断熱重合する方法(例えば特公昭59−40843号公報)およびモノマーの水溶液を外部から温調可能な容器中で定温重合する方法(例えば特開平3−189000号公報)を用いることができる。
光重合についても公知の方法、例えば、(a1)および必要によりその他モノマーに、さらに必要により光増感剤を加え、波長300〜500nmの光を照射して重合させる方法(例えば、特公昭45−37033号公報に記載の方法)が使用できる。
光増感剤としては、過酸化物(過酸化ベンゾイル等)、アゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、カルボニル化合物(ジアセチル、ジベンジル等)、硫黄化合物(ジフェニルモノ−およびジスルフィド、ジベンゾイルモノ−およびジスルフィド等)、ハロゲン化合物(四塩化炭素等)、および金属塩(三塩化鉄等)が挙げられる。
逆相懸濁重合についても公知の方法、例えば水溶性ビニルモノマーの水溶液を油溶性高分子物質またはノニオン性界面活性剤を分散安定剤として、油中水型に分散して重合する方法(例えば特開昭56−53111号公報)を用いることができる。
油溶性高分子物質としては、例えばセルロースエーテル(Mn100〜100,000、例えばエチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロース)、アルケンとα,β−不飽和多価カルボン酸(無水物)との共重合体またはその誘導体[Mn100〜100,000、例えばC20〜40の1−オレフィンと(無水)マレイン酸の共重合体]が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えばショ糖脂肪酸エステル(C13〜100、例えばショ糖ジステアレートおよびショ糖トリステアレート)、ソルビタン脂肪酸エステル(C7〜100、例えばソルビタンモノステアレートおよびソルビタンモノオレート)および(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(C6〜100、例えばグリセリンモノステアレート)が挙げられる。
油溶性高分子物質の使用量は、使用する後述の分散媒(有機溶媒)の重量に基づいて、下限は通常0.1%、分散粒径安定化の観点から好ましくは0.2%、さらに好ましくは0.5%、上限は通常10%、反応系の低粘度化の観点から好ましくは5%、さらに好ましくは3%である。
ノニオン性界面活性剤の使用量は、使用する後述の分散媒(有機溶媒)の重量に基づいて、下限は通常0.1%、分散粒径安定化の観点から好ましくは0.2%、さらに好ましくは0.5%、上限は通常5%、反応系の低粘度化の観点から好ましくは3%、さらに好ましくは1%である。
使用する分散媒(有機溶媒)としては、例えば脂肪族炭化水素[C6〜30、例えばヘキサン、ヘプタン、n−デカン、パラフィン(例えばn−およびi−パラフィン)、鉱油(例えば灯油、軽油および中油)および合成油]が挙げられる、脂環式炭化水素(C6〜30、例えばシクロヘキサンおよびデカリン)および芳香族炭化水素(C6〜12、例えばベンゼン、トルエンおよびキシレン)およびこれらの混合物が挙げられる。
分散媒の使用量は、分散系の安定性の観点からモノマー水溶液の全重量に基づいて、好ましい下限は25%、さらに好ましくは40%、とくに好ましくは65%、分散系の粘度の観点から好ましい上限は1,000%、さらに好ましくは400%、とくに好ましくは200%である。
また、逆相乳化重合についても公知の方法、例えば水溶性ビニルモノマーの水溶液を界面活性剤を用いて、油中水型エマルションを形成させて重合させる方法(例えば特許第2676483号公報および特開平9−208802号公報)を用いることができる。
使用する分散媒としては、前記逆相懸濁重合と同様のものが挙げられる。分散媒の使用量は、エマルションの安定性の観点からモノマー水溶液の全重量に基づいて、好ましい下限は20%、さらに好ましくは30%、とくに好ましくは40%、エマルションの粘度の観点から好ましい上限は80%、さらに好ましくは70%、とくに好ましくは60%である。
乳化する際に用いられる界面活性剤としては、例えば特許第2676483号公報および特開平9−208802号公報に記載の公知のものが使用でき、これらのうちエマルションの安定性の観点から好ましいのは、ノニオン性界面活性剤である。
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば高級脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレートおよびオレイン酸ソルビタンエステルEO付加物)、ポリオキシエチレン長鎖アルキルエーテル(例えばラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)および長鎖アルキルアルカノールアミド(例えばN,N−ジヒドロキシエチルラウリルアミド)が挙げられる。
界面活性剤の使用量は、分散媒の重量に基づいて、下限は通常0.05%、分散粒径安定化の観点から好ましくは0.1%、さらに好ましくは0.12%、上限は通常1%、反応系の低粘度化の観点から好ましくは0.5%、さらに好ましくは0.25%である。
また、油中水型エマルションを水で希釈して使用する際に、水に投入して素早く転相して水に溶解するように、予め油中水型エマルションに転相剤を添加しておいてもよい。転相剤としては、親水性の高い界面活性剤[例えば、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance、親水性と親油性のつり合いを示す指標で、グリフィンのHLB理論に基づくもの)が9〜20のもの]、例えば特許第2676483号公報および特開平9−208802号公報に記載のカチオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤が使用できる。
上記ラジカル重合法におけるラジカル重合開始剤としては、公知のもの、例えば水溶性アゾ開始剤〔例えばアゾビスアミジノプロパン(塩)[例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド]、アゾビスシアノバレリン酸(塩)および2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](塩)〕、油溶性アゾ開始剤(例えばアゾビスシアノバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスシクロヘキサンカルボニトリル)、水溶性過酸化物(例えば過酸化水素、過酢酸およびt−ブチルパーオキサイド)、油溶性過酸化物(例えばベンゾイルパーオキシドおよびクメンヒドロキシパーオキシド)および無機過酸化物(例えば過硫酸アンモニウムおよび過硫酸ナトリウム)が挙げられる。
上記の過酸化物は還元剤と組み合わせてレドックス開始剤として用いてもよく、還元剤としては重亜硫酸塩(例えば重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウムおよび重亜硫酸アンモニウム)、還元性金属塩[例えば硫酸鉄(II)]、3級アミン[例えばジメチルアミノ安息香酸(塩)およびジメチルアミノエタノール]、遷移金属塩のアミン錯体[例えば塩化コバルト(III)のペンタメチレンヘキサミン錯体および塩化銅(II)のジエチレントリアミン錯体]および有機性還元剤(例えばアスコルビン酸)が挙げられる。また、アゾ開始剤、過酸化物開始剤およびレドックス開始剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上の開始剤を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、(A)として最適な分子量を得るとの観点から、モノマーの合計重量に基づいて、好ましい下限は0.01%、さらに好ましくは0.05%、とくに好ましくは0.1%、最も好ましくは0.2%、好ましい上限は30%、さらに好ましくは20%、とくに好ましくは10%、最も好ましくは5%である。
