JP3705225B2 - 合成樹脂製中空成形体の製造装置及び製造方法 - Google Patents

合成樹脂製中空成形体の製造装置及び製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製中空成形体の製造装置及び製造方法に関し、更に詳しくは、第1,第2,第3半割部材の3つの部材を備えてなる合成樹脂製中空成形体を効率良く製造することができる合成樹脂製中空成形体の製造装置及び製造方法に関する。
本発明は、内燃機関のインテークマニホールド等の製造及びこれに関連する分野に広く利用される。
【0002】
【従来の技術】
従来から合成樹脂製中空成形体として、自動車のインテークマニホールドのように複数本の非直線状パイプを有する複雑な形状のものがある。このインテークマニホールド30は、図10に示すように、一対の第1,第2半割部材31,32と、この第2半割部材32の端部に設けられる箱状の第3半割部材33とを備えて構成されている。
上記インテークマニホールドの製造方法としては、例えば、一次射出によって成形される一対の第1,第2半割部材の各衝合部を二次射出によって接合する射出成形プロセスと、その接合された第2半割部材と第3半割部材との各衝合部を振動溶着等によって接合する振動溶着プロセスとを備えてなるものが知られている。
ここで、上記射出成形プロセスで用いられる従来の射出成形装置として、例えば、一次射出により成形された第1,第2半割部材の各衝合部を衝合させるために、これら第1,第2半割部材を相対的にスライド移動させて型開閉方向に対向させるスライド機構を備えるもの(特開平4−331123号公報等)や、第1,第2半割部材を相対的に回転移動させて型開閉方向に対向させる旋回機構を備えるものが知られている(特開平6−297501号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のインテークマニホールドの製造方法では、射出成形プロセスと振動溶着プロセス等とを経てインテークマニホールドを製造するようにしているので、2つの別々の製造プロセスの管理が必要であり生産効率が悪いものであった。また、製造設備として、射出成形プロセスで用いる射出成形装置と振動溶着プロセスで用いる振動溶着装置とが必要であり設備コストが高いものであった。さらに、一般に振動溶着では、比較的単純な形状の成形品しか成形することができず、加えてバリ受け等を設ける必要があり、成形品の設計自由度が低いものであった。
そこで、上記問題点を解決するため、振動溶着プロセスを止めて射出成形プロセスのみでインテークマニホールドを製造すること、即ち、上記従来の射出成形装置で、第1,第2,第3半割部材の3つの部材からなるインテークマニホールドを製造することが考えられる。しかし、上記従来の射出成形装置では、そのスライド機構(又は旋回機構)は、第1,第2半割部材の2つの部材の相対的な移動に適したものであるので、そのスライド機構(又は旋回機構)を単純に倍増したり、スライド機構と旋回機構とを単純に組合わせたりしても、第1,第2,第3半割部材の3つの部材を適正に移動させて型開閉方向に対向させることができない。さらに、例えば、スライド機構を単純に倍増すると、スライド機構を構成する油圧シリンダ等の駆動手段がそのスライド方向に突出してしまい装置全体として大型化してしまい、また、例えば、旋回機構を単純に倍増しても、その旋回面域を確保するため装置全体としてやはり大型化してしまう。
【0004】
以上より本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、第1,第2,第3半割部材の3つの部材を備えてなる合成樹脂製中空成形体を効率良く製造することができる小型かつ簡易な構造の合成樹脂製中空成形体の製造装置を提供することを目的とする。また、本発明は、第1,第2,第3半割部材の3つの部材を備え設計自由度の高い合成樹脂製中空成形体を効率良く製造することができる合成樹脂製中空成形体の製造方法を提供することを他の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の合成樹脂製中空成形体の製造装置は、第1の金型と第2の金型との間で、一次射出によって第1半割部材、第2半割部材及び第3半割部材を成形し、該第1半割部材、該第2半割部材及び該第3半割部材の各衝合部を衝合し、二次射出によって該各衝合部を接合して中空成形体を得るようにした合成樹脂製中空成形体の製造装置であって、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材のうち少なくとも1つの部材を型開閉方向へ移動させる突出し機構と、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材のうち少なくとも1つの部材を型開閉方向の軸心回りに旋回させる旋回機構と、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材のうち少なくとも1つの部材を型開閉方向と直交する方向へスライドさせるスライド機構と、を備え、前記第1の金型及び前記第2の金型の型開き状態で、前記突出し機構によって、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材の型開閉方向の位相をずらし、前記旋回機構及び前記スライド機構によって、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向に対向させるようにしたことを特徴とする。
【0006】
また、前記第1の金型は溶融樹脂の通路を備えており、前記第2の金型は、前記スライド機構、前記突出し機構及び前記旋回機構を備え、前記第1の金型及び前記第2の金型の型開き状態で、前記突出し機構によって、前記第2半割部材を型開閉方向へ移動させて、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材の型開閉方向の位相をずらし、前記旋回機構によって、前記第3半割部材を型開閉方向の軸心回りに旋回させると共に、前記スライド機構によって、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向と直交する方向へスライドさせて、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向に対向させるように構成できる。
【0007】
さらに、前記スライド機構は、第2の金型本体に型開閉方向と直交する方向へスライド自在に支持されるスライド部材と、該スライド部材をスライドさせるスライド駆動手段とを有し、前記突出し機構は、前記スライド部材に型開閉方向へ移動自在に支持される突出し部材と、該突出し部材を移動させる突出し駆動手段とを有し、前記旋回機構は、前記スライド部材に型開閉方向の軸心回りに旋回自在に支持される旋回部材と、該旋回部材を旋回させる旋回駆動手段とを有し、前記第1の金型は、前記第1半割部材を成形する雌型部と、前記第2半割部材を成形する雄型部と、前記第3半割部材を成形する雄型部とを有する一方、前記スライド部材は前記第1半割部材を成形する雄型部を有し、前記突出し部材は前記第2半割部材を成形する雌型部を有し、前記旋回部材は前記第3半割部材を成形する雌型部を有して構成できる。
【0008】
上記「旋回部材」は、例えば、前記第3半割部材を成形する前記雌型部と前記第2半割部材を成形する入れ子型部とを回転対称に有することができる。これにより、より複雑な形状の合成樹脂製中空成形体を製造することができる。また、上記「前記第2半割部材を成形する雌型部」は、所定方向にスライド自在なスライドコアを有することができる。これにより、より複雑な形状の合成樹脂製中空成形体を製造することができる。さらに、上記「第1の金型」は、例えば、前記雌型部、前記雄型部及び前記雄型部を型開閉方向と直交する方向に沿って配列して有することができる。これにより、装置全体としてより小型で簡易な構成なものとすることができる。
【0009】
本発明の合成樹脂製中空成形体の製造方法は、第1の金型と第2の金型との間で、一次射出によって第1半割部材、第2半割部材及び第3半割部材を成形する一次射出成形工程と、前記第1の金型及び前記第2の金型の型開き状態で、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材の型開閉方向の位相をずらし、その後、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向に対向させる位置合わせ工程と、前記第1の金型と前記第2の金型との間で、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材の各衝合部を衝合して、二次射出によって該各衝合部を接合する二次射出成形工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記位置合わせ工程において、前記第2半割部材を型開閉方向へ移動させて前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材の型開閉方向の位相をずらし、その後、前記第3半割部材を型開閉方向の軸心回りに旋回させて前記第2半割部材と前記第3半割部材とを型開閉方向に対向させ、次に、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向と直交する方向へスライドさせて前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向に対向させることができる。
