JP4497704B2 - 難燃剤及び該難燃剤を含有する難燃性エポキシ樹脂組成物、並びに該組成物からなるビルドアップ用硬化性組成物 - Google Patents

難燃剤及び該難燃剤を含有する難燃性エポキシ樹脂組成物、並びに該組成物からなるビルドアップ用硬化性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃剤及び該難燃剤を含有し、ハロゲンを含まない難燃性エポキシ樹脂組成物、並びにそれを含有するビルドアップ用硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、世界的な環境問題、人体に対する安全性についての関心の高まりと共に、電気・電子製品については、難燃性に加えて、より少ない有害性、より高い安全性という要求が増大している。すなわち、電気・電子製品は、単に燃えにくいだけでなく、有害性ガスや発煙の発生が少ないことが要望されている。従来、電気・電子部品を搭載するプリント配線板は、通常ガラスエポキシからなる基板を有するが、そこに使用されているエポキシ樹脂としては、難燃剤として作用する臭素を含有する臭素化エポキシ樹脂、特にテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂が一般に使用されている。
【0003】
このような臭素化エポキシ樹脂は、良好な難燃性を有するものの、燃焼時に有害なハロゲン化水素(臭化水素)ガスを発生するため、その使用が抑制されつつある。そのため、通常のエポキシ樹脂に非ハロゲン系難燃剤、例えば、窒素化合物、リン化合物、あるいは無機化合物等を配合した組成物が開発されている。しかしながら、これら難燃付与性添加剤は、難燃化効果が不十分であったり、エポキシ樹脂の硬化に悪影響を及ぼしたり、硬化組成物のガラス転移温度等物性を低下させる等の問題がある。
【0004】
例えば、リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェートが種々の樹脂に広く用いられており、特開平8−337709号公報には、高分子量タイプである2価フェノールとフェノールからなるリン系難燃剤をエポキシ樹脂に用いることが提案されている。しかし、これら難燃剤で充分な難燃性を付与するには多量に配合する必要があり、難燃性を満足するとガラス転移温度が低下し、ガラス転移温度を高くすると難燃性が不足する。また、特開平10−195178号公報には、反応性のリン酸エステル化合物を用いることが提案されているが、リン酸エステルが樹脂中に組み込まれると吸湿し易くなったり、一部が3次元構造になってエポキシ樹脂の粘度が増大し、作業性が大きく低下するため、実用的ではなかった。
【0005】
また、特開平11−80178号公報には、フェニルホスホン酸ジクロリドとレゾルシノールの反応したオリゴマーがエポキシ樹脂積層板の難燃剤として有用であることが記載されている。しかし、ビルドアップ積層板ではメッキ処理のための粗化工程においてアルカリ処理された際に安定性が不足する問題があった。
【0006】
本発明は、上記の欠点を解消するためになされたもので、ハロゲンを含まずに良好な難燃性を示し、かつ樹脂の物性低下の小さい難燃剤を提供すると共に、該難燃剤を添加されたガラス転移温度、引張強度及び弾性等に優れた難燃性エポキシ樹脂組成物、並びにそのような難燃性エポキシ樹脂組成物からなるビルドアップ用硬化性組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の現状に鑑み鋭意研究を重ねた結果、下記に示す難燃剤及び難燃性エポキシ樹脂組成物が上記の目的を達成することを見い出し、本発明を完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、一般式(I)で表されるベンゾフェノン構造を有するリン酸エステル化合物からなる難燃剤及び該難燃剤と多価エポキシ化合物を含有する難燃性エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【化3】
Figure 0004497704
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
【0011】
本発明において、上記一般式(I)におけるR1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16で表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル基が挙げられる。
【0012】
Xで表される炭素原子数1〜4のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレンが挙げられ、アルキリデン基としてはエチリデン、プロピリデン、ブチリデンが挙げられる。
【0013】
本発明で難燃剤として用いられるベンゾフェノン構造を有するリン酸エステル化合物としては、具体的には、以下の化合物No.1〜No.11が挙げられる。
【0014】
【化4】
Figure 0004497704
【0015】
【化5】
Figure 0004497704
【0016】
【化6】
Figure 0004497704
【0017】
【化7】
Figure 0004497704
【0018】
【化8】
Figure 0004497704
【0019】
【化9】
Figure 0004497704
【0020】
【化10】
Figure 0004497704
【0021】
【化11】
Figure 0004497704
【0022】
【化12】
Figure 0004497704
【0023】
【化13】
Figure 0004497704
化合物No.10
【0024】
【化14】
Figure 0004497704
化合物No.11
【0025】
