JP4498402B2 - 自動車エンジンの可変吸気システムにおいて用いられるロータリーバルブ及びこのロータリーバルブ成形用金型及びこの金型を用いて行うロータリーバルブの成形方法 - Google Patents
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Description
この可変吸気システム100を図17に示す。図17において、101はチャンバー室であって、このチャンバー室101内に導入した空気を各シリンダー103の吸気マニホールド104に対し、低速回転用吸気は前記チャンバー室101の上半を迂回するようにして形成された低速回転用吸気流路102を経由して送給し、高速回転用吸気は、チャンバー室101の側壁101aと低速回転用吸気流路102を直近で結ぶ高速回転用吸気流路105を経由して送給する構造となっていて、高速回転用吸気の送給は、前記流路105に取り付けたロータリーバルブ106によるON、OFF切り替えで行う構造となっている。図中110はガソリン噴射ノズルである。
このようにシステムを構成すると、前記した特開平11−37319号公報に掲載されたシステムに比較して、給気流路がエンジンルーム内に占めるスペースを減少させることができる。
ロータリーバルブ106は、図17及び図18(a)(b)に示すように、4気筒エンジンの場合には、バルブ本体108に4個の給気流路(バルブ流路)109を形成し、更に、この流路109には流れ方向における流動抵抗を小さくするために、円弧状に下向きのカーブがつけてあることから、このカーブ付の流路109をロータリーバルブ106の成形時に一体成形する場合、金型キャビティ内には前記流路109のカーブと同一の曲率で形成された入子を円運動で出し入れする必要がある。
このため、入子の出入りに円運動を付与するための機構が複雑になり、金型が大型化すると共に組み立てが複雑になったり、故障やメンテナンス時に多くの時間が必要になるという欠点がある。
b.前記ロータリーバルブには、シリンダーの数に合わせた高速回転用吸気バルブ流路が横一線に並べて形成され、
c.前記吸気バルブ流路の内壁面の断面は、上下壁面と左右壁面で略断面四角形に形成され、
d.前記吸気バルブ流路は、ロータリーバルブが全開したときに前記チャンバー室側から前記低速回転用吸気流路側に向けて下向きに湾曲するように形成され、
e.前記吸気バルブ流路において、左壁面と右壁面は、平面視対向する凹曲面状に形成された自動車エンジンの可変吸気システムに用いられるロータリーバルブにおいて、
f.前記各吸気バルブ流路の上下壁面の外周面には、補強用リブが該バルブの回転軸と平行に形成されていると共に、この補強用リブを含めた吸気バルブ流路の上下壁の樹脂量は、前記円弧状に形成された前記吸気バルブ流路の上下壁面間の中間点を通る中心線を境として上下等量となるように設定されていること、を特徴とするものである。
この結果、高速回転用吸気は、チャンバー室からロータリーバルブのバルブ流路を 経由して低速回転用吸気流路内にスムーズに流動して合流すると共に低速回転用吸気 との合流に際して、流動抵抗となる乱流等が発生するのを抑制することができる。
2.請求項1に記載した本発明におけるロータリーバルブの場合、バルブ流路の外周面 に補強用リブを形成したことにより、バルブの剛性が高まる。また、この補強用リブ の樹脂量をバルブ流路を円弧面に形成したことにより生じた上下のアンバランスを調 整する量としたことにより、射出成形時において、樹脂量のアンバランスから発生す る反りを解消して高精度の製品を提供できる。
3.請求項2、3に記載した本発明における金型には、直線的な出入りを行い、且つ2 つ割り形状の開閉入子を組みつけ、この開閉入子で円弧面を持つバルブ流路を形成す るようにしたことにより、バルブ流路形成構造が簡単になり、金型の小型化が可能で あると共に、従来のように円運動で入子を出し入れしないため、故障が少なく、構造 が簡単化した分組み立てが容易でメンテナンスに時間と手間がかからない。
4.請求項4に記載した本発明における成形方法によると、バルブ流路を成形する際、 開閉入子を直線的に出し入れするため、金型の作動に無理がなく、然も開閉入子は直 線的な運動のため円運動に比較して成形時間の短縮を図り、生産性を高めることがで きる。