【0011】
【発明の効果】
本発明の合成樹脂製中空成形体の製造装置によると、型開き状態で、突出し機構によって、一次射出により成形される第1,第2,第3半割部材の3つの部材のうち少なくとも1つの部材を型開閉方向に移動させて、3つの部材の型開閉方向の位相をずらすことができる。その結果、旋回機構によって、3つの部材のうち少なくとも1つの部材を型開閉方向の軸心回りに旋回させると共に、スライド機構によって、3つの部材のうち少なくとも1つの部材を型開閉方向と直交する方向にスライドさせて、3つの部材を型開閉方向に対向させることができる。従って、その後の型締めで3つの部材の各衝合部が衝合し、二次射出によって各衝合部を接合して合成樹脂製中空成形体を効率良く製造することができる。また、このように、突出し機構、スライド機構及び旋回機構を組合わせて構成したので、装置全体として比較的小型でかつ簡易な構造なものとすることができる。
【0012】
また、前記第1の金型は溶融樹脂の通路を備えており、前記第2の金型は、前記スライド機構、前記突出し機構及び前記旋回機構を備え、型開き状態で、突出し機構によって、第2半割部材を型開閉方向へ移動させて3つの部材の型開閉方向の位相をずらし、旋回機構によって第3半割部材を型開閉方向の軸心回りに旋回させると共に、スライド機構によって第2半割部材及び第3半割部材を型開閉方向と直交する方向へスライドさせて、3つの部材を型開閉方向に対向させるように構成する場合は、より効率良く合成樹脂製中空成形体を製造することができ、また装置全体としてより小型で簡易な構造なものとすることができる。
【0013】
さらに、前記スライド機構は、型開閉方向と直交する方向へスライド自在に支持されるスライド部材を有し、前記突出し機構は、スライド部材に型開閉方向へ移動自在に支持される突出し部材を有し、前記旋回機構は、スライド部材に型開閉方向の軸心回りに旋回自在に支持される旋回部材を有し、スライド部材は第1半割部材用の雄型部を有し、突出し部材は第2半割部材用の雌型部を有し、旋回部材は第3半割部材用の雌型部を有して構成する場合は、より効率良く合成樹脂製中空成形体を製造することができ、また、装置全体としてより小型で簡易な構造なものとすることができる。
【0014】
本発明の合成樹脂製中空成形体の製造方法によると、一次射出成形工程では、一次射出によって第1半割部材、第2半割部材及び第3半割部材の3つの部材が成形され、位置合せ工程では、型開き状態で、先ず、3つの部材の型開閉方向の位相がずらされ、その後、3つの部材が型開閉方向に対向され、二次射出成形工程では、型締めで3つの部材の各衝合部が衝合し、二次射出によって3つの部材の各衝合部が接合されることとなる。このように、射出成形プロセスのみで、第1,第2,第3半割部材の3つの部材からなる合成樹脂製中空成形体を製造するようにしたので、従来のように、射出成形プロセスと振動溶着プロセス等とを経て製造するものに比べて、極めて効率良く製造することができる。また、バリ等の発生がなく、さらにその形状等の設計自由度の比較的高い合成樹脂製中空成形体を製造することができる。
【0015】
また、位置合わせ工程において、第2半割部材を型開閉方向へ移動させて3つの部材の型開閉方向の位相がずらされ、その後、第3半割部材を型開閉方向の軸心回りに旋回させて、第3半割部材と第2半割部材とが型開閉方向に対向され、次に、第3半割部材及び第2半割部材を型開閉方向と直交する方向へスライドさせて、3つの部材が型開閉方向に一列状に対向されるように構成する場合は、より効率良く、より設計自由度の高い合成樹脂製中空成形体を製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
尚、本実施例では、合成樹脂製中空成形体として、図10に示すように、自動車のインテークマニホールド30を例示する。このインテークマニホールド30は、複数本(図中3本)の非直線状のパイプを半割状にした第1半割部材31、第2半割部材32及び一方側を開放してなる箱状の第3半割部材33とを備えて構成される。さらに、図11に示すように、第1半割部材31と第2半割部材32との各衝合部31a,32aを衝合させたとき、あるいは第2半割部材32と第3半割部材33との各衝合部32a,33aを衝合させたとき、各衝合部31a,32a,33aの間には、円弧面と略コ字状断面の屈曲面とからなる閉鎖状の中空状流路35が形成される。そして、この中空状流路35に供給される溶融樹脂によって各衝合部31a,32a,33aが接合されることとなる。また、本発明に係る合成樹脂製中空成形の製造装置として、上記インテークマニホールドの射出成形装置を例示する。