上記化合物の合成方法としては、オキシ塩化リンと対応するフェノール化合物及びヒドロキシベンゾフェノン化合物を反応させる方法やフェニルホスホン酸ジクロリドとヒドロキシベンゾフェノン化合物を反応させる方法により得られる。反応条件は特に限定されるものではないが、ジフェニルリン酸クロライド等のオキシ塩化リンとフェノール化合物を予め反応した化合物を、ヒドロキシベンゾフェノン化合物と反応させる方法、フェノールとヒドロキシベンゾフェノンとの混合フェノールとオキシ塩化リンを反応させる方法等であり、反応の順番は目的とする化合物により適宜選択される。また、トリエチルアミン等の塩基性化合物や塩化マグネシウム等のルイス酸触媒を用いることで温和な条件で収率よく合成できるので好ましい。また、無溶媒でも反応は可能であるが、粘度の上昇により高温での反応が必要となるため、アセトン、テトラクロロエタン、ニトロベンゼン、プロピレングリコールモノメチルアセテート等を用いることが好ましい。また、上記化合物はエポキシ樹脂組成物の難燃剤として用いるため、この化合物中のフェノール性ヒドロキシ基を必要に応じてエピクロルヒドリンと常法により反応することでグリシジル基を有する化合物等の誘導体としてエポキシ樹脂組成物に用いることもできる。上記化合物を合成するに際しては、電子部品関連に用いる場合に電気特性を維持するために吸着剤処理、アルカリ洗浄処理、水洗処理等により塩素含有量を低くすることが好ましい。
【0026】
本発明において、上記一般式(I)で表される化合物をエポキシ樹脂組成物に適用する方法としては、多価エポキシ化合物又は硬化剤に予め添加する方法、多価エポキシ化合物に硬化剤を添加する際に添加する方法が挙げられる。また、一般式(I)で表される化合物が多価フェノール化合物である場合は、難燃性エポキシ硬化剤であり、硬化剤として用いる他、予め過剰の多価エポキシ化合物と反応して難燃性の高分子量エポキシ化合物としてもよい。
【0027】
本発明に用いられる多価エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が用いられる。芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ノボラック、テトラブロモビスフェノールA等の多価フェノールのグリシジルエーテル化合物が挙げられる。脂環族エポキシ化合物としては、少なくとも1個以上の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又はシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルへキシル等が挙げられる。脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられる。代表的な化合物として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、また、これらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
【0028】
上記多価エポキシ化合物のうち、下記一般式(II)で表される化合物や1,6−ビス(グリシジルオキシ)ナフタレンを用いると、得られるエポキシ樹脂の硬化物がガラス転移温度が高く、引張強度、伸びにも優れるので好ましい。
【0029】
【化15】
Figure 0004497704
【0030】
一般式(II)におけるYで表される炭素原子数1〜4のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等が挙げられ、アルキリデン基としては、エチリデン、プロピリデン、2,2−プロピリデン、ブチリデン等が挙げられる。
【0031】
エポキシ樹脂硬化剤としては、潜在性硬化剤、ポリアミン化合物、ポリフェノール化合物及びカチオン系光開始剤等が挙げられる。
【0032】
潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド、ヒドラジド、イミダゾール化合物、アミンアダクト、スルホニウム塩、オニウム塩、ケチミン、酸無水物、三級アミン等が挙げられる。これら潜在性硬化剤は、一液型の硬化性組成物を与え、取り扱いが容易なので好ましい。
【0033】
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物等が挙げられる。
【0034】
ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の脂環族ポリアミン、m−キシレンジアミン等の芳香環を有する脂肪族アミン、m−フェニレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族ポリアミンが挙げられる。
【0035】
ポリフェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、テルペンジフェノール、テルペンジカテコール、1,1,3−トリス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン、ブチリデンビス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)等が挙げられる。フェノールノボラックは得られるエポキシ樹脂の電気特性、機械強度が積層板に適しているので好ましい。
【0036】
本発明に使用するカチオン系光開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出させることが可能な化合物であり、特に好ましいものは、照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩又はその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、下記の一般式
[A]m+[B]m-
で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
【0037】
ここで陽イオン[A]m+はオニウムであるのが好ましく、その構造は、例えば、下記の一般式
[(R19a Q]m+
で表すことができる。
【0038】
更にここで、R19は炭素数が1〜60であり、炭素原子以外の原子を幾つ含んでもよい有機の基である。aは1〜5の整数である。a個のR19は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。QはS、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
【0039】
また、陰イオン[B]m-は、ハロゲン化物錯体であるのが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式
[LXb m-
で表すことができる。
【0040】