また、必要によりラジカル重合用連鎖移動剤を使用してもよい。ラジカル重合用連鎖移動剤としては、特に限定なく公知のもの、例えば分子内に1つまたは2つ以上の水酸基を有する化合物[分子量32〜Mn50,000、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量100〜Mn50,000)およびポリエチレンポリプロピレングリコール(分子量100〜Mn50,000)]、分子内に1つまたは2つ以上のアミノ基を有する化合物[例えばアンモニアおよびアミン(C1〜30、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミンおよびプロパノールアミン)]および分子内に1つまたは2つ以上のチオール基を有する化合物(後述)が挙げられる。
これらのうちで分子量制御の観点から好ましいのは、分子内に1つまたは2つ以上のチオール基を有する化合物である。
分子内にチオール基を有する化合物には、以下のもの、これらの塩[アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばマグネシウムおよびカルシウム)塩、アンモニウム塩、アミン(C1〜20)塩および無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸)塩]、およびこれらの混合物が含まれる。
(1)1価チオール
脂肪族チオール[C1〜20、例えばメタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、n−オクタンチオール、n−ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、n−オクタデカンチオール、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、1−チオグリセロール、チオグリコール酸モノエタノールアミン)、1−チオグリセロール、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオマレイン酸、システインおよび2−メルカプトエチルアミン]、脂環式チオール(C5〜20、例えばシクロペンタンチオールおよびシクロヘキサンチオール)および芳香(脂肪)族チオール(C6〜12、例えばベンゼンチオールおよびベンジルメルカプタンおよびチオサリチル酸)が挙げられる。
(2)多価チオール
ジチオール[脂肪族(C2〜40)ジチオール(例えばエタンジチオール、ジエチレンジチオール、トリエチレンジチオール、プロパンジチオール、1,3−および1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、ネオペンタンジチオール等)、脂環式(C5〜20)ジチオール(例えばシクロペンタンジチオールおよびシクロヘキサンジチオール)および芳香族(C6〜16)ジチオール(例えばベンゼンジチオール、ビフェニルジチオール)が挙げられる。
ラジカル重合用連鎖移動剤を使用する場合の使用量は、(A)として最適な分子量を得るとの観点から、モノマーの合計重量に基づいて、好ましい下限は0.001%、さらに好ましくは0.005%、とくに好ましくは0.01%、最も好ましくは0.05%、好ましい上限は10%、さらに好ましくは5%、とくに好ましくは3%、最も好ましくは1%である。
ラジカル重合におけるモノマー水溶液中のモノマー濃度は、水溶液重合ではモノマー水溶液の全重量に基づいて、下限は通常1%、残存モノマー低減の観点に基づいて好ましくは5%、さらに好ましくは10%、とくに好ましくは15%、最も好ましくは20%、上限は通常80%、重合時の温度コントロールの観点に基づいて好ましくは75%、さらに好ましくは70%、特に好ましくは65%、最も好ましくは60%;逆相懸濁重合では、下限は通常30%、残存モノマー低減の観点に基づいて好ましくは40%、さらに好ましくは45%、とくに好ましくは50%、最も好ましくは55%、上限は通常90%、重合時の温度コントロールの観点に基づいて好ましくは85%、さらに好ましくは80%、とくに好ましくは78%、最も好ましくは75%;逆相乳化重合では、下限は通常10%、残存モノマー低減の観点に基づいて好ましくは20%、さらに好ましくは30%、とくに好ましくは40%、最も好ましくは55%、上限は通常90%、重合時の温度コントロールの観点に基づいて好ましくは80%、より好ましくは75%、とくに好ましくは70%、最も好ましくは65%である。
分散媒の使用量は、逆相懸濁重合では、分散系の安定性の観点からモノマー水溶液の全重量に基づいて、好ましい下限は25%、さらに好ましくは40%、とくに好ましくは65%、分散系の粘度の観点から好ましい上限は1,000%、さらに好ましくは400%、とくに好ましくは200%;逆相乳化重合では、エマルションの安定性の観点からモノマー水溶液の全重量に基づいて、好ましい下限は20%、さらに好ましくは30%、とくに好ましくは40%、エマルションの粘度の観点から好ましい上限は80%、さらに好ましくは70%、とくに好ましくは60%である。
重合温度は、水溶液重合では、下限は通常−10℃、(A)として最適な分子量を得るとの観点から好ましくは0℃、さらに好ましくは5℃、とくに好ましくは10℃、最も好ましくは15℃、上限は通常150℃、上記と同様の観点から好ましくは130℃、さらに好ましくは120℃、とくに好ましくは100℃、最も好ましくは80℃である。また、重合中は所定温度を一定(例えば所定重合温度±5℃)に保つように、適宜加熱、冷却して調節してもよいし、ガラス製の断熱容器等内で断熱重合してもよい。
光重合における重合温度は、下限は通常0℃、(A)として最適な分子量を得るとの観点から好ましくは5℃、さらに好ましくは10℃、とくに好ましくは15℃、最も好ましくは20℃、上限は通常100℃、上記と同様の観点から好ましくは95℃、さらに好ましくは90℃、とくに好ましくは80℃、最も好ましくは70℃である。
また、重合中は所定重合温度を一定(例えば所定重合温度±5℃)に保つように、適宜加熱、冷却して調節してもよいし、比較的低温(例えば15〜35℃)で重合を開始させ、一定時間(例えば1〜3時間)重合後に昇温(例えば55〜80℃)してもよい。
逆相懸濁重合における重合温度は、下限は通常10℃以上、(A)として最適な分子量を得るとの観点から好ましくは20℃、より好ましくは30℃、とくに好ましくは40℃、最も好ましくは50℃、上限は通常95℃、上記と同様の観点から好ましくは90℃、さらに好ましくは80℃、とくに好ましくは70℃、最も好ましくは60℃である。
また、重合中は所定重合温度を一定(例えば所定重合温度±5℃)に保つよう、適宜加熱、冷却して調節することが好ましい。重合温度を一定に保つために、予め所定重合温度に温調した分散媒に撹拌下でモノマーを随時滴下してもよい。その際の滴下時間は、モノマー濃度、および重合反応発熱量により異なるが、通常0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間である。
逆相乳化重合における重合温度は、下限は通常0℃、(A)として最適な分子量を得るとの観点から好ましくは5℃、さらに好ましくは10℃、とくに好ましくは15℃、最も好ましくは20℃、上限は通常95℃、上記と同様の観点から好ましくは90℃、さらに好ましくは80℃、とくに好ましくは70℃、最も好ましくは55℃である。
また、重合中は所定重合温度を一定(例えば所定重合温度±5℃)に保つように、適宜加熱、冷却して調節してもよいし、比較的低温(例えば15〜35℃)で重合を開始させ、一定時間(例えば1〜3時間)重合後に昇温(例えば55〜80℃)してもよい。
重合は重合による発熱がなくなった時点で反応終点が確認できるが、重合時間は通常発熱により重合開始を確認した時点から1〜24時間、工業的観点および重合を完結し、残存モノマーを減少させるとの観点から、好ましくは2〜12時間である。
逆相懸濁重合の場合のように、モノマーを随時滴下する場合は滴下終了後から上記時間重合することが好ましい。
上記のモノマー濃度、重合温度および重合時間は、モノマー組成、重合法および開始剤種類等によって適宜調整することができる。