【0017】
(1)射出成形装置の構成
本実施例に係る射出成形装置1は、図1に示すように、固定型2(第1の金型として例示する。)と可動型3(第2の金型として例示する。)とを備えている。固定型2は、上記第1半割部材31を成形するための雌型部4と、上記第2半割部材32を成形するための雄型部5と、上記第3半割部材33を成形するための雄型部6とを有している。これら雌型部4、雄型部5及び雄型部6は、型開閉方向Pと直交する方向(図中上下方向)に沿って配列されている。また、固定型2側は、溶融樹脂を射出可能な一次射出ノズル7及び二次射出ノズル8を備えている。この一次射出ノズル7は、ランナー9aを介して上記雌型部4、雄型部5及び雄型部6に連通している。また二次射出ノズル8は、ランナー9bを介して雌型部4に連通している(図6参照)。尚、上記一次,二次射出ノズル7,8から射出される溶融樹脂は同種類のものであることが好ましい。
【0018】
上記可動型3は、走行手段(図示せず)によって型開閉方向Pに走行可能な可動型本体10(図2参照、第2の金型本体として例示する。)と、この可動型本体10に設けられる突出し機構A、旋回機構B及びスライド機構Cとを備えている。上記スライド機構Cは、可動型本体10に型開閉方向Pと直交する方向(図中上下方向)へスライド自在に支持されるスライド部材11(図5参照)と、このスライド部材11をスライドさせる駆動シリンダ12(スライド駆動手段として例示する。)とを有している。この駆動シリンダ12は、可動型本体10内でスライド部材11のスライド方向に沿って配置されている。また、上記突出し機構Aは、スライド部材11に型開閉方向Pへ移動自在に支持される突出しプレート13(図3参照、突出し部材として例示する。)と、この突出しプレート13を移動させる駆動シリンダ(図示せず、突出し駆動手段として例示する。)とを有している。また、上記旋回機構Bは、スライド部材11に型開閉方向Pの軸心回りに旋回自在に支持される旋回プレート15(図4参照、旋回部材として例示する。)と、この旋回プレート15を旋回させる駆動モータ16(旋回駆動手段として例示する。)とを有している。この駆動モータ16は、可動型本体10内に型開閉方向Pに沿って配置されている。
【0019】
上記スライド部材11は、第1半割部材31用の前記雌型部4との間でキャビティを成形する雄型部17を有している。また、上記突出しプレート13は、第2半割部材32用の前記雄型部5との間でキャビティを成形する雌型部18を有している。この雌型部18は、所定方向にスライド自在に支持されるスライドコア21を有している(図7参照)。また、上記旋回プレート15の一面には、その旋回軸に対して回転対称となる位置に、旋回軸に沿って延びる一対の回転子22,23を備えている。一方の回転子22は、第2半割部材32の端部を成形する入れ子型部20を有している。また、他方の回転子23は、第3半割部材33用の前記雄型部6との間でキャビティを成形する雌型部19を有している。さらに、一対の回転子22,23は、収納状態の突出しプレート13(図2参照)との干渉により旋回不能とされ、突出し状態の突出しプレート13(図3参照)とは干渉せず旋回可能とされている。
【0020】
(2)射出成形装置の作用
a.一次射出成形工程
次に、以上のように構成された射出成形装置1によるインテークマニホールド30の製造方法について説明する。先ず、図1に示すように、型締め状態で、固定型2の雌型部4とスライド部材11の雄型部17との間に第1半割部材31用のキャビティが形成され、また、固定型2の雄型部5と突出しプレート13の雌型部18と回転子22の入れ子型部20との間に第2半割部材32用のキャビティが形成され、さらに、固定型2の雄型部6と回転子23の雌型部19との間には第3半割部材33用のキャビティが形成されている。この状態で、一次射出ノズル7から射出される溶融樹脂がランナー9aを介して上記各キャビティに供給され、第1,第2,第3半割部材31,32,33が射出成形されることとなる。
【0021】
b.位置合せ工程
