JP4498497B2 - エレベータ設備の遠隔制御 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項１に記載の、エレベータ設備の運転を制御するためのシステムと方法とに関する。
【０００２】
【従来の技術】
運転の制御に関して、各エレベータ設備は、例えばエレベータ設備の要素を操作し、起動し、設定するようなセンサとアクチュエータとが接続されている制御装置に結合されている。ローカル制御装置のマイクロプロセッサは、入力信号を読み取って、所定の制御プログラムにしたがって出力信号を切り換える。エレベータ設備を記述していて、制御装置に記憶されている、例えば階数、駆動装置の型などといった信号と命令文の処理は、元々エレベータ設備側にあるマイクロプロセッサで行われる。
【０００３】
従来の制御装置を別として、エレベータが遠隔監視用に付加的にモデムを備えているエレベータ設備システムは、特許明細書ＥＰ０，２５２，２６６Ｂ１とＵＳ５，４５０，４７８とから周知となっている。エレベータ設備のこの遠隔監視のために、各個別のエレベータ設備のそれぞれの制御装置は、ある条件下で公衆電話網を介してモデムによって中央の保守またはサービス・ロケーションと通信する。その場合に与えられるデータ交換は、主として、中央の保守またはサービス・ロケーションに接続されたすべてのエレベータ設備における運転状態と障害発生と警報とに関して前もって決められた診断データからなる。
【０００４】
機能の強化と方式とにしたがって、その設備に固有の実際のデータ交換に先立って、一方では通信回線を確立し、他方ではそのエレベータ制御のデータへのアクセスあるいはアクセス権を規制するデータ交換手順が行われる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
このようにモデム拡張と一緒にエレベータの個々に制御システムを備えたエレベータ設備システムと中央保守サービス・センターとは、自らを検査しているが、これまで説明した構造上および機能上の性質の理由により、装置に関して高価であり、前もって決められた記録のごく狭い選択肢のみが保守サービス・センターに伝送できるだけである。保守サービス・センターに接続されていて、全体システムの中で離れて存在することもある個別のエレベータ設備の維持・保守は、コスト高を招く。それにより、エレベータ設備またはエレベータに運転上の障害が発生した場合、障害の原因が現場で突き止められて、その障害が除去されるまでに長い待ち時間が発生することになる。
【０００６】
したがって本発明の目的は、運転手段の削減と維持・保守の単純化とサービス性能の拡張とを可能にする、初めに名付けた種類の設備システムを示すことである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
この目的は、本発明にしたがい、特許請求項１に記載の特徴を有する設備システムによって満足される。従属の請求項は、装置と方法とに関する本発明の有利な発展を含んでいる。
【０００８】
本発明の本質は、エレベータの遠隔制御にある。この目的のために中央制御装置は、データ伝送装置を介して設備システムのすべてのエレベータに接続されている。各エレベータ設備と中央制御センターとの間で制御データとパラメータとがやり取りされ、中央制御センターで各センサの状態が制御信号に加工される。
【０００９】
この結果として得られる利点は、システム全体のすべてのエレベータのために単に１台の中央制御装置が必要となるだけであって、エレベータ側の従来の制御装置は不要になるということにある。それによって装置に関する費用だけでなく建物内で何時も必要になるエレベータ設備側の建物スペースも削減される。
【００１０】
この手法による中央保守は、すべての設備データと設備パラメータとを全システムの中央制御装置に伝送する場合に可能となる。元々エレベータ側の時間と手間の掛かる設定と適応作業は不要となる。中央制御装置のソフトウエアの修正によって、エレベータ機能は、個別のエレベータのみならず数台のエレベータに関しても影響を受ける。更にセンターでエレベータ設備の完全な実際の状態をイメージして、使用権限や行き先などに関するデータを、センターで修正することが可能である。
【００１１】
更に、設備の監視と予防的な保守・サービスの完全に新しい形式が、本発明によるエレベータ設備システムによって可能となる。制御アルゴリズムを別として、損耗と障害の分析に関しては、各送信機の個別の評価を行うことができる。各コンポーネント・グループは、予防的に分析し、統計的に評価され得る。設備に関する情報は、クライアントにとって望ましい形式で利用可能にできる（例えばロビー・パソコンの代わりにインターネット・ページ）。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例について、図面を参照しながら以下に更に詳細に説明する。