重合時の圧力(単位はkPa、以下絶対圧力を示す。)は、特に限定されないが、通常常圧下で行う。また、逆相懸濁重合の場合は、重合時の温度調節が容易である点から、好ましくは重合温度において、分散媒が沸騰する圧力または疎水性分散媒と水とが共沸する圧力が好ましい。具体的には、好ましい下限は5kPa、さらに好ましくは12kPa、とくに好ましくは25kPa、好ましい上限は95kPa、さらに好ましくは80kPa、とくに好ましくは65kPaである。
重合時のモノマー水溶液のpHは、特に限定されないが、重合速度、得られる(A)の溶解性の観点から、好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜7、とくに好ましくは3〜6.5である。上記pHに調整するために用いられるpH調整剤としては特に限定されることはなく、モノマー水溶液がアルカリ性の場合には無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸)、無機固体酸性物質(例えば酸性リン酸ソーダ、酸性ぼう硝、塩化アンモン、硫安、重硫安およびスルファミン酸)および有機酸(例えばシュウ酸、こはく酸およびリンゴ酸)が挙げられ、モノマー水溶液が酸性の場合には無機アルカリ性物質(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびアンモニア)および有機アルカリ性物質(例えばグアニジン)が挙げられる。なお、上記pHは、重合で用いるモノマー水溶液の原液についての室温(20℃)でのpHメーター等を用いた測定値である。
また、(A)は予め上記の方法により製造した後、ポリマー変性反応させたものでもよい。ポリマー変性反応としては、例えばアクリルアミド等の加水分解性官能基を分子内に有する水溶性不飽和モノマー(b)を使用した場合に、重合時または重合後に苛性アルカリ(例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)または炭酸アルカリ(例えば炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム)を添加して、モノマー(b)のアミド基を部分的に加水分解(加水分解率は全モノマーの合計モル数に基づいて約1〜60モル%)してカルボキシル基を導入する方法(例えば、特開昭56−16505号公報)、例えばホルムアルデヒド、ジアルキル(C1〜12)アミンおよびハロゲン化(例えば塩化、臭化およびヨウ化)アルキル(C1〜12)(例えばメチルクロライドおよびエチルクロライド)を加え、マンニッヒ反応によって部分的にカチオン性基を導入する方法、およびアクリロニトリル等のニトリル基と、ビニルホルムアミド等の加水分解により得られるアミノ基との閉環反応により分子内にアミジン環を形成させる方法(例えば特開平5−192513号公報)が挙げられる。
また、2種以上の(A)を用いる場合、予めそれぞれを製造した後に混合してもよいし、一方を予め製造しておき、他方の製造時に加えてもよい。
(A)の分子量は、1N−NaNO3水溶液中30℃で測定した固有粘度(単位dl/g、以下同じ)で、(A)の凝結性能およびCOD低減性能の観点から、好ましい下限は0.01、さらに好ましくは0.05、とくに好ましくは0.1、(A)の凝結速度の観点から好ましい上限は3、さらに好ましくは2、とくに好ましくは1である。
本発明の高分子凝集剤は、上記有機凝結剤とその他の水溶性(共)重合体(B)を組み合わせてなることを特徴とするものである。
(B)には、上記モノマー(a2)を必須構成成分とし、必要により(b)および(c)からなる群から選ばれる1種または2種以上からなるモノマーを共重合させたものが含まれる。
(B)を構成するモノマー、(a2)、(b)、(c)としてはそれぞれ上記(A)に使用されるものが挙げられ、好ましいものも同様である。
(B)を構成する全モノマー中の(a2)の割合は、凝集性の観点から好ましくは1〜100モル%、さらに好ましくは10〜100モル%、とくに好ましくは20〜100モル%;(b)の割合は、同様の観点から好ましくは0〜50モル%、さらに好ましくは0〜30モル%、とくに好ましくは0〜20モル%;並びに、(c)の割合は、(B)の水への溶解性の観点から通常40モル%以下、好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜20モル%、とくに好ましくは0〜10モル%である。
上記(B)のうち、凝集性の観点からさらに好ましいのはモノマー(a21)を必須構成単位とする(共)重合体であり、同様の観点から(B)を構成する全モノマー中の(a21)の割合の好ましい下限は1モル%、さらに好ましくは10モル%、とくに好ましくは20モル%、高分子量化の観点から好ましい上限は100モル%、さらに好ましくは90モル%、とくに好ましくは80モル%である。
(B)の製造方法としては、特に限定はなく、公知の製法、例えば水溶液重合、逆相懸濁重合、沈澱重合および逆相乳化重合等のラジカル重合法を用いることができる。これらのうち工業的観点から好ましいのは、逆相乳化重合、およびさらに好ましいのは水溶液重合および逆相懸濁重合である。
水溶液重合、逆相懸濁重合、逆相乳化重合としては前記(A)において挙げた公知の方法、を用いることができる。
上記ラジカル重合法におけるラジカル重合開始剤としては、(A)において挙げたものが使用できる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、(B)として最適な分子量を得るとの観点から、モノマーの合計重量に基づいて、好ましい下限は0.001%、さらに好ましくは0.005%、とくに好ましくは0.01%、最も好ましくは0.02%、好ましい上限は1%、さらに好ましくは0.5%、とくに好ましくは0.1%、最も好ましくは0.05%である。
また、必要によりラジカル重合用連鎖移動剤を使用してもよい。ラジカル重合用連鎖移動剤としては、(A)において挙げたものが使用できる。
ラジカル重合用連鎖移動剤を使用する場合の使用量は、(B)として最適な分子量を得るとの観点から、モノマーの合計重量に基づいて、好ましい下限は0.0001%、さらに好ましくは0.0005%、とくに好ましくは0.001%、最も好ましくは0.005%、好ましい上限は10%、さらに好ましくは5%、とくに好ましくは3%、最も好ましくは1%である。
ラジカル重合におけるモノマー水溶液中のモノマー濃度は、水溶液重合ではモノマー水溶液の全重量に基づいて、下限は通常20%、残存モノマー低減の観点に基づいて好ましくは25%、さらに好ましくは30%、とくに好ましくは40%、最も好ましくは50%、上限は通常80%、重合時の温度コントロールの観点に基づいて好ましくは75%、さらに好ましくは70%、特に好ましくは65%、最も好ましくは60%;逆相懸濁重合では、下限は通常30%、残存モノマー低減の観点に基づいて好ましくは40%、さらに好ましくは45%、とくに好ましくは50%、最も好ましくは55%、上限は通常90%、重合時の温度コントロールの観点に基づいて好ましくは85%、さらに好ましくは80%、とくに好ましくは78%、最も好ましくは75%;逆相乳化重合では、下限は通常10%、残存モノマー低減の観点に基づいて好ましくは20%、さらに好ましくは30%、とくに好ましくは40%、最も好ましくは55%、上限は通常90%、重合時の温度コントロールの観点に基づいて好ましくは80%、より好ましくは75%、とくに好ましくは70%、最も好ましくは65%である。
逆相懸濁重合および逆相乳化重合における分散媒の使用量は、(A)の場合と同様であり、好ましい条件も(A)と同様である。
重合温度は、水溶液重合では、下限は通常−10℃、(B)として最適な分子量を得るとの観点から好ましくは0℃、さらに好ましくは5℃、とくに好ましくは10℃、最も好ましくは15℃、上限は通常50℃、同様の観点から好ましくは40℃、さらに好ましくは30℃、とくに好ましくは25℃、最も好ましくは20℃である。また、重合中は所定温度を一定(例えば所定重合温度±5℃)に保つように、適宜加熱、冷却して調節してもよいし、ガラス製の断熱容器等内で断熱重合してもよい。断熱重合の際、重合熱により水の沸点(100℃)以上にならないように開始温度を調節することが好ましい。