その後、図2に示すように、型開きすると、固定型2の雌型部4に第1半割部材31が保持され、また、突出しプレート13の雌型部18及び回転子22の入れ子型部20に第2半割部材32が保持され、さらに、回転子23の雌型部19に第3半割部材33が保持されることとなる。次に、図3に示すように、駆動シリンダ(図示せず)の作用によって突出しプレート13が型開閉方向Pに突出し移動され、第2半割部材32が固定型2側に移動される。これにより、第1,第2,第3半割部材31,32,33の3つの部材の型開閉方向Pの位相がずらされることとなる。このとき、各回転子22,23は、突出し状態の突出しプレート13との干渉から解放されており、従って、旋回プレート15は旋回可能な状態とされている。
次いで、図4に示すように、駆動モータ16の作用で旋回プレート15が所定角度(例えば、180度)で旋回され、回転子23の雌型部19に保持された第3半割部材33が第2半割部材32の下端部と型開閉方向Pに対向する。その後、図5に示すように、駆動シリンダ12の作用でスライド部材11を上方に移動させると、このスライド部材11と共に突出しプレート13及び旋回プレート15が上方に移動する。すると、第1,第2,第3半割部材31,32,33が型開閉方向Pに対向することとなる。
【0022】
c.二次射出成形工程
次に、図6に示すように、型閉めすると、第1,第2,第3半割部材31,32,33の各衝合部31a,32a,33aが衝合され、各衝合部31a,32a,33aの間に中空状流路35が形成される(図11参照)。そして、二次射出ノズル8より射出される溶融樹脂がランナー9bを介して中空状流路35内に供給され、3つの部材31,32,33の各衝合部31a,32a,33aが接合されインテークマニホールド30が成形されることとなる。次いで、図7に示すように、再び型開きして、突出しプレート13の雌型部18において、スライドコア21を所定方向にスライドさせてインテークマニホールド30を突出しプレート13の雌型部18から解放させる。その後、図8に示すように、駆動シリンダ12の作用によってスライド部材11と共に突出しプレート13及び旋回プレート15を下方に移動させ、さらに、駆動シリンダ(図示せず)の作用によって突出しプレート13を型開閉方向Pに突出し移動させる。そして、旋回プレート15を所定角度(例えば、180度)で旋回させて、回転子23の雌型部19を固定型2の雄型部6に対向させると共に、回転子22の入れ子型部20を固定型2の雄型部5に対向させる。次に、図9に示すように、型閉めにより一連の射出成形サイクルが終了することとなる。
【0023】
(3)実施例の効果
以上のように本実施例の射出成形装置1では、可動型本体10に、型開閉方向Pと直交する方向へスライド部材11をスライド自在に支持し、このスライド部材11に、型開閉方向Pへ突出しプレート13を移動自在に支持すると共に、型開閉方向Pの軸心回りに旋回プレート15を旋回自在に支持して、可動型3側に、突出し機構A、旋回機構B及びスライド機構Cを設けて構成したので、一次射出後の型開き状態で、突出し機構Aの作用によって、突出しプレート13を型開閉方向Pに突出し移動させて第2半割部材32を固定型2側へ移動させて、第1,第2,第3半割部材31,32,33の型開閉方向Pの位相をずらすことができる。その結果、旋回機構Bの作用よって、旋回プレート15を旋回させて第3半割部材33を第2半割部材32の下端部に対向させると共に、スライド機構Cの作用によって、スライド部材11と共に突出しプレート13及び旋回プレート15を型開閉方向Pと直交する方向にスライドさせて、第1,第2,第3半割部材31,32,33を型開閉方向Pに対向させることができる。従って、その後の型締めで3つの部材31,32,33の各衝合部31a,32a,33aが衝合し、二次射出によって各衝合部31a,32a,33aを接合してインテークマニホールド30を得ることができる。このように、第1,第2,第3半割部材31,32,33の3つの部材を備えるインテークマニホールド30を射出成形プロセスのみで製造するようしたので、従来のように、射出成形プロセスと振動溶着プロセス等とを経て製造するものに比べ、極めて効率良く製造することができる。また、振動溶着プロセスを必要としないので、バリの発生が全く無く、また、バリの受けを設ける必要もなく、さらに成形品の形状等に関する制約がほとんどなく、より複雑な形状のインテークマニホールドを製造することができる。また、従来のように、スライド機構を単純に2つ設けたり、旋回機構を単純に2つ設けたりするものに比べ、装置全体として小型でかつ簡易な構造のものを提供することができる。
【0024】