【００１３】
昇降路２内で移動可能なエレベータ・ケージ（エレベータかご）３を備えたエレベータ設備は、図１において１で示される。この実施例のようにエレベータ設備１は、単一エレベータ２０であることもあるが、一つの建物内で制御手法によって１グループに相互連結されている数台のエレベータ２０を有する設備であることもある。このエレベータ・ケージ３は、駆動プーリ５にガイドされるケーブル４で吊り下げられている。駆動プーリ５は、駆動制御装置７によって電気エネルギーを供給される駆動エンジン６によって動かされる。駆動プーリ５の運動、したがって昇降路２内のエレベータ・ケージ３の位置を監視するためにセンサ８が備えられ、その信号は入出力装置９に供給される。エレベータ・ケージ３は、図示してないが平行に走る各階のドアを起動するケージ・ドア１０によって閉じることができる。エレベータ・ケージ３内に位置している人または商品の重量を検出するために、例えば荷重測定床といった荷重測定装置１１が備えられている。図１によればエレベータ・ケージ３内には、行き先階を入出力装置９に知らせるためのケージ・パネル１２が配置されている。エレベータ・ケージ３を呼ぶために、同様に入出力装置９に接続されている各階パネル１３が、各階Ｅ０、Ｅ１、Ｅ２に備えられている。各階Ｅ０、Ｅ１、Ｅ２とエレベータ・ケージ３には表示装置１４が備えられていて、その助けによって例えばエレベータ・ケージ３の瞬間的な位置といった情報がユーザに伝えられる。この入出力装置９は、伝送装置１５に接続されている。信号線は、破線で示されている。
【００１４】
本発明の重要な特徴として、エレベータ設備１の運転に必要なすべてのセンサとアクチュエータは各々、入出力装置９に接続されている。これらのデータは、無線を介して、あるいは光ケーブルまたは銅ケーブル等といったケーブル結合の媒体を介して第２の伝送装置１５によって従来の仕方でサービス・センター１６に処理のために伝送される。上述の実施例の場合には、エレベータ設備１とサービス・センター１６とは、公衆電話網２３によって互いに接続されている。
【００１５】
図２は、二つのエレベータ設備１と一つのサービス・センター１６とを有するエレベータ設備システムのブロック図を示しており、このサービス・センター１６は、各階の呼出し、またはエレベータ・ケージ３からの呼出しによって、エレベータ設備１の運転を制御・規制し、更にエレベータ設備１の保守状態を監視・記録する。サービス・センター１６は、キーボード２１と映像スクリーン２０とを有するコンピュータ・システム１７と、保守状態と運転状態とに関するデータをファイルしている記憶モジュール２２と、データ・バス１８を介してすべてに接続されている第１の伝送装置１９とから構成されている。このデータ・バス１８を介して、また追加のデータ処理装置の助けによって、データ記憶装置２２内にファイルされたデータおよび／またはエレベータ設備１の実際の運転データは、追加の評価のために更に呼び出して処理することができる。
【００１６】
伝送されたデータは、サービス・センター１６内のコンピュータ・システム１７で処理される。コンピュータ・システム１７は、受信データから設備１の運転に関する設定コマンドを導き出す。それからこれらの設定コマンドは、第１の伝送装置１９の助けによってサービス・センター１６からエレベータ設備１に伝送される。各エレベータ設備１におけるそれぞれの第２の伝送装置１５は、設定コマンドを入出力装置９に転送する。入出力装置９は、例えば駆動エンジン６または表示装置１４といった設定構成要素またはアクチュエータを制御する。
【００１７】
図３は、エレベータ設備１における入出力装置９内の制御データの処理を説明するための流れ図を示す。ステップＳ１で、入出力装置９の入力信号が変化したかどうかがチェックされる。ｎで示されるこのチェックの否定結果の場合には、ステップＳ４で、制御センター１６からの新しい設定コマンドが第２の伝送装置１５から受信されたかどうかがチェックされる。ｙで表されるこのチェックの肯定結果の後に、これらの設定コマンドは、ステップＳ５で第２の伝送装置１５から入出力装置９によって引き継がれる。ｎによって表されるこのチェックの結果の場合には、伝送エラーが存在し、このデータ伝送処理は終了させられる。ステップＳ６で、入出力装置９は、例えば表示装置１４といったアクチュエータ、または例えばそれぞれのエレベータ設備１の駆動制御７または駆動エンジン６といった設定構成要素にこれらの設定コマンドを発行する。
【００１８】
ステップ１が肯定結果ｙになると、変更された入力信号は、ステップＳ２で入出力装置９から第２の伝送装置１５に転送される。ステップＳ３でこれらの信号は、第２の伝送装置１５によってサービス・センター１６に伝送される。
【００１９】