逆相懸濁重合における重合温度は、(A)の場合と同様であり、好ましい条件も(A)と同様である。
重合時の重合時間、重合時の圧力、モノマー水溶液のpHは、(A)の場合と同様であり、好ましい条件も同様である。また(B)は(A)と同様、予め上記の方法により製造した後、ポリマー変性反応させたものでもよい。
また、2種以上の(B)を用いる場合、予めそれぞれを製造した後に混合してもよいし、一方を予め製造しておき、他方の製造時に加えてもよい。
(B)の分子量は、1N−NaNO3水溶液中30℃で測定した固有粘度(dl/g)で表した場合、下限は通常1、凝集性能(とくにフロック粒径の増大)の観点から好ましくは1.5、さらに好ましくは2、とくに好ましくは4、最も好ましくは6、上限は通常40、凝集性能(とくにフロック強度の向上)の観点から好ましくは30、さらに好ましくは20、とくに好ましくは15、最も好ましくは12である。
本発明の有機凝結剤および/または高分子凝集剤は必要に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲で、消泡剤、キレート化剤、pH調整剤、界面活性剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および防腐剤からなる群から選ばれる添加剤を併用することができる。
消泡剤としては、シリコーン系(例えばMn100〜100,000のジメチルポリシロキサン)、鉱物油(例えばスピンドル油およびケロシン)、C12〜22の金属石ケン(例えばステアリン酸カルシウム);
キレート化剤としては、C6〜12のアミノカルボン酸(例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸およびトリエチレンテトラミンヘキサ酢酸)、多価カルボン酸〔例えばマレイン酸、ポリアクリル酸(Mn1,000〜10,000)およびイソアミレン−マレイン酸共重合体(Mn1,000〜10,000)〕、C3〜10のヒドロキシカルボン酸(例えばクエン酸、グルコン酸、乳酸およびリンゴ酸)、縮合リン酸(例えばトリポリリン酸およびトリメタリン酸)およびこれらの塩〔例えばアルカリ金属(例えばナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばカルシウムおよびマグネシウム)塩、アンモニウム塩、C1〜20のアルキルアミン(例えばメチルアミン、エチルアミンおよびオクチルアミン)塩およびC2〜12のアルカノールアミン(例えばモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン)塩〕;
pH調整剤としては、苛性アルカリ(例えば苛性ソーダ)、アミン(例えばモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン)、無機酸(塩)[例えば無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸および炭酸)、およびこれらの金属(例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属)塩(例えば炭酸ソーダ、炭酸カリウム、硫酸ソーダ、硫酸水素ナトリウムおよびリン酸1ナトリウム)およびアンモニウム塩(例えば炭酸アンモンおよび硫酸アンモン)]、有機酸(塩)[例えば有機酸(例えばカルボン酸、スルホン酸およびフェノール)、およびこれらの金属(上記に同じ)塩(例えば酢酸ソーダおよび乳酸ソーダ)およびアンモニウム塩(例えば酢酸アンモニウムおよび乳酸アンモニウム)];
界面活性剤としては、米国特許第4331447号明細書記載の界面活性剤、例えばポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルおよびジオクチルスルホコハク酸ソーダ];
ブロッキング防止剤としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル、例えば、ポリエチレンオキシド変性シリコーンおよびポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド変性シリコーン;
酸化防止剤としては、フェノール化合物[例えばハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、カテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)および2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)]、含硫化合物〔例えばチオ尿素、テトラメチルチウラムジサルファイド、ジメチルジチオカルバミン酸およびその塩[例えば金属(上記に同じ)塩およびアンモニウム塩]、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびその塩(上記に同じ)、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(DLTDP)およびジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(DSTDP)〕、含リン化合物[例えばトリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、トリフェニルホスファイト(TPP)およびトリイソデシルホスファイト(TDP)]および含窒素化合物[アミン(例えばオクチル化ジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノールおよびN,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン)、尿素、グアニジン、およびグアニジンの上記無機酸塩];
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系(例えば2−ヒドロキシベンゾフェノンおよび2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン)、サリチレート系(例えばフェニルサリチレートおよび2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート)、ベンゾトリアゾール系[例えば(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールおよび(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール]およびアクリル系[例えばエチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートおよびメチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシベンジル)アクリレート];
防腐剤としては、例えば安息香酸、パラオキシ安息香酸エステルおよびソルビン酸が挙げられる。
これらの添加剤は、有機凝結剤および/または(B)のいずれに含有させてもよいし、有機凝結剤と(B)を混合して高分子凝集剤(C)とした後に添加して含有させてもよい。また、ブロッキング防止剤を除く添加剤については、本発明の効果を阻害することがなければ(A)および/または(B)の重合前のモノマー水溶液中に予め含有させてもよい。
上記添加剤全体の使用量は、添加剤を有機凝結剤および/または(B)あるいは(C)に含有させる場合は、有機凝結剤および/または(B)の重量あるいは(C)の重量に基づいて、またモノマー水溶液中に予め含有させる場合は、モノマー重量に基づいて、通常30%以下、本発明の効果(凝結性能または凝集性能)の観点から好ましくは0〜10%である。
各添加剤の使用量については、上記と同様の重量に基づいて、消泡剤は通常5%以下、好ましくは1〜3%、キレート化剤は通常30%以下、好ましくは2〜10%、pH調整剤は通常10%以下、好ましくは1〜5%、界面活性剤およびブロッキング防止剤はそれぞれ通常5%以下、好ましくは1〜3%、酸化防止剤、紫外線吸収剤および防腐剤はそれぞれ通常5%以下、好ましくは0.1〜2%である。