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(Metalloid) であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲン原子である。bは3〜7の整数である。また、陰イオン[B]m-中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
【0041】
上記一般式で表される陰イオン[LXb]m-の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 - 、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6 - 、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 - 、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 - 、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6 - 等が挙げられる。
【0042】
また、陰イオンBm-は、
[LXb-1 (OH)]m-
で表される構造のものも好ましく用いることができる。L、X、bは上記と同様である。また、その他の用いることができる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4 - 、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3 SO3 - 、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 - 、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン等が挙げられる。
【0043】
本発明では、このようなオニウム塩の中でも、下記のイ)〜ハ)の芳香族オニウム塩を使用するのが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0044】
イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩が用いられる。
【0045】
ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等のジアリールヨードニウム塩が用いられる。
【0046】
ハ)トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4' −ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4' −ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4' −ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4' −ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4−[4' −(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4' −(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のトリアリールスルホニウム塩等が好ましい。
【0047】
また、その他の好ましいものとしては、(η5 −2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6,−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げられる。
【0048】
これらの中でも実用面と光感度の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましい。
【0049】
これらの光開始剤は安息香酸系又は第三級アミン系等の公知の光重合促進剤の1種又は2種以上と組み合わせて用いても良い。光開始剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物中、0.1〜30重量%含有していることが好ましい。0.1重量%未満では添加効果が得られないことがあり、30重量%より多いと硬化物の機械強度が低下することがある。
【0050】
光開始剤を用いる場合の重合に用いる光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の公知の光源を用い、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等の活性エネルギー線の照射により上記光開始剤からルイス酸を放出することで、上記エポキシ化合物を効果させる。これら光源としては、400nm以下の波長を有する光源が有効である。
【0051】
本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物は、難燃性を向上するために、含窒素化合物を併用することが好ましい。含窒素化合物としては、メラミン及びその誘導体、シアヌル酸及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体等が挙げられる。但し、メラミン等の1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物はエポキシ樹脂の硬化剤であり、多量に配合すると得られるエポキシ樹脂が脆化する等の物性に大きく影響するのでエポキシ樹脂に要求される物性に応じて誘導体として用いることが好ましい。例えば、メラミン誘導体としては、フェノール化合物とメラミン化合物とアルデヒド化合物との共縮合樹脂として得られる分子中に窒素原子を含有するフェノール樹脂等が挙げられる。いうまでもなく、フェノール樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることができる。
【0052】
本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて他の硬化性化合物、硬化促進剤、エポキシ樹脂以外の樹脂、スクリーン印刷性向上剤、分散性改良剤、他の難燃剤、難燃助剤、充填剤、溶剤等が添加される。
【0053】