図４は、サービス・センター１６における制御データの処理を説明するための流れ図を示す。ステップＳ７で、エレベータ設備１からの新しい入力信号が第１の伝送装置１９を介してサービス・センター１６のコンピュータ・システム１７に受信されたかどうかがチェックされる。ｙで示されるこのチェックの肯定結果の場合には、入力信号はコンピュータ・システム１７内に記憶された制御プログラムによってステップＳ８で処理される。ステップ９では、制御プログラムによって確認された、それぞれのエレベータ２４の設定構成要素またはアクチュエータのための設定コマンドは、第１の伝送装置１９の助けによって、対応するエレベータ設備１に伝送される。
【図面の簡単な説明】
【図１】遠隔制御されるエレベータ設備の概略図である。
【図２】本発明によるエレベータ設備システムのブロック図である。
【図３】エレベータ設備での制御データの処理を説明するための流れ図である。
【図４】中央制御センターでの制御データの処理を説明するための流れ図である。
【符号の説明】
１、２４ エレベータ設備
２ 昇降路
３ エレベータ・ケージ
４ ケーブル
５ 駆動プーリ
６ 駆動エンジン
７ 駆動制御装置
８ センサ
９ 入出力装置
１０ ケージ・ドア
１１ 荷重測定装置
１２ ケージ・パネル
１３ 各階パネル
１４ 表示装置
１５、１９、２３ 伝送装置
１６ サービス・センター
１７ コンピュータ・システム
１８ データ・バス
２０ 映像スクリーン
２１ キーボード
２２ データ記憶装置

Claims (6)

1. １台以上のエレベータ（２４）を備えた少なくとも一つのエレベータ設備（１）と、エレベータ設備（１）の運転の制御のための制御装置（１７）と、前記エレベータ設備から空間的に離れていて前記設備の運転を監視するためのサービス・センター（１６）と、前記エレベータ設備（１）とサービス・センター（１６）との間のエレベータに関するデータの交換のためのデータ伝送装置（１９、２３、１５）とを有するエレベータ設備システムであって、前記サービス・センター（１６）内の第１の伝送装置（１９）が、電話網であるデータ経路（２３）を介して前記エレベータ設備（１）側の第２の伝送装置（１５）に接続されており、前記制御装置（１７）がサービス・センター（１６）内に配置され、エレベータ設備（１）の運転に必要なすべてのセンサおよびアクチュエータのデータと、エレベータ設備（１）のアクチュエータおよび設定構成要素の起動のための制御コマンドとを含むエレベータ設備（１）の制御に関するデータが、電話網を含む前記データ伝送装置（１９、２３、１５）によって前記制御装置（１７）と前記エレベータ設備（１）との間で相互に伝送可能であることを特徴とするエレベータ設備システム。
2. １台の制御装置（１７）が、数台のエレベータ設備（１）に関連付けられていることを特徴とする請求項１に記載のエレベータ設備システム。
3. 前記データ経路（２３）が、光ケーブルまたは金属ケーブルを含むことを特徴とする請求項１に記載のエレベータ設備システム。
4. １台以上のエレベータ（２４）を備えた少なくとも一つのエレベータ設備（１）と、エレベータ設備（１）の運転の制御のための制御装置（１７）と、前記エレベータ設備（１）から空間的に離れていて前記設備の運転を監視するためのサービス・センター（１６）と、前記エレベータ設備（１）とサービス・センター（１６）との間でエレベータに関するデータの交換のためのデータ伝送装置（１９、２３、１５）とからなるエレベータ設備システムの運転を制御する方法であって、前記サービス・センター（１６）内の第１の伝送装置（１９）が、電話網であるデータ経路（２３）を介して前記エレベータ設備（１）側の第２の伝送装置（１５）に接続されており、エレベータ設備（１）の運転に必要なすべてのセンサおよびアクチュエータのデータを含む前記エレベータ設備（１）の制御に関するデータが、前記データ伝送装置（１９、２３、１５）を介して、それから空間的に離れた制御装置（１７）に伝送され、その伝送されたデータが、前記制御装置（１７）で前記エレベータ設備（１）のための制御コマンドに加工され、これら確認された制御コマンドが、アクチュエータおよび設定構成要素の起動のために電話網を含む前記データ伝送装置（１９、２３、１５）を介して、前記サービス・センター（１６）からエレベータ設備（１）へ伝送されることを特徴とするエレベータ設備システムの運転を制御する方法。
5. 数台のエレベータが１台の制御装置（１７）によって操作されることを特徴とする請求項４に記載のエレベータ設備システムの運転を制御する方法。
6. 制御に関するデータの伝送が、無線によるか、光ケーブルまたは銅ケーブルといったケーブル結合の媒体によって行われることを特徴とする請求項４に記載のエレベータ設備システムの運転を制御する方法。

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