有機凝結剤と(B)を組み合わせて汚泥または廃水に適用するに際しては、有機凝結剤は粉末状、フレーク状、油状、ペースト状、水溶液状、エマルション状または懸濁液状等のいずれの形態でもよい。
有機凝結剤と(B)の合計重量に基づく有機凝結剤の割合は、凝集剤性能と、ろ液の清澄性向上効果(例えばCOD低減および脱色)の観点から好ましい下限は0.5%、さらに好ましくは1%、とくに好ましくは3%、最も好ましくは5%、凝集剤性能の観点から好ましい上限は70%以下、さらに好ましくは60%以下、とくに好ましくは50%、最も好ましくは30%である。
また、有機凝結剤と(B)を混合する方法は、有機凝結剤と(B)が混合できれば特に限定はされず、(A)と(B)をそれぞれ重合で得た後に、例えばブレンダー等の撹拌装置を用いて混合する方法、および(A)または(B)の重合前、重合途中もしくは重合後に(B)または(A)を添加する方法が含まれる。
本発明の高分子凝集剤は、従来にない特異的な凝集効果やろ液の清澄性向上効果(例えばCOD低減および脱色)を示すことから、下水等または工場廃水等の処理で生じた有機性汚泥または無機性汚泥の脱水処理用高分子凝集剤として用いることができ、とくに有機性汚泥の脱水処理用として好適に用いられる。
有機性汚泥の場合は、懸濁粒子の大きさが比較的大きく、また水中において懸濁粒子表面がマイナスに帯電していることから、本発明の高分子凝集剤のうち好ましいのはカチオン性高分子凝集剤および/または両性高分子凝集剤、さらに本発明の特徴である上記効果をより一層発揮できるとの観点から、さらに好ましいのは両性高分子凝集剤である。
ここでカチオン性高分子凝集剤とは、分子内にカチオン性基を有する高分子凝集剤、すなわち水に溶解した際にカチオン性を示す高分子凝集剤であり、また両性高分子凝集剤とは、分子内にカチオン性基およびアニオン性基を有する高分子凝集剤または分子内にカチオン性基を有する高分子凝集剤と分子内にアニオン性基を有する高分子凝集剤の混合物、すなわち水に溶解した際にカチオン性およびアニオン性を示す高分子凝集剤である。
これらの高分子凝集剤の水中におけるカチオン性またはアニオン性は、コロイド当量値(meq/g)を目安として評価することができる。即ち、カチオン性凝集剤中のカチオン性基当量値はカチオンコロイド当量値として求めることができ、両性凝集剤中のカチオン性基当量値およびアニオン性基当量値は、それぞれカチオンコロイド当量値およびアニオンコロイド当量値として求めることができる。
本発明の高分子凝集剤のうち、カチオン性高分子凝集剤の、有機凝結剤と(B)の合計重量に基づくカチオンコロイド当量値(meq/g)は、凝集性能の観点から好ましい下限は0.1、さらに好ましくは0.5、とくに好ましくは1、最も好ましくは1.5、また、同様の観点から好ましい上限は20、さらに好ましくは12、とくに好ましくは8、最も好ましくは6である。 また、両性高分子凝集剤中のカチオンコロイド当量値(meq/g)は、上記と同様の観点から、好ましい下限は1、さらに好ましくは1.5、とくに好ましくは2、また好ましい上限は6、さらに好ましくは5、とくに好ましくは4.5である。
またアニオンコロイド当量値(meq/g)は高分子凝集剤の水への溶解性の観点から好ましい下限は−5、さらに好ましくは−4、とくに好ましくは−3、また凝集性の観点から好ましい上限は−0.1、さらに好ましくは−0.3、とくに好ましくは−0.5である。
コロイド当量値は以下に示すコロイド滴定法により求めることができる。なお、以降の測定は室温(約20℃)下で行う。
(1)測定試料(50ppm水溶液)の調製
試料0.2g(固形分含量換算したもの)を精秤し、200mlのガラス製三角フラスコにとり、全体の重量(試料とイオン交換水の合計重量)が100gとなるようにイオン交換水を加えた後、マグネチックスターラー(1,000rpm)で、3時間撹拌して完全に溶解し、0.2重量%の高分子凝集剤溶液を調製する。さらに500mlのガラス製ビーカーに上記調製した溶液10.00gを小数点第2位まで計ることができる天秤を用いて正確に秤りとり、全体の重量(溶液10mlとイオン交換水の合計重量)が400.00gとなるようにイオン交換水を加え、再度マグネチックスターラー(1,000〜1,200rpm)で、30分間撹拌して、均一な測定試料とする。
なお、高分子凝集剤の固形分含量は、試料約1.0gをシャーレに秤量(W1)して、循風乾燥機中105±5℃で90分間乾燥させた後の残存重量を(W2)として、次式から算出した値である。

固形分含量(重量%)=(W2)×100/(W1)
(2)カチオンコロイド当量値の測定
測定試料100.0gを200mlのガラス製コニカルビーカーにとり、撹拌しながら徐々に0.5重量%硫酸水溶液を加え、pH3に調整する。次にトルイジンブルー指示薬(TB指示薬)を2〜3滴加え、N/400ポリビニル硫酸カリウム(N/400PVSK)試薬で滴定する。滴定速度は2ml/分とし、測定試料が青から赤紫色に変色し、30秒間保持する時点を終点とする。
(3)アニオンコロイド当量値の測定
測定試料100.0gを200mlのガラス製コニカルビーカーにとり、マグネチックスターラー(500rpm)で撹拌しながら、N/10水酸化ナトリウム水溶液0.5mlを加え、さらにN/200メチルグリコールキトサン水溶液5mlを5mlのホールピペットを用いて加えた後、5分間撹拌する(その時のpH約10.5)。TB指示薬を2〜3滴加え、(2)と同様にして滴定する。
(4)空試験
測定試料の代わりにイオン交換水100.0gを用いる以外(2)および(3)と同様の操作を行う。
(5)計算方法
カチオンまたはアニオンコロイド当量値(meq/g)=1/2×(試料の滴定量−空試験の滴定量)×(N/400PVSKの力価)
本発明の高分子凝集剤の形態は、粉末状(例えば破砕状、真球状および葡萄房状)、フィルム状、水溶液状、w/oエマルション状および懸濁液状等公知の任意形態でよい。
本発明の有機凝結剤は、工場廃水のうち、着色水、とくに染色廃水の脱色処理用として好適に用いられる。該脱色処理方法としては、例えば有機凝結剤を染色廃水に添加、混合して染料成分を有機凝結剤により凝結させた後、高分子凝集剤を添加、混合してフロックを形成させ、固液分離を行う方法が挙げられる。
本発明の高分子凝集剤を用いた下水等の有機性汚泥や工場廃水等の無機性の汚泥または廃水の処理方法は、有機凝結剤と水溶性(共)重合体(B)を組み合わせて汚泥または廃水に添加、混合してフロックを形成させ、固液分離を行う方法であれば特に限定されることはない。
上記処理方法のうち、後述する本発明の効果(例えば高フロック強度、フロック粒径の増大、脱水ケーキの低含水率化およびろ液のCOD低減と脱色効果)発揮の観点から好ましいのは、(1)有機凝結剤を汚泥または廃水に添加、混合した後、さらに(B)を添加、混合してフロックを形成させ、固液分離を行う方法、および(2)有機凝結剤と(B)を予め混合して高分子凝集剤(C)とした後、(C)を汚泥または廃水に添加、混合してフロックを形成させ、固液分離を行う方法、さらに好ましいのは(1)の方法である。
(1)の方法において、有機凝結剤を廃水に添加する方法としては、均一混合の観点から有機凝結剤を水溶液にした後に汚泥または廃水に添加して十分に撹拌することが好ましいが、有機凝結剤をそのまま廃水に添加して撹拌、混合してもよい。有機凝結剤を水溶液として用いる場合は、有機凝結剤の濃度は好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
有機凝結剤の溶解方法および溶解後の希釈方法は特に限定はされないが、例えば予め秤りとった水を、後述のジャーテスター等の撹拌装置を用いて撹拌しながら所定量の有機凝結剤を加え、数時間(約1〜4時間程度)撹拌して溶解する方法等が採用できる。