また、本実施例では、可動型本体10内には、スライド機構Cの駆動シリンダ12をそのスライド方向に沿って配置すると共に、旋回機構Bの駆動モータ16をその旋回軸に沿って配置したので、より小型で簡易な構造の射出成形装置1を提供できる。また、本実施例では、旋回プレート15には回転対称となる位置に一対の回転子22,23を設け、一方の回転子22に第2半割部材32用の入れ子型部20を設け、他方の回転子23に第3半割部材33用の雌型部19を設け、さらに、突出しプレート13の雌型部18にスライドコア21を設けて構成したので、より複雑な形状のインテークマニホールド30を製造することができる。
【0025】
尚、本発明においては、前記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、本実施例では、一次射出後の型開き時に、突出しプレート13の突出し状態(図3〜5参照)で、先ず、旋回機構Bによって第3半割部材33を旋回させてこの第3半割部材33と第2半割部材32とを対向させ、その後、スライド機構Cによって第3半割部材33及び第2半割部材32を上方へスライドさせて、3つの部材31,32,33を型開閉方向Pに対向させるようにしたが、これに限定されず、例えば、突出しプレート13の突出し状態で、先ず、スライド機構Cによって第3半割部材33及び第2半割部材32を上方へスライドさせて第1半割部材31と第2半割部材32とを対向させ、その後、旋回機構Bによって第3半割部材33を旋回させて3つの部材31,32,33を型開閉方向Pに対向させるようにしてもよい。また、例えば、スライド機構によって第3半割部材33を上方へスライドさせてこの第3半割部材33と第2半割部材32とを対向させると共に、旋回機構によって、対向状態の第3半割部材33及び第2半割部材32を旋回させて、3つの部材31,32,33を型開閉方向Pに対向させるように構成してもよい。
【0026】
また、本実施例では、突出し機構Aによって第2半割部材32を型開閉方向Pに移動させて、3つの部材31,32,33の型開閉方向Pの位相をずらすように構成したが、これに限定されず、例えば、第2半割部材32及び第3半割部材33の2部材を型開閉方向Pに移動させて、3つの部材31,32,33の型開閉方向Pの位相をずらすように構成してもよい。また、本実施例では、可動型3側に、第3半割部材33及び第2半割部材32を上下方向へスライドさせるスライド機構Cを設けて構成したが、これに限定されず、例えば、このスライド機構Cを止め、固定型2側に、第1半割部材31を上下方向へスライドさせるスライド機構を設けて構成してもよい。さらに、本実施例では、旋回機構Bによって旋回プレート15を180度で旋回させて一対の回転子22,23の位置を入れ替えるようにしたが、これに限定されず、例えば、90度で旋回させて一対の回転子22,23を入れ替えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る射出成形装置の側断面図であり、一次射出成形時の型締め状態を示す。
【図2】上記射出成形装置による作用説明図であり、型開き状態を示す。
【図3】同じく、作用説明図であり、突出しプレートの突出し状態を示す。
【図4】同じく、作用説明図であり、旋回プレートの旋回状態を示す。
【図5】同じく、作用説明図であり、スライド部材のスライド状態を示す。
【図6】同じく、作用説明図であり、二次射出成形時の型締め状態を示す。
【図7】同じく、作用説明図であり、型開き状態を示す。
【図8】同じく、作用説明図であり、旋回プレートの旋回状態を示す。
【図9】同じく、作用説明図であり、型閉め状態を示す。
【図10】インテークマニホールドの斜視図である。
【図11】上記インテークマニホールドの夫々の衝合部を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1:射出成形装置、2:固定型、3:可動型、4:雌型部、5:雄型部、6:雄型部、10:可動型本体、11:スライド部材、12:駆動シリンダ、13:突出しプレート、15:旋回プレート、16:駆動モータ、17:雄型部、18:雌型部、19:雌型部、20:入れ子型部、30:インテークマニホールド、31:第1半割部材、31a:衝合部、32:第2半割部材、32a:衝合部、33:第3半割部材、33a:衝合部、A:突出し機構、B:旋回機構、C:スライド機構、P:型開閉方向。

Claims (5)

  1. 第1の金型と第2の金型との間で、一次射出によって第1半割部材、第2半割部材及び第3半割部材を成形し、該第1半割部材、該第2半割部材及び該第3半割部材の各衝合部を衝合し、二次射出によって該各衝合部を接合して中空成形体を得るようにした合成樹脂製中空成形体の製造装置であって、