図1(a)(b)は樹脂製ロータリーバルブの斜視図であり、(a)はバルブ流路を斜め上方から見たバルブ全体の外観図、(b)はバルブ流路を斜め下方から見たバルブ全体の外観図、図2はバルブ流路の一部縦断正面図、図3はバルブ流路の一部縦断側面図、図4はバルブ流路において底壁面側の幅を上壁面側よりも大きく形成した断面台形状のバルブ流路の実施例を示す説明図である。
更にバルブ流路3には吸気の流動を妨げないように、図3に示す様に、上下両壁面3a、3bに円弧状の曲面が形成してあり、数値的に示すと図3におけるバルブ流路3の上面3aはR150のなだらかな凹面、下面3bはR100のなだらかな凸面を備えている。
各バルブ流路3の両側壁面3c、3dには図2に示す様に、凹状に湾曲させたなだらかな凹曲面が形成されている。その数値は、左右ともR500であるが、このR値はさまざまな実験において適宜に決めることが可能である。
また、本実施例の場合、バルブ流路3は、図3に示すように吸気入口a側に対して吸気出口b側は開口面積を小さく形成することにより、吸気出口b側で流速が高まるように工夫してあるが、この開口面積は同一としても良い。
本実施例のバルブ本体2において、バルブ流路3の上下壁3a、3bの奥行きの長さは、図3の様に、上壁3a側をW´、下壁3b側をWとすると、お互いの関係はW<W′となっている。
この様に長さが異なると、上下壁3a、3bの面積の差からくる樹脂量が変わるため、上下壁3a、3bにおいて剛性に差が生じ、更に冷却時に成形品が反って精度が低下してしまう弊害が生じる。
そのため、本実施例1では、下壁面3b側のリブ4の高さを上壁面3a側のリブ4より高く形成することにより、上下の樹脂量が均量となるようにこのリブ4で調整した。但し、この樹脂量を合わせる他の方法としては、リブ4の太さ又はリブ4の本数などで調整してもよい。
なお、バルブ流路3の断面形状としては、図4に示す様に断面台形状とすることも可能である。
図5は金型を閉じ、キャビティ内に樹脂を充填する直前の射出成形用金型の要部を示す断面図、図6は2つ割りの開閉入子の一部を示す斜視図である。
図5において、可動側金型10と固定側金型11とが閉じたことにより、金型内には可動側キャビティ面12と固定側キャビティ面13及び2つ割りの開閉入子14のキャビティ面14a、14bにより、キャビティ12a、13aが形成されている。
可動側金型10と固定側金型11の上部の合わせ面には、ガイド10a及び11aに沿って上下にスライドする摺動コア17が組み込まれていて、この摺動コア17には、開閉入子14を形成する入子部材AとBの上部(基部)がピン18、ピン孔19、20により回動自在に取り付けられている。また、前記摺動コア17の中心部(割り面)には入子開閉コア15が進退するための貫通された通し割16が形成されている。
摺動コア17において、入子部材A及びBの基部付近には、入子部材A及びBを対向するように付勢して間隔が縮小するようにバネ23が設けられ、更に、可動側金型10及び固定側金型11における入子部材A及びBの先端付近の外側には、成形品から入子部材A及びBを離反させる方向に付勢して離型しやすい様にボールプランジャーと呼ばれる硬球25とバネ26とが組み付けられている。
図5において、27は射出成形用金型を開いたとき成形品を金型から突き出すためのエジェクタピンである。
図5において、ゲート29にはホットノズルが用いられている。但し、このホットノズル部の詳細な構成は一般に用いられている公知のものにつき、図示を省略している。
入子開閉コア15は、図示しないエアシリンダーにより駆動軸15bからガイド孔17a内に挿入されたスライド軸15aを介して上下方向に直線的に駆動される。
同様に、摺動コア17も図示しないエアシリンダーにより上下方向に直線的に駆動される。
図7は可動側金型10と固定側金型11を閉じる直前の説明図、図8はキャビティ内に開閉入子14を前進させている説明図、図9は金型を閉じ、開閉入子14間に入子開閉コア15を挿入している状態の説明図、図10は入子開閉コア15の挿入が完了した状態の説明図、図11はゲート29から溶融樹脂をキャビティ12、13内に充填している状態の説明図、図12は冷却工程終了後、入子開閉コア15を後退すると共に、開閉入子14の入子部材A、Bの先端側(通し割16)がスプリング26の力で閉じた状態の説明図、図13は入子開閉コア15が開閉入子14内から完全に抜けた状態の説明図、図14は開閉入子14がキャビティ12、13内から完全に後退した状態の説明図、図15は可動側金型10を後退させて金型が開いた状態の説明図、図16はエジェクタピン27により成形品を射出成形用金型から離脱させた状態の説明図である。