(1)の方法における有機凝結剤の使用量は、汚泥または廃水の種類、懸濁している粒子の含有量および、(A)の分子量等によって異なり、特に限定はされないが、廃水中の蒸発残留物重量(以下、TSと略記)に基づいて、ろ液の清澄性向上効果の観点から、好ましい下限は0.01%、さらに好ましくは0.05%、とくに好ましくは0.1%、最も好ましくは0.2%、また凝集性能の観点から好ましい上限は10%、さらに好ましくは8%、とくに好ましくは5%、最も好ましくは2%である。
また、本発明の有機凝結剤を汚泥または廃水に使用する際には、公知の無機および有機凝結剤を1種以上併用してもよい。これらを併用する場合は、本発明の有機凝結剤に予め添加しておく方法、または本発明の有機凝結剤と公知の無機および/または有機凝結剤を別々に順序不同で汚泥または廃水に添加する方法のいずれを採用してもよい。
公知の無機凝結剤としては、例えば硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄および消石灰が挙げられる。
公知の有機凝結剤としては、例えばエピハロヒドリンとアミンとの重縮合体(もしくはその塩酸塩、以下塩酸塩と略記)、エピハロヒドリンとアルキレンジアミンとの重縮合体(塩酸塩)、ポリエチレンイミン(塩酸塩)、アルキレンジハライド−アルキレンポリアミン重縮合体(塩酸塩)、アニリン−ホルムアルデヒド重縮合体(塩酸塩)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリビニルピリジン(塩酸塩)、(ジ)メチルジ(メタ)アリルアンモニウムクロライドおよびポリビニルイミダゾリン(塩酸塩)が挙げられる。
これらの公知の無機および有機凝結剤はそれぞれの1種または2種以上用いても、あるいは両者を併用してもいずれでもよい。
該公知の凝結剤を予め本発明の有機凝結剤に添加しておく場合の使用量は、本発明の有機凝結剤の重量に基づいて、公知の無機凝結剤は通常100%以下、好ましくは5〜50%、さらに好ましくは10〜30%、公知の有機凝結剤は通常20以下、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは2〜5%である。
公知の無機および/または有機凝結剤を本発明の有機凝結剤とは別に廃水に添加する場合の使用量は、汚泥または廃水の種類、懸濁している粒子の大きさ、および廃水中のTS等によって異なるが、廃水中のTSに基づいて、公知の無機凝結剤では、凝集性の観点から好ましい下限は0.5%、さらに好ましくは1%、とくに好ましくは2%、同様の観点から好ましい上限は10%、さらに好ましくは8%、とくに好ましくは5%であり、公知の有機凝結剤では、凝集性の観点から好ましい下限は0.01%、さらに好ましくは0.05%、とくに好ましくは0.1%、同様の観点から好ましい上限は5%以下、さらに好ましくは3%以下、とくに好ましくは1%である。
(1)の方法において(B)を、本発明の有機凝結剤で処理後の汚泥または廃水に添加する方法としては、特に限定はなく、(B)をそのまま該汚泥または廃水に添加してもよいが、均一混合の観点から好ましいのは(B)を水溶液にした後に該汚泥または廃水に添加する方法である。(B)を水溶液として用いる場合は、(B)の濃度は好ましくは0.05〜1重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%である。
溶解方法、溶解後の希釈方法は特に限定はなく、上記有機凝結剤の場合と同様である。とくに粉末状の(B)を水に溶解する際、(B)を一度に加えるとままこを生じて水に溶解しにくくなるため好ましくない。
(1)の方法において、汚泥または廃水に添加する際の(B)の使用量は、汚泥または廃水の種類、懸濁している粒子の含有量および(B)の分子量等によって異なり、とくに限定はされないが、汚泥または廃水中のTSに基づいて凝集性能の観点から、好ましい下限は0.01%、さらに好ましくは0.1%、とくに好ましくは1%、最も好ましくは1.5%、同様の観点から、好ましい上限は10%、さらに好ましくは8%、とくに好ましくは5%、最も好ましくは3%である。
また、(2)の方法における本発明の高分子凝集剤(C)の汚泥または廃水への添加方法としては、特に限定はなく、(C)をそのまま廃水に添加してもよいが、均一混合の観点から好ましいのは(C)を水溶液にした後に汚泥または廃水に添加する方法である。(C)を水溶液として用いる場合は、その濃度は好ましくは0.05〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
溶解方法、溶解後の希釈方法は特に限定はなく、上記有機凝結剤および(B)の場合と同様である。
(2)の方法において汚泥または廃水に添加する際の(C)の使用量は、汚泥または廃水の種類、懸濁している粒子の含有量および該高分子凝集剤の分子量等によって異なりとくに限定はされないが、汚泥または廃水中のTSに基づいて、凝集性能の観点から、好ましい下限は0.01%、さらに好ましくは0.1%、とくに好ましくは1%、最も好ましくは1.5%、同様の観点から、好ましい上限は10%、さらに好ましくは8%、とくに好ましくは5%、最も好ましくは3%である。
また上記(1)または(2)の処理方法により形成されたフロック状の汚泥の脱水方法(固液分離法)としては、例えば重力沈降、膜ろ過、カラムろ過、加圧浮上、および濃縮装置(例えばシックナー)および脱水装置(例えば遠心脱水機、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機およびキャピラリー脱水機)を用いる方法が挙げられる。これらのうち本発明の高分子凝集剤の特異的な凝集性能である高フロック強度の観点から好ましいのは、脱水装置、とくに遠心脱水機、ベルトプレス脱水機およびフィルタープレス脱水機を用いる方法である。
本発明の高分子凝集剤のその他の用途としては、例えば掘削・泥水処理用凝集剤、製紙用薬剤(例えば製紙工業用地合形成助剤、濾水歩留向上剤、濾水性向上剤および紙力増強剤)、原油増産用添加剤(原油の二、三次回収用添加剤)、分散剤、スケール防止剤、凝結剤、脱色剤、増粘剤、帯電防止剤および繊維用処理剤が挙げられ、これらのうち好ましいのは掘削・泥水処理用凝集剤、製紙用薬剤および原油増産用添加剤である。
以下実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部、%は重量%を表す。固有粘度[η](dl/g)は1N−NaNO3水溶液中、30℃で測定した値である。高分子凝集剤のコロイド当量値および固形分含量は、前記の方法によって測定した。なお、汚泥または廃水中のTS(蒸発残留物重量)、有機分(強熱減量)は、下水道試験方法(日本下水道協会、1984年度版)記載の分析方法に準じて行った。
また、本実施例中のフロック粒径、ろ液量、ろ布剥離性、ケーキ含水率、COD、ろ液清澄度、凝結性および脱色性は以下の方法に従って性能評価した。
<フロック粒径>
ジャーテスター[宮本理研工業(株)製、形式JMD−6HS−A、以下同じ。]に板状の塩ビ製撹拌羽根(直径5cm、高さ2cm、厚さ0.2cm)2枚を十字になる様に上下に連続して撹拌棒に取り付け、汚泥または廃水[もしくは予め(A)を添加、混合した汚泥または廃水]200mlを500mlのビーカーに取り、ジャーテスターにセットする。ジャーテスターの回転数を120rpmにし、ゆっくり汚泥または廃水を撹拌しながら、所定量の0.2重量%の高分子凝集剤水溶液[もしくは予め(A)を添加、混合した汚泥または廃水の場合は0.2重量%の(B)]を一度に添加し、30秒間撹拌した後、撹拌を止め凝集物の大きさを目視にて観察する(回転数120rpmでのフロック粒径を表中に示す)。
続いて回転数を300rpmにセットし、さらに30秒間撹拌した後、撹拌を止め凝集物の大きさを再度目視にて観察する(回転数300rpmでのフロック粒径を表中に示す)。
<ろ液量>
T−1189のナイロン製ろ布[敷島カンバス(株)製、円形状、直径9cm]、ヌッチェ漏斗、300mlが測れるメスシリンダーをセットし、上記フロック粒径試験後の汚泥を一度に投入して濾過し、ストップウォッチを用いて投入直後から60秒後のろ液量を測定する。
<ろ布剥離性>
濾過した汚泥の一部をスパーテルで取り出し、プレスフィルター試験機を用いて脱水試験(2kg/cm2、60秒)を行い、試験後のろ布からの脱水ケーキの剥離性を下記の基準に従って評価する。