    前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材のうち少なくとも1つの部材を型開閉方向へ移動させる突出し機構と、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材のうち少なくとも1つの部材を型開閉方向の軸心回りに旋回させる旋回機構と、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材のうち少なくとも1つの部材を型開閉方向と直交する方向へスライドさせるスライド機構と、を備え、
    前記第1の金型及び前記第2の金型の型開き状態で、前記突出し機構によって、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材の型開閉方向の位相をずらし、前記旋回機構及び前記スライド機構によって、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向に対向させるようにしたことを特徴とする合成樹脂製中空成形体の製造装置。
  2. 前記第1の金型は溶融樹脂の通路を備えており、前記第2の金型は、前記スライド機構、前記突出し機構及び前記旋回機構を備え、
    前記第1の金型及び前記第2の金型の型開き状態で、前記突出し機構によって、前記第2半割部材を型開閉方向へ移動させて、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材の型開閉方向の位相をずらし、前記旋回機構によって、前記第3半割部材を型開閉方向の軸心回りに旋回させると共に、前記スライド機構によって、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向と直交する方向へスライドさせて、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向に対向させるようにした請求項1記載の合成樹脂製中空成形体の製造装置。
  3. 前記スライド機構は、第2の金型本体に型開閉方向と直交する方向へスライド自在に支持されるスライド部材と、該スライド部材をスライドさせるスライド駆動手段とを有し、前記突出し機構は、前記スライド部材に型開閉方向へ移動自在に支持される突出し部材と、該突出し部材を移動させる突出し駆動手段とを有し、前記旋回機構は、前記スライド部材に型開閉方向の軸心回りに旋回自在に支持される旋回部材と、該旋回部材を旋回させる旋回駆動手段とを有し、
    前記第1の金型は、前記第1半割部材を成形する雌型部と、前記第2半割部材を成形する雄型部と、前記第3半割部材を成形する雄型部とを有する一方、前記スライド部材は前記第1半割部材を成形する雄型部を有し、前記突出し部材は前記第2半割部材を成形する雌型部を有し、前記旋回部材は前記第3半割部材を成形する雌型部を有する請求項2記載の合成樹脂製中空成形体の製造装置。
  4. 第1の金型と第2の金型との間で、一次射出によって第1半割部材、第2半割部材及び第3半割部材を成形する一次射出成形工程と、
    前記第1の金型及び前記第2の金型の型開き状態で、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材の型開閉方向の位相をずらし、その後、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向に対向させる位置合わせ工程と、
    前記第1の金型と前記第2の金型との間で、前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材の各衝合部を衝合して、二次射出によって該各衝合部を接合する二次射出成形工程と、を備えることを特徴とする合成樹脂製中空成形体の製造方法。
  5. 前記位置合わせ工程において、前記第2半割部材を型開閉方向へ移動させて前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材の型開閉方向の位相をずらし、その後、前記第3半割部材を型開閉方向の軸心回りに旋回させて前記第2半割部材と前記第3半割部材とを型開閉方向に対向させ、次に、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向と直交する方向へスライドさせて前記第1半割部材、前記第2半割部材及び前記第3半割部材を型開閉方向に対向させる請求項4記載の合成樹脂製中空成形体の製造方法。
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