次に、入子開閉コア15を下降させて開閉入子14の入子部材A、Bを押し広げてキャビティ12a、13bを金型10、11と開閉入子14により形成する(図10)。
次にキャビティ12a、13a内に溶融樹脂をゲート29から充填し(図11)、保圧、冷却工程経過後、入子開閉コア15を開閉入子14間から引き抜き(図12)、開閉入子14をスプリング23によりさらに間隔を縮小し(図13)、その上で開閉入子14全体をキャビティ12a、13a内から引き抜く(図14)。次に、可動側金型10と固定側金型11を開いた後(図15)、エジェクタピン27を突き出して成形品(ロータリーバルブ1)を取り出す(図16)。
3 バルブ流路
4 補強リブ
10 可動側金型
11 固定側金型
14 開閉入子
15 入子開閉コア
17 摺動コア
Claims (4)
- a.低速回転用の吸気をチャンバー室から各シリンダーの吸気マニホールドに分配する低速回転用吸気流路を前記チャンバー室の上半を迂回するようにして前記各シリンダーの吸気マニホールドに結び、且つ前記チャンバー室と前記低速回転用吸気流路間を前記迂回している低速回転用吸気流路をバイパスするようにして高速回転用吸気流路で結び、この高速回転用吸気流路内を通過する吸気量を制御するために高速回転用吸気流路内に取り付けて用いられるロータリーバルブであって、
b.前記ロータリーバルブには、シリンダーの数に合わせた高速回転用吸気バルブ流路が横一線に並べて形成され、
c.前記吸気バルブ流路の内壁面の断面は、上下壁面と左右壁面で略断面四角形に形成され、
d.前記吸気バルブ流路は、ロータリーバルブが全開したときに前記チャンバー室側から前記低速回転用吸気流路側に向けて下向きに湾曲するように形成され、
e.前記吸気バルブ流路において、左壁面と右壁面は、平面視対向する凹曲面状に形成された自動車エンジンの可変吸気システムに用いられるロータリーバルブにおいて、
f.前記各吸気バルブ流路の上下壁面の外周面には、補強用リブが該バルブの回転軸と平行に形成されていると共に、この補強用リブを含めた吸気バルブ流路の上下壁の樹脂量は、前記円弧状に形成された前記吸気バルブ流路の上下壁面間の中間点を通る中心線を境として上下等量となるように設定されていること、を特徴とする自動車エンジンの可変吸気システムに用いられるロータリーバルブ。 - 前記請求項1に係るロータリーバルブの成形用金型は、バルブ本体を成形するキャビティと、このキャビティ内に直線的に出入り自在の高速回転用吸気流路成形用の2つ割り構造の開閉入子と、この開閉入子を開閉するために2つ割りの間に直線的に出入りする楔型又は円錐形状の入子開閉コアと、から成ることを特徴とする自動車エンジンの可変吸気システムに用いられるロータリーバルブの射出成形用金型。
- 前記請求項2に記載のロータリーバルブの射出成形用金型は、バルブ本体を成形するためのキャビティと、このキャビティ内に直角方向から直線的に出入り自在の高速回転用吸気流路形成用の2つ割り構造の開閉入子と、この開閉入子の基部側を回転自在に軸支し、開閉入子の先端側をフリーとして取り付けた直線的に進退自在の可動駒と、この可動駒の後方から前記開閉入子の2つ割り間に直線的に出入りして開閉入子を開閉する楔型又は円錐状の入子開閉コアと、前記開閉入子を閉方向に賦勢しているスプリングと、から成ることを特徴とする自動車エンジンの可変吸気システムに用いられるロータリーバルブの射出成形用金型。
- 前記請求項3に記載の金型を用いて請求項1に記載のロータリーバルブを成形する方法であって、先ず可動側金型と固定側金型を閉じながら入子開閉コアを直線的に開閉入子内に挿入してこの開閉入子を開いた状態でキャビティ内に挿入したのち、型閉じを行い、次に前記可動側金型と固定側金型及び開閉入子により形成されたキャビティ内に樹脂を充填して成形を行い、次に樹脂の固化後に前記開閉入子内から入子開閉コアを引き抜くことにより開閉入子を閉じ、そのまま開閉入子をキャビティ内から直線的に引き抜き、次に金型を開放して製品を取り出す自動車エンジンの可変吸気システムに用いられるロータリーバルブの射出成形方法。
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