◎:非常に剥がれやすい(ろ布付着物ほとんどなし)
○:剥がれやすい (僅かにろ布付着物あり)
△:多少剥がれにくい (ろ布付着物あり、僅かにろ布内部まで付着)
×:剥がれにくい (ろ布内部まで付着)
<ケーキ含水率>
上記ろ布剥離性試験後の脱水ケーキ約3.0gをシャーレに秤量(W3)して、循風乾燥機中で完全に水分が蒸発するまで(例えば、105±5℃で8時間)乾燥させた後、シャーレ上に残った乾燥ケーキの重量を(W4)として、次式からケーキ含水率を算出する。

ケーキ含水率(重量%)={(W3)−(W4)}×100/(W3)
<COD>
上記ろ液量測定後のろ液を用いて、JIS K−0102(1998年度版)に記載のCODMn分析方法に準じてCODを測定する。
<ろ液清澄度>
上記ろ液量測定後のろ液を用いて、吸光度計[(株)島津製作所製、UV−1200、以下同じ。]で波長590nmおよび700nmの時の吸光度を測定し、ろ液清澄度を評価する。なお、吸光度の数値(%)は、イオン交換水の吸光度を100%とした時の値を示す。
<凝結性>
上記フロック粒径の評価方法と同じ装置を用い、汚泥または廃水200mlを500mlのビーカーに取り、ジャーテスターにセットする。ジャーテスターの回転数を120rpmにし、ゆっくり汚泥または廃水を撹拌しながら、所定量の0.2重量%の有機凝結剤水溶液を一度に添加し、30秒間撹拌した。その後汚泥または廃水を遠心分離機[TOMY SEIKO CO.LTD.製、形式LC06]にて2,000rpmにて10分間遠心分離を行い、汚泥または廃水全量に対する凝結して沈降したスラッジの体積%を算出し凝結性を評価する。
<脱色性>
上記遠心分離後のろ液を用いて、吸光度計で波長430nmおよび700nmの時の吸光度を測定し脱色性を評価する。なお、吸光度の数値(%)は、イオン交換水の吸光度を100%とした時の値を示す。
製造例1
撹拌機、温度センサーおよび温度制御装置を備えた反応容器に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートにベンジルクロライドを反応させた4級アンモニウム塩の60%水溶液500部(100モル%)を入れた後、さらに系内のモノマーの合計が30%となるようにイオン交換水500部を加え、系内が均一の溶液になるまで撹拌した。さらに撹拌を続けながら、硫酸を用いてモノマー水溶液のpH(20℃)をpHメーターで監視しながら4.0に調整した。系内を窒素(純度99.999%以上)で充分に置換した後、開始剤として過硫酸ナトリウムの10%水溶液50部を撹拌しながら加えた。系内を外部から徐々に加熱し、50℃で重合が開始し発熱が認められたので外部から冷却して内容物温度50〜60℃で10時間重合を行った。その後外部から加温して、80℃で1時間熟成し重合を完結させた。重合完結後、内容物を取り出し、これにアセトン2,000部を加えて市販のジューサーミキサーで30分間撹拌して沈殿物を得た。この沈殿物を減圧ろ過(JIS規格2種のろ紙を使用)により取り出した後、沈殿物を減圧乾燥機中(減圧度1.3kPa、40℃×2時間)で溶媒を留去し、粉末状の重合体(A1)294部を得た(収率95%、固形分含量97%)。
製造例2
製造例1において、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートにベンジルクロライドを反応させた4級アンモニウム塩の60%水溶液500部の代わりに、同水溶液380部(70モル%)およびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートにメチルクロライドを反応させた4級アンモニウム塩の60%水溶液118部(30モル%)を用いた以外は製造例1と同様にして粉末状の重合体(A2)297部を得た(収率96%、固形分含量97%)。
製造例3
製造例1において、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートにベンジルクロライドを反応させた4級アンモニウム塩の60%水溶液500部の代わりに、同水溶液440部(65モル%)およびアクリルアミドの50%水溶液61部(30モル%)およびアクリル酸5部(5モル%)を用いた以外は製造例1と同様にして粉末状の重合体(A3)297部を得た(収率96%、固形分含量97%)。
比較製造例1
市販のジメチルアミンとエピクロルヒドリン重縮合体[四日市合成(株)製、カチオマスターPD−7、固形分濃度50%水溶液]50部をアセトン2,000部中に加え、ミキサーで30分間撹拌して沈殿物を得た。後は製造例1と同様に処理して粉末状の重縮合体(比A1)24部を得た(収率94%、固形分含量98%)。
製造例
撹拌機を備えたコルベンにN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートにメチルクロライドを反応させた4級アンモニウム塩の80%水溶液115部(100モル%)を入れた後、さらに系内のモノマーの合計が30%となるようにイオン交換水192部を加え、系内が均一の溶液になるまで撹拌した。さらに撹拌を続けながら、硫酸を用いてモノマー水溶液のpH(20℃)をpHメーターで監視しながら4.0に調整した。次に、40℃の恒温槽中で溶液の温度を40℃に調整し、系内を窒素(純度99.999%以上)で充分に置換した(気相酸素濃度10ppm以下)。次いで開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドの10%水溶液0.46部を撹拌しながら一気に加えた。約1分後に重合が開始し発熱が認められたが外部から冷却して内容物温度40〜50℃で10時間重合を行った。その後外部から加温して、70℃で1時間熟成し重合を完結した。なお重合中、内容物が高粘度となり撹拌が困難となったため、撹拌は途中で停止した。
重合完結後、内容物を取り出し、後は製造例1と同様に処理して粉末状の水溶性重合体(B1)95部を得た(収率98%、固形分含量95%)。
製造例
製造例において、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド4級アンモニウム塩の80%水溶液115部の代わりに、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド4級アンモニウム塩の80%水溶液74部(40モル%)とアクリルアミドの50%水溶液65部(60モル%)を用いた以外は製造例と同様にして、粉末状の水溶性重合体(B2)97部を得た(収率98%、固形分含量93%)。
製造例
製造例において、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド4級アンモニウム塩の80%水溶液115部の代わりに同水溶液を10部(5モル%)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド塩の80%水溶液58部(30モル%)、アクリルアミドの50%水溶液51部(45モル%)およびアクリル酸12部(20モル%)を用いた以外は製造例と同様にして、粉末状の水溶性重合体(B3)95部を得た(収率96%、固形分含量93%)。
実施例
(B1)9部と(A1)1.3部を密栓可能なガラス瓶に採り、均一になるまでよく振り混ぜて高分子凝集剤(C1)10.3部を得た。
実施例
(B1)の代わりに(B2)9部、(A1)の代わりに(A2)0.42部を用いた以外は実施例と同様にして、高分子凝集剤(C2)9.42部を得た。
実施例
(B1)の代わりに(B3)9部、(A1)の代わりに(A2)0.84部を用いた以外は実施例と同様にして、高分子凝集剤(C3)9.84部を得た。
比較例
(B1)の代わりに(B3)9部、(A1)の代わりに(比A1)0.84部を用いた以外は実施例と同様にして、高分子凝集剤(C4)9.84部を得た。
(A1)〜(A3)、(B1)〜(B3)、および(比A1)の組成および固有粘度を表1に示す。また、(C1)〜(C3)および(C4)の組成、配合量、コロイド当量値および固有粘度を表2に示す。
Figure 0004498762