上記硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、ジアザビシクロウンデセン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及び2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物が含まれる。これら硬化促進剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。硬化促進剤は、エポキシ樹脂の硬化を促進するに十分な少量で用いられる。
【0054】
本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂以外の樹脂としては、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブタジエン−スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム等の弾性に優れた耐衝撃性を改良する樹脂が、機械強度の点で好ましい。
【0055】
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる無機充填剤は、エポキシ樹脂組成物に付加的な難燃剤、耐熱性、耐湿性を付与するためのものである。これら充填剤には、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が含まれ、単独で又は 2種以上組み合わせて用いることができる。シリカが電気特性に優れるので好ましい。
【0056】
以上述べた本発明のエポキシ樹脂組成物は、これをプロピレングリコールモノメチルエーテル等の好適な有機溶媒で希釈してワニスとなし、これをガラス不織布、ガラス織布等の多孔質ガラス基材に塗布・含浸させ、加熱するという通常の方法によりプリプレグを製造することができる。また、このプリプレグを複数枚重ね合わせ、その積層構造の片面又は両面に銅箔を重ね合わせた後、これを通常の条件で加熱・加圧してガラスエポキシ銅張積層板を得ることができる。このとき、銅箔を用いなければ、積層板が得られる。多層板は、銅張積層板(内層板)に回路を形成し、次いで銅箔をエッチング処理した後、内層板の少なくとも片面にプリプレグ及び銅箔を重ね合わせ、これを例えば170℃、40kg/cm2 の圧力で90分間加熱・加圧するという通常の方法により製造することができる。さらに、プリント配線板は、銅張積層板もしくは多層板にスルーホールを形成し、スルーホールメッキを行った後、所定の回路を形成するという通常の方法により製造することができる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0058】
〔製造例A〕
(化合物No.1の合成)
4−ヒドロキシベンゾフェノン19.8g(0.1モル)、ジフェニルリン酸クロリド26.9g(0.1モル)の酢酸エチル100ml溶液に、氷冷下トリエチルアミンg(0.12モル)を30分で滴下し、3時間反応した。反応液を水洗してpH7とした。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過、加熱減圧脱溶媒して冷却乾固することで固形物40.2g(収率93.3%)を得た。得られた固形物はリン含有量6.0重量%(計算値:6.1重量%)、OH当量276(計算値:274)、m/n=2であった。
【0059】
〔実施例1−1〜1−16及び比較例1−1〜1−4〕
表1〜5記載の配合物を十分に混合し、表面処理アルミニウム板上にナイフコーターを用いて乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布した。80℃で5分間熱乾燥した後、さらに150℃で30分間ベーキングして硬化物を得た。得られた硬化物について、下記に準拠してガラス転移温度(Tg)、引張強度、引張弾性率、引張伸びを測定し、またUL−94に基づき難燃性を評価した。それぞれの結果を表1〜5に示す。但し、試料化合物No.1〜10及び比較化合物No.1〜4の配合量は溶媒を除く固形分としての配合であり、配合量は得られるエポキシ樹脂組成物のリン含有量が0.8重量%となるよう調整した。また、表1〜5の配合の単位は全て重量部である。
【0060】
ガラス転移温度は、動的粘弾性法で測定した。また、引張試験としては、JIS−K6911により測定した。
【0061】
【表1】
Figure 0004497704
【0062】
【表2】
Figure 0004497704
【0063】
【表3】
Figure 0004497704
【0064】
【表4】
Figure 0004497704
【0065】
【表5】
Figure 0004497704
Figure 0004497704
【0066】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ハロゲンを含有しないで優れた難燃性を示し、しかもガラス転移温度、引張強度、弾性率、伸びに優れたエポキシ樹脂組成物が提供される。このようなエポキシ樹脂組成物をビルドアップ用硬化性樹脂に用いたり、ガラスエポキシ銅張積層板に用いることで、種々の特性に優れたプリント配線板を製造することができる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表されるベンゾフェノン構造を有するリン酸エステル化合物からなる難燃剤。
    Figure 0004497704
  2. 請求項1記載の難燃剤と多価エポキシ化合物を含有する難燃性エポキシ樹脂組成物。
  3. 上記多価エポキシ化合物が、下記化合物(II)を含む請求項2記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004497704
  4. 上記多価エポキシ化合物が、1,6−ビス(グリシジルオキシ)ナフタレンを含む請求項2又は3記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
  5. シリカ、ゴム、フェノールノボラック型硬化剤を添加された請求項2〜4のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項2〜5のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物からなるビルドアップ用硬化性組成物。
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