BDAMQ :N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのベンジルクロライド4
級アンモニウム塩
MDAMQ :N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド4級
アンモニウム塩
AAM :アクリルアミド
AAc :アクリル酸
Figure 0004498762
*1 (B)の重量に基づく%

AAM :アクリルアミド
MDAAQ :N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド4級ア
ンモニウム塩
MDAMQ :N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド4級
アンモニウム塩
AAc :アクリル酸
実施例、比較例
(A1)、(A2)、(比A1)および(B3)をそれぞれイオン交換水に溶解して固形分含量0.2%の水溶液とした。F染色工場から採取した廃水[pH6.6、TS2.0%、有機分33%]500mlを1Lのビーカーに採り、(A1)、(A2)および(比A1)のそれぞれの水溶液25ml(固形分添加量0.5%/TS)を加えてハンドミキサーで充分に撹拌、混合処理した。該廃水200mlにさらに上記(B3)水溶液40mlを添加[(B3)の固形分添加量2.0%/TS]して撹拌、混合処理し、前記の方法によりフロック粒径、ろ液量、ろ布剥離性、ケーキ含水率、CODおよびろ液清澄度を性能評価した。結果を表3に示す。
表3から、実施例では、比較例に比べて、大粒径のフロックが形成され、高撹拌下(300rpm)でも一旦形成されたフロックが壊れにくく(フロック強度が強い)こと、およびろ布剥離性、脱水性(ケーキ含水率)、COD低減特性およびろ液清澄性において優れた効果を示すことがわかる。
Figure 0004498762
実施例、比較例
(C3)、(C4)および(B3)をそれぞれイオン交換水に溶解して固形分含量0.2%の水溶液とした。K下水処理場から採取した消化汚泥[pH6.1、TS1.9%、有機分63%]にそれぞれの水溶液45mlを添加(固形分添加量2.4%/TS)、上記実施例、比較例と同様に混合して性能評価した。結果を表4に示す。
表4から、実施例では、比較例に比べて、大粒径のフロックが形成され、高撹拌下(300rpm)でも一旦形成されたフロックが壊れにくい(フロック強度が強い)こと、およびろ布剥離性、脱水性(ケーキ含水率)、COD低減特性およびろ液清澄性において優れた効果を示すことがわかる。
Figure 0004498762
* B3を高分子凝集剤として使用
実施例、比較例
(C1)、(B1)をそれぞれイオン交換水に溶解して固形分含量0.2%の水溶液とした。H下水処理場から採取した余剰汚泥[pH6.4、TS2.7%、有機分72%]にそれぞれの水溶液50mlを添加(固形分添加量2.1%/TS)、上記実施例と同様に混合して性能評価した。結果を表5に示す。
表5から、実施例では、比較例に比べて、大粒径のフロックが形成され、高撹拌下(300rpm)でも一旦形成されたフロックが壊れにくい(フロック強度が強い)こと、およびろ布剥離性、脱水性(ケーキ含水率)、COD低減特性およびろ液清澄性において優れた効果を示すことがわかる。
Figure 0004498762
* B1を高分子凝集剤として使用
実施例、比較例
(C2)、(C4)および(B2)をそれぞれイオン交換水に溶解して固形分含量0.2%の水溶液とした。M食品工場から採取した余剰汚泥[pH7.0、TS1.3%、有機分58%]にそれぞれの水溶液30mlを添加(固形分添加量2.0%/TS)、上記実施例、比較例と同様に混合して性能評価した。結果を表6に示す。
表6から、実施例では、比較例に比べて、大粒径のフロックが形成され、高撹拌下(300rpm)でも一旦形成されたフロックが壊れにくい(フロック強度が強い)こと、およびろ布剥離性、脱水性(ケーキ含水率)、COD低減特性およびろ液清澄性において優れた効果を示すことがわかる。
Figure 0004498762
* B2を高分子凝集剤として使用
参考例1〜3比較参考例1
(A1)〜(A3)および(比A1)をそれぞれイオン交換水に溶解して固形分含量0.2%の水溶液とした。N染色工場から採取した廃水[pH6.2、TS0.05%、COD560ppm]500mlを1Lのビーカーに採り、(A1)〜(A3)および(比A1)のそれぞれの水溶液5ml(固形分添加量0.5%/TS)を加えてハンドミキサーで充分に撹拌、混合処理し、前記の方法により凝結性、CODおよび脱色性を評価した。結果を表7に示す。
表7から、参考例1〜3では、比較参考例1に比べて、凝結性能に優れ、COD低減特性および脱色性において優れた効果を示すことがわかる。
Figure 0004498762
本発明の有機凝結剤は、製紙工場廃水などのCOD低減処理用や、着色成分の脱色用に用いられる他、染料固着剤、製紙用薬剤(例えば製紙工業用地合形成助剤、濾水歩留向上剤、濾水性向上剤および紙力増強剤)、汚泥脱水処理剤、分散剤、スケール防止剤、帯電防止剤および繊維用処理剤等の幅広い用途に用いられる。
また、本発明の高分子凝集剤は、下水等または工場廃水等の処理で生じた有機性汚泥または無機性汚泥の脱水処理用として用いることができ、とくに有機性汚泥の脱水処理用として好適に用いられる他、分散剤、スケール防止剤、凝結剤、脱色剤、増粘剤、帯電防止剤、繊維用処理剤等の幅広い用途、およびとくに掘削・泥水処理用凝集剤、製紙用薬剤(例えば製紙工業用地合形成助剤、濾水歩留向上剤、濾水性向上剤および紙力増強剤)および原油増産用添加剤(原油の二、三次回収用添加剤)に好適に用いられる。

Claims (8)

  1. 一般式(1)で表されるモノマー(a1)を必須構成単位とする水溶性(共)重合体(A)からなる有機凝結剤と、(A)を除く、一般式(2)で表されるモノマー(a21)を必須構成単位とする水溶性(共)重合体(B)を組み合わせてなることを特徴とする高分子凝集剤。

    CH =CR −CO−X−Q−N ・Z (1)

    CH =CR −CO−X−Q−N ・Z (2)

    [式中、XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基;R はHまたはメチル基;R は炭素数7〜30のアラルキルまたはアルキルアリール基、R 、R はそれぞれ独立にH、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキルまたはアルキルアリール基、R はHまたはメチル基;R 、R 、R はそれぞれ独立にHまたは炭素数1〜16のアルキル基;Z は対アニオンを表す。]
  2. (A)を構成するモノマー中の(a1)の割合が1〜100モル%である請求項1記載の高分子凝集剤
  3. (A)がさらに、 モノマー(a21)、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる1種以上のモノマー(a2)を構成単位とする請求項1または2記載の高分子凝集剤
  4. (A)の、1N−NaNO中30℃で測定した固有粘度が0.01〜3(dl/g)である請求項1〜のいずれか記載の高分子凝集剤
  5. 有機凝結剤が、製紙廃水のCOD低減処理用である請求項1〜のいずれか記載の高分子凝集剤
  6. (B)がカチオン性(共)重合体(B1)および/または両性(共)重合体(B2)である請求項1〜5のいずれか記載の高分子凝集剤。
  7. 請求項1〜のいずれか記載の有機凝結剤を汚泥または廃水に添加、混合した後、さらに(B)を添加、混合してフロックを形成させ、固液分離を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の高分子凝集剤の使用方法。
  8. 高分子凝集剤を汚泥または廃水に添加、混合してフロックを形成させ、固液分離を行う工程からなる汚泥または廃水の処理方法において、請求項1〜6のいずれか記載の高分子凝集剤を用いることを特徴とする汚泥または廃水の処理方